▼令和6年 第3回定例会 古川 清文 一般質問 (令和6年6月14日)

○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文)登壇 私は公明党福岡市議団を代表して、蛍光灯から脱炭素社会の実現に向けて、若者が活躍し福祉の増進が図られる都市づくりについて、以上2点質問いたします。
 初めに、蛍光灯から脱炭素社会の実現に向けてです。
 今年になって、2027年の蛍光管製造禁止に備え迅速なLED化をとの報道を目にしました。この記事では、水俣条約では既に水銀灯の生産と輸出入が禁止されていること、また、今回は2026年にコンパクト蛍光灯が、2027年には直管蛍光灯が製造禁止となることが決まったということで、全ての一般照明用蛍光ランプの製造は終了し、流通、販売ができなくなる、早めにLEDに切替えをという内容でした。
 蛍光灯の製造が禁止される理由は、製造に使用される水銀が水俣病の原因となる可能性があるためで、水俣病は工場などからの排出水に含まれているメチル水銀化合物を吸収した魚などを人間が食べることによって引き起こされる神経疾患です。水銀に関する水俣条約は、水銀の使用、特にその健康への影響と環境汚染を規制する国際条約です。その条約は平成25年10月に熊本市で開かれた国際会議で採択され、平成29年8月に発効いたしました。条約の目的は、水銀による健康被害や環境汚染を防止することにあります。そのために水銀の使用と国際的な輸出入の規制が定められているのであります。
 この水俣条約に関しては、我が会派の大石修二議員が平成28年第5回定例会の一般質問において、水俣条約発効における水銀廃棄物の回収及び処理についてと題し、水銀を含む蛍光管の拠点回収など、市民への周知徹底を提案した経緯がありますが、今回は別の角度から質問してまいります。
 まず、水俣条約の現在の締約国数についてお伺いいたします。また、蛍光ランプについて、水俣条約が発効された平成29年に一部の蛍光ランプの廃止期限が定められていたと認識していますが、令和5年の第5回締約国会議の合意でどう変わるのか、環境局にお尋ねいたします。
 以上で1回目を終わり、2回目以降は自席にて行います。
 
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 国連環境計画のホームページによりますと、水銀に関する水俣条約、いわゆる水俣条約の締約国数は、令和6年5月31日現在で148の国や地域となっております。令和5年11月の第5回締約国会議では、水俣条約発効時に規制された水銀添加製品に加え、新たにボタン電池や蛍光ランプなど9種類の製品の製造及び輸出入の禁止について合意されました。これにより、医療用など特殊な用途を除いた一般照明用の全ての蛍光ランプの製造が令和9年末までに終了となるものでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 水俣条約が採択された平成25年10月10日時点では92か国が署名を行いました。その後、各国で加盟手続が行われ、現在、締約国が148か国、地域に広がってきています。
 水俣条約締約国が増えている状況について、本市はどのように認識しているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 水俣病を経験した日本が地球規模での水銀汚染防止を進めていくためには、多くの国の参画が不可欠であるとの認識の下、各国による条約締結を積極的に促してきたことが、水俣条約の締約国が増加した要因の一つであると考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 照明器具はLEDの器具やランプが製品化されており、蛍光ランプが製造、販売終了となれば、LED照明に置き換わっていくと思います。しかし、LED製品は高額であることがデメリットかと思います。
 それでは、LED化のメリットは何なのか、確認の意味でお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) LED照明は蛍光灯と比較して寿命が長く、また、同等の明るさを出すための消費電力が少ないことから、CO2排出削減につながるといったメリットがございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 答弁をいただきましたように、蛍光灯のLED化にはメリットがあります。従来の蛍光灯とLED照明の比較を表にしましたので、表を見ていただきたいと思います。
 資料1の投影をお願いいたします。(資料投影)これは天井埋め込み型の蛍光灯照明器具から右側のLED照明に換えた場合の事例です。ランプの寿命についての比較ですが、従来品は1万2,000時間に対しLEDは4万時間。1台当たりの消費電力の比較は、従来品は65ワットに対しLEDは31.9ワット。年間使用電力量の比較、100台当たりですが、従来品は1万8,720キロワットアワー、LEDは9,187キロワットアワー。年間CO2排出量の比較です。100台当たり従来品は約8.6トンに対しLEDは約4.2トン。年間電気代の比較ですが、これは100台当たり従来品約51万4,000円に対しLEDは約25万2,000円。このように差が明確に出ております。投影ありがとうございました。
 御覧いただいたとおり、蛍光灯は早めにLEDに切り替えたほうが経済的であることは間違いないのであります。
 そこで、政府や市役所の蛍光灯のLED化の計画等の詳細をお伺いいたします。
また、本市として市内一般家庭への照明灯LED化の目標等は設定、公開されているのか、お伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく政府の実行計画では、既存設備を含めた政府全体のLED照明の導入割合を2030年度までに100%とするとされております。福岡市役所におきましては、地球温暖化対策率先実行計画におきまして、施設の新築や改修時に先進的な高効率機器の導入、建物の高断熱化等を考慮、反映した整備を実施することとしており、照明設備の工事を行う際は原則LED照明を導入することといたしております。
 一般家庭における照明のLED化に関する目標は設定いたしておりませんが、ホームページなどで公表しております2030年度までを計画期間とする福岡市地球温暖化対策実行計画におきまして、家庭部門における市民が取り組むべき事例として、照明にはLEDライトを使用することを記載いたしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 答弁をいただいたとおり、政府は国有施設のLED化を2030年までに100%を目指し計画しているとのことでした。しかし、このたびの水俣条約における2027年末までに製造中止とする取決めは、政府施設のLED化も2027年達成完了へと目標が3年前倒しになることが予想されます。本市もLED化の流れを早めるべきと考えます。
 本市の市有施設及び道路照明灯には多くの直管蛍光灯があると思います。主なものとして、道路の照明灯や学校施設、市営住宅の共用部分、市役所本庁舎の蛍光灯においてLED化はどれくらい完了しているのか。また、その個々の計画があれば、計画と進捗率についてお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 道路照明灯につきましては、平成24年度からLED化を開始し、令和8年度完了を目標に進めております。令和5年度末時点で管理基数約3万8,000基のうち、約3万4,700基のLED化が完了し、進捗率は約91%となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学校施設につきましては、平成23年度よりLED化を開始しております。令和6年5月末時点で全230校のうち142校でLED化に取り組んでおり、進捗率は約62%となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 市営住宅の共用廊下等につきましては、平成23年度からLED化を進めておりますが、令和5年度末時点で管理棟数785棟のうち、570棟をLED化し、進捗率は約73%であり、令和7年度までに完了するよう取り組んでおります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 山嶋財政局長。
○財政局長(山嶋 剛) 市役所本庁舎におきましては、平成21年度から改修工事などに合わせてLED化を進め、令和5年度末時点で直管蛍光灯約1万8,400本のうち、約1,400本をLED化しており、進捗率は約8%となっております。残る蛍光灯につきましては、非常用階段灯など一部を除き、全てを令和7年度までに完了するよう取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 本庁舎、頑張っていただきたいと思います。答弁によると、大枠令和8年度までにはLED化が全て完了する見込みとのことでありました。大変かとは思いますが、教育委員会の所管の学校施設、また、今日は尋ねませんでしたが、各区役所施設や地下鉄等の市有施設のLED化も同じタイミングで完了できるように整備を進めるべきと申し上げ、要望いたします。
 また、一般家庭用の照明灯のLED化については、普及の進捗状況を掌握することが難しいことから、目標は設定されていなかったと思います。今回のような製造終了というようなきっかけを機会に、脱炭素社会への取組を広く周知されることが必要であります。
 そもそも一般市民や事業者向けに、この直管蛍光灯製造及び販売中止となる情報は周知されているのか、お伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 現在、国のホームページにおきまして、令和9年末までに蛍光ランプなど9種類の水銀添加製品の製造及び輸出入を段階的に廃止することが公表されております。国からは、今後、政令の改正を行った後、蛍光ランプなど製品種別ごとの具体的な廃止時期も併せて周知を行っていくと聞いており、福岡市におきましても、政令の改正状況など、国の動向も確認しながら、市民や事業者への周知を図ってまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) LED製品への切替えは、一般的な蛍光灯や電球を利用している一般市民にとって負担増となりますが、国からの補助金等の支援策はあるのか、また、市独自の支援策はあるのか伺います。
 
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) LED照明を対象とした支援策につきましては、国が事業者を対象とした省エネルギー投資促進支援事業費補助金において、特定の制御機能付LED照明器具を対象に、機器費の3分の1、1億円を上限に補助を行っております。福岡市におきましては、独自の支援策として、中小企業者等を対象とする事業所の省エネ設備導入支援事業におきまして、明るさを制御する機能を有するLED照明器具を対象に、機器費の2分の1、300万円を上限に補助を行っております。また、市民を対象としたECOチャレンジ応援事業におきまして、LED照明を購入した場合、2,000ポイントを上限に交通系ICカードのポイントを付与いたしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 答弁をいただきましたが、このことをどれだけの市民が知っているのか疑問であります。
 この事業所を対象とした支援事業の申請時期はいつからいつまでか、また市民を対象としたECOチャレンジ応援事業の申請時期はいつからいつまでなのか、お伺いいたします。
また、申請期間内であっても予算額の上限に達し、受付を終了するようなことはないのか、その場合の追加支援はないのか、お伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 事業所の省エネ設備導入支援事業の申請期間につきましては、5月7日から11月29日まで、ECOチャレンジ応援事業につきましては、事前の参加登録を必要としておりまして、登録期間は5月7日から12月31日まででございます。
いずれの事業につきましても、予算額、募集世帯の上限に達した場合は受付を終了することといたしております。追加的な支援につきましては、現時点では想定いたしておりませんが、まずはこれらの事業を市民や事業者に御活用いただけるよう、しっかりと周知いたしてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 昨年は福岡市民限定で省エネ家電買い換えキャンペーンが実施されたと記憶しております。この省エネ家電買い換えキャンペーンの概要、補助世帯数等の実績、予算執行率及び予算額等の詳細をお伺いいたします。
また、福岡市独自のこの事業を今後も実施すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 省エネ家電買い換えキャンペーンにつきましては、令和5年度に国の電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金を財源として実施した事業であり、市内居住の世帯を対象に、市内の店舗で省エネ基準達成率100%以上のエアコン、冷蔵庫、照明、テレビを合計5万円以上購入することを要件に、最大3万円を補助する事業でございました。実績といたしましては、補助世帯数は1万5,419世帯となり、予算額4億7,500万円に対し、執行率は99.5%となっております。
 令和6年度につきましては、国の交付金の活用ができなかったことから、キャンペーン事業は実施しておりませんが、脱炭素行動を実践した市民に対し、交通系ICカードのポイントを付与するECOチャレンジ応援事業において、省エネ家電に買い換えた世帯を対象に2,000円相当のポイントを付与するとともに、あわせて省エネ家電への買換えは電気代の節減や省エネ、CO2排出削減にもつながることを広報するなど、引き続き省エネ家電の買換えを推進してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 執行率が99%を超え、いかに市民の関心が高かったかがうかがえます。財源となった国からの交付金がないので、昨年度のような省エネ家電買い換えキャンペーンはできないとの答弁でありました。今年度はECOチャレンジ応援事業のみの実施です。
 一般家庭において蛍光灯は、電球が切れてから購入するケースもあるかと思います。買い換えようと思ったら既に事業が終了していたということも想定されます。早めにLEDに切り替えていただくことで脱炭素社会の取組に貢献していることを実感してもらい、経済的メリットを感じてもらうことが重要で、ECOチャレンジ応援事業は買換えの後押しとなる有効な取組です。今後も継続して事業を実施していただきたいと、求めておきたいと思います。
 福岡市独自の蛍光灯LED化切替え支援策をもっと積極的に周知し、事業者や一般家庭を支援すべきだと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) LED照明への切替えに対する補助金をはじめとした脱炭素関連の補助金につきましては、市民、事業者向けの補助事業をカーボンニュートラルパッケージとして一体的に広報しており、市政だよりやSNS、ホームページでの広報に加え、様々な業界団体への周知を行っているところでございます。今後は蛍光ランプが製造されなくなることも併せて広報し、市民、事業者のLEDへの切替えを推進してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 脱炭素社会へのチャレンジは自治体が旗を振り、市民団体や事業者等、様々な主体と連携しながら取組を進めていくことが不可欠です。
 本市はCO2削減、脱炭素社会の実現といった持続可能な社会づくりを行うため、市民団体や事業者等と連携し、多くの市民が気軽に来場できる市民参加型の啓発イベントはあるのか、あるならばいつからどのように取り組んでいるのか、また、その予算額をお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 福岡市では平成15年度より市民団体、事業者、学校、行政の共働により、来場者が楽しみながら脱炭素社会への取組をはじめ、環境について学べる啓発イベント、環境フェスティバルふくおかを市役所西側のふれあい広場などで開催いたしております。イベントは、事業者、行政等で組織する実行委員会の主催で、実行委員会事務局である環境局が中心となり、各主体と連携を図りながら実施いたしております。なお、令和6年度の福岡市の予算額は1,350万円でございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) これまで、全ての一般照明用の蛍光灯管が製造禁止されるということから始まり、照明のLED化について、そして脱炭素社会の実現について展開し質問をしてまいりました。
 福岡市は、国より10年早い2040年度の脱炭素社会を実現するという目標を掲げております。この目標の達成に向けて、市民へのLED照明への切替えといった脱炭素の取組を自分ごととして主体的に実践することができる市民参加型の取組が必要です。脱炭素社会実現に向けてピッチを上げて進めていくべきと考えますが、この質問の最後に髙島市長の御所見をお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 髙島市長。
○市長(髙島宗一郎) 脱炭素社会の実現に向けては、市役所自身の率先した取組に加え、市民、事業者の皆様の脱炭素行動への関心、共感を広げることによって、一人一人の実践につなげていくことが大変重要であると考えております。
 このため、ECOチャレンジ応援事業や環境フェスティバルといった、これまでの市民参加型の事業に加え、Z世代などの若者や中小企業など、幅広い対象への広報、啓発を強化することによって、市民、事業者による主体的な意識改革、行動変容を促し、脱炭素型ライフスタイル、ビジネススタイルの浸透を図ってまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 次に、若者が活躍し福祉の増進が図られる都市づくりについて伺います。
 このたび福岡市は2034年度までの次の10年の基本計画、いわゆるマスタープランの計画策定に入ったところです。私も第9次に続き、第10次の総合計画審議会のメンバーとして議論に参加させていただいており、身が引き締まる思いでございます。
 今回の質問が総合計画への意見にもつながればとの思いで、今後の福岡市の進むべき考え方について質問してまいります。
 初めに、最新の福岡市の人口、将来の人口推計の概要についてお尋ねいたします。
あわせて、昨年、国立社会保障・人口問題研究所が日本の将来推計人口結果を出しています。その概要について御説明をお願いいたします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市の最新の推計人口につきましては、本年6月1日現在で、165万3,000人余でございます。次に、本年4月に公表した福岡市の将来人口推計の概要につきましては、福岡市の総人口は今後も増加を続け、2040年頃に約170万人でピークを迎える見込みとなっております。
 また、国立社会保障・人口問題研究所が令和5年4月に公表した日本の将来推計人口の概要につきましては、日本の総人口は今後も減り続け、2070年には約8,700万人まで減少する見込みとされております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 資料2を投影してください。(資料投影)この表は、今の答弁と国勢調査に基づいて国、九州、福岡市の人口を1980年から5年ごとに折れ線グラフにしたものです。推計によると、日本の総人口は、答弁いただいたとおり、2008年、人口約1億2,808万人をピークに人口減少に転じ、2070年頃には約8,700万人まで減少する見込みとのことでありました。
 真ん中のオレンジ色で表しているのが九州の総人口で、こちらは2000年の約1,476万人をピークに既に減少に転じ、今後も減少を続ける見込みであります。
 最後に、一番下の青色の折れ線グラフが福岡市の人口推計であります。答弁いただいたように、福岡市の将来人口は2040年頃に約170万人まで増加し、ピークを迎える見込みで、以降減少に転ずると見込まれ、今の答弁を図にしたものでございます。投影ありがとうございました。
 日本全体が人口減少にもかかわらず、福岡市の人口が増え続けている要因はどのようなことが理由なのでしょうか、本市としての見解をお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市の人口増加については、様々な要因があると考えておりますが、市民意識調査で95%以上が住みやすいと回答されているように、都市と自然が調和したコンパクトで住みやすいまちであること、スタートアップや企業誘致などに積極的に取り組んできた結果、成長分野、本社機能の企業立地が10年連続で50社を超えるなど、事業所数や雇用が増加していること、大学、短大、専門学校が九州全体の約2割に当たる100校ほど立地しており、若い世代の転入が多いことなど、住みやすさ、働きやすさ、学びやすさがそろっていることが大きな要因と認識しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 住みやすさ、働きやすさ、学びやすさがそろっていることが大きな要因とのことでありました。この3点は重要な視点なので、後ほどまた触れたいと思います。
 さて、人口の増減については、出生や死亡の動きを自然動態、転入や転出の動きを社会動態と言いますが、この視点で福岡市の人口動態の特徴をお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 自然動態につきましては、全国的な傾向と同様、出生数が減少する一方で、死亡数は増加が続いており、令和3年以降は出生が死亡を下回る自然減となっております。また、社会動態につきましては、平成12年以降、転入が転出を上回る社会増が続いております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 答弁をいただいたように、福岡市の人口増の要因は、死亡数の増加が続いており、自然減ではあるものの、転入超過によって社会増が続いているというのであります。
 私は、他の自治体の方から、福岡市は定住人口の増加につながるための取組や企業誘致、観光誘致の取組であるシティプロモーションの評価が高いと聞きました。
 福岡市はいち早くシティプロモーションやシティセールスに取り組んだと思いますが、これまでの本市の観光誘致や企業誘致等のシティプロモーションの狙い、また、それらによる人口への影響についてお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市は第3次産業が9割を占める産業構造であり、交流人口の増加が地域経済の活性化につながることから、観光・MICEの振興に積極的に取り組むとともに、雇用の創出及び地場企業の事業機会の拡大等を図るため、企業誘致を推進してまいりました。その結果、来訪者数の増加や企業の進出などにより、都市に活力が生まれるとともに、元気なまち、住みやすいまちとして広く認知され、人口の増加にもつながってきたものと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) また、それ以前に福岡市は第3次産業に力を入れるような大きな方向性の変革となる総合計画の改定があったとも聞いています。
 そこで、これまで福岡市がマスタープラン等においてどのようなまちづくりを目指してきたのか、どのような視点で計画し、まちづくりを進めてきたのか、これまでの経緯を振り返り、少し時系列でお示しください。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 昭和36年に全国に先駆けて策定した第1次基本計画では、日本全体が高度経済成長期にあったことなどを背景に、福岡市においても工業の振興を図っていくこととされておりましたが、昭和41年の改定に当たり、福岡市の地理的、歴史的特性などを踏まえ、第3次産業を基軸とする方針へと転換し、九州の中枢都市としての都市機能充実や市民の生活環境整備などに重点を置くこととされております。その後も、この大きな方向性を継承しつつ、数年ごとに計画を改定し、福岡市の特性や社会経済情勢の変化などを踏まえながら、まちづくりを進めてまいりました。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 昭和41年当時は人口77万人だった福岡市。この時代に第3次産業を基軸に置いていく変革となる総合計画を立てました。そこから福岡市が165万人まで人口が増加し、今後も伸びゆく傾向に成長しているのは、先人たちのおかげでもあると思います。
 人口減少社会に人口が増え続けている自治体として、これから何を目指して進んでいくのか、その原点を確認の意味で伺いますが、そもそも地方自治法第1条の2に記されている地方自治体の目的は何なのか、お伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 地方自治法第1条の2第1項では、「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする」と規定されております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 答弁をいただいたように、自治体の目的は福祉の増進のためであります。様々な施策はその目的である福祉の増進につなげていく、その意識を絶対に忘れないでいただきたいと願います。
 先ほど、日本全体が人口減少社会にある中で福岡市の人口が増え続けている理由に、住みやすさ、働きやすさ、学びやすさがそろっていることが要因との答弁をいただきました。福祉の視点としても重要です。この3点にさらに磨きをかけていただきたいと願います。
 1点目に、コンパクトなまちで住みやすいことを答弁されました。コンパクトなまちの中に公共交通があり、病院や日用品が買物できるスーパー等が集積していることは大変重要であります。福岡市内はコンパクトシティとはいえ、しかし、全ての地域がそうなっているわけではなく、そういう地域の課題改善を図ることも今後重要であります。
 また、私が福岡市内中心部にお住まいの高齢者や障がいのある方から伺う声で多いのが、自転車のマナーが悪くて、まちなかを歩くのが怖い、道路や歩道に段差が多い、外出中にちょっと休めるベンチや手すりが欲しいとの声もいただきます。これらの課題に対して、つい先日も新たに交差点ベンチの実証実験を始めるとのことで発表されておりましたが、ぜひ誰もが歩きやすいユニバーサルのまちの整備を積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 今後の施策の中でも誰もが安心して歩けるユニバーサルなまちづくりをさらに強化していただくことが重要だと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 誰もが安心して歩けるまちづくりについては、モラル・マナー推進指導員による自転車の安全利用の呼びかけや、道路をはじめとする施設のバリアフリー化、バス停付近などにベンチを設置するベンチプロジェクトの推進など、様々な取組を進めてきたところでございます。今後とも、「みんながやさしい、みんなにやさしいユニバーサル都市・福岡」の実現に向け、全ての人にとって暮らしやすいまちとなるよう、しっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 2点目に、企業誘致などに取り組み、事業所数や雇用が増加し、働きやすさを答弁されました。生活の基盤となる収入を得るために働けることは重要です。さらに、子育てや親の介護と仕事の両立や多様な働き方を望む方々の意見もあります。また、雇用側の立場からも、生産年齢人口の減少や人手不足の課題の声をいただきました。
 そこで伺いますが、人口減少社会において直面する課題の一つに、介護業界や物流業界をはじめとする人手不足の問題がありますが、どのように対応していくのか、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 日本が人口減少社会を迎え、少子・高齢化が進展する中、全国的に様々な分野で人手不足が生じているものと認識しております。このような状況の中、限られた人的資源を自治体間や業種間で奪い合うのではなく、社会全体として飛躍的に進歩しているAIなどのテクノロジーを活用した生産性の向上や働き方への価値観をアップデートし、年齢や性別などにかかわらず、一人一人が本人の意思や能力に応じて活躍できる環境づくりなどに取り組むことが重要と考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) ぜひともAI技術やテクノロジーを駆使して人手不足をカバーすることや、まだまだ働く意欲があり、仕事を求める高齢者の方々の再雇用、また、異国の地でも活躍の機会を求める外国人人材の活用もこれからの時代に求められているものと確信いたします。
 3点目に、市内には大学や短大、専門学校が多く、若い世代の学びやすさがあるとの答弁をいただきました。次の時代を牽引する主役たちは若者です。10年後、20年後の社会を支えているのは今の若者であり、また、今、福岡市も懸命に支援している子どもたちも未来の主役となります。子育て支援については力を入れていただいておりますが、もっと若者支援をしてほしいとの声が公明党市議団にも届いています。
 そこで、医療、教育、IT、料理、ファッションなど、様々な分野で夢を持つ若者が福岡市に集い、知識やスキルを身につけ、福岡市だけでなく、九州各地でも活躍できるよう後押しができるような若者支援を福岡市がやるべきだと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 令和5年の福岡県人口移動調査によりますと、九州各県から福岡市への転入者のうち、15歳から34歳の年齢層が約7割を占める一方、福岡市から九州各県への転出者のうち、20歳から44歳の年齢層が約7割を占めております。これは進学や就職などで福岡市に転入した若者が知識や経験を身につけ、その後、九州各地で活躍している流れを表しているものと考えております。福岡市が教育や経済などの高次機能を備えることで、九州全体の発展にもつながるものと考えており、今後とも、次代を担う人材が育つ環境づくりに取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) ぜひ若者の夢が実現できるまち福岡のまちづくりを進めていただきたいと思います。
 また、我が会派がこれまでに幾度も主張しているように、福岡市に集った若者たちへの婚活支援も大変重要であります。合計特殊出生率が過去最低となる中、少子化対策の観点からも、福岡市がしっかりと取り組んでほしいと思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 婚活支援につきましては、県と共同で婚活セミナーなどを開催しているほかに、市のホームページやSNSなどを活用し、情報発信に取り組んでおります。今後とも、若者たちの多様な価値観を尊重しながら、県と連携し婚活支援に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) ただいま、こども未来局に答弁いただきましたが、婚活については、いわゆる若者だけのものとは思っておりません。人生100年時代にあって、この先の人生をシングルのままで生きていくのかという不安の方、何らかの理由で離別した方や死別された方からも、年代に合った婚活支援の要望をいただきました。人生のパートナーを見つけたいと思う方々が、この福岡で出会い、大好きなまち福岡でパートナーとともに暮らしていけるようなまちになることを願っております。どうか髙島市長にそのリーダーシップを発揮していただき、福岡市らしいパートナーとの出会いの場の行政支援モデルの構築をぜひお願いしたいと思っております。
 先ほど社会動態の答弁がありました。福岡市は九州の玄関口としての立地と歴史、また九州各県からも、若者を中心に人が往来してきている流れの印象があります。
 最後に、もう1枚資料を見ていただきたいと思います。資料3を投影してください。(資料投影)ちょっとごちゃごちゃしていますが、この表は令和4年の福岡市人口の社会移動の状況、社会変動について、福岡市から九州の他県、福岡都市圏、その他の福岡県内、東京圏などへの地域別転入と転出の人口の移動を示したものであります。福岡市と各地域の間で盛んに人が行き来していることが分かりますが、答弁によると、転入の約7割が若者、そして転出の約7割が働き盛りとなった、いわゆる若者、このような流れが多いというふうに思っております。このように福岡市に関わりを持った人たちが、いわゆる関係人口として今後も福岡市の力になっていただくことも、これからの時代には重要であると思います。
 意外だったのが、東京圏への転出超過に加えて、福岡都市圏への転出超過です。特に福岡都市圏からの転入が1万2,534人に対し、転出が1万4,266人で、転出超過が年間で1,732人となっております。福岡市の発展が福岡都市圏など近隣の都市にも波及していることを示しているとは思いますが、それ以上に土地価格の高騰などにより、福岡市内への居住を諦めて都市圏に転出している世帯も多くなっていることを私の周りで非常に多く感じております。今後、福岡市に住み続けたいと思うニーズや、これから福岡市に住んでみたいがと思う子育て世帯や若者のニーズにもしっかり応えていただきたいと思います。投影ありがとうございました。
 これからも、持続可能な社会をつくるため、また、誰一人取り残さないという理念の社会をつくっていくためには、さらなる住民福祉の増進と次代を担う若者を大切に育てていくことが重要であります。
 最後に、若者が活躍し、市民の福祉の増進が図られる都市づくりについて、福岡市は今後どのように取り組んでいかれるのか、髙島市長の所見をお伺いし、私の質問を終わります。
 
○議長(打越基安) 髙島市長。
○市長(髙島宗一郎) 福岡市では現在の第9次基本計画において、福岡都市圏全体として発展し、広域的な役割を担うことを都市経営の基本戦略に掲げ、福岡都市圏や九州の各都市と連携をしながら、文化、教育、経済、情報など様々な面でより充実した環境づくりを進めています。
 九州や日本全体の人口が減少していく中にあっても、広域的に活力を生み出し、持続可能な社会をつくっていくためには、スタートアップ支援をはじめ、高付加価値なビジネスの集積や文化芸術の振興などにより、若者をはじめ、多様な人材が様々な分野で自己実現できる場をつくり、福岡を大きな夢がかなうまちにしていくことが重要であると考えております。
 今後とも、若者が将来に向かって希望を持ち、誰もが心豊かに暮らせる、人と環境と都市活力が高い次元で調和したアジアのリーダー都市の実現を目指してしっかりと取り組んでまいります。以上です。

 

議員紹介

  1. つつみ 健太郎

    西 区

    つつみ 健太郎
  2. たばる 香代子

    中央区

    たばる 香代子
  3. たのかしら 知行

    博多区

    たのかしら 知行
  4. 石本 優子

    早良区

    石本 優子
  5. かつやま 信吾

    東 区

    かつやま 信吾
  6. 古川 きよふみ

    博多区

    古川 きよふみ
  7. 高木 勝利

    早良区

    高木 勝利
  8. しのはら 達也

    城南区

    しのはら 達也
  9. 尾花 康広

    東 区

    尾花 康広
  10. 松野 たかし

    南 区

    松野 たかし
  11. 山口 つよし

    東 区

    山口 つよし
  12. 大石 しゅうじ

    南 区

    大石 しゅうじ
PAGE TOP