○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広)登壇 私は公明党福岡市議団を代表し、再生可能エネルギーの有効活用とレジリエンスの強化――レジリエンスとは、片仮名表記の言葉ですので日本語に言い換えれば、しなやかに強いと、困難やストレスに対して柔軟に対応し、回復する力を意味します――落雷事故から子どもたちの命を守るために、マイボトルが育む未来の意識、視認性を高め安全な道路への4点について質問いたします。当局の前向きな答弁に期待するものであります。
まず、再生可能エネルギーの有効活用とレジリエンスの強化についてです。
今、地球規模で気候変動対策が加速する中、再生可能エネルギーの活用は単に地域の脱炭素化にとどまらず、エネルギーの安全保障、そして、災害時のレジリエンスの強化にもつながる極めて重要な取組であります。福岡市でも太陽光発電や蓄電池の導入が進められてきましたが、出力制御の問題や再エネの地産地消、さらには災害時の活用という観点から、まだまだ取組の深掘りが求められております。
まず、出力制御に失敗すると発生するブラックアウトとは何か、電力の需給調整の観点から分かりやすく説明してください。また、最近、国内で発生した深刻な事態を御教示ください。
以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
○議長(打越基安) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) ブラックアウトとは、何らかの原因により発電所が緊急停止するなど、地域全体の電力需要と発電量のバランスが崩れることで発生する大規模停電でございます。国内では、平成30年9月6日に発生した北海道胆振東部地震を原因とするブラックアウトがございます。経済産業省の発表によりますと、地震により苫東厚真発電所が緊急停止し、北海道電力管内の電力需要と発電量のバランスが崩れ、道内全域の約295万戸が停電、復旧までに約50時間を要するなど、住民生活に大きな影響を与えたとのことでございます。以上です。
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 特に出力制御の問題は年々深刻になっており、九州電力の管内では再エネの導入が進んでいる一方で、需要を上回る発電量が生じることで、ブラックアウトを防ぐため太陽光発電の出力制御の指示、つまり発電停止の要請が増えてきております。福岡市が保有する大原、蒲田のメガソーラーでも令和5年度に81回、時間にしておよそ580時間も出力制御が行われており、これは令和3年度と比べて3倍近い水準にまで増えています。せっかく発電した再エネが無駄になっているわけで、これは環境の面でも、経済の面でも大きな損失です。
このような出力制御による再エネの無駄を防ぐために、現在、蓄電池の増設や他の有効な活用策をどのように検討されているのか、お伺いいたします。
○議長(打越基安) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 出力制御中の再生可能エネルギーの活用につきましては、蓄電池の設置が有効であり、現在、出力制御の対象となるメガソーラー発電所への設置について検討しているところでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) また、今後、メガソーラーだけではなく、その他の市有施設や再エネ設備への蓄電池の導入についてはどのような展開方針をお持ちか、お聞かせください。
○議長(打越基安) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 蓄電池につきましては、太陽光発電設備を設置する施設のうち、発電量が当該施設の使用電力を超え、一定の余剰電力の発生が見込まれる場合に有効であると認識しており、学校施設や庁舎等において、民間資金を活用するPPA事業によりその導入に取り組んでいるところでございます。以上です。
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 再エネの普及が進めば進むほど、出力制御の回数や時間は増加する可能性が高いと思われますが、市としてこの傾向をどう捉えているのか、お答えください。
○議長(打越基安) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 九州電力管内におきましては、再生可能エネルギーの発電比率が高く、さらにその普及が進めば、電力需要と発電量のバランスを取るため、今後も出力制御は増加する可能性が高いと考えております。以上でございます。
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) ここで今後の再エネ導入形態の進化にも注目したいと思います。最近では次世代型太陽電池、いわゆるペロブスカイト太陽電池が注目されております。これは軽くて薄くて、建物の壁面や窓にも設置できるといった特性があり、都市部での太陽光発電容量の拡大が一気に進む可能性があります。福岡市内でも民間による実証的な導入が既に始まっているとのことですが、その分、出力制御への対応もより複雑化していくものと考えられます。
このような新技術の普及を見据えた上で、将来的な出力制御への対策について市としてどのように考えているのか、お聞かせください。
○議長(打越基安) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) ペロブスカイト太陽電池など、新技術の普及を踏まえた将来的な出力制御への対策につきましては、蓄電池の活用のほか、国や民間事業者による新技術の開発状況を踏まえ、引き続き調査、検討してまいります。以上です。
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) また、市として今後、ペロブスカイト太陽電池の導入促進について何らかのガイドラインづくりや支援策を検討していく予定はあるのか、伺います。
○議長(打越基安) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) ペロブスカイト太陽電池につきましては、令和6年度に香椎浜小学校及びFukuoka Growth Nextの2か所に、7年度は国の補助制度を活用し、3か所程度の市有施設への導入に取り組むこととしております。また、民間事業者への支援策といたしましては、夏頃創設予定の国の補助制度に上乗せし、市独自の補助制度を創設することとしております。以上です。
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 続いて、太陽光発電と蓄電池の併設について伺います。
市ではPPA事業によって学校や庁舎などに太陽光発電の導入が進められており、蓄電池の設置も行われています。しかし、災害時の避難所としての機能を担う小中学校では、蓄電池が併設されているのは僅か3校と非常に限られた状況であります。
避難所となる学校施設において、災害時の電源確保のための蓄電池設置を今後どのように拡充していくのか、具体的な計画をお聞かせください。
○議長(打越基安) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 学校施設につきましては、民間資金を活用したPPA事業において、比較的容量の大きい太陽光発電設備を設置する場合に、夏休みなどの長期休暇期間や休日において一定の余剰電力が発生するため、蓄電池の併設が有効であると認識しております。そのため、令和7年度は玄界小中学校、8年度は箱崎清松中学校においてPPA事業による太陽光発電設備と蓄電池の設置に取り組むこととしております。以上です。
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 教育委員会において設置している学校の太陽光発電設備につきましては、自家消費を主目的とし、余剰電力が少ないことから、蓄電池の設置は費用対効果等の面で課題があると考えており、環境局や市民局とも連携しながらPPA事業の活用を検討してまいります。以上です。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 避難所における災害時の電源確保につきましては、各校区に備蓄する非常用発電機や電気自動車からの給電、さらに、災害時応援協定に基づき、企業等から調達する非常用発電機などにより対応することとしております。避難所への蓄電池の設置につきましては、災害時の電源確保策として有効であると考えておりまして、避難所となる施設ごとに関係局と連携をしながら検討してまいります。以上です。
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) また、再エネと蓄電池の導入については、公共施設へのPPA方式による導入に加え、民間施設への導入に当たり、補助金や民間との連携をどう活用していくお考えか、伺います。
○議長(打越基安) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 民間施設への再生可能エネルギーと蓄電池の導入につきましては、令和6年9月に選定された脱炭素先行地域におきまして、民間事業者と連携し、国の交付金を活用した再生可能エネルギー設備や蓄電池の導入に取り組むこととしております。また、市内の住宅への太陽光発電設備やリチウムイオン蓄電システムの導入については、住宅用エネルギーシステム導入支援事業において経費の一部を助成し、その促進に取り組んでいるところでございます。以上です。
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 神奈川県川崎市では、CEMS、いわゆる地域エネルギーマネジメントシステムを導入して、企業や公共施設の間で再エネ電力をリアルタイムで共有、融通しています。これによって、平時の最適利用だけでなく、災害時にも柔軟に電力を回せる体制を築いています。福岡市でも重点地域におけるCEMS導入の検討が始まっていると伺っております。
現時点でのCEMS導入の概要と今後のスケジュール、そして、想定される導入効果についてお聞かせください。また、CEMS導入に当たり、地元企業や大学、地域団体との連携はどう進めていかれるのか、お考えを伺います。
○議長(打越基安) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 地域におけるエネルギーマネジメントにつきましては、脱炭素先行地域において、共同提案者である地元企業や大学、地域団体と連携して、2030年度までに地域内の電力需要に応じ、地域外で発電した再生可能エネルギー電気を電力小売事業者などが供給する仕組みの構築に取り組むこととしております。これにより、現在、年間約1.84億キロワットアワーと見込まれる地域内電力需要の全てを再生可能エネルギー電気で賄うことが可能になり、その結果、一般家庭約5万世帯の1年間のCO2排出量に相当する約8.5万トンの削減効果があると考えております。この脱炭素先行地域の取組をモデルとして、他地域への展開にも取り組んでまいります。以上です。
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 避難所周辺へのソーラー外灯の整備についても、伺います。
山形県長井市では避難路にソーラー街路灯を設置しており、昨年の大雨の際には夜間でも安全な避難行動を支える大きな役割を果たしました。福岡市内でも公園や公民館では導入実績がありますが、避難所周辺ではまだ整備が進んでおりません。
災害時の避難誘導や防犯対策の観点からも、避難所周辺へのソーラー外灯整備を重点的に進めるべきと考えますが、今後の整備方針について市の考えをお聞かせください。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 災害時の避難誘導や防犯対策の観点から、避難所周辺の照明確保は重要であり、停電発生時にも機能するソーラー外灯は有効であると認識をしております。避難所への導入につきましては、公民館では新築や改築、内部改修に合わせて整備することとしております。また、小中学校やその他の避難所では、各施設の立地や周辺の状況、整備や維持管理に要する費用などを踏まえて、効果的な照明の確保について検討してまいります。以上です。
○議長(打越基安) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 公園におけるソーラー外灯の設置につきましても、引き続き公園の立地や周辺施設の状況などから、必要性や優先度を判断し、整備、維持管理に要する費用なども踏まえた上で対応してまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 竹廣道路下水道局長。
○道路下水道局長(竹廣喜一郎) 道路照明は市民の安全、安心のために非常に重要な施設であると認識しております。道路上におけるソーラー外灯の設置につきましては、点灯時間や照度の課題などを踏まえ、今後検討してまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 再生可能エネルギーの有効活用、災害時のレジリエンスの向上、そして、地域でのエネルギーの地産地消は、福岡市が災害に強く、持続可能な都市として発展していくためには欠かせない柱だと考えます。
市民の命と暮らしを守るためにも、今後、再エネ施策の全体戦略と併せて、蓄電池、CEMS、ソーラー外灯といった多様な技術をどう連携的に導入していくのか、具体的な工程や方向性について髙島市長から御所見をお伺いいたします。
○議長(打越基安) 髙島市長。
○市長(髙島宗一郎) 福岡市は2040年度温室効果ガス排出量実質ゼロのチャレンジ目標を掲げ、ペロブスカイト太陽電池や蓄電池などの社会実装によって、再生可能エネルギーの有効活用に取り組んでいるところでございます。蓄電池やソーラー外灯、地域エネルギーマネジメントシステムなどにつきましては、災害時における電源確保など、レジリエンスの確保にも有効な手段であると認識をしています。そのため、今年度より着手をいたします地球温暖化対策実行計画の改定におきましては、脱炭素の視点に加えて、レジリエンスの確保の観点も踏まえた検討を行いまして、災害に強いまちづくりや持続可能な脱炭素社会の実現に向けた取組を市民、事業者一体となって取り組んでまいります。以上です。
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 次のテーマ、落雷事故から子どもたちの命を守るために、についてです。
令和7年4月10日、奈良市の帝塚山学園第2グラウンドで部活動中の中高生6人が落雷により救急搬送されるという大変痛ましい事故が起きました。雷は私たちの目に見えない、しかし、時に命を一瞬で奪う非常に恐ろしい自然災害であります。この事故は学校や地域が雷の危険にどう備えるのか、その備えが本当に十分なのかを私たちに強く問いかけております。
そこでまず、本市の学校や公園のグラウンドにおける直近3年間、令和4年度から6年度までの間の落雷による事故や被害の状況についてお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 本市の学校施設における直近3年間の落雷による被害につきましては、外壁損傷が2件ございますが、人身事故はございません。以上です。
○議長(打越基安) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 野球場など公園のグラウンドにおける落雷被害につきましては、野球場のスコアボードへの被害が1件ございますが、人身事故はございません。以上でございます。
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) この3年間で人身事故被害は確認されておらず、建物や設備の被害が合計3件ということでしたが、これは決して安全だったということではなく、たまたま被害が出なかっただけの話です。一歩間違えば命が失われていたかもしれません。そのことを改めて私たちはしっかりと受け止めなければなりません。
次に、学校や公園のグラウンドにおける落雷対策についてお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 学校グラウンドにつきましては、避雷設備の設置はしておりません。以上です。
○議長(打越基安) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 公園のグラウンドにつきましては、避雷設備の設置はしておりません。なお、高さ20メートルを超える野球場の照明施設などについては、建築基準法に基づき避雷設備を設置しております。以上でございます。
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 建築基準法により高さ20メートルを超える建築物には避雷設備の設置が義務づけられておりますが、それ以外の屋外のグラウンドなどには設置義務がなく、ほとんど対策が取られていないというのが実情です。これは言わば制度の空白地帯であり、現場任せ、現場の判断に委ねられているということであります。しかし、雷というのは、空が明るいから大丈夫だろうとか、雨がやんだからもう安全だろうといった感覚的な判断を全く無視して突然襲ってくるものです。過去の裁判でも、こうした主観的な判断に頼った結果、科学的なリスク管理を怠ったことが過失とされた事例があります。今、本当に必要なのは、現場の判断を科学的に、そして、制度的に支える仕組みだと私は考えます。例えば、愛知県の誠信高校では、雷探知機が電磁波や気温の変化を感知し、リスクが高まると回転灯が自動で点灯、即座に部活動を中止する体制が取られております。長野県の須坂東高校でも、雷センサーと連動した黄色の回転灯が作動し、雷リスクを見える化して現場の判断を支えています。
画像1を投影してください。(資料投影)学校グラウンドに設置された回転灯のイメージです。この回転灯はただの装置ではありません。それは指導者が、今活動をやめるという判断を下すための客観的な根拠であり、子どもたちの命を守る最後のとりでだと思います。福岡市でも雷ナウキャストなどの気象情報が活用されていると伺っておりますが、それだけでは現場で即時に避難すべきかどうかを判断するには限界があるのではないでしょうか。だからこそ、視覚的で直感的に危険を伝えるこうした装置の導入が必要だと考えます。画像1の投影ありがとうございました。
そこで、提案ですが、まずはモデル事業として、学校や公園のグラウンドなどを対象に、雷リスクを視覚的に知らせる回転灯などの判断支援装置の実証導入を進めるべきではないでしょうか。市の御見解をお聞かせください。
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 雷のリスク管理につきましては、学校に対して雷ナウキャストの運用について周知していくとともに、他都市の学校の先進事例等を調査するなど、雷からの被害を防ぐ方策について検討してまいります。以上です。
○議長(打越基安) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 公園利用者の落雷対策につきましては、他都市の事例なども参考にしながら、関係局と連携し、対応策を検討してまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) さらに、命を守るためには教育と訓練も欠かせません。市内には、避難計画が未策定であったり、防雷訓練が未実施の施設も見受けられます。文部科学省も雷に対する教育や訓練の充実を各自治体に対して求めております。雷が迫ったときに、子どもたち自身がどう行動すべきかを知っているかどうか、これはまさに平時の教育と訓練にかかっており、命を守る最後の行動を支える大切な基盤だと思います。
本市においても、雷災害に関する教育の制度化や避難訓練の徹底を進めるべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 雷災害から児童生徒を守ることは大変重要だと考えております。そのため、避難訓練や災害対応マニュアルに雷災害対応の視点を入れるなど、教職員の雷に対する意識を高めるよう努めるとともに、天候の急変等があった際には迷わず判断し、児童生徒が避難できるような仕組みづくりの検討も必要であると考えております。以上です。
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 平成30年の名古屋高裁の判決では、雷災害について、現場の見た目の天候に頼らず、科学的知見と最新の気象情報に基づく判断を怠ったことが明確に過失として認定されました。この判決は、自治体にも現場の判断を科学的に支える体制を制度として整えよという強いメッセージであると受け止めるべきです。回転灯のような判断支援装置は、教職員や指導者が判断責任を果たすためにも、そして、何よりも子どもたちの命を守るためにも欠かすことのできないインフラだと考えます。
モデル導入の成果を踏まえた上で、福岡市全体としてこうした判断支援措置を制度的に整備、標準化していくべきと考えますが、御所見をお聞かせください。
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 児童生徒を災害から守り、安全、安心な学校生活を送ることができるようにすることは大変重要であると考えております。判断支援装置の整備については、まずは議員御指摘の高校や他都市の事例を調査するなど、避難の判断が適切にできるような、よりよい仕組みづくりについて検討してまいります。以上です。
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 雷というのは、予測しにくい自然災害です。だからこそ、予測できないことを前提とした備えが必要です。子どもたちの命を守ることは、行政に課せられた最も基本的な責任の一つです。今こそ科学的な判断支援と制度的な安全装置の整備をスピード感を持って進めるときではないでしょうか。
最後に、雷災害から子どもたちの命を守るための今後の具体的な対応方針と福岡市としての強い決意を髙島市長にお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 髙島市長。
○市長(髙島宗一郎) 雷災害につきましては、近年、他都市において部活動中の生徒が被害に遭う痛ましい事故が起こっており、雷災害を含めて、様々な災害から子どもたちの安全を確保することは大変重要なことと認識をしています。今後とも、福岡市の未来を担う子どもたちが学校や公園のグラウンドで安全に部活動やスポーツなどができるよう、教育委員会とも連携をしながらしっかりと取り組んでまいります。以上です。
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 次のテーマ、マイボトルが育む未来の意識についてです。
近年、気候変動や環境問題が深刻さを増す中、私たちの身の回りでも脱炭素社会への転換や使い捨てプラスチック削減の必要性が高まっております。その中でも、日常的に大量に消費されているペットボトルの削減は持続可能な社会に向けた重要な課題の一つです。福岡市ではこうした課題に対応するためマイボトルの利用を推進し、区役所や市民センターなど、多くの方が利用する施設への給水スポットの整備が進められてきました。環境負荷の軽減に加えて、近年の厳しい猛暑を踏まえると、給水スポットの整備は熱中症対策の観点からも大変有効な取組であると考えます。
まず、現時点での本市における給水スポットの整備状況と今後の整備方針についてお伺いいたします。
○議長(打越基安) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 環境局では、マイボトルの利用促進によるプラスチックごみの削減や脱炭素社会の実現を図るため、これまでに区役所など多くの市民が利用できる庁舎や運動施設などの公共施設25か所に給水スポットを設置しております。令和7年度も城南市民センターやマリンメッセなど5か所に設置予定であり、引き続き多くの市民が利用する公共施設への設置に取り組んでまいります。以上です。
○議長(打越基安) 中村水道事業管理者。
○水道事業管理者(中村健児) 水道局では、安全でおいしい水道水のPRのため、未来を担う子どもたちや若年層、ファミリー向けの施設など6か所に給水スポットを設置しております。今後もこれらの給水スポットに加えて、持ち運びができる卓上型給水機を各種イベントなどで活用しながら、安全でおいしい水道水のPRに努めてまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 給水スポットの設置場所については、誰もがアクセスしやすい場所に重点を置く必要があると考えます。設置場所の選定に当たり、ユニバーサルデザインや防災拠点としての視点は考慮されているのか、伺います。
○議長(打越基安) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 給水スポットの設置場所につきましては、アクセスしやすく、多くの市民が利用している施設を選定しており、指定避難所等に指定された施設も多数ございます。以上です。
○議長(打越基安) 中村水道事業管理者。
○水道事業管理者(中村健児) 水道局では、主に子どもたちや若年層、ファミリー層が集う公共施設に給水スポットを設置しており、これらの中には指定緊急避難場所に指定されている施設もございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) また、給水スポットの設置は使い捨てプラスチックの削減のために市民一人一人の行動変容を促す有効な施策であると考えますが、その効果について環境局としてどのように検証、評価を行っているのか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 環境局で令和4年度以降に設置した給水スポット17か所につきましては、給水量の計測が可能であり、これまでに約23万7,000リットルの給水を行っております。これは500ミリリットルペットボトル約47万本に相当するものであり、給水スポットの設置がペットボトルをはじめとしたプラスチックごみ等の削減に寄与しているものと認識しております。以上です。
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) そして、給水スポットは、環境負荷の軽減だけではなく、夏場の熱中症対策としても重要な役割を果たします。特に外出時や運動時にいつでも水を補給できるという安心感は市民の健康を守る上で大切な要素です。
この点について、市としての見解を伺います。
○議長(打越基安) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 熱中症対策といたしましては、小まめな水分補給も重要な予防行動の一つであり、給水スポットの設置も有効な手段の一つであると認識しております。以上です。
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) ここで私が特に申し上げたいのは、次世代を担う子どもたちにこそ、こうした環境配慮の意識を根づかせていく必要があるということであります。そのためには、マイボトル利用が当たり前の習慣となるような環境づくり、すなわち市立学校における冷水器の整備が不可欠だと考えます。冷水器が整備されることで、子どもたちは日常的にマイボトルを持参し、繰り返し使うという行動が自然と身につきます。それは単に水を飲むという行為だけではなく、資源を大切にする、環境を守るという意識を育てる環境教育の一環にもなります。特に体育の授業や休み時間、部活動後などにすぐに冷たい水を飲める環境を整えることで、児童生徒の健康を守る効果があります。広島県廿日市市では、子ども議会での提案を受け、全小中学校27校に冷水器を設置。感染症対策として直接飲用ではなく水筒への給水タイプを採用、児童生徒が積極的に利用し、水道のぬるい水と違って飲みやすいとの声。夏場の水分補給が容易になり、熱中症対策としても効果を発揮しているそうであります。
市立学校における冷水器の設置状況、そして、教育的視点を踏まえた今後の方針について市の御見解をお聞かせください。
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 冷水器の設置状況につきましては、市立小中学校のうち3校に設置されております。また、各学校においては、児童生徒に対し水筒の持参を働きかけており、児童生徒の多くは水筒を持参し、必要に応じ、学校の水道水で補充を行っているところでございます。今後の冷水器等の整備については、引き続き他都市の状況などを調査し、検討してまいります。以上です。
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) あわせて、こうした給水環境の整備を持続可能な形で推進していくには、公共施設だけではなく、地域の商店街や民間施設との連携も重要です。現在はマイボトルへの給水及び有償での飲料の提供に協力いただける民間事業者をマイボトル協力店として登録し、広報や啓発活動を行っているとのことですが、今後さらなる周知と参加拡大が求められます。
給水スポットやマイボトルの利用促進をどのように広げていくのか、市としての今後の取組についてお伺いいたします。
○議長(打越基安) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) マイボトルの利用促進につきましては、これまで25か所の公共施設への給水スポットの設置に加え、約90店舗の民間事業者をマイボトル協力店として登録し、水やコーヒーなどの飲料をマイボトルに提供できる環境づくりに取り組んできたところでございます。今後もこれらの取組を継続するとともに、市民の利用や認知度をさらに向上させるため、市ホームページや市政だより、SNSなど、様々な媒体を活用した広報、啓発にしっかりと取り組んでまいります。以上です。
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 最後に、こうした一連の取組をより一層推進していくためには、環境、健康、教育の視点を横断的に捉えた施策展開が求められます。給水環境の整備を全庁的な中長期戦略として位置づけて取り組んでいただくことを強く要望いたします。
水は命に直結し、環境にも直結する最も根源的な資源です。子どもたちがマイボトルを通して水の大切さを学び、ペットボトルに頼らない生活スタイルを当たり前にしていくこと、それこそが持続可能な未来へとつながる一歩になると私は確信しております。
どうか市として、こうした環境、健康、教育の好循環をつくる取組に力強く取り組んでいただきたいと考えますが、髙島市長の御所見をお伺いいたします。
○議長(打越基安) 髙島市長。
○市長(髙島宗一郎) 福岡市では環境負荷を軽減し、都市の発展を持続させる福岡式循環型社会システムの構築に取り組んでおります。マイボトルの普及促進はプラスチックごみの削減や脱炭素社会の実現に資するだけでなく、昨今急増する熱中症による健康被害防止にも寄与する取組であると考えています。このため、今後も引き続きマイボトルの普及促進により人と環境に優しい持続可能な社会の実現に取り組んでまいります。以上です。
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 最後のテーマ、視認性を高め安全な道路へについてであります。
まず、道路の視認性の確保は交通事故を未然に防ぐための基本中の基本であり、言わば最前線の安全対策であると考えます。特に白線、すなわち区画線の明瞭さは、運転者や歩行者が進行すべき位置を正確に把握するための基礎的なインフラであり、視認性の土台となるものであります。本市内を見渡しますと、夜間や雨天時にはほとんど見えなくなっている白線が見受けられ、市民の皆さんからも見えづらい、危険を感じるといった御意見が寄せられております。
そこでまず、本市における区画線の維持管理の現状とその重要性についての市の御認識をお伺いいたします。
○議長(打越基安) 竹廣道路下水道局長。
○道路下水道局長(竹廣喜一郎) 区画線は通行位置の明示や車線変更の判断に用いるなど、自動車や歩行者の安全な通行にとって必要であり、その維持管理は非常に重要なものと認識しております。そのため、道路管理者として区画線の劣化状況を的確に把握し、必要に応じて引き直し等を実施しております。以上でございます。
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 本市における白線、区画線の維持管理体制、点検頻度、補修基準について明確なマニュアルやガイドラインは存在するのか、お答えください。また、その基準に基づいた白線、区画線の再塗装のサイクルは実態として遵守されているのか。現場の運用状況と予算、人員体制の現状について具体的に伺います。
○議長(打越基安) 竹廣道路下水道局長。
○道路下水道局長(竹廣喜一郎) 道路管理者が管理する区画線につきましては、区の維持管理部門の職員が幹線道路は月2回以上、生活道路は年1回以上の頻度で点検しております。また、区画線の劣化につきましては、交通量や通行する車の種類によって差があり、特に交通量の多い路線で進行が早い傾向がございます。そのため、優先度の高い箇所から区画線の引き直し等を実施しておりますが、補修に関する公的な基準は定められておりません。なお、現在、各区の職員にて効率的な点検、補修を行っておりますが、今後は管理施設の老朽化が進んでいくことが想定されるため、維持管理の体制について検討を行ってまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 市民の皆様の声は重要な現場情報であります。
白線、区画線の視認性に関する通報、要望に対し、受付から現地調査、対応判断、改善までの一連のプロセスはどうなっているのか、お答えください。また、対応結果の公表を行うべきだと考えますが、市の取組状況を伺います。
○議長(打越基安) 竹廣道路下水道局長。
○道路下水道局長(竹廣喜一郎) 市民からの通報や要望は区役所の窓口に直接寄せられるほか、LINEによる通報で把握し、速やかに現地調査を行っており、その結果を踏まえ、優先度を判定の上、対応方針を決定しております。なお、LINEによる通報につきましては、その対応状況をホームページで公表しております。以上でございます。
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 視認性の確保は、日中に限らず、特に夜間や雨天時など視界が悪化する状況において、より一層その重要性が高まるものと認識しております。実際に福岡市内においても夜間や悪天候下での交通事故が発生しており、事故現場における声を聞きますと、標示が見えにくかったといった感想を持たれる方も多くいらっしゃいます。
そうした現場の実態を踏まえ、夜間や雨天時の事故において視認性の不足が原因の一つとなっている可能性について市としてどのように受け止めておられるのか、見解をお伺いいたします。あわせて、本市はこれらの条件下で発生した事故についてどのような調査、対応を行っているのか、お答えください。
○議長(打越基安) 竹廣道路下水道局長。
○道路下水道局長(竹廣喜一郎) 福岡市の交通事故を取りまとめた統計資料である令和5年福岡市の交通事故によりますと、福岡市内で発生した交通事故件数は6,005件、死者数は25人となっております。そのうち、夜間に発生した事故が占める割合は件数で約3割、死者数は約5割となっており、視認性が低下する夜間において事故件数の割合に対し死者数の割合が高く、視認性の確保は重要であると認識しております。当該資料において視認性不足を事故要因とする分類はないものの、重大事故が発生した箇所や事故多発地点におきましては、県警察と連携し、現地調査を行った上で必要な対策を講じております。以上でございます。
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 白線は再塗装してもすぐに?げてしまう事例も見受けられます。
使用している塗料の耐久性に課題はないのか、お答えください。また、より視認性が高く、雨天時にも優れた効果を発揮する素材、高輝度、全天候型の導入検討状況をお伺いします。
○議長(打越基安) 竹廣道路下水道局長。
○道路下水道局長(竹廣喜一郎) 区画線につきましては、ガラスビーズを含んだ視認性が高い塗料を採用し、耐久性の高い溶融式による施工を基本としております。しかしながら、区画線の劣化につきましては交通量や通行する車の種類によって差があり、特に交通量の多い路線で劣化が早くなることが課題と認識しております。引き続き、区画線に使用する塗料の開発動向などを注視し、費用対効果等を考慮しながら、より視認性や耐久性に優れた新技術や新素材の活用を検討してまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 白線を補完する重要な手段が反射機能を持つ道路びょうなどの活用です。画像2の投影をお願いします。(資料投影)車道と歩道の縁石の上に等間隔に取り付けてある、車のヘッドライトに反射しているものが道路びょうです。視認性を向上させるためには、白線の維持管理のみでは不十分であり、それを補完する視線誘導の工夫を適切に組み合わせていくことが重要であると考えます。近年では反射機能を持つ道路びょうなどの活用が注目されております。こうした反射材を設置することで夜間の走行ラインが明瞭となり、特に高齢ドライバーや暗所――暗いところでの運転時において走行支援の効果が期待されております。画像2の投影ありがとうございました。
本市においては、これまでどのような箇所に反射機能を持つ道路びょうなどが設置され、その設置によりどのような効果が確認されているのか、御説明をお願いいたします。あわせて、道路種別、交通条件、優先エリアの明確な設置基準はあるのか、伺います。
○議長(打越基安) 竹廣道路下水道局長。
○道路下水道局長(竹廣喜一郎) 道路びょうなどの視線誘導標の設置につきましては、公益社団法人日本道路協会が発行しております視線誘導標設置基準・同解説に準拠し、急カーブ区間や車道幅員が変化する区間など、視線誘導が必要な区間において、県警察との協議や地域要望を踏まえ、検討を行い、個別に対応しております。また、効果につきましては、先ほどの設置基準・同解説におきまして、前方の道路線形が明確になることから夜間交通の円滑化に期待できるとされております。実際に地域要望により道路びょうを設置した箇所におきましては、地域の皆様から夜間に走りやすくなったという御意見をいただいております。以上でございます。
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 今御説明いただきましたように、道路びょうなどの反射材の設置は視認性向上に有効であるとのことであります。であるならば、個別の判断に委ねるのではなく、今後はより積極的に導入を進めていくべきであると考えます。
道路びょうの標準仕様化や設置基準の明確化といった制度的な整備を検討すべきではないかと思いますが、市としての見解をお聞かせください。
○議長(打越基安) 竹廣道路下水道局長。
○道路下水道局長(竹廣喜一郎) 夜間などにおける道路の視認性の確保につきましては、交通の円滑化を図る上で重要なことであると認識しております。道路びょうにつきましては、公益社団法人日本道路協会が発行しております視線誘導標設置基準・同解説に準拠し設置を行っているところでございますが、今後、道路構造や交通状況を踏まえ、県警察等と協議しながら、総合的に安全な交通環境の確保について検討してまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 視認性は命と安全に直結する社会インフラです。最終的に目指すべきものは、交通事故から市民の命を守るという目的の下、視認性向上策を戦略的かつ体系的に進めていくことであると考えます。白線の維持を基盤としつつ、道路びょう、照明灯、排水性舗装など、複数の要素を有機的に組み合わせ、立体的に視認性を確保する必要があります。そのためには、個別対応ではなく、全体を俯瞰した視認性向上戦略の策定とそれに基づく予算の体系化が不可欠であります。具体的には以下のような観点が重要と考えます。白線再塗装に関する基準や点検サイクルの明確化、夜間や雨天を想定した視認性診断の導入、道路びょうなどの反射材設置における優先順位の明確化と標準化、視認性改善に係る予算の見える化。
これらの視点を踏まえ、本市として視認性向上に向けた取組をどのように体系化し、今後どのように進めていかれるのか、髙島市長に力強い決意をお伺いし、私の質問を終わります。
○議長(打越基安) 髙島市長。
○市長(髙島宗一郎) 道路につきましては、安全で安心な市民生活と都市活動を支える社会基盤でありまして、区画線などによります道路の視認性の確保は安全で円滑な交通を図るため重要であると認識をしています。このため、現在策定中であります道路整備アクションプラン2028に基づき、安全、安心でみんなに優しい道づくりにしっかりと取り組んでまいります。以上です。