○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也)登壇 私は公明党福岡市議団を代表して、民間企業との包括連携協定について、難聴で困らない社会の実現のために、不登校児童生徒への支援と未然防止の取組について、以上3点について質問いたします。
初めに、民間企業との包括連携協定について、近年は全国で大規模な自然災害が頻繁に発生しており、自治体の負担は増える一方です。また、地方に行くほど少子・高齢化の影響が大きく、自治体の財政悪化につながっています。魅力ある自治体として住民を引きつけるためにも、官民が連携した新しい行政サービスに期待が集まっています。行政が取り組むべき地域、社会課題は様々な分野にわたっており、民間企業が持つ多様なノウハウや技術を活用しながら各種課題の解決に取り組んでいくことは非常に有意義だと思います。民間企業との連携については様々な手法があり、福岡市においてもPPPやmirai@をはじめとして、様々な施策において連携して取り組んでおられるようですが、民間企業との連携の取組のうち、幅広い施策分野で市と企業が共働で取り組んでいく包括連携協定について、他都市の事例も踏まえながら尋ねてまいります。
初めに、包括連携協定とはどのようなものか、お伺いいたします。
以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 包括連携協定については、様々な分野において地域の一層の活性化や市民サービスの向上に資することを目的に、福岡市と企業がお互いの資源や魅力を生かした事業に共働で取り組むことを取り決めているものでございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 官民共働で取組を行っていくためには、企業側と継続的、安定的な関係を構築するとともに、地域の課題を共有し、意識をすり合わせておくことが重要となってきます。
では、どのような内容の協定を締結するのか、お伺いいたします。
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 協定の内容については、福祉や子育て、環境、まちづくりなどの様々な地域課題や社会課題の解決に向けて、福岡市と企業が取り組む共働事業の目的や内容などを定めております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 自治体と民間企業の連携協定は10年以上前から締結されており、当時は災害対応に関する協定が多い状況でしたが、現在は様々な地域課題に対して企業が提案をし、その申入れを自治体が検討する形で結ばれる事例がほとんどのようです。
本市においてはどのような場合に包括連携協定の締結に至るのか、お尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 協定の締結については、共働事業が企業側の協力を前提として成り立つものであるため、企業の取組の内容や実施体制などが重要であると認識しており、企業から提案を受けた共働事業が複数分野にわたって継続的な実施が見込まれる場合に包括連携協定を締結することとしております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 課題が多様化している現代社会においては、複数分野にわたって横断的に課題解決に取り組むことは、もはや必然とも言えるかもしれません。特定の企業と複数の分野で共働することで相乗効果を生み出すことができ、行政は効率的で幅広いサービスの提供が可能となり、市民は行政サービスの拡充が期待できます。民間企業にとっては、自治体と連携することで持続可能な開発目標、SDGs、企業の社会責任、CSRに沿った取組として、自社の力を地域課題の解決のために存分に発揮できます。
このように、市民、行政、企業の3者にとって様々な効果が期待できる包括連携協定について、福岡市では何件締結しているのか、お伺いいたします。
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 現在、10件締結しております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 包括連携協定を締結し、地域の課題解決に広く民間企業が持つノウハウや最新の技術が取り入れられることで、市民サービスの向上や地域の活性化に役立てられています。一方で、包括連携協定では、自治体と民間企業が意見交換し、考えをすり合わせながら共働でプロジェクトを遂行することが求められています。
本市はどういった業種の企業と包括連携協定を締結しているのか、お伺いいたします。
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 協定を締結している企業の業種については、郵便局やコンビニ、スーパーなど地域に店舗を持つ事業者や、スポーツを通して地域と密接に活動を実施している事業者、情報通信事業者などでございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 民間企業と地方自治体が連携をし、課題解決に向けて取り組む包括連携協定が生まれた背景には、大規模な自然災害の頻発、自治体職員の人手不足、新しい行政サービスへのニーズなどがあり、時代に合わせた新しい行政サービスを提供するために民間企業の技術や実績が重宝されています。
本市で包括連携協定を締結した企業とはこれまでにどのような取組を行ってきたのか、お伺いいたします。
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 協定を締結している企業との取組の事例といたしましては、コンビニエンスストアを運営する企業などとの共働事業として、児童が身につけている端末を活用した子どもの見守り活動への協力、地域に大型店舗を持つ企業との共働事業として、各種選挙における期日前投票所の設置や、各家庭の未利用食品を集め、食品を必要としている福祉施設や子ども食堂などへ提供するフードドライブイベントの開催など、様々な分野で福岡市の事業に協力をいただいております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 包括連携協定を締結している事業者と連携して、様々な共働事業が実施されていることが分かりました。人員、予算など、自治体、企業のリソースには限りがある中で、効果的に共働事業を進めるためには、自治体と企業が共通の課題認識の下、知見やリソースなど、互いの強みを生かして取り組んでいくことが肝要であると思います。福岡市の将来人口推計によると、福岡市の人口は今後も増加し続け、2040年、令和22年頃には約170万人に達するものと見込まれ、より一層多様な市民ニーズに応えていく必要がある中で、包括連携協定に基づく民間企業との共働事業をより充実させていく必要があると思います。民間企業と手を組めば、行政のみでは気づいていなかった課題や住民ニーズに気づくための視野の拡大が見込めます。
より多くの企業に本市から積極的に協定締結を呼びかけるべきではないかと思いますが、いかがお考えですか。
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 協定の締結については、企業の社会的責任や公益的な共働の取組を前提とするものであり、これらの取組に対する理解をお持ちの企業から自主的に御提案いただくことが望ましいと考えております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 包括連携協定の締結は企業側から提案していただいたほうがよいとのことですが、締結すると企業側には何らかの優遇措置が生じるのか、お伺いいたします。
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 協定の締結に当たっては、公平性の観点から、締結によるインセンティブは設けておらず、公費負担を伴わない形で共働事業を実施しているところでございます。また、他の企業等と連携することや同様の協定を締結することも妨げないこととしております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 福岡市と連携することで自社のブランディングにつながる、自治体のニーズが酌み取れるなど、経営へプラスの影響を期待されている面もあるかもしれませんが、具体的なインセンティブがない中で、持続可能な開発目標、SDGsや企業の社会責任、CSRの観点で、自社の技術や施設等を生かして福岡市と共働で社会課題の解決に取り組んでいただける民間企業は福岡市にとって重要なパートナーだと思います。
先日、横浜市の包括連携協定について話を伺ってきました。そこで大変にすばらしい取組を実施されていましたので、御紹介をいたします。それはリンクワーカー活動を通して、健康増進、子育て、介護、認知症、防災、防犯などに関する行政サービスの案内活動などを行うもので、横浜市とある生命保険会社の包括連携協定による取組です。このリンクワーカー活動は、横浜市役所から行政サービスの情報提供を受けた生命保険会社の営業社員、リンクワーカーが訪問活動の中で、一人一人のニーズに合わせた行政サービスの案内やアンケート調査などを行うアウトリーチ型の取組で、アンケートの結果など、活動を通して得られた情報については横浜市役所に提供されることになっています。約1,000人のリンクワーカーが横浜市内で訪問活動をされており、自治体だけではリーチしにくい方に行政情報を提供できるとともに、その方から情報を得ることもできます。アンケートでは、性別、年齢、就労状況、世帯構成、居住年数、経済状況、生活習慣、健康診断、人間ドックや病院等の受診状況、健康イベントや地域活動への参加状況、地域への愛着など、幅広く調査をされており、リンクワーカーが行政サービスを案内できた人のうち、81%が過去に自治体の健康関連のイベントに参加したことがなかったことや、約3割の方が健康面が心配であり、優先的にアプローチが必要だと思われること、居住年数は比較的長く、地域への愛着も高く、ソーシャルキャピタル、社会関係資本は約6割の方が高い評価をされた一方で、約8割の方が地域とのつながりが希薄と思われることが分かったとのことでありました。また、リンクワーカーが訪問をして、御案内した行政サービス等は役に立ちましたか、実際に利用してみようと思いましたかとの問いに、案内を受けた方のうち、75%の方が役に立つと回答し、案内から2週間前後で12%の方が実際の利用につながったとのことであり、とても効果的な取組だと思います。さらに、必要となれば利用してみたいと答えた方が70%と多く、リンクワーカー活動は転ばぬ先のつえとして役割も果たしていると思います。官民が連携して行政情報を発信するとともに、住民のニーズを把握し、政策課題に生かしていく取組に非常に関心を持ちました。少子・高齢化が進展する中で、健康寿命の延伸や地域コミュニティの活性化が課題となっており、行政のリソースが限られている中、こうした分野での民間との共働は非常にすばらしいと思います。
横浜市をはじめ、他の都市でも様々な事業者と効果的な事業に取り組まれており、本市でも民間企業と連携した取組を今後より充実させてはどうかと考えますが、どのようにお考えですか。
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 議員御指摘のように、企業等との連携や共働を進めていく視点は重要であると考えており、公平性の観点に留意しつつ、今後とも、様々な手法で民間企業と連携して、地域の一層の活性化や市民サービスの向上に取り組んでまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) これまで民間企業との包括連携協定による様々な取組についてお聞きしてきました。包括連携協定は官民連携における手法の一つであり、企業をはじめとする様々な民間主体との連携を推進することが地域課題や社会課題の解決につながり、誰もが住みやすいと思えるまちになると考えます。
最後に、髙島市長の御所見をお伺いし、この質問を終わります。
○副議長(松野 隆) 髙島市長。
○市長(髙島宗一郎) 福岡市では、様々な地域課題や社会課題の解決に向け、企業やNPOなど様々な主体との連携や共働を進めるとともに、規制緩和やソーシャルスタートアップの支援などにより、民間の優れた能力やノウハウの活用に積極的に取り組んできたところでございます。今後とも、民間の活力を生かしながら、行政サービスの向上や子育てしやすい環境づくり、安全、安心なまちづくりなど、住みやすいまち、元気なまちの実現にしっかりと取り組んでまいります。以上です。
○副議長(松野 隆) この際、時間を延長いたします。篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 次に行きます。
難聴で困らない社会の実現のために、今日、社会の高齢化に比例して、フレイル、いわゆる虚弱の方も年々増加をしています。加齢に伴って体の機能が低下することは自然な現象ですが、その変化に気づかないまま過ごしたり、それほど困っていないと放置すると、心身の活力が衰え、社会とのつながりが低下する可能性があります。
初めに、フレイルについて、フレイルとはどのような状態を指しますか、お伺いいたします。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) フレイルとは、厚生労働省によりますと、年を取って体や心の働き、社会的つながりが弱くなった状態を指し、そのまま放置すると要介護状態になる可能性があるものとされております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) それでは、フレイルとはどのように予防すれば治るのですか、お尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) フレイルの予防としましては、食事と口腔ケアから成る栄養、ウオーキングや筋トレなどの運動、外出や人との交流などの社会参加の3つが挙げられます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 高齢者が増えてくる中、フレイルの予防はとても大切であると考えます。特に75歳を過ぎるとフレイルが発症するリスクが高くなり、フレイルを放置している間に転倒や骨折、認知機能の低下などが進行してしまうこともあります。家族や近所の方が気づくこともあり、幅広い世代に知ってもらうことが大切になってきます。
福岡市のフレイルに対する取組について伺います。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) フレイルへの取組につきましては、幅広い世代への啓発を行うとともに、公民館など市民に身近な場所で教室、講座を開催しており、令和5年度は1,778回、延べ2万5,507人の方に御参加いただいております。また、高齢者が自主的かつ継続的に健康づくりに取り組める場として、5年度末で939か所設置されているよかトレ実践ステーションへの支援や、医療、健診、介護データから抽出したフレイルハイリスク者へのアウトリーチ支援などに取り組んでおります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 様々な取組が行われていることが分かりました。人生100年時代と言われるように、何歳になっても心身の機能を維持し、自分らしく暮らすことが重要です。こうした取組をしっかり継続して行っていただきたいと思います。
加齢に伴い、体のフレイルだけでなく、耳の虚弱、聞き取る機能の衰えや難聴の方も増加をしています。加齢に伴って聴力が低下することは自然な現象ですが、聞こえにくさから人や社会とのコミュニケーションを避けがちになり、その後、社会的に孤立する可能性も懸念されます。聞こえているつもりでも実際には完全に聞こえていない人が多く、日本の難聴者数は約1,994万人、全人口の約16%に当たります。また、65歳以上の約半数に聞こえの問題があると言われ、80歳以上になると、男性84%、女性73%が難聴を発症しています。加齢によって起こる聴力の低下は、会話のしにくさから社会との関わりが減り、フレイルや認知機能の低下にもつながります。聞こえにくさはじわじわと進行するため、自分では気づきにくいものですが、社会的な孤立や脳の萎縮が進行する前に早期に発見することが大切です。
東京都豊島区、大阪府豊中市、山形県山形市では、難聴の早期発見とヒアリングフレイル、聞き取る機能の衰え予防対策事業を立ち上げ、フレイル対策センター、介護予防センター、地域包括支援センターと連携をして、65歳以上の高齢者を対象にヒアリングフレイルチェックを活用した高齢者の聴覚スクリーニングを自治体主導で行っています。本市の御所見をお伺いいたします。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 高齢者自身や周囲の人が、聞こえも含め、その方の身体の状況を知ることは大切であると考えております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 先日、東京都豊島区に視察をした事例です。ヒアリングフレイルチェック豊島区モデルとして、令和3年7月1日より区内在住、在勤の65歳以上の対象者にアプリを活用してヒアリングフレイルチェックを無料で行っています。その豊島区のヒアリングフレイルチェックを紹介いたします。投影1をお願いいたします。(資料投影)ヒアリングチェックとは、前を御覧いただきますと、下記の症状で気になることはありませんか、家族にテレビなどの音量が大きいと言われる、うまく聞き取れず聞こえたふりをすることがある、複数人での会話がうまく聞き取れない、話し声が大きいと言われる、会話をしているときに聞き返すことが増えた、この中の1つでもチェックがついたら、再度この聞こえのチェックをやってもらうという取組です。ありがとうございました。
現在は東池袋フレイル対策センターや高田介護予防センターにて実施をされているそうです。さらに多くの区民の方に御活用をいただくために、区民ひろばでの実施と拡大をされました。また、豊島区医師会と連携をして、アプリの結果で語音聴取率60%未満の方には耳鼻咽喉科を御案内しています。
本市の医師会との連携についてお尋ねをいたします。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 高齢者の聞こえにくさにつきましては、区の健康相談や地域包括支援センターでの相談などを通じて耳鼻咽喉科への受診の案内などを行っております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 公明党は参院厚生労働委員会で高齢者の聴力検査事業創設を要望し、東京都豊島区が実施をする無料の同検査を紹介し、聴力低下を早期に発見して適切な支援につなげる取組を全ての自治体でできるように訴え、受診につながる仕組みづくりの必要性を訴えました。武見厚生労働大臣から、難聴高齢者の早期発見、早期介入等に向けた参考手引を周知、啓発するとともに、手引の活用に関する今年度の調査研究事業を実施する考えが示されました。
本市においても適切な支援につなげる仕組みをぜひとも御検討いただきたいと思いますが、御所見をお伺いいたします。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 議員御指摘のとおり、国において手引を活用した調査研究事業が実施されているところであり、その状況をしっかりと注視し、検討を行ってまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) ぜひよろしくお願いいたします。
ここで視点を変えて話を進めます。
一般的に補聴器と呼ばれているものは、空気を通して聞こえる気導補聴器と骨を振動させて聞く骨伝導補聴器しか知られていませんでした。そこで、第3の聴覚補助機器として、耳の軟骨を振動させて音を伝える新しい技術を用いた軟骨伝導イヤホンが開発をされ、開発者の奈良県立医科大学の細井学長は、難聴に関して、聞こえているつもりでも実際には完全には聞こえていない人が多く、難聴は認知症のリスク要因となっており、改善することで予防につながると強調されています。
ここで窓口用の軟骨伝導イヤホンを紹介いたします。投影2をお願いいたします。(資料投影)これが窓口用の軟骨伝導イヤホンです。イヤホンがあって、窓口対応ですので、イヤホンのコードが1メートル80センチ、さらには集音器があって、集音器のスタンドがついております。これが窓口用軟骨伝導イヤホンセットで、(現物表示)今、私が持っていますのが個人用の軟骨伝導イヤホンで、自分で耳につけてスイッチを入れてマイクを入れると。それで、耳周辺の軟骨の振動を通じて音が聞こえ、音が非常に柔らかく聞こえます。耳の穴を完全に塞がないので、周辺の音が自然に入り、集音器の機能もあり、音量を調節する装置などもあって、穴が空いていないので清潔に保つことが特徴です。ぜひ社会での実装を広げて、高齢者が社会に適応しやすい状況を推進していくことにつなげていきたいと思います。消してください。
このように、耳が聞こえにくい高齢者や難聴者と円滑にコミュニケーションを取れるようにするために、軟骨伝導イヤホンを導入した城南信用金庫へお伺いをして、お話を聞いてまいりました。東京都内と神奈川県内に85店舗を展開する城南信用金庫では、昨年4月に軟骨伝導イヤホンを東京都品川区の本店窓口に導入をし、同年7月には全店舗に導入をいたしました。いち早く導入した理由について川本理事長は、窓口で話すのはお金や財産のことが中心であるため、職員は大きな声を出しづらい。難聴の方が安心して相談できる環境づくりに最適だと思ったとお話をされておられました。窓口のスタッフはふだんの声量でも、お客様は大きな音量で声を聞くことができます。個人情報を取り扱いするシーンでは大きな声で話す必要がなく、プライバシーを守ることができます。イヤホン部分は穴も凹凸もない球体のため簡単に拭くことができ、常に清潔に保つことができます。除菌シートで簡単に拭けるので、窓口でも手間がかかりません。さらに、耳のサイズや形に左右されず、どんな耳でも快適に装着ができ、雑音を除去する独自の技術で話し声がクリアに大きく聞こえます。このイヤホンは、加齢性難聴の軽度の方及び中等度難聴の方が対象になります。
このように、相談窓口に窓口用の軟骨伝導イヤホンを設置する金融機関や自治体、病院など、今年6月時点で全国に167団体以上に上り、難聴者との意思疎通に役立っています。ぜひ本市でも導入に向けて検討されてはいかがでしょうか。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 軟骨伝導イヤホンにつきましては、昨年1台を購入し、12月末から一部の区の福祉・介護保険課窓口で効果や課題について情報収集しているところでございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 先ほどの答弁で、1台を購入し、情報収集をしているとのことでしたが、利用された方たちの反響などについてお尋ねをいたします。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) これまでに軟骨伝導イヤホンの利用は6件ございましたが、反響としましては、聞こえづらさが改善されているという感想があった一方で、耳に入れることには抵抗があるといった御意見もございました。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 6件と非常に少ないと思います。もっと多くの方の意見を集めていただくためにも、各区役所の窓口、本庁、図書館等の公共施設への導入を検討していただきたいと思いますが、いかがお考えですか。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 軟骨伝導イヤホンにつきましては、窓口において市民の方にイヤホンを装着していただく必要があるため、その対応には配慮が必要であると考えており、引き続き情報収集に努めてまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 一人でも多くの方に利用していただけますように、ぜひよろしくお願いをいたします。
軟骨伝導イヤホンを開発した細井学長は、世界でも十分に活用可能で、ニーズも非常に大きいと。そのためにも2025年の大阪・関西万博で軟骨伝導イヤホンを知らない多くの海外の方にも体験をしてもらいたいと、さらなる普及に期待を寄せています。
ぜひ軟骨伝導イヤホンの本格的な導入に向けた検討を進めていただきたいと思いますが、最後に御所見をお伺いします。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 窓口における円滑なコミュニケーションは大切であると考えており、軟骨伝導イヤホンも含め、新しい技術の活用についても検討するなど、市民サービスの向上に取り組んでまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) ぜひよろしくお願いいたします。
最後の質問です。
不登校児童生徒への支援と未然防止の取組について、全国的に不登校児童生徒が増加をしており、令和元年度から4年間で約1.6倍に急増しています。
そこで、福岡市不登校児童生徒の状況はどのように変化をしているのか、令和元年度から数値が確定している令和4年度までの数値についてお尋ねをいたします。あわせて、令和4年度の不登校児童生徒について、欠席日数ごとの内訳をお尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 不登校児童生徒数の過去4年間の推移につきましては、令和元年度が2,505人、2年度が2,719人、3年度が3,535人、4年度が4,400人となってございます。また、令和4年度の不登校児童生徒のうち、欠席日数30日以上90日未満は2,612人、欠席日数90日以上が1,788人となってございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 福岡市においても全国と同様に不登校児童生徒が増加をしていますが、病欠や経済的理由を除いて、年間30日以上欠席した場合は不登校として計上するため、週に1日程度の欠席で不登校扱いとなる児童生徒もいれば、ほぼ登校できていない児童生徒まで、その状況は様々であり、それぞれの状況に応じた学びの場を確保することは必要だと思います。文科省が昨年策定をした誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策、COCOLOプランにおいて、不登校の児童生徒全ての学びの場を確保し、学びたいと思ったときに学べる環境を整えるとし、学びの場の保障の重要性を示しています。
その中で、教育支援センター等の設置推進について言及していますが、福岡市における設置の状況をお尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学校内の教育支援センターにつきましては、平成20年度より現在の教育相談コーディネーターに当たります不登校対応教員の配置を開始し、令和3年度には夜間中学校を除く全ての中学校に校内型の教育支援センター、通称ステップルームの設置を完了いたしております。また、学校外の教育支援センターは、これまで市内4か所で運営してきましたが、本年度より各区に1つ、計7か所に設置を拡大いたしております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 本年度、各区1か所に校外の教育支援センターを増設するなど、学びの場の確保に向けて様々な児童生徒を受け入れる体制が整えられつつあることは喜ばしいことだと思います。
しかし、不登校児童生徒の中にはなかなか支援先に足を運ぶことができないひきこもりがちな児童生徒もいます。このような児童生徒には具体的にどのような支援を行っているのか、お伺いいたします。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) まず、教育相談課で不登校に関する電話、面接相談に対応いたしております。また、ひきこもりがちな児童生徒の家庭に心理を学ぶ大学生相談員の派遣を行っております。さらに、ひきこもりがちな児童生徒を対象にオンラインルームを開設し、パソコンやタブレット端末を活用して他の児童生徒やスクールカウンセラーと交流する機会を設けております。また、学習期間を遡って学習できる動画教材を提供し、児童生徒の学び直しを支援しております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 教育相談課において電話、面接相談を受けているとありましたが、令和元年度から4年度までの実施件数についてお尋ねをいたします。また、電話、面接相談を実施して、具体的にどのような支援を行っているのか、お伺いをいたします。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 電話、面接相談件数の過去4年間の推移は、令和元年度が1万1,847件、2年度が9,192件、3年度が9,714件、4年度が1万813件となってございます。電話、面接相談では、実際に教育カウンセラーが不登校児童生徒や保護者の悩みを丁寧に聞き取って対応することとしておりまして、継続して相談を希望する児童生徒や保護者には個別カウンセリングを行っております。その中で、在籍する学校と連携して登校を支援したり、小集団での活動を希望する児童生徒には教育支援センターを紹介するなど、個々の状況に応じ、継続的に支援を行っております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) ひきこもりがちな児童生徒の家庭に年齢が近い大学生相談員を派遣して、気軽に話ができる状況をつくることは意味のあることだと思いますが、令和4年度の実施件数とその効果についてお尋ねをいたします。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 大学で心理学を学ぶ大学生や大学院生が児童生徒の家庭を訪問し、一緒に遊んだり話し相手になるなどの触れ合いを通じて、児童生徒の悩みや不安の解消を目指しております。令和4年度は大学教授に指導を受けた14名の学生を計104回派遣いたしております。派遣を受けた児童生徒の保護者からは、ふだんの表情が明るくなった、本人の会話が増えた、家庭訪問に来てくれた学校の先生に会えるようになったといったお声をいただいております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 福岡市では、教育支援センターの増設のほか、不登校児童生徒の様々な状況に応じて電話、面接相談や大学生相談員の派遣など、多様な支援を提供していることは理解ができました。一方で、相談先やどのような支援が行われているか分からないため、適切な支援が受けられないこともあるのではないでしょうか。
不登校児童生徒やその保護者に対してしっかりと周知が必要だと思いますが、福岡市においてはどのように周知をされているのか、お尋ねをいたします。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 福岡市のホームページに現在行っております不登校児童生徒や保護者への支援策を掲載いたしております。また、本年度6月に児童生徒の状況に応じた福岡市の支援策や相談先を分かりやすく示しました教育相談・学びの相談ガイドを初めて作成いたしまして、児童生徒の御家庭全てに配付いたしております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 児童生徒の状況に応じた分かりやすいリーフレットを作成して周知していることは非常にいいことだと思います。
これまで不登校児童生徒やその保護者に対する支援について尋ねてきましたが、今後、不登校児童生徒を減らしていくためには不登校の未然防止の取組が大変重要になってくると思います。
そこで、福岡市における不登校の未然防止の取組についてお尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 不登校の未然防止のため、まず、全児童生徒を対象としてQ-Uアンケートを実施しますとともに、1人1台端末から直接相談できるようにしたり、様々な悩みに対応するこどもSNS相談を実施するなど、児童生徒の様々な悩みにいち早く対応できるようにしております。また、教育相談コーディネーターを対象に、不登校の予防的な取組について研修を実施したり、教育相談コーディネーター、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等が連携して児童生徒を支援する体制づくりを進めるなど、不登校の未然防止に向けた各種の取組を行っております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 先日、視察に訪れた東京都国立市立国立第二中学校では、学びに接することができない子どもたちをゼロにすることを目指し、授業に対話を取り入れ始めたのは2019年度から。当時、同校の不登校生徒は全校生徒約500人のうち約40人、8%と全国平均の3.9%を大きく上回っていましたが、学校で最も長く過ごす授業に対話を積極的に導入したことで、黒田校長は生徒にとって学校が居心地のいい場所に変わったと。対話重視の授業を続けたことで、コロナ禍を経ても不登校生徒の割合を減少できたことは一定の効果があると言えると分析をしています。誰もが行きたいと思える学校となるよう、福岡市ならではの不登校支援策の拡充にとどまらず、他都市の未然防止の取組にも関心を持ち、優れた未然防止の取組を積極的に推進をしてほしいと思います。
最後に御所見を伺い、質問を終わります。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) これまで福岡市では、不登校の未然防止に向けて、毎月の教育相談アンケートの実施、Q-Uアンケートの分析を生かしたよりよい学級集団づくり、教師が児童生徒理解を深めるための専門家による研修動画の提供、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、教育相談コーディネーター等を配置し、チーム学校で児童生徒を支援する体制づくりなどの取組を進めてまいりました。さらに、アウトリーチ型の支援として、ひきこもりがちな不登校児童生徒の家庭に大学生相談員を派遣するなど、本市ならではの不登校支援策を実施いたしております。今後、議員の御指摘がありましたとおり、他都市の未然防止の取組も参考にしながら、福岡市における不登校児童生徒の支援ニーズに合致した取組の充実に努めてまいります。以上でございます。