◯篠原委員 公明党福岡市議団を代表し、局地的豪雨などによる公共施設や災害拠点病院等の機能維持、強化について、危険なバス停におけるバス利用者の安全確保について質問する。初めに、局地的豪雨などによる公共施設や災害拠点病院等の機能維持、強化について尋ねる。平成29年の決算特別委員会の質疑において、災害時の電力確保と非常用発電設備について質問した。その際、保健福祉局からは、福岡市立こども病院と市民病院においては、非常用電源を浸水被害等が出ないように最上階に設置しているとの答弁を受け、災害時においても医療施設としての機能が維持されることを確認した。患者の安心を確保するためにも、医療機関における非常用電源の確保は重要であるが、災害時に医療のとりでとなるべき施設として災害拠点病院というものがある。そこで、まず、災害拠点病院は制度的にどのような位置づけとなっているのか、市内の災害拠点病院はどこなのか尋ねる。
147△保健福祉局長 災害拠点病院については、国の通知に基づき、災害時に地域の医療機関で対応できない重症患者や高度救命医療を必要とする負傷者の収容、治療を行う地域の中核的な医療機関として都道府県知事が指定するものであり、市内には、九州大学病院、福岡和白病院、九州医療センター、済生会福岡総合病院、福岡赤十字病院、福岡大学病院、福岡記念病院の7施設がある。
148◯篠原委員 災害拠点病院は市内に7施設あるとのことだが、どのような病院が指定されているのか、要件を尋ねる。
149△保健福祉局長 国が定める災害拠点病院の主な指定要件については、まず、運営体制に関して、24時間の緊急対応が可能で、災害発生時に被災地における傷病者等の受入れ可能な体制を有すること、災害派遣医療チーム、いわゆるDMATを保有し、それを派遣できる体制にあること。次に、施設に関して、災害時において多数の患者に対応できるスペースを有すること、診療機能を有する施設は耐震構造を有すること、通常時の6割程度の発電容量のある自家発電等を保有し、3日分程度の燃料を確保していること、非常用電源等の設置場所を地域のハザードマップ等を参考に検討すること。さらに、設備に関して、多発する重篤救急患者の救命医療を行うために必要な診療設備を有することなどがある。
150◯篠原委員 災害拠点病院の指定要件からも、災害発生時の公的な役割を期待されていることが分かる。指定要件の1つに、通常時の6割程度の発電容量のある非常用電源を保有し、3日程度の燃料を確保しておくこととあるが、その設置場所は地域のハザードマップ等を参考に検討することが望ましいとされている。県が指定している浸水想定区域は、水防法の改正に伴い、平成30年4月に想定し得る最大規模の降雨による見直しが行われ、洪水浸水想定区域が拡大されている。平成30年6月には、過去最大級の昭和9年室戸台風規模が襲来し、満潮と重なった場合を想定した高潮浸水想定区域が新たに指定されている。市内のこれらの浸水想定区域に立地する災害拠点病院を具体的に説明されたい。
151△保健福祉局長 洪水または高潮による浸水想定区域に立地する災害拠点病院は、九州大学病院、福岡和白病院、九州医療センター、済生会福岡総合病院、福岡赤十字病院、福岡記念病院の6施設である。
152◯篠原委員 洪水ハザードマップや高潮ハザードマップには、浸水する深さ、いわゆる浸水深も想定されているが、浸水深が床上以上になると病院機能を維持できなくなると言われている。市内の災害拠点病院の中には、床上以上の浸水深がある場所に立地するところもあるが、市内の災害拠点病院の浸水対策の現状を尋ねる。
153△保健福祉局長 建物の地下へ浸水することを防ぐための止水板の設置や、土のうの確保、排水ポンプの整備などがある。
154◯篠原委員 三重県の揖斐川河口に近い災害拠点病院、桑名市総合医療センターでは、最大規模の洪水で3メートルの浸水が想定されており、2018年の新設時に1、2階の大半を駐車場とし、診療機能は3階以上に集約した。非常用電源も5階建ての外来棟屋上に設置し、3日分の燃料や水を備蓄。担当者は、洪水で病院が孤立しても医療を続ける体制は整っていると言っている。災害拠点病院が担う公的な役割を考えれば、本来はこのような対策が理想なのではないだろうか。そこで、非常用電源が地下に設置されている災害拠点病院は、市内に何か所あり、どのような対応を行っているのか尋ねる。
155△保健福祉局長 非常用電源が地下に設置されている災害拠点病院は2施設あるが、いずれも止水板を設置するなどの浸水対策が講じられている。残り5施設については、屋上などの地上部に設置されている。
156◯篠原委員 厚生労働省によると、九州地方を中心に大きな被害を出した令和2年7月豪雨では、福岡県や熊本県などで34の医療施設が浸水したが、本市の医療機関において被害は報告されているか、状況を尋ねる。
157△保健福祉局長 福岡県広域災害救急医療情報システムによると、昨年7月の九州豪雨での市内の病院における被災状況等は報告されていない。
158◯篠原委員 幸い、市内の災害拠点病院では被害はなかったようだが、熊本県人吉市の球磨病院は2~3メートル浸水し、1階の医療機器やカルテを保存していたサーバーが使えなくなったため、豪雨の後、病院の窓に防水壁などを設置し、サーバーを2階に移し対策。また、災害拠点病院である久留米大学病院では、最大6メートルの浸水が予想されており、近くを流れる筑後川の水位に応じた行動計画が策定されている。1階に設置された非常用電源が水没した場合に備え、2階建て施設の屋上に新設を予定している。それでも、制御設備が地下にあるエレベーターが使用不能になるおそれがあると聞く。全国の浸水想定区域にある災害拠点病院のうち、0.5メートル以上の浸水が想定される病院を対象に行われたアンケートでは、最大規模の浸水時に医療を継続できるかという質問に対して、非常用電源の水没などで5割以上が外来診療と入院患者に対応できないと回答、両方への対応が可能とした災害拠点病院は2割未満であった。ある高度救命救急センターの教授は、このような状況では、病院としては恐らく機能できず、700~800人の患者を転院させる病院避難をするしかないと話す。新型コロナウイルス感染症などを考えると、災害時においても医療施設の機能が維持されることが不可欠であるが、所見を尋ねる。
159△保健福祉局長 災害時において医療施設の機能を維持するためには、診療機能の低下を軽減し、継続して医療を提供できる体制を構築するための業務継続計画、いわゆるBCPの整備が重要であることから、災害拠点病院には作成が義務づけられ、その他の病院についても作成に努めることとされている。市内の災害拠点病院では既にBCPを整備済みだが、その他の病院については未整備の施設もあることから、今後、BCPの作成を促していきたい。
160◯篠原委員 医療施設の機能維持にはBCPの整備が不可欠であるが、同時に、浸水被害等が出ないような施設整備も重要となる。非常用電源の高所への移設などは費用負担が重いため、国は補助金を設けているが、病院の担当者は、コロナ禍で経営体力が落ちている中、不採算な災害対策の予算化はハードルが高いと言っており、対策が進まないのが現状である。新型コロナウイルス感染症が拡大して約1年半、この間、医療機関にも大きな負担がかかっているが、そのような状況においても災害拠点病院の機能は維持されなければならない。災害拠点病院が担う公的な役割を考えれば、各病院が災害対策を実施できるよう、補助制度を所管する国に働きかけていくことが必要と考えるが、所見を尋ねる。
161△保健福祉局長 医療施設の浸水対策については、止水板の設置や非常用電源の移設などに係る国の補助制度があるが、近年、毎年のように風水害が発生し、医療機関の被害が報告されている状況に鑑み、災害時に医療提供の中心的な役割を担う災害拠点病院の浸水対策は重要性を増しているものと認識している。本市としては、災害拠点病院の指定を行う県と連携し、補助制度の拡充を国に働きかけるなど、今後とも災害に備えた施設整備が促進されるよう、取り組んでいく。
162◯篠原委員 災害拠点病院がその役割を果たせるよう、国に対する働きかけを求めておく。次に、河川事業や下水道事業など、災害発生時のハード対策について尋ねる。市内では、過去に記録的な豪雨によって浸水想定区域以外の範囲でも河川の氾濫や内水氾濫が発生している。そこで、河川事業による治水対策と下水道事業による浸水対策について、令和2年度の決算額とその内容及び今後の取組について、それぞれ尋ねる。
163△道路下水道局長 河川事業による治水対策については、決算額が約12億9,500万円であり、主な内容は、周船寺川や金屑川などの河川改修及び豪雨時に河川への流出抑制を図るための治水池整備である。また、今後の取組としては、引き続き河川改修や治水池整備などを推進していく。下水道事業による浸水対策については、決算額が約41億2,200万円であり、主な内容は、雨水整備Doプラン2026や、雨水整備レインボープラン天神第2期事業に基づく雨水幹線やポンプ場の整備などである。引き続き、令和8年度の完了を目指し、これらのプランに基づく浸水対策を進めていく。
164◯篠原委員 内水氾濫は降雨から浸水発生までの時間が短く、河川から離れた場所でも発生することがあることから、立体交差で掘り下げになっている下の道路、いわゆるアンダーパスにおいては注意が必要である。特に、近年の記録的な雨量を考えると、あっという間にアンダーパス内の水位が上昇することから、車の水没事故の多くは、道路管理者が冠水箇所で通行止め措置を完了させるまでに発生している。そこで、本市のアンダーパスの箇所数と、冠水発生時の対策を尋ねる。
165△道路下水道局長 周辺の地盤高より低く、雨水が集中しやすい構造となっているアンダーパスは、本市管理道路に11か所ある。冠水対策としては、全てのアンダーパスにおいて、流入した雨水を排水するためのポンプ設備を設置するとともに、路面標示や看板などで注意喚起を行っている。また、11か所のうち、特に道路高が低く、重大な事故のおそれがある7か所については、冠水が発生した際にセンサーが反応することで通行止め等が表示される情報板を設置するとともに、区役所等に冠水の状況を伝達するシステムや、担当職員の携帯電話等へ自動通報するシステムを導入することによって、夜間や休日を含め、迅速な対応を行うこととしている。
166◯篠原委員 横浜市では、今年6月28日から大規模な地下街が広がる横浜駅西口で、ゲリラ豪雨などによる地下街の浸水リスクを事業者や利用者に知らせるため、下水道管内の水位情報を市ホームページで公表している。2004年10月の台風22号では、市内で1時間に76.5ミリの雨が降り、西口周辺が浸水する被害が出た。これを踏まえ、市は西口周辺の4か所でマンホールに水位計を設置し、管内の水位を観測。各マンホールの水位は10分ごとに更新され、連動したホームページにイラストで表示する。地表付近まで上昇すると、溢水のおそれありと赤く表示し、注意を促している。横浜市のように、IoTを活用し、リアルタイムで下水道の水位情報を伝える取組にも力を入れることが大切であると考える。本市においても、博多駅周辺地区では、下水道の水位情報の提供を開始したと聞いたが、これまでと今後の取組を尋ねる。
167△道路下水道局長 大規模な地下街を有する博多駅周辺地区においては、かつて甚大な浸水被害を受けたことを踏まえ、豪雨時に浸水リスクが高まっている状況をいち早く市民や事業者に知らせるため、下水道の水位が内水氾濫危険水位に到達した場合、本市防災メールで直ちに通知する運用を令和2年6月から全国に先駆けて開始している。また、今後の取組としては、さらなる情報提供の充実を図るため、同様に大規模な地下街を有する天神周辺地区における下水道の水位情報の提供について鋭意検討を進めているところである。
168◯篠原委員 下水道の水位情報の提供については、ぜひ天神周辺地区についても検討を進められたい。また、災害時には災害対策本部が設置される市役所本庁舎や区役所が機能を維持できることが不可欠である。そこで、まず、災害対策本部が置かれる市役所本庁舎の非常用電源の確保、設置場所、稼働時間及びその点検について尋ねる。
169△財政局長 市役所本庁舎については、非常用電源として自家発電設備を本庁舎地下に設置している。稼働時間は30時間であり、これを超える稼働に必要な補給用燃料については、業界団体との覚書などに基づき確保することとしている。また、設備の点検については、毎月の稼働試験に加え、専門業者による定期点検を年2回実施している。大規模な風水害など様々な災害においても必要な電力を確保できるよう、国からの要請を踏まえ、今年度、非常用電源の更新に係る実施設計に着手しており、令和5年度には、非常用電源の屋上設置と稼働時間の72時間への延長を行う予定である。
170◯篠原委員 非常用電源が地下にあれば浸水のリスクもあり、今後は非常用電源の稼働時間の延長と、令和5年度中の屋上移設への設備更新を確実にお願いする。では、災害対策本部が設置されている区役所のうち、非常用電源が地下に設置されている庁舎について、現状と今後の取組について尋ねる。
171△市民局長 区役所庁舎の非常用電源については、現状、7区役所とも地下に非常用電源が設置されている。博多区役所については、新庁舎整備に併せて、発災後72時間以上稼働できる非常用電源を庁舎屋上に整備することとしている。他の6区役所についても、浸水対策も併せ、発災後72時間稼働できる非常用電源を2.7メートル以上の高所に再整備することとしており、現在のところ、令和4年度に城南区役所と西区役所、5年度に中央区役所と東区役所、6年度に早良区役所と南区役所の整備を完了する予定である。
172◯篠原委員 避難所の非常用電源の確保については、カセットボンベを燃料とする非常用発電機が各校区に1基ずつ配置されているが、令和2年度から、停電時に公民館等へ電気自動車から電力を供給するための設備を整備していくと聞いている。その整備スケジュールと、どのくらいの時間、電気を供給できるようになるのか尋ねる。また、電気自動車からの電力供給を行うためには、電気自動車自体の確保が重要である。そのためにも、庁用車の早期の電気自動車への切替え、民間の自動車販売業者との連携、電気自動車を保有する市民の協力を得られる体制の整備が必要と考えるが、所見を尋ねる。さらに、九州電力など、防災関連機関との連携や企業との協定による電力確保も必要である。これらの取組状況についても併せて尋ねる。
173△市民局長 電気自動車等から電力を供給するための設備の整備スケジュールについては、対象となる公民館、空港周辺共同利用会館等168館のうち、令和3年度末までに167館を整備することとしており、残り1館を4年度に公民館の改築と併せて行うこととしている。電気の供給が可能な時間については、現在、庁用車として配置している電気自動車では最大3日間、3年度に導入したプラグインハイブリッド車では最大5日間となっている。次に、給電可能な電気自動車等の確保については、庁用車を2年度及び3年度に各7台、電気自動車等に切り替え、計18台確保するとともに、複数の民間の自動車販売業者などと災害時の応援協定を締結し、発災時には電気自動車等を提供してもらうこととしている。次に、防災関連機関などとの連携については、複数の建設資機材のリース業者と災害時応援協定を締結し、災害時には各避難所の非常用電源を確保するほか、3年度に九州電力と新たに協定を締結するなど、停電時の電力確保の体制を強化している。今後とも、防災関係機関や市民、企業の協力を得ながら、災害時における電源の確保に努めていく。
174◯篠原委員 大規模停電発生時には給水の確保も重要であるが、水道施設への非常用電源の設置について、現状と今後の取組を尋ねる。
175△水道事業管理者 水道施設の大規模停電対策については、給水確保のために必要な基幹施設である全ての浄水場、取水場及び緊急時給水拠点となる配水場に、既に非常用電源を設置している。また、令和元年度からは、高台の住宅地などへの水道水の供給に必要なポンプ場21か所についても非常用電源の整備を進め、2年度内に全て完了している。さらに、大雨等による浸水被害に対しても、水道施設の電気設備等の機能が維持できるよう、現在、福岡市洪水ハザードマップ等に基づき、各施設の浸水対策の検討を進めており、4年度には、災害対策の拠点であり、配水調整システム等を有する水道局本庁舎において、止水板や防水扉等を設置する耐水化工事を実施することとしている。
176◯篠原委員 災害発生時においては、人的な支援などソフト対策も欠かせない。大規模な災害発生時には、被災自治体職員のマンパワーのみでは対応が困難であり、他自治体からの人的支援が求められる。九州においては、平成28年に九州市長会において、福岡市長を部会長とする防災部会を設置し、その翌年、九州内で大規模災害が発生した際に迅速かつ効果的な支援を行うための枠組みである九州市長会における災害時相互支援プランを策定するなど、災害時の相互支援体制を構築していると聞く。また、その後、国においても、大規模災害発生時には、47都道府県及び20政令指定都市の中から、原則として1対1で被災自治体に対する支援担当を割り当て、避難所運営や罹災証明書の交付業務など、被災自治体のニーズに応じた人的支援をするための枠組みを構築しており、平成30年7月の西日本豪雨で初めて活用された。全国的に大規模災害が頻発する中、本市においても、いざというときに各防災機関や他自治体等からの支援を円滑に受け入れ、災害の早急な復旧につなげられる能力、すなわち受援力の向上が求められるが、本市における受援体制について尋ねる。
177△市民局長 地域防災計画に受援計画として支援を円滑に受けるための手順や体制等について定めている。本市において大規模災害が発生した際には、受援計画に基づき、国や自衛隊などの防災関係機関から支援を受けるとともに、九州市長会における災害時相互支援プランや、総務省の枠組みである応急対策職員派遣制度などの災害時相互支援協定に基づく他の自治体からの支援を受けて対応することとしている。
178◯篠原委員 受援計画に基づいて国や他の自治体から支援を受けるとのことだが、一方で、被災地支援については、支援する側の自治体にもメリットがあり、派遣した職員が現地でノウハウを蓄積することで、本市の災害対策にフィードバックでき、より実効性を高めることができる。そこで、本市において、これまでどのような被災地支援を行ったのかについて尋ねる。また、今後とも積極的に被災地支援に取り組むべきと考えるが、所見を尋ねる。
179△市民局長 被災地支援については、平成30年7月豪雨や令和元年東日本台風、令和2年7月豪雨、また、先月8月11日からの大雨などにおいて、被災地へリエゾンを派遣し、発災初期の災害対応支援や緊急消防援助隊による人命救助に当たるとともに、被災した人への応急給水や避難所運営、健康相談、復旧、復興に向けた住家被害認定調査、罹災証明書の交付、災害廃棄物処理などの支援を行っている。被災地支援については、支援職員が被災地において災害対応の実務を経験し、ノウハウが蓄積されることで本市における災害対応能力の向上につながることから、今後も積極的に行っていきたいと考えている。
180◯篠原委員 今後もしっかりと被災地支援に取り組まれたい。今年4月から防災、減災、国土強靱化の5か年加速化対策がスタートした。対策では、激甚化する災害から人命や財産の被害を防止、最小化するため、防災インフラ等の強化を進めるとともに、災害に際して交通ネットワークやライフラインを維持し、迅速な復旧復興と国民経済、生活を支えるための取組を推進することとされている。本市においても、気象変動の影響を踏まえ、ハード、ソフトの対策を総動員して進めなければならない。災害への備えをより強靱にするため、市長の決意を尋ねる。
181△市長 近年、毎年のように全国各地で大規模な自然災害が続いており、このような災害に対しては、日頃からの十分な備えとしてハード、ソフト両面からの対策が重要であると考えている。このため、ハード対策として、河川改修や下水道整備などによる総合治水対策、さらには避難所となる公民館や庁舎の停電対策などを着実に進めるとともに、災害時において機能維持が不可欠となる医療機関の浸水対策を支援していく。また、ソフト対策としても、大規模災害時に必要となる国や防災関係機関、他都市や民間企業などからの応援を円滑に受けられるよう、受援計画に基づき、相互連携の取組を着実に進めていく。今後とも、市民の貴い命と財産を守ることを第一に、災害に強いまちづくりを進め、防災先進都市福岡を目指し取り組んでいく。
182◯篠原委員 次に、危険なバス停におけるバス利用者の安全確保について、高齢者や障がいがある人をはじめ、全ての公共交通利用者が安全かつ円滑な移動ができるよう、本市における公共交通施設のバリアフリー化の促進について、令和3年3月の当初議会における代表質疑で質問した。市長からは、ノンステップバスやユニバーサルデザインタクシーについて補助制度を継続し、引き続き導入促進に努めていくと力強い言葉をもらった。また、高齢者、障がい者等、誰もが安全かつ快適に暮らしていけるように、日常生活や社会生活において利用する旅客施設、生活関連施設及びこれらの間の経路を構成する道路等の施設について、一体的なバリアフリー化を推進している。そこで、道路のバリアフリー化の整備に係る道路下水道局の令和2年度の決算額について尋ねる。
183△道路下水道局長 約14億9,500万円である。
184◯篠原委員 超高齢社会となり、運転免許を返納した年配者のバス利用も増えると思われる。高齢者だけでなく、障がい者や妊産婦ら、みんなが安心して乗り降りできるバス及びバス停が求められている。バスを降りる高齢者が、路面との高低差に苦労している光景を見かけることがよくある。バス停にバスが横づけできず、歩道との距離が空いているところもある。バス停の床を低くし、降りる側に傾けるなど改善が進んでいるが、一方で、バス停の構造がバリアフリーに適してない場面も見られる。本市では、バス停においてバス乗降口と路面の段差をなくすなどの取組を行っているのか尋ねる。
185△道路下水道局長 本市バリアフリー基本計画における重点整備地区内の生活関連経路等において、バス停留所部分の歩道を車道より15センチメートル高くすることでバス乗降口との段差を少なくし、スムーズに乗降できる対策、いわゆるマウントアップの整備に取り組んでいる。
186◯篠原委員 ノンステップバスについては、超低床であるため、乗車から着席、降車までの段差を感じることなく利用することができ、高齢者、障がいのある人、車椅子利用者、ベビーカー利用者など、様々な人々のスムーズな乗降が可能となり、生活関連経路でのバス停でもバリアフリー化に向けた取組をしているとのことで、バスを利用する人が安全に安心して利用できる対応は非常に重要と考える。では、道路管理者である本市が管理する道路における生活関連経路において、バス停のマウントアップはどの程度進んでいるのか尋ねる。
187△道路下水道局長 生活関連経路に設置されたバス停留所は、令和2年度末時点で175か所あり、そのうち148か所でマウントアップの整備を行っている。
188◯篠原委員 ユニバーサルデザインの理念に基づいた安全で快適に利用できるバス利用環境の改善として、バス停におけるバリアフリー化に取り組み、バスへの乗り降りの環境づくりが進んでいるということは分かった。しかし、バス停においては安全管理も重要であると考える。バス停でのつまずきや転倒など、小さな事故を見逃さないことで、大きな事故を防ぐことが大事である。運転者や利用者が気づいて、バス事業者や道路管理者に伝える仕組みがあってもよいと思うが、所見を尋ねる。
189△道路下水道局長 バス停を含む道路の異常箇所等については、区役所におけるパトロールによる点検に加え、LINEを活用した通報システムや通報先を記載した道路の傷みカードの配布等により、市民の方々へ幅広く通報をお願いしているところである。また、特にバス停留所に関するものについては、バス事業者と相互に情報提供を行うこととしており、今後も連携を図っていく。
190◯篠原委員 バス停の設置位置に起因して、バス利用者の安全性が脅かされている事例もあると聞く。2018年、横浜市西区で10歳の女の子がバスを降りた直後に対向車にはねられ、亡くなるという事故が起きた。この現場では、バスの車体が横断歩道を塞いだため、視界が悪かったと見られている。この事故をきっかけに、国土交通省は、路線バスのバス停が横断歩道や交差点のそばにあるため、歩行者が死角に入って危険を誘発するおそれがあるとして実態調査を実施した。その調査の概要について尋ねる。
191△道路下水道局長 令和元年12月13日に発出された国土交通省の通知により、地方運輸局等において、バス事業者や関係行政機関などとともに、バス停留所の実態把握及び安全性確保対策を講じるよう要請されている。これに基づき、各運輸支局等は、都道府県バス協会と協力し、交通安全上問題があると思われるバス停留所の情報について調査、抽出を行うとともに、関係機関等の協力を得て、安全性確保に向けたバス停留所情報の共有、点検、公表を行っている。
192◯篠原委員 国は全国のバス会社と、安全対策を講ずるべきバス停の実態調査に乗り出した。県では、この実態調査を行うため、福岡県バス停留所安全性確保合同検討会が立ち上げられたと聞いたが、その構成員と検討内容を尋ねる。
193△道路下水道局長 検討会のメンバーは、福岡運輸支局をはじめ、福岡県バス協会、交通管理者である県警察、道路管理者である国道事務所、県、本市及び北九州市等で構成されており、検討事項としては、バス停留所の交通安全上の実態把握及び安全性確保対策である。
194◯篠原委員 実態調査では、バス停留所の安全上の優先度がどのように判定されているのか尋ねる。
195△道路下水道局長 安全上の優先度が高い順にABCの3段階にランク分けされており、まずAランクは、過去3年以内に停車したバスが要因となる人身事故が発生している停留所、またはバスが停留所に停車した際に横断歩道にその車体がかかる停留所、次にBランクは、Aランク以外で、バスが停留所に停車した際に横断歩道の前後5メートルの範囲、または交差点にその車体がかかる停留所、最後にCランクは、AまたはBランク以外で、バスが停留所に停車した際に交差点の前後5メートルの範囲にその車体がかかる停留所、その他地域住民等の意見や各都道府県の実情に応じて抽出したバス停留所となっている。
196◯篠原委員 報道では、横断歩道や交差点のそばにある危険なバス停が全国で1万か所以上あると聞く。安全対策を講ずるべきバス停として抽出された数について、ABCランク別に、県と本市のそれぞれについて尋ねる。
197△道路下水道局長 令和2年12月25日現在で、Aランクは県が27か所、うち本市が2か所、Bランクは県が221か所、うち本市が57か所、Cランクは県が105か所、うち本市が34か所である。
198◯篠原委員 市内にも多数存在する危険なバス停だが、調べたところ、実態調査で抽出されたバス停であっても、検討会で定めた安全対策が既に取られている場合、危険箇所から除外されていると聞く。今から10年ほど前、城南区別府の弓の馬場交差点で、自転車に乗った小学生が横断歩道で軽自動車にはねられ死亡するという事故があった。これがその弓の馬場のバス停である。このバス停付近の交差点では、過去にも車の横転事故、接触事故などが多発していたため、国道事務所、自治体、町内会、警察等で協議の結果、事故を減らすため、バス停のすぐ先にあった国道を渡る横断歩道をなくすこととなった。その後、地域から、横断歩道がなくなり不便になったなどの苦情はあったが、この場所が危険なバス停、危険な交差点であるということが地域に知れわたり、気をつけるようになり、その結果、事故の減少につながったと聞く。その後、多くの関係者が意見を出し合った結果、今ではガードレールと横断禁止の看板などが設置され、さらなる安全対策が取られており、この弓の馬場のバス停は、実態調査の中では安全対策が実施済みと表現されている。そこで、危険箇所から除外される安全対策の内容はどのようなものか尋ねる。
199△道路下水道局長 安全対策を講ずるべきバス停留所として抽出されたもののうち、既に安全対策が取られているバス停留所と判定されるものについては、まず、信号機が設置されており、バスが停車している状態でも車両、歩行者ともに信号機の視認性が良好な道路、次に、バス停カットが設置されており、バス停カットにバスが止まることでバス車両による死角がなくなる道路、次に、バス停付近にガードレールが設置されており、歩行者が横断できない道路、最後に、中央分離帯が設置されており、歩行者が容易に道路を横断することができない構造となっている道路となっている。
200◯篠原委員 市内において抽出されたバス停のうち、何か所が安全対策実施済みとされているのか、また、何か所が今後、安全対策を講ずるべきバス停とされているのか尋ねる。
201△道路下水道局長 既に安全対策が取られていたものを含め、安全対策実施済みとされているバス停留所は、令和3年6月1日現在で、Aランクが1か所、Bランクが19か所、Cランクが8か所である。また、今後、安全対策を講ずるべきとされているものは、Aランクが1か所、Bランクが38か所、Cランクが26か所である。
202◯篠原委員 市内のバス停留所では、現地確認の結果、ハード対策が取られていると判定されたバス停もあることが分かった。信号機による交通整理が行われており、バスが停車している状態でも、車両、歩行者ともに信号機の視認性が良好な道路が延べ22か所。バスベイ、いわゆるバスカットが設置されており、バスベイにバスが止まることでバス車両による死角がなくなる道路が2か所。バス停付近にガードレールが設置されており、歩行者が横断できない道路が延べ13か所。中央分離帯が設置されており、歩行者が容易に道路を横断することができない構造となっている道路が延べ4か所あるとされている。本市では、現在、最も危険なAランクのバス停が2か所から1か所に減少しているが、減少した1か所については、どのような安全対策が行われたのか尋ねる。
203△道路下水道局長 安全対策が行われた1か所は、中央区梅光園にあるバス停留所であり、令和2年12月にAランクのバス停留所として公表された後、バス事業者と県警察との協議により、バス停留所の移設が速やかに行われたものである。
204◯篠原委員 これが中央区にある梅光園のバス停である。今年3月に撮った写真であるが、バス停が横断歩道から1メートルのところにあって、バスが停車したときに完全に横断歩道にかかっている。ここは、周辺にはマンションや商店が立ち並ぶ交通量が多い片側1車線の県道沿いにある。停車したバスの車体後部が横断歩道の一部にかかる。県道沿いには樋井川が流れ、バス停がある場所の歩道の幅は約80センチメートルである。横断歩道には信号がなく、反対車線からは、停車したバスの車体に視界を遮られ、横断者が見えにくいというAランクの危険なバス停であったが、バス停が約10メートル先に移設されたことで、Aランクから対策済みとなった。ここは、Aランクの安全対策が必要なバス停として判定されたこと、また、協議する関係者が少なかったことにより、速やかにバス停の移設ができたのではないだろうか。では、一般的にバス停を移設する場合には、どのような関係者とどのような協議が必要になるのか。
205△道路下水道局長 バス停留所の移設については、一般的にバス事業者が実施主体となり、県警察、道路管理者、後背地の地権者等の関係者とともに、移設の是非や場所について具体的な協議を行うことが必要となる。
206◯篠原委員 バス停の移転先の住民にしてみれば、家の前に人が集まり、騒音やごみの問題などが出ることから調整が難しいことが多々あるだろうし、自治体や警察との協議に時間がかかり、移設が困難な状況もある。しかし、バスは高齢者や地域住民にとっては生活に不可欠な存在なので、危険ポイントを具体的に検討することで、乗客が不便にならない範囲で停止場所を調整するなど、特に危険なバス停については、スピード感を持って対応することが大切になる。その意味では、福岡県バス停留所安全性確保合同検討会による安全対策を講ずるべきバス停一覧の公表は、住民に危険性を知らせ、移設への理解を得る上で、対策の第一歩としてその意義はとても大きいと考える。バス停の安全対策を考える上で、そもそもバス停の設置基準はどうなっているのか。一部の都道府県では、バス停を横断歩道からどれだけ離せば安全なのかなど、独自の設置基準を設けているが、半数以上の都道府県では未策定である。福岡県では、バス停の設置基準に関する規定はどのようになっているのか。
207△道路下水道局長 県警察及び福岡運輸支局に確認したところ、福岡県においては、バス停留所の設置に関する基準は設けていないと聞いている。
208◯篠原委員 Aランクのバス停のように、バスが停車した際、横断歩道に車体がかかるバス停や、BランクのようにAランク以外でバスが停車した際、横断歩道の前後5メートルの範囲、または交差点に車体がかかるバス停が、今回、危険なバス停と抽出されていることから、特に危険性の高いAランクやBランクのバス停について早急に対策を進める必要があると考える。危険なバス停については、第一に、移設による安全対策を実施すべきであると考えるが、バス停の移設については、既存道路や沿線家屋の状況によっては難しい場合もあるため、道路側のハード対策も重要である。ハード対策が取られている要件として、国土交通省と警察庁から示された事例の中に、Bランクのように歩行者が横断歩道以外の場所を渡る可能性のあるケースにおいては、ガードレール等の設置が最も早く対応できる手法と考える。検討会において各バス停の対策が検討されるとのことだが、検討結果が出次第、本市において実施可能なガードレールの設置はもちろんのこと、バス事業者や県警察が行う対策についても速やかに実施するよう、本市が先頭に立ってスピード感のある対応を望むが、所見を尋ねる。
209△道路下水道局長 バス停留所の安全対策については、検討会で示される安全対策の方針に沿って、ガードレールの設置など道路管理者が実施すべきものは速やかに対応するとともに、バス停留所や横断歩道の移設など、バス事業者や県警察が実施すべきものについても本市から強く働きかけるなど、積極的に取り組んでいく。
210◯篠原委員 横断歩道や交差点のそばにある危険なバス停における安全対策は、市民の安全確保に直結する大変重要な取組と考える。今後、危険なバス停における安全確保に向け、関係機関と連携した取組が必要であると思うが、市長の決意を尋ね、質問を終わる。
211△市長 近年、横浜市などにおいて、バス停留所周辺で歩行者を巻き込んだ痛ましい交通事故が発生しており、こうした事故を未然に防ぐ交通安全対策は、安全、安心のまちづくりを進めるに当たって大変重要であると認識している。関係機関が連携し、スピード感を持って取り組むことが必要であり、現在、福岡運輸支局が中心となってバス事業者や県警察などの関係機関と具体的な検討を行っているところである。今後とも悲惨な交通事故から市民を守るため、関係機関が一丸となってバス停留所周辺を含む交通安全対策を進め、交通事故のない社会の実現を目指してしっかりと取り組んでいく。