▼令和3年 条例予算特別委員会 高木 勝利 総会質疑 (令和3年3月23日)

◯高木委員 公明党福岡市議団を代表して、再生可能エネルギーの主力電源化について、非接触を踏まえた市民サービスの向上の観点からICTやオンラインの活用と書かない窓口について、キャッシュレス化の推進について質疑を行う。まず、再生可能エネルギーの主力電源化についてである。今月2日、地球温暖化対策推進法改正案が閣議決定された。カーボンニュートラルの達成には省エネルギーの推進、燃料などから電気へ転換する電化への取組、使用する電力の脱炭素化などに取り組む必要があるが、中でも電力の脱炭素化は重要であり、今回の法改正により地域の再生可能エネルギーを活用した脱炭素化を促進するため、都道府県や政令市、中核市に対し地域内での太陽光や風力などの再生可能エネルギーの施策目標を定めるよう新たに義務づけられたことから、さらに拡大が進むと期待される。2040年温室効果ガス排出量実質ゼロを目指し、脱炭素社会の実現にチャレンジすると全国に先駆けて表明している本市では、市民や民間事業者などと力を結集することが必要である。自動車部門のCO2削減のための電気自動車、水素自動車の普及、住宅用蓄電池の普及や再生可能エネルギーの主力電源化など、あらゆる施策を総動員していく必要がある。まずは現在の本市全体の温室効果ガス排出量、市有施設全体の排出量、市役所本庁舎の排出量とともに、その中で電気由来のCO2排出量はどのくらいの割合か尋ねる。

△環境局長 まず、本市域全体の温室効果ガス排出量は、直近である平成30年度の実績が約643万4,000トンで、そのうち電気由来、すなわち電気使用に係る二酸化炭素排出量の割合は約37%である。次に、市有施設全体の温室効果ガス排出量は、令和元年度の実績が約35万4,000トンで、そのうち電気由来の同割合は約36%である。最後に、北別館を含む市役所本庁舎の温室効果ガス排出量は、元年度の実績が約3,400トンで、そのうち電気由来の同割合は約75%である。

◯高木委員 本市の再生可能エネルギーによる種別ごとの発電規模の現状と2030年、2040年の目標値について示されたい。

△環境局長 まず、本市内における再生可能エネルギー設備の発電規模は2019年度末で約22万3,000キロワットである。種別ごとに、太陽光発電が約13万9,900キロワット、バイオマス発電が約8万2,600キロワット、小水力発電と風力発電がそれぞれ約200キロワットとなっている。次に、目標値については、2014年度に策定した市環境エネルギー戦略において、2030年度を計画の終期として、発電規模の目標を40万キロワット以上と設定している。現在、本戦略は福岡市地球温暖化対策実行計画の改定に合わせ、統合、見直しを進めている。

◯高木委員 令和3年度予算の環境局の新規施策として、再生可能エネルギー由来電力の利用促進が掲げられている。家庭や企業における再生可能エネルギーに関して、利用しやすい小売電気の情報や共同購入の手法など導入機会を提供する取組に期待されるところであるが、内容を具体的に説明されたい。

△環境局長 本市はエネルギー消費地であることから、電力の小売自由化が進んだことも踏まえ、電力を使用する側からも脱炭素化を進めいてくことが重要であると考える。令和3年度は市民や事業者に対し、電力契約において再生可能エネルギー由来電力を選択できることや、これによる温室効果ガス削減効果などを情報発信することとしている。また、併せて他都市において民間主体で再生可能エネルギー由来電力に関心を持つ市民や事業者を募り、小売電気事業者とマッチングを行う共同購入の動きが出ているところである。この手法を本市でも市民や事業者と協働して取り組むなど、再生可能エネルギー由来電力を利用しやすい環境づくりを進めることとしている。

◯高木委員 本市では温室効果ガス排出量のうち家庭部門と業務部門の電気由来は7割と高いことから、省エネに加え、使用電力の脱炭素化を推進することが重要である。そこで、市有施設及び市役所本庁舎での年間電力使用量はどのくらいか、市役所本庁舎をはじめ、特に使用量が多い施設を示されたい。

△環境局長 令和元年度の実績で、市有施設全体が約3億5,000万キロワットアワーで、そのうち北別館を含む市役所本庁舎が約740万キロワットアワーである。また、市有施設全体の電力使用量のうち約6割はインフラ施設である地下鉄、下水道、水道施設等で使用されており、これらを除くと使用量の多いものは市役所本庁舎、福岡競艇場、マリンメッセ福岡の順となっている。

◯高木委員 昨年11月、大阪府は府有施設の温室効果ガス排出量の中でCO2が74%、そのうち82%が電気使用によることから、2021年度から庁舎で使用する電気を太陽光、風力、水力など、100%再生可能エネルギーに切り替え、2,600トンのCO2をゼロにすると発表した。100%再生可能エネルギーの電気の総合評価一般競争入札は初めての試みで、これまでよりも割高になるものの、CO2を減らす上で府が範を示すことはメリットが大きいとの判断である。大阪府本庁舎、別館など府の7施設での年間電力使用量は506万キロワットアワー、調達期間は2021年4月~2022年3月で、事業者には毎月再エネ指定の非化石証書の提出を求める。既に東京都では都庁第一本庁舎の電力を総合評価一般競争入札により2019年8月から再生可能エネルギー100%に切り替えており、第一本庁舎の3,000万キロワットアワー分が対象で、都庁舎で利用する全電力3,600万キロワットアワーの約8割に相当する。さらに横浜市は、市が市内最大級の事業所である立場であり、自らの率先行動として、まずは令和2年度に市役所新庁舎で使用する電力を100%再生可能エネルギーにし、これにより新庁舎全体の80%に当たる5,800トンのCO2排出量を削減した。今後は18区庁舎で2025年を目標に使用電力の100%再生可能エネルギー化を進める。昨年度は同市役所新庁舎に同市焼却工場の再生可能エネルギー電力について、自己託送制度を活用し新庁舎へ、また、国の固定価格買取制度(FIT)が終了した市内家庭の太陽光発電の電力を電力小売業者から新庁舎へ供給することなど地産地消を進める。この再生可能エネルギーの自己託送制度やFITが終了した電力の活用など本市ではどう取り組んでいるのか、また、今後さらに拡充してはと考えるが、所見を尋ねる。

△環境局長 まず、清掃工場の発電電力を市有施設で活用する取組として、自己託送制度を利用し、保健環境研究所など市の4施設へ送電している。加えて、工場近隣にある総合西市民プールと福寿園に対しては、自営線を使って直接送電しており、令和元年度は合わせて約460万キロワットアワーの清掃工場の発電電力を市有施設で活用している。次に、固定価格買取制度の期間を終えた電力については、2年度の電気事業法の改正により、新たに家庭などの小規模な設備で発電した電力を束ねて小売電気事業者などへ供給する事業者が位置づけられ、活用が進めやすくなっており、企業や他自治体での取組など幅広く調査、検討を行っていきたい。

◯高木委員 平成25~26年に実施した市有施設の屋根貸しによる太陽光発電では、市営住宅の屋根を活用する太陽光発電は手を挙げた事業者がなかったと聞いている。近年、太陽光発電で米国などにおいて6割以上のシェアを持つPPAモデル事業が注目されている。売電事業者と需要者が直接売買契約を結び、需要者は特定の太陽光発電設備から再生可能エネルギーの指名買いをすることができることから、需要者は100%太陽光発電由来のエネルギーを使用していると称することができる仕組みである。このPPAモデル事業などについても民間事業者との共同で実施を検討すべきと考えるが、所見を尋ねる。

△環境局長 PPAモデル事業は、電力使用者から屋根等を借りて太陽光発電などを行う事業者と電力使用者との間で、発電した電力をその施設で使用する電力販売契約を結ぶものである。この事業は需要者にとって初期投資が不要で、自ら維持管理を実施する必要がないなどのメリットがあり、近年、このモデルによる太陽光発電の導入事例が国内でも見られるようになっていることは承知している。今後、市の資産を活用して再生可能エネルギーの利用を増やしていく上で有効な手法であると考えられることから、施設の利用状況や費用対効果などを踏まえて検討を進めていきたい。

◯高木委員 福岡市電力の調達に係る環境配慮方針では、本市の一般競争入札による電力を調達する際に電源構成などを考慮した環境配慮型になっているが、その内容を示されたい。

△環境局長 同方針は、市が行う電力調達契約の一般競争入札の実施に際し、環境に配慮した契約を締結し、環境負荷の低減を図ることを目的とするものである。その内容は、小売電気事業者の二酸化炭素排出係数、再生可能エネルギーの導入状況などについて評価を行い、一定以上の評価を得た事業者に対して入札参加資格を付与するものである。

◯高木委員 本市に対して使用電力の100%再生可能エネルギーによる調達が可能な事業者は何社くらいあるのか。本市の温室効果ガス排出量は電気に由来していることが大きいため、市民や民間事業者に本気度を示すためにも本市使用電力の100%再生可能エネルギーの調達を今後検討すべきと考えるが、所見を尋ねる。

△環境局長 まず、100%再生可能エネルギー対応メニューを販売している小売電気事業者は、環境省の電力専門委員会の資料によると、全国で30者程度あるとされている。次に、市有施設での再生可能エネルギーの利用促進については、その具体的な手法として、市有施設に設置した再生可能エネルギー設備による発電電力を使用する自家消費や、再生可能エネルギー由来電力の購入などの方法があることから、市地球温暖化対策実行計画の改定において、進め方や最適な手法について検討を行っていきたい。

◯高木委員 2050年までに年間消費電力50ギガワットアワー以上の企業などが、自らの電力の100%再生可能エネルギーを目指す国際的枠組みのRE100が注目されている。また、日本独自の取組で、それに満たない企業、団体が参加できる受皿として再エネ100宣言 RE Actionが2019年10月から開始されている。対象は年間消費電力50ギガワットアワー未満の企業、自治体、医療、教育機関などで、2050年までに事業用電力を100%再エネにすることを目標にしている。参加は昨年12月時点で民間企業、大学などのほか、自治体では神奈川県、さいたま市、加賀市、久慈市など108団体が参加している。また、省庁、都道府県、政令市が対象となる再エネ100宣言 RE Actionの活動のPRなどを行うアンバサダーとして、環境省など3省庁、神奈川県など4県、政令市ではさいたま市など6市が参加している。さらに、自治体独自に東京都庁舎版RE100、せたがや版RE100などの取組も始まっている。本市としてはRE100や再エネ100宣言 RE Actionという2050年を目標とした取組よりもさらに10年早い2040年という目標を掲げており、さらなる取組強化を要望しておく。本市は大都市としての特性を生かした都市型再生可能エネルギーの活用が必要である。太陽光発電をぜひ目標を定めて拡大してほしいが、大規模メガソーラーを新規に多数設置するのは課題もあると思う。その他、小水力、バイオマス、風力などの活用拡大を推進し、模索し続けることが重要と考える。横浜市は2019年2月から青森、岩手、福島3県12市町村と連携協定を締結し、これらの市町村で発電した再生可能エネルギーを700キロメートル以上も離れた同市が利用する仕組みをつくった。また、東京都世田谷区でも、群馬県川場村の木質バイオマス、青森県弘前市の太陽光、長野県の水力、区内の卒FIT電力を活用するとともに、これらの自治体のほかに岩手県八幡平市、新潟県十日町市、福島県郡山市などを加えた自治体間ネットワーク会議を立ち上げ、再生可能エネルギーの調達の拡充を図っている。本市は大都市であるがゆえに、再生可能エネルギーの発電が盛んである九州内自治体などとのネットワーク会議の立ち上げによる情報収集や調達を行う仕組みづくりを検討すべきと考えるが、所見を尋ねる。

△環境局長 他の地域との連携による温室効果ガス削減の取組については、国においてそれぞれの地域がその特性に応じた資源を生かし、自立・分散型の社会を形成しつつ、近隣地域などと補完し、支え合うことにより地域の活力が発揮される地域循環共生圏が掲げられている。本市においても、この考え方や他都市での取組も参考に市地球温暖化対策実行計画の改定において検討していきたい。

◯高木委員 東京都における条例による温室効果ガス排出量削減義務化やキャップアンドトレードと言われる排出量取引制度の導入なども視野に入れることが重要と考える。再生可能エネルギー電力調達の観点を踏まえ、本市の2040ゼロカーボンシティの実現へ市長の決意を尋ねる。

△市長 本市においては、気象災害など気候変動が及ぼす安全、安心への懸念から、世界が目指すカーボンニュートラルに積極的に参画するため、2040年度を目指したチャレンジを行っている。その実現には人口や事業所が多く、エネルギーの消費地である本市の特性を踏まえ、再生可能エネルギー発電設備の拡大だけではなく、電気の使用に関しても需要を喚起し、国の再生可能エネルギー主力電源化の方針を積極的に後押ししていくことが重要である。委員指摘のとおり、市が率先して取り組み、先進的な企業、団体とともにその動きを広げていくことは再生可能エネルギーの大きな需要を生み出し、新たな投資につながっていくものと考えている。今後とも、持続可能な都市の成長を目指し、市民、事業者と連携しながら、脱炭素社会の実現にしっかりと取り組んでいく。

◯高木委員 次に、非接触を踏まえた市民サービスの向上の観点から、ICTやオンラインの活用と書かない窓口についてである。今回の新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、現在も多くの病院や施設等では入所者との面会が制限されている。昨年10月、堺市の新型コロナ対策としての高齢者、障がい者、子どもの施設入所者と家族等とのデジタル面会、会話の支援について聞いてきた。市内91か所の介護施設、障がい者支援施設、児童養護施設のうち、タブレット端末の貸出しを希望する施設に市が2台ずつ貸し出し、入所者は居室等、家族は面会室や自宅等でビデオ通話アプリ、LINEやスカイプを活用して面会、会話をする仕組みである。同市はコロナのため家族との面会禁止の状況となり、会話する機会の減少、寂しさ、不安やストレスなど心身両面での負担の増大、行動意欲の低下、高齢者の認知症の進行などが懸念されることから、しゃべる機会の確保が必要と判断した。利用した人の声として、最初は全く興味を示さない入所者も自分の家族の顔や声を見聞きし、にこやかな表情や安堵する態度が見られた、施設側としても家族と顔を見て話せたことで入所者の態度が一変した、入所者が喜ぶ姿を見て職員のモチベーションにつながったなど効果が大きかったそうである。本市でもオンライン面会を希望する施設や市民病院、こども病院などにはタブレット等の貸出しを検討してはと考えるが、所見を尋ねる。

△保健福祉局長 医療施設や介護施設等における面会については、感染症の拡大防止等のためオンライン面会などを含め、各施設において様々な対応がなされているところである。こども病院においては、原則として保護者の付添いを認めているが、付添いができない重症患者などが入院する病棟においては、病院が準備したスマートフォンを活用してオンライン面会を実施している。また、市民病院においては、特別な理由がある場合は医師の許可の下、面会を認めており、現在オンライン面会の実施についても検討を行っている。

◯高木委員 現在、本市では国民健康保険被保険者のうち、40~74歳の人に内臓脂肪型肥満、高血圧、高血糖、脂質異常などメタボリックシンドロームに着目した特定健診を実施し、生活習慣病の改善等が必要な人にリスクの程度に応じた生活習慣病の発症と重症化予防を目的とする特定保健指導を実施している。そこで、特定保健指導を実施する必要がある人はどのような程度の人で何人いるのか、その実施率と所見を尋ねる。

△保健福祉局長 特定健診の結果から、腹囲、肥満の基準に加え、血圧、脂質、血糖、喫煙のリスク数に応じて実施している。令和元年度については対象者が6,095人で、そのうち終了者が1,917人、実施率は31.5%である。特定保健指導の実施により生活習慣病の発症や重症化の予防を図ることは重要であることから、今後とも実施率の向上に取り組んでいく。

◯高木委員 静岡市は政令市で初めて特定保健指導が必要とされた人にオンラインで保健指導を受けられるようにした。非接触や利用者と職員の負担軽減のためにも本市でもこのようなオンライン指導を検討すべきと考えるが、所見を尋ねる。

△保健福祉局長 国において、ビデオ通話が可能な情報通信技術の活用が促進されているところである。本市においても、対象者の利便性の向上や実施機関の負担軽減の観点から、スマートフォン等を利用したオンラインによる特定保健指導の実施について、他都市の状況等を注視しながら検討を進めていく。

◯高木委員 コロナ禍においては、オンライン診療や服薬指導も実施されているほか、本市では令和3年度に妊産婦へのオンライン保健指導も実施されるが、窓口において対面で行われる手続などについては、コロナ禍における非接触や3密回避のため、希望する人にはできるだけオンラインでの面談も拡大してはと考えるが、所見を尋ねる。

△総務企画局長 公民館などの市民の身近な場所等にビデオ通話が可能な機器を設置することで、市民が区役所等に出かけることなく、遠隔での手続や相談を可能とする実証実験を令和3年度に行うこととしている。今後、実証実験の結果や費用対効果などを踏まえ、拡大等を検討していく。

◯高木委員 総務企画局の令和3年度予算では、DXの推進として9,072万円、また、RPA活用推進として2,119万円が計上されている。行政手続や市民サービスのデジタル化、オンライン化などのDXを積極的に推進し、コロナ禍に対応するとともに、市民の利便性向上と事務の効率化を図る目的である。これにより市民が区役所に行かなくてもよい仕組みづくりや、新電子申請システムではスマホからでも見やすく操作しやすい機能を持たせること、手続数の拡充、電子決済機能の拡充、RPAの活用による業務システムの連携、自動化で事務の効率化を図ることなどが進められる。現在どの程度オンライン手続が可能なのか、具体的な説明を求める。

△総務企画局長 令和2年11月末時点で、年間総処理件数の約78.6%の行政手続についてオンライン申請等が可能となっている。なお、令和2年度においては高齢者乗車券の申請や休業、時短要請への協力店舗等への家賃支援の申請などをオンライン化している。

◯高木委員 従来は申請者が区役所などで申請書をその都度手書きし、職員が入力して証明書を作成、印刷するという流れであったが、RPAを活用することでデータ入力が自動化され、事務作業の短縮につながる。さらに、AI-OCR文字読み取り技術で紙から正確に情報を読み取る機能も導入されている。RPAと文字読み取り装置AI-OCRの活用の現状と効果、今後の導入拡充について所見を尋ねる。

△総務企画局長 令和元年度はRPAを17業務に、AI-OCRを32業務にそれぞれ導入しており、合計で年間約4,200時間に相当する業務の自動化が図られる見込みである。2年度はRPAを9業務、AI-OCRを38業務へ導入するよう進めている。今後の導入については、対象業務をさらに拡充するとともに、それらも活用しながらシステムの自動連携によるデジタル完結の仕組みの構築を図っていく。こうした取組により行政における業務の効率性や生産性の向上を着実に推進していく。

◯高木委員 本市は電子申請システムを2004年度から導入し、税務証明や公文書公開請求など49項目の申請が可能であるとのことである。令和3年度は新電子申請システムなどを活用して法令で定められたものを除き9割をオンライン可能にすると聞いたが、同システムについて具体的に説明を求める。今後は、本市が証明書等を発行する際に申請者は署名が必要な場合は電子署名した上でオンライン申請し、本市から申請者に郵送すれば来庁不要となることが実現すると思うが、そのような流れになるのか。

△総務企画局長 同システムについては、申請画面の視認性や操作性の改善、決済機能の追加など、市民の利便性向上を図るため刷新することとしており、令和3年度は市民の利用が特に多い住民票の写しや納税証明書等の交付申請の手続をスタートに、4月から順次オンラインによる申請等を拡充していく。委員指摘のとおり、電子署名により書面での申請が不要となり、市から申請者に証明書等を郵送することで市民が区役所等に来庁せずに行政手続が可能となる。

◯高木委員 さらに、これまでの電子申請システムでは、スマホからの申請では操作が不便だったこともあり、新電子申請システムではスマホで行政手続が行いやすいようなユーザーインターフェースを導入するとされている。区役所での申請が年間220万件という神戸市でも2021年度中にスマホで作成できる支援システムを構築する。申請書にスマホでアクセス、入力し、区役所窓口で印刷して、本人が確認し署名すれば完了するという流れで70種類の申請書に対応でき、今後さらに拡大される。本市でもスマホ申請の拡大を図ってほしいと考えるが、具体的な検討状況を示されたい。

△総務企画局長 スマートフォン申請の拡大については、新たな電子申請システムを構築する中で、民間人材のDXデザイナーからも多くの意見やアイデアをいただきながら、スマートフォンでも見やすくシンプルで入力しやすい画面のデザインなどについて鋭意検討を行っている。

◯高木委員 スマホ申請が市民に使いやすいサービスになるように検討されているとのことであるが、多くの市民に利用してもらうことが重要だと考える。そのために、まず、より多くの人に一度使っていただいて、その利便性を実感してもらうことが効果的ではないかと考える。このため、例えば国のマイナンバーカードの普及促進などを目的としたマイナポイント事業では、最大5,000円分のポイントが付与されているが、今回のスマホ申請でも4月のサービス開始時から利用者に対する何らかのインセンティブがあれば一度使ってもらうよいきっかけになるのではないかと思う。これからサービスの開始に合わせた大がかりなキャンペーンを検討するのはなかなか難しいことかもしれないが、何とか知恵を絞れないかと思う。そこで、例えば市民の郵送料の負担を軽減するなどの対応ができないかと考えるが、今回の新電子申請システムを活用したスマホ申請の利用促進策について所見を尋ねる。

△総務企画局長 委員指摘のとおり、多くの市民に利用してもらうため、サービス開始当初から利用促進策を講じることは大変重要であると認識しており、郵送料の負担軽減などについて速やかに検討していく。

◯高木委員 新年度には公民館でWi-Fiが整備され、それに合わせて各種申請等のサポートを行う事業も実施されるため、スマホ操作に不慣れな人でも申請しやすくなる取組は期待されるところである。一方では、スマホを持たない人や操作が苦手な人に対する支援も必要である。埼玉県深谷市では、2020年7月から住民票、印鑑証明書、税証明などの申請書を市民が記入せずに申請できる書かない窓口の取組が始まっている。身分証明書を出すと職員が住所、生年月日などの情報を確認し、パソコン入力後に申請者は誤りがなければ署名するだけでオーケーである。この書かない窓口については他都市でも導入が始まっている。本市ではご遺族サポート窓口や引っ越し手続のオンライン予約サービス、中央区役所に設置されているマイナンバーカードを活用した申請書自動作成機、証明書自動交付機などで書かない窓口と同じような役割を担っていると認識している。この申請書自動作成機、証明書自動交付機は中央区をモデル区とした取組であるが、全区への設置を検討すべきと考えるがどうか。

△市民局長 全区への設置については、モデル的に設置している中央区役所での利用状況やコンビニエンスストア等での証明書の取得状況などを検証し、検討していく。

◯高木委員 本市でもユニバーサルデザインの観点から申請書の記入自体が困難な高齢者やスマホ操作が苦手な人、持たない人にも配慮し、申請書を書かなくてよいという書かない窓口の設置検討や将来的には申請書そのものを置いていない窓口の実現についても検討してはと考えるが、所見を尋ねる。

△市民局長 申請書の記入が困難な人などへの配慮については、区役所では記載コーナーや窓口において職員が代筆するなどの対応を行っている。また、引っ越し手続のオンライン予約サービスでは、コールセンターにおいてスマートフォン等の操作の苦手な人などの代行入力も行っており、その情報を基に記載済みの申請書を事前に準備することで、窓口での記入を署名などの最小限のものとしている。引き続き、ICTを活用した市民の利便性向上を図るとともに、書かない窓口などの他都市の取組状況も参考としながら、高齢者などに対してぬくもりのある窓口サービスの充実を検討していく。

◯高木委員 次に、キャッシュレス化の推進についてである。財政局の令和3年度重要施策では、歳入の根幹である市税収入を確保するため、納期内納付の促進や納税環境の整備、滞納整理の強化などに計画的かつ積極的に取り組み、納税環境の整備としてキャッシュレス決済の利用促進など納税者の利便性向上を図るとされている。また、現在策定中の次期行政運営プランの原案でも、行政手続のデジタル化、オンライン化、公共施設におけるキャッシュレス決済が利用できる窓口、施設の拡大と複数キャッシュレス手段の拡大を掲げている。まずはキャッシュレス決済にはどのような種類があり、キャッシュレス決済の利用の割合、いわゆる決済比率はどうなのか尋ねる。

△総務企画局長 主なキャッシュレス決済の種類については、国の資料によるとクレジットカード、デビットカード、交通系ICカードなどの電子マネー、QRコードなどのスマートフォンでの決済があり、令和元年のキャッシュレス決済比率は26.8%となっている。

◯高木委員 本市は2018年6月から全国の自治体の中でもいち早く公共施設と併せ、民間施設においてもキャッシュレス決済事業者と共同で実証実験を重ねるなど、キャッシュレス先進都市として取り組み、福岡名物の屋台、飲食店、ドラッグストア、商店街の店舗やタクシーなどに掲げられているQRコード決済の表示を多く目にするようになった。さらに、福岡を訪れる訪日外国人は1位が韓国、2位が中国であり、もともとキャッシュレス決済利用が大変進んでいる国であることから、外国人観光客の利便性の向上に寄与するものである。こうした取組による本市の公共施設及び民間施設のキャッシュレス化の進捗状況について尋ねる。

△総務企画局長 本市の公共施設におけるキャッシュレス決済の進捗については、QRコード決済について平成30年度に実証実験を行った上で平成31年4月から導入している。現在27窓口、42施設において利用可能となっており、市民の利便性の向上が図られている。

△経済観光文化局長 本市の民間施設におけるキャッシュレス化の進捗状況については、令和元年10月~2年6月に実施された国のキャッシュレス・消費者還元事業によると、本市内の登録店舗数は全国市区町村で第5位、小売店や飲食店の5割以上が参加するなど政令市の中でも先進都市として普及が進んでいる。

◯高木委員 本市の市税ではペイペイやLINEペイを用いたキャッシュレス決済が可能となっており、また、口座振替のインターネット申込みサービスやクレジットカードによる納付など積極的にキャッシュレスに取り組んでいる。市民が利用することが多い軽自動車税、個人市県民税普通徴収、固定資産税、都市計画税について導入しているキャッシュレス決済の種類とその納付件数について尋ねる。また、キャッシュレス決済は5年前と比較してどの程度増えているのか。

△財政局長 軽自動車税等に係るキャッシュレス決済の種類とその納付件数については、令和元年度の実績で、全納付件数約296万4,000件のうち、口座振替が約118万9,000件、クレジットカードが約5万1,000件、スマートフォンでのバーコード決済が約1万2,000件、合計で約125万2,000件となっており、42.2%を占めている。また、5年前との比較であるが、キャッシュレス決済による納付件数は約8万件増加し、全件数に占める割合も4.5ポイントの増加となっている。

◯高木委員 各窓口、施設においてQRコード決済サービスで支払える手数料等についても拡充されている。2022年4月にLINEペイと国内最大級のペイペイが統合するとの報道もあり、QRコード決済はますます利用者の増加が見込まれる。そこで、各区役所の市民課窓口でQRコード決済ができる各種証明書等にはどのようなものがあるのか、また、課税課窓口のものはどのようなものがあるのか。

△総務企画局長 住民票の写しや印鑑証明書など市民課の交付する全ての証明書の交付手数料の支払いに、また、納税証明書や所得証明書など課税課の交付する全ての証明書の交付手数料の支払いにそれぞれQRコード決済が利用可能となっている。

◯高木委員 さらには、市の施設における利用料、入園料、市営渡船などでもQRコード決済が拡充されているが、概要を説明されたい。

△総務企画局長 例えば背振少年自然の家の施設利用料や動植物園の入園料、市美術館などの観覧料、市営渡船の運賃の支払いにQRコード決済が利用可能となっている。

◯高木委員 水道局では、現在インターネットでの水道料金の確認をはじめ、口座振替やクレジットカード継続払いの申込み、水道の使用開始、中止の申込みなどを24時間ウェブサイトで受け付けるサービスを実施しており、令和3年度から開始される第2次福岡市水道中期経営計画では、ICTを活用したさらなるお客様サービスの向上に取り組むとされている。印刷、郵送経費、データ入力などの事務量削減を図るとともに、新たな決済方法の追加などにより利用者サービスの向上が期待される。口座振替やクレジットカード継続払いの申込みが24時間可能であるということはキャッシュレスの推進に大きな効果があると考えるが、これらの取組と併せて他都市では水道料金や下水道使用料についてのスマホでのバーコード決済も可能となっており、本市でも検討してはと考えるが、所見を尋ねる。

△水道事業管理者 水道料金及び下水道使用料については、合わせて収納しており、現在その支払い方法には口座振替、クレジットカード継続払い、納付書払いの3通りがある。このうち、口座振替及びクレジットカード継続払いは、納付書払いと比較して初回の手続だけで以後の支払行為が不要となることや、徴収コストが安く、納期内収納率がいずれも95%以上と高いことなどから、利用者拡大に向けて推奨している。一方で、納期内収納率が約73%である納付書払いについては、スマートフォンによるバーコード決済が可能となればコンビニや銀行に行く手間が省けるなど、お客様にとってより便利になり、納期内収納率の向上が期待できると考えている。今後の取組に当たっては、料金系システムに新たな機能を追加する必要があるため、令和2年度から取り組んでいるシステム刷新に合わせて導入を進めていく。

◯高木委員 次に、本市地下鉄におけるキャッシュレス対応についてであるが、本市地下鉄では平成21年3月からICカードはやかけんを導入し、25年3月からは全国の交通系ICカードとの相互利用サービスを開始している。このため、全国から福岡を訪れる来街者は日常利用している交通系ICカードで本市地下鉄の利用が可能であり、一定のキャッシュレス対応が図られているものと考える。一方、QRコード決済といったスマホでの決済を主要な決済手段として用いている韓国や中国など、海外からのインバウンド客に対するさらなるキャッシュレス決済の導入が重要になっていると考える。そこで、本市地下鉄におけるスマホでのQR決済などキャッシュレス決済の導入状況を尋ねる。

△交通事業管理者 天神や博多など6か所の駅に設置しているお客様サービスセンターにおいて、平成19年度からクレジットカード決済を、令和元年度からはQRコード決済を導入しており、定期券のほか1日乗車券、団体乗車券、その他企画乗車券などをキャッシュレスで購入できるようになっている。

◯高木委員 先日、大阪メトロやJR西日本において、訪日外国人の利用の多い7つの駅の券売機でアリペイやウィーチャットペイのQRコード決済により普通乗車券の購入が可能になったと聞いた。また、JR東日本が発行するスイカやその他首都圏の交通機関で利用されているパスモではスマホ上で乗車券を購入、決済でき、そのままスマホを改札機にかざして改札を通過できるモバイルスイカ、モバイルパスモの運用も始まっている。そこで、本市地下鉄においても七隈線延伸区間の開業を契機に、インバウンド客の受入れ環境整備の一環としてQRコード決済といったスマホでの決済の拡充やモバイルはやかけんの導入を図ってはどうかと考えるが、所見を尋ねる。

△交通事業管理者 委員指摘のとおり、インバウンド客の受入れ環境整備の一環として、スマートフォン決済などのキャッシュレス決済の拡充やモバイルスイカのような乗車券の電子化を図ることは大変重要であると認識している。このため、令和2年度から試行的に都心部エリアで乗り降りが自由となる企画乗車券を設定し、スマートフォンのアプリ機能を活用して、乗車券の電子化を図る手法やクレジットカードに搭載されているタッチ決済機能により改札を通過できる手法について、順次実証実験として取り組んでいるほか、ファミちかきっぷなどの一部の企画乗車券について、インターネット上で購入できる手法の導入を進めている。今後、こうした取組の結果や他の鉄道事業者の取組状況などを踏まえ、費用対効果も考慮しながら、スマートフォン決済などのさらなる拡充について検討していきたい。

◯高木委員 学校給食費、留守家庭子ども会利用料、介護保険料、市営住宅使用料、霊園管理料などスマホによる決済なども含め、キャッシュレス化を図ってほしいと考えるが、導入の検討について尋ねる。

△総務企画局長 学校給食費、留守家庭子ども会利用料などは現在広く口座振替が利用されているが、市税のようにスマートフォンでのキャッシュレス決済による支払も可能となれば、さらなる市民の利便性の向上につながると考える。一方で、その実現のためには市のシステム改修などが必要となることから費用対効果の観点なども踏まえ、関係各局と連携し検討していく。

◯高木委員 2020年9月28日、本市は全国の自治体のトップを切って、国や県の法令で義務づけられているものを除き、市民が本市に提出する全ての書類のハンコレスを完了したと大きく報道された。次は、コロナ禍を踏まえた非接触、収納率向上、納期内納付などを推進するためにも、本市はキャッシュレスへの切替えが可能なものは全て完了と一日も早く発表してもらいたいと考える。また、ICTやオンラインの活用は、個人情報管理やセキュリティーの強化に万全を期すことは当然のことであるが、区役所窓口の待ち時間の短縮、できるだけ窓口に行かなくてもよい、申請書を書かなくてもよいという仕組みづくりは多くの市民が期待するところだと思う。ICTの活用推進によりコロナ禍による非接触を踏まえた市民サービスの向上や行政の効率化を図り、可能な限り全ての行政手続のオンライン化を目指してもらいたいと思うが、市長の所見を尋ねて質疑を終わる。

△市長 委員指摘のとおり、ICTの活用による非接触などの取組を進めることは市民サービスの向上と業務の効率化を図る観点からも重要であると認識しており、感染症に強いまちづくりを進めていく上でも有効であると考える。行政手続のオンライン化については、法令等によりオンライン化できない手続を除いて、可能な限りオンライン化を進め、令和4年度末までに年間総処理件数の90%以上の行政手続についてオンラインによる申請が可能となるよう取り組んでいる。また、キャッシュレス決済については、3年度に本市の公共施設において利用できるQRコード決済の種類を拡大するとともに、新たにクレジットカード決済も導入するなど取組を推進していく。今後とも、来庁の必要がないノンストップ行政の実現に向けて、市民の利便性の向上に加え、業務の効率化、生産性を高め、それによって生じた人的な資源を福祉など人のぬくもりが必要な分野へ再配置するなど、これからの時代にふさわしい行政サービスの提供を積極的に進めていく。

 

議員紹介

  1. つつみ 健太郎

    西 区

    つつみ 健太郎
  2. たばる 香代子

    中央区

    たばる 香代子
  3. たのかしら 知行

    博多区

    たのかしら 知行
  4. 石本 優子

    早良区

    石本 優子
  5. かつやま 信吾

    東 区

    かつやま 信吾
  6. 古川 きよふみ

    博多区

    古川 きよふみ
  7. 高木 勝利

    早良区

    高木 勝利
  8. しのはら 達也

    城南区

    しのはら 達也
  9. 尾花 康広

    東 区

    尾花 康広
  10. 松野 たかし

    南 区

    松野 たかし
  11. 山口 つよし

    東 区

    山口 つよし
  12. 大石 しゅうじ

    南 区

    大石 しゅうじ
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