○23番(尾花康広)登壇 私は公明党福岡市議団を代表し、特別支援教育の充実、SDGsを踏まえた公園の機能強化の2点について質問いたします。当局の前向きな答弁に期待するものであります。
まず初めに、特別支援教育の充実についてです。
先日、ひとり親家庭で3人の発達障がいのお子さんを持つお母様から市民相談をいただきました。「春から子どもの担任の先生が交代し、その先生は教員歴20年ほどのとても真面目な方ですが、初めて特別支援学級を受け持たれたようで、子どもの特性をあまり理解してくれていないようです。子どもが帰ってきて暗い顔をして、死にたいと口にするようになりました。学校の教頭先生や校長先生、専門機関にも相談しました。校長先生や教頭先生は、何でも担任に言ってくださいとの一点張り。専門機関の方は、相談としてお話はお伺いいたしましたが、これから先は学校から要請がないと動けませんとの対応でした。そのやり取りの中で感じたことは、特別支援学級の先生は、担任をされる前に特別支援教育に関する事前研修が必須になっていないこと、担任の先生がだんだんと疲弊されていく様子が手に取るように分かるのに、学校全体としてあまりフォローが行われないということにとても驚きを覚えました。親として子どもの将来を思い、子どもの特性を学ぶ研修などを何度も受講して必死で努力しているのに、家庭よりも子どもがいる時間が長い学校で、特別支援学級の先生の十分な研修やフォローが行われていない現状がとても残念でなりません。このままでは子どもが自己肯定感を喪失してしまい、二次障がいを引き起こし、将来的に自傷、他傷など強度行動障がいになるかもしれないと思うと不安でたまりません」との内容でした。
文部科学省の発達障害支援の地域連携に係る全国合同会議において、発達障がいの可能性のある児童生徒等に対する支援事業の一環として、経験の浅い教員の専門性の向上に係る支援体制等の構築の必要性が述べられております。
そこで、本市の議会事務局が令和元年11月に発行した議会調査レポート第24号に、政令指定都市の特色ある施策・事業として、相模原市の特別支援教育事業が掲載されておりましたので、この質問に先立ち、その先進的な事例を調査してまいりました。本市の特別支援教育の現状を踏まえ、その充実のための一助になればとの思いからこの質問を行ってまいります。
まず、本市の小中学校の特別支援学級及び通級指導教室の対象児童生徒数の推移と児童生徒の全体に占める割合についてお示しください。
以上で1問目を終わり、2問目以降は発言者席にて行います。
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 特別支援学級の児童生徒数及び全体に対する割合は、令和元年度が2,557名で2.17%、2年度は2,880名で2.42%、3年度は3,236名で2.68%です。同様に通級指導教室は、令和元年度が789名で0.67%、2年度は837名で0.70%、3年度は836名で0.69%となっております。以上です。
○議長(伊藤嘉人) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 少子化の影響等により、全国的な傾向と同じく、本市においても児童生徒数が減少しつつある中で、逆に特別支援学級及び通級指導教室で学ぶ児童生徒は年々増加していることが分かります。
それでは、本市の小中学校における特別支援学級及び通級指導教室の設置状況、児童生徒数の増加を踏まえての今後の対応策をお答えください。
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 特別支援学級は、小学校144校のうち140校に、中学校69校のうち67校に、通級指導教室は、小学校144校のうち18校に、中学校69校のうち4校に設置しております。今後も特別な支援を必要とする児童生徒数の増加が見込まれるため、障がいの種別、居住地等の状況に応じて新たな設置を検討してまいります。以上です。
○議長(伊藤嘉人) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) たくさんの小中学校で特別支援学級が設置されておりますが、通級指導教室も併せ、児童生徒の増加に伴い、計画的に新設や新たに学級を増やすことが検討されているようであります。同じ学校で通常学級と特別支援学級の児童生徒が共に学び、経験を共有することでお互いを尊重し、多様性を受け入れることの大切さや豊かな人間性を育むことができるインクルーシブ教育は、共生社会の実現の観点からも大変重要な取組ですので、しっかり検討を進めていただきたいと思います。
それでは、特別支援学級を担う教師の専門性の向上に向けた取組についてお尋ねしてまいります。
まず、特別支援学級の担任は、誰がいつ頃どのような基準で決め、いつから教鞭をお執りになるのか、お知らせください。
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 担任は、教員のこれまでの経験や学年及び学校全体の配置のバランスなどを考え、校長が新年度の校務分掌などと併せて年度末に決定しております。担任としての業務は4月1日から始まり、始業式から実際に子どもたちの指導を行っております。以上です。
○議長(伊藤嘉人) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 特別支援学級の担任は、教員のこれまでの経験や学年及び学校全体の配置のバランス等を考え、学校長が決定されるとのことですが、全く特別支援学級の経験を踏まれていない教員が、系統だった事前研修もお受けにならずに学級を任されることがある現状について、その認識と御所見をお伺いいたします。
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 特別支援学級は小中学校における学級の一つで、全ての教員に担任をする可能性があります。そのため、初めて特別支援学級を担任する教員に対しては、年度当初に、経験のある教員などが学級経営や児童生徒の指導方法について適切な指導を行い、子どもに関わることができるようにしております。以上です。
○議長(伊藤嘉人) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 全ての教員が特別支援学級の担任をすることはあるとのことですから、全ての教員の方が、支援が必要な児童生徒の特性等を踏まえた学級経営、授業づくりを研さんすることが重要であり、校内人材を活用したOJTによる支援体制の充実が必要なことが理解できます。
そこで提案ですが、特別支援学級の安定的な運営のためには、必ず一度は教員奉職中に特別支援学級を受け持つなど、経験により特別支援教育の大切さや苦労が実感できる中長期的な人材育成に取り組まれてはいかがでしょうか。人事構想に盛り込む必要があると考えますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 教員の人事異動を行うに当たっては、学校長の学校経営構想などを十分にヒアリングし、特別支援学級の経験者や希望者を全市的な観点から適切に配置しております。また、特別支援学校の教員についても、積極的に小中学校に配置し、特別支援学級の担任を務めることができるようにするとともに、その知識やノウハウを他の教員にも習得してもらえるように取り組んでいるところでございます。今後とも、研修や人事を通して学校現場において特別支援教育に対応できる人材を増やしていけるよう、中長期的な人材育成に取り組んでまいります。以上です。
○議長(伊藤嘉人) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) それでは、特別支援学級の担任の研修体制及び研修の受講の現状、実績について具体的にお尋ねいたします。
初めて特別支援学級の担任となった教員に対する研修の有無、回数、時期、内容、受講者数、受講率をお知らせください。また、全教員が受講できる特別支援教育に関する研修の受講者数についても、併せてお知らせください。
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 初めて特別支援学級の担任となった教員への研修については年3回実施しており、4月に特別支援学級の基礎についての研修を、5月に保護者との連携や障がい種に応じた指導などをテーマとした研修を、6月から11月にかけて障がい種など個別の課題に対応した11講座から選択する研修を実施しております。受講者数については、令和3年5月に実施した研修では、受講対象者166名のうち163名が受講しており、受講率は98%となっています。
また、全教員が受講できる研修については、今申し上げました11講座の選択研修は誰もが受講できる研修としており、令和元年度は721名が受講し、令和3年度は525名が受講する見込みとなっております。以上です。
○議長(伊藤嘉人) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 本市の教員の方は約7,800名おられると伺っておりますので、全教員が受講できる特別支援教育に関する受講者数は1割程度であり、もっと多くの教員が受講できるように、研修方法や内容などを工夫する余地があると思われます。
相模原市の取組を紹介すると、特別支援学級や通級指導教室を初めて担任される教員には、1学期計3回の研修講座を必ず行い、その後に特別支援学校での1日実習も実施しておられました。また、特別支援学級を現在担任されている教員向けに、各校1名必ず参加で、特別支援教育の所掌事務の確認のための研修を実施されています。さらには、特別支援教育スキルアップ研修として、年6回、回ごとに希望者を募って、時には外部講師を招き、テーマ別の研修を行うなど、特別支援教育に当たる教員が参加することに喜びを感じ、支援対象の児童生徒や保護者に安心を与えることができる研修を目指し、不断の改革に取り組んでおられました。
先般、早良区百道にある福岡市教育センターを訪問調査し、本市においても特別支援教育に関する様々な研修が実施されていることは承知しております。一方で、教育現場は多忙を極めているとの声が私のところにも寄せられております。OJTやオンラインなど多忙な学校現場に寄り添った特別支援教育に関する研修の充実を図る必要があります。
支援を必要とする児童生徒は年々増加しておりますので、本市においても教員の専門性の向上により特別支援教育の充実を図るため、わくわく感と申しましょうか、画一的な形式にのっとることで目新しさや独自性を失うことなく、全ての教員の方が受講してみたいと思い、また、受けやすいと思う研修改革が今ほど求められているときはないと考えますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 特別支援教育に係る研修については、従来の集合研修を行うとともに、オンラインやオンデマンドによる研修も実施するなど、教員が受講しやすい研修となるように取り組んでおり、さらに、特別支援教育に対する全ての教員の理解を深めるために、経験年数に応じた定期研修において特別支援教育に関するメニューを追加することや、全ての教員がいつでも学びたいときに学ぶことができるよう、研修動画の配信についても検討してまいります。今後とも、特別支援教育に係る研修については、議員の御指摘も踏まえ、より効果的で魅力あるものとなるよう見直しに取り組むとともに、校内研修の充実に向けた支援も図ってまいります。以上です。
○議長(伊藤嘉人) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 次に、特別支援学級の教員の方のフォローはどのように行われているのか、お尋ねいたします。
本市では、学校生活支援員や無償の学校生活支援ボランティアによるサポートが行われているようですが、その配置及び活動状況をお示しください。
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 令和3年9月1日現在において、学校生活支援員の配置を希望する小学校142校及び中学校60校に対して267名を配置しております。活動内容は、配慮を必要とする児童生徒の健康や安全確保等の学校生活上の支援や、学校行事における介助等の学習活動上の支援に当たっております。学校生活支援ボランティアについては、希望する小学校14校及び中学校1校に対して25名を配置しており、障がいのある児童生徒に係る学校職員の補助的な活動に当たっております。以上です。
○議長(伊藤嘉人) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) ただいま御答弁いただいた学校生活支援員や学校生活支援ボランティアの配置や活動について、教育現場からどのような声が寄せられているのか、お答えください。
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 特別支援教育担当者による協議会の中で、学校からの声として、支援員の声かけなどのサポートにより、児童生徒の学校生活や学習に改善が見られた、支援員が会計年度任用職員となったことで、1年間の見通しを持った支援が可能となったなどの声が寄せられております。以上です。
○議長(伊藤嘉人) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 小中学校の学校生活支援員や学校生活支援ボランティアの配置状況は、冒頭にお尋ねした特別支援学級や通級指導教室の対象児童生徒数と比較して少なく、学校現場のニーズに十分に応えているものにはなっていないと考えますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 学校生活支援員に対するニーズの高まりは認識しているところでございます。令和3年度は前年度から25名を増員し、児童生徒の適切な支援の充実につなげております。以上です。
○議長(伊藤嘉人) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 相模原市では、学校をサポートしてくださる方の登録を募集していますと市のホームページ上で分かりやすく広報して、非常勤介助員、学校看護師、学校図書館図書整理員、観察実験アシスタント、支援教育支援員、学習教育支援員、合わせて6職種の学校サポートを行うスタッフを登録募集しております。その中の非常勤介助員は、福岡市でいうところの学校生活支援員に当たると思いますが、会計年度任用職員として採用となれば、支援の必要な児童生徒の日常生活、身辺自立の補助や介助を行うことを業務内容として、週二、三日程度、シフト制で1週間を2人で分けて、1人年間約102日の勤務で、午前8時半から午後5時までの間の実働6時間、日額6,906円の収入を得ることができます。この非常勤介助員は子育ての経験が役に立つということで、これといった資格も要らず、9割が女性で人気が高く、1年更新で最長5年まで同一学校に勤務することができます。そのため、非常勤介助員は支援が必要な児童生徒の個々の特性もよく理解されており、人事異動により特別支援学級の担任の交代があったとしても、そのことによって児童生徒が特段不安に駆られることはないとのことであります。特別支援学級の教員の負担軽減、支援が必要な児童生徒の不安の軽減、市の事業を通じての雇用の創出など、幾重にもシナジー効果が高いとてもよい制度だと思います。
本市においては、学校生活支援員のさらなる増員を図るとともに、それと併せて知識理解の深化とスキルアップを図る研修にも取り組んでいただきたいと考えますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 学校生活支援員については、今後も対象となる児童生徒の実態を踏まえながら適切に配置してまいります。また、学校生活支援員の資質向上を図るため、障がいの理解等についての研修を実施しており、今後も研修の充実に取り組んでまいります。以上です。
○議長(伊藤嘉人) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 次に、福岡市発達教育センターなどの専門機関は、特別支援学級及び通級指導教室に対してどのような関わり方をしておられるのか、お尋ねいたします。
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 小学校や中学校からの要請などがあった場合には、担任に対しては学級経営や児童生徒への接し方など、管理職に対しては校内支援体制の在り方などについて、発達教育センターが他課とも連携して必要に応じた支援を行っております。また、発達教育センターにおいて保護者を対象とする教育相談を実施しており、学識経験者や臨床心理士、言語聴覚士、指導主事等が相談者のニーズに応じて個別に対応しております。以上です。
○議長(伊藤嘉人) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 何かしらの問題が生じた際に、学校からの要請等に応じて、担任及び管理職に対して必要に応じた支援を他課と連携して行っているとのことであります。また、保護者からの相談に対しても、担当窓口として専門スタッフが個別に対応しておられるとのことです。
先般、中央区地行浜にある福岡市発達教育センターを実際に訪問し、調査させていただきましたので、とても大事な役割を担っていただいていることは承知しておりますが、どちらかというと、事前よりも学校からの要請があった場合という事後的な対策への取組に重きが置かれているようであります。
それでは、福岡市発達教育センターを含めた特別支援学級及び通級指導教室の関係機関の連携状況はどうなっているのか、現状をお示しください。
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 関係機関の連携としましては、各区保健福祉センター子育て支援課、こども総合相談センターこども支援課、教育委員会指導部、特別支援学校、小中高等学校特別支援教育コーディネーター等で組織する各区特別支援教育連携協議会を年3回実施しており、配慮を要する子どもたちがよりよい学校生活を送れるよう、幅広い視点から支援方法を協議するなど、それぞれの分野の情報の共有や意見交換を行っております。以上です。
○議長(伊藤嘉人) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 年3回ほど多様な関係機関が集まり、幅広く情報や意見交換を行っておられるようであります。
相模原市では、年に3回どころか、隔週置きに関係機関が集まり、教育委員会の学校教育部の学校教育課が主導し、各学校の特別支援学級などの運営がうまくいっているか、介助支援員がうまく機能しているか、医療的ケアが必要な児童生徒への対応は十分か、通常学級から特別支援学級への措置替え──児童生徒の移籍の必要性の有無など、どこまでも学校現場に寄り添い、担任の教員が一人で問題を抱え込まないように、関係機関の意思の疎通がうまくいかず児童生徒への対応が後手に回らないようにと、これほどまでにと思えるきめ細やかな取組が行われておりました。まさにケース会議、支援会議といった様相の定例会議が行われておりましたが、本市においてもこのような取組の充実が必要だと考えますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 福岡市においても教育委員会の関係各課が随時各学校への支援方策についての会議を行っており、協議した内容を各学校に伝え、児童生徒の支援につなげております。今後も教育委員会内で情報共有を行い、学校支援の充実を図ってまいります。以上です。
○議長(伊藤嘉人) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) ここでポイントとなるのがICTの活用などによる特別支援教育の質の向上であります。相模原市では、指導内容の充実、教師の負担軽減、校務改善等の幅広い観点を踏まえ、ICTの活用が徹底されておりました。
本市において全小中学校に配置されている校務支援システムは、特別支援教育の学校内及び支援に向けた関係機関間の情報共有においてどのように活用されているのか、お示しください。
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 学校内においては校務支援システムを活用して個別の教育支援計画や個別の指導計画を作成し、校内支援委員会においてその共有を行い、支援体制を整えるとともに、進級、進学の際には内容を新年度に引き継ぎ、継続的な支援につなげております。また、一人一人の児童生徒の実態に応じた支援を行うため、校務支援システムで作成した個別の教育支援計画を基に、必要に応じて医療機関や福祉施設などの関係機関とケース会議を実施しております。以上です。
○議長(伊藤嘉人) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) また、学校現場に各種取材を行ったところ、新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議の報告でも触れられておりますように、校長をはじめ、管理職の方のリーダーシップの発揮に期待する声が大きいようであります。特別支援学級と通常の学級との交流及び共同学習を充実するため、学級や学年等の間で年間指導計画等の在り方を研究したり、特別支援学級における各教科等の学習を充実するため、学級担任間や教科担任等との連携による指導の体制を整えたり、人的環境整備として適切に特別支援教育支援員を確保、配置し、専門性の向上に取り組んだり、ためらわずに各種専門機関との連携を図ることが今求められております。
校長等の管理職の方がさらにリーダーシップを発揮され、学校全体としてカリキュラム、マネジメントの深化を図り、教職員が適切に役割を分担しつつ、相互に連携し、支援が必要な児童生徒への指導、支援の質の向上をたゆむことなく図っていく必要があると考えますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 校長をはじめとする管理職が特別支援教育の方針を明確に示すなど、リーダーシップを発揮し、学校全体で特別支援教育に取り組んでいくことは重要であると考えております。これまで各学校の校内支援委員会において支援の在り方に関する情報共有などを行っておりますが、さらに、校内の特別支援教育の推進体制を強化していくため、校長を中心に担任と特別支援教育コーディネーターが密に連携するなど、支援の充実を図ってまいります。以上です。
○議長(伊藤嘉人) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 特別支援教育の充実について、主に教師の専門性の向上とフォローの在り方の視点からるる述べてまいりました。この時期の支援の関わり方いかんで、その児童生徒の人生が大きく変わっていくとの強いミッション、使命感で特別支援教育に携わっていただいている教職員の方々を含め、全ての関係機関の皆様に心から御礼と感謝を申し上げたいと思います。
コロナ禍の折、視察先が限られておりましたので、今回は相模原市の先進事例を取り上げさせていただきましたが、支援担当教員などの研修の充実や非常勤介助員等のマンパワーサポート体制の充実、関係機関の隔週の定例会議など、その特別支援教育に対する熱量には目をみはるものがあり、感動を禁じ得ませんでした。SDGsの誰一人取り残さないとの理念が特別支援教育に脈打っていることがとても大切だと思います。冒頭に紹介したひとり親家庭で3人の発達障がいのお子さんを持つお母様のニーズに十分に応えられる特別支援教育体制の構築を、他都市の先進事例を取り入れ、今後、本市に展開されることを切望しております。
このテーマの最後に、特別支援教育の抜本的な拡充のための体制構築に向けた教育長の総括的な御所見をお伺いいたします。
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 令和3年1月に出された中央教育審議会答申によると、特別支援教育の今後の方向性として、多様な教育的ニーズのある子どもたちに対して、自立と社会参加を見据えて、その時点での教育的ニーズに最も的確に応える指導を提供できる多様で柔軟な仕組みを整備することが重要であると示されており、福岡市においても障がいのある児童生徒の教育的ニーズに的確に応えるための条件整備が重要であると認識しております。今後も国や県、他都市の取組について情報収集を図るとともに、教員の研修や支援体制の充実に取り組み、児童生徒一人一人に対し適切な指導や必要な支援を行ってまいります。以上です。
○議長(伊藤嘉人) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 次のテーマ、SDGsを踏まえた公園の機能強化に入ります。
本年6月、持続可能な開発ソリューション・ネットワーク、SDSNとドイツのベルテルスマン財団は、サステナブル・ディベロップメント・レポート、持続可能な開発報告書2021を発表いたしました。その報告書によると、日本のSDGsの達成状況の順位は、昨年の17位から18位に後退し、取組が不十分だとされている中に、ゴール13の気候変動、ゴール14の海の生物多様性、ゴール15の陸の生物多様性などの環境関連の目標が目立ちます。
特に大きく悪化したのはゴール15「陸の豊さも守ろう」で、前年が「穏やかな改善」だったのが、今回は「悪化」となり、赤信号がともっております。この主な理由は、生物多様性にとって重要な保護された陸地の平均面積の減少と内陸水面の平均面積の減少が起因しているそうであります。
最近、私が住む東区においても、樹林地やため池が宅地化されていく様子を目にいたしました。農業用ため池などは、本来の用途を終え、公共用地の有効活用や防災上の観点から民間に売却されたものと一定の理解はできますが、あれだけ大きな樹林地や水辺空間が一挙に消失、消えうせてしまったことには言い知れぬ寂しさを感じます。
そこでお尋ねいたしますが、福岡市において、この10年間でどれだけ保全系の緑が減少したのかお示しください。また、それは福岡ペイペイドーム何個分に当たるのか、お答えください。
○議長(伊藤嘉人) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 保全系の緑の面積については、把握している直近の10年間で申しますと、平成19年は約1万5,222ヘクタール、29年は約1万4,886ヘクタールと約336ヘクタール、福岡ペイペイドームの敷地面積約39個分が減少をしております。以上でございます。
○議長(伊藤嘉人) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) そこで、創出系の緑の拠点である公園に注目したいと思います。公園は、あらゆる人にとって健康と安らぎの場であり、また、環境や防災の面でも重要な公共の資源であることは言うまでもありませんが、国際スタンダードとして求められているのはSDGsの観点からの公園の機能強化であります。
まず、「ゴール15 陸の豊さも守ろう──陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る」の観点からお尋ねしてまいります。
先日、海外から、「サー」(ナイト、伯爵)の称号を贈られた造園の熟練技能者の方からお話を伺うことができました。
最近の公園にはしっかりとした樹木が少なくなったように思える。これだけ猛暑が続いているのに、もっと木陰で憩えるような場所が公園に必要ではないか。樹木を植える際も公園の端っこはNG。樹木が成長するにつれ枝が公園の敷地からはみ出し、近隣の道路や住宅地に迷惑をかける事態になるので、頻繁に枝打ちをしなければならず、これでは立派な木が育たない。「この木何の木、気になる木」のCMに出てくるようなシンボルツリーがでーんとある公園を全市的に増やすべきではないか。
その道の達人ならではの至極ごもっともなお話でございました。
そこでお尋ねいたしますが、一体全体、公園の樹木は増えているのでしょうか、減っているのでしょうか。公園における樹木の配置計画はどのようにお決めになっているのでしょうか、お示しください。
○議長(伊藤嘉人) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 直近3年間の公園の植樹実績で申しますと、平成29年度は高木120本、低木、地被類1万1,019平方メートル、30年度は高木433本、低木、地被類2万5,222平方メートル、令和元年度は高木448本、低木、地被類2万5,990平方メートルとなっておりますが、維持管理や枯損、倒木などにより減少した樹木の本数については集計しておりません。また、樹木の配置計画については、地域の御意見を伺いながら、公園のゾーニングを検討する中で、広場空間や遊具の配置などとの調整を図りつつ、樹木の将来的な成長度合いや樹形などの特性を考慮し、決定しております。以上でございます。
○議長(伊藤嘉人) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 年々高木の本数、低木、地被類の面積、ともに植樹実績は増えているとのことですが、伐採した、切った実績は把握されておらず、要するに、よく分からないということであります。公園の活用方法は、高齢者の方からのニーズの高いグラウンドゴルフなど実に様々なものがあり、どちらかというと樹木の配置は隅っこに追いやられているようであります。
先ほど紹介した熟練技能職の方のお話の中に、猛暑が続いているのにとのくだりがありましたが、昨今の地球温暖化による極端気候を考えると、CO2を吸収する樹木を増やすことはとても大事なことであり、グラウンドゴルフなどの競技をする上でも、樹木がでーんとあって、多少その木が邪魔になったとしても、そのことを前提にプレーが行われるような市民の意識変革が必要なときが到来しているように思えます。
市民への啓発も含め、緑が脇役ではなく主役となるような公園を増やす取組を今こそ充実していく必要があると考えますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(伊藤嘉人) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 公園は、都市環境の改善や生物の生息、生育環境の維持、レクリエーションの場の提供、災害の防止、美しく安らぎのある風景の形成など多様な役割を担っております。公園の整備に当たり、ワークショップなどにおいて地域の御意見を伺う中で、ボール遊びなどができる広場空間や防犯の観点からの見通しの確保を重視されることが多くありますが、緑陰の形成や季節感の創出など、緑の持つ機能についても丁寧に御説明し、市民の御理解をいただきながら、緑豊かな公園づくりに取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(伊藤嘉人) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) また、生物多様性の保全の観点から、せめて公園においては、過去に学校などで注目されたビオトープのような生物が生きていける環境を少しでも多く残していく必要があると思いますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(伊藤嘉人) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 公園におけるビオトープについては、かなたけの里公園などで地域の御協力を得ながら整備、管理している事例があります。生物多様性の保全のためには、生物の連続的な生息、移動空間を確保することが重要であり、これまで市街地周縁部の山並みや市街地に延びる丘陵地の緑、博多湾の水辺環境の保全を行うとともに、市街地に点在する公園、緑地、農地と、これらをつなぐ河川、街路樹などの緑を充実させてまいりました。今後とも、生物多様性の保全に資する公園緑地や街路樹等の整備を進めるとともに、河川、干潟などの水辺環境や樹林地の保全に取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(伊藤嘉人) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 次に、「ゴール13 気候変動に具体的な対策を──気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る」の観点からお尋ねいたします。
千早並木広場など公園の照明の電力として太陽光発電を利用している事例もあるようですが、全公園の街路灯に占めるソーラーLED照明灯の数、全体の照明灯に対する割合をお示しください。
○議長(伊藤嘉人) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) ソーラーLED照明灯については、千早並木広場を含め、4公園に12灯設置しており、全体の照明灯に対する割合は約0.2%となっております。以上でございます。
○議長(伊藤嘉人) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) まだまだソーラーつきのLED照明灯は少ないようであります。
それでは、ソーラーつきとはいかないものの、省エネ性能の高いLED照明灯の数、全体の照明灯に対する割合をお示しください。
○議長(伊藤嘉人) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) LED照明灯については1,076灯設置しており、全体の照明灯に対する割合は約17%となっております。以上でございます。
○議長(伊藤嘉人) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 公園の照明灯のLED化もさほど進んでおりません。神戸市などでは民間資金活用型のESCO事業を導入し、市内の約1,600公園、約1万灯の一括LED化を進めているようであります。
そこでお尋ねいたしますが、民間資金活用型ESCO事業とは何か、その概要をお示しください。
○議長(伊藤嘉人) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 民間資金活用型ESCO事業とは、事業者が施設の光熱水費削減に必要な設備の導入や運用、保守管理などの資金を負担して施設の光熱水費削減を実施し、実現した削減額の一部を報酬として受け取る事業のことです。以上でございます。
○議長(伊藤嘉人) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) LED照明灯の設置などの初期コストの平準化が図られ、早期のLED化が実現できるとてもよい制度で、本市においても既に道路照明灯などで取り入れられていることは承知しております。
脱炭素社会の目標達成に向けて、公園照明灯のLED化においても民間活用型ESCO事業などの手法を用い、公園照明灯の一括LED化100%を早期に目指す必要があると考えますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(伊藤嘉人) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 公園照明灯のLED化におけるESCO事業の活用については、令和元年度に検討した結果、公園照明灯は道路照明灯と比べ灯数が少ないこと、1灯当たりの電力削減効果が低いことなど事業規模が小さいことから、事業活用のメリットが小さく、実施を見送っております。なお、公園照明灯のLED化については、これまでは照明灯の新設、更新の機会を捉え、順次行ってまいりましたが、令和3年度からはLED化を目的とした予算を確保し、LED化を加速させているところであり、早期に完了するようしっかり取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(伊藤嘉人) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 次に、地球温暖化により、これまでに経験のない豪雨が頻繁に降るなど、河川の氾濫を遅らせるため、雨水が河川に到達する速度を抑える取組が今ほど急がれているときはありません。福岡市においては、市街化による土地利用の変化に伴い、コンクリートやアスファルト化が進み、まち全体の貯留、浸透機能が低下しているとして、福岡市雨水流出抑制指針に基づき、各局が連携して雨水流出施策が展開されていることは承知しておりますが、不断の努力として、公園などで、その保水機能を高める必要があると思います。
まず、福岡市全体の公共施設における雨水貯留施設及び浸透側溝、雨水浸透ます、園路や駐車場の透水性舗装などの雨水浸透施設整備の進捗状況の推移をお示しください。
○議長(伊藤嘉人) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 福岡市の公共施設における雨水貯留浸透施設の整備状況につきまして、平成27年度末と令和2年度末の5年間で比較しますと、治水池や雨水貯留管などの雨水貯留施設が約65万2,000立方メートルから約70万4,000立方メートルで約5万2,000立方メートルの増加、また、雨水浸透施設のうち、浸透側溝が約131キロメートルから約154キロメートルで約23キロメートルの増加、雨水浸透ますが235基から356基で121基の増加、透水性舗装が約108ヘクタールから約136ヘクタールで約28ヘクタールの増加となっております。以上でございます。
○議長(伊藤嘉人) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 特に公園について、雨水貯留浸透施設整備の進捗状況の推移をお示しください。また、今後の気候変動による降雨量の増大を考慮すると、公園の雨水貯留浸透施設の整備をこれまで以上に進めていかなければならないと考えますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(伊藤嘉人) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 公園における雨水貯留浸透施設整備の進捗状況については、平成27年度末と令和2年度末を比較しますと、雨水貯留施設は679立方メートルから892立方メートルとなり213立方メートル増加、浸透側溝等は7.9キロメートルから16.6キロメートルとなり8.7キロメートル増加、雨水浸透ますは135基から186基となり51基増加、透水性舗装は約8万5,000平方メートルから約13万6,000平方メートルとなり約5万1,000平方メートル増加しております。公園は緑や土で覆われている面積が大きく、それ自体が雨水を浸透し保水する機能を有しているとともに、舗装面や排水施設などを雨水が浸透しやすい材質や仕様にすることで、さらに雨水流出抑制に寄与するものと考えております。今後とも、雨水貯留浸透施設を持つ公園の整備を進めてまいります。以上でございます。
○議長(伊藤嘉人) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 地球温暖化が要因の一つである新型コロナウイルス感染症が全国的に猛威を振るっておりますが、その感染拡大防止対策の一例として公共施設のトイレの洋式化を進めることがあります。蓋を閉めて流すことで排せつ物の飛散が防止され、感染拡大を防ぐ効果があると言われております。
市の公共施設における感染症対策はどのように取り組んでおられるのか、また、公園トイレでの感染拡大防止対策にどのように取り組んでいるのか、御所見をお伺いいたします。
○議長(伊藤嘉人) 松本財政局長。
○財政局長(松本典久) 公共施設における感染症対策につきましては、施設の新築、改修に合わせて換気能力の十分な確保やウイルスの拡散を抑制する空調設備の導入のほか、主に高齢者、障がい者、子どもが利用する施設の手洗い水栓の非接触化などに取り組んでおります。以上でございます。
○議長(伊藤嘉人) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 公園のトイレにおける感染防止対策については、トイレの水栓をワンプッシュ式にする改良を進めております。以上でございます。
○議長(伊藤嘉人) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 東京都は新宿中央公園付近においてスマートポールという事業の共同事業者の公募を開始したそうであります。このスマートポールとは、公衆Wi-Fiに加えて、5G基地局や人流解析のカメラ、デジタルサイネージなどを備える多機能ポールのことだそうです。この東京都の取組について把握しておられましたらお示しください。
○議長(伊藤嘉人) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 東京都においては、「未来の東京」戦略で西新宿エリアを「スマート東京」先行実施エリアと位置づけ、5Gと先端技術を活用したサービスの都市実装に向けて取り組んでおり、令和2年度に複数事業者の協力を得て、西新宿エリアに5Gアンテナ基地局、高速Wi-Fi及びセンサー等の様々な機能を備えた計9基のスマートポールを試行設置し、有用性等の検証を行っていると聞いております。以上でございます。
○議長(伊藤嘉人) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) Wi-Fiも最新機能を取り入れどんどん進化しております。
障がいの有無、国籍に関係なく、あらゆる方が集い合う公園の広域避難場所としての役割を考えるとき、公園の要所要所に無料Wi-Fiの整備をぜひ進めていただきたいと考えますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(伊藤嘉人) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 公園における無料Wi-Fiの導入については、現在、市民サービス向上の観点から、動植物園やかなたけの里公園において管理事務所などのお客様が集まる屋内空間に設置している事例や、東平尾公園においてベスト電器スタジアムに通信事業者が設置している事例があります。今後、公園が災害時に広域避難場所として果たす役割も踏まえ、無料Wi-Fi等の必要性を検討してまいります。以上でございます。
○議長(伊藤嘉人) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 次に、「ゴール3、 すべての人に健康と福祉を──あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する」の観点からお尋ねいたします。
福岡市の公園には児童遊具や健康遊具が整備されておりますが、その整備状況の推移をお示しください。
○議長(伊藤嘉人) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 公園の遊具については、現在4,785基設置しており、近年は老朽化した遊具を更新する整備を主に行っていることから、その数はここ10年横ばいとなっております。このうち健康遊具については地域のニーズが高く、遊具の更新に当たって設置を要望されることが多くあるため、10年前と比較すると約2倍の647基を設置しております。以上でございます。
○議長(伊藤嘉人) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 地域のニーズを踏まえ、着実に整備を進めていただきたいと思います。
最近、障がいを持つ子どもなども含め、誰もが遊べる公園づくりの一環として、けがや事故のリスクを減らすため、地面はクッション性に優れたゴムチップ舗装、アスファルト部分は滑りにくい樹脂系舗装、寝そべることができる幅広ベンチ、車椅子に乗ったまま遊べる複合遊具、介助者も一緒に乗れるブランコ、車椅子の方も一緒に囲めるテーブル、広場全体を白いフェンスで囲い、子どもの急な飛び出しを防ぐ設計など、UD、ユニバーサルデザインに基づいた遊具や遊び場などがある公園がインクルーシブ公園などと呼ばれ注目されております。
東京都などでは一部整備され、札幌市、名古屋市などで導入に向けての検討が始まっているようであります。東京都の事例について把握されていましたらお示しください。
○議長(伊藤嘉人) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 東京都においては、様々な子どもの障がい関係者へのヒアリングや有識者への意見聴取などを行い、令和2年3月に都立砧公園の遊具エリアの一部、約4,000平方メートルに、障がいの有無や国籍などにかかわらず、あらゆる子どもが一緒に遊べるインクルーシブな遊具広場の第1号が整備され、オープン以降、多くの子どもたちに利用されていると聞いております。以上でございます。
○議長(伊藤嘉人) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) インクルーシブ社会の実現のためにとても大事な取組だと思いますが、福岡市においても導入を検討されてはいかがでしょうか、御所見をお伺いいたします。
○議長(伊藤嘉人) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 福岡市では、誰もが思いやりを持ち、全ての人に優しいまち、ユニバーサル都市・福岡の実現を目指し、公園においてもバリアフリー、ユニバーサルデザインを取り入れた整備を行ってきたところであります。インクルーシブな遊具や遊び場のある公園づくりには、近づきやすさや利用のしやすさ、安全性の確保といった観点でのハード面での整備に加え、管理者や地域住民、ボランティアなどの多様な関係者が参画して継続的に運営の改善を行っていくといったソフト面の取組も重要と言われております。今後、東京都などの先進的な事例も参考にしながら検討を進めてまいります。以上でございます。
○議長(伊藤嘉人) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) ぜひ検討を進めていただきたいと思います。
次に、福岡市緑のまちづくり協会の事務所が近々、福岡市動植物園に移転すると伺っております。企画、広報、技術部門及び自主事業によって得られた収益を公共のために使うシステムを併せ持つ同協会のSDGsに基づいた施策の展開に大いに期待したいと思っております。
そこで提案ですが、障がいのある方も楽しめる福岡市動植物園の無料開放日を設けてはいかがでしょうか。米国の遊園地などでは、障がい者のために日を決めて照明や音響効果などを抑えるところがあるそうで、感覚過敏障がいなどで来場を控えておられた方たちが来られるようになったと伺っております。インクルーシブ社会の実現のために一役買っていただけないでしょうか、御所見をお伺いいたします。
○議長(伊藤嘉人) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 動植物園では現在、通常時でも障がいのある方の入園料及び駐車料金を介護者1名とともに全額減免としており、令和元年度は1万6,182人、2年度は1万3,100人の方に御利用をいただきました。また、障がいのある方向けのサービスとして、これまで、小動物との触れ合いや骨格標本に触れる企画、動物園クリーンスタッフの仕事体験などを実施しております。御提案の、障がいのある方も楽しめる無料開放日につきましては、どのような御希望があるのか、どのような受入れが可能なのかなど、今後関係団体等の御意見を伺ってまいります。以上でございます。
○議長(伊藤嘉人) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) SDGsを踏まえ公園機能を強化するためには、財政規律を守りながらも事業を確実にSDGsの目標達成に導く財源確保が必要であります。最近では北九州市がサステナビリティボンド、川崎市がグリーンボンドというESG投資を呼び込む債券を発行する仕組みを導入したようであります。これらの制度は、債券発行後は、その調達した資金によってどのような事業を行い、どのような成果を上げたのか、KPI、重要業績評価指標の進捗状況を毎年レポートという形で、対外的に適格に問われるために、SDGsに基づいた着実なインフラ整備の推進につながります。
本市においても既にグリーンボンド発行への準備を進めていただいていることは承知しておりますが、さらには、サステナビリティボンド、ソーシャルボンドの取組も進めることで、それらに適格する事業は、KPI、重要業績評価指標に基づき、SDGsを確実に推進することとなると考えますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(伊藤嘉人) 松本財政局長。
○財政局長(松本典久) グリーンボンドの発行につきましては、福岡市の環境の取組や環境改善などの効果が専門の認証機関から評価され、それを国内外にPRできる有効な仕組みであり、現在、認証を得るための準備を進めているところでございます。議員おただしのESG債は、環境、社会、ガバナンス等を考慮した資金調達であり、認証機関からの認証取得や管理コストなどの課題がございますが、福岡市がSDGsに取り組んでいることを示す手法の一つであると認識しており、グリーンボンドも含めたESG債の活用を今後検討してまいります。以上でございます。
○議長(伊藤嘉人) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) SDGsを踏まえた公園機能の強化についてるる述べてまいりました。福岡市においては新たな緑の基本計画の策定に向け検討を進めていると伺っております。SDGsの観点からしっかり取り組んでいただきたいと思います。
御承知のとおり、SDGsの目標到達年は2030年であります。残すところあと10年を切りました。コロナ禍という未曽有の困難なときではありますが、その根本的な解決のためにも、SDGsの目標達成のため、着実に歩み続けることが大切だと思っております。
最後に、SDGsを踏まえた公園機能の強化に対する髙島市長の御所見をお伺いし、私の質問を終わります。
○議長(伊藤嘉人) 髙島市長。
○市長(髙島宗一郎) 福岡市では多くの市民の皆様とともに策定をした福岡市総合計画に基づき、経済的な成長と安全、安心で質の高い暮らしのバランスが取れたコンパクトで持続可能な都市づくりを進めることによってSDGsの達成に取り組んでいます。公園をはじめ、公共空間における緑や花々は、都市環境の改善、生物多様性の確保、景観、レクリエーション機能など様々な役割を担っており、これまでも特別緑地保全地区の指定や都市公園の整備など、緑地の保全や緑化の推進を図りますとともに、市民や企業の皆様と一緒に一人一花運動を進め、花による共創のまちづくりに取り組んできたところでございます。
今後とも、誰一人取り残さないというSDGsの理念を踏まえ、風格ある緑豊かな環境共生都市を目指し、未来を担う子どもたちをはじめ、高齢者や障がい者などあらゆる人々が暮らしやすい都市環境づくりに取り組んでまいります。以上です。