▼令和3年 第3回定例会 川上 多恵 一般質問 (令和3年6月16日)

○14番(川上多恵)登壇 公明党の川上多恵でございます。公明党福岡市議団を代表して、ひとり親家庭の支援について、産前産後の支援について、新型コロナウイルスに感染された方のアフターケアについて質問をいたします。
 初めに、ひとり親家庭の支援についてです。
 本市でもひとり親家庭への支援策を様々行っており、本年度は我が会派の尾花議員が提案した高等職業訓練促進給付金の対象資格を拡大していただきました。しかしながら、長引くコロナの影響で、家計収入の激減や育児不安など、ひとり親家庭が抱える課題は深刻になっています。そこで、支援を必要とする方々に確実に支援が行き届くよう、また、分かりやすい情報提供を行っていけるよう質問をしてまいります。
 まず、本市ではひとり親家庭への支援事業をまとめたひとり親家庭ガイドブックを作成しています。このガイドブックはどのようなタイミングで配布され、どこで入手できるのか、教えてください。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は発言者席にて行います。
 
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) ひとり親家庭ガイドブックにつきましては、各区役所の子育て支援課やひとり親家庭支援センターのほか、市役所1階の情報プラザ、アミカス、子どもプラザや子育て中の方などを対象とした国の就職支援窓口であるマザーズハローワークなどにおいて、相談などの際に広く配布しております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) 周囲のひとり親の方にこのガイドブックのことを聞いてみても、認知度が低く、あまり活用していないという声が多く聞かれました。今回の質問に当たり、私もひとり親家庭ガイドブックを読んでみました。様々な情報がコンパクトにまとまっているのに、あまり活用されていないのは残念に思いました。社会的にもスマートフォンの普及が進んでいるので、より多くの方に情報をお届けするために、情報発信のツールとしてスマートフォンからでも気軽に見れるほうがよいのではないかと思います。
 そこで、市の公式LINEを活用して、ひとり親家庭ガイドブックが閲覧できるようにしてはどうかと提案いたしますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 福岡市の公式LINEでの情報発信につきましては、現在、LINE内にひとり親のカテゴリーを設け、ひとり親家庭に関する情報発信を行っているところですが、さらに、ひとり親家庭ガイドブックの情報を参照できるようにするなど、より分かりやすい情報発信を検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) ありがとうございます。紙媒体のガイドブックと併せて、市の公式LINEでの情報発信もぜひよろしくお願いいたします。
 では、本市のひとり親家庭への支援事業にはどのようなものがあるのか、お示しください。また、ひとり親家庭の方が相談する窓口はどこになるのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) ひとり親家庭への支援策につきましては、日常生活支援事業などの生活支援、自立支援プログラム策定事業などの就労支援、児童扶養手当などの経済的支援、公正証書等作成支援事業などの養育費確保支援などがございます。次に、ひとり親家庭向けの相談窓口については、ひとり親家庭支援センターや各区役所の子育て支援課などがございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) 相談窓口は区の子育て支援課やひとり親家庭支援センターなどがありますが、ここからはひとり親家庭支援センターについて質問をしてまいります。
 まず、ひとり親家庭支援センターでの生活相談、就業相談、法律相談、心の相談、養育費の相談において、それぞれ直近5年間の相談件数をお示しください。
 
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) ひとり親家庭支援センターにおける相談内容ごとの直近5年間の延べ相談件数につきましては、生活相談が平成28年度は883件、29年度は893件、30年度は891件、令和元年度は846件、2年度は1,161件、そのうち養育費の相談は平成28年度は62件、29年度は61件、30年度は55件、令和元年度は82件、養育費確保支援事業を新設した令和2年度は307件となっております。次に、就業相談については、平成28年度は2,209件、29年度は2,294件、30年度は2,403件、令和元年度は2,551件、2年度は2,149件、最後に、法律相談については、平成28年度は102件、29年度は85件、30年度は83件、令和元年度は103件、2年度は103件となっております。なお、心の相談につきましては令和3年度からの新規事業となります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) ただいまの御答弁から、全体的には就業相談が最も多いこと、生活相談が令和2年度は急増し、そのうち養育費相談が5年前と比較して5倍近くも増えていることなどが分かります。
 一方で、平成28年度のひとり親家庭実態調査によると、ひとり親家庭での学習習慣が定着しないことや、進学、教育に関する悩みの割合が大きくなっています。ひとり親家庭支援センターではそのような相談はありますでしょうか。また、それに対する支援はあるのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) ひとり親家庭支援センターにおきましては、ひとり親家庭の子どもたちの進学や教育に関する相談をお受けしております。また、進学や教育に関する支援といたしましては、センターで子どもたちへの夏休み学習支援や春休み学習支援を実施しております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) お示しいただいたとおり、ひとり親家庭支援センターでは、進学、教育に関する相談もできること、夏休みなどの長期休暇に学習支援を実施しているとのことですので、情報を周知していただきますようよろしくお願いいたします。
 では、離婚、養育費、親権などの法律相談についてですが、本市では土曜日の午後2時から4時に対面形式で開催しています。例えば、神戸市では法律相談の開催時間が午前、午後、夜間に設定されており、相談方法も面談、電話、オンラインから選択できるようになっています。
 そこでお尋ねいたしますが、本市のひとり親家庭支援センターにおける法律相談の開催時間帯や相談方法など、利用者がより利用しやすいよう検討すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) ひとり親家庭支援センターにおける法律相談につきましては、毎週土曜日の午後に予約制で女性の弁護士により対面で実施し、事前に電話で受け付ける際に相談内容を踏まえて時間の調整を行うなどの柔軟な対応を行っており、現在のところ相談者からの依頼には対応できていると考えておりますが、今後とも、利用者のニーズに留意しながら必要な対応を行ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) 次に、就業相談についてです。
 本市では事前に求職登録をした方に対して、ハローワーク等と連携し、求人情報を提供しています。なかなかハローワークへ行けない方にとっては大変ありがたいサービスであると思います。また、家庭の状況や就業経験に応じて就業相談員がアドバイスをしていただいておりますが、Zoomでの相談、電話相談など、コロナ感染防止にも配慮した柔軟な相談方法を検討していただくよう要望しておきます。
 資格取得のための就業支援講習会については、本市ではパソコンの基礎講座や介護関係、医療関係の講座等をひとり親家庭支援センターで行っています。働きながら育児をしているひとり親の方が多い中、同センターに通いながら受講ができるという方はごく一部の限られた方になるのではないでしょうか。神戸市では民間の人材育成企業に委託して、資格取得WEB講座を開催しています。就職に結びつく可能性の高い技能や資格を取得するための講座が開設され、開催方法は講座によって、オンライン形式やハイブリッド形式のほかに、自分の好きな時間に何度でも受講できる動画形式があり、コロナ感染防止にも配慮した受講しやすい形となっています。
 本市でもオンラインを活用した資格取得のための講座を開催し、受講者がより受講しやすい環境を提供してはどうかと提案いたしますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 現在、ひとり親家庭支援センターにおいては、様々な資格取得のための講座をセンターや専門学校への通学、または通信講座の活用により実施しております。資格取得のための講座にオンラインを活用することにつきましては、利用者のニーズや講座の受講状況などを踏まえながら、より受講しやすい環境づくりに向け、必要な対応について検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、本市のひとり親家庭支援センターのホームページからの情報発信についてお尋ねいたします。
 同センターのホームページを開くと、相談できる曜日や時間帯の御案内などが主で、支援内容や知りたい情報の提供が乏しいように感じます。東京都では、ひとり親の方、また、これからひとり親になる方向けのサイト、シングルママ・シングルパパくらし応援ナビを開設しています。状況に応じた様々な支援事業とその概要、それに関する問合せ先や、よくある質問とその回答をまとめたお悩みFAQが掲載されています。特にお悩みFAQは24時間いつでも見ることができ、問題解決の糸口になるのではないかと思います。掲載されている内容もシンプルで分かりやすく、トップページには「わたしたちはひとり親をひとりにしません。それぞれ違う背景や心配ごとに寄り添い、それぞれの想いや歩調に合わせて、一緒に進んでいきます」と東京都からのメッセージが発信されております。
 本市のひとり親家庭支援センターのホームページでも、相談したい方がいつでもアクセスできて、よくある質問とその回答、また、支援事業やその問合せ先を掲載してはいかがでしょうか、お尋ねいたします。
 
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) ひとり親家庭支援センターの情報提供の方法につきましては、現在、センター専用のホームページを設けるとともに、LINEでも情報を発信しているところでございます。今後、ホームページの掲載内容を工夫するなど、より分かりやすい情報提供に努めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) 他都市の事例を参考に、より丁寧な情報発信とともに、各種相談などの事前予約もホームページからのネット予約を可能とするなど、利用者の視点に立ったサービスの質の改善を要望しておきます。
 この質問に当たり、母子家庭の友人4人から話を伺いました。友人からは、母子家庭同士の2つの世帯が1つの物件を借りて同居した場合、それぞれの収入が合算されて、児童扶養手当の収入基準から外れてしまうのではないかと質問がありました。
 このように、同じ住所に別々の母子家庭が同居した場合、児童扶養手当の認定はどうなるのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 同じ住所に別々の母子家庭が同居した場合の児童扶養手当の認定につきましては、法令に基づき、それぞれの家庭で受給要件の確認を行い、要件に該当すれば家庭ごとに認定することになります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) ただいま御答弁いただいたように、他人の母子家庭同士が同居しても、児童扶養手当に関して受給要件を満たしていれば認定されるということです。私の友人をはじめ、家賃負担の軽減につながる情報ですので、ぜひ周知をよろしくお願いいたします。
 また、国土交通省は住宅セーフティネット制度のシェアハウスに関する基準を改正し、本年度からひとり親世帯が入居するシェアハウスもセーフティネット住宅として登録することが可能となりました。先ほどのように、ひとり親世帯にとって家賃の負担を軽くするために同居する選択肢もあるという周知が広がれば、ひとり親世帯からのシェアハウスの利用のニーズも高まると思いますので、住宅セーフティネット制度の活用が進むよう、関係事業者への周知も併せてよろしくお願いいたします。
 ここまでひとり親家庭の支援の在り方について要望、提案をさせていただきました。第5次福岡市子ども総合計画の中で、ひとり親家庭の支援施策の方向性として、身近な相談支援体制の充実と利便性向上を図るために、区役所、ひとり親家庭支援センター、男女共同参画推進センターにおける相談体制を充実し、情報発信や連携を強化するとあります。時間的に余裕のないひとり親家庭に対してタイムリーな情報をより確実にお届けし、様々な制度を活用していただけるような仕組みづくりとともに、5年ごとに行われるひとり親家庭実態調査が本年行われますので、コロナ禍というこれまでになかった状況を踏まえて調査項目を設定していただくよう重ねてお願いをいたします。
 最後に、ひとり親家庭の支援について髙島市長に御所見をお伺いし、この質問を終わります。
 
○副議長(楠 正信) 髙島市長。
○市長(髙島宗一郎) ひとり親家庭の方が安心して子育てができて、仕事と子育てが両立できる環境を整え、また、自立に向けて支援を行っていくということは大変重要であるというふうに考えておりまして、福岡市ではこれまで養育費の確保支援や職業訓練給付金の資格の拡大など、様々な支援の充実を図ってきたところであります。今後とも、コロナ禍においても必要とする方々に支援が行き届くように、生活や就業などを支援する様々な施策の充実を図りますとともに、必要な支援の情報が確実に届き、より利用しやすい支援となるようにしっかりと取り組んでまいります。
 
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) 次に、産前産後の支援についてです。
 産後の母親は、出産による体の変化だけでなく、ホルモンバランスも急激に変化するため、精神的にも不安定になりがちな時期です。母親にとって、出産直後1か月は子どもに対する愛情が育まれる最も大事な時期と言われています。しかし、近年は核家族化や晩婚、晩産が進み、親の高齢化や就労により身近な家族からサポートが受けにくい環境になっています。加えて、コロナ禍による外出自粛や子育て施設の閉館、育児に関するイベントの中止や里帰り出産がしづらくなるなど、社会情勢の変化により母親の孤立した育児不安がより一層広がっています。筑波大学の松島みどり准教授が昨年、約3,000人の妊産婦に対して行った心の状態の調査結果によると、産後鬱の可能性がある母親の割合はおよそ24%となり、通常は10%ほどであることから、そのリスクは倍以上となっていることが分かります。
 こうした背景を踏まえ、特に産後の母親へのサポートが急務であるとの思いから質問をしてまいります。
 まず、本市の産後支援にはどのような事業があるのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 福岡市における産後の支援につきましては、産後間もない時期の母親を対象に産科医療機関で健診を行う産婦健康診査事業や、助産師等が乳児のいる全ての家庭を訪問する乳児家庭全戸訪問事業、産後1年未満の母子を対象に産科医療機関等で授乳等の助言、育児相談、母体の体調管理を行う産後ケア事業、生後6か月未満の乳児がいる家庭を対象に家事や育児を援助する産後ヘルパー派遣事業などを実施しております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) では、産後ケア事業、産後ヘルパー派遣事業についてそれぞれ事業開始以降の利用者数及び当該年の出生数をお示しください。
 
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 産後ケア事業、産後ヘルパー派遣事業につきましては、いずれも平成28年12月から実施しております。まず、産後ケア事業の実利用者数は平成28年度37人、29年度188人、30年度248人、令和元年度499人となっております。次に、産後ヘルパー派遣事業の実利用者数は平成28年度38人、29年度152人、30年度173人、令和元年度226人となっております。また、出生数については、平成28年1万4,488人、29年1万4,382人、30年1万3,927人、令和元年1万3,309人となっております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) ただいまお示しいただいたとおり、利用者数が最も多い令和元年度で見ても、産後ケア事業が約4%、産後ヘルパー派遣事業は約2%しか利用されていません。さきに述べたような社会状況を考えると、産後ケアや産後ヘルパーを利用したい方はもっといるのではないかと推測をいたします。また、事業の中には申請から利用開始まで時間がかかり、利用をしづらいという市民の声も届いております。
 そこでお尋ねいたしますが、この現状に対しての課題認識をどのように分析されているのか、お聞かせください。また、産後ケアを実施している施設は市内に何か所あるのか、各区ごとにお示しください。
 
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 産後ケア事業及び産後ヘルパー派遣事業につきましては、母子健康手帳交付時や産科医療機関でのチラシの配布、子育て情報ガイドへの掲載などにより周知を図っており、いずれも年々利用者数は増加してきておりますが、事業の認知が十分とはいえないと考えられることから、今後とも、利用者増に向けてさらなる事業の周知に努めるとともに、より利用しやすい事業となるよう取り組んでまいります。また、産後ケア事業の実施施設については市内に10か所あり、東区2か所、中央区2か所、南区1か所、早良区3か所、西区2か所となっております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) 利用者は赤ちゃんと一緒に産後ケアを実施している施設に行きますので、利便性の観点からも、せめて各区に1か所は産後ケア施設を確保すべきではないでしょうか。
 現在未実施の博多区、城南区について、産後ケア施設を早急に整備していただきたいと思いますが、いかがでしょうか、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 産後ケア事業の実施施設につきましては、産婦人科等の医療関係団体の協力を得ながら、事業開始以降、積極的に募集を行っているところでありますが、博多区や城南区でも整備が図られるよう、その確保に向けてしっかり取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) 前向きな御答弁、大変ありがとうございます。どうかよろしくお願いいたします。
 産後ケアを利用した方のアンケートによると、利用した理由について多かった順に、授乳がうまくいかなかった、ゆっくりしたかった、病院に勧められた、疲れていたと続き、利用した満足度については多かった順に、ゆっくり食事が取れた、相談に乗ってもらえた、ゆっくり休むことができたとの回答が得られ、心身ともに疲れを癒やし、母体ケアをすることの大切さがうかがわれます。
 そのような産後の母親に寄り添い、家事や育児の訪問支援の資格を持つ産後ドゥーラという方がいます。ドゥーラとは、ギリシャ語で他の女性に寄り添い支援する経験豊かな女性という意味だそうです。産後ドゥーラは母親サポート、家事サポート、育児サポートを担い、産前産後の女性の心身の変化、新生児のケア等についての知識、対応スキルを身につけており、母親の気持ち、ニーズを受け止め、包括的にサポートをしてくれます。また、出産前から産後のサポートについてプランニングをすることもできるので、家族の状況や母親の要望を聞きながら、母親との信頼関係を築く中で継続的にサポートすることができます。
今、関東を中心にこの多くの産後ドゥーラが活躍をし、東京都や横浜市、千葉市などでは産後支援事業の制度として活用され、利用料の一部助成を行っております。利用者からも大変好評で、多くのニーズがあると伺っています。本市でもぜひこの産後ドゥーラを利用することで産後の母親が安心して子育てができる一助となればと思いますが、本市ではまだまだ産後ドゥーラの認知度が低く、産後ドゥーラが数人しかいらっしゃらないというのが実情でございます。
 そこで、本市においても産前産後の母親に寄り添ったサポートを提供するために、まずは産後ドゥーラのことを市民の皆さんに知っていただけるよう、チラシやポスターなどを子育て施設や公共施設などに配備していただきたいと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 産後ドゥーラにつきましては、民間資格の一つと承知しておりますが、その位置づけや活動状況等を把握した上で、周知を含め、取扱いを検討する必要があると考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) 東京都では産後家事・育児支援事業の中で、家事育児サポーターとして産後ドゥーラがきちんと位置づけされており、港区や品川区では産後ドゥーラ養成促進のために講座の受講料を一部助成するなど、産後支援の体制が強化されております。また、政令市である千葉市や横浜市においては、産前産後のヘルパー派遣事業の事業者の中に産後ドゥーラが含まれており、他の自治体では産後ドゥーラを制度の中に取り入れ、活用されています。
 産後の母親の育児不安、孤立、産後鬱、コロナ禍という社会情勢を踏まえ、今本当に必要な産後サポートの在り方として、産後ドゥーラを活用している他都市の先進事例をしっかり調査して、産後ドゥーラの役割の評価と本市での活用の見込みについて検討をしていただきたいと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 産後の母親を支援することは重要であると考えております。産後ドゥーラについては、他都市の状況等を参考にしながら、母子保健法に基づく産後ケア事業等においてどのような位置づけとなるのか、また、提供されるサポートの内容や性質、福岡市における活動状況などを総合的に踏まえた上で対応について検討していく必要があると考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) ありがとうございます。産前産後の母親が何を求め、どのようなサポートを必要としているのか、それに対して寄り添った支援が行き届く、そんな産前産後支援の充実が図られるよう強く要望いたします。
 最後に、コロナ禍での産前産後支援について髙島市長の御所見をお伺いし、この質問を終わります。
 
○副議長(楠 正信) 髙島市長。
○市長(髙島宗一郎) 妊産婦及びその家族が産前産後の不安や悩みを軽減し、社会全体で安心して子育てができる環境をつくっていくということは大変重要であるというふうに認識をしております。
 福岡市としましては、これまで妊産婦の方への保健師等による家庭訪問、また、産婦健康診査事業などを行うとともに、産後ケア事業や産後ヘルパー派遣事業については、期間の延長または減免制度の拡充を図りますほか、コロナ禍において新たにオンラインを活用した母子保健事業を実施するなど、産前産後の支援に取り組んでいるところであります。今後とも、子育て家庭の皆様に対し、妊娠、出産、子育ての不安や悩みに寄り添いながら、切れ目なく支援を届けられるようにしっかりと取り組んでまいります。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) 次に、新型コロナウイルスに感染された方のアフターケアについて質問をしてまいります。
 新型コロナウイルスに感染し、一定期間の治療や療養が終わった後も、長期間にわたり倦怠感や息苦しさ、味覚、嗅覚障がい、気持ちの落ち込みなど、心身ともに負担が大きく、悩んでおられる方がいます。後遺症に苦しむ人がなかなか社会復帰できずに職場で解雇されたり、どこに相談してよいか分からずに一人で悩み、追い詰められているケースも少なくありません。そのような方々に対して、体調面、精神面でのサポート、そして、差別や偏見のない人権を尊重する社会の構築が必要であると考え、この3点の角度から質問をしてまいります。
 まず、本市におけるこれまでの陽性患者数を教えてください。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 6月15日現在の陽性者の累計は、再陽性の事例を除き1万6,700人となっております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) では、体調面でのサポートとして、新型コロナウイルスに感染された方が治療や療養が終わった後も症状が続く場合、相談する窓口はどこになるのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 療養が終わった後も症状が続く場合の相談につきましては、各保健所の健康相談や新型コロナウイルス感染症相談ダイヤルにおいて、症状に応じ、かかりつけ医や新型コロナウイルス感染症の治療を行った病院等での受診を案内いたしております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) 新型コロナウイルスの後遺症についての調査で、イタリアでは143人の回復者のうち、回復後、発症から平均2か月後に87%の人が何らかの症状を訴えているとの調査結果が報告されています。日本においては、国立国際医療研究センターが回復した63人に行った疫学調査結果によると、回答した63人のうち、発症から2か月で48%の人にせき、たん、だるさ、味覚、嗅覚障がいなどの症状が見られ、4か月後も27%の人に何らかの後遺症が認められたとのことです。これらの結果から、多くの方が長期間にわたりコロナ感染による体調不良を抱えていることが分かります。このような状況を踏まえ、東京都では都議会公明党の推進により、この4月に都内8か所の都立病院などにコロナ後遺症相談窓口を設置いたしました。
 そこでお尋ねいたしますが、新型コロナウイルスの後遺症について、現時点では確立された治療法はないものの、症状がなかなか回復せずに悩んでおられる方のために、本市においても福岡市民病院に専門の窓口の設置を検討してはどうかと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 専門窓口の設置につきましては、現在、国におきまして新型コロナウイルス感染症による後遺障害の頻度や症状、期間などについての研究が行われているところでありまして、今後の国の動向を注視してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) 東京都墨田区ではコロナ後遺症相談センターを設置し、電話相談のほか、症状に応じて対応できる区内の医療機関を紹介したり、区のホームページに様々な症状別に診療可能な病院の一覧が掲載されています。本市としてもこのような行政の相談窓口を設置できないのか、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 議員お尋ねの相談窓口につきましては、新型コロナウイルス感染症による後遺障害に限らず、各保健所におきまして、その症状に応じた医療機関を紹介しているところでございます。今後とも、適切な医療機関の受診につながりますよう、効果的な周知について検討してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) ぜひよろしくお願いいたします。
 東京都では後遺症の認知度が低い現状を踏まえ、入院や施設、自宅で療養する方向けに後遺症の事例や相談窓口を紹介したり、リーフレットを作成し、配布をしています。新型コロナウイルスに感染された方が一人で不安や孤独を感じながら後遺症に悩むことのないよう、チラシやポスターなどの周知、啓発に取り組み、安心して日常を取り戻せるよう体制整備を早急に構築していただきたいと要望しておきます。
 続いて、精神面でのサポートについてお伺いいたします。
 社会復帰をするに当たり、周りの目を気にしたり、心ない言葉を浴びるなどして、心の不調を感じている人も少なくないと思います。このように、コロナに関連して不安を抱える市民の方が利用できる相談窓口はあるのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 新型コロナウイルスに関わる心のケアにつきましては、市民の不安感やストレスといった幅広い相談に対応する新型コロナウイルス感染症関連心のケア相談窓口を令和2年6月に開設しておりまして、精神保健福祉士や保健師等がこれまで600件程度の相談を受けております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) 新型コロナウイルス感染症関連心のケア相談窓口が一般的な相談窓口として開設されているとのことですので、ポスターやチラシなどを活用し、市民の皆さんへの周知をよろしくお願いいたします。
 それとは別に、本市では新型コロナウイルス感染症専門メンタルケアを本年3月に開設しておりますが、その背景と事業概要、これまでの相談者数及び相談件数をお示しください。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 新型コロナウイルス感染症専門メンタルケアにつきましては、感染したことにより、眠れない、自分を責めてしまうといった深刻な悩みを抱えて、精神的な不調が長く続く場合があることから、感染された御本人とその御家族、また、クラスターが発生した施設の従事者等を対象に専門的な心のケアを行うため、本年3月に設置したものでございます。専門の臨床心理士が電話相談に応じており、その連絡先は、感染された方の入院先、それから、クラスターが発生した事業所等に直接お知らせしているところでございますが、令和3年5月末現在における相談者数は8名で、相談件数は16件となっております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) 開設から3か月で相談者数が8人、相談件数は16件とのことですが、とても少ないように感じます。もっと多くの方が利用できる相談窓口であるべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 新型コロナウイルス感染症専門メンタルケアにつきましては、深刻な悩みを抱えている方を対象として専門的なケアを行うため、対象者を特定し、連絡先を直接お知らせしているところでございますが、今後、より多くの方に利用していただけるよう、効果的な周知方法を検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) 今後はより多くの方が利用できるように検討いただけるとのことですので、どうぞよろしくお願いいたします。
 感染拡大の影響でコロナ鬱が増加していると言われています。私が伺う相談の中でも、コロナによって仕事や生活のこと、育児不安など、様々な悩みを抱え、先が見えない現実に翻弄されるケースもまれではありません。そのような中、先日、福岡市の30代女性が自宅療養中に自ら命を絶つという悲しいニュースが飛び込んでまいりました。私はこのニュースを聞いて、大変心が痛みました。何とか彼女の心の声を聞くすべはなかったのだろうかと悔やんでも悔やみ切れない思いでいっぱいになりました。
 市民の命を守るためにゲートキーパーを活用するなど、メンタルケアが必要な方が早期に支援につながるよう、寄り添った支援の在り方を検討していただきたいと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) メンタルケアの必要な方を早期に支援につなげるためには、悩みを抱えた方が一人で考え込んで孤立に陥るのを防ぐ必要があり、身の回りで悩んでいる人に気づき、声をかけ、話を聞いて、必要な支援につなげ、見守るというゲートキーパーは重要な役割を担っているものと認識をいたしております。そのため、医療職員や福祉関係職員といった専門職だけではなく、地域や職場、学校など、支援の必要な方の身近な分野で幅広くゲートキーパーを養成しますとともに、保健、福祉、医療、教育、労働などの相談窓口や関係団体と連携して、悩みを抱えている方ができるだけ早く相談窓口につながるよう、一人一人に寄り添った支援を行ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、人権を守る観点からお伺いします。
 新型コロナウイルスは誰でも感染する可能性があります。周りからの差別や偏見、そして、誹謗中傷を根絶するための取組は非常に重要であると考えます。
 教育現場において、児童生徒が本人及び家族がコロナに感染したことにより周りから差別や偏見を受けた場合の相談先や相談方法、また、子どもたちへそのことがしっかりと周知されているのか、お伺いいたします。
 
○副議長(楠 正信) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 本人及び家族が新型コロナウイルスに感染した児童生徒に対しては、担任をはじめとする教員がサポートするとともに、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなどがチーム学校として対応しております。相談先等については、24時間子供SOSダイヤルや福岡市こどもSNS相談など、児童生徒の状況に応じた相談窓口を開設しております。その周知方法につきましても、全ての児童生徒に相談機関の連絡先を記載したプリントを配付するとともに、児童生徒に貸与した1人1台のタブレット端末を活用し、一人一人がいつでも連絡先の一覧を見ることができるようにしております。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) 子どもにとっては、何げなく発言されたことがきっかけで、いじめや不登校の要因にもなりかねません。各学校におきましては、新型コロナウイルス感染症に対する偏見や差別をしてはいけないという教育をより一層強化していただくようお願い申し上げます。
 新型コロナウイルスに感染された方やその御家族、また、医療従事者や介護従事者の方々などが社会から誹謗中傷を受けることなく、そのことを一人で抱え込んで孤立することがないように、社会全体が人権を尊重し、思いやりのある地域社会を構築することが大事であると思います。
 コロナ差別や偏見の根絶に向けての対策についてどのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 新型コロナウイルス感染症につきましては、感染した方やその家族などの人権が尊重され、差別的な取扱いを受けることがないよう、市ホームページや市政だより、ポスター掲示のほか、市庁舎や地下鉄構内のデジタルサイネージを活用した啓発、人権に関する講演会など、様々な機会を捉えて取組を進めております。今後とも、国や県など関係機関と連携しながら、新型コロナウイルス感染症に関する正しい知識や情報の発信などに努めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) 拝見しましたら、市のホームページに掲載してある資料が具体例とイラストで表記され、見て、とても分かりやすいと感じました。
 これは国からの通知文の別添資料ということで、配布物として作成されているものではないとお聞きしていますが、とても分かりやすいので、ぜひ市独自で加工をした上でチラシ、ポスターとして市の施設などに新たに掲示するなど、啓発に取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか、お尋ねいたします。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 新型コロナウイルス感染症につきましては、議員から御提案がありましたように、今後とも、国や県の資料も活用しながら、人権が尊重され、差別的な取扱いを受けることがないよう、市民にとって分かりやすい啓発に努めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) ぜひよろしくお願いいたします。
 最後に、新型コロナウイルスに感染された方に対するアフターケアについて本市としてどのように取り組んでいかれるのか、荒瀬副市長に御所見をお伺いし、私の質問を終わります。
 
○副議長(楠 正信) 荒瀬副市長。
○副市長(荒瀬泰子) 新型コロナウイルス感染症は一昨年の冬に中国において確認された後、瞬く間に全世界に広がり、猛威を振るっておりますが、まだ感染症の全貌がつかめておりません。そのため、罹患後の予後や社会復帰の際の偏見など、様々な問題を抱えている患者さんも多く、不安や抑鬱などの症状が出現し、適切なサポートが必要な方も多くおられます。
 福岡市では身体的症状に関しましては、保健所等を通じ、適切な医療機関につなげるとともに、メンタルヘルスにつきましては、市精神保健福祉センターの心のケア相談窓口で対応してまいりましたが、本年3月にはより専門性の高い専門メンタルケアを設置し、深刻なメンタルヘルスに対応してきたところでございます。今後とも、社会における差別や偏見をなくすための啓発等にも努めながら、新型コロナウイルス感染症に感染された方々が心身の健康を回復して、元の生活ができるよう取り組んでまいります。以上です。

 

議員紹介

  1. つつみ 健太郎

    西 区

    つつみ 健太郎
  2. たばる 香代子

    中央区

    たばる 香代子
  3. たのかしら 知行

    博多区

    たのかしら 知行
  4. 石本 優子

    早良区

    石本 優子
  5. かつやま 信吾

    東 区

    かつやま 信吾
  6. 古川 きよふみ

    博多区

    古川 きよふみ
  7. 高木 勝利

    早良区

    高木 勝利
  8. しのはら 達也

    城南区

    しのはら 達也
  9. 尾花 康広

    東 区

    尾花 康広
  10. 松野 たかし

    南 区

    松野 たかし
  11. 山口 つよし

    東 区

    山口 つよし
  12. 大石 しゅうじ

    南 区

    大石 しゅうじ
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