◯議長(打越基安) 堤健太郎議員。
◯12番(堤 健太郎)登壇 私は、公明党福岡市議団を代表して、令和5年度福岡市一般会計、特別会計並びに企業会計に係る決算諸議案について、これを認定することに賛成の意を表し、討論を行います。
令和5年度決算は、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に変更され、社会経済活動の正常化が進む中、一般会計の実質収支は94億円の黒字、特別会計は36億円の黒字となっております。企業会計は、高速鉄道事業、水道事業、下水道事業及びモーターボート競走事業が前年度に引き続き単年度損益が黒字になっています。
財政の現状については、市債残高が着実に減少し続けており、プライマリーバランスは黒字を維持しております。また、市税収入は、地価の上昇や新増築家屋の増加により固定資産税などが増加し、前年度決算額と比較しても増収となっている点は評価ができるものと考えます。しかしながら、依然として物価上昇が進んでおり、日本経済にも大きな影響が出てきております。マイナス金利の解除によって金利ある社会が戻るなど、経済状況が大きく変化する中、少子・高齢化の進展による社会保障費の増大など、本市を取り巻く環境は決して楽観できる状況ではありませんが、今後も持続可能な財政運営にしっかり取り組んでいただきますよう要望いたします。
これ以降は、さきの決算特別委員会並びに各分科会において、我が会派の議員が主張してきた意見、要望などを中心に、その要点を述べてまいります。
財政につきましては、財政運営プランに基づき、適切な行財政運営を行うとともに、将来にわたり必要な財源を確保するための財政運営を求めておきます。
あわせて、財政の見える化については、市民への説明責任の観点からも、本市の決算状況も市政だよりに掲載するなど、工夫して広報いただくことを要望いたします。
行政手続や市民サービスのデジタル化、オンライン化など、DXの推進については、国の動向も踏まえながら、これまで以上に各局が連携して、スピード感を持って臨んでいただくことを求めます。
区政の振興については、区の特性を生かしたまちづくりが実施されるためにも、各区の情報共有がより図られるよう求めておきます。
市民の声を聞く広聴事業については、集会広聴や個別広聴など、市民に寄り添った、なお一層の取組が必要です。特に近年、相続登記の義務化などから、遺言、相続に関する相談数が増加傾向にあるため、司法書士相談などの開催数の拡充を要望いたします。
スポーツ振興については、スポーツ大会などでの市民プールや体育館のスポーツ施設の駐車場不足の課題があります。そのため、周辺の民間事業者と連携した臨時駐車場の活用を検討するよう求めます。
全国各地で大規模自然災害が発生する中、災害への備えが重要です。避難支援の防災アプリ、ツナガルプラスのさらなる登録促進と使いやすい機能改修とともに、地域防災力の向上へ、避難が困難な要支援者も参加するインクルーシブ防災訓練の実施拡大や、帰宅困難者支援の仕組みづくりとして、本市主催の訓練イベントの定期開催など、平時からの防災活動の強化と充実を要望いたします。
市営住宅の申込みについては、妊娠中の方や子育て世帯の要件緩和を図り、支援の拡充を求めます。
また、福祉サービス事業者への駐車スペースの確保のために、シェアリングモデル事業の推進を図り、さらなる空き駐車場の有効活用を要望いたします。
公共交通が不便な地域における生活交通を確保するために、オンデマンド交通社会実験については、効果などを検証し、実験地域のエリア拡大、必要な地域への本格導入を求めます。
利用者が3,000人未満の鉄道駅のバリアフリー化については、ホームドアの設置など、障がいのある人や車椅子、ベビーカーを使用する人など、誰もが利用しやすい環境づくりの推進を求めておきます。
がん対策の推進については、がん患者の方へのアピアランスケア推進事業の助成の増額を求めます。また、がん検診については、受診率向上へ向けて、受診にかかる自己負担額を下げるなど、初めての人でも受診しやすい取組を要望いたします。
感染症の予防については、先天性風疹症候群の発生を防止するために、妊娠を希望する方などが接種している風疹予防ワクチンの無償化を求めます。
また、80歳までに3人に1人が発症すると言われる帯状疱疹において、ワクチン接種の公費助成を要望いたします。
受動喫煙対策については、モラル・マナー条例の改正による路上喫煙禁止地区の拡大や公園での喫煙禁止など、さらなる対策の強化を要望いたします。
また、喫煙場所の整備など、喫煙者と非喫煙者の共存を図る取組を求めておきます。
生活保護受給者の適正受診において、糖尿病などの重症化予防や生活習慣改善のための保健指導の参加対象枠を拡大するなど、適正な受診指導に努め、医療費削減を図るよう要望いたします。
あらゆる子どもたちが持つ無限の力を信じ、個々の得意や強みを発揮するための質の高い公教育が行われることは何よりも重要です。教育現場の主体者となる教員が、子どもたちに向き合い、子どもたちの声に耳を傾け、反映できるようにするため、小学校における教科担任制の導入など、具体的な取組を強化するよう求めます。
また、不登校児童生徒へは、学習保障のみではなく、社会参加の機会を提供する必要性を鑑み、フリースクールなど、多様な選択肢を確保するための支援の充実と不登校を生まない一人一人に適した対話重視の授業など、学校づくりを推進するよう要望いたします。
子どもの貧困は想像以上に深刻で喫緊の課題であり、重要な栄養源である学校給食を児童生徒が安心して食べることができる環境につながる給食の無償化は、社会全体で子どもを育てる観点からも進めるべきと要望いたします。
青少年施設の運営については、自然教室としての利用を促進するとともに、日頃体験できない自然環境での学びの場において、スマートフォンやパソコンなどのデジタル機器から意識的に距離を置くデジタルデトックスの効果も得られるような取組を要望いたします。
おむつと安心定期便においては、産後鬱など、外出が難しい御家庭にも支援が行き届くよう、電子スタンプ受け取り場所の選択肢として在宅支援事業の拡大を求めます。
中小企業、小規模事業者の経営基盤の強化を図るため、経営相談、販路拡大や業務効率化へ向けた伴走型の支援、人材確保と就労へのさらなる支援を要望いたします。
また、商店街の課題解決や周辺観光エリアとの連携、伝統産業振興や技能継承のためのセミナー、イベントの実施による市場の開拓、ものづくり体験の機会がさらに身近なものとなるよう求めておきます。
渡船事業の推進について、離島住民の生活の足として維持する必要がある一方、運航経費高騰などにより、さらに厳しくなる経営状況を打破するため、港に人を呼び込むためのイベントなどを開催し、渡船を利用してもらう取組を要望いたします。
あわせて、博多どんたく港まつりと港を冠した祭りがあるように、かつてのようなにぎわいのある博多港を官民連携して再度目指していただくことも求めておきます。
農業振興について、生産性の向上、規模拡大を図る意欲ある担い手を支援するとともに、女性農業者への支援や農福連携の推進など、多様な担い手の確保、育成、さらにはAI、IoTなどの先端技術の活用の支援や作業の効率化、省力化の促進により、スマート農業の力強い推進を要望いたします。
また、農地の保全や農業用施設の維持、活用、十分に活用されていない農地についての利用促進を求めておきます。
地域資源の活用として、農山漁村地域における特性を生かした民間のチャレンジ支援など、漁港を中心とする地域の活性化と地元水産業の振興に向けた海業への力強い推進を要望いたします。
道路整備については、破損や消えかかった中央線、路側帯などの維持補修を進め、街路樹の根上がりについても、安全上の観点から、定期点検を含め、維持管理の徹底を求めておきます。また、道路パトロールについて、より効果的で実効性のあるパトロールになるよう、取組の強化を要望しておきます。外環状道路の植栽については、早期に本来あるべき植栽帯になるよう、国に対して強く要望するよう求めておきます。
脱炭素社会に向けた取組については、PPAによる再エネ設備導入への支援や新技術のペロブスカイト太陽電池の導入など、積極的な取組を求めておきます。
あわせて、マイクロ水力発電設備の導入についても、さらなる拡大をお願いいたします。
プラスチックごみの発生抑制や暑さ対策として、公民館などに新たな給水スポットの設置に向けた取組を求めておきます。
また、資源物の持ち去り防止対策として、持ち去り行為は犯罪であるとの周知、啓発とパトロール体制の再検討など、市民生活の安全確保へ向けた取組の強化を要望いたします。
市営地下鉄については、乗車マナーの向上への積極的な取組を行うとともに、エスカレーターの乗降マナーについて、事故の未然防止の観点から、さらなる取組の強化を求めておきます。
また、地下鉄のトイレにおけるサニタリーボックスの設置については、女性用トイレと多目的トイレだけでなく、男性用トイレにも早期の設置を強く求めておきます。
また、救急車の利用については、年間出動回数が10万回を超えるなど、負担が増加しており、適正な利用が求められています。♯7119番の周知や各種媒体を使っての適正利用に対する啓発を強く要望しておきます。
地域の消防団員の人材確保について、充足率が88.9%にとどまっており、厳しい状態にあります。様々な方法を使いながら、消防団員確保に向けて、これまで以上の取組を求めておきます。
以上、様々述べてまいりましたが、我が会派の議員が総会質疑、分科会など、あらゆる機会で申し述べた要望や提案について実現されることを強く要望するとともに、現在策定中の第10次福岡市基本計画にも我が会派の主張を反映していただくよう求めます。
今後も福岡市が魅力ある都市として発展を続けていくため、私たち公明党福岡市議団は全力を尽くすとともに、高島市長のさらなるリーダーシップを求めて、賛成討論を終わります。