○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広)登壇 私は公明党福岡市議団を代表し、睡眠が変われば子どもが変わる(みんいく〔睡眠教育〕のすすめ)、AI時代だからこそ読む力を高めよう(子どもたちの読書環境の充実)、生活保護の在り方(寄り添い型支援の充実)の3点について質問いたします。当局の前向きな答弁に期待するものであります。
まず、睡眠が変われば子どもが変わる(みんいく〔睡眠教育〕のすすめ)についてです。
みんいくとは、睡眠教育の略称です。睡眠の仕組みや眠りの持つ力など、睡眠についての正しい知識と習慣を身につけるための教育のことを言います。科学的にも証明されていますが、睡眠の効果として従来から寝る子は育つと言われていますが、睡眠には心身の疲労を回復させる働きのほかに脳や体を成長させる働きがあります。脳には海馬という知識の工場があり、睡眠中に活性化し、昼間経験したことを何度も再生して確かめ、知識として蓄積しています。この海馬の働きを助け、子どもの成長に欠かせない脳内物質であるメラトニン──暗くなると分泌され、体温を下げて眠りを誘う働き──と、成長ホルモン──寝入ってすぐの深い睡眠時に分泌され、脳、骨、筋肉の成長を促す働き──は、眠っている間に活発に分泌されます。眠る時間が遅くなると、これらの脳内物質の分泌に影響を与えてしまいます。社会情勢などの急激な変化は子どもの生活に影響を与えており、子どもの睡眠時間は減少傾向にあります。睡眠不足は生活習慣の乱れにつながり、子どもの心身に大きな影響を与えることが分かっています。
子どもたちの夜更かしの一番の原因は何でしょう。スマートフォン、テレビ、インターネットなどのネット・メディアの視聴と言われています。
まず、これまで子どもの発達段階に応じたネット・メディア依存対策の必要性について幾度となく議会で取り上げてまいりましたが、その後、どのような対策を打ってこられたのか、お示しください。
以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
○副議長(松野 隆) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 乳幼児期におけるネット・メディア依存対策につきましては、子どもの発達とネット・メディアとの関係について、保育所等で働く保育士に対し、研修会を実施するとともに、乳幼児健診などの機会を捉えて保護者への啓発を行っているところでございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 子どもたちにとりましても、メディアリテラシーや基本的な生活習慣を身につけていくことは大変重要でございまして、全ての市立小中高等学校におきまして、月1回程度、手引や動画などを使った情報モラル教育を実施するとともに、1人1台端末の夜間利用を制限いたしております。
また、保護者に対しては、小中学校の入学説明会においてパンフレットなどを配付し、スマホ依存などへの注意喚起や使用のルールづくりの重要性について啓発を行うとともに、希望する学校に講師を派遣し、学校が実施する保護者学習会を支援いたしております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) ネット・メディア依存対策といたしましては、医師や臨床心理士などの専門職による電話や面接での相談を実施し、必要に応じて医療機関や支援団体へつなぐなどの対応を行っております。また、ゲーム障がいに関する市民講演会やパネル展示を開催するなど、依存症に対する理解を深めるための啓発に取り組んでおります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) いろいろと対策を講じられてきたのは理解できましたが、その対策の効果は現れているのか、子どものネット・メディア依存傾向は減少しているのか、その推移をお答えください。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 全国学力・学習状況調査において、1日当たりにスマートフォンなどを使ってゲームを4時間以上していると回答した児童生徒の割合で申し上げますと、令和3年度は小学校6年生15.9%、中学校3年生13.2%、4年度は小6、16.3%、中3、13.4%となっております。また、スマートフォンなどの使い方について家の人と約束したことを守っていると回答した割合では、令和3年度は小6、68.1%、中3、67.2%、4年度は小6、69.9%、中3、68.2%となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 18歳未満のネット・メディア依存に関する相談件数でお答えいたしますと、直近3年間の推移といたしましては、令和3年度は23件、4年度13件、5年度16件となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 子どものネット依存の傾向は、まだまだ改善が図られているとは言い難い状況が続いているようであります。
平成26年第4回福岡市議会定例会の際にも取り上げましたが、子どもがネット・メディア依存に陥るとどのような症状が現れるか、振り返りたいと思います。
資料1を御覧ください。(資料投影)これは子どものネット・メディア依存の症状を表した一覧です。身体面、精神面、学業面、経済面、家族・対人関係等、子どもがネット・メディア依存に陥ると、実に様々な深刻な症状が現れることが分かります。資料1を消してください。
精神面の影響として、自殺企図──自殺を企てる──、希死念慮──死ぬことばかりを考える──という言葉がとても気になります。全国的には、2023年の小中高生の自殺513人と深刻な状況となっておりますが、福岡市の状況はどうなっているのか、お伺いいたします。
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 警察庁の自殺統計でお答えいたしますと、福岡市における直近3年間の20歳未満の自殺者数は、令和3年は17人、4年16人、5年17人となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 学業面の影響として、欠席という言葉がとても気になります。これまで福岡市は不登校対策としてどのような対策を打ってこられたのか、お示しください。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 福岡市では、全ての市立中学校に校内教育支援教室、いわゆるステップルームを設置し、専任の教育相談コーディネーターが支援に当たるとともに、各区に1か所、教育支援センターを設置しております。また、全ての市立学校にはスクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーを週1日または2日配置し、市内28校の小学校には教育支援員を配置しております。さらに、不登校児童生徒が自分のペースで学習できる動画教材の無償提供や、ひきこもりがちな児童生徒を訪問する大学生相談員、いわゆるメンタルフレンドの派遣や、ICTを活用したオンラインルームの開設など児童生徒の状態に応じた支援に取り組んでおります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) いろいろと対策を講じられてきたのは理解できましたが、その対策の効果は現れているのか、福岡市の不登校児童生徒数の推移をお答えください。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) コロナ禍の影響もございまして、令和2年度以降、不登校児童生徒数は大幅に増加しておりまして、令和元年度2,505人、2年度2,719人、3年度3,535人、4年度4,400人となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 小中学校合わせて4,400人と不登校児童数は過去最多を更新し続けています。実効性のある手を打たなければなりません。
依存症は、否認の病と言われています。周囲の心配をよそに本人は自分の問題を認めないあるいは隠そうとします。自ら進んでネット・メディア依存症を治そうとすることはありません。
そこで、新たなアプローチ、アプローチを特化すると言ったほうが正確かもしれませんが、みんいく、睡眠教育の大切さをクローズアップしたいと思います。
全国的には、国民運動として早寝、早起き、朝ごはんの取組が行われており、福岡市も取り組んでおられると思いますが、その状況、事業費、具体的な施策、事業効果についてお伺いいたします。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 家庭教育支援事業の一つとして、福岡市PTA協議会との共催により保護者を対象とした「早寝早起き朝ごはん」啓発講演会を開催しておりまして、基本的な生活習慣の定着を図るために、睡眠、食育、メディアなど年度ごとにテーマを設定し、専門家による講演を行っております。
睡眠をテーマにオンデマンド配信で実施した令和3年度の講演会は1,499回視聴されておりまして、視聴者の85%から講演内容について高評価をいただくとともに、睡眠の重要性を再認識した、親子で生活習慣を見直そうと強く意識したなどの御意見もいただいており、睡眠の重要性について知識の深化や意識の向上が図られるなどの効果が見受けられました。なお、令和6年度の家庭教育支援事業の予算は96万円でございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 講座の視聴者から睡眠の重要性を再認識した、親子で生活習慣を見直そうと決意したなどの寄せられた感想からも分かるように、分かっているようで分かっていない睡眠の重要性、分かっているとできるは決してイコールではありません。
睡眠教育で不登校予防へ、授業や面談で生活習慣改善、5年で約半数が学校に復帰を実現した大阪府堺市の先進事例を調査してまいりましたので、その取組を詳しく紹介させていただきます。
生活のリズムの乱れなどで不登校に陥る小中学生が増加する中、堺市は睡眠不足が子どもの不登校を招く一因であることに着目し、睡眠の重要性を学ぶ授業や面談などを通じて子どもの生活習慣の改善を図る睡眠教育、みんいくを小学校1年生から中学校3年生までの9年間、系統的に実施し、不登校生徒の半数に改善が見られています。
これは堺市の「みんいく」ハンドブックです。(資料表示)小学校1・2・3年生用、それから小学校4・5・6年生用、そして、中学校用と3冊ですね。実に分かりやすく、しっかり作り込まれておりますが、発達段階に応じたこうしたハンドブックが用意され、例えば、スマホの光は睡眠の質を高めるホルモンを減らすため、寝る前1時間の使用は控え、七、八時間以上の睡眠は取ろうと中学校の全クラスで行われた睡眠授業で教師が生徒たちに呼びかけると、スマホやゲーム、塾などで就寝時間が遅くなりがちな生徒らは真剣なまなざしで耳を傾けるといった授業が行われています。
堺市がみんいくを導入したのは平成27年度からで、何かしんどい、やる気が出ない、いつもいらいらする、朝起きられず遅刻する、学校に行きたくないなど原因不明の体調不良で不登校になる生徒が増え始め、その打開策を模索する中、不登校の多い学校と少ない学校の違いは睡眠時間の差が考えられると分析していた専門家の研究に着目し、全生徒の入眠時間の調査に乗り出したとのことです。すると、全体の約7割が午前零時までに寝ているのに対し、年間30日以上欠席する不登校生徒の約8割が午前零時以降に就寝していることが明らかに。こうした結果を根拠に睡眠不足が不登校を誘発する一因と結論づけ、専門家と直接連携を取り、みんいくを開始されたとのことであります。
資料2を御覧ください。(資料投影)堺市で行われているみんいくの状況です。具体的には、専門家と協力して生徒用の教材と睡眠表を作成。教材を用いて教師は、睡眠不足から生じる無気力によって不登校になる事例や、睡眠の質を高める方法といった医学的な知見に基づいた授業を学期ごとに実施。生徒は睡眠表を活用して、30分単位で2週間分の睡眠時間や朝すっきりしているかなどを記入。睡眠時間に応じて体の体調変化を見える化し、学校側に提出。学校側は睡眠表を基に睡眠時間が短い生徒に個別面談を実施。生徒に合った睡眠時間をアドバイスするほか、寝不足の原因となる学校での人間関係の悩みや進路、家庭での不安などを聞きながら、就寝・起床時間の目標を決め、生活習慣の改善を図りました。その結果、不登校の生徒は5年で半減し、一定の効果はあると判断。一方で、年間30日以上欠席する生徒のうち、その日数が半年に迫るにつれ、改善率は極めて低いことも判明。早い時期から睡眠改善を促し、不登校予防を図る必要性が浮き彫りになったとのことです。
資料3を御覧ください。(資料投影)読み聞かせ絵本、幼児向けの本ですね。こういった本をしっかり作って子どもたちに紹介をしています。それから、はよねるデー、のぼりとかリーフレットで周知、啓発をしていらっしゃいます。
資料4を御覧ください。さらに青パトとコラボ、地域との連携ということで、「はやくねよう!」というステッカーを作成されて、青パトの側面に貼り付けられて、地域を巡回して啓発をされていらっしゃいます。
堺市のみんいくの特徴として、教育と医療の連携を軸とし、幼稚園等ではみんいくの絵本の読み聞かせ、先ほど紹介しましたが、小中学校では睡眠朝食調査やみんいく授業、みんいく面談などを実践しています。また、毎月10日をはよねるデーと設定し、青パトとのコラボなど学校や地域が連携して子どもが眠りやすい環境づくりにも取り組んでいます。資料4を消してください。
福岡都市圏では、春日市が堺市と同じようなみんいくに取り組み、不登校児童数の削減といった効果を上げているようであります。
福岡市でも、これまで紹介してきたとても効果のあるみんいく、睡眠教育に取り組んではいかがでしょうか、御所見をお伺いいたします。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 子どもたちの健やかな成長のために、睡眠についての正しい知識と習慣を身につけることは大変重要であると認識しております。各学校では保健の学習において、健康の保持増進には運動、食事、睡眠の調和の取れた生活を続けることが必要であること、生活習慣病などは運動不足、食事、休養及び睡眠の乱れが主な要因であることなどを学習しております。
また、保護者に対しては、家庭教育の重要性の理解向上と子どもたちの基本的生活習慣の定着に向けた働きかけが必要であると考えておりまして、これまでの取組に加え、様々な機会を捉えて睡眠に関する情報を提供し、啓発を行ってまいります。また、パンフレットやチラシとともに、生活習慣を振り返るワークシートを配付するなど、保護者が子どもと一緒に睡眠について考え、家庭での実践につながるような取組を進めていきたいと考えております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 睡眠不足は、日中に眠気が起きるだけでなく、頭痛、倦怠感や情緒不安定、注意力の欠如による作業効率の低下などを招きます。慢性化すると高血圧、糖尿病、心筋梗塞や認知症、がん、鬱病などのリスクが上昇するといったエビデンス、根拠が示されています。
資料5を御覧ください。(資料投影)これは厚生労働省の睡眠ガイド2023のポイントの図です。OECD、先進7か国睡眠時間の国際比較においてワーストワンとなっている日本において、睡眠による休養を十分に取れない人が全国民の5分の1以上と増えていることを踏まえ、厚生労働省は年代別の睡眠時間の目安や良質な睡眠を取るために推奨される取組などを示した健康づくりのための睡眠ガイド2023を策定しました。このガイドの中で厚生労働省は、国民の健康増進に向け、睡眠による休養を十分に取れていない人の割合の悪化を受け、数値の改善に向けて、適正な睡眠時間の目安を、1、子ども、2、成人、3、高齢者に分けて初めて示しております。資料5を消してください。
今回は子どもを中心に睡眠の大切さを論じてまいりましたが、福岡市民の健康寿命を延伸するためにも、本市においてみんいくの一大ムーブメントを起こしたいのであります。
最後に、医師であり、睡眠が健康寿命に与える影響について熟知、精通されている荒瀬副市長にみんいくについての御所見をお伺いし、このテーマの質問を終わります。
○副議長(松野 隆) 荒瀬副市長。
○副市長(荒瀬泰子) 福岡市におきましては、国の健康日本21第三次計画に基づいて、市民の健康づくり運動を進めております。この計画には、食生活、運動、休養、飲酒、喫煙、歯の健康の保持等が掲げられ、これらの生活習慣の正しい知識の普及を図っていくことが進められております。この休養の項目に睡眠が掲げられ、特に睡眠の時間、睡眠の質の大切さが示され、先ほど資料にも示されました健康づくりのための睡眠ガイド2023もつくられました。睡眠と生活習慣病との深い関係も明らかになってきており、子ども、成人、高齢者のライフステージに応じました睡眠の取り方等、いわゆるみんいくを関係局でしっかりと進めてまいります。以上です。
○副議長(松野 隆) この際、時間を延長いたします。尾花康広議員。
○29番(尾花康広) ありがとうございました。
次のテーマ、AI時代だからこそ読む力を高めよう(子どもたちの読書環境の充実)に入ります。
新井紀子国立情報学研究所教授、社会共有知研究センター長によれば、昨今、チャットGPTなどの生成AIが話題になっているが、チャットGPTはもっともらしい違和感のない文章を書くが、間違っていることも平気で書くので注意が必要、専門性のある人が効率を上げるために使うことはよくても、間違いを見抜けない人が無自覚に使うと社会が混乱する。これからは文章を読んで、その内容を正しく理解する能力、読解力こそが新しい社会に参画していく労働者にとって必須の能力になっていくと指摘されています。
また、読解力を測定するために開発したリーディングスキルテストでは、子どもたちの多くが教科書を正しく読めていないことが分かっており、今、1人1台のタブレット端末が配布されて、先生たちは授業で教科書を開かなくなり、板書もしない、子どもたちはノートを取らず、プリントの穴埋めで済ませている、目先の、そして、見かけの効率ばかりを優先し、かえってAIに代替されるような能力ばかり伸ばしているように見えると指摘されています。
そこで、お尋ねいたしますが、福岡市では福岡市子ども読書活動推進計画の策定に当たり、6年に1度、子どもの読書活動に関する意識調査を行っていると思いますが、福岡市における1か月に1冊も本を読まない児童生徒の割合、不読率をお示しください。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 令和3年度に実施いたしました子どもの読書活動に関する意識調査では、1か月に1冊も本を読まない子どもの割合は、小学2年生は5.5%、5年生は17.8%、中学2年生は37.8%、高校2年生は52.1%となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 年代が上がるにつれて不読率の割合が高くなる傾向にあり、子どもたちに読書習慣が身についているのか、とても不安になります。
それでは、同調査で子どもの読書が嫌いな理由のうち、文章を読むのが苦手だからと答えている学年別の割合と順位をお示しください。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 小学校2年生は35.0%で1位、5年生は46.4%で1位、中学2年生は48.9%で1位、高校2年生は39.6%で2位となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) いずれの年代でも、文章を読むのが苦手だからが上位を占めています。福岡市の子どもたちの読解力がとても心配になります。
文部科学省の学校図書館ガイドラインでは、学校図書館の目的、機能はどのようにうたわれているのか、お示しください。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学校図書館の目的は、図書館資料を収集、整理、保存し、児童生徒及び教職員の利用に供することによって学校の教育課程の展開に寄与するとともに、児童生徒の健全な教養を育成することと示されておりまして、その機能としましては、読書活動や読書指導の場である読書センター、学習活動の支援や授業の理解を深める学習センター、情報の収集、選択、活用能力を育成する情報センターの3つがあるとされております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 学校図書館は、AI時代を生き抜く子どもたちにとって読書、学習、情報という3つのセンターとして読解力を培うために重要な役割を果たさなければなりません。
さて、学校図書館法によれば、司書教諭、すなわち司書教諭の講習を修了した者で、学校図書館の専門的職務をつかさどる、具体的には、学校図書館資料の選択、収集、提供や子どもの読書活動に対する指導等を行うなど、学校図書館の運営、活用について中心的な役割を担う者を置くことになっていますが、福岡市の司書教諭が学級担任をしている割合をお示しください。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) お尋ねの割合は、令和6年度で82.7%となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 司書教諭が学級担任を兼任していることが常態となっています。
それでは、司書教諭が学級担任以外の司書として業務、役割を担う活動時間がどのように確保されているのか、その状況をお答えください。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 司書教諭は、学校司書や学校図書館担当職員、ボランティア等と連携し、学校図書館の利用指導計画の立案や学校図書館資料の選択、収集、提供などの業務を授業以外の時間や長期休業中に行っております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 学校司書は、図書資格を有する者で、司書教諭と連携、協力して読書活動に取り組むことを目的に配置されており、小中特別支援学校において1人当たり四、五校を担当していると伺っておりますが、例えば、私の地元の和白小学校と和白中学校を例に挙げれば、1か月のスパンで何日学校司書に来てもらえるのか、お答えください。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 和白小学校では月に四、五日程度、和白中学校は月に2日程度の勤務となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 言い換えれば、小学校で僅か週に1回、中学校では2週間に1回ほどです。
学校司書の1人当たりの複数校の担当状況について、福岡都市圏の各自治体と政令市の状況についてお伺いいたします。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学校司書が複数校を担当している自治体は、福岡都市圏では本市のみでございまして、政令市では本市を含めて11市ございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 1人の学校司書が複数校を担当している政令市は半数ほどで、福岡都市圏の自治体に至っては1校当たり1人の学校司書がきちんと配置されており、1人の学校司書で四、五校という複数の学校を担当しているのは福岡市だけです。
この現状についての課題認識をお伺いいたします。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 子どもたちの読書環境の充実に向けて、平成8年度に初めて小学校1校に学校司書を配置して以降、配置校数の拡大を順次図り、現在は小規模校を除く全ての小中特別支援学校への配置を実現しております。
議員の御指摘のとおり、1校当たり1人の配置としている自治体があることは承知いたしておりますが、福岡市の場合は、学校司書の採用に当たり司書資格を必須としているほか、多くの学校において読書ボランティアの御協力をいただいておりまして、これらにより読書活動の充実に取り組んでおります。今後とも、他都市の状況を踏まえながら、学校司書の効果的な配置について検証し、適切な配置に努めてまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 小中特別支援学校の学校司書の勤務形態は1日4時間、週4日勤務、高校は1日5.5時間、週5日勤務、この勤務形態の違いはどうして生じているのか、お答えください。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 高校は小中特別支援学校と比べて蔵書数が多いほか、専門性の高い蔵書とそれに伴うレファレンスサービスの必要性があることなどから異なる勤務形態としております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 教育現場に出向き、お話を伺ったところ、学校司書は学校に来てもらう日数が少なく、しかも、短時間勤務なので、学級担任を持つ司書教諭が放課後に連携を取ろうと思ってもなかなかうまくいかない実態があるようであります。
そこで提案ですが、学校図書館の読書環境を整える上で、司書教諭の司書としての活動時間の確保、その司書教諭とタッグを組む学校司書はどういった勤務形態が望ましいのか、アンケートなどにより教育現場の声を的確に把握し、改善を図るべきだと考えますが、御所見をお伺いいたします。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) これまでも研修会の場などで学校司書の意見や要望を直接伺ってまいりましたが、今後も機会あるごとに学校図書館の運営等に関する意見の把握に努め、適切に対応してまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 学校図書館の状況等に関する現場の意見の把握のみに終わることなく、その声を踏まえた必要な改善を行うよう強く求めておきます。
さて、公立義務教育諸学校の学校図書館に整備すべき蔵書の標準として、平成5年3月に定められた学校図書館図書標準というものがありますが、福岡市の達成状況をお示しください。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 令和4年度末において、学校図書館図書標準を100%以上達成している学校は、小学校144校のうち117校、夜間中学を除く中学校69校のうち55校となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 学校図書館標準を満たしていない学校が一定数存在していますが、その理由をお答えください。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 国が定めている学校図書館図書標準は学級数に応じて冊数を定めてございまして、児童数の増加や特別支援学級の設置に伴い学級数が増えた場合は標準を一時的に下回ることがございます。また、児童生徒、教員の要望や利用実態、蔵書の構成等を考慮しながら図書を選定、購入しておりますが、記述内容や表記等が古くなった場合や、劣化、汚損、破損が著しい場合には図書を廃棄することがあり、標準を一時的に下回ることがございます。なお、その場合は必要な予算を配分し、学校図書館図書標準を達成するように努めております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 教育現場を取材すると、何とかこなしている感じ、司書教諭、管理職、読書ボランティアなどが総がかりで何とか標準図書数を期限までにぎりぎり達成している状況とのことで、学校図書館に携わるマンパワーが不足していることを強く感じました。
この質問に先立ち、札幌市の先進事例を調査してまいりました。
皆さん、札幌といえば何をイメージとして連想されますか。札幌市民に尋ねると、3つ答えるそうであります。まず、雪ですね。北国ならでは、さっぽろ雪まつりはとても有名です。次に環境、広大な豊かな自然が広がっています。それでは、3つ目は何でしょう。実は読書です。札幌市では、読書を学びの基盤として位置づけ、学校図書館地域開放、特色ある図書館活用取組発表、表彰式などの特筆すべき読書環境を整え、学校図書館を中心とし、様々な読書活動を学級担任と司書教諭や図書館担当者、図書委員、図書局や地域保護者ボランティアなどが協力して推進しています。札幌市が学校図書館を地域に開放している箇所数は、令和4年度実績で小学校120校、中学校1校の計121校で、地域への開放時間は週3回、午後1時から4時を基本としています。学校司書とは別に開放事業なので、開放司書と呼ばれておりますが、その司書を中心に延べ3,566人の地域の読書ボランティアの方が精力的に活動されています。
福岡市では、各公民館にスタンバード文庫という地域文庫が配置されているとおっしゃるかもしれませんが、私も今回の質問でその名前を初めて知りました。現地調査を行うと、取組に濃淡はありますが、総じて認知度が低く、図書の更新もさほど行われておらず、利用者も限られています。また、文庫が設置されている部屋が他の用途でよく利用されており、アクセスしにくいという難点がありました。
まずは、このスタンバード文庫の周知を含め、地域の読書環境の充実を図っていただきたいと思いますが、御所見をお伺いいたします。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) スタンバード文庫読み聞かせ講座を開催することで、地域へのスタンバード文庫の周知を行うほか、本の貸出活動等を行う地域団体や放課後児童クラブなどへ図書の団体貸出しを行うなど、引き続き地域の読書環境の充実を図ってまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) また、福岡市は小学生読書リーダーという教育委員会主催の養成講座を受講した児童が講座で学んだ知識や技能を自分の学校の図書委員会などで他の児童に還元する取組を行っておりますが、これを中学生にまで広げ、札幌市の特色ある図書館活用取組発表、表彰式のような取組を行えば、さらに子どもの主体的な読書活動につながると思いますが、御所見をお伺いいたします。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 子どもの読書活動の充実に向け、児童生徒が主体的に読書活動に関わることは大切であると考えておりまして、今後は読書リーダー養成講座の対象を中学生にまで広げ、講座を受けた児童生徒が読書リーダーとして、学校図書館の活性化に向けた取組を発信する場となるよう工夫してまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 子どもの読書活動の推進に関する法律の言葉を借りれば、子どもの読書活動は子どもが言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものとし、人生をより深く生きる力を身につけていく上で欠くことができないものです。しかしながら、子どもたちの状況に目を転じると、急激なメディアの普及に伴う読書習慣や語彙力の欠如など憂うるべき課題も見られます。
これまでるる述べてまいりましたが、AI時代を生き抜く子どもたちに必須の読解力を育む点において、福岡市の学校図書館を中心とした読書環境の充実に向けた取組は道半ばのように感じます。率直に申し上げれば、学校の中で管理職にも教員にも学校図書館や司書教諭、学校司書に関する理解が不足しているように思います。
司書教諭と学校司書が車の両輪として活躍できるためには、校内外全ての人に司書教諭や学校司書の役割が理解されていなければなりません。改めて管理職や先生方が学校図書館の意味や意義を理解し、学校全体での連携を強化しながら取り組むべきではないでしょうか。
そのほかにも、司書教諭、学校司書の役割の確認、司書教諭の活動時間確保、司書教諭と学校司書の連絡時間等の配慮、校長、研究主任、司書教諭、学校司書、ICT教育担当者等による学校図書館活用運営委員会の設置、読書ボランティアの活用など様々な工夫も考えられ、今こそ今後の学校図書館の在り方を考えていく必要があると思います。
このテーマの質問の最後に、石橋教育長の御所見をお伺いいたします。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 福岡市子ども読書活動推進計画の下、これまで各学校において、学校図書館長である学校長のリーダーシップの下、司書教諭が中心となり、学校司書と連携しながら学校全体で組織的に学校図書館運営を行ってまいりました。今後、学校図書館に関わる人材の役割分担や連携などについて成果と課題を整理するとともに、学校図書館の在り方について検討し、子どもたちの豊かな読書活動の充実につなげてまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) ありがとうございました。
次のテーマ、生活保護の在り方(寄り添い型の支援の充実)に入ります。
私のところに1本の電話がかかってまいりました。日頃は独り身の非常に快活な高齢の女性の方からで、脳梗塞で倒れられたとのことで、ろれつが回らなくなっており、大変お話が聞き取りにくい状況でしたが、話の要旨は、地域の行きつけの病院で、脳梗塞で倒れ、働けなくなったので生活保護を受給することになったことを主治医に伝えたところ、生活保護の受給を理由に来院を拒むかのような発言があったとのことであります。信頼している医師からの突然の心ない対応にパニックになられ、生活保護がそんなに悪いことなんでしょうか、私が何か悪いことをしたのでしょうかと涙ながらのお訴えでした。その方はその後、住み慣れた地域を離れ、高齢者施設に入居されました。皆さんはどう思われますか。私は福岡市人権擁護委員を8年務めさせていただきましたが、生活保護受給者の方の人権が守られていない現状を痛感したエピソードの一つでした。
生活保護申請最多25万件という気になる記事が目に飛び込んできました。2023年1月から12月までの生活保護申請が、現行の調査方式となった2013年以降で最多の25万件であったことが厚生労働省の統計で分かりました。
そこでお尋ねいたしますが、福岡市の過去5年間の保護世帯数の推移と令和4年度の世帯類型別の構成割合をお示しください。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 福岡市の生活保護世帯数は、保護停止中の世帯を除く各年度の平均で、平成30年度が3万3,535世帯、令和元年度が3万3,428世帯、2年度が3万3,513世帯、3年度が3万3,690世帯、4年度が3万3,805世帯、また、4年度の世帯類型別の構成割合は、高齢者世帯が52.7%、母子世帯が4.6%、障がい者世帯が11.4%、傷病者世帯が13.5%、その他世帯が17.8%となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 生活保護世帯は3万3,000世帯台を推移し、そのうち高齢者世帯が構成比として50%以上を占めております。
さて、国民年金の受給額は保険料の納付月数で決まるため、20歳から60歳までの40年間保険料を完納すれば、本年4月からは、年金の受け手が2人となる標準の夫婦世帯ならば月6万8,000円掛け2、13万6,000円となりますが、単身高齢者世帯ではその半分、6万8,000円、これでどうやって生活すればいいのでしょうか。国民年金収入のみの単身の世帯では、生活がすぐに立ち行かなくなることは容易に想像がつくと思います。しかも、最近のこの物価高の影響はとても深刻であります。
長引くコロナ禍や物価の高騰の影響で生活困窮に陥る市民に寄り添った「生活保護の申請は、国民の権利です。」というA4判のチラシを作り、全ての御家庭に配付した京都府京丹後市の取組が話題となり、他の自治体にもそうした取組が徐々に広がっております。報道によれば、京丹後市では市職員がパソコンでレイアウトし、かかった費用は印刷費の約7万5,000円、「権利です」と大きく記し、新型コロナで収入が減った、小さい子どもがいるので働ける時間が短い、年金では暮らせないなどと利用を考える具体的な状況をイラストを用いながら明記し、制度を誤解して申請を諦める人もいるため、裏面には誤解されがちなポイントをQ&A形式でとても分かりやすく解説しています。
福岡市においては、生活保護制度全般について説明した白黒印刷でイラストが皆無、全く書かれていない、無味乾燥というのは、ちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、生活保護のしおりと、こちらはカラフルですが、生活保護受給者の義務と適正支給に主眼を置いた生活保護ルールブックが作成されておりますが、生活保護受給者の権利というより、むしろ義務の啓発ばかりが目立ち、率直に申し上げて生活保護受給者に寄り添ったものとはとても言えません。
福岡市のこれらのリーフレットには全く記載がありませんが、皆さん就労活動促進費というものを御存じでしょうか。ケースワーカーでも知らない方がいるようであります。
それでは、就労活動促進費の概要と支給までのスキーム、福岡市の令和5年度の活用実績をお答えください。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 就労活動促進費は、積極的に就労活動に取り組んでいる方のうち、一定の基準を満たす方に月額5,000円を原則6か月を上限に支給するものでございます。事前に自立活動確認書を提出していただき、求職活動の実績が要件を満たした場合に支給することとされており、令和5年度の支給実績は1件となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 福岡市の活用実績は昨年度たったの1件です。
それでは、福岡市の生活保護受給者の就労支援状況をお示しください。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) ケースワーカーによる就労支援に加え、比較的早期に就労が可能な方を対象に専門の支援員が求人情報の提供や就職面接の支援、ハローワークへの同行などを行う被保護者就労支援事業や、早期就労が難しい方を対象に職場体験や就職活動に関するセミナーなどを行う被保護者就労準備支援事業を実施しております。また、全区役所にハローワークの窓口を常設し、求人情報の提供やセミナーの紹介等に取り組んでおります。就労支援を行った人数は、令和4年度の実績で2,363人となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 様々な就労支援に取り組まれ、就労に至った方が一定数おられることは理解できましたが、なぜ就労活動促進費の昨年度支給実績は1件だったのか、とても不思議に思えます。その要因をお答えください。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 就労活動促進費につきましては、国により受給の要件として、求職先への原則月3回以上の応募または月1回以上の面接に加え、ハローワークでの原則月6回以上の職業相談やセミナーへの参加、ケースワーカーとの原則月1回以上の面談など多くの基準が設けられており、要件を満たす方が少ない状況がございます。就労活動促進費は、積極的に就労活動に取り組んでいる方が対象となっておりますが、就労への意欲や能力などはそれぞれの方によって異なることから、専門の支援員が様々な制度を活用し、その方の状況に応じたきめ細かな支援を行っているところでございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 制度活用のための基準のハードルが高い、生活保護受給者側に問題があるかのような御答弁ですが、要するに国から自治体に対し、就労可能な生活保護受給者の就労、自立支援の促進が通達されているもかかわらず、福岡市は真面目に取り組んでいないということであります。
生活保護受給者の方は、積極的な就職活動を行えば行うほど面接のための交通費の捻出などのため、ただでさえぎりぎりの生活費をさらに切り詰めなければならないという大きな矛盾が生じます。その実態を踏まえ、国において月額5,000円、原則6か月間以内の就労活動促進費が創設されているにもかかわらず、福岡市はその制度の周知さえしていない。そんな制度は福岡市にはありませんと平気で答えるケースワーカーも存在します。1件という支給実績が全てを物語っております。
さて、話題を変えますが、身寄りのない単身高齢の生活保護受給者の方が立ち退き、通院等で転居が必要となり、ケースワーカーに住宅相談をしたところ、自分で探してくださいと言われ、私のところに相談に来るケースが後を絶ちません。
そこで、お尋ねいたしますが、保護課には住宅相談を専門で受ける支援相談員が配置されていると伺っておりますが、この相談員が受けた生活保護受給者の住宅相談件数及び住宅確保支援のスキームをお知らせください。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 生活保護を受給されている方の居住の安定確保のため、博多区と西区の庁舎内に支援相談員を1名ずつ配置しており、立ち退きや退院等で住宅の確保が必要であるにもかかわらず、自力で探すことが困難な場合に賃貸物件情報の提供や不動産事業者への同行等の支援を行っております。支援相談員が受けた相談件数は、令和4年度の実績で150件となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 博多区と西区に支援相談員を1名ずつ配置しているとのことであります。
それでは、この支援相談員に寄せられた年間150件の相談について、区別の内訳と配置されている区以外から寄せられた件数の合計をお答えください。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 相談の区別の内訳につきましては、東区が10件、博多区が31件、中央区が14件、南区が10件、城南区が12件、早良区が39件、西区が34件であり、博多区、西区以外からの相談は合計で85件となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 各区のケースワーカーにこの住宅確保支援スキームが十分に伝わっているのか疑問に思い、議会という公の場で念のため確認させていただきました。
生活保護の在り方について、就労支援と住宅確保支援について絞って述べてまいりましたが、福岡市の生活保護に関するリーフレットの中に、先ほどのこれですね、(資料表示)「生活保護は国民の権利です。ためらうことなく利用してください。」の一言が入れられないものでしょうか。就労活動促進費や住宅確保支援スキームの明記など生活保護受給者と生活保護制度の橋渡しとなるケースワーカー双方にとってメリットがあり、活用しやすく、無用なトラブルが起こらないようなイラストや事例などもふんだんに取り入れた分かりやすいリーフレットの作成が必要だと考えますが、御所見をお伺いいたします。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 生活保護の申請が国民の権利であることは市のホームページにおいて周知を行っているところでございますが、今後、生活保護に関するリーフレットである保護のしおり等への掲載についても検討を行ってまいります。また、生活保護を受給している方が必要な給付や支援制度を確実に利用できるよう、チラシを作成するなど周知に取り組んでまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) ケースワーカーをはじめ、福岡市の生活保護行政に携わる職員の方が少ない人数で多くの生活保護受給者の担当を受け持ち、様々な支援を行っていることは十分に承知しておりますし、感謝をしております。
だからこそ、ケースワーカー等の支援する側の負担軽減のためにも十分な研修を行い、寄り添い型支援の充実を図っていただきたいと思いますが、御所見をお伺いいたします。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) ケースワーカーは、支援を必要とする方一人一人と向き合う重要な役割を担っているものと認識しております。様々な研修や実務を通じた助言指導などを行っているところですが、引き続きケースワーカーの資質の向上に取り組み、きめ細かな支援を行ってまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 重ねて申し上げますが、最近の食料品などの生活必需品の物価高騰は市民生活に多大な影響を与えております。生活保護受給者をはじめ、生活困窮者の方は、さらに深刻な事態に陥っております。その最後のよりどころとなるのが生活保護行政など福祉分野を担う職員の皆様です。福岡市は、もっともっと誰一人取り残さないSDGsの基本に徹していただきたいと思います。
最後に、福岡市において、全ての市民のウエルビーイング、身体的、精神的、社会的に良好な状態達成を目指して日夜奮闘されている髙島市長に御所見をお伺いし、私の質問を終わります。
○副議長(松野 隆) 髙島市長。
○市長(髙島宗一郎) 生活に困窮されている方がそれぞれの状況に応じて必要な支援を受けられることは大変重要であると考えております。生活保護制度につきましては、日常生活への支援に加え、就労や住宅確保などきめ細やかな支援を行っているところであり、制度の適切な運用や周知を図ってまいります。今後とも、誰一人取り残さないというSDGsの理念を踏まえ、全ての人が安心して生活できるまちづくりに取り組んでまいります。以上です。