◯石本委員 公明党福岡市議団を代表して、市営住宅の申込み、駐車場について、未来につながるプレコンセプションケアの推進について、産前・産後ヘルパー派遣事業の充実について、以上3項目、質疑を行う。まず初めに、市営住宅の申込み、駐車場についてである。現在パブリックコメントが実施されている第10次福岡市基本計画原案には、様々な社会課題や多様なニーズに対応した良質な住宅の確保がうたわれている。子育て世帯、高齢者、障がい者など、多様な市民のニーズに対応するためにも、市営住宅は重要な役割を担っていると考える。現在、本市が管理する住戸は何団地、何戸あるのか、現在の入居率と空き家戸数を尋ねる。
△住宅都市局長 本市が管理する市営住宅は、令和5年度末時点で169団地、管理戸数3万1,309戸である。入居率は88.4%であり、災害時に避難住宅として一時使用する住戸や、建て替え事業による移転先のために確保している住戸などの政策的な空き家を含めた空き家戸数は、3,617戸である。
◯石本委員 1割ほどある空き家のうち、災害の際の住み替え用の政策的空き家も必要かと思うが、その他の限られた住戸をなるべくたくさんの人に提供できるように努力していくべきであると考えている。車椅子使用者用住戸や高齢単身者用住戸、新婚世帯用住戸など、様々なニーズに応えるため、建て替えや改善事業に取り組んでいるとのことであるが、市営住宅の建て替えや改善事業にかかった昨年度の決算額と今年度の予算額を尋ねる。
△住宅都市局長 令和5年度決算額は約114億5,000万円で、6年度予算額は約89億3,000万円である。
◯石本委員 次に、倍率について尋ねる。抽せん方式の定期募集における全体の応募倍率、高齢者・身体障がい者世帯、高齢単身者・身体障がい単身者世帯の応募倍率について、3年間の推移を尋ねる。
△住宅都市局長 抽せん方式の定期募集における全体の応募倍率は、令和3年度8.9倍、4年度9.1倍、5年度9.4倍である。高齢者・身体障がい者世帯の応募倍率は、3年度4.1倍、4年度8.4倍、5年度8.6倍である。高齢単身者・身体障がい単身者世帯の応募倍率は、3年度25.4倍、4年度28.4倍、5年度31.7倍である。
◯石本委員 全体募集の倍率は約9倍、そして高齢者や身体障がい者がいる世帯に関しては、この3年で4.1倍から8.6倍に増え、高齢単身・身体障がい単身者世帯においては、戸数が少ないのもあって、31.7倍と高い倍率となっている。年間約1,000戸の住戸に年4回募集をかけている。退去したら二、三か月で入居できるよう、修繕など早めに対応するようお願いする。次に、子育て世帯への支援について尋ねる。子育て世帯の現在の戸数、全体に対する割合、そして昨年の募集戸数と倍率を尋ねる。
△住宅都市局長 15歳以下の子どもがいる子育て世帯の令和5年度末時点での入居戸数は3,631世帯で、入居世帯数全体に対する割合は13.1%である。また、5年度の子育て世帯を対象とした別枠での募集戸数は329戸で、応募倍率は1.5倍である。
◯石本委員 子育て世帯の応募倍率は、高齢者世帯や身体障がい者世帯より倍率が低いことが分かる。子育て世帯には、現在、新築物件等を期限付住戸として、子どもが中学を卒業するまでと期限を区切って提供されている。こども家庭庁が発信するメニューは、高校卒業までを支援対象としているものが多く、本市の医療費補助、入院費無料などの支援も高校卒業までとなっている。13%の子育て世帯が市営住宅に入居していることで、地域コミュニティの活性化や担い手不足の解消にも寄与できるのではないかと考える。現在、中学3年の卒業までとしているところを、高校卒業まで期限付を伸ばしてもらいたいと考えるが、所見を尋ねる。
△住宅都市局長 子育て世帯を対象とした別枠募集については、応募倍率が低倍率で比較的入居しやすくなっているが、そのうちの高倍率となる一部の住宅に限って、入居機会の公平性の観点から流動性を高めるため、入居期限を中学卒業までと設定しているところである。その期限付住戸において、高校卒業まで入居期限を延長するなど、入居要件に係る課題については、空き家の状況や募集区分ごとの応募状況などを見ながら、引き続き検討していく。
◯石本委員 高校卒業までの延長について、検討をぜひともよろしくお願いする。現在、全体の空き家率が1割あると思うが、エレベーターなしの団地で4階、5階の空室率を尋ねる。
△住宅都市局長 令和5年度末時点で21.2%である。
◯石本委員 やはり上層階は高齢者には特に生活には不便であることがうかがえる。そこで提案なのだが、立地条件により倍率が低いなどの団地には、子育て世帯へ空いている4階、5階へ募集を増やすなどを行ってはどうかと思うが、所見を尋ねる。
△住宅都市局長 定期募集においては、当選に漏れた子育て世帯から補欠者を設定して、エレベーターのない4階、5階などの募集割れしやすい住戸へのあっせんを勧める等の対策に取り組んでいるところである。また、随時募集では、令和5年度から乳幼児がいるひとり親世帯の申込み要件を試行的に緩和し、4階、5階などへの入居を促進しており、今後も要件を緩和する対象世帯の拡大を検討していく。
◯石本委員 随時募集におけるひとり親家庭の要件緩和のように、さらなる拡大をお願いする。次に、最初にファミリー用の住戸に入居していたが、その後、一人暮らしとなってそのまま住み続け、住み替えができるということを知らない人もいるかと思う。住み替え制度があることをどのように周知しているのか。
△住宅都市局長 市営住宅内での住み替えについては、加齢、疾病のため、階段昇降が困難になったことを理由に低層階への転居を希望するケースが最も多くなっており、そのような機会を捉えて、適正な住宅規模の住戸への案内も併せて行っているところである。今後は、入居者向けの広報媒体を利用するなど、住み替えの制度についてさらなる周知を図っていく。
◯石本委員 住み替えがあれば、様々なニーズの世帯へ募集をかけることもできると思うため、住み替えの方法があることも引き続き広報、周知をお願いする。ある夫婦から市民相談があった。市営住宅の子育て枠に妊娠中に応募し、仮当選となり大変喜んでいた。しかし、その時点で赤ちゃんが生まれていなかったため取消しになったと、切実な訴えを聞いた。そこで、現在、募集時点で妊娠中の子育て世帯の申込みはどのようになっているか尋ねる。また、募集案内書やオンライン申込みではどのように案内しているか尋ねる。
△住宅都市局長 子育て世帯向けの別枠募集への応募については、申込み締切日までに出生していることを要件としており、その要件は募集案内書に申込み資格として記載しているほか、オンラインでの応募者のため、住宅供給公社のホームページに募集案内書を掲載している。
◯石本委員 現状は、子どもが生まれてからでないと子育て世帯用の住戸には申込みができないということであった。名古屋市では、子育て枠の募集には妊娠中でも応募可能とされている。せめて母子手帳が発行されたら応募できるようにするなど、妊娠中の申込み要件緩和を提案するが、所見を尋ねる。
△住宅都市局長 妊娠中の人がいる世帯を、子育て世帯向けの別枠募集に応募できるよう資格要件を緩和することについては、入居機会の公平性や他の資格要件とのバランスという観点もあるが、子育て支援の観点などもあるため、総合的に勘案し検討していく。
◯石本委員 様々課題はあるかと思うが、子育て世帯への支援を引き続きよろしくお願いする。次に、当選しても当選辞退をする人がいるようだが、定期募集の辞退率、また辞退する理由について尋ねる。
△住宅都市局長 補欠当選者を含まない当初の当選者における令和5年度の辞退率については、24.6%である。辞退の主な理由は、立地場所が不便であることや部屋が狭い、設備が古いなどである。
◯石本委員 第1希望や第2希望にした団地の場所などのミスマッチや実際と違うという理由で、当選したのにやむなく辞退する人もいるようである。市営住宅の募集案内書には2LDKなどの記載のみで、間取りや駅までの距離、最寄りのスーパーなどの記載がなく、情報が不足していると感じている。そこで提案であるが、オンライン申込みでは、分かりやすい間取り平面図や写真が掲載されているホームページへ誘導され、募集案内書にもQRコードをつけてホームページへ誘導するなど、現場が想像できるホームページの刷新をしてもらいたいが、所見を尋ねる。
△住宅都市局長 現在、公募対象の住宅は、住宅供給公社のホームページに室内の写真や代表的な間取り図を掲載しているところである。今後は、全ての住戸タイプの間取り図をホームページに段階的に掲載していくとともに、希望する住戸の間取りをホームページで確認できることを募集案内書などにより周知していく。
◯石本委員 見やすいホームページへの刷新を期待している。また、今まで難病患者は申込みができなかったのだが、現在は応募可能となっている。この周知も、募集案内やオンライン申込み上で分かりやすいよう掲載し、周知してもらいたいと思うが、所見を尋ねる。
△住宅都市局長 難病患者などの募集に係る取扱いの変更については、募集案内書や住宅供給公社のホームページにおいて周知徹底を図るとともに、オンライン申請における入力についても、スムーズに申込みができるよう改善に努めていく。
◯石本委員 ここまで市営住宅の申込みについて尋ねてきた。次に、市営住宅に近年多くなってきている空き駐車場について尋ねる。まず、現在の駐車場利用台数、空き駐車場の数を尋ねる。
△住宅都市局長 令和5年度末の駐車場利用台数は1万3,550台である。一方、空き状況は住宅によって偏りがあるが、空き駐車区画は4,016台である。
◯石本委員 4,016台、空きということである。これだけの空き駐車場があることについて、有効活用などを検討しているのか、所見を尋ねる。
△住宅都市局長 市営住宅の駐車場については、公営住宅法により入居者の共同施設とされているため、原則、入居者の使用に限られており、空き駐車区画を他の用途として活用するためには、国から目的外使用のための承認を得ることや、外部車両の出入りに関して入居者の理解を得ることが必要となる。このような中、これまで取り組んでいるコインパーキング事業に加え、令和5年度より介護サービス利用者の送迎のための一時駐車スペースの設置や、予約制の駐車場シェアリングのモデル事業を開始したところである。今後とも、入居者の利便性向上などのために、空き駐車区画の有効活用を図っていく。
◯石本委員 近年、高齢化が進み、本市の高齢化率は22.3%、市営住宅入居者の高齢化率は41.7%との数字が出ている。回答にあったデイサービスなどを利用する入居者の場合、送迎のみの短時間、すぐ近くに止めて利用するモデル事業の駐車場を今パネルで準備しているため、紹介したいと思う。これは、デイサービスの送迎のために、エレベーターや階段のすぐ近くに設置している一時駐車できる駐車スペースである。もう一枚は、20分以内しか駐車ができないように注意書きも設置をされている。利用者や介護事業者は、この駐車場のスペースが大変助かっているということであった。こうした介護サービスの送迎のための一時駐車スペースを設置している団地の数、そのうち今年度設置した団地はどれくらいあるのか尋ねる。
△住宅都市局長 介護用一時駐車スペースについては、現在、5住宅17か所に設置しており、そのうち令和6年度に設置したものは、設置済みの1住宅への追加も含めて、4住宅5か所である。
◯石本委員 169団地全てとは言わないが、ぜひこのように送迎用駐車場を設置するようお願いする。次に、駐車場シェアリング事業について尋ねる。このモデル事業は、インターネットで空いている駐車場を予約して、決済もスマートフォンでできる便利なサービスである。現在の駐車場シェアリング事業の設置台数と、今年度に設置した団地はどのくらいあるのか尋ねる。また、事業を開始した昨年7月からの利用状況についても尋ねる。
△住宅都市局長 駐車場シェアリングについては、現在、3住宅32か所に設置しており、そのうち令和6年度に設置したものは、1住宅1か所である。また、5年7月から6年8月までの介護事業者を含む利用台数は4,503台である。
◯石本委員 先ほどの一時駐車スペースと違って、訪問看護や訪問介護で来たときは1~2時間使用することがある。そのとき、このシェアリング事業の駐車場を使用できる。現在は、市営住宅内に駐車場がある団地はよいのだが、遠くに止めて、この暑い中歩いて利用者の自宅へ行き、訪問看護に当たってくれている。市営住宅に住む利用者や訪問看護事業者からも、設置を望む多くの声が我が会派にも届いている。これらのモデル事業について、介護事業者の意見等は把握しているのか尋ねる。
△住宅都市局長 介護用一時駐車スペースについては、利用の届出をしている介護事業者等への直近のアンケートでは、非常に助かっている、訪問する住宅の近くに安全に止めることができる、職員1人で送迎できるようになったなどの意見があった。また、駐車場シェアリングについては、対象住宅を訪れている介護事業者等への直近のヒアリングでは、予約ができ、利用時間中は何度も出入りできるため便利であるなどとの意見があった一方で、インターネットでの操作方法が分かりにくいなどの意見があった。
◯石本委員 市営住宅の空き駐車場には、何年も空いている区画もある。そこで、介護用一時駐車スペースと駐車場シェアリングはもっと拡充できないのか、所見を尋ねる。
△住宅都市局長 介護用一時駐車スペースについては、新築住宅では令和6年度に着手する住宅から設置していくとともに、既存住宅では、地元の要望を踏まえ、可能な住宅から設置することとしている。また、駐車場シェアリングについては、モデル事業を通じて把握した課題の改善などを行うとともに、介護事業者等の利用状況を確認した後、拡充を図りたいと考えている。
◯石本委員 いち早く地域や訪問介護事業者の要望に対応するようお願いする。これまで市営住宅の申込み、駐車場について、さらなる拡充を尋ねてきた。募集物件の見やすさ、子ども世帯への支援、様々なニーズに応えていく申込み方法、介護車両用の駐車場スペース確保など、今後も進めてもらいたいと思う。最後に、誰もが安心して住み続けられる市営住宅の住環境づくりについて、市長の所見を尋ね、この質問を終わる。
△市長 市営住宅については、住宅の確保に困っている人などに安全、安心な住宅を提供するという、住宅セーフティネットの中核としての重要な役割があると認識しており、ユニバーサルデザインの理念に基づき機能の更新を行うとともに、入居者募集において募集総数の3割を子育て世帯向けとすることや、難病患者等を含む住宅困窮度の高い世帯への優遇措置の拡充を図るなど、ハード、ソフトの両面から様々な取組を行っている。令和5年度からは、新築工事において1階は全て車椅子使用者向け住戸として整備を進めるとともに、医療や介護のサービス事業者のための駐車場の確保に取り組んでおり、さらに6年10月から、管理組合に代わって市が共益費を徴収するモデル事業にも取り組んでいくこととしている。今後とも、高齢者や障がい者、子育て世帯など、特に配慮が必要な人々の状況や多様化する市民のニーズ等を把握しながら、誰もが安心して住み続けられる市営住宅の住環境づくりに、しっかりと取り組んでいく。
◯石本委員 2つ目のテーマである、未来につながるプレコンセプションケアの推進について尋ねていく。プレコンセプションケアとは、妊娠の有無にかかわらず、若いときから妊娠、出産の知識を持ち、自分の体への健康意識を高めることを言う。日本は、妊娠時期になってからこのプレコンセプションケアという言葉を知ることが多く、まだまだ社会全体に認知されていないと感じる。日本人の母親の体型に痩せ形が多く、生まれてくる赤ちゃんが低出生体重児となる要因となっている。葉酸などの栄養不足が障がいや流産へ関連があることが分かった。性感染症予防など、若いときから正しい知識を得ることが必要である。本市は、令和3年度より卵巣の機能検査をプレコンセプションケア推進事業として開始した。そこで、今回はこの事業について尋ねていく。まず、プレコンセッションケア推進事業の導入意義と事業内容について尋ねる。
△こども未来局長 プレコンセプションケア推進事業は、国において、プレコンセプションケアを推進するとの方向性が示されたことなどを踏まえ、妊娠、出産に関する正しい知識を持ち、健康や今後のライフプランを考えるきっかけとしてもらうために、本市の独自事業として令和3年度から開始したものである。事業内容は、30歳を迎える市内在住の女性を対象にクーポン券を送付し、医療機関において卵子の数の目安を表すホルモン、AMHの値を測定する血液検査と、健康づくりに関する医師からのアドバイス等を、パートナーも一緒に受けられる費用を助成するものである。
◯石本委員 採血検査を受けることで、現在の自分の卵巣内にある卵子の残りの数を知ることができるようである。このAMH検査は、自費で受けると医療機関によっては6,000~1万円かかる検査を500円で受けることができる。今はほかの都市でも事業として進められている検査であるが、本市が全国で一番最初に始めた事業で、他都市からも視察を受け入れていると聞いている。昨年度の対象者数、受検者数、決算額、今年度の対象者数と予算額を尋ねる。
△こども未来局長 プレコンセプションケア推進事業の令和5年度の対象者数は1万868人、受検者数は2,129人、決算額は1,498万円余、6年度は対象者数1万1,473人、予算額は1,533万円余となっている。
◯石本委員 受検者が2,129人で、対象者の数値からすると受検率は約20%とのことである。受検率アップへの啓発、周知方法を尋ねる。
△こども未来局長 SNSや市のホームページ、市政だよりなど様々な媒体による広報に加え、令和5年度は、受検していない人に対して受検勧奨の案内を送付し、受検率は上昇しているところである。
◯石本委員 昨年度は受検勧奨を行ったとのことであるが、受検勧奨はどのように行ったのか。その成果はどうだったのか尋ねる。
△こども未来局長 受検していない人を対象に、令和6年1月に勧奨案内を送付しており、勧奨後の2月及び3月の受検者数は、4年度同月比の約3倍となっている。
◯石本委員 受検勧奨によって、クーポン券を紛失した人がいて再発行したと聞いた。令和5年度のクーポン券の再発行件数と、対象者に占める割合について尋ねる。
△こども未来局長 紛失などによりクーポン券を再発行した件数は約480件となっており、対象者数の4.4%である。
◯石本委員 受検勧奨したことでクーポンの再発行につながり、再発行した人が全員受検できたかは分からないが、勧奨したことで受検率が上がることに大きく関与できていたと考える。先の話になるかもしれないが、クーポンの再発行などの手間を省ける上に、医療DXの観点からもデジタル化が推奨されている。クーポン券をデジタル化して、マイナポータルとの連携などにより、30歳にはプッシュ型で送られて医療機関に申込みができるよう、利便性の向上を図ってもらいたいと考えるが、所見を尋ねる。
△こども未来局長 より多くの対象者に受検してもらえるよう、アンケートなどで対象者の声を聞きながら、利便性の向上に努めていく。
◯石本委員 プレコンセプションケアの教育が進んでいれば、このクーポン券を受け取ったときに受けてみようと思う人がもっと増えるのではないだろうか。教育や周知による機運の醸成で受検率が上がると思う。現在、この検査は受検率20%であるが、今後の受検率を上げるための取組を尋ねる。
△こども未来局長 AMH検査は、出産経験がある、または妊娠中など既に妊娠、出産の知識があり受検しないことも考えられるが、より多くの対象者に受検してもらえるように、引き続き事業についての周知、啓発を行うとともに、受検していない人へ勧奨を行っていく。
◯石本委員 受検勧奨をしっかりとお願いする。先日、本事業を受検担当してもらっている産婦人科の医師に話を聞いた。実際に今この検査を受けている女性は、30歳よりも35歳の人に多いとのことである。理由は様々あるかもしれないが、キャリアを優先してまだ検査は必要ないと考えているのか、また、晩婚化が進む近年、妊娠を考えるようになってからこの検査を受ける人が少なくないことを話していた。そもそも、この事業の対象年齢を30歳としている理由を尋ねる。
△こども未来局長 検査で測定するAMHの値は、個人差はあるが年齢とともに減少するものであり、その傾向が30歳以降でより表れやすいといった医学的な観点を踏まえ、対象を30歳としている。
◯石本委員 東京都でもこの検査を受検できる事業が始まったそうだが、何歳でも受検できるようになっている。本市でも、30歳以降になっても、例えば35歳まで使用期限を延ばして受検できるようにするなど、幅広く受検できるようにすべきと考えるが、所見を尋ねる。
△こども未来局長 プレコンセプションケア推進事業は、AMHの検査を受けてもらうことに加え、妊娠、出産に関する正しい知識や、自身の健康に関心を持ち、ライフプランを考えるきっかけとしてもらうものであることから、ホルモン値の変化について意識しやすくなる時期のより早い段階で、検査や健康づくりのアドバイスを受ける機会を得てもらいたいと考え、30歳に設定しているところである。
◯石本委員 30歳のときに受け損なった人や、少し年齢が過ぎてしまっても幅広く受けたいときに受けられるよう、検討することを要望しておく。30歳より若い男女は、プレコンセプションケアに関する知識不足と、自分は大丈夫といった健康についての認識不足があるのではないだろうか。ただ単に30歳でこの検査を受けることが目的ではなく、ライフプランが描けるよう、考えるきっかけとなるよう、プレコンセプションケア推進事業についてさらなる周知と啓発が必要だと考える。そこで提案だが、例えば大学への働きかけをしていくのはどうだろうか。所見を尋ねる。
△こども未来局長 大学生を含め、男女が早い時期から自身の健康に関心を持てるよう、性や妊娠、出産に関する正しい知識などを伝えていく取組は必要と考えており、引き続きプレコンセプションケアの普及啓発の推進に向け、効果的な方法を検討していく。
◯石本委員 プレコンセプションケアの概念の中には、世代にかかわらず、思春期前の小学生の頃から自分も他人も大切に思い、例えば性に関する相談なども小学生の頃から関わっていけるよう、周囲の大人にふだんから相談ができる体制を持つべきであると考えている。本市の小学生の性に関する相談窓口はあるのか。
△こども未来局長 子どもからの相談については、こども総合相談センターえがお館の24時間電話相談、GIGAスクール端末を活用して取り組んでいる福岡市こどもタブレット相談や、LINEを活用した福岡市こどもSNS相談で対応しているところである。
◯石本委員 小学生への関わり、相談窓口があり安心した。プレコンセプションケアの一環として、子どもたちの性に関する相談もまだまだ受けてほしいと思う。福岡県では、今年4月にプレコンセプションケアセンターが開設されている。助産師を中心に相談体制の強化、性に関する指導において養護教諭の研修を行うとされているが、本市ではプレコンセプションケアに関する相談窓口はあるのか。
△こども未来局長 平成29年度に、市役所本庁舎地下に現在の不妊・不育専門相談センターを開設し、不妊、不育に加えプレコンセプションケアに関する相談対応も行っている。
◯石本委員 本市は7年前からこうして不妊、不育や妊娠、出産に関すること、また妊娠にこだわらず様々な相談対応をしているならば、不妊・不育専門相談センターという名称に加え、福岡市プレコンセプションケアセンターと命名してはどうだろうか。プレコンセプションケアの推進事業であるこの検査のもっと前から、そして思春期前から未来につながる健康維持、増進のため、幅広い世代への周知、啓発による関わり、受検勧奨等の対策など、今後のプレコンセプションケアの推進に向けて、こども未来局長の所見を尋ね、この質問を終わる。
△こども未来局長 妊娠の計画の有無にかかわらず、早い段階から妊娠、出産の知識を持ち、自身の体と健康への意識を高めるプレコンセプションケアへの取組は、ライフプランを考え、より豊かな生活を送ることにつながるために大変重要であると認識している。若い世代も含め、より幅広い世代への普及啓発など、引き続きプレコンセプションケアの推進に取り組んでいく。
◯石本委員 3つ目のテーマは、産前・産後ヘルパー派遣事業の充実についてである。子どもができること、生まれることは奇跡であると、以前、産科のドクターが話していたことを思い出す。そして、子どもを生み育てることは、本当に簡単なことではないことを実感する。本市では、安心して生み育てられる環境づくりのため、産前・産後サポート事業として、産前から出産直後の母親や父親へサポートをしている。母親の体を休めるためにも、産婦人科などの施設で母親と赤ちゃんを預かり、心も体もケアが受けられる宿泊型や日帰り型などの産後ケア事業、そしてヘルパーが自宅に訪問し、家事や育児をサポートしてもらえる産前・産後ヘルパー派遣事業がある。令和5年度当初よりもヘルパー派遣事業者が増え、さらに産後ケア事業は、令和2年までは生後3か月までが対象だったのを1歳になるまでに拡大するなど、本市の子育て支援に対する本気度がうかがえる。今回は、産前・産後ヘルパー派遣事業のさらなる充実について尋ねていく。まず初めに、産前・産後サポート事業の支援内容と、5年度の決算額を尋ねる。
△こども未来局長 産前・産後サポート事業は、生後1年未満の母子を対象に、実施施設での宿泊もしくは日帰り、または自宅等への助産師の訪問により、母体や乳児のケア、カウンセリング等の心身のケアなどを行う産後ケア事業と、日中、家族などから支援が受けられない妊娠中から産後1年未満の家庭を対象にヘルパーを派遣し、家事や育児を援助する産前・産後ヘルパー派遣事業を実施しており、令和5年度の決算額は1億4,756万円余となっている。
◯石本委員 産後のサポートのために、ほかにも支援している事業についても尋ねる。子育て安心サポート事業や、保健師が訪問する乳児家庭全戸訪問の現状を尋ねる。
△こども未来局長 子育て安心サポート事業は、生後4か月頃から1歳未満の子どもがいる家庭に、民生委員、児童委員に訪問してもらう事業で、令和6年2月に再開し、事業再開後から6月までの訪問実績は約300件となっている。乳児家庭全戸訪問は、助産師や保健師が生後二、三か月頃の子どもがいる家庭を訪問する事業で、5年度の実績は、対象者1万2,005人のうち、訪問数1万1,426人、訪問率95.2%となっている。
◯石本委員 それでは、本市には産後鬱状態を測定できる指標はあるのか。あれば、その実施状況について尋ねる。また、育児の中で産後鬱になりやすい時期はいつか、所見を尋ねる。
△こども未来局長 乳児家庭全戸訪問時に、産後鬱病のスクリーニングを目的としてつくられたエジンバラ産後うつ病質問票を用いて聞き取りを行っている。この質問票には10項目の質問があり、母親自身の気持ちに最も近い回答を選び記入してもらい、育児不安や産後鬱傾向を把握するものとなっている。令和5年度の実施人数は1万1,633人、そのうち不安が強い傾向にあることを示す高い点数の人は471人となっている。また、産後鬱については、一般的に産後3か月以内に発症することが多いと言われている。
◯石本委員 産前から産後直後、そして1歳までサポート事業を様々展開していることが分かった。産後3か月頃までの時期は、特に産後鬱になりやすい状況にあることから、あらゆるサポートが必要であることを感じる。ここから、産前・産後ヘルパー派遣事業について尋ねていく。1人の赤ちゃんでも支援が必要な状況であるが、双子、三つ子などの多胎児世帯にとってはさらに手が足りない状況である。多胎児世帯への支援についてであるが、現在、ヘルパー派遣の利用回数を20回から60回へ拡大し、さらに1人分の利用料でよいとしてもらっている。しかし、1~2歳で立ち上がり歩き出すと、1人では手が足りない。そこで提案だが、多胎児世帯のみこの最大利用できる60回を1年までのところを、2年まで延長するなど検討してもらえないだろうか、所見を尋ねる。
△こども未来局長 出産後1年頃までは、産後の体調や育児不安などから身体的、精神的に不安定になりやすく、孤立感等を抱きやすい時期であることから、産前・産後ヘルパー派遣事業の対象については、子どもが1歳になるまでとしている。多胎児の外出支援については、令和6年度に開始したところであり、利用状況の把握などに努めていく。
◯石本委員 ぜひ多胎児の支援を引き続きよろしくお願いする。産前・産後ヘルパーの事業者は、利用者にどんな内容の支援をしているのか。また事業者に対しては、市はどんな支援をしているか尋ねる。
△こども未来局長 事業者による支援内容については、各事業者で得意とする分野があるが、食事や洗濯などの家事支援、おむつ交換などの育児支援を実施している。また、事業者に対しては、円滑に事業が実施できるよう、適宜助言などを行っている。
◯石本委員 次に、産前・産後ヘルパー派遣事業の令和5年度の利用実績と、受皿の状況を尋ねる。
△こども未来局長 令和5年度の利用実績は、延べ利用回数で8,044回となっており、事業者数の増加に取り組み、派遣できるヘルパー数も増えていることから、利用を希望する人にはおおむね対応できていると認識している。
◯石本委員 ヘルパー派遣事業での交通費は、昨年までは利用者が交通費にかかった実費を支払っていた。しかし、令和6年度から交通費は上限500円となり、利用者の自己負担が軽減はされたが、超過分は事業者が負担している。この事業者負担の交通費について、ヘルパー事業者から大変苦労していることを聞いた。自己負担500円の交通費から超過した分は、事業者負担ではなく市が負担できないか、所見を尋ねる。
△こども未来局長 ヘルパー派遣に係る交通費については、令和6年度から利用者の自己負担額の上限を500円とし負担軽減を図っている。また、事業者負担となる交通費については、委託料として増額したところである。
◯石本委員 本年度から1件当たりの委託料を5割程度増してもらっているようでありがたいのだが、事務費用や光熱費の高騰などから、交通費の負担までカバーできないと聞いた。委託料を上げてはいるが、交通費の補填に関しても、丁寧に事業者の要望も聞くよう対応してもらいたいと思うが、所見を尋ねる。
△こども未来局長 事業者に対しては、事業の実施に当たり、適宜相談を受けるなどの対応をしているが、引き続き、必要に応じて実施状況の確認や意見などの把握に努めていく。
◯石本委員 よろしくお願いする。この数年、コロナ禍で、産後の母親たちは里帰りもできず、新米の父親と母親だけで過ごしていた。産後の家事と育児が本当につらかったときのことを聞いた。どれほど大変だったかと思う。そのようなとき、東京都全区では産後ドゥーラという民間の資格を持ち、育児も家事も第1子のことまでも一緒にサポートしてくれるドゥーラがいて、産後の母親たちがとても助かったと聞いた。2年前に我が会派の議員も質問したが、改めて産後ドゥーラとはどういった資格なのか尋ねる。
△こども未来局長 産後ドゥーラについては、一定の研修などを経て、産後の親子などを支援するための知識やスキルを認定する民間の資格となっている。
◯石本委員 現在、本市が契約する10の事業者は、家事を強みとするところ、そして育児を強みとするところと、それぞれに特徴がある。利用者は、ヘルパー派遣事業者の1か所としか契約することができない。家事も育児も、一緒に外出の際に同行する同行支援も可能なトータルサポートをしてくれる事業者を増やしてほしいと考えている。東京都大田区では、この民間の資格である産後ドゥーラになるための研修費を半額助成している。まだ本市にもこれからも需要が増えてくることを考えると、家事も育児も、家族全体にサービスが提供できるように、こうした事業者の養成のために補助金を出すなど支援してもらいたいと考えるが、所見を尋ねる。
△こども未来局長 大田区では、産後7か月未満の家庭を対象に、家事、育児等を支援する人材として、産後ドゥーラの資格を有する者を派遣する事業が行われているが、本市の産前・産後ヘルパー派遣事業については、産後ドゥーラの資格は要件としておらず、家事、育児等の支援に必要な資質を持つ人材を派遣できる複数の事業者に委託しており、ヘルパーの人材育成については、各事業所において行われているものと認識している。
◯石本委員 大田区では、この産後ドゥーラの資格を要件としているために、補助金を出して派遣する人員を確保しているということである。本市では、人材育成に関しては各事業所で行っていることが分った。それでは、家事や育児を支援するヘルパー事業所が増えるよう、またドゥーラのように家事も育児も支援できる事業者が増えていくように、今後の本市の取組について尋ねる。
△こども未来局長 産前・産後ヘルパー派遣の事業者は、家事や育児などの支援において得意分野を生かし、利用者のニーズに応じた支援を実施している。引き続き、利用状況などを把握し、必要に応じて受皿の拡大に努めていく。
◯石本委員 産後鬱が起こりやすい産後3か月までだけでなく、伴走型支援が必要とされるゼロ~2歳の子育て支援を、かゆいところに手が届く支援としてもらいたい。子どもを伸び伸びと育てられるよう、さらに産前・産後ヘルパー派遣事業を充実させてもらいたいと考える。最後に、誰もが安心して生み育てられる環境づくりのために、こども未来局長の所見を尋ね、質問を終わる。
△こども未来局長 安心して生み育てられる環境づくりのためには、妊娠期から子育て期まで、切れ目なく支援することが重要であると考えている。本市では、妊産婦等の健康診査や乳児家庭全戸訪問、産前・産後サポート事業の対象拡大や利用者負担の軽減、おむつと安心定期便の実施など、産前産後のサポートを充実してきており、引き続き、子育て支援の充実にしっかりと取り組んでいく。