○16番(大坪真由美)登壇 私は公明党福岡市議団を代表いたしまして、子宮頸がんワクチンについて、新しい生活様式での図書館サービスの向上についての2点質問させていただきます。
初めに、子宮頸がんワクチンについてです。
世界保健機構、WHOが新型コロナウイルス感染症のパンデミック、世界的大流行を表明してから約半年、収束の見通しは依然不透明ですが、人類と新型コロナウイルスとの闘いは始まったばかりで、国内外でワクチン、治療薬の開発や医療提供体制の強化などに期待が寄せられています。今、世界はワクチン確保の競い合いとなっています。誰もが新型コロナウイルス感染症に対する正しい知識を冷静に理解できるように伝えるリスクコミュニケーションが必要だと言われています。
コロナ禍で、外出自粛に加え、通院による感染への不安などから、子どもの定期予防接種を控える動きがあり、接種率の低下傾向に懸念の声が上がっております。適切な接種時期から遅れれば、それだけ子どもが病気にかかるリスクも大きくなり、病気の免疫を持っていない子どもの集団が増えるほど感染して重症化したり、命を落とすリスクは大きくなる。自粛中でも予防接種は不要不急に当たらないとして適切な時期に予定どおり接種することが望ましいとされています。
そこで、お尋ねいたしますが、新型コロナウイルスの影響で定期予防接種を見送り、期限を過ぎてしまった未接種の子どもさんへの対応はどうなっていますでしょうか。また、特に乳幼児の予防接種を遅らせないほうがよいのはなぜか、未接種の場合のリスクを含めて御所見をお聞かせください。
これで1問目の質問を終わり、2問目以降は自席にて行います。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 令和2年1月1日以降に接種期限が切れる方で、コロナウイルスの影響で定期接種を受けることができなかった方につきましては、令和2年3月19日付の厚生労働省の通知に基づき、令和3年1月31日まで接種期限の延長を行っております。
予防接種の接種年齢につきましては、感染症にかかりやすい年齢などを基に定められております。特に生後2か月から予防接種を受け始めることは、母親からもらった免疫の減少によって感染症にかかりやすくなることから大変重要とされております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 大坪真由美議員。
○16番(大坪真由美) ワクチン接種で予防可能な病気の一つに子宮頸がんがあります。しかし、定期予防接種となっていることを知らなくて対象期間を過ぎていた、もっと早くに正確な情報として知りたかったとのお声を伺いましたので、子宮頸がんワクチン接種の現状と今後の課題及び市の考え方について質問を進めてまいります。
子宮といえば、多くの男性は自分にあまり関係がないと思われるかもしれませんが、その誤解を解きたいと思います。がんのほとんどは個人の体内変化でございますが、子宮頸がんの多くは男性から女性に感染するウイルスが原因となって発症するといううつるがんです。ヒトパピローマウイルス、HPVは性交渉によって女性に感染します。このウイルスに感染することは決して特別なことではなく、誰でも感染する可能性があります。ヒトパピローマウイルスに感染してもほとんどの場合は自然に排除されますが、ウイルスが排除されずに長期間感染が続く場合があり、ごく一部のケースで数年から数十年にかけて子宮頸がんを発症するものです。
多くの先進国では子宮頸がんで亡くなる人は検診の普及で減少してきておりますが、日本では子宮頸がんになる人も亡くなる人も増える傾向にあります。
そこで、福岡市の子宮頸がんでの死亡者数、過去5年間の推移についてお尋ねいたします。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 福岡市における子宮頸がんによる死亡者数につきましては、人口動態統計によりますと、平成26年が30人、27年が37人、28年が45人、29年が36人、30年が30人となっております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 大坪真由美議員。
○16番(大坪真由美) 今お答えのように、子宮頸がんは若い女性がかかるがんの中では、乳がんに次いで多く、日本では年間1万人近くの女性が罹患し、約3,000人もの女性が亡くなっております。早期に発見できれば完治する可能性の高い病気ですが、症状が進むと子宮を摘出する手術に至るなど、妊娠、出産に影響するだけでなく、若い女性の命に関わる深刻な病気です。子育て中の女性が幼い子どもを残して亡くなるケースも多いことから、マザーキラーとも呼ばれている怖いがんです。
次に、子宮頸がんの予防方法についてお伺いいたします。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) がんの予防法につきましては、2017年に国立がん研究センターが発表しました、科学的根拠に基づく日本人のためのがん予防法によりますと、がんになるリスクが低くなる生活習慣としまして、禁煙、節度のある飲酒、バランスのよい食事、適度な運動、適正体重の維持が挙げられております。
また、子宮頸がんの予防につきましては、20歳以上は2年に一度、子宮頸がん検診を受診すること、ヒトパピローマウイルス感染を予防するワクチンを接種することが挙げられております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 大坪真由美議員。
○16番(大坪真由美) HPVの感染を予防するには、HPVワクチンを接種することが有効であり、海外の調査ではワクチンの導入により感染率が減少したとされております。現在、世界70か国以上で国のプログラムとして定期予防接種の対象となっており、さらにオーストラリアなど11か国では男性も接種対象となっているものです。
では、日本でのHPVワクチンの現状とワクチンの有効性についてお聞かせください。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) ヒトパピローマウイルスワクチンにつきましては、平成25年4月に法に基づく定期接種とされましたが、ワクチン接種との因果関係を否定できない副反応の発生により、同年6月に接種の積極的な勧奨とならないよう留意することとの勧告が国よりなされ、現在に至っております。
ワクチンの有効性につきましては、子宮頸がんを起こしやすいウイルスである16型と18型の感染を防ぐことができ、これにより子宮頸がんの原因の約50から70%を防ぐとされております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 大坪真由美議員。
○16番(大坪真由美) 続いて、HPVワクチンの定期接種の対象者と接種方法についてお答えください。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 定期接種の対象者につきましては、小学校6年生から高校1年生相当年齢の女子となっております。
接種方法につきましては、標準のスケジュールで申しますと、初回接種後、1、2か月空けて2回目を接種し、初回接種から6か月後に3回目を接種することが推奨されております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 大坪真由美議員。
○16番(大坪真由美) 平成25年4月より国の定期接種となり、対象者の小学6年生から高校1年生に相当する年齢の女子が定期接種として公費負担となり、無償で接種できるようになりました。1回約1万5,000円程度のワクチンを決められた期限内に3回接種するために必要な費用を、対象者1人に対し約5万円を国が予算化しているものです。自治体による積極的勧奨の差し控えが行われており、現在もその状況は変わらず、既に7年以上が経過しています。国は現在もこのワクチンを定期接種の対象としており、毎年予算化されているのが現状です。接種を希望する12歳から16歳の女子は定期接種として受けることが可能とされています。
福岡市でのこの定期接種が始まった当初からの延べ実施人数の推移と直近の接種率についてお聞かせください。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 定期接種の延べ実施人数につきましては、定期接種が始まりました平成25年度が1,449人、26年度が216人、27年度が95人、28年度が100人、29年度が117人、30年度が279人、令和元年度が569人で、接種率は3.0%となっております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 大坪真由美議員。
○16番(大坪真由美) お答えいただきましたように、積極的勧奨をしなくなった途端に接種者数が激減しております。これは当然のことと思います。
定期接種を過ぎ未接種となった相談件数、相談内容は何件ありましたでしょうか。あわせて、積極的接種勧奨の差し控えのために1回のみ接種、2回接種と途中でやめている対象者は何人いらっしゃったのか、またその効果はあるのかどうか、お尋ねいたします。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 未接種の方の相談件数及び途中で接種をやめた対象者数につきましては、統計を取っていないため把握できておりません。また、途中で接種をやめた場合の効果につきましても、回数ごとの報告はなく、効果の有無は分かっておりません。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 大坪真由美議員。
○16番(大坪真由美) 効果の有無が分からないとのお答えを頂きましたけれども、福岡市では接種後の副反応の報告数と、その中で重篤な例の報告はありましたでしょうか、お聞きいたします。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 福岡市では、市独自で接種に対する補助事業を開始した平成23年度から現在までに11例の副反応報告があっております。そのうち、主治医により症状の程度が重いと報告されたのは2例でございます。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 大坪真由美議員。
○16番(大坪真由美) 副反応が報道された国はほかにもありますけれども、接種を控えた国は日本だけです。積極的勧奨が控えられた結果、いまだに多くの人がこのHPVワクチンの実態を理解しておりません。
平成25年6月14日に厚生労働省から出されたヒトパピローマウイルス感染症の定期接種の対応についての通達の中で、接種の積極的な勧奨とならないよう留意することとの勧告が出たことで、全国ほとんどの自治体がA類定期接種ワクチンであるにもかかわらず、個別通知などによる周知を行わなくなったのです。その結果、接種率の低迷とともに、ワクチンの存在すら知らない人も増えている状況にあり、子宮頸がんに罹患するリスクが定期接種導入以前に戻ってしまうとも推計をされています。
国がワクチンの積極的勧奨を差し控えている状況があるとはいえ、子宮頸がんの予防が期待できるワクチンとして市民に正しい情報を提供することが重要だと考えますが、福岡市では対象者の方にどのような形で周知を行ってきたのでしょうか、お聞かせください。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 福岡市といたしましても、ワクチンの接種に関して市民へ正しい情報を提供することは重要だと考えております。このため、国が作成をしておりますリーフレットを医療機関へ配布するほか、福岡市ホームページや市政だよりの中で、定期予防接種となっているため希望者は接種ができることや副反応後の相談窓口などについての情報提供を行っております。
また、今年の3月には新中学1年生に対して日本脳炎ワクチン、二種混合ワクチンの個別通知の送付に合わせて、子宮頸がんワクチンのお知らせ文書を同封し、情報提供を行っております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 大坪真由美議員。
○16番(大坪真由美) 厚生労働省はHPVワクチンに関する情報の周知を進めるためにリーフレットを作成して自治体に使用を促しておりますが、個別通知による周知を実施している自治体は1,741自治体中97自治体にとどまっており、HPVワクチンが定期接種であること、つまり定期接種として接種できる権利そのものについても周知不足と言わざるを得ない状況であります。
国民向けの認知度調査では、対象年齢の女性では82.5%、その母親は87.7%がリーフレットなんか見たことがないといった結果でした。同じ調査において、全体では41.3%の方がHPVワクチン接種に関して分からないことが多いため決めかねていると回答し、情報不足のため接種の可否を判断できない現状も明らかとなりました。正しい情報を知っていただき、接種する、しないはそれぞれの御家庭の判断にお任せすればよいのではないでしょうか。
私が御相談をお受けしたように、今のままではワクチンを知らずに対象年齢を過ぎてしまう人も出てくる、そのような危機感を持った自治体の間でワクチンを周知していこうとの取組が広がっています。姫路市では、勧奨中止後も接種案内を継続しており、中学1年生の授業でワクチンの説明をする学校があり、市は全ての学校での取組を進めているとのことです。千葉市では、今年度から接種対象年齢の終わりが近づいている方々にワクチンと定期接種制度を伝えるリーフレットを送付される予定です。福岡市では、先ほど御答弁いただきましたように、今年3月から新中学1年生に個別通知で情報を提供されているとのことで安心いたしました。
しかしながら、特に定期接種の権利がなくなる高校1年生に相当する女子に対しては、3回の接種をするためには9月30日までに第1回目の接種を行う必要があります。待ったなしなので、そのことを知らせる個別案内の通知を福岡市でもぜひ実施していく必要があるかと考えますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 国が積極的勧奨を控える勧告を出した後、国の審議会において副反応の因果関係や安全性等が議論されておりまして、令和2年1月に個別送付を行う方向性が示され、令和2年7月には個別送付のリーフレットの内容について議論が行われているところであります。
福岡市といたしましては、高校1年生相当の女子に対して国のリーフレット完成後、個別通知を行うことを検討してまいりますとともに、様々な機会に正しい情報を広く周知してまいります。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 大坪真由美議員。
○16番(大坪真由美) ぜひよろしくお願いいたします。早急な御検討をしていただくことを再度要望しておきます。
がんの予防方法として、福岡市の子宮頸がん検診受診率と全国平均との比較についてお示しください。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 福岡市の子宮頸がん検診の受診率につきましては、職場や人間ドックで受診する方の把握ができませんので、国が実施しております国民生活基礎調査を用いてお答えをいたしますと、直近の令和元年度調査では41.5%となっており、全国平均の43.7%より2.2%低くなっております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 大坪真由美議員。
○16番(大坪真由美) 福岡市の検診受診率は全国平均を下回っているということですね。
子宮頸がん検診の無料クーポン券事業の概要と利用率の推移についてお聞かせください。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 子宮頸がん検診無料クーポン券事業は、当該年の4月1日時点で20歳の女性に対して無料クーポンを配布する国の補助事業でございます。
利用率の推移につきましては、現在の制度となった平成28年度以降で申し上げますと、平成28年度が11.4%、29年度が12.8%、30年度が13.9%、令和元年度が14.0%となっておりまして、利用率は増加傾向にあります。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 大坪真由美議員。
○16番(大坪真由美) 令和元年度では利用率の伸びが鈍化をしているようですが、コロナ禍の影響が考えられますが、何か対策を行っていますでしょうか、お尋ねいたします。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 厚生労働省の通知に基づき、令和元年度に子宮頸がん検診無料クーポン券事業の対象者であった方で、新型コロナウイルスの影響により受診できなかった方につきましては、令和2年度のクーポン券事業対象者として取り扱う特例措置を実施しているところでございます。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 大坪真由美議員。
○16番(大坪真由美) 子宮頸がんは全国的に20代、30代の若年層で増加傾向にあることから、この年代の方々が感染を防ぐための正しい知識を身につけ、定期的な検診の受診により予防と早期発見、早期治療につなげていくことが重要です。子宮頸がん検診が当たり前になっている先進国に比べ、日本の受診率は約43%とアメリカの半分であります。世界保健機構、WHOは国連の持続可能な開発目標SDGsに子宮頸がんの死亡率を2030年までに30%減らすことを目標に掲げ、子宮頸がん排除への戦略としてHPVワクチン接種率90%を目標としています。しかしながら、日本では患者数、死亡者数とも近年少しずつ増加傾向にあり、このままワクチンの接種が進まない状況が改善しなければ、子宮頸がんの予防において世界の流れから大きく取り残される懸念が生じます。
私たちは今、まだワクチンのない新型コロナウイルスと向き合う中で、命の尊さを実感しております。子宮頸がんはワクチンもあり、検診も実施をしており、受診率を上げることで救える命があるのです。
接種の有無は別として、予防接種行政の中で情報提供が重要であると考えますが、子宮頸がんワクチンに対する福岡市としての見解と今後の取組について、荒瀬副市長に御所見をお伺いして、この質問を終わります。
○議長(阿部真之助) 荒瀬副市長。
○副市長(荒瀬泰子) 予防接種はこれまで多くの感染症の流行の防止に成果を上げ、感染症による患者の発生や死亡率の大幅な減少をもたらすなど、極めて重要な役割を果たしてきております。
現在、新型コロナウイルスのワクチン開発に世界中が期待を寄せているところでございます。しかし一方で、どのワクチンも、極めてまれではございますが、接種後に健康被害が発生することがあるため、接種前に十分な問診を行う、個別接種を推奨しているところでございます。
子宮頸がんワクチンは子宮頸がん予防としては有効なワクチンであり、接種に関して適切な情報の提供を行うことは、大坪議員の御指摘のとおり、とても大切であると考えております。
福岡市といたしましては、新中学1年生や高校1年生相当の女子を対象に個別通知を行うなど、様々な機会に正しい情報が接種対象者にしっかりと届くよう取り組んでまいります。以上です。
○議長(阿部真之助) 大坪真由美議員。
○16番(大坪真由美) ありがとうございます。個別通知に取り組んでいただけるとの御答弁に安心をいたしました。ぜひよろしくお願いいたします。
次に、新しい生活様式での図書館サービスの向上についてです。
今、未曽有のコロナ禍により、世界的な価値観の変容に直面をして、誰もがストレスを抱え、3密を避けるなど、新しい生活様式への対応などが社会全体で求められています。その一方で、コロナ禍は数年単位の長期化も予測されており、ウィズコロナ、ポストコロナとも呼ばれる時代の将来像を模索しなければなりません。
福岡市においても、感染防止対策に配慮して様々な事業に取り組んでいただいておりますが、新たな日常での市民サービスの向上について御相談、御要望を伺っております。その中で、図書館事業についてでありますが、公立図書館の在り方と目的についてお伺いいたします。
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 公立図書館の在り方と目的は、図書館法によれば、図書館とは図書、記録その他必要な資料を収集し、整理し、保存して、一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資することを目的とする施設と定義されております。また、国民の教育と文化の発展に寄与することを目的とし、また文部科学省が示している図書館の設置及び運営上の望ましい基準によれば、市町村は住民に対して適切な図書館サービスを行うことができるよう住民の生活圏、図書館の利用圏等を十分に考慮し、図書館及び分館等の設置に努めるとされております。以上です。
○議長(阿部真之助) 大坪真由美議員。
○16番(大坪真由美) お答えいただきましたように、図書館といっても時代の環境変化に伴うニーズの移ろいとともに、時々に異なる図書館の在り方が議論され、市民に対して適切な図書館サービスを行うことが定義されています。
では、福岡市立図書館は何か所設置されていますでしょうか、お尋ねいたします。
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 福岡市立図書館の設置数は、本館のほか各区の市民センター、地域交流センター内に10の分館を設置しております。以上です。
○議長(阿部真之助) 大坪真由美議員。
○16番(大坪真由美) 本館と分館10館とのお答えを頂きましたが、では、総合図書館の特色について、併せて総合図書館と分館の役割についてお聞きいたします。
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 総合図書館の特色及び総合図書館と分館の役割については、総合図書館は図書資料部門、文書資料部門、映像資料部門の3部門で構成され、映像ホールやミニシアターを併設するなど、多彩な機能を持つ施設であるという特色がございます。
また、総合図書館は福岡市の図書館ネットワーク全体を統括するセンター機能、幅広い豊富な資料を備える、高度で多様なレファレンスの中枢機能、アジアを中心とした国際資料、情報の収集、提供を図る国際資料センター機能を有する福岡市図書館の中央館の役割を持っております。
次に、図書館分館は、総合図書館や他の分館と相互に緊密な連携を図り、身近な場所で図書館サービスを提供する施設としての役割を有しております。以上です。
○議長(阿部真之助) 大坪真由美議員。
○16番(大坪真由美) 総合図書館と分館との緻密な連携を取られているということが分かりました。
それでは、令和元年度の来館者数、人口1人当たりの来館回数、蔵書数と人口1人当たり何冊となるのか、お伺いいたします。
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 令和元年度の来館者数等は、総合図書館及び分館の来館者数約262万3,000人、福岡市の人口1人当たりの来館回数1.66回、総合図書館及び分館の蔵書数約199万7,000冊、人口1人当たりの蔵書数1.26冊となっております。以上です。
○議長(阿部真之助) 大坪真由美議員。
○16番(大坪真由美) 今お答えいただきましたけれども、私が考えていたよりも御利用が少ないのかなというふうに感じますけれども、図書館はどんな人にも無償で情報を提供する知の拠点と言える場所であり、その情報提供の専門性は数値だけでは測れないサービスであると考えます。
総合図書館では、国際資料部門を設置して全国でも有数のアジアを中心とした国際資料を収集しており、日本人のみならず、中国や韓国、ベトナムなど福岡在住の外国人利用者の方にも図書館サービスを提供されておられます。
では、図書館に関しての市民のニーズはどのように把握をされているのでしょうか。また、寄せられている御意見、御要望などについて、併せて図書館の満足度についての調査などがあればお聞かせください。
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 図書館に関しての市民ニーズは、定期的な来館者アンケートや利用者の声回収ボックス等により随時把握をしております。
寄せられている意見、要望としては、蔵書冊数の増や新刊本の整備、休館日の曜日と年間日数、開館時間の拡大等の意見を頂いており、図書館利用者における図書館サービスの満足度は最新の集計結果の平成30年度末で88.9%となっております。以上です。
○議長(阿部真之助) 大坪真由美議員。
○16番(大坪真由美) 市民の皆様の図書館に対する満足度が高いことが分かりました。
図書館は子どもから社会人、高齢者の方まで誰でも、また一人でも気軽に御利用できる地域で多くの人が集う公共施設です。
また、近年、社会状況の変化などによって公共図書館が担うべき役割について、これまでの生涯学習の場としての役割に加え、個人や地域の課題解決支援、ICTの進化に合わせた情報提供、地域の交流の場など、図書館は様々な機能が期待されるようになってきています。このような図書館の機能をまちの魅力づくりにも生かすなど、図書館に関する事業展開としては運営形態も含め、全国各地で様々な新たな取組が展開されています。
この図書館利用者は様々な年代の方が御利用されているわけですけれども、高齢者の方への図書館サービスの対応についてお尋ねいたします。
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 高齢者の方への図書館サービスの対応は、拡大鏡、ルーペ、老眼鏡の貸出し、大活字本の積極的な収集、余裕のある閲覧席の配置やレストランの併設など、利用者が過ごしやすい空間を創出し、提供しております。以上です。
○議長(阿部真之助) 大坪真由美議員。
○16番(大坪真由美) それでは、図書館まで足を運ぶことができない、行けない子どもさんや高齢者の方にとっては地域の身近な公民館や高齢者施設などでも図書サービスを御利用されているようです。団体向けの貸出サービスについてどのように対応されているのか、お聞かせください。
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 団体向け貸出サービスは、団体貸出用に約19万冊を収集し、留守家庭子ども会や地域の読書活動団体、高齢者施設や病院などを対象に登録された417の団体へ貸出しを実施しているところでございます。以上です。
○議長(阿部真之助) 大坪真由美議員。
○16番(大坪真由美) 次に、障がい者の方への図書サービスはどのように取り組んでいらっしゃるのか、お尋ねいたします。
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 障がい者の方への図書サービスは、身体、精神障がい者等で御登録いただいた方に郵送貸出サービスの実施、点字つき触る絵本や大活字本など約1万冊を配架、点字図書館との情報共有、イベントやレファレンスでの連携を実施しております。以上です。
○議長(阿部真之助) 大坪真由美議員。
○16番(大坪真由美) 今お答えいただきました郵送貸出サービスについての御利用人数、貸出冊数、利用方法の概要について、郵送貸出サービスの場合に借りられる冊数と返却までの日数はどうなっていますでしょうか、お聞きいたします。
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 郵送貸出サービスは、令和元年度の登録人数及び貸出冊数は243人、1,770冊となっております。
利用方法は、郵送貸出申込書を郵送かファクスで送付いただくほか、電話やホームページなどでの申込みも可能となっております。貸出冊数は10冊以内、貸出期間は発送日から返却日まで3週間となっております。以上です。
○議長(阿部真之助) 大坪真由美議員。
○16番(大坪真由美) 外国人の方、高齢者の方、障がい者の方々に対応されていることが分かりました。
では、図書館機能の充実については、図書館以外での返却拠点を何か所設置していただいているのか、また返却拠点の効果についてお尋ねいたします。
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 図書館以外の返却拠点は、図書館で借りた本を利用者の通勤や通学途中など身近な場所でも返却できるよう利便性の向上を図っており、市内で博多駅や情報プラザなど合計10か所に返却ポストを設置しているほか、アミカスなど合計4か所の有人カウンターでの図書返却を実施しております。以上です。
○議長(阿部真之助) 大坪真由美議員。
○16番(大坪真由美) 福岡市ではこのコロナ禍において、安心、安全に市民の方々が御利用されるためにどのような感染防止対策に取り組んでおられるかをお伺いいたします。
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 図書館における感染防止対策は、閲覧席を全体の2分の1程度に制限し、長時間の滞在を避けるよう呼びかける、手指消毒設置及びサーモグラフィーの設置、カウンターにシールドを設置、利用者へのマスク着用のお願い、定期的な館内消毒などの対策を実施しているところでございます。以上です。
○議長(阿部真之助) 大坪真由美議員。
○16番(大坪真由美) 各図書館で感染防止対策に取り組んでくださっていることは十分理解をしております。私も先日、西区の地域交流センターさいとぴあの図書館に足を運んでみました。入り口に御利用は30分間との貼り紙を目にし、閲覧席の間隔を空けるなど、きちんと感染防止対策を対応されておりました。
しかしながら、御利用者の方から本に髪の毛が挟まっていた、たばこの臭いが染みついている、汚れがとても気になるので、ウェットティッシュで拭いているなど、図書館の本はどのように消毒をされているのか気になりますとのお声を伺いました。
利用者が衛生面から安心して本を手にできるように、書籍消毒機を導入している図書館があると聞いておりますが、福岡市立図書館の中でこの書籍消毒機を設置しているところはあるのでしょうか、お尋ねいたします。
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 書籍消毒機は福岡市の図書館において設置しているところはございません。以上です。
○議長(阿部真之助) 大坪真由美議員。
○16番(大坪真由美) この書籍消毒機というのは、図書館の出入口に電子レンジのような扉を開けると1台につき2冊から6冊程度の本が入り、本を開けた状態でセットをすると、スイッチを押して紫外線を30秒間照射して消毒や除菌をするなど、また本の下から風が吹き出して、ページの間のほこりを除去するという機械だそうです。来館者自身が操作をし、借りた本を消毒して持ち帰ることができるとのことですが、除菌をするということは今や新しい生活様式そのものです。手の消毒とともに、借りた本の消毒をすることは利用者の安心につながると考えます。
図書館の本は不特定多数の方々が利用されますので、市民の御要望に対して福岡市でも書籍消毒機の導入を検討できないものか、御所見をお伺いいたします。
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 書籍消毒機は新型コロナウイルスへの効果などの十分な検証が得られておらず、相当の経費も必要であることから、導入については今後研究してまいります。以上です。
○議長(阿部真之助) 大坪真由美議員。
○16番(大坪真由美) 今後研究していくとの御答弁を頂きましたが、東京都立川市では7月下旬に全図書館に一斉導入をされたそうです。他都市の状況など参考にされて、福岡市での導入を推進していただきますよう再度要望させていただきます。
新型コロナウイルスの影響で外出自粛や図書館でのイベント中止など利用者が減少したことなどを受け、安心して読書に親しんでもらいたい、利用したい人が来館せずに本を手にする方法はないかと春日市民図書館では6月上旬から電子書籍を貸し出す電子図書館サービスを実施されています。
この電子書籍サービスとはどのような事業なのか、公立図書館における電子書籍貸出サービスを実施している自治体は幾つあるのでしょうか、併せて電子書籍のメリットについてお聞かせください。
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 電子書籍貸出サービスは、電子図書館に登録された電子書籍について、図書館利用登録者が所有するスマートフォンやパソコンなどを使って、24時間365日いつでも予約し、閲覧することができるサービスです。
公立図書館において電子書籍を貸出しする電子図書館は、一般社団法人電子出版制作・流通協議会の調査によると、令和2年7月1日現在、全国で100の自治体が運営しているとのことでございます。
電子書籍のメリットは、図書館利用登録者は図書館に来館することなく電子図書館に登録された電子書籍を読むことができること、音声読み上げや文字の拡大ができたり、子ども向けの動く絵本などの電子書籍があり、障がい者や高齢者、子どもに優しいサービスが可能であること、返却期限が到来すると自動的に返却処理がなされ、未返却が発生しないことなどがございます。以上です。
○議長(阿部真之助) 大坪真由美議員。
○16番(大坪真由美) 電子図書サービスは、図書館を訪れたりする必要がないため、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐ住民サービスとして今注目が高まっています。図書館に行きたくても行けない人に書籍に触れられる機会を提供したいと、7月1日時点で100自治体が電子図書館を運営されています。栃木県の那須塩原市でも7月から電子図書館サービスを開始されました。担当者の方は、これまで図書館の利用者は高齢者が中心だったので、若い世代に利用してほしい、また高齢者も情報通信技術、ICTツールに慣れ親しんでほしいとコメントをされており、新しい生活様式に見合ったサービスだと考えます。
近年、世代を問わず、読書量の低下が危惧されています。国立青少年教育振興機構の調査によると、20代から60代で1か月に読む紙の本がゼロ冊と答えた人は、平成25年には28.1%だったのが平成30年には49.8%に増加をしており、約半数が1冊も本を読まないとの結果でした。今、紙媒体に限らず電子書籍もオーディオブックもあります。
福岡市における電子書籍貸出サービス、電子図書館について、今後どのようなお考えに基づき導入をしていかれるのか、御所見をお伺いいたします。
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 電子書籍貸出サービスの導入については、来館することなく図書を予約、閲覧できる電子図書館は、現段階では図書館用に提供された書籍数が少ないなどの課題もございますが、仕事や育児、介護などで日中の来館が難しい人や高齢や障がいなどで外出が困難な人に読書の機会を増やすだけでなく、新型コロナウイルス感染拡大防止にも有用なサービスであると考えており、計画的な整備充実に取り組んでまいります。以上です。
○議長(阿部真之助) 大坪真由美議員。
○16番(大坪真由美) 大いに期待をしております。
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の活用として、図書館パワーアップ事業が挙げられています。この事業は在宅で過ごす時間を少しでも有意義に過ごしてもらいたい、外出抑制につなげるため、地方公共団体が図書館の蔵書を増やし、また蔵書情報のオンライン化やインターネットでの予約、郵送による貸出しなど、読書環境の充実に向けた取組を実施するのに必要な経費に充当できるものとされています。
福岡市では既に取り組んでいただいている事業でありますが、テレワーク、リモートワーク、オンライン授業と、市民の皆様のライフスタイルが多様に変容しています。今こそ図書館をはじめ、あらゆる公共施設も市民生活の質を高めるためのものであり、市民が求める新しい生活様式に応えていく行政施策を推進していくことが望まれています。
髙島市長の示された世界に先駆けた感染症対応シティへ、生活の質の向上となる図書館サービスについて御所見をお伺いして、私の質問を終わります。
○議長(阿部真之助) 髙島市長。
○市長(髙島宗一郎) 図書館は市民の教育、学術及び文化の発展に寄与することを目的とした施設であり、その中でもICTを活用して来館することなく電子書籍の予約や検索、また閲覧ができる電子図書館は感染症対応シティを目指す福岡市における重要な取組の一つと認識をしています。
大坪議員御指摘のとおり、今まで様々な理由で来館することが難しかった方にも図書館サービスを提供することができるようになり、市民の生活の質の向上につながるものというふうに考えています。
今後とも、図書館サービスの充実について、教育委員会と一体となって取り組んでまいります。以上です。