◯黒子委員 公明党福岡市議団を代表して、令和元年度の決算概要に少しだけ触れて、PFI及び指定管理者制度の事業者選定について、ユニバーサルデザインタクシーの導入促進について、学校給食の食材について質問する。令和元年度決算を見ると、新型コロナウイルス感染症の影響はほとんどなく、一般会計は約93億円、特別会計は約38億円の黒字となっている。財政状況を客観的に判断する指標である健全化判断比率を見ても、実質公債費比率は10.2%、将来負担比率は112.3%と、いずれも前年度より改善している。しかしながら、議会に提出された資料を見てみると、経常収支比率は92.9%となっており、前年度の91.9%より1ポイント悪化している。そこで、経常収支比率とはどのような指標か尋ねる。
△財政局長 財政構造の弾力性を示す指標であり、人件費、公債費、扶助費などの経常的な経費に充当された一般財源の金額が、市税や地方交付税などの経常一般財源等に占める割合で算出する。比率が高いほど財源に余裕はなく、財政構造が硬直的であることを示している。
◯黒子委員 令和元年度決算で悪化した要因を尋ねる。
△財政局長 義務的経費である扶助費に要する一般財源の増加などにより、前年度より悪化したものである。
◯黒子委員 今後は、新型コロナウイルス感染症の影響により市税収入が減少するとともに、扶助費のさらなる増加が見込まれることから、経常収支比率がさらに悪化し、財政構造が硬直していくと懸念される。これから令和3年度の予算編成を行っていくが、新型コロナウイルスの影響もあり、税収の大幅な減少が見込まれる中、感染拡大防止を徹底しつつ、落ち込んだ地域経済を再生させていかなければならない。予算編成に対する考え方を尋ねる。
△財政局長 令和3年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、市税等が大幅に減収する見込みであることや、社会保障関係費のさらなる増加が見込まれることから、非常に厳しい財政収支となる見通しである。令和3年度予算編成においては、持続可能な財政運営の視点を念頭に置きながら、新型コロナウイルスの感染拡大防止と社会経済活動の維持の両立に向け、徹底した事業の選択と集中や、より一層の歳入の確保などに積極的に取り組んでいく。
◯黒子委員 事業の選択と集中はもとより、様々な事業を実施する場合でも、PFIや指定管理者制度を活用するなど、民間の資金やノウハウ、知恵を活用しながら、効率的に事業を実施していく必要がある。このような視点に立って、PFI及び指定管理者制度の事業者選定について質問していく。本市は、平成24年度に官民協働事業への取組方針を定め、財政負担の軽減、平準化を図りつつ、市民に対し良好なサービスの提供を実現するため、科学館、総合体育館の整備や美術館のリニューアルなど、全国の自治体に先駆けてPFIを活用しながら実施してきた。そこで、PFIを活用した事業の取組方針を定めた平成24年度~令和元年度の実績を尋ねる。
△財政局長 平成24年度は1件、26年度は3件、27年度は5件、30年度は3件、令和元年度は1件の合計13件である。
◯黒子委員 13件の入札状況を尋ねる。
△財政局長 13件中7件は複数から、6件は1社からの入札となった。
◯黒子委員 昨年度実施した拠点文化施設整備事業及び須崎公園再整備事業の入札方式と応募者数を尋ねる。
△経済観光文化局長 入札方式については、総合評価一般競争入札で行っている。また、応募者数については、3グループから入札参加表明があっている。
◯黒子委員 落札業者の総合評価点の結果について尋ねる。
△経済観光文化局長 性能評価点が850点満点中504.06点、価格評価点が150点満点中150点、総合評価点が1,000点満点中654.06点である。
◯黒子委員 性能評価点は得点率59.3%、価格評価点は得点率100%、総合評価点は得点率65.4%となるが、この点数の評価を尋ねる。
△経済観光文化局長 事業者検討委員会の審査による性能評価点と、市の審査による価格評価点の合計点数である。性能評価点を評価した学識経験者等で構成する事業者検討委員会からは、本事業の目的や特性を十分に理解し、本事業に対する意気込みを強く感じるもので、高く評価しているとの総評を得ており、適正な評価と考えている。
◯黒子委員 学生時代の成績評価は優、良、可、不可だった。60点未満は不可で単位がもらえない。落第である。60点以上取ると可、70点以上だと良、80点以上だと優である。総合評価点が654.06点、得点率65.4%、優、良、可、不可で判定すると可となる。性能評価点の得点率59.3%は6割を切っていて不可、落第である。それでも、先ほどの局長の答弁では、高く評価しているとのことだった。それでは、事業者選定、落札者決定までの流れを尋ねる。
△経済観光文化局長 平成31年4月1日に入札公告を行い、その後、令和元年6月5日に入札参加表明及び入札参加資格書類を受け付け、8月7日に入札参加資格確認通知を送付、9月4日に提案審査書類を受け付け、令和2年1月27日の入札参加者によるプレゼンテーションを経て、翌28日に落札者の決定を行った。
◯黒子委員 参加条件を満たした事業体は何グループだったか。
△経済観光文化局長 入札参加表明が3グループからあったが、入札参加資格確認通知の前までに1グループから辞退の申出があったことから、残り2グループについて参加資格を有していることを確認している。
◯黒子委員 令和元年9月4日に、提案審査書類の受付を行っているが、この時点で提案審査書類を受け付けた事業体は何グループだったか。また、提案書類を受け付けた後の提案審査はどのように進められたのか尋ねる。
△経済観光文化局長 提案審査書類の提出までに入札参加資格を有する2グループのうち、1グループから辞退の申出があったことから、残る1グループから提案審査書類が提出されている。また、提案審査の進め方については、市において入札価格の確認の後に基礎審査を行い、事業者検討委員会による性能審査を経て、市による価格審査を行った後に、性能評価点と価格評価点を合算して総合評価点を算定している。
◯黒子委員 提案審査において最初に行う入札価格の確認と基礎審査について、どのようなことが行われるのか具体的に尋ねる。
△財政局長 入札価格の確認については、入札価格が予定価格の範囲内であることを確認するものである。基礎審査については、市が事業者に求める最低限満たさなければならないサービス水準、いわゆる要求水準に達していることを、提案書を基に市が確認するものである。
◯黒子委員 価格評価点の算定式、入札予定価格と落札価格、落札率を尋ねる。
△経済観光文化局長 価格評価点の算定式については、提案のうち最も低い入札価格を当該入札参加者の入札価格で割り戻し、150点を乗じたものである。また、入札予定価格と落札金額、落札率については、いずれも税抜価格で入札予定価格が約209億7,500万円、落札金額が約208億7,100万円、落札率が99.5%である。
◯黒子委員 1グループしか入札参加者がない場合、必ず満点になるのではないか。
△経済観光文化局長 そのとおりである。
◯黒子委員 本算定式は1グループの入札を想定していないということである。複数の事業者が入札参加することで成り立つ算定式である。それでは、今回のように1グループの入札で基礎審査まで通過したグループの性能評価点が仮に0点だった場合、このグループは落札者になるのか。
△財政局長 1グループの入札の場合には、仮に性能審査における加点が0点であっても、基礎審査を通過しているため、落札者となる。
◯黒子委員 納得いかない。入札が1グループで基礎審査を通過していれば、総合評価点が0点でも落札者になる。何のために性能評価をするのか分からない。落札できるかできないかを左右するのは基礎審査ということになる。提案審査があって、入札価格の確認、基礎審査、性能審査を行っていくが、基礎審査で及第点になる。基礎審査が非常に重要になってくるが、誰が行っているのか尋ねる。
△財政局長 事業者検討委員会の事務局である事業の所管課が行った上で、事業者検討委員会にその結果を報告している。
◯黒子委員 事業者検討委員会の事務局、いわゆる身内だけの審査になるのではないかと思う。客観性がない。本市がPFIガイドブックで定めているPFIの5原則の一つに、透明性の原則とある。特定事業の発案から終結に至る全過程を通じて透明性を確保することとある。1グループの入札の場合は、実質的に基礎審査だけで落札者が決まることになる。そうであれば、基礎審査の透明性を高めるべきであると思うが、所見を尋ねる。
△財政局長 第三者を含むメンバーで構成されている事業者検討委員会においては、性能審査に当たり、基礎審査で確認している要求水準をどの程度上回った提案がなされているかについて評価を行うこととなる。このため、実質的には基礎審査の内容も第三者によるチェックを経た上で落札者の決定が行われている。
◯黒子委員 基礎審査の状況が分かりにくいのは、様々な疑念を生むきっかけになるのではないかと思う。1グループの入札の場合は実質的に基礎審査だけで落札者が決定する。この基礎審査も、身内だけでやるのではなく、第三者である事業者検討委員会が行い、その過程や結果についても透明性を高めるべきであると指摘しておく。入札参加事業者も正当な評価を望んでいると思う。基礎審査をクリアしたということは、その時点で及第点である。優、良、可の評価で言えば、60点確保しているわけである。さらに性能評価点59.3%を合わせれば、間違いなく優判定である。入札参加事業者にとっても、市民にとっても、より分かりやすく、理解の得やすい評価結果の説明ができる制度にしていくべきだと思うが、所見を尋ねる。
△財政局長 これまでも改善を積み重ねながら取り組んできた。市民や事業者にとってより分かりやすいものとなるよう、事業者検討委員会による基礎審査の実施や、その結果及び評価点の表現方法の改善について検討していく。
◯黒子委員 次に、指定管理者制度について質問する。指定管理者制度が導入されてから15年以上が経過し、大きな岐路に直面していると言われている。まず、本市における指定管理者制度の目的とこれまでの成果について尋ねる。
△総務企画局長 民間ノウハウの発揮による市民サービスの向上と運営の効率化を目的として、令和2年4月現在、390の公の施設に導入している。制度の導入効果については、利用者ニーズをより反映した事業や開館時間の延長、開館日の拡大が行われるなど、市民サービスの向上と運営の効率化に寄与していると考えている。
◯黒子委員 制度の目的である市民サービスの向上のためには、サービスの提供者を民間事業者等から幅広く求める必要があり、より優れた提案を引き出せるよう、選定における競争性を確保することが重要であると考える。近年、指定管理者の応募者数が減少していることを懸念している。指定管理者の公募について、過去3年間における応募者数の状況を尋ねる。
△総務企画局長 平成29年度~令和元年度の3年間に公募した案件が46件あり、そのうち新規公募が10件、2回目以上の公募が36件ある。この36件のうち、前回と比較して応募者数が減少したものが20件である。
◯黒子委員 応募者数が減少している要因について、事業者からどのような意見が出ているか。
△総務企画局長 平成30年度に参画意欲のある事業者との意見交換を実施したところ、募集に関する情報が少ない、募集期間が短いといった公募方法に関する意見や、社会経済情勢を予測して応募しているが、予測を超えるコストアップは対応が困難など、管理運営のリスクなどに関する意見があった。
◯黒子委員 指定管理者制度における指定管理者のリスクとはどのようなことか。
△総務企画局長 複数年にわたる指定期間中に、事前にその影響を正確に想定できない不確実性のある事由により、指定管理者に損害等が発生する可能性のことである。
◯黒子委員 地方自治体と指定管理者との間において、詳細な内容を明確にするのが協定である。応募者が減少してきている原因の一つに、契約書に当たる協定に関する不明確さや曖昧さが指摘されている。リスク分担について、指定管理者との協定においては、どのように取り扱っているのか尋ねる。
△総務企画局長 基本協定書に添付するリスク分担表において、リスクの内容ごとに負担者を定めているが、このうち不確実性が高く、市と指定管理者の負担を前もって決定することが困難である事項は、市と指定管理者の両者協議によることとしている。
◯黒子委員 協議とは、法律的に言えばどのようなことを言うのか尋ねる。
△総務企画局長 法令等の明確な定義はないが、学陽書房の法令用語辞典によると、法令上用いられる場合は、協議をする者がお互いに自己の主張するところについて相手方の納得を得るまで十分に説明し、相互の意思を通じ合い、意見を交換した上で一定のことを行うことを前提として用いられることが多いとされている。
◯黒子委員 協議するということは、話し合うことだけが決められていて、契約の時点では何も決められていないということであり、事業者にとっては極めて曖昧に映るようである。ある意味、協議は、適切なリスク判断をしないままで、ぜひ参入してくださいと言っているのに等しいということになる。リスク分担を検討したとは言えず、事業者は参入するかしないか判断できないと思う。本市では、どの施設でもほぼ同じようなリスク分担表を使用しているようだが、各施設ではどのようにしてリスク分担表を作成しているのか尋ねる。
△総務企画局長 総務企画局で策定した指定管理者の指定の手続に関するガイドラインにおいて、リスク分担標準例を示しており、これを参考に各施設の特性に応じ作成することとしている。なお、同ガイドラインには、指定管理者にその責任を超える過度のリスクを負担させることのないよう、あらかじめ市と指定管理者がそれぞれ担うべき責任とリスク等について、可能な限り明確化しておく必要がある旨記載している。
◯黒子委員 一つでも両者協議の項目を減らしていってもらいたい。本市では、管理運営業務の変更、中止等のリスクに関して、自然災害に基づくものについては、両者協議としている。神戸市のある施設では、市と指定管理者の双方の責めに帰すべき理由がない場合において、単に本市のように両者協議と記すのではなく、事業継続、変更計画の提出の責任、その承認や解除権がどちらにあるかなど、協議の手順に当たる事項まで一歩踏み込んでリスク分担表を分かりやすくしている。本市においても、参入を検討する事業者にとって分かりやすいものとなるよう、リスク分担表の項目をより明確化する必要があると考えるが、所見を尋ねる。
△総務企画局長 可能な限り明確化を図りながら、指定管理者の負担に配慮して協議事項を設定してきたが、他都市の事例などを踏まえ、より分かりやすいものとなるよう努めていく。
◯黒子委員 さきの台風第10号は、新たな課題を浮き彫りにした。多くの人が避難所に殺到し、各地で定員超えが発生し、新型コロナウイルス対策で収容定員を減らしていた各自治体は、避難所を増設している。公の施設と指定管理者との関係は平時を基本としており、災害時など危機のときにいかなる関係として位置づけるかは、大変重要な課題になっていくと思う。重ねて、新型コロナウイルスの影響は、災害時における公の施設の在り方を根本から問い直していると思う。本市の指定管理者の指定の手続に関するガイドラインは平成27年1月の策定であり、社会経済情勢の変化を反映できていないのではないか。大規模災害やコロナ禍の影響を踏まえ、早急にガイドラインの見直しに取り組むべきと考えるが、所見を尋ねる。
△総務企画局長 社会経済情勢の変化を十分に踏まえ、ガイドラインの見直しや施設所管課に向けた通知の発出、研修の開催など、最適な手法により改善を図っていく。
◯黒子委員 PFI事業と指定管理者制度の事業者選定については、幅広く公募を行うとともに、選定過程や手続の透明性、公平性を高められたい。この質問の最後に市長の見解を尋ねる。
△市長 民間のノウハウを活用して財政負担の軽減と平準化を図りながら、良質な公共サービスを供給していくために有効な方策であると考えている。これらの手法を活用していく上で、事業者参画の促進や選定過程をより分かりやすくすることは非常に重要であり、今後とも事業者が安心して参画できるような事業の環境を整えるとともに、市民に分かりやすい事業者の選定となるよう不断の改善を図りながら、PFI手法や指定管理者制度を活用していく。
◯黒子委員 ユニバーサルデザインタクシーの導入促進について尋ねる。本市は、みんながやさしい、みんなにやさしいユニバーサル都市・福岡をまちづくりの目標像として掲げ、市政の柱の一つとして推進している。公共交通については、高齢者や障がいがある人をはじめ、誰もが安全で安心に移動できる交通環境づくりを進めるために、鉄道駅のバリアフリー化、ノンステップバスの導入促進などに取り組んできている。一方、タクシーについては、ユニバーサルデザインタクシー、UDタクシーの普及を目指して、令和元年度から補助制度が創設されている。元年度における補助の実施状況を尋ねる。
△住宅都市局長 公共交通バリアフリー化促進事業の一環として、令和元年7月から導入費用に対する一部補助を開始している。実施に当たっては、利用者の利便性向上を図るため、キャッシュレス化や配車アプリの導入を条件としており、令和元年度は129台のUDタクシー車両の購入に対して補助金を交付し、決算額は2,580万円である。
◯黒子委員 補助を開始されたことにより、市内を走るUDタクシーも増え、よく見かけるようになった。何度か乗車したことがあるが、時間があるときは待って、なるべくUDタクシーに乗るようにしている。市内のUDタクシーの導入率を尋ねる。
△住宅都市局長 令和元年度末時点で、市内で登録されている営業車両約4,600台のうち473台がUDタクシーであり、導入率は約10%である。
◯黒子委員 国の数値目標はどのようになっているのか。
△住宅都市局長 国の移動等円滑化の促進に関する基本方針では、令和2年度末までにUDタクシーを含む福祉タクシーを、全国で約4万4,000台導入することが目標とされており、全国のタクシー車両の約20%相当となる。
◯黒子委員 国の令和3年度以降の数値目標はどのようになっていく見込みなのか尋ねる。
△住宅都市局長 国が令和2年7月に示した次期目標の中間取りまとめによると、現行の目標値約4万4,000台は達成の見込みであることから、目標値の引上げという方向性が現在示されている。
◯黒子委員 引き続き補助事業を継続し、導入を促進すべきと考えるが、所見を尋ねる。
△住宅都市局長 令和2年度は、新型コロナウイルスの影響により、事業者において車両更新を一部見送られたことなどもあり、補助の申請も当初予定を下回っている状況にあるが、3年度の補助制度の継続については、今後の事業者の導入動向や本市の財政状況等を勘案しながら、引き続き検討を行っていく。
◯黒子委員 新型コロナウイルス感染拡大は、タクシーのほか、バス、鉄道等も含めた公共交通全般に大きな影響を与えている。また、UDタクシーの導入などといった事業者にとっても投資を伴うバリアフリー化の進捗にも多大な影響を及ぼすものと考える。コロナ禍における公共交通機関の利用者数の動向について尋ねる。
△住宅都市局長 乗車人員の前年同月比で、市営地下鉄は4月が約5割の減、7月が約3割の減、西鉄バスは本社直営分で4月が約6割の減、7月が約3割の減、西鉄電車は全線分で4月が約5割の減、7月は約2割の減、タクシーは福岡交通圏で4月が約7割の減、7月が約4割の減と聞いている。
◯黒子委員 公共交通事業者は消毒、換気といった感染拡大防止対策に取り組みながら、一方で、市民にとって必要不可欠な移動サービスについて継続して提供してもらっている状況がある。事業者に対して、本市はどのような支援を行ったのか尋ねる。
△経済観光文化局長 緊急事態宣言の下にあっても市民生活に必要なサービスを安全に提供し続けるなど、一定の要件を満たした休業等要請対象外施設への支援として、法人15万円、個人事業主10万円を支給しており、タクシーをはじめとした多くの公共交通事業者も活用している。
◯黒子委員 今後、コロナ禍を踏まえた中長期的な視点での公共交通の在り方としては、感染拡大防止の観点に加え、市民の外出や消費行動を活性化させ、経済を好循環させる仕組みをつくっていくことも重要であると考える。例えば北海道では、ぐるっと北海道・公共交通利用促進キャンペーンを実施しており、鉄道、バス、タクシーなどの交通事業者の発行する乗り放題乗車券やクーポン券等の約3割を助成している。ぜひ本市でも検討されたい。この質問の最後に、今般のコロナ禍の状況も踏まえ、今後の公共交通の在り方について、所見を尋ねる。
△住宅都市局長 国が令和2年8月に示した新型コロナ危機を契機としたまちづくりの方向性によると、今回の新型コロナ感染症拡大により、公共交通の利用への不安や在宅勤務を推奨する動きが進んだ結果、公共交通利用者が減少しており、今後は、利用者の感染リスク等も踏まえた人の適切な密度や、それを保つ施設の在り方のほか、引き続き公共交通の維持なども検討が必要とされている。公共交通は、都市活動を支え、市民に必要不可欠な移動手段であり、本市はこれまで公共交通を主軸とした総合交通体系の構築や、誰もが安全で安心に移動できる交通を目指し取り組んできた。今後は、それらに加え、時差出勤による分散化といった3密回避策とともに、さらなる公共交通の利用促進に努めるなど、新型コロナ危機を契機として生じた変化に対応していくことが必要と考えており、引き続き今後の動向も注視しつつ、交通事業者と連携して取り組んでいく。
◯黒子委員 最後に学校給食の食材について質問する。まず初めに、小中特別支援学校の学校給食の運営に関わる費用について、令和元年度の決算額を尋ねる。
△教育長 小学校で51億8,998万9,000円余、中学校で26億694万8,000円余、特別支援学校で1億5,137万2,000円余である。
◯黒子委員 子どもたちの食生活を取り巻く環境は大きく変化している。偏った栄養摂取や肥満傾向など、健康状態について多くの懸念が見受けられる今日では、学校給食は大変重要な役割を果たしている。本市は、安全、安心でおいしい給食の提供に努めていると聞く。成長期にある子どもたちに、栄養バランスが取れ、かつ安全、安心な給食を提供するために、ふだんどのような食材を使用しているのか。学校給食における食材の産地について尋ねる。
△教育長 地産地消の観点から、できるだけ市内産、県内産、九州産、国内産の順での調達に努めている。
◯黒子委員 地産地消を推進するために、どのように献立を作成しているのか尋ねる。
△教育長 農産物については、毎月、JAと本市で構成する協議会を開催し、献立に使用する農産物の産地、量、時期などについて、生産状況を踏まえた協議を行い、できるだけ市内産、県内産などの農産物を使用するようにしている。水産物については、市漁業協同組合と本市で協議し、市内で水揚げされる魚の種類や漁獲量などを踏まえ、できるだけ市内産、県内産などの水産物を使用するようにしている。また、魚が苦手な子どもでもおいしく食べられるように、煮魚や焼き魚だけでなく、フライやつみれを提供するなど、加工方法や調理方法を工夫した献立を作成している。
◯黒子委員 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、国産の牛肉や野菜、果物、水産物などで、在庫の滞留や価格の低下などが生じているようである。このような中、農林水産省は、今年度の補正予算に国産農林水産物等販売促進緊急対策事業を盛り込み、支援している。事業のポイントについて、簡潔な説明を求める。
△教育長 新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、インバウンドの減少や輸出の停滞などにより、売上げの減少や在庫が生じている品目について、農林漁業団体などが行う販売促進の取組を国が支援するものである。
◯黒子委員 新潟県では県産のブランド牛である、にいがた和牛の需要が減少していることを受けて、県内の学校給食に提供する取組を9月から開始している。保護者の負担がなく、給食費に反映しない。ふだん給食では使用しないような単価の高い食材を使用できる事業と聞いている。福岡県にも博多和牛といったブランド牛がある。食というのは体験することが重要であり、地元で生産されたものを食べることは、子どもたちにとっても大変よい経験となり、地産地消の促進にもなる。本市においても本事業を活用し、和牛をはじめ、ブリ、タイ、アナゴなどの水産物についても、ぜひこの機会に給食として提供してほしいと思うが、所見を尋ねる。
△教育長 本市では、本事業を活用して、小学校において10月の給食の献立に県産和牛である博多和牛を使用した肉うどんの提供を予定している。さらに、3月までに小中特別支援学校において、市内産や県内産のはかた地どりや魚を提供できるよう検討を進めている。
◯黒子委員 九州には多くの特産品があり、いろいろ調べてみると、宮崎県は本事業を活用して、県内に限らず他県へも宮崎県の特産品であるウナギを学校給食に提供していると聞く。せっかくの機会であるため、食育の観点からも宮崎県産のウナギをはじめ、九州産の食材についても積極的に検討して導入されたい。最後に、教育長には子どもたちの笑顔が輝くような答弁を期待して、質問を終わる。
△教育長 学校における食育の推進においては、学校給食を生きた教材として、県内産や九州産の食材をはじめ、様々な地域の産物や歴史など、食文化の理解を身につけることは重要であると考える。そのため、様々な経験を通じて食に関する知識を幅広く習得することができるように、学校給食の献立を工夫するとともに、宮崎県産のウナギの提供など、様々な地域の食材の提供について検討していく。