▼令和8年 令和8年度条例予算特別委員会 松野 隆 総会質疑 (令和8年3月24日)

◯松野委員 公明党福岡市議団を代表して、発言通告に従って質疑を行っていく。まず初めに、本市の英語教育についてである。この問題については、先日も他の議員が様々な提案をしていたが、私からも提案を含めて質疑させてもらう。新学習指導要領において、日本の英語教育は受験英語からコミュニケーション能力を育成することによる会話重視に転換された。小学校では正式に教科として導入され、中学校では聞く、読む、話す、書くの4つの技能による評価や履修単語が増えるなど英語教育の改善が図られている。そこで初めに、第3次福岡市教育振興基本計画では、本市の英語教育についてどのように定義されているのか尋ねる。

△教育長 本市の英語教育については、第3次福岡市教育振興基本計画において、児童生徒が英語でコミュニケーションを図る資質、能力を育成するため、外国語ゲストティーチャーやネイティブスピーカーを配置し効果的に活用することで、生きた英語に触れる言語活動を充実させるなど英語教育を推進するとしている。

◯松野委員 いわゆるグローバル人材を育成するということである。次に、令和6年度の文部科学省の英語教育実施状況調査における中学3年生のCEFR A1、いわゆる英検3級程度のレベルの生徒の割合について、全国、政令市の平均と本市の平均及び位置づけを示されたい。

△教育長 CEFR A1は英検3級程度となるためその割合で答弁すると、令和6年度の文部科学省の調査において、中学校3年生の英検3級程度以上の生徒の割合は全国が52.4%、政令指定都市が56.2%、本市が65.9%となっており、都道府県及び政令指定都市の中で上位3番目に位置している。

◯松野委員 調査結果によると国の目標水準以上、また政令市等の中でも3位ということで、英語力を有する本市の生徒は着実に増えている。一方で、令和5年度の全国学力・学習状況調査の調査結果によると、宿題として英会話の練習をしているか、オンラインで他者と英語での交流をしているか、あるいは英語の授業の内容はよく分かるかといった設問への回答は、全国平均を下回っている。また、文部科学省は第4期教育振興基本計画で、生徒のみならず教師の英語力や指導力の向上を掲げているが、世代的な困難さ、あるいは昨今の働き方改革での教員の負担軽減などのハードルがある。そこで、本市では生徒の英語力向上に向け、平成16年度より中学校、30年度より小学校5、6年生にもNS、ネイティブスピーカーを配置しているが、その概要と評価及び課題について示されたい。

△教育長 ネイティブスピーカーの配置については、児童生徒の英語によるコミュニケーション力、行動力、発信力を向上させることを目的とし、小学校5、6年生と中学校全学年で1学級当たり年間30時間程度の配置を行っている。このような取組などにより英検3級相当の生徒の割合が国の指標である60%を超えており、一定の成果を上げていると考えている。課題としては、第3次福岡市教育振興基本計画の目標である72%を達成するには聞く、読む、話す、書くの4技能をバランスよく高める必要があり、ネイティブスピーカーのさらなる活用など言語活動を充実させた授業を展開していく必要があると考えている。

◯松野委員 聞く、読む、話す、書くの4つの技能には生徒個々人の能力や習熟度の違いがあり、NS1人から約30人の生徒への一律の指導には限界がある。チームティーチングも導入されてはいるが、英語の得手、不得手や好き嫌いには家庭環境の違いにも一因があり、生徒一人一人へのNSによる学習効果の到達度を高めるための方策が必要ではないだろうか。先ほどの調査結果では、CEFR A1レベルについて、本市の生徒は全国平均を上回るとの結果であった。では、世界50都市以上に直営の語学学校を展開する世界最大級の私立の教育機関EF、Education Firstが実施する英語能力指数の直近の結果では、世界何か国中日本は何位に位置するのか答弁されたい。

△教育長 Education Firstが令和6年に実施した英語能力指数2025の結果によると、日本は世界123か国中96位となっている。

◯松野委員 今答弁があったように、残念ながら日本は96位と非常に低い英語能力というカテゴリーに属している。一方で、同じアジアでも韓国は48位、香港は39位と標準的な英語能力というカテゴリーに属しており、アジアの中でも日本は非常に低い順位となっている。市長が本当にアジアそれから世界を標榜して、人材育成に一生懸命、今、力を入れているが、本市の教育委員会はどこを目標にして英語教育に取り組むのか。日本国内を目指しても、日本は世界でいうと96位と非常に低いわけである。もう少し本腰を入れて、世界に通用する人材育成に取り組まなくてはならないのではないかと思っている。実際のコミュニケーション向上には、まだつながっていないように思われる。アジアでも世界先進都市でも、英語が話せないと就職できないことは常識となっているが、生徒のコミュニケーション能力向上に向け、新年度、教育委員会が行う英語教育の新規事業について答弁されたい。

△教育長 令和8年度の新規事業については、グローバル人材育成のための英語教育強化事業を実施し、ネイティブスピーカーの配置に加え新たにAIアプリを活用することで、英語を話す、聞くなどの言語活動のさらなる充実を図り、生徒の英語力の向上を目指すものである。

◯松野委員 一昔前の日本は、1990年代から2000年くらいにかけて1ドル80円くらいの時代であったが、多くの日本人が海外に行って闊歩していた。特に、アジアでは経済格差もあって、日本は非常にリッチな国民としてアウトバウンド天国だったわけである。今は、逆に1ドル160円であり、外国人が日本に来ておいしいものを食べて、買物をして、日本で食べて、買うと非常に安かったというような時代になっている。周知の台湾のTSMCも、自国で社員の子息に自分たちでどんどん英語教育を福利厚生として行っている。その福利厚生の魅力で優秀な人材がいっぱい集まって、その子息がまた世界にどんどん羽ばたいていくという非常に好循環をしており、日本で工場を造って、日本人を時給3,000円で雇うというような時代になっているということで、これはもう英語教育とは無関係ではないのではないかという気もしている。日本のコンビニなどでアルバイトをしている外国人の留学生の人たちも、自国で日本語を非常にしっかり勉強してこちらに来るためコミュニケーションを普通に取れるし、本当に日本の子どもたちが逆に海外に行ったときにそういった対応ができるのかと思うと、ちょっと疑問に思うところである。外国人が日本で働くことはこれからどんどん増えていくわけであり、その人と同等に英語で話せるというのは非常に大事ではないかと思っている。そのため、新年度に行う事業もしっかり事業効果を検証して、本当にどの程度成果が上がっているかということから、また次の事業へ発展させていってもらいたいと思っている。去る1月29日に視察した徳島県鳴門市では、外国人講師との1対1のオンラインによる英会話の取組を通じて小中学校の英語教育の質的向上を目指すとともに、中学生、高校生への英検の受験料補助事業など非常に意欲的に取り組んでいた。大阪、東京、神奈川など多くの自治体が、モデル事業としてこのマン・ツー・マンのオンライン英会話を行って、教育効果を検証し本格実施に至っている。東京都東大和市では、世界とつながる学校とうたい、タブレットを活用しフィリピン人のネイティブ講師から励まされながらマン・ツー・マンで指導を受けることで、少しずつ英語を話すことに自信が湧いてきたと生徒たちからも好評を得ている。これを行っている東大和市の市長によると、フィリピンの公用語はタガログ語と英語の2言語だそうである。フィリピンはイギリス、アメリカに次いで3番目に英語を話す人が多い国だそうで、公用語が英語であるため幼い頃から英語に親しみ、英語教育にも慣れ英語を習得する難しさも深く理解しているからこそ、日本人に寄り添った授業ができるそうである。ちなみに、フィリピンは先ほどのEFによると、世界で28位と高い英語能力を有する国とされている。本市もモデル事業などを通じオンラインによる外国人講師とのマン・ツー・マン英会話の効果を検証し、導入を検討すべきではないかと思うが、所見を尋ねる。

△教育長 オンライン英会話については、他都市での実績もあり、児童生徒が1対1で海外の人と英語を話すことは実践的な英語を使う機会が増えるよさがあると聞いている。一方で、事前準備や費用面での課題があるとも聞いている。今後とも、ネイティブスピーカーの活用に加え、AIやオンライン英会話などICTを活用した効果的な指導法のベストミックスを研究し、英語教育の充実を図っていく。

◯松野委員 ぜひ、費用対効果をしっかり検証してもらいたいと思う。これまで、小中学校における英語教育を中心に尋ねてきたが、ボーダーレスで活躍するグローバル人材が新たなステージとして集まるまちを目指し本市が取り組んでいる国際金融都市であるが、近い未来に本市のまちなかで外国人と子どもたちが英語で挨拶を交わす光景が普通になればよいなと思う。本市の子どもたちに、留学経験や外国人との交流を通じ国際感覚を育む事業を積極的に行っている市長に所見を尋ね、この質問を終わる。

△市長 本市は、子どもや若者が将来に夢を描きながら、次代を担う人材として健やかに成長できるまちづくりを進めている。グローバル人材の育成については、子どもの頃から英語を話す機会を増やすことが重要であると認識しており、これまでも、アジア太平洋こども会議・イン福岡や姉妹都市交流などの様々な機会を捉え、福岡の子どもたちが同世代の海外の学生と交流する機会を創出してきた。令和8年度は、ニュージーランド・オークランド市との姉妹都市締結40周年の年であり、この機会を活用して青少年交流の拡充に取り組むこととしている。今後とも、福岡の未来を担う若者がグローバルに活躍する人材へと成長できるように、教育委員会とも連携して、国際交流のさらなる活性化にしっかりと取り組んでいく。

◯松野委員 次に、難病患者を対象とした職員採用について質問する。障がいのある人たちの雇用環境は、障害者雇用促進法による雇用義務の拡大と、平成25年に施行された障害者総合支援法に基づき、障がいの種別にかかわらずその特性に応じて必要な支援を行い、共生社会を目指すことを目的に年々整備されてきた。まだまだ課題は残されているが、障がい者の就労者数は着実に増え続けている。今年の7月からは、民間企業の法定雇用率が現在の2.5%から2.7%に引き上げられることとなっており、障がい者の雇用環境はさらに向上するものと期待されている。福岡市役所においても障がいがある人を対象とする職員採用を行っているが、民間を誘導すべき本市の障がい者雇用の現状について、まずは尋ねていく。初めに、法定雇用率が定められている目的について尋ねる。

△総務企画局長 障がい者の法定雇用率は、企業や公的機関に一定割合の障がい者の雇用を義務づけることで、自由競争では雇用機会の確保が困難な障がい者に対して働く場を制度的に確保することなどを目的としている。

◯松野委員 本市職員における法定雇用率の達成状況について示されたい。

△総務企画局長 職員の障がい者雇用率は令和7年6月1日時点で2.8%であり、地方公共団体の法定雇用率である2.8%を達成している。

◯松野委員 公的機関としての雇用目標を何とか達成しているが、本市の障がいのある職員数は直近3年間でどのように推移しているのか、障がいの種別ごとの人数とそれらを合計した総数を答弁されたい。

△総務企画局長 令和5~7年度の6月1日時点で、福岡労働局へ報告した障がい種別ごとの人数については、5年度から順に身体障がいが203人、219人、236人、知的障がいが44人、48人、52人、精神障がいが124人、134人、169人となっており、その総数については371人、401人、457人と年々増加している。

◯松野委員 多くの障がいのある人たちが職員として働く場を確保されている。本市の職員となり、様々な困難や悩みを抱えながら職務に従事している人もいると思うが、障がいのある職員の定着のためどのような取組や合理的配慮を行っているのか尋ねる。

△総務企画局長 障がいのある職員を支援するジョブコーチの巡回面談などによる職務環境改善の取組や、勤務地や外勤の有無などを踏まえた人事配置、勤務時間帯の調整、業務支援機器の貸出しなどの合理的配慮を行っている。

◯松野委員 次に、障がいのある職員の採用状況について尋ねる。本市では、障がいがある人を対象とした採用区分をどのように設けているのか示されたい。

△総務企画局長 障がいのある人を対象とする採用選考については、正規職員と会計年度任用職員で実施している。また、受験資格として身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳または障害者職業センター等による知的障がい者であることの判定書のいずれかを所持している人を対象としている。

◯松野委員 障がい者の採用試験のうち、正規職員は何人が受験して合格者が何人いたのか、直近3年間でどのように推移しているのか答弁されたい。

△総務企画局長 直近3年間の受験者数については、令和5年度が123人、6年度が95人、7年度が103人となっており、合格者数については、5年度が5人、6年度が5人、7年度が6人となっている。

◯松野委員 本当に多くの障がいのある人たちが本市で働きたいということで受験してもらっているわけであるが、その採用については、本市はこれまでどのように拡大してきたのか答弁されたい。

△総務企画局長 昭和61年度に身体障がいのある人の採用を開始し、令和2年度から精神障がい、知的障がいのある人の採用を追加するとともに、4年度より受験資格の年齢上限を29歳から45歳に引き上げている。

◯松野委員 様々、順次拡大してきたわけであるが、今後、公的機関に課せられる法定雇用率はどうなる予定なのか、また、今後の法定雇用率の引上げに本市はどう対応していくのか、所見を尋ねる。

△総務企画局長 公的機関の法定雇用率は、令和8年7月に3.0%に引き上げられる予定である。法定雇用率の達成に向けて、引き続き障がいのある人の採用に取り組むとともに、ジョブコーチなどを活用した職場への定着支援に取り組んでいく。

◯松野委員 ぜひ、引き続き障がい者雇用の拡大に取り組んでもらいたいと思う。次に、難病を患う人たちの採用について尋ねる。本市では障害者手帳を取得していない難病患者を対象とした採用を行っているのか、併せてほかの政令市の現状についても答弁されたい。

△総務企画局長 難病のある人に限定した採用選考は行っていないが、一般の採用選考や障がいのある人を対象とする採用選考を受験し採用された難病のある職員は在籍している。また、令和7年度に難病のある人を対象とする採用選考を実施している政令市はない。

◯松野委員 答弁にあったように、現在、本市では難病のある人たちに特化した職員採用は行っていないということである。しかし、本市職員の中には難病のある職員が既にいると思う。そうした職員に対してどのような配慮を行い、就労環境の整備を行っているのか。

△総務企画局長 配慮の申出があった職員については、障がいのある職員と同様に配属先や勤務時間帯などに関する配慮を行い、働きやすい職場環境づくりに努めている。

◯松野委員 大変ありがたいと思う。障害者総合支援法における難病患者への支援は、平成25年から130疾病を対象に始まっている。その後、対象疾病が段階的に拡大され、令和7年度には376疾病と当初の約3倍にまで対象範囲が広がっている。法整備によって難病患者等が支援対象となった目的と、その効果について示されたい。

△総務企画局長 難病患者等を支援対象とした目的については、症状の変動などにより身体障害者手帳の取得ができない難病患者等も、手帳のある障がい者と同様に充実したサービスを受けられるようにすることである。また、その効果については、障害者総合支援法の対象とすることで、難病患者等が受けられるサービスがホームヘルプなどの限定されたものから、自立支援や就労移行支援などを含む全ての障がい福祉サービス等に広がったことである。

◯松野委員 現在、全国の指定難病受給者証の保持者数は100万人を超えているとされている。障害者手帳の有無にかかわらず、難病患者数の増加に伴い支援が拡充されてきた。難病患者である私の知人は、思春期の初めに難病を発症した。学齢期から病気の症状やきつい治療に耐え、中学、高校と長期入退院によりほとんど通学がかなわず、独学で高校入試に挑戦し見事合格を勝ち取った。一生懸命努力を重ね、長年にわたる多くの困難を経験してきた。こうした自分自身の経験から、集団の中で働くことに周囲に迷惑をかけるのではないかとの心理的な圧迫が強く、特に営利を目的とする民間企業での就労には耐えられないと、考えられなかったようである。困難な環境の中での努力が報われる社会の実現をと願いつつ、去る1月15日、難病患者の職員採用をいち早く決定した千葉県庁を視察した。千葉県では、知事の強い希望により検討開始の同年度から採用選考を開始し、令和8年度には採用開始という素早い対応となった。全国では山梨県も先行して採用を行っており、東京都も8年度から難病患者の採用選考を始めると2月27日の新聞報道にあった。本市職員においても、障がい者採用と同等に障害者手帳を持っていない難病患者の採用を拡大し、民間企業での難病患者採用の呼び水とすべきではないかと考えるが、所見を尋ねる。

△総務企画局長 障がい者雇用については、国や地方公共団体が率先垂範して障がい者の雇用を実行すべき立場にあるとして、民間企業の法定雇用率よりも高い率とされている。難病患者についても、雇用が義務づけられる障がい者雇用率の算定に含める方向で国が検討していると聞いている。先行事例である山梨県や千葉県の状況について調査を行うとともに、国の動向について注視していく。

◯松野委員 難病という持病があっても、やはり意欲と能力がある人を選考して採用するわけであるため、ぜひ前向きに取り組んでもらいたいと思う。先ほど述べたとおり、障害者総合支援法による難病患者への支援が大きく広がった現在、柔軟な働き方や合理的配慮を行いながら、障がいや難病等の事情を抱えた人たちが生き生きと働ける環境づくりを進めていく必要があり、本市は率先して雇用の機会と活躍の場を提供していく立場にあると考えるが、最後に市長に所見を尋ね、この質問を終わる。

△市長 障がいや難病のある人が持てる能力を発揮し、社会の一員として活躍していくことは大変重要であると認識している。本市はこれまでも、職員の採用や職場環境の改善などの取組により、障がいのある人などの雇用機会の確保と活躍の場の提供に努めてきた。今後とも、本市が率先してこれらの取組を進めるとともに、障がいや難病のある人、一人一人が自分らしく生きがいを持って活躍できるよう「みんながやさしい、みんなにやさしいユニバーサル都市・福岡」の実現に取り組んでいく。

◯松野委員 どうかよろしくお願いする。最後に、本市の国際戦略について尋ねる。令和8年度当初予算案は、一般会計で1兆1,300億円余という過去最大の規模となった。子育て支援の充実、教育環境整備、防災、減災対策の強化など未来への投資を重視した予算編成が行われたと受け止めている。特に、子ども施策の強化が目玉であるが、もっと住み続けたくなるまちの実現を目指し、高齢者、障がい者をはじめ、あらゆる市民が暮らしやすさを実感できる施策の充実を図っていく必要がある。そのためには財源の確保が欠かせないが、本市では、この15年間で市税収入は約1.6倍に増加、市民1人当たりの市債残高は約86万円と半分以下に縮減し、着実に成果を上げている。これは単なる歳出削減ではなく、成長によって財政の健全化を図る本市の基本戦略、いわゆる都市の成長と生活の質の向上の好循環は持続可能な都市経営のために極めて重要だと思う。そして、この都市の成長という点において、本市における海外戦略は非常に重要な役割を担っているものと考える。先月の2月16日、新年度予算の記者発表の場において、市長は初めての選挙に立候補する前、当時35歳の頃の街頭演説について触れていた。アジアの富や人や物を全部福岡に集め、そこで生まれたお金で子どもたちが力強く育ち、高齢者が安心して暮らせるまちをつくりたいと訴えたということであった。その思いを実現するためには、人の交流のより一層の活性化とアジアにおける本市のプレゼンスの向上が一層重要となる。言うまでもなく、人の交流は都市の成長を支える生命線である。全産業に占める第3次産業の就労者数の割合が90%という産業構造を持つ本市にとって、人、モノ、カネ、情報の往来を活発にすることは経済活力に直結する。したがって、アジアにおけるプレゼンスを高める国際戦略は単なる観光振興策にとどまらず、本市の都市経営における最重要の課題の一つではないだろうか。都市ブランドの向上は観光客を増やすだけではなく、優秀な人材の獲得競争に勝ち抜く優位性をもたらす。若く活力ある都市イメージは、国内外の高度人材にとっても大きな魅力となる。日本国内において、本市は新たなビルが次々に建設され、雇用創出や企業誘致が進展する元気な都市、住みやすい都市、人口増加が続く数少ない都市として知られているが、海外ではどのような特徴の都市と認識されているのか示されたい。あわせて、これまでの数々の取組によって、市長就任前と比べ認知度は向上しているのか尋ねる。

△総務企画局長 海外で認識されている本市の特徴については、コンパクトなまちづくりや都市問題解決の取組が国連ハビタットなどの国連機関や国際機関に評価されているほか、海外メディアでも食をはじめとした魅力と併せて、スタートアップ施策や水道での世界トップの低い漏水率を支える技術などが紹介されている。これらの取組が評価され、平成29年に日本の自治体として初めて、市長が世界経済フォーラム年次総会、いわゆるダボス会議に招待されたほか、31年には、世界の主要都市の首長で構成する経済協力開発機構のチャンピオンメイヤーズのメンバーになっている。このように、本市の取組は海外においても広く認識されており、国際社会における本市の認知度は着実に向上しているものと認識している。

◯松野委員 本市はアジアのリーダー都市を目指すと標榜しているが、その目標にどれだけ近づいているかをはかる物差しの一つとして都市の知名度は重要である。以前に比べ知名度はかなり向上していると思うが、旅行会社に勤める知人に聞くと予想外に知られていないと言っていた。韓国、釜山ではよく知られていても、アジアの国々で初対面の人に聞くと、本市はあまりよく知られていないそうである。出会う人にもよるし、個人の感想であるため一概には言えないが、やはり東京、大阪、京都などに比べるとまだまだではないかと思う。都市のプレゼンス向上のための施策としてMICEの推進がある。企業の会議や研修旅行、国際会議、展示会やイベントを開催することで多くの人が国内外から集まり、地域経済への波及効果、特に国際会議や展示会では一般の観光よりも滞在期間が長く消費額も大きい。また、研究者や企業関係者が集まることで、新しい知識、技術、ビジネスのつながりが生まれ、産業の発展や新しい取組につながると言われている。もちろん、開催都市の知名度や魅力を世界に発信することができ、都市のブランド力を高めることにもつながる。MICEは経済効果だけでなく、産業振興や国際交流、都市の魅力向上など様々な面で重要な役割を果たすものであるが、本市の現在までの実績と、併せてその振興に向けた来年度の取組について尋ねる。

△経済観光文化局長 MICEの実績については、これまでG20財務大臣・中央銀行総裁会議など都市のプレゼンス向上につながる国際会議をはじめ、世界観光ガイド連盟総会など本市の施策に合致した国際会議、さらには産業振興につながる展示会の誘致、開催に取り組んできたところである。あわせて、博物館や住吉神社能楽殿、川端商店街など本市の歴史や文化を生かしたユニークベニューの活用にも取り組み、開催都市としての魅力向上を図ってきた。令和8年度は、海外で開催されるMICE商談会への参加や大学等と連携した国際会議の誘致、開催支援策の充実などにより、本市の政策推進につながるものや国際的な知名度の高いMICEの誘致に取り組んでいく。

◯松野委員 本市はこれまで、海外に職員を派遣して技術指導を行ってきているが、その主な取組について、目的、事業の枠組み、内容、相手方の反応も含めて答弁されたい。

△環境局長 環境局では、現地の生活環境の改善と温室効果ガスの削減を目的に、国連ハビタットやJICAなどの事業を活用し、ごみ埋立て技術福岡方式による廃棄物埋立場の整備や、現地技術者の育成をブータンなどで実施している。相手国からは、現地で調達可能な資機材により低コストで適正に廃棄物の埋立てができることや、埋立て後の土地を早期に活用できることへの評価、維持管理面での指導継続を期待する声などをもらっている。

△道路下水道局長 道路下水道局では、JICA事業の枠組みなどを活用し、ベトナムなどアジア諸国へ職員を派遣し、浸水対策や下水道施設の維持管理などに関わる技術協力を行うとともに、現地において地場企業の技術を紹介する企業セミナーを開催するなど、地場企業の海外ビジネス展開を支援している。相手国からは、本市による技術協力の継続を期待する声や、日本企業の技術への高い評価などをもらっている。

△水道事業管理者 水道局においては、現地の給水環境の改善などを目的に、主にJICAの枠組みを通してフィジー共和国などに職員を派遣している。派遣の内容であるが、本市の強みである節水型都市づくりによって培ってきた水の有効利用に関する様々な水道技術を生かして、漏水対策や現地技術者の育成などに長年取り組んでいる。加えて、地場企業の海外ビジネス展開を支援するため、現地活動への助言なども行っているところである。また、相手方の反応としては、水道技術の知識だけでなく仕事に対する意識が向上したとして、本市への感謝の言葉をもらっている。

◯松野委員 どれも大変すばらしい取組だと思う。今後も、事業をぜひ拡大していってもらいたいと思う。アジアの国々は今後、社会の高齢化を迎える。先進諸国は言うまでもなく、各国でも急速に高齢化が進んでいる。先頭を走る日本の高齢化率は全国で約29%、本市では約22%である。高齢化率が7%を超えると高齢化社会、14%を超えると高齢社会、21%を超えると超高齢社会というが、本市は既に超高齢社会に突入している。中国は一人っ子政策の影響もあり高齢化率は約15%とまだ低いものの、65歳以上の高齢者数は約2億人で日本の総人口の約2倍である。韓国の高齢化率は約20%で本市より若干低いとはいうものの、高齢化のスピードは日本よりも早く、20年後には我が国を追い抜き40%台後半に達すると言われている。両国とも日本の介護保険制度を参考に施策を講じており、韓国では約10年前に日本の制度を参考に韓国版介護保険制度が始まり、中国でも現在各地で準備が進められているようである。こうした国々に続き、タイやインドネシアといったASEAN諸国でも高齢化の問題は急速に進展しているそうである。本市のマスタープランや保健福祉審議会等の委員などを歴任した高齢社会の専門家で、本市のアクティブエイジングを牽引してきた、長年勤めている九州大学の名誉教授の小川先生であるが、私も何度か交流させてもらい、昨年の秋には瑞宝中受章の栄に浴している。心から祝意を申し述べたいと思うが、その小川先生によると、これからのアジアの国々は高齢化がどんどん進むため、本市が長年培ってきた高齢化の経験をアジア諸国に伝えていくべきであるとのことである。福祉といえば、昔はデンマークやスウェーデン、北欧が先進国で、我が国の政府や自治体の関係者、福祉や医療の専門家はこぞって学びに行ったが、これからはアジアの中で日本が間違いなくそういうポジションになるはずである。本市はそのような時代を見越して、アジアはもとより世界に先駆けた成功モデルをつくろうと、市長のリーダーシップの下福岡100を平成29年にスタートし、取り組んできたアクションは127に上る。これまで本市が積み重ねてきた高齢化に関する様々な情報、成功例のみならず失敗例も含めた情報は、アジア諸国にとっても非常に有益なものになるのではないだろうか。確かに、福祉関係者はフィンランドなど北欧諸国を高齢者、障がい者を尊重する福祉先進国として尊敬している。日本にとっての北欧諸国のように、アジアの国々から本市が評価されそのイメージが定着すれば、最高級のブランドイメージとして価値を持つのではないだろうか。本市の知名度向上に向け、新たな観点としてアジアの福祉をリードする都市という観点を加えてはどうかと思う。近年、アジア諸国の高齢化への取組がますます本格的になっている中で、ASEANの高齢化対策の知識、情報を共有し、国際連携を進めるための国際機関であるアセアン・アクティブ・エイジング・イノベーションセンター、略称アカイという高齢化対策の専門機関が設置されており、そのトップが福岡100に注目しているという話も聞いた。そこで、国際的にも評価が高まっている福岡100について、目的と取組状況を答弁されたい。

△福祉局長 福岡100については、人生100年時代を見据え、誰もが心身ともに健康で自分らしく活躍できる社会を目指し、産学官民オール福岡で様々な取組を実施している。具体的には、本市が保有する医療、介護、健診等に関するビッグデータを一元的に集約した地域包括ケア情報プラットフォームを活用して得られたエビデンスに基づく、Fitness Cityプロジェクトやオーラルケア28プロジェクトのほか、認知症フレンドリーシティプロジェクトなどを実施するとともに、全世代交流イベント100FESやAIの活用も含めた新たな事業等の創出を目指す福岡100ラボなどを実施している。

◯松野委員 福岡100の様々な取組の中で、特に認知症フレンドリーセンターが注目を集めていると聞いている。設置から3年目を迎えるが、その活動内容及び来館者数を示されたい。また、海外からの来館者数の内訳と反応についても答弁されたい。

△福祉局長 認知症フレンドリーセンターでは、認知症の人や家族、企業等の相談、交流や市民講座の開催、最新の知見や技術に関する情報発信などを行っている。来館者数であるが、令和6年度は8,523人となっており、そのうち海外からの来館者数については、把握している範囲で316人、国別の内訳は韓国205人、マレーシア23人などアジア地域が大部分を占めている。また、海外の来館者の反応としては、認知症の人が役割を持って活躍する姿に感銘を受けた、認知症の人にも優しいデザインの工夫がすばらしいなど高い評価をもらっている。

◯松野委員 今答弁があった来館者数は令和6年度の数値であり、延べで言うとまだまだ多いのではないかと思う。海外から評価を受けている施設としては、介護実習普及センターもある。福祉用具展示場があり多くの福祉用具が展示されているが、在宅介護が主流であるアジア諸国にとっては日本の福祉用具は大変参考になるのではと思う。そこで尋ねるが、福祉用具展示場の活動内容及び来館者数を示されたい。また、海外からの来館者数の内訳と反応についても答弁されたい。

△福祉局長 福祉用具展示場については、福祉用具の普及を目的に情報提供及び展示を行っており、展示数は1,500点を超えている。令和6年度の来館者数は1万102人で、そのうち海外からはこちらも把握している範囲で22団体382人であり、内訳は韓国から15団体314人、その他が7団体68人となっている。海外の来館者からは福祉用具の展示の種類や数が充実している、日本の介護や福祉に対する意識の高さに驚いたといった声が寄せられている。

◯松野委員 これも延べ人数で言えばもっと多くの人が視察していると思うが、福祉用具展示場は多くの福祉用具を体験できる場であり、海外から視察した人たちは日本の高度な介護技術に感嘆し、大きな学びを得たのではと思う。私も見学したときにびっくりした記憶がある。さて、要介護認定者数の増加が見込まれる一方、日本の生産年齢層の人口は減少しており、新たな介護人材の確保が大変難しくなっている。介護に限らず全産業的に人材の不足が見られる中、人材の獲得競争は激しくなっており、介護人材の確保は海外にも目を向けてしっかりと取り組んでいく必要があると思う。そこで尋ねるが、現在、本市では外国人介護人材の確保に向けどのような取組を行っているのか。

△福祉局長 外国人介護人材の新規就労支援として、介護職員初任者研修の無料開催や就労希望者と市内の介護事業所とのマッチングを行っており、令和8年度は対象者などを拡充して実施する。また、1月に開設した介護人材交流・サポートセンターにおいて広く介護の魅力を発信するほか国内外の関係機関との連携を進めるなど、事業所の人材確保に向けた取組を行うこととしている。

◯松野委員 本市において、外国人に対して日本語の習得、国家試験対策に時間と労力をかけているという例もたくさんあるが、結局、給与が高い関東や関西に移ってしまうそうである。本市では、新たに設置した介護人材交流・サポートセンターにおいて、国内外の関係機関との連携に取り組むようであるが、例えば、本市に学びたい海外の行政機関と連携し、優秀な人材を本市で育成するという仕組みも考えられる。さらに、本市のごみ埋立てや上下水道分野における人材派遣を参考に、本市の介護スタッフを指導者として送り込むということも検討してみてはどうだろうか。介護人材の確保に当たっては、海外連携を軸に人材の交流や定着などを進めるべきと考えるが、所見を尋ねる。

△福祉局長 今後急速に高齢化が進展するアジアでは先進的な日本の取組に関心が集まっており、こうした状況も踏まえ、介護人材を含めた幅広い分野での協力や交流を進めていくことが重要であると認識している。本市としては、アカイをはじめとする海外の関係機関などとの連携を図り、アジア全体の介護人材育成に資する交流を進めるとともに、本市における必要な介護サービスの安定的な提供に向け、介護人材の確保にもつながるようしっかりと取り組んでいく。

◯松野委員 本市は令和5年11月に、世界銀行がワシントンで開催した健康都市に関するイベントに日本の都市を代表して招聘された。また、同月、ユマニチュードを考案したフランスの団体などとともに、国境を越えてユマニチュードを推進することを目的とした国境なきユマニチュード憲章に市長が署名し、令和7年9月には本市に国境なきユマニチュード推進本部が開設された。そして、先ほどもあったように、先日、世界的な実業家であるブルームバーグ氏が主催し、都市が直面する課題を解決する革新的なアイデアを競う国際コンペ、メイヤーズ・チャレンジ2025-2026において、本市の認知症フレンドリーシティへの取組が、112か国630都市から応募した中からトップ24都市の受賞者の一つに選ばれた。日本の都市が選ばれたのは今回が初めてで、受賞した都市には事業資金100万ドルが贈呈されるそうである。世界のモデルとなる取組となることを期待している。このように、本市の先進的な取組が海外から高く評価されている。アジア諸国から人材や視察を受け入れるだけではなく、福岡100で培った知見を海外に積極的に伝えていき相互に交流することで、良質な外国人介護人材の確保や福岡100のさらなるプレゼンス向上も図れると考えるが、所見を尋ねる。

△福祉局長 アジアにおいて急速に高齢化が進展する中、本市がアジア諸国と積極的に交流しこれまで培った知見を伝えていくとともに、超高齢社会に対応した先進的な都市づくりを進めていくことは、外国人介護人材の確保や福岡100のプレゼンス向上につながると認識している。昨年設置された国境なきユマニチュード推進本部や今年開催するユマニチュード国際会議、メイヤーズ・チャレンジなどの機会を生かし、アジアの超高齢社会のモデル都市として福岡100の取組をパッケージとして積極的に発信していくとともに、より多くのプレーヤーの参画を得て、新たなプロジェクトの創出を図るなど福岡100の取組を進めていく。

◯松野委員 昨年4月にスタートした本市のマスタープランでは、その柱となる8つの目標の1つに、アジアのモデル都市として世界とつながり国際的な存在感があることを掲げ、その目指す姿には、少子・高齢化や環境問題に先進的に取り組んできた知識と経験を生かし、世界中で深刻化する社会課題の解決に貢献するとともに、様々な国際会議の開催都市として国際社会において存在感を発揮していることが示されている。この目標の達成に向けて、本市がこれまでアジアに向け様々に行ってきた種まきが実を結べるように取り組んでもらいたいと願うが、最後に、本市の今後の国際戦略について改めて市長の所見を尋ね、質問を終わる。

△市長 グローバル化により国や地域を越えた都市間競争が世界的に加速する中、本市が将来にわたり選ばれ続けるためには、国際社会におけるプレゼンスを向上させていくことが重要であると認識している。本市では、人と環境と都市活力が高い次元で調和したアジアのリーダー都市を目指すことを第10次福岡市基本計画に掲げており、今後も福岡100などの高齢社会への取組をはじめ、本市がこれまで先進的な取組によって得られた知識や経験を生かし、世界で深刻化する社会課題の解決に貢献するとともに、様々な国際会議の誘致等により国際社会におけるプレゼンスのさらなる向上にしっかりと努めていく。

 

議員紹介

  1. つつみ 健太郎

    西 区

    つつみ 健太郎
  2. たばる 香代子

    中央区

    たばる 香代子
  3. たのかしら 知行

    博多区

    たのかしら 知行
  4. 石本 優子

    早良区

    石本 優子
  5. かつやま 信吾

    東 区

    かつやま 信吾
  6. 古川 きよふみ

    博多区

    古川 きよふみ
  7. 高木 勝利

    早良区

    高木 勝利
  8. しのはら 達也

    城南区

    しのはら 達也
  9. 尾花 康広

    東 区

    尾花 康広
  10. 松野 たかし

    南 区

    松野 たかし
  11. 山口 つよし

    東 区

    山口 つよし
  12. 大石 しゅうじ

    南 区

    大石 しゅうじ
PAGE TOP