○議長(打越基安) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。堤健太郎議員。
○12番(堤 健太郎)登壇 私は公明党福岡市議団を代表して、誰でも気軽に外出できる福岡市を目指して、持続可能な地域交通の確保と高齢者乗車券の柔軟な活用について質問いたします。
人口減少を背景として、近年、全国各地で路線バスやローカル鉄道の減便、廃止が相次いでいます。先月、国が閣議決定した2025年版交通政策白書によると、全国の路線バス事業者が2023年度に廃止した距離の総延長は2,496キロで、前年度の1.5倍に増加し、地域交通は危機的な状況と指摘しています。本市も例外ではありません。福岡市の公共の乗り物といえば、地下鉄、JR、西鉄電車、西鉄バス、昭和バスなどがありますが、中でも西鉄バスは、本市の発展の歴史とともに、高いレベルで安定的な公共交通サービスが提供され続けてきました。しかし、近年、公共交通を取り巻く環境が急速に変化し、市民生活に直結する交通手段に大きな影響を与えています。
そこでお尋ねしますが、令和7年春の西鉄バス福岡地区の一般路線バスダイヤ改正について、その概要をお示しください。
以上で1問目の質問を終わり、2問目以降は自席にて行います。
○議長(打越基安) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 令和7年春の西鉄バスのダイヤ改正におきましては、主に東区香椎エリアや西区壱岐エリアを中心とした25路線で減便がなされており、平日で福岡地区全体の約3.1%の減便が行われております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堤健太郎議員。
○12番(堤 健太郎) 今回の改正では、主に東区香椎エリアや西区壱岐エリアで大幅な減便が行われました。
資料1をお願いいたします。(資料投影)私の住む西区では、姪浜大通りに新室見というバス停がありますが、姪浜駅から南に約1キロに位置しています。壱岐営業所から姪浜駅までを折り返し運行する路線や都市高速経由で天神、博多駅への都心へ向かう路線など、多くのバスが走る豊富な路線系統と便数を誇っていました。しかし、今回のダイヤ改正によって、上り下り合わせて、平日265便が157便に減便となりました。福岡地区平均の減便率3.1%を大きく超える約40%の大幅な減便です。特に都市高速を使う天神、博多方面行きでは、改正前の71便から改正後23便となる67%の減便、利用者の多い朝の時間帯は残したまま、13時以降の便は全てなくなりました。
そこで、今回のダイヤ改正による減便はどのような理由によって行われたのか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 慢性的な運転手不足への対応を主な理由として、利用状況に応じたダイヤ改正が行われたと聞いております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堤健太郎議員。
○12番(堤 健太郎) 運転手不足や高齢化、残業規制の強化、また、燃料価格の高騰や人件費の上昇は経営に影響するため、減便のダイヤ改正はある程度理解しますが、利用状況に応じたダイヤ改正、いわゆる乗車人数が少ないから減便するというやり方では、市民への理解は深まりません。通勤や通学に困る、病院に行けなくなった、買物にも困るといった切実な声が寄せられています。
こうした状況に対する本市の認識と対応について、今後どのような姿勢で臨んでいくのか、御所見をお伺いいたします。
○議長(打越基安) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 郊外部の人口減少やバス利用者数の減少に加え、近年の運転手不足など公共交通を取り巻く環境は厳しくなっており、バス路線の維持に課題が生じていると認識しております。
バス交通については、市民生活にとって重要な公共交通であり、地域の御利用によって支えられていることから、引き続き、地域、交通事業者、行政が共働して、公共交通ネットワークの維持に努めてまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 堤健太郎議員。
○12番(堤 健太郎) そこで、それらの諸課題に対応した本市の交通政策を実施するため、前計画から約10年が経過し、今年度新たに策定された福岡市都市交通基本計画における今後の地域交通の方向性についてお伺いいたします。
○議長(打越基安) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 新たな都市交通基本計画におきましては、地域の実情に応じた生活交通の確保を方針の一つと位置づけ、高齢化の進展や地域の実情などを踏まえ、市民、交通事業者、行政が共働し、日常生活を支える持続可能な生活交通の確保を図ることとしており、バス路線の休廃止に伴う公共交通空白地における代替交通の確保や、公共交通が不便な地域における取組への支援の強化などに取り組むこととしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堤健太郎議員。
○12番(堤 健太郎) 新たな計画において、地域の実情に応じた生活交通の確保が示されましたが、これまで以上に本市がリーダーシップを発揮し、実効性のある地域交通支援強化の具体的な取組を強く求めておきます。
次に、路線の廃止について伺います。
本年3月末に、昭和バスが運行する西区のマリノア線が廃止となりましたが、そもそも、このマリノア線はどのような路線だったのか、廃止になった理由と併せてお答えください。
○議長(打越基安) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 昭和バス、マリノア線につきましては、姪浜駅、小戸、マリノアシティ福岡間を運行し、商業施設利用者や沿線の小戸周辺の方に利用されていた路線でございます。
令和6年8月の施設の閉館による利用者の減少や運転手不足に伴い、路線の維持が困難となったとのことから、交通事業者より国へ届出がなされ、令和7年3月31日に廃止となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堤健太郎議員。
○12番(堤 健太郎) 資料2をお願いします。(資料投影)赤い線が本年3月末まで運行していたマリノア線の路線図です。マリノアシティ閉館後、昨年9月からは土日祝日の便をなくし、平日は減便しての運行。今後マリノアシティの跡地は数年かけて再開発予定のため、それを見越しての運行が継続されると思われましたが、残念ながら路線廃止となりました。この地域には高齢者も多く、小戸から姪浜駅への移動の足がなくなることに大変に困るとの声を多く聞きました。
そこで、本市としてバス交通の維持についてどのような支援をしたのか、お伺いいたします。
○議長(打越基安) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) マリノア線の代替となる移動手段の確保について、地域や交通事業者と協議、検討を行い、姪浜タクシーが運行する今宿姪浜線が、令和7年4月1日より小戸方面へも運行を開始されております。
福岡市といたしましては、今宿姪浜線を小戸方面へも運行していただけるよう運行事業者に働きかけるとともに、事業者とも連携しながら、関係機関との協議やダイヤの検討、地域への運行内容の説明やチラシ配布による周知などを行っております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堤健太郎議員。
○12番(堤 健太郎) 資料3をお願いいたします。(資料投影)4月1日より、姪浜タクシーが運行する今宿姪浜線が迂回運行し、小戸公園、小戸中央バス停を通るようになりました。目的地である姪浜駅までの一部ルートが、マリノア線、今宿姪浜線共に重なっていたことも幸いし、できる限りの対応をしていただいたものと思います。資料4をお願いいたします。(資料投影)これは小戸中央バス停の様子です。今回の対応で空白期間を生まずに引き続き利用できるようになり、地域の方からも喜びの声をお聞きしました。交通空白地を生まないための取組は、事業者任せではなく、本市が主体的に関わることが重要であることを示しています。
この今宿姪浜線も、以前から公共交通を確保するための重要な取組として本市が支援を続けていますが、その概要についてお伺いいたします。
○議長(打越基安) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 今宿姪浜線は、バス路線の休廃止に伴い、公共交通空白地となる西区今宿上ノ原地区などの代替交通確保のため、平成19年11月から、条例に基づく休廃止対策として福岡市が運行経費を補助することで運行を開始しております。
運行に当たりましては、地域、交通事業者、行政による連絡協議会を設置し、適宜、利用状況の共有や運行内容の見直し、利用促進などに取り組んでおります。以上でございます。
○議長(打越基安) 堤健太郎議員。
○12番(堤 健太郎) 条例に基づく休廃止対策として運行している今宿姪浜線は、運行当初、利用者に愛着を持ってもらうために、海岸線を走るバスをイメージしたなぎさ号と命名。運行から18年経過した今も地域に親しまれています。以下、なぎさ号と言いますが、なぎさ号の利用者数、補助金額について、10年前、5年前、コロナ禍、直近の状況、また、近年の傾向についてお伺いいたします。
○議長(打越基安) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 今宿姪浜線、なぎさ号の年間の利用者数及び補助金額につきましては、10年前の平成25年度は3万8,217人で298万2,000円、5年前の平成30年度は2万8,440人で805万6,000円、コロナ禍の令和2年度は1万9,532人で1,002万8,000円、直近の令和5年度は2万7,905人で987万7,000円となっております。
利用者数は、新型コロナウイルス感染症の影響により一時減少したものの徐々に回復傾向、補助金額は経費高騰の影響もあり増加傾向となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堤健太郎議員。
○12番(堤 健太郎) 利用者数は徐々に回復傾向にあるものの、10年前と比較しても1万人減少しており、市の補助金額は年々増加傾向にあるようです。
では、なぎさ号の利用について、利用者の声はどのようなものがあるのか、教えてください。
○議長(打越基安) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) なぎさ号の沿線住民を対象に、令和6年2月に実施したアンケート調査によりますと、高齢化がこれからも進むと思われるので、なぎさ号のようなバスは必要、今後も地域の足として運行を継続してほしいといった御意見をいただいております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堤健太郎議員。
○12番(堤 健太郎) 将来にわたり、地域の足、生活の足として、なぎさ号の必要性を強く感じている人が多いことがうかがえます。
そこで、なぎさ号に関する課題について2つお聞きしていきます。
その1つは、利用者減少などにおける現状において、地域公共交通ネットワークが将来にわたり担保されるかどうかであります。資料5をお願いいたします。(資料投影)これは西区の鐘撞山から見る今宿の景色です。奥には能古島も臨みます。令和元年、今宿地域では、なぎさ号の利用促進を目的として、地域住民、九州大学の学生、西区役所、交通事業者が中心となった地域活性化のための今宿プロジェクトを立ち上げました。これは、そのホームページです。今宿の豊かな海や山、そして、歴史ある古墳や神社、史跡、唐津街道としての面影を残す町家など、今宿の魅力を内外に発信していくことで、なぎさ号の利用を、地域の足としてだけでなく、観光促進にもつなげていこうと取り組んでいます。先日、今宿プロジェクトの代表の方々とも意見交換させていただきました。地域資源を生かした地域主体のまちづくりを行政が支援していくことは重要です。投影ありがとうございました。
今後、今宿は長垂海浜公園や今宿野外活動センターのリニューアルが計画されており、観光などの利用者増が期待されますが、交通ネットワークを将来にわたり維持していくためにも、地域との連携による取組の強化など、さらなる利用促進が必要と考えますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(打越基安) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 連絡協議会において、地域、交通事業者、行政の3者で協議を行い、これまでバス停の追加などの運行内容の見直しやバスを使ったイベント企画による利用促進など、路線維持に取り組んできたところでございます。
今後、沿線施設のリニューアルも予定されていることから、利用実態などを踏まえながら、引き続き地域や交通事業者と連携し、利用促進に取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 堤健太郎議員。
○12番(堤 健太郎) よろしくお願いいたします。
課題の2つ目は、高齢者の外出支援である高齢者乗車券の利便性向上についてです。
そこでまず、高齢者乗車券の目的、令和5年度の予算額、決算額と、対象者数、交付者数、券種ごとの交付者数についてお伺いいたします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 高齢者乗車券は、高齢者の社会参加を促進し、福祉の増進を図ることを目的としており、令和5年度の予算額は19億8,400万円余、決算額は17億700万円余、対象者数は23万6,403人、交付者数は15万6,827人となっております。
また、券種ごとの交付者数は、多い順に、交通用福祉ICカードが12万1,288人、タクシー助成券が3万5,084人、市営渡船乗車引換券が352人、今宿姪浜線乗合バスなぎさ号が51人、オンデマンド交通チョイソコふくおか乗車券が35人、曲渕線乗合タクシーが15人、早良区大字西地区乗合タクシーが2人となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堤健太郎議員。
○12番(堤 健太郎) 高齢者乗車券は70歳以上の対象の方に幅広く利用されておりますが、予算額と決算額の開きや対象者数と交付者数にも開きがあるため、より多くの方に申請していただき、使っていただくための制度の改善や利便性向上の取組が求められます。また、高齢者人口が毎年増加していく中においては、財政負担に耐え得る持続可能な制度にしていかなければなりません。
そこで、高齢者乗車券の近年の利便性向上に関する取組状況についてお伺いいたします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 従前は区役所の窓口で交付しておりましたが、令和2年度に郵送やオンラインによる申請を、3年度に交通用福祉ICカードにオンラインによるポイント付与の仕組みを導入し、区窓口の混雑解消にもつながっております。
また、4年度に、曲渕線乗合タクシー、5年度にオンデマンド交通チョイソコふくおかで利用できる新たな券種を導入するとともに、6年度には、さらにタクシー助成券の2枚利用の運用を開始するなど、利便性の向上に努めております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堤健太郎議員。
○12番(堤 健太郎) これまで我が会派からも、郵送、オンラインによる申請やタクシー助成券の2枚利用について議会で提案してまいりましたが、改めて利用者目線に立った利便性向上の取組が実施されていることが分かりました。
一方、今回、小戸地域の方から、マリノア線の廃止、なぎさ号が迂回運行したことで、それまで使用していたICカードによる高齢者乗車券が使用できなくなったとの御相談をいただきました。資料6をお願いいたします。(資料投影)高齢者乗車券は7種類あり、助成期間は、毎年10月1日からの1年間です。この間、券種の変更はできません。これまでのマリノア線は交通用福祉ICカードを利用していました。そして、なぎさ号はICカードに対応していないため、紙での高齢者乗車券です。そのため、交通用福祉ICカードの残額があるにもかかわらず、なぎさ号乗車時は毎回、乗車のたびに現金で払っているとのことです。バス路線の廃止は事業者側の都合であるため、担当課に券種の交換ができないか聞きました。しかし、交付規則に規定しているため、券種の変更はできないとの回答でした。このような券種の変更については、なぎさ号に限らず、不便に感じている方は多いのではないでしょうか。
お尋ねいたしますが、高齢者乗車券等交付規則に乗車券は他の種類の乗車券と交換しないとしているのはなぜでしょうか。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 膨大な対象者に対し、正確かつ迅速に交付を行う必要があるため、事務の外部委託やシステム化を進めるなど、交付体制の整備に取り組んでおります。交換については、券種や金額の修正に対応できるシステム整備など、さらなる体制整備が必要となることから、原則として行っておりません。以上でございます。
○議長(打越基安) 堤健太郎議員。
○12番(堤 健太郎) さらなるシステム改修が必要であるため交換は行っていないとのことですが、大事なことは、市民のためにシステム改修をすることではないでしょうか。
なぎさ号の交付者数は、ICカードやタクシーでの交付者数と比べても極めて少ないため、そこに対する関心は低いのかもしれません。しかし、現実に困っている方がいることは事実です。バス路線の廃止などで申請している高齢者乗車券が身近に利用できなくなる場合や、利用者本人の病気やけがなどによって従来の券種での移動が困難になる場合など、状況の変化によって、申請後の高齢者乗車券の券種の交換に柔軟に対応すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 答弁に入ります前に、先ほどの答弁の修正をさせていただきます。
先ほどの乗車券の交付者数に対する御質問に関しまして、「市営渡船乗車引換券」とお答えしましたが、「市営渡船乗船引換券」でございました。おわびして修正させていただきます。
今の御質問にお答えいたします。
交通用福祉ICカードにつきましては、基本的には一部路線の廃止等にかかわらず、広く社会参加に活用いただける汎用性の高いものと認識しております。乗車券の交換には、システム改修など効率性を踏まえた体制整備が必要となりますが、専用の券で利用する乗合タクシー等における事業者交代により券が使えなくなるなど、真にやむを得ない事情が認められる場合につきましては、対応について検討してまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 堤健太郎議員。
○12番(堤 健太郎) 対応を検討するとの答弁です。今回のケースも、真にやむを得ない事情であり、今年度の残りの期間を考えますと、早期に決断すべき必要があります。どうかよろしくお願いいたします。
昨今の人手不足や物価高騰が公共交通の減便や利便性の後退につながっています。本市に求められているのは、そこをいかにカバーし、市民にとっての利便性を補うかではないでしょうか。超高齢社会の今、より多くの市民の社会参加は、生きがいや健康づくりにつながります。
この質問の最後に、誰でも気軽に外出できる本市のまちづくりに向け、持続可能な地域交通の確保と高齢者乗車券の柔軟な活用について髙島市長の御所見をお伺いして、私の質問を終わります。
○議長(打越基安) 髙島市長。
○市長(髙島宗一郎) 福岡市においても、高齢化の進展などによりまして生活交通の確保や社会参加の促進の重要性が高まっているものと考えております。
このため、持続可能な生活交通の確保に向けて、条例に基づく休廃止対策や公共交通不便地等における支援の強化など、地域の実情に応じた取組を推進しますとともに、高齢者乗車券につきましては引き続き利便性を確保するなど、高齢者の社会参加の促進を目指して、誰もが気軽に外出できるまちづくりに取り組んでまいります。以上です。