▼令和2年 決算特別委員会 尾花 康広 総会質疑 (令和2年9月24日)

◯尾花委員 公明党福岡市議団を代表して質疑を行う。令和元年度の本市の平和に関する事業の実施状況及び決算額、その効果を示されたい。
△総務企画局長 被爆樹木の苗木を平和首長会議から提供を受け、馬出小学校において植樹を行ったほか、平和首長会議で作成しているヒロシマ・ナガサキ被爆の実相等に関するポスターを展示する原爆ポスター展を8月6~15日に開催し、県が収集保管する戦時資料をはじめ写真やパネル等を展示する福岡県戦時資料展を県と共催で8月12~16日に開催した。また、平和首長会議において、年1回の総会に出席するとともに、年間を通して他都市の活動情報の収集等を行った。さらに、アジア地域の優れた文化の振興と相互理解及び平和に貢献するために平成2年に創設した福岡アジア文化賞においては、創設から30年の節目の年を迎えたことから、授賞式などの例年の行事に加えて、歴代受賞者によるシンポジウムや30年の歴史を振り返るパネル展等を開催した。決算額は3,968万円余である。効果については、各事業を通じて戦争の悲惨さや平和の尊さを伝えることにより市民の平和に対する意識が醸成されていると考える。
△保健福祉局長 福岡大空襲のあった6月19日に福岡市戦没者合同追悼式を開催するほか、ふくふくプラザにおける博多港引揚げ資料の常設展示や、終戦の日などに黙祷の呼びかけを行った。決算額は、戦没者合同追悼式が176万円余、引揚げ資料の常設展示が39万円余である。これらの取組により戦争犠牲者の慰霊を行うとともに、平和の尊さを後世に伝える一助となっているものと考える。
△経済観光文化局長 博物館において毎年、企画展である「戦争とわたしたちのくらし」を開催しており、戦時期の女性のくらしをテーマに、6月18日~8月18日に実施した。常設展においても、博物館収集資料を基に、空襲の被害と当時の人々の暮らしについて展示を行った。事業に係る経費は、常設展示等経費1,347万1,000円に含まれている。効果については、戦時期の現物資料の展示を通して市民が平和について学び、考えるきっかけになっていると考える。
△教育長 市内全ての小・中学校で福岡大空襲や広島、長崎への原爆投下などを題材とした平和に関する学習を実施した。学習の効果は、平和の尊さや平和な社会を実現するために自分が果たすべき役割などを考えさせることができたことである。なお、この事業については特に予算を要していない。
◯尾花委員 本年は日本に原子爆弾が投下されて75年、第2次世界大戦の終戦から75年の節目の年に当たる。そこで、本市は何か新たな平和に関する取組を実施しているのか尋ねる。
△経済観光文化局長 今年、戦後75年の節目を迎えるに当たり、福岡城内の遺物を中心に、これまでの発掘調査で出土した戦争関連資料を紹介する企画展である「発掘された戦争の痕跡」を8月12日~9月13日に開催した。
△教育長 各学校で平和学習を行う際に教材として使用している資料や戦争の体験談などをデジタル教材化して、福岡 TUNAGARU Cloudで共有することで、各学校が必要なデジタル教材をその中から選択して活用できる仕組みを検討しており、さらなる平和学習の充実を図っていく。
◯尾花委員 本市博物館で開催された、「発掘された戦争の痕跡」をテーマにした企画展示を観覧した際、市民などから戦争関係の品を含む資料の寄贈が1万点以上になる年もあり、現時点で約31万点のコレクションを大切に保管していると学芸員から聞いた。本市博物館は築30年以上が経過し、今では収蔵庫も手狭になってきているようであるが、福岡の歴史を物語るこの約31万点の資料の中から、毎年のテーマに合わせ戦争関係の資料100点ほどをピックアップし、企画展示が行われている。その話の中で特に印象に残ったのは、寄贈品を受け取る際は、学芸員が寄贈品にまつわる話を詳細に聴き取り、調書を作っているが、残念ながらこの5、6年は戦争体験者本人からの直接の寄贈は皆無で、遺品整理という形で遺族からの寄贈が増えているということだった。戦後75年、戦争の語り部なき時代と言われている。博物館への戦争に関する寄贈品も直接本人からは寄贈されなくなっていることなどを考えると今が最後のチャンスかもしれない。未来に伝達すべき記録や資料をどうつないでいくのか、これから本市でもアーカイブズとして残す事業に本格的に取り組んではどうか、所見を尋ねる。また、総合図書館において戦時中の資料を収集していると聞いており、併せて所見を尋ねる。
△経済観光文化局長 アーカイブズについては、博物館において当時の人々の生活と共にあった戦争関連資料の収集を継続するとともに、収集の際に聴き取り調査なども進めることにより、福岡における戦時生活資料を保存、活用する取組を進めていく。
△教育長 総合図書館においては、重要記録を保存、活用し、未来に伝達するアーカイブズとして戦時中の資料も収集、保存して調査研究を行っており、これらの保存資料については引き続き市民に閲覧してもらうなど、幅広く活用していきたい。
◯尾花委員 本市にデジタル平和資料館などができることを期待している。コロナ禍の影響は本市の小学校や中学校の修学旅行先にも及んでいるようである。3密を避けるためコースの変更を余儀なくされている学校現場が多いと聞いている。修学旅行先として長崎原爆資料館を訪問した前年度の実績と、本年度も同資料館がコースの中に入っているのか、現在の状況を尋ねる。
△教育長 令和元年度に長崎への修学旅行を実施した小学校は139校で、全ての学校が長崎原爆資料館を訪問している。令和2年度は、9月15日現在、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、長崎への修学旅行を予定している小学校139校中131校が同資料館の訪問を予定している。
◯尾花委員 これまでどおり長崎原爆資料館を訪れることができない学校もあり、子どもたちが原爆の悲惨さを実感し、世界で唯一の被爆国である日本の使命、核兵器は絶対悪との思いを強くする機会も失われているようである。そこで、3密を避けることは大前提として、福岡県内の他の自治体からも既に修学旅行先としてのオファーがあっているようだが、本市の科学館や博物館、美術館、福岡アジア美術館において、まずは小規模でも結構なので、分断へと向かう世界の方向性を協調へと転換させる必要性を啓発するメッセージ性のある企画、例えば地球規模の脅威に立ち向かう国連の人道活動の大切さを紹介する企画展示などに取り組んではどうか。特に科学館においては、例えば、核兵器やLAWS──AI、人工知能搭載の自律型致死兵器システムなどのように、科学などの最先端技術は使い方次第では最悪の兵器になる恐ろしさを伝え、科学を平和のために利用することの大切さについて子どもたちの理解を確実に促す企画はとてもタイムリーだと思うが、所見を尋ねる。
△経済観光文化局長 美術館、アジア美術館、博物館のミュージアム3館において、各館の収蔵品を基にした様々なテーマの展示を企画している。美術作品の魅力を引き出し、また、資料から歴史を読み解くことを通して交流や多様性の大切さを伝えることはミュージアムの重要な役割と認識しており、今後ともそうした視点を持って事業を推進していく。
△こども未来局長 科学館は、科学を体験することを通して人が育つ環境をつくり、成長を支援する施設として様々な事業を実施しており、今後とも多様な視点に立った科学をテーマとした事業の企画に取り組んでいく。
◯尾花委員 平和に関する事業というと、どうしてもイベントや企画展示がすぐ頭に浮かぶが、コロナ禍の時代、3密を避ける中で事業を行わざるを得ない。今後はリアルとバーチャルとコンテンツと地域活性化を掛け合わせ、デジタル技術、オンラインを活用し、地元文化人、アーティストの出演などによる多様な文化を紹介する創造発信にも大いに期待したいと思う。このテーマの最後に、市長の平和の取組の強化に対する所見を尋ねる。
△市長 我が国はさきの大戦を通して戦争の悲惨さを身をもって経験するとともに、平和が何よりも尊いものであることを深く心に刻んでいる。二度と戦争を繰り返してはならないという願いは全人類共通のものであるとともに、全国民、そして市民共通の願いであるとも考えている。本市では、戦争体験などを通して平和の尊さを後世に伝えるため、博物館における戦時関係資料の常設展示や、ふくふくプラザにおける博多港引揚げ資料の常設展示を行うとともに、小中学校においては様々な機会を捉えて平和に関する学習を積極的に行っている。また、毎年、戦没者合同追悼式や博物館において戦時生活に関する企画展を開催しているが、令和2年度はさらに博物館で戦後75年に合わせ新たな企画展も開催した。今後とも戦争の悲惨さを風化させることなく、平和の尊さを後世に伝えていくとともに、日本、アジア、世界の平和と繁栄に貢献していくとうたった基本構想などを踏まえ、しっかりと市政運営に取り組んでいく。
◯尾花委員 頻発する豪雨災害や大型台風の襲来、夏季の高温による熱中症の増加などにより、地球温暖化による気候変動の顕著化を実感している市民も多いと思う。そこで、令和元年度福岡市基本計画に係る実施状況の報告を踏まえて尋ねていく。まず、令和元年度の地球温暖化対策の推進と自律分散型エネルギー社会の構築に関する取組内容について尋ねる。
△環境局長 省エネルギーの推進と再生可能エネルギー等の導入の大きく2つの取組を行っている。省エネルギーの推進として、家庭、事業者、自動車の各部門に係る省エネ対策の促進や、道路照明灯や地下鉄駅照明のLED化の推進に取り組んでいる。また、再生可能エネルギー等の導入として、住宅用エネルギーシステムの導入促進や市有施設への太陽光、バイオマス、小水力発電の導入などに取り組んでいる。
◯尾花委員 省エネルギーの推進について、事業ごとの進捗状況と課題を尋ねる。
△環境局長 まず、家庭への取組は、省エネ行動を実践した市民に対しICカードのポイントを付与するECOチャレンジ応援事業等を実施している。同事業の令和元年度までの参加世帯数の累計は2,940世帯で、平成30年度末と比べ1,065世帯増加している。課題として、市民の意識や行動をさらにもう一歩変える動機づけが必要と考える。次に、事業者への取組は、一定規模以上の事業所に対し省エネ計画書の提出を促し、自主的、計画的な取組を支援する事業所省エネ計画書制度等を実施している。同事業の令和元年度までの参加事業所数の累計は34件で、前年度末と比べ14件増加している。課題として、継続的な取組への支援が必要と考える。次に、自動車部門への取組は、電気自動車等の導入や充電設備設置に対する助成等を行っており、令和元年度までの電気自動車等購入補助件数の累計は817件で、前年度末と比べ120件増加している。課題として、電気自動車等のさらなる普及のためには充電設備の普及促進が必要と考える。
△道路下水道局長 本市が管理する道路照明灯、いわゆる直営灯のLED化を進めている。令和元年度末までに累計で1万11基のLED化を完了しており、事業を開始した平成24年度時点における総数3万4,570基に対する進捗率は対前年度比で約2%増の約29%である。令和元年度に2万基を対象とした一括LED化事業の契約を締結し、令和2年8月から施行に着手、今年度中には完了する予定である。これにより、令和2年度末時点の進捗率は約89%を見込んでいる。なお、特殊デザイン照明灯など一括LED化になじまない直営灯については、国の補助金等、財源の確保が課題であるが、それぞれの更新時期に合わせて計画的にLED化を推進していく。
△交通事業管理者 平成23年度から地下鉄空港線及び箱崎線全駅のコンコース、ホーム等に設置された照明設備のLED化を進めており、令和元年度には福岡空港駅及び東比恵駅で実施し、その結果、令和元年度末時点で対象となる19駅中15駅のLED化を完了している。LED化については、今後、空港線及び箱崎線を終え、その後、七隈線全駅のLED化に取り組むこととしているが、標準的な規模の駅で約5,000~6,000万円と多額の費用を要することから、継続的に財源を確保していくことが課題となっている。
◯尾花委員 再生可能エネルギーの導入について、事業ごとの進捗状況と課題を尋ねる。
△環境局長 まず、家庭への取組は、住宅用エネルギーシステムの導入に対する助成等を行っている。令和元年度までの同システム補助機器数の累計は1万4,151基で、平成30年度末と比べ984基増加している。課題として、市内の住宅戸数の約8割を占める集合住宅への導入促進が必要と考える。次に、市有施設の取組は、リースや屋根貸しなど様々な方法により再生可能エネルギー設備の導入に取り組んでいる。令和元年度までの導入施設数の累計は202施設で、平成30年度末と比べ4施設増加している。課題として、温室効果ガス排出量の削減に向け再生可能エネルギー導入のさらなる推進が必要と考える。
△道路下水道局長 下水を処理する過程で発生するバイオガス、汚泥を資源として有効に利用している。その進捗状況であるが、バイオガスは発電の燃料や水素の原料などとしてその発生量の約9割を有効利用している。水素については、中央区荒津の中部水処理センター敷地内において水素ステーションを平成27年3月に開設し、バイオガスから製造した水素を燃料電池自動車に供給する世界初の取組を実施している。また、汚泥は、固形燃料に製品化する施設を西区小戸の西部水処理センターにおいて令和3年2月に供用開始する予定としており、同燃料を民間事業者に販売し、石炭の代替燃料として利用してもらう。今後も引き続き、設備の新設や更新の機会などを捉えて新技術の導入に積極的に取り組み、下水道資源のさらなる有効利用を図っていく。
△水道事業管理者 ダムから浄水場へ水を送る際に生じる高低差のエネルギーを有効利用して発電を行う小水力発電の導入を進めている。これまでに平成23年4月に瑞梅寺浄水場、26年4月に乙金浄水場、30年3月に曲渕ダムの計3施設に導入し、年間発電量は136万キロワットアワー、一般家庭の年間消費電力量で換算すると約356世帯分に相当する発電規模となっている。また、新たな施設への導入については、これまでの検討において1施設で導入の可能性を確認している。なお、課題としては、小水力発電の設置に起因した管路の破損や漏水事故発生のおそれなどもあることから、今後、具体的な設置の可能性について慎重に検討を進めていく。
◯尾花委員 地球温暖化対策の中で様々な省エネ、再エネに取り組んでいるが、ブラックアウト、大規模停電の教訓の上からも、再エネ等による地域分散型エネルギーシステムの構築が急がれる。平成30年12月議会において、ブラックアウト対策に直結するものとしてVPP(バーチャルパワープラント)の導入を提案したが、その概要と現在の進捗状況を尋ねる。
△環境局長 VPPの概要は、太陽光発電や蓄電池など分散している電源設備等をIoTを活用した高度なエネルギーマネジメント技術によって遠隔から統合制御し、あたかも1つの発電所のような機能を提供する仕組みで、二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーの最大限の活用を図りつつ、電力の安定供給に資することが期待されている。VPPについては、国や電気事業者等において、電源設備等の群制御技術や電気自動車を含む蓄電池を需給調整用途として活用する技術の実証が行われている段階である。本市内においても、九州電力や西日本鉄道などが資源エネルギー庁の助成事業により電気自動車や電気バスを活用した実証実験を実施している。本市としては、現在、国の動向を注視するとともに、実証実験や他都市の取組について情報収集を行っている。
◯尾花委員 今度の台風でも停電が発生した。さきの議会で取り上げた横浜市の先進事例を参考に市民の命を守るためしっかり取組を進めてほしい。エネルギーマネジメントシステムには家庭用(HEMS)と事業者用(BEMS)など規模に応じたものがあるようだが、その概要と補助実績として把握しているHEMSの過去3年間の導入状況を示されたい。
△環境局長 エネルギーマネジメントシステムとは、情報通信技術を用いてエネルギーを見える化して需要と供給のバランスを制御し、エネルギーを総合的に管理する仕組みである。家庭においてはHEMS、ホームエネルギーマネジメントシステム、ビルにおいてはBEMS、ビルディングエネルギーマネジメントシステムと呼ばれている。住宅用エネルギーシステム導入促進事業におけるHEMSの補助件数は、平成29年度が413件、30年度が385件である。なお、令和元年度は補助制度の見直しを行い、リチウムイオン蓄電池導入等の補助申請に当たっての条件をHEMSの保有としており、この制度を通じて導入が図られたHEMSは293件である。
◯尾花委員 HEMSの導入は伸び悩んでいるようである。省エネルギーの推進の行政課題にあるように、さらなる温室効果ガス排出量の削減に向けて市民や事業所の意識や行動をさらにもう一歩変える動機づけが必要である。転入者が多く、集合住宅が多いという特徴を持つ本市として、とても参考になる事例を2つ紹介する。まず、大阪府や吹田市で取組が行われているナッジ、行動経済学や行動科学分野において、人々が強制によってではなく自発的に望ましい行動を選択するよう促す仕掛けや手法を省エネ行動啓発に積極的に取り入れ、転入時に6割の人が照明をLEDに交換するという成果につながっているとのことである。また、兵庫県尼崎市で取組が行われているSDGsスマートマンション認定制度、これは、マンション等の建設を行う際、各戸にHEMSを導入し活用する省エネ策、地域通貨の活用など地域経済の活性化策、防災、子育て支援などの市の社会課題への対応策、環境、経済、社会、この3つの要素全てを備えた取組を市がSDGsスマートマンションとして認定し、1戸3万円の補助を行い、確実にCO2削減を進めているとのことである。本市においてもこのような取組を行ってほしいと思うが、所見を尋ねる。
△環境局長 省エネ行動の啓発には、意識や行動をさらにもう一歩変える動機づけとしてナッジの視点を取り入れていくことは大切だと考えている。本市でも家や車の購入を検討している人に蓄電池や電気自動車のメリットを伝え、導入の後押しになるよう住宅展示場や自動車販売店舗等へ住宅用エネルギーシステムや電気自動車等の広報物の配布を行っている。今後とも、他都市の事例も参考にしながら省エネ行動を促進していく。集合住宅への助成については、本市では既に省エネルギーの促進のため太陽光発電システムやリチウムイオン蓄電池、HEMS、家庭用燃料電池の導入費用の一部を補助している。他都市の事例も参考にしながら、他の施策での必要性に応じて、一緒にパッケージ化した取組にも対応を検討していく。
◯尾花委員 平成25年6月議会において、再生可能エネルギーの中でも太陽光や風力と異なり天候や地域に左右されない安定性、空気熱利用と異なり大気中へ排熱を出さない、省エネルギーでCO2の排出量を削減できるなどのメリットを有し、ヒートアイランド現象の緩和や地球温暖化対策への効果がはっきりしている地中熱利用システムの利用促進を提案していたが、その後の本市の市有施設での導入状況を尋ねる。
△環境局長 平成25年度以降に新たに導入した市有施設は、新築や更新に合わせ、青果市場、なみきスクエア、照葉北小学校の体育館など8校の合計10施設である。
◯尾花委員 地球温暖化対策として従来にも増してしっかり取り組まなければならないものが緑化の推進である。福岡市環境基本計画、福岡市新・緑の基本計画など、多岐にわたってその成果指標が示されているが、短兵急に緑化は進まないため、平成19年の現況値と比較できる福岡市新・緑の基本計画の成果指標に基づき、これまでの進捗状況を尋ねていく。まず、二酸化炭素吸収など多様な公益的機能を有する森林の保全の指標である永続性のある樹林地の面積の推移を示されたい。
△住宅都市局長 平成19年は約6,642ヘクタール、24年は約6,659ヘクタール、29年は約6,698ヘクタールとなっている。
◯尾花委員 目標値7,205ヘクタールの達成に向けてしっかり取り組んでほしいと思う。それでは、癒やし、風格など人の心に働きかける緑の効果の目標として、身近な地域において緑が豊かであると感じている市民の割合の推移を示されたい。
△住宅都市局長 平成19年は24.1%、24年は31.6%、29年は29.8%と推移している。
◯尾花委員 目標値55%に対してここ数年は30%ぐらいで推移している。地球温暖化対策に資する緑化の推進のためにはその永続性がポイントだと思う。永続性のある緑の定義とその主な成果指標の種類、その推移を踏まえての全体の傾向性を示されたい。
△住宅都市局長 永続性のある緑とは、保安林や都市公園等、法令などにより永続的に存在し続けることがある程度担保された緑のことである。その主な成果指標である農地の面積は、平成19年は約1,680ヘクタール、24年は約1,656ヘクタール、29年は約1,650ヘクタールとやや減少し、公園緑地等の面積は、平成19年は約1,533ヘクタール、24年は約1,637ヘクタール、29年は約1,672ヘクタールと増加している。全体の傾向としては、市街化に伴い農地など保全系の緑が減少している一方で、公園緑地など創出系の緑、いわゆる創る緑が増加している。
◯尾花委員 保全系の緑が減少しているとのことだが、その推移と、この10年間で福岡ペイペイドーム何個分減ったのか示されたい。
△住宅都市局長 平成19年は約1万5,222ヘクタール、24年は約1万4,884ヘクタール、29年は約1万4,886ヘクタールと推移しており、九州大学伊都キャンパスの造成や新西部水処理センターの整備などにより福岡ペイペイドームの敷地面積約39個分が減少している。
◯尾花委員 生物多様性のために必要な保全系の緑が減少していることがとても心配である。それでは、市街化区域における永続性のある樹林地の面積と河川水辺等、道路の緑、永続性のある農地の面積、民有地の緑の面積のそれぞれの推移と目標値を尋ねる。
△住宅都市局長 市街化区域における永続性のある樹林地の面積は、平成19年は約138ヘクタール、24年は約132ヘクタール、29年は約124ヘクタールと推移しており、目標値は213ヘクタールである。河川水辺等、道路の緑、永続性のある農地の面積は、平成19年は約2,862ヘクタール、24年は約2,791ヘクタール、29年は約2,805ヘクタールであり、目標値は2,849ヘクタールである。民有地の緑の面積は、平成19年は約1,357ヘクタール、24年は約1,502ヘクタール、29年は約1,449ヘクタールであり、目標値は1,514ヘクタールである。
◯尾花委員 市街化区域における永続性のある樹林地の面積と河川水辺等、道路の緑、永続性のある農地の面積は減少傾向にあり、民有地の緑の面積は伸び悩んでいる。永続性のある緑の根幹をなす森林樹木については、単に樹木を増やすだけではなく、その樹種、種類にも留意する必要がある。花粉症対策としての脱杉・ヒノキや、木質バイオマス発電向けに用途を絞った広葉樹や生育が早い樹木などを選定するニーズが高まっているが、本市の取組状況について尋ねる。
△農林水産局長 花粉症対策として、令和元年度から本市が所有する杉・ヒノキ林を伐採し、広葉樹などの花粉症対策苗木へと植え替える主伐推進事業を実施している。本事業において令和元年度は1.15ヘクタールの伐採を実施し、令和2年度には約2ヘクタールの伐採を予定している。また、木質バイオマス発電向けに用途を絞った樹木への植え替えは行っていないが、杉・ヒノキの伐採後、大きく曲がったものや細い先端部分など、建築用資材としての活用が難しく木材市場への出荷に適さない材については、資源の有効活用の観点から、朝倉郡筑前町にある木質バイオマス発電所に発電用燃料として供給している。
◯尾花委員 道路の緑化については、落ち葉や根上がりなどの問題でもっと維持管理しやすいものをと市民からの要望も多いが、樹木の選定においてどのような工夫を行っているのか尋ねる。あわせて、景観、ヒートアイランド、災害対策上の街路樹の整備と育成の基本的な考えについても尋ねる。
△住宅都市局長 街路樹の樹木選定については、樹木本来が持つ特性、植栽環境、既存街路樹との一体性、地域住民の要望などから総合的に判断している。街路樹整備においては、まず、景観づくりの観点から、緑の連続性に配慮し、路線ごとに同一樹種で統一することを基本とするとともに、ヒートアイランド現象の緩和の観点から、地表面の高温化を防ぎ、樹木の蒸発散作用が発揮され、また、災害対策の視点から、家屋の倒壊防止や火災の延焼抑制等にも寄与できるよう、適切な樹種選定や高木の植栽に努めている。引き続き、樹種、樹勢に合わせた適正な管理により緑の質とボリュームの向上に取り組んでいく。
◯尾花委員 市民に寄り添い、多角的な視点で道路緑化を進めてほしいと思う。市民に身近な壁面緑化として議会提案した緑のカーテンコンテストは長年継続しており、大変ありがたく思っているが、この夏も体温を超えるほどの猛暑が続いた。永続性のある緑ではないが、ヒートアイランド対策として有効だと思われる緑のカーテンの進捗状況を尋ねる。
△環境局長 緑のカーテンコンテストの直近3か年の応募件数は、平成29年度が52件、30年度が58件、令和元年度が111件である。また、直近3か年に緑のカーテンを実施した市有施設は、平成29年度が234施設、30年度が227施設、令和元年度が219施設である。
◯尾花委員 まちづくりの進展の中で緑化を推進するために平成29年に都市緑地法が改正され、緑化地域制度などのさらなる活用がうたわれている。この制度を使わずに本市が別途、インセンティブ制度を導入して緑化を推進しているようであるが、その概要と効果を尋ねる。
△住宅都市局長 魅力あるまちづくりの取組などに対し、容積率の緩和を行う総合設計制度などを活用し、高木植栽や沿道緑化などによる緑化の誘導を行っており、その効果として、魅力ある屋上緑化や壁面緑化など、質の高い緑化が図られている。
◯尾花委員 屋上緑化や壁面緑化の進捗を示す成果指標を示されたい。
△住宅都市局長 本市内の屋上緑化や壁面緑化の詳細な状況は把握できていないが、平成14~27年度に50件、合計1万246平方メートルの助成を実施している。
◯尾花委員 屋上緑化や壁面緑化の進捗を示す成果指標はなく、効果も一部の地域に限られているようである。なぜか緑化推進を目的にした助成も中途でやめてしまっている。地球温暖化の最大の原因である温室効果ガス、その中でも一番高いウエートを占めるCO2を吸収し、生物が生きていくために必要な酸素を供給する緑を増やすことがどれほど大事なことか、私たちは子どもの頃から学んできたと思う。昨今の地球温暖化が私たちの身近な暮らしに重大な影響を及ぼしていることを考えると、これまでのインセンティブ施策だけでは全く足りないと思う。改正都市緑地法の趣旨にのっとり、福岡市新・緑の基本計画の施策の基本的な考えに立ち返り、緑あふれるまち並みを形成するため、緑化基準の設定、緑地協定の推進、地区計画に緑の事項を定めること等の推進、風致地区の運用などに積極的に取り組むべきではないか、所見を尋ねる。
△住宅都市局長 福岡市新・緑の基本計画策定後、緑あふれるまち並みを形成するために用途地域や建蔽率などに応じて緑化を義務づける方策も検討してきたが、地域の特性やニーズを踏まえた良好な緑環境を確保し、地域から愛され、維持されていくことが重要であることから、地域住民とともに区域を指定した緑化基準率を定める手法に重点を置いて緑化を推進してきた。これまで都市緑地法に基づく緑地協定については6地区約10ヘクタール、都市計画法に基づき緑化率を定めた地区計画については26地区約170ヘクタール、都市景観条例に基づき緑化率を定めた景観形成地区については1地区94ヘクタールなど、同計画策定以降、新たに地区指定を行っている。加えて、風致地区における緑化及び緑地保全の指導など様々な制度を活用し、地域に愛され受け継がれる緑づくりを推進している。
◯尾花委員 過去の先達たちが作成した平成11年の福岡市緑の基本計画は、全国の緑の基本計画の評価において最も優れた計画とされた。また、その後継の平成21年に作成された福岡市新・緑の基本計画は優良事例40選に選定された。本日は決算特別委員会での総会質疑であるため、プラン(計画)、ドゥー(実行)、チェック(評価)、アクション(改善)というPDCAサイクルの観点から、現在の本市の緑の施策の現状はせっかくの優れた計画がそのとおりに実行されていないのではないかとチェック(評価)し、必要なアクション(改善)を促している。SDGsの生物の多様性に関する国際的な目標の達成など、社会情勢が刻々と変化しているのは周知のとおりである。今変わらずしていつ変わるのか。現行計画である福岡市新・緑の基本計画の成果指標の目標到達年は本年である。しっかり取組を進めてほしいと思う。また、次期基本計画では、現計画の成果と施策の進捗を詳細に分析し、今後10年を勝負の10年と定め、時代のニーズに応えた実効性のある緑の施策を推進してほしいと思うが、所見を尋ねる。
△住宅都市局長 福岡市新・緑の基本計画においては、緑は失われやすいことを踏まえて、永続性のある緑を増加させ、できる限り緑の減少を食い止め、減少した分は創出することで本市の緑の総量をこれ以上減らさないことを目標としており、その点はおおむね目標を達成できたと考えている。現在、新型コロナを契機として市民に身近なオープンスペースの価値が再評価されており、国においても新たなまちづくりの方向性の検討が行われている。このような本市を取り巻く社会情勢の変化を踏まえ、都市環境の改善、生物多様性の確保、景観・レクリエーション機能など多様な緑の役割に応じた次期基本計画を策定し、未来につながる緑豊かなまちづくりの実現を目指していく。
◯尾花委員 その中で、地球温暖化に連関する生物多様性の保全はとても大事だと思う。保全系の緑や市街化区域における永続性のある樹林地などが減少している状況を真摯に受け止め、国の都市緑地法運用指針や生物多様性に配慮した緑の基本計画策定の手引きにのっとり、本市の次期基本計画には都市の生物多様性指標もしっかり盛り込んでほしいと思うが、所見を尋ねる。
△住宅都市局長 生物の生息、生育空間となる緑地等を確保することは重要であると考えており、これまでもおおむね標高80メートル以上の開発制限による樹林地の保全や特別緑地保全地区の指定、まちなか里山事業などに取り組んでいる。今後とも、都市における生物多様性の重要性を踏まえ、風格ある緑豊かな環境共生都市を目指し、都市の生物多様性指標も含んだ次期基本計画を策定していく。
◯尾花委員 次期基本計画に都市の生物多様性指標を盛り込むことを確約してくれた。EU、欧州連合は、コロナの先の時代を見据え、グリーン化とデジタル化を柱に成長戦略を打ち出している。我が国においては、グリーンインフラ活用型都市構築支援事業の活用などを各自治体に促しているが、この制度の概要と、本市でも積極的に活用してほしいと思うが、所見を尋ねる。
△住宅都市局長 同事業は、官民連携により積極的、戦略的に緑や水を生かした都市空間の形成を図るグリーンインフラの整備を国が支援する事業であり、本市においても引き続き、これらの事業を活用し、持続可能で魅力のあるまちづくりを目指し、都市の緑化を進めていく。
◯尾花委員 福岡市地球温暖化対策実行計画の改定に着手すると聞いている。地球温暖化対策を確実に進めるためには、将来世代の視点で政策検討を行う必要がある。そのため、京都市や大阪府吹田市ではフューチャー・デザインの導入を行っている。未来人からすれば再生可能エネルギーは当たり前、常識にとらわれた現代人では抜け出せないような考えが出てきて気づきが多かったなどの政策担当者の声が上がっているそうである。大阪府吹田市のフューチャー・デザインの内容を本市でもぜひ導入してほしいと思うが、所見を尋ねる。
△環境局長 2050年エネルギービジョンや環境基本計画をテーマに、大阪大学等と共同で参加者が未来で生活する人になり切って意見や議論を行うワークショップが実施されている。地球温暖化は将来の生存基盤に係る課題であり、将来世代の視点に立った検討が重要であることから、他都市の事例も参考としていきたい。
◯尾花委員 地球温暖化対策を加速させるためには、世界の動向を踏まえ、市民に地球温暖化対策のための行動変容を促す施策を打ち出せる卓越した首長のリーダーシップが必要である。今後のまちづくりの中で各種事業を行う際には、省エネ、再エネ、緑化の推進など、政策のグリーン化、すなわち環境負荷を低減する施策を盛り込み、確実に実施してほしいと思う。このテーマの最後に、人と環境と都市活力の調和が取れたアジアのリーダー都市を目指してまちづくりを進めている市長の地球温暖化対策の推進に対する所見を尋ねる。
△市長 本市においては、これまで省エネの促進や再生可能エネルギーの導入、水素の活用による次世代自動車の普及促進、気候変動への適応など、温暖化対策に積極的に取り組んできており、市域の温室効果ガス排出量は2018年度時点で福岡市地球温暖化対策実行計画に定める2030年度の目標を既に達成したところである。しかしながら、世界的に気候変動による気象災害が頻発し、また、激甚化しており、今や地球温暖化は市民の安全、安心を揺るがす課題として国や国際社会と協力した速やかな取組が求められている。こうした地球温暖化対策の取組は、環境の分野にとどまらず、施策、事業を計画、実施するに当たり市政全般において検討が必要なまちづくりの重要な視点と認識している。来る脱炭素社会の実現に向け、本市が高い目標を目指して積極的に取り組むことは、都市の持続可能性を高めるだけでなく、新たな成長機会につながっていくと考えており、市民、事業者の皆さんとともにしっかりとチャレンジを進めていく。
◯尾花委員 国によると、DXとは、これまでの文書や手続の単なる電子化から脱却し、IT、デジタルの徹底活用で手続を圧倒的に簡単、便利にし、国民と行政双方の生産性を抜本的に向上すること、また、データを活用し、よりニーズに最適化した政策を実現すること、仕事のやり方も政策の在り方も変革することと定義づけられている。コロナに強い社会環境整備のためにはDXの推進は待ったなしの状況であることは言うまでもないが、全国的に特別定額給付金の支給が思うように進まなかったことがその必要性を国民に痛感させることにつながった。そこで、本市においてもDXを遅滞なく推進すべく、福岡市データ活用推進計画の成果指標と令和元年度福岡市基本計画に係る実施状況の報告を踏まえて尋ねていく。まず、オンラインで申請可能な手続数及びオンライン申請率の過去3か年の推移を示されたい。また、同推進計画に記載の施策のうち、令和元年度のAIやIoT、RPAの活用による市民サービスの向上などに関する施策の実施状況を尋ねる。
△総務企画局長 オンラインで申請可能な行政手続数及びオンライン申請率の推移については、平成29年度が114手続で62.7%、30年度が143手続で62.4%、令和元年度が218手続で63.3%となっている。次に、福岡市データ活用推進計画に記載されている施策の令和元年度の実施状況であるが、まず、AIやIoTを活用した施策については8件実施し、このうち、話し言葉で書かれた内容をAIが理解して自動的に受け答えするAIチャットボットについては引っ越し、証明案内で活用し、1万2,689件の利用があった。また、定例的、定型的な事務作業を自動的に行うRPAについては17業務に導入している。
◯尾花委員 本市は、老朽化が進みレガシー化したシステム資産を刷新し、誰でも、いつでも、どこでも公共サービスが受けられる社会の実現に向けて、最先端の電子行政サービスの提供を可能とするシステム基盤を構築することを目的として基幹システムの刷新に取り組んでいるが、令和元年度の決算額と整備の進捗状況、現時点で何ができるようになったのか尋ねる。
△総務企画局長 令和元年度の決算額は30億8,937万円である。整備の進捗状況は、システム共通基盤や住民記録システム等の基幹系10システムの構築が完了し、令和2年1月から運用を開始した。令和2年度以降は、社会保障分野と税システムに係る構築等を予定している。現時点でできるようになったことは、システムごとに稼働時間を柔軟に運用できるようになったことから、土日の臨時窓口開設を伴う引っ越し手続のオンライン予約サービスを開始するなど、市民サービスの向上が図られている。また、国民年金などの申請書にあらかじめ住所、氏名を印字するなど、市民の負担軽減や窓口での待ち時間の短縮が図られている。さらに、サーバー機器の集約化や運用管理の統合などにより運用保守経費の削減も図られている。
◯尾花委員 DXの目的の中に手続を圧倒的に便利、簡単にするとあるが、行政手続における添付書類削減の必要性については、平成21年12月議会で取り上げて以来、毎年調査を行い、各種申請の際の添付書類の簡略化の取組状況を本市のホームページで公開しており、大変ありがたいと思っている。平成29年11月13日からマイナンバー制度における情報連携の本格運用が開始された。この情報連携により各種手続の際にマイナンバーを申請書等に記入することで住民が行政機関等に提出する必要があった書類を省略できるようになったはずであるが、その後の行政手続における添付書類の削減の取組は抜本的に進んだのか。
△総務企画局長 行政手続における添付書類の削減については、市民の利便性向上の観点から、各種手続における事務処理方法の見直しなどの取組を続けてきた。加えて、マイナンバー制度導入以降は他の機関との情報連携も積極的に活用することとし、情報連携の本格運用が開始された平成29年度から令和元年度の3年間では合わせて27件の手続で添付書類を削減した。
◯尾花委員 DXは市民生活の豊かさ、利便性につながるものにしなければならないと思う。マイナンバー制度の普及をはじめデジタル化を推進するためには、市民の信頼や理解を得ることが重要である。コロナ禍をデジタル化や業務効率化の契機として捉え、新次元で加速させ逆行させないことが大切である。まずは、デジタル技術を使って市民サービスの向上と地域活性化、行政経営の効率化を進める確固たる意思表示、福岡市デジタル変革宣言を行ってはどうか、所見を尋ねる。
△総務企画局長 これまで令和元年6月に策定した福岡市データ活用推進計画に基づき、行政手続や市民サービスのデジタル化、オンライン化や先端技術による行政事務の効率化等に積極的に取り組んできた。新型コロナウイルスの存在を前提としながら、日常生活を取り戻していく観点から、密閉、密集、密接の3密をできる限り避けるなど新しい生活様式の実践が求められる中、デジタル化の重要性はより高まってきており、全庁を挙げて取組を強化していく。
◯尾花委員 本市においては、データを活用した市民の利便性の向上施策として、マイナンバーカードを活用した申請書等自動作成サービスの取組が令和元年度から始まっているが、その概要について示されたい。また、市民にとって利便性が高く、全市展開を進めるべきと思うが、所見を尋ねる。
△市民局長 マイナンバーカードを活用した申請書自動作成機は、区役所に来庁した人が転入、転出や出生などの手続に関して複数の申請書を作成してもらう場合に、マイナンバーカードから読み取った氏名や住所などが一括して申請書に印刷されることにより手続の負担が軽減されるものである。本市では、令和元年12月から中央区役所にモデル的に設置しており、フロアマネジャーが来庁した人に積極的に案内するなど、機器の利用促進に努めている。また、他区への設置については、中央区役所での利用状況等を検証した上で検討していく。
◯尾花委員 新潟県長岡市においては、医療と福祉と救急で必要な個人情報を共有し、救急搬送の時間を平均して4分短縮するという実績を上げているようである。コロナ禍の時代、人と人が接触して情報の収集や提供が思うように行えない状況下、本市においても医療や介護の情報を一元的に集約している地域包括ケア情報プラットフォームのデータを様々な事業でもっと活用すべきと考えるが、所見を尋ねる。
△保健福祉局長 地域包括ケア情報プラットフォームは、保健、医療、介護等に関するデータを一元的に集約管理し、地域包括ケアの実現に向け必要な情報を提供、活用していくものである。この地域包括ケア情報プラットフォームが保有するデータについては、個人情報の保護に留意しながら、各施策分野のニーズに応じて有効に活用できるよう、事業所管局と連携して検討を行っていく。
◯尾花委員 新潟県三条市では、マイナンバーを使った避難所の受付などを行っており、国においても、防災、減災についてデジタル化を図りつつ、ハード、ソフト一体となった取組を強力に推進するとしている。本市も災害に対してデジタル化、オンライン化の取組などを進めるべきだと思うが、所見を尋ねる。
△市民局長 防災、減災に係るデジタル化、オンライン化の取組については、防災アプリ、ツナガルプラスや福岡市LINE公式アカウントによる防災情報の提供、総合ハザードマップのウェブ配信などを行っている。また、全国統一の罹災証明システムの導入や物資調達等システムについて、自治体が使いやすいシステムとなるよう国や福岡県に対し提言を行っており、今後とも国や県に働きかけを行うとともに、デジタル化、オンライン化の取組を推進していく。
◯尾花委員 マンパワーが増やせない中、行政は新たな社会ニーズに対応しなければならず、RPAやAIを活用し業務の効率化を図り、より専門性の高いところへマンパワーをシフトする必要性があることはこれまで議論が尽くされてきた。さいたま市では、固定資産税評価において、課税対象となる家屋の異動を、航空写真を活用して判読する作業にAIを導入し、作業時間の90%削減が図られているようである。また、静岡県三島市では、RPAで給付金事務の大幅な自動化を図り、成果を上げたようである。ぜひ、本市もこうした実効性のある取組を進めてほしいと思うが、所見を尋ねる。
△財政局長 本市の固定資産税の課税業務においては、令和元年度から登記情報の入力業務にRPAを導入している。また、2年度から登記情報や現地調査等では網羅的に把握を行うことが困難な家屋の異動状況について、航空写真とIT技術を用いて検出する手法を導入し、効率的かつ適正に課税対象の把握を行うこととしている。引き続き、税業務においてRPA等を積極的に活用し、効率化を図っていく。
△総務企画局長 実効性のある取組の推進については、RPAやAIをはじめとした先進的な技術を活用することで、これまで人の手によって長時間かけて行っていた事務作業をより正確に短時間で完了できるようになるなど、大幅な業務の効率化などが期待できると考えている。今後ともこれらの先進的技術を積極的に活用しながら、業務の効率化、生産性を高め、職員の業務の負担を軽減することによって、人にしかできない、人のぬくもりが必要な業務に費やす時間を確保し、さらなる市民サービスの向上につなげていく。
◯尾花委員 DXはヒューマンエラーの未然防止、手続の透明性にも大変有効と言われている。本市においては、児童虐待相談件数は、平成30年度は2,318件、令和元年度は2,910件と年々増加していることが行政課題として挙げられているが、三重県では児童虐待対応にAIを活用し、一時保護の必要性の分析が行われている。ヒューマンエラーを未然に防止するという観点から、こうした分野へのDX活用も進めてほしいと思うが、所見を尋ねる。
△こども未来局長 児童虐待については、個別の事案に即して家族の関係性や事案の背景など様々な要因を考慮しながら適切に対応する必要があり、他都市におけるAIなどのICTの活用状況なども参考にしながら、子どもを守る観点から、迅速かつ適切に対応できるよう取り組んでいく。
◯尾花委員 DXを推進する上で、高齢者、障がい者、生活困窮者、ひとり親家庭、本市に居住する外国人など情報弱者になりやすい人たちへのサポート体制の整備も不可欠だと思う。デジタルシフトを踏まえた手助けの実施、スマホ・パソコン教室、SNS等による相談、オンライン見守りなども積極的に推進してほしいと思うが、所見を尋ねる。
△総務企画局長 本市に居住する外国人に対しては、市のホームページやSNSなどにおいて多言語及びやさしい日本語で生活に必要な情報を発信するとともに、各区役所においてAI多言語音声翻訳システムなどを導入し窓口対応の充実を図っており、今後とも外国人にも分かりやすい情報発信に努めていく。
△市民局長 公民館においては、高齢者等を対象にスマートフォンの使い方などを紹介する公民館スマホ塾を実施しており、今後とも地域コミュニティの活性化に向け、ICTの活用に資する講座などを積極的に実施していく。
△こども未来局長 ひとり親家庭については、就業支援を目的としたパソコンに関する各種講座をひとり親家庭支援センターにおいて実施しており、今後も講座の科目や内容の充実を図っていく。
△保健福祉局長 高齢者、障がい者、生活困窮者に対しては、スマートフォンやパソコン、タブレットの操作に不慣れな人を対象とした講座などを実施している。また、単身高齢者の在宅生活の不安感の軽減につながるよう、民間事業者と共同で情報通信技術を活用した見守りの実証事業を行っている。今後とも、情報弱者になりやすい高齢者や障がい者、生活困窮者の状況を踏まえながら支援の充実を図っていく。
◯尾花委員 コロナ禍の窓口業務として、兵庫県高砂市ではビデオ通話用のタブレット端末を本庁舎の窓口や出先の施設などに設置し、ビデオ通話で相談を受け付ける体制を整えている。子育てや健康、福祉の各相談を市民は自前のスマートフォンを使って自宅から相談できるほか、スマホがなくても最寄りの公民館からアクセスできるようになっている。これまで封書やはがきを窓口に直接持ち込んで書き方や内容を確認する相談が多かったため、物を見ながらの通話はメリットがあるとのことである。ぜひこうしたデジタル面談ができる取組を進めてほしいと思うが、所見を尋ねる。
△総務企画局長 書類などを見ながらのビデオ通話は、相談しやすい環境づくりの観点から効果的なものと考えられる。指摘のデジタル面談も含め、様々な手法によりICTを活用することで、コロナ禍で新たに生じた課題の解決を図ることができるよう、総務企画局としても各局等の取組を積極的に支援していく。
◯尾花委員 DXは縦割り行政の考えを捨てなければ進まない。コロナ禍の時代、感染リスクを考え、市民が行政の各窓口に直接出向かなくても済むシステムの構築に本市も真剣に取り組んでほしいと思う。デジタル技術はあくまで手段であり、市民目線に立った人間中心のデジタル化、人でなければできない、デジタルでなければできないことを見極めながら着実に進めていくことが重要だと思う。また、誰一人取り残されないデジタル化が大事である。子どもから高齢者まで、障がい者や外国人など、あらゆる社会層が安全、安心、快適に暮らしていける地域共生社会を目指す新たな概念のデジタルミニマム整備を本市において確実に進めてほしいと思う。最後に、市長のDX推進に対する所見を尋ね、質疑を終わる。
△市長 本市においては、新型コロナウイルス感染症の発生前から押印の廃止、いわゆる、はんこレスの取組を進めてきた。国の法律で定められているようなものを除いて、今月で本市単独での行政手続は全て判こが要らなくなる。要するにワンストップ窓口ではなく、これからはノンストップで手続が終了するようになる。技術の革新に合わせて市民サービスを向上したいという思いから進めてきたが、これが今月で完成するため、今後はオンラインの手続ということで役所に来なくても手続が済むような取組を推進していきたい。このほかにも、RPAやAIの導入などDXに本市は積極的に取り組んできており、トップランナーだと思う。今回、特別定額給付金の支給事務などを通して日本のデジタル化の遅れが課題として浮き彫りになり、国と地方を通じた情報システムの標準化、クラウド活用の促進など、行政をはじめ社会全体の本格的かつ抜本的なデジタル化を進める必要性が強く国民全体で認識されたと思う。先日発足した新しい内閣においてデジタル担当の大臣が任命され、デジタル庁を創設する意向が示されるなど、国においても本格的にデジタル化を進める動きが出てきた。本市としても、その動向を踏まえながら、あくまでも市民サービス向上という市民の目線に立って、誰もが支障なく利用できるよう、アクセシビリティーにも配慮しつつ、行政手続や市民サービスのデジタル化やオンライン化などのDXをしっかりと進めていきたい。

 

議員紹介

  1. つつみ 健太郎

    西 区

    つつみ 健太郎
  2. たばる 香代子

    中央区

    たばる 香代子
  3. たのかしら 知行

    博多区

    たのかしら 知行
  4. 石本 優子

    早良区

    石本 優子
  5. かつやま 信吾

    東 区

    かつやま 信吾
  6. 古川 きよふみ

    博多区

    古川 きよふみ
  7. 高木 勝利

    早良区

    高木 勝利
  8. しのはら 達也

    城南区

    しのはら 達也
  9. 尾花 康広

    東 区

    尾花 康広
  10. 松野 たかし

    南 区

    松野 たかし
  11. 山口 つよし

    東 区

    山口 つよし
  12. 大石 しゅうじ

    南 区

    大石 しゅうじ
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