○13番(川上多恵)登壇 公明党の川上多恵でございます。私は公明党福岡市議団を代表して、アプリを活用した妊産婦支援及び妊活支援について質問いたします。
厚生労働省が6月5日に発表した2019年の人口動態統計によると、1人の女性が一生のうちに産む子どもの数、合計特殊出生率は1.36となり、4年連続で低下となりました。生まれた子どもの数は86万5,234人で過去最少となり、予想を上回るペースで少子化が進んでいます。急速に少子化が進む中、誰もが安心して子どもを生み育てることができるよう、今こそ妊産婦などへの支援を拡充することが大事であると思います。
今回の新型コロナウイルス感染拡大を防止するための不要不急の外出自粛や3密を避けるための行動は、国民生活に大きな影響を与えました。特に妊産婦にとっては、このような状況の中で行動することに大きな不安を感じたことは言うまでもありません。
そこで、まずお尋ねいたしますが、不安を抱える妊産婦から新型コロナウイルスに関する相談はありましたか。あれば、その内容を教えてください。
以上で1問目の質問を終わり、2問目以降は自席にて行います。
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 妊産婦の方からの御相談につきましては、区の子育て世代包括支援センターにおいて、保健師や助産師が電話や面談によりお受けいたしております。
お尋ねの新型コロナウイルス感染症に関するこれまでの主な相談といたしましては、感染した場合の重症化や子どもへの影響に対する不安、里帰り先での出産を希望される場合に、里帰り先の病院での受入れに関する不安、県外への移動自粛により、実家での産前産後のサポートが得られないことへの不安などがございました。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 川上多恵議員。
○13番(川上多恵) 今、御答弁いただいたような不安を解消するためにある制度として、家庭訪問を実施する母子保健訪問指導があります。その中で乳児家庭全戸訪問も行われておりますが、これまでどおり実施されているのか、お答えください。
また、訪問中止の場合は、告知はどのようにされていたのか、その際の妊婦や乳幼児の状況をどのように把握したのか、教えてください。
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) お尋ねの母子保健訪問指導につきましては、保健師や助産師が妊産婦の方や乳児がいらっしゃる御家庭への訪問を行うものでございますが、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大している状況におきましても、緊急性やリスクが高いと思われる御家庭につきましては、感染対策を十分講じた上で、引き続き訪問を実施してきております。
次に、訪問を中止する場合の告知につきましては、区の子育て世代包括支援センターから訪問予定の御家庭に電話などで御連絡をするとともに、連絡の機会を利用して、発育、発達状況の確認や育児上の相談に応じて必要な助言、指導を行っております。また、電話連絡のやり取りの中で直接の支援が必要と判断した場合にも、感染対策を十分講じた上で家庭訪問を実施いたしております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 川上多恵議員。
○13番(川上多恵) 妊産婦に寄り添った支援を行うとともに、特に緊急性やリスクの高い家庭への配慮を引き続きお願いいたします。
次に、乳幼児健診について、新型コロナウイルス感染症の影響と今後の対策について教えてください。
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 乳幼児健診についてでございますが、基本としております区の保健福祉センター等での集団健診については、新型コロナウイルス感染症の影響により、現在休止しておりますが、そのうち4カ月児健診につきましては、5月25日から集団健診を再開するまでの間、医療機関において自己負担なしで個別健診を受けることができるようにいたしております。
また、1歳6カ月児健診につきましても、今後、集団健診を再開するまでの間、同様に個別健診を受けられるようにするとともに、3歳児健診につきましては感染対策を十分講じた上で、できるだけ早い時期に集団健診を再開できるよう準備を進めているところでございます。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 川上多恵議員。
○13番(川上多恵) 3密を避け感染防止策を十分講じていただき、安心して健診を受けていただくために、しっかり体制を整えていただくよう要望いたします。
では、妊産婦への必要な情報提供はどのように行っているのか、御教示ください。
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 妊産婦の方への情報提供についてでございますが、出産、子育てに関する全般的なお知らせについては、母子健康手帳やふくおか子育て情報ガイド、市政だより、公民館だよりのほか、ホームページやLINE及びメールマガジンにより情報提供を行っております。
また、健康診査や予防接種の時期など、対象者に個別にお知らせする内容につきましては、郵送によるほか、LINEやメールマガジンによる情報提供も行っております。
さらに、母子健康手帳を交付する際や乳幼児健診、家庭訪問の際には、対面により直接、妊産婦の方に必要な情報を提供いたしております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 川上多恵議員。
○13番(川上多恵) 様々なツールを使って情報を提供されていますが、子育て世代のユーザーが多いLINEでの発信について詳細をお尋ねしてまいります。
福岡市LINE公式アカウントで、引っ越し、ごみ、子育てなどの生活情報を配信していますが、子育て情報に登録している方の人数をお示しください。
また、LINEを使って具体的にどのような情報を提供しているのか、教えてください。
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 福岡市LINE公式アカウントにおける子育て情報につきましては、令和2年6月1日現在で2万1,222人の方が登録をされております。
また、福岡市LINE公式アカウントにおける子育て情報の提供内容につきましては、母親の妊娠月数や子どもの月齢、年齢に応じた健康診査や予防接種などの情報を定期的に配信しております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 川上多恵議員。
○13番(川上多恵) では、本市のLINE子育て情報の登録者数を増やすために、妊婦や子育て世代の方に対してどのような努力をされているのか、お答えください。
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 福岡市LINE公式アカウントにおける子育て情報の登録者数を増やすための方策といたしましては、母子健康手帳やふくおか子育て情報ガイド等の妊産婦等の方に直接お渡しする配布物の中にQRコードを掲載し、気軽に登録いただけるよう周知を図っております。
また、令和2年4月1日からは、福岡市LINE公式アカウントにおいて、子育て情報ガイドの内容やお問合せの多い御質問について会話形式で案内するチャットボットの機能を追加し、より利便性を高めることにより、効果的な情報発信に取り組んでいるところでございます。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 川上多恵議員。
○13番(川上多恵) 私もふくおか子育て情報ガイドを改めて手に取ってみましたが、本市の子育て支援策が分かりやすく、コンパクトにまとまっており、子育て世帯にとっては必読本であると感じた次第です。
ふくおか子育て情報ガイド等にQRコードを掲載しているとのことですが、本市のホームページを見ると、この情報ガイドの紹介はされていますが、どこで入手できるのかなども併せて掲載していただき、もっと子育て情報ガイドの広報及び活用に努めていただきますよう要望いたします。
今回の新型コロナウイルス感染症対策において、厚生労働省による妊娠中の女性労働者等への配慮の要請や、日本産科婦人科学会などが医療者向けに院内感染対策に十分留意するよう要請したことを受け、民間のIT会社から産婦人科向けのオンライン診療システムの無料提供が実施されています。これを利用することで、患者はスマートフォンのアプリから病院を検索、予約ができ、診察、決済、処方箋の受取りまでを自宅で行うことが可能となります。
また、妊娠、不妊に関する意識調査や今回のような新型コロナウイルス感染症に関するアンケート調査も実施するなど、願ったりかなったりのすばらしいシステムだと思います。他都市においても、例えば相模原市では、母子健康手帳のアプリを導入し、妊婦健診、乳幼児健診の管理、予防接種のスケジューリング機能を活用しており、また、神戸市でも予防接種ナビを導入するなど、積極的にアプリを活用して、妊産婦にとって利便性の向上につながっている事例も多くあります。
このように、全国で400もの自治体がアプリを活用した子育て支援を提供しており、アプリを活用することで、一からシステムを作り込まなくても、より充実した支援が可能となります。
また、国におきましても、子育てノンストップサービスについて議論されており、民間のアプリと連携して、紙の申請等手続を電子化することにより行政の事務負担を軽減するとともに、業務の効率化を図り、対面での支援や確認の機会を確保できるとの見解を示しています。
さらに国の第2次補正予算の中で、妊産婦等への支援の強化に対して177億円の予算をつけ、不安を抱える妊婦に対する新型コロナウイルスの検査費用の補助、オンラインによる保健指導、里帰り出産が困難な妊産婦への育児等支援サービスの提供を行うなど、不安やリスクを解消するための支援策が盛り込まれました。福岡市においても、しっかりとした取組を行っていただきたいと思います。
これらの国の施策、特にオンラインによる保健指導の要となるツールとして、アプリの活用は不可欠であると考えます。
そこで提案ですが、妊産婦にとって大事な母子健康手帳と併用する形で、民間アプリをもっと活用してはいかがでしょうか、御所見をお伺いいたします。
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 民間のアプリの活用につきましては、民間のアプリには様々なサービス内容のものが提供されており、子どもの成長記録や予防接種のスケジュールなどを入力して管理できるなど、母子健康手帳の補完的なサービスとして有効に利用されていると認識いたしており、今後、利便性の高いアプリとの連携の在り方について検討してまいります。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 川上多恵議員。
○13番(川上多恵) ありがとうございます。次に、不妊で悩まれている方への支援、いわゆる妊活支援についてお尋ねいたします。
まず、本市の不妊専門相談センターにおける、開設されて以降の相談者数と相談件数をお示しください。
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 不妊専門相談センターにおける平成29年11月に開設して以降の相談状況でございますが、平成29年度には11月から翌年3月までの間に、301組の方から延べ463件、平成30年度には1,002組の方から延べ1,463件の御相談をお受けいたしております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 川上多恵議員。
○13番(川上多恵) 本市では不妊専門相談センターが平成29年11月から開設されていますが、平成30年度の1年間で1,000組以上もの方が利用されているとのことです。
それでは、不妊専門相談センターではどのような支援を提供されているのか、教えてください。
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 不妊専門相談センターでの支援内容につきましては、不妊カウンセラーや医師が不妊、不育に関する専門的な相談に応じるとともに、講演会の実施などにより、妊娠、出産に関する正しい知識の普及啓発を行っております。
相談につきましては、来所によるほか、電話やメールでの御相談にも対応しております。また、平日昼間に仕事をしている方も相談しやすいよう、土曜日も月2回開設いたしております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 川上多恵議員。
○13番(川上多恵) 妊娠を希望する御夫婦にとって、不妊治療は精神的にも、経済的にも、そして、肉体的にも大きな負担となります。本市ではこれまでの特定不妊治療費への助成に加え、平成30年7月より一般不妊治療の費用を一部助成するようになりましたが、相談者数から見てもより充実した妊活支援が求められていると感じます。
不妊に関する相談はデリケートな問題であり、不妊専門相談センターへ相談される方以外にも、もっと多くの方が悩んでおられるのではないかと推測します。そのような方々に本市から適時的確にダイレクトに届く妊活支援等に関する情報発信ができないでしょうか。
大阪府や北九州市では、民間の妊活アプリと連携して、不妊、妊娠、出産、育児に関する正しい知識の普及啓発や自治体の不妊治療助成制度などの情報を発信し、妊娠を希望する御夫婦の妊活支援に活用されています。この民間の妊活アプリはエビデンスに定評があり、国立成育医療研究センターは共同して、日本初の生理の周期についての調査結果を発表しているほどです。
民間アプリはたくさんありますが、使いやすさ、情報の収集、分析、活用、発信、情報の内容の専門性、他の自治体での活用実績などをしっかり見定め、妊活、出産、育児などの女性の人生をサポートする大事なアプリであるので、ベストのものをしっかり選択していただきたいと思います。
そこで、本市においても不妊に悩む女性を含め、多くの方が利用し、エビデンスに定評がある民間の妊活アプリを活用して、妊活を支援してはどうかと考えますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) アプリを活用した妊活への支援につきましては、現在、様々な民間の妊活アプリが提供されており、今後、より多くの方に対する具体的な妊活の支援につなげるため、アプリと不妊専門相談センターなどとの連携について検討してまいります。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 川上多恵議員。
○13番(川上多恵) 今後5年間の少子化対策の指針となる政府の少子化社会対策大綱が5月29日に閣議決定されました。大綱では、政府が目標とする希望出生率1.8の実現に向けて、若い世代が希望する時期に結婚して、子どもを育てられる環境を整備するとしています。また、不妊治療を受ける方々の経済的負担を軽減するために、今年度実態調査を行い、効果的な治療には公的医療保険の適用を検討するとし、強力に少子化対策を推し進めていくこととしています。
このような国の方針を踏まえ、特に新型コロナウイルスの感染拡大の影響によりハイリスクとなる妊産婦への支援、また、不妊で悩んでおられる方々への妊活支援をより一層拡充し、不妊、妊娠、出産、育児の切れ目のない子育て支援をぜひとも進めていただきたいと思います。
最後に、新型コロナウイルス感染症対策を踏まえ、民間アプリを活用した妊産婦への支援及び妊活支援の拡充について、髙島市長の御所見をお伺いし、私の質問を終わります。
○議長(阿部真之助) 髙島市長。
○市長(髙島宗一郎) 新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、妊産婦の皆さんは自身や、また、子どもへの感染リスクに不安を持ちながら、出産の準備や子育てをされております。そのため、引き続き保健師等によります電話相談や家庭訪問を実施していくとともに、乳幼児健診の再開などによって、妊産婦の方の不安の軽減を図ってまいります。
また、川上議員から御提案のありました民間アプリとの連携など、子どもを望まれる方が希望をかなえられるように、妊娠、出産、育児に役立つ情報を届ける、より効果的な手法についても、検討してまいります。
今後とも、安心して子どもを生み育てられる環境づくりをしっかりと進めてまいります。以上です。