▼令和6年 第3回定例会 田原 香代子 一般質問 (令和6年6月13日)

○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子)登壇 皆様おはようございます。私は公明党福岡市議団を代表して、児童生徒並びに教師も守るための性暴力防止マニュアルについて、カスタマーハラスメント対策について、市立高校のさらなる魅力向上について、以上3点質問いたします。
 まず、児童生徒並びに教師も守るための性暴力防止マニュアルについてです。
 昨今、報道などで子ども、若者層への性暴力、性被害のニュースを耳にする機会が残念ながら増えています。私どものところにも小学校の先生から相談が寄せられました。「自分のクラスの中で性被害、加害が起きてしまった。初めてのことでどのように対応すればよいか分からず、周りの先生に相談するも、忙しい現場の中で、一人で被害児童、加害児童の対応、保護者対応も手探りで行った。このような問題が起こったときにどうすればよいか、手引などがあれば、もっと児童に寄り添った対応ができたのではないかと後悔している」とのお話でした。児童同士で性加害、性被害が起きているとの現状を踏まえ、子どもたちを取り巻く性暴力の状況について、また、学校内で性暴力が起こってしまった場合の対応について伺ってまいります。
 本市における中学生以下の性犯罪の被害状況について、直近の令和5年及び令和元年の刑法犯認知件数をその内訳も含めてお示しください。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 中学生以下の性犯罪被害の刑法犯認知件数につきましては、福岡県警察によりますと、令和5年が32件で、うち中学生が20件、小学生以下が12件、元年が27件で、うち中学生が14件、小学生以下が13件とのことでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 性犯罪として認知された件数も本市で増えている状況です。また、内閣府男女共同参画局から発表された子ども・若者の性被害に関する状況等についての調査によると、ゼロから12歳の性暴力被害が平成30年から令和4年時には1.4倍に増加しています。
 同局のホームページに、本人が望まない性的な行為は全て性暴力に当たりますと記載があります。性暴力は、性交渉だけではなく、プライベートゾーンへの接触、盗撮、SNSでの性的な発信など全ての性的な行為が含まれます。調査の数値は性交渉を伴う犯罪が増加しているという結果でしたが、さきに述べた様々な性暴力があることを鑑みると、その被害も多くなっているのではと考えます。相談にあったような学校内での性暴力が起きた場合、配慮すべき点も多くなり、対応する教職員も苦慮されるのではないでしょうか。
 そこで、小中学校で児童生徒やその保護者から、ほかの児童生徒から性暴力の被害を受けたとの相談が寄せられた場合、どのような対応を行っているのか、教えてください。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 文部科学省が生徒指導提要を作成しておりますが、その中には性的被害者への対応として、被害児童生徒に二次的な問題が生じないよう最大限に配慮することや関係機関との連携が大切であることなどが示されております。
 学校においては、これに基づき被害児童生徒や保護者の意向を尊重しながら、事実関係をできるだけ正確に把握し、必要に応じて関係機関や医療機関などとも連携して組織的に対応するようにいたしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 被害児童生徒への対応を最大限配慮しながら行っていただいているとのことです。
 性暴力に関する事案が起こった場合、教育委員会まで報告が上がる体制になっていますでしょうか。体制がある場合は確実に報告が行われていますでしょうか。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 各学校に対しましては、事案が発生した場合には速やかに教育委員会に報告するように通知しておりまして、適切に学校からの報告がなされるようにいたしております。また、各学校から報告される事案の内容は様々でありますため、これまでの対応事例や法的判断などを基に適切な対応について検討し、必要な指導、助言を行っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 性暴力が起き、教育委員会に相談があると、学校側に指導、助言を行っていただいています。学校側が速やかに報告することで、対応についてもスムーズにいく体制になるということです。児童生徒への対応だけではなく、保護者対応も必要であることを考えると、しっかりと教育委員会と連携を取る必要性を感じます。
 それでは、性暴力を受けた被害者に対し、どのようなフォロー体制があるのか、教えてください。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 被害児童生徒に対しましては、要望に応じて教育委員会が派遣したスクールカウンセラーが一定期間継続してカウンセリングを行い、心のケアや安心できる環境づくりを行っております。また、福祉的な支援などが必要な場合には、スクールソーシャルワーカーなどを通じて関係機関や医療機関と連携し、対応に当たっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 性被害などの恐怖体験をまともに受け止めると心が崩壊しかねないため、心の防衛本能として、痛みや感情を感じなかった、妙に自分が冷静だと感じたなど、感情の麻痺が起こることもあります。様々な角度からの支援をお願いいたします。
 では、小中学校における性暴力の事案で加害者が児童生徒だった場合、どのような対応、指導を行っているのか、教えてください。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 各学校では、加害児童生徒に対して事案に至った状況や心理を丁寧に聞き取りまして、必要に応じてカウンセリングを継続して行うなど、当該児童生徒の状態に応じた指導、支援を行っております。また、児童生徒の状況によっては、より専門的で適切な指導が必要となるため、専門機関や医療機関と連携して対応することといたしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 加害児童生徒の対応は、二度と同じことを起こさないよう適切な指導や、また、加害を起こすに至った背景への配慮が求められます。家庭での対応も含め、多くの関わりで今後の行動を見守る必要があると考えます。各連携機関との密な協力で加害児童生徒が今後の人生を歩めるよう対応をお願いいたします。
 性被害、加害が起きた場合の対応について様々伺ってきましたが、未然に防止することが何よりも重要です。インターネット、SNSの普及により、児童生徒の周りには性的な情報があふれ、正しい知識を持つことが大切です。
 性被害、加害を起こさないために行っている教育があれば教えてください。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 小学校では、発達段階に応じて帰宅時間や安全な遊び場、不審者対応やSNS利用などに関する安全指導を行っておりまして、中学校では、独自に作成いたしました性意識の変化やデートDV等に関する動画を活用いたしまして、中学校の卒業前に性に関する問題に巻き込まれないための知識を身につける学習を行っております。さらに、県の性暴力対策アドバイザー派遣事業を活用し、自他を尊重した人との接し方について外部講師から学ぶ機会を、小学校で2年に1回、中学校で3年に1回設けております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) さきに紹介した子ども・若者の性被害に関する状況等についての調査によると、性暴力被害の相談状況について「どこ(だれ)にも相談しなかった」との回答が52.1%と半数以上を占めています。性に関する知識がなく、性暴力と捉えていなかった場合や、羞恥心や被害に遭ったことを知られたくないといった心情から誰にも相談できない場合が多く、被害が潜在化しやすいとされています。
 児童生徒が性被害を受けた場合の相談窓口など学校から周知はされていますでしょうか。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 児童生徒が相談しやすいように、ふだん活用している1人1台端末上に福岡市こども総合相談センターの相談電話や女の子相談電話をはじめ、ハートケアふくおか、24時間子供SOSダイヤルなどの相談窓口一覧が表示されるようにするとともに、スマートフォンを用いたこどもSNS相談や1人1台端末を用いたこどもタブレット相談など、相談員と直接やり取りができる体制も整えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) ぜひ、誰にも言えず悩む児童生徒を一人でも救えるよう、多様な媒体でのSOSの酌み取りをお願いいたします。
 ここまで学校での対応について伺ってまいりましたが、非常にデリケートな問題で、何より被害を受けた児童生徒に対し適切な対応を、また、加害児童生徒の更生のためにも、初期対応や保護者対応、児童生徒へのフォロー、指導、また、学級への指導などが重要であると認識いたしました。
 相談される最初の窓口となるであろう教職員は、かなり責任の重い役割であることが分かります。また、教職員自身も共感的に話を聞くことなどで傷つき、二次受傷につながるおそれもあります。特殊でデリケートな問題であるからこそ、初期対応や事例に応じた対応を示すことで教職員が児童生徒と向き合うことができると考えます。
 参考とするマニュアルや対応事例集などは用意されていますでしょうか。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 文部科学省が作成いたしました生徒指導提要や、福岡県が教員向けに作成しております研修資料などがございまして、各学校ではそれらを参考にして対応いたしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 生徒指導提要を拝見しましたが、被害者への聞き取り対応などの記載はあるものの、詳しい対応事例や連絡体制の詳細があれば、さらに教職員にとって対応がしやすいのではないかと考えます。
 先日、大阪府堺市へ伺い、性暴力防止ガイドラインという性暴力を許さないためにつくられた教職員向けのマニュアルについて視察いたしました。堺市は2013年12月、セーフシティーズ・グローバル・イニシアティブ、女性と女児への暴力のないセーフシティ世界計画に先進国として2番目、国内では最初に参加を表明し、全ての女性や子どもにとって安全、安心なまちを目指し、堺セーフシティ・プログラムの取組を開始。教育委員会としても、子どもたちが性暴力の被害者にも加害者にもならない、当事者意識の啓発のため、様々な対策を講じてきました。ですが、子どもの性をめぐる状況は厳しさを増すばかりであり、性暴力に関する報告相談件数は発生件数に比べ、氷山の一角である、性暴力被害に遭っている子どもたちは想像以上に多いことが考えられ、また、性被害に遭った子どもたちが誰にも相談できず、表面化しないことを想定し、平成29年から3年間かけて、教職員全員が性暴力被害への要望と対応研修を受講、性暴力に対応するガイドラインもその間作成しました。
 資料1の投影をお願いいたします。(資料投影)こちらは、この性暴力ガイドラインの表紙でございます。冊子としてはこちらの冊子でございます。(資料表示)教育委員会、性被害、加害を多く取り扱ってきた弁護士、大学教授などが一体となり、ただ置いておくだけのマニュアルにはしたくないとの強い決意で、タイトルをマニュアルなどは入れず「性暴力を許さないために~わたしたちができること~」とし、表紙には教職員が性暴力に立ち向かうための10か条を掲載しています。少し小さいですが、性暴力はめったに起こらないことではない、被害者の責任ではない、なかったことにしないなどの強いメッセージ、また、5つ目の記載には、支援者は一人で抱え込まないと、教職員が協力し、性暴力に立ち向かう指針が示されています。
 資料2の投影をお願いいたします。(資料投影)性暴力とは何かから説かれ、表紙の10か条が詳しく解説された後、教職員も子どもたちを性暴力から守る決意を強く固めなくてはならないと日々のチェックリストが掲載されています。特定の子どもと連絡を取っていないか、子どもに不必要な身体接触をしていないかなど、日々の行動を振り返るチェックリストとなっています。
 資料3の投影をお願いいたします。(資料投影)被害生徒に対する対応についての詳細でございます。性暴力が起きてしまった際、まずは話をよく聞くことと話を聞く姿勢について、どこまでも寄り添う態度で聞く、しつこく尋ねない、内容を言い換えて確認しない、あなたは悪くないというメッセージが伝わるように聞くなど、対応も細かく記載されています。初期対応、聞き取る教員の体制や聞き取り場所も示されています。
 資料4の投影をお願いいたします。(資料投影)さらに詳細に、低学年であった場合や被害者が男子の場合の記載、また、絶対にあってはならない教職員からの二次被害として、拒否反応、否認、非難する姿勢がないよう示されています。対応する側も動揺することが考えられる性暴力対応ですが、対応例も掲載し、教職員が何をすべきかが明確に示されています。
 資料5の投影をお願いいたします。(資料投影)性加害児童生徒への対応も記載されています。性暴力が犯罪となる行為を含め重大な人権侵害であることを分かりやすく伝える。被害者の話も聞いておき、加害者のうそやごまかしを見抜くなど、聞き取りに当たっての対応も詳しく説かれていました。投影ありがとうございました。
 さきにお話しした小学校の先生は、被害児童に聞き取りを行った際、状況把握のため、どういう状況だったのか、どんなことをされたのか、同じことを何度も繰り返し聞いてしまったことに気づき、つらかったであろう性暴力の話を何度もさせたことが被害児童にとって負担をかけることになったのではないか、また、加害児童にももっと対応できることがあったのではないかと悔やみ、自分自身を強く責めていらっしゃいました。どうかこのような被害、加害が起きてしまった場合の対応についてマニュアルや連絡体制を確立してほしい、二度と自分のような後悔を持つ先生を生まないために、何より児童のその後を導けるようにと涙されながら訴えられました。
 今回の御相談を受け、政令市に性暴力に関する教職員向けのマニュアルがないか確認したところ、校内で性被害、加害が起こったことを想定し、詳しくつくり込まれた堺市のマニュアルの存在を知り、視察に伺いました。このようなマニュアルがあれば、性暴力という対応の難しい事案に対しても、先生方が明確な初期対応ができると思いました。今回御相談された先生のこの思いを無駄にしてはならない、また、本市の児童生徒が先生の願いどおり、性被害、加害者にならないための対策が必要であると痛感いたしました。
 福岡市においても、被害児童生徒を守るためにも、加害児童生徒が同じ過ちを繰り返さないためにも、一報を受けた教職員が誰に相談し、どのように対応すればよいのかが分かるマニュアルなどが必要であると考えますが、いかがでしょうか。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 性暴力に関する事案の基本となる初動対応や連携すべき関係機関について、教職員向けの研修等で活用できるようなリーフレットの作成を検討いたしてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) リーフレットの作成をいただけるとのことで、教職員の皆様の一助となるようどうぞよろしくお願いいたします。
 ぜひ力強く、本市でも性被害、加害を起こさないために、児童生徒を守ることができる、教職員を導くことができるマニュアル作成まで進めていただきますよう要望いたします。
 本市の教職員の皆様をはじめ、教育に関わる多くの方が性暴力を許さないとの強い意志を持ち、児童生徒と関わっていると思いますが、指針となるものがあることで、さらに一体となり、性暴力の未然防止、また、性被害、加害が起きてしまったときの二次被害防止につながると信じます。
 様々お尋ねしてまいりましたが、教育長の御所見を伺い、この質問を終わります。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 性暴力は被害者の尊厳を著しく踏みにじる行為であり、その心身に長期にわたる重大な悪影響を及ぼします。そのため、今後も様々な機会を捉え、発達段階に応じた性暴力未然防止の学習を進めるとともに、性被害、加害が生じてしまった場合には当事者の心に寄り添いながら、学校、教育委員会、関係機関等が連携し、個々の状況に応じた適切な対応に努めてまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 続いて、カスタマーハラスメント対策についてです。
 顧客が従業員に対して不当な要求を突きつけるカスタマーハラスメント、いわゆるカスハラが社会的な問題になっています。最近の報道でも大きく取り上げられ、企業が従業員を守る対策の重要性が訴えられています。
 こうしたカスハラの被害は民間企業にとどまらず、自治体など行政の窓口でも増えていると言われており、全日本自治団体労働組合が令和3年8月に発表した調査結果では、過去3年間にカスハラを受けた経験があるとの回答が全体の4分の3に上りました。内容としては、暴言や説教が64%、長時間のクレームや居座り、大声、罵声、脅迫や土下座の強要と続きます。
 本市の職員の皆様も真摯に市民からの相談に寄り添い、対応に努めていただいていると思いますが、一部の不当な要求によって体調や精神に異変を来し、さらには休職などに追い込まれてしまうことがあれば大変残念であり、また、生産性の低下、ひいては市民へのサービスへの影響も懸念されます。
 そこで、本市におけるカスハラ対策などの状況について伺ってまいります。
 まず、カスタマーハラスメントとは何か、お示しください。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) いわゆるカスタマーハラスメントについては、国のカスタマーハラスメント対策企業マニュアルによれば、顧客等からのクレーム、言動のうち、当該クレーム、言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段、態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段、態様により、労働者の就業環境が害されるものとされております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) では、カスタマーハラスメントを受ける可能性もある市民と直接関わる主な窓口を教えてください。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 多くの市民の方が利用する主な窓口については、区役所の市民課、保険年金課、課税課、福祉・介護保険課、子育て支援課などがございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 福祉、介護など生活に直結する悩みやお困り事を伺う相談窓口では様々な対応が想定されます。
 では、本年4月から職員の名札が名字表記となっていますが、その狙いと目的について教えてください。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市情報公開条例においては、職務の遂行に係る職員の職、氏名は原則として公開すべきものと定められております。一方で、窓口での接遇においては、フルネームを名札に明示しておく必要性は高くないと考えられることから、悪質なクレームなどが発生した場合の職員のプライバシー保護も考慮して、令和6年4月から名字のみの表記に変更したものでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 民間企業でも名札をイニシャル表記に、他自治体でも名字表記に変更し、SNSでの個人特定やネットでの拡散防止を図っているとのことでしたが、職員の安心、安全な職場環境づくりのためにも非常に大切な取組だと考えます。
 一方で、窓口や電話口などで問題が解決しない、誤解が生じてしまった場合など、内容を繰り返し訴えることなどもあるかもしれません。その際はじっくりとお話を傾聴し、真の要望を伺った上で解決策を提示していく必要があります。そのような正当な苦情、相談の場合と、いわゆる不当な、迷惑な行為の判断は非常に重要です。そのためにも、窓口でカスタマーハラスメントに適切に対応するためには、まずは接客などに関する十分な知識や心構えが必要であると考えます。
 職員向けの接客などの研修は行っていますでしょうか。実施回数、実施内容を教えてください。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 職員の研修については、毎年、新規採用職員を対象として基本的接遇マナーや市民対応の心構えに関する研修を行っております。令和5年度は4月採用者と8月採用者にそれぞれ1回実施し、計316名が受講いたしました。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 基本的接遇マナーに沿って対応したとしても、窓口で大声を出されたりすることもあると思います。
 本市において、職員に対する暴言、威圧的な態度、居座りなどカスタマーハラスメントについての相談が上がっているのか教えてください。上がっている場合は、直近の相談件数と具体的な例を教えてください。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 職員からの相談については、市民からの要求の内容や手段が社会通念に照らして著しく不相当であるなど各所属が対応に苦慮しているものについて、総務企画局の公正職務推進室で相談を受けております。直近の相談件数については、令和5年度が66件となっており、具体的な相談内容としては、窓口で要求を通そうと大声を出す、説明の行き違いについて謝罪をしても執拗な謝罪要求が繰り返されるなどとなっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 公正職務推進室まで相談が上がる対応に苦慮しているもの以外にも、窓口や電話などで様々なお話を伺う中、部署内で解決していただいている事案も多いと考えます。
 そのようなときに活用できる、職員に向けたカスタマーハラスメント対応のマニュアルや対応事例集などはありますでしょうか。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 職員向けのマニュアル等については、不当な要求に対する被害を防止するための対応マニュアルや、窓口等で起こる様々な状況への対処方法について記載した対応事例集などを活用しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 職員向けのマニュアルも作成されているとのことで、拝見いたしました。対応の事例なども記載され、活用しやすい内容となっています。平成30年に作成された内容でしたので、コロナ禍を経て、求められる要望や対応の変化もあったことを考えると、更新なども含め検討いただければと思います。
 では、カスタマーハラスメント対応に関する研修は行っていますでしょうか。実施回数、実施内容を教えてください。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 職員の研修については、一般職員向けにグループディスカッションやロールプレイングを通じて窓口におけるクレーム対応の基本的な内容を学ぶ研修を実施しており、令和5年度は4回実施し、139名が受講いたしました。また、管理監督者向けに組織的なクレーム対応における課長や係長の役割を学ぶ研修を実施しており、令和5年度は3回実施し、190名が受講いたしました。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 窓口業務であれば複数での対応なども可能ですが、出張業務、ケースワークに従事する職員の方は一人で対応する場合もあると思います。厳しい口調でのお話や執拗な要求などを繰り返された場合、その恐怖やストレスは非常に大きな負荷であると考えます。
 職員向けに職場環境や心身の状態に関するアンケートは実施されていますでしょうか。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 職員へのアンケートについては、メンタルヘルス不調を未然に防止するため、労働安全衛生法に基づき、年に1回ストレスチェックを実施しております。また、組織の活性化や人材育成等の施策に活用するため、職場環境や健康管理などに関する職員意識調査を年に1回実施しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 最近の報道でもカスハラの実態を目にします。タクシーなどの密室で運転手の方へのいわれなき暴言、旅館など観光サービス業での威圧的な口調による無理な要求や土下座の強要、コールセンターなどでの長時間の拘束や個人への誹謗中傷、映像を見るだけでも胸が詰まりそうな内容で、カスハラを受けた当事者の心労は計り知れません。
 そのような精神的負担は非常に大きく、厚生労働省から昨年9月1日、精神障がいを労災認定する心理的負荷の基準にカスハラを受けたという事例も追加されました。在宅医療介護現場でのカスハラも深刻です。従事者の4割が利用者やその家族から身体的、精神的暴力やセクシュアルハラスメントを受けたことがあり、このうちの4割が、病気になった、休職した、退職したことが明らかに。福岡県は6月7日から福岡県在宅医療・介護職員カスハラ相談センターを開設しました。私も、3時間以上対応が続いた、ケースワークに従事する若手職員へ無理な要求を行うなど、必死で対応いただくお話を伺う機会がありました。市民なのだから当然の権利であるとの思いから、自覚なくカスハラを行うケースもあるのではないかと考えます。
 市民に向けた市職員に対するカスタマーハラスメント防止の啓発などは行っていますでしょうか。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 市民への啓発等については、多種多様な事情を抱える市民からの相談を真摯に受け止めた上で、個別の事案に応じて適切に対応していく必要があることから、現在、啓発等は行っておりません。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 先日、札幌市へカスタマーハラスメント対策について伺ってまいりました。
 令和4年、カスタマーハラスメントの問題が取り上げられる中、市民の声を聞く広聴課職員にアンケートを取った結果、職員のほとんどがカスハラを受けたことがあると回答。職員の働く環境改善のためにも対策が必要だと考え、市民へその行為がカスタマーハラスメントではないかと訴えるポスターを作成、広聴課の窓口に設置しました。
 資料6の投影をお願いいたします。(資料投影)こちらがそのポスターとなっております。内容は、自覚なくカスハラしているかも、こんなことしていませんかと自身の行動を振り返るものとなっています。
 資料7の投影をお願いいたします。(資料投影)上のほうだけ映したものとなります。言ってやらなきゃとの思いから暴言に至ることや、おしゃべり好きなだけで時間を拘束してしまうこと。
 資料8の投影をお願いいたします。(資料投影)このくらい当然でしょとの思いから過度な要求をしてしまったり、世の中に広めるべきとの考えからSNSへの投稿に発展するなど、カスハラに当たる行動を自分が行っていないかと訴えかけるものとなっています。
 資料9の投影をお願いいたします。(資料投影)先ほどのポスターでございます。市民の方もポスターを見て、これは自分かもとこれまでの行動を振り返り、職員への言動や対応に変化があったとのことでした。また、市民に奉仕する立場である市役所からカスハラ対策を行うことで、どのような反応があるのかと危惧していたそうですが、職員だからどんな暴言にも耐えなければならないということはない、市役所として不当な要求に対応する必要はないなど応援の声が多く届き、現在、カスハラを扱うテレビ番組などでも自治体のカスハラ対応事例として札幌市が取り上げられることも多くなっています。投影ありがとうございました。
 カスハラが職員に与える精神的な影響や多大な時間の消耗も懸念される中、さらなる対策を講じることで職員の健康や職場環境を守ることにつながると考えます。
札幌市のような市民の皆様とともに考えるカスタマーハラスメント対策が必要だと感じますが、いかがでしょうか。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 悪質なクレームなどの迷惑行為については、業務への支障や市民サービスの低下を招くとともに、職員の健康や職場環境を害するおそれがあるものと認識しており、公正に職務を執行し、職場環境を守るための効果的な手法について、議員の御指摘も踏まえ、引き続き検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) ぜひ対応をお願いいたします。
 カスハラに対する国の動きも様々ある中、我が党もカスハラ対策検討委員会を立ち上げ、官房長官に対し、対策の推進について提言。公務員に対するカスタマーハラスメントも深刻であるとし、対策の強化を訴えました。
 本来、行政窓口では市民の声を十分に傾聴し、その内容から相手の真の要求を探り、解決策を導く役割があると考えます。ですが、誠実な対応を逆手に取り、何を言ってもいい、公務員だから何を言われても我慢するべきとの誤った捉え方をされる場合も一定数あるかと思います。インターネット、SNSなどで世間の常識から逸脱した行為やルール違反を見つけ出し、痛烈に批判、誹謗中傷し、相手を激しく責め立てるケースがあります。ストレス社会の中で、小さなことでも許せないとの心情や、相手を責め、自身を正当化する行為がカスハラにつながっている可能性もあります。市役所だけではなく、第3次産業が発展する本市では、販売、接客、観光業等に加え、コールセンターなど通信業に従事する市民の方も多くいます。カスハラは社会全体で取り組んでいく、また、一人一人が相手を大切に思い、同じ人間であり、上も下もない、そのような機運の醸成も必要ではないでしょうか。カスハラに対する問題が多く論じられ注目されるのも、カスハラに苦しみ悩む人がいるからであることを受け止め、対策を講じるべきであると考えます。
 全国的にカスタマーハラスメントに関する条例の制定を検討する自治体も増えてきました。市民のために働きたいと、夢と希望を持ち職員となった貴重な人材を守ることが市民の皆様のサービス向上に資すると考えます。一生懸命に市民に従事する職員の皆さんがこれからも安心して働ける環境づくりが大切です。市職員へのカスタマーハラスメント対策にどのように取り組まれるのか、市長の御所見を伺い、この質問を終わります。
 
○議長(打越基安) 髙島市長。
○市長(髙島宗一郎) いわゆるカスタマーハラスメントにつきましては、適正な業務の執行に支障を生じさせ、結果として市民サービスの低下を招くおそれもあることから、その対策は重要であると考えてございます。福岡市においては、悪質なクレームなどを含む様々な市民からの相談に適切に対応するための研修や、また、個別の案件への組織的対応に取り組んできたところでございます。今後とも、職員が安心して働くことができる環境を整え、市民の皆様から信頼される市政運営を実現するため、引き続き必要な対応に取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 最後に、市立高校のさらなる魅力向上について伺います。
 本市の高等学校において、男子校、女子校の共学化など高校を取り巻く環境が大きく変化しています。本市も4校の市立高校を運営していますが、専門学科を有する市立高校の在り方を検討するなど、変化を踏まえた対応が必要な時期であると考えます。
 全国の高校を取り巻く環境の変化、生徒数などの状況の変化について教えてください。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 令和3年1月の中央教育審議会答申では、少子化の進行によって、高等学校としての教育的機能の維持が困難となっている地域、学校も生じているなど、社会経済のありようを踏まえた高等学校の在り方の検討が必要とされてございます。全国の高等学校の生徒数は、平成12年の417万人が令和2年には309万人となってございまして、この20年間で約100万人の減少、学校数も5,478校から4,874校に減少いたしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) では、福岡県及び福岡地区の生徒数などの変化について教えてください。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 福岡県の高等学校の生徒数は、平成12年の約17万人が令和2年には約12万人に減少しているため、生徒数が減少した学区で県立高校の統廃合が行われておりまして、県内の学校数の合計も186校から164校に減少いたしております。一方、福岡地区における高等学校の生徒数は、国や福岡県全体の動向とは異なり、これまで増加傾向にございまして、学校数も減少しておりません。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 福岡地区の高校生は、いまだ増加傾向にあるとのことです。将来的には少子化の進展により生徒数は減少することになると思いますが、現在の小中学校の児童生徒数の状況から見ると、2030年代半ばまでは微増傾向にあるのではないかと考えます。
 では、令和5年度に専門学科を有する市立高校のあり方に関する有識者会議が設置されましたが、設置の目的について教えてください。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 福岡女子高校及び博多工業高校においては、志願倍率の低下や、社会経済情勢の変化に伴い求められる人材像が変化していることなどから、生徒及び産業界のニーズに迅速かつ的確に対応するため、育成する人材、設置学科、教育内容及び制度等の在り方について検討することを目的として有識者会議を設置したものでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) では、その会議で有識者からはどのような意見が出されたのでしょうか。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 福岡女子高校については、ジェンダー平等の社会変化の中で共学化が必要である、生徒が入学後に学びを選択できるよう総合学科への改編が求められるなどの御意見をいただいております。また、博多工業高校については、入学後に専門的な学びを選択できるような学科構成が望ましい、データサイエンスやAIなどの分野は技術者不足が顕著で、今後の伸長が予想されるが、高校3年間の学びだけでは不十分な面が否めず、3年間に限らない教育課程について詳細に検討すべきなどの御意見を頂戴いたしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 福岡女子高校は共学化と総合学科への改編について、博多工業高校は学科改編と3年間に限らない学びについて、有識者から出された様々な意見を受け、教育委員会では今年度、具体的な検討を開始されることと思いますが、ぜひ魅力ある学校となるよう、学校やOB、OGの皆様と協議を進めていただきますよう要望いたします。
 福岡女子高校と博多工業高校の取組内容については分かりましたが、市立高校は4校ございます。あとの2校、福翔高校と福岡西陵高校の現状はどうなっているのか。
 まず、令和5年度及び6年度入学生の一般入試志願倍率について、両校と県立高校の平均を教えてください。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 令和5年度の一般入試志願倍率は、福翔高校が1.32倍、福岡西陵高校が1.04倍、県立高校平均が1.14倍、令和6年度の志願倍率は福翔高校が1.53倍、福岡西陵高校が1.15倍、県立高校平均が1.13倍となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 県立高校の志願倍率が減少する中、両校の志願倍率は上昇しており、学校のこれまでの取組が評価されているのではないかと思います。福翔高校と福岡西陵高校の進学実績についてお尋ねします。
 進学を希望する生徒が多い西南学院大学及び福岡大学について、両校の令和5年度合格者数の実数を教えてください。また、3年前の実績と比較した場合の増減を教えてください。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) まず、福翔高校につきましては、令和5年度の大学合格者の実数としまして、西南学院大学が46名、福岡大学が99名となっておりまして、3年前の令和2年度の実績と比較いたしますと、西南学院大学が13名の増加、福岡大学が37名の増加となっております。福岡西陵高校につきましては、西南学院大学が71名、福岡大学が109名の合格となっておりまして、3年前の令和2年度と比較いたしますと、西南学院大学が22名の増加、福岡大学が11名の増加となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 着実に進学実績を上げてきている成果だと思います。
 では、福翔高校ではどのような特色ある取組が行われているのか、教えてください。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 福翔高校ではSDGs実現に向けて、生徒自ら課題を見つけ、グループで課題解決につなげていくSDGsチャレンジプログラムを九州大学と連携し、実施しております。また、生徒が模擬的に会社を設立し、活動することにより会社の仕組みを学ぶことができるスチューデント・カンパニー・プログラムを実施いたしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 次に、福岡西陵高校の特色ある取組について教えてください。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 福岡西陵高校では、国際、ICT、探究活動を中心とし、学校の活性化につながる取組を実践いたしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 先日、福岡西陵高校へ視察に伺いました。御答弁にありました探究活動について、株式会社マイナビ主催のマイナビキャリア甲子園に出場されたメンバーによるプレゼンを拝見させていただきました。企業、団体が出題するテーマに対し、課題解決に挑むビジネスコンテストに挑戦したメンバーは、名立たる全国の高校2,736チームが集う中、決勝12チームには届かなかったものの、準決勝まで勝ち残る大健闘。コンテストの内容も、企業出題の12テーマの中から「セコムグループのサービスを変革して、若い世代の“ほっと”を生み出す、あなたの新しい推しサービスを提案せよ」というテーマを選び、生徒たちは若者の居場所をアプリ上の仮想教室につくり、誹謗中傷がない安全、安心な空間を提供することをオンラインセキュリティーシステムが得意なセコムに提案。また、参加企業がどのような利益を得られるかまで分析したプレゼン内容に、思考、分析、かつプレゼンに仕上げるまでの自身の意見を伝える能力、チームが一丸となるコミュニケーション力も養われたことを感じる質の高い取組であると実感しました。
 この取組に至った経緯、取組の効果について教えてください。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 福岡西陵高校では、総合的な探究の時間などで社会課題を解決していく学習活動を行っておりまして、企業との意見交換や情報収集、データ分析など、少人数で生徒たちが協働しながら学習しております。こうした中、生徒たち自身がより高いレベルでの挑戦を希望したため、マイナビキャリア甲子園に出場することとし、外部講師を招聘するなど学校独自のプログラムに沿った指導を行ってまいりました。効果といたしましては、生徒が主体的に授業に取り組む姿勢が見られるとともに、問題発見力やチャレンジ精神など、社会で必要とされる資質が育成されたと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 視察では、海外留学へ参加した生徒のプレゼンも聞かせていただきました。語学を学び、自分のものにしたいとの学習意欲の高さはもちろんのこと、その学びを周りに還元するとの意識に感服いたしました。また、これからの留学に旅立つ生徒のプレゼンも拝聴。語学だけではなく、ロサンゼルスで芸術を学びたい、カナダの医療現場を学びたいとの思いに、海外へ飛び立つ人材育成にも力が入っていることを強く感じました。
 このような海外への留学を目指す生徒へ向けた学校の狙いや取組について教えてください。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 福岡西陵高校では、語学力向上とともに異文化理解を深め、国際性を育むことを目的に、韓国などの海外姉妹校との交流やオーストラリアへの短期語学研修、生徒の希望に応じてプレゼンやディスカッション能力向上のための指導を行っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 両校で様々な取組が行われていることが分かりました。
 では、福翔高校及び福岡西陵高校の魅力化をどのように図っていくのか、今後の取組について教えてください。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) これからの高等学校においては、生徒の主体的な学習意欲を喚起し、可能性と能力を最大限に伸長するための学校の特色化、魅力化が求められておりまして、ICTを活用した文理横断的、探究的な学びや国際交流などの特色ある取組を強化し、両校の一層の魅力化を図ってまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) ぜひよろしくお願いいたします。
 先日、14校の市立高校を運営する名古屋市に視察に伺いました。市立高校生へ向けた短期留学制度にも取り組み、工業高校生はドイツの自動車工場で学びの場を提供するなど、生徒の興味関心に合わせた留学先を9か所準備し、市立高校生は2万5,000円という破格の費用で、また、家庭の所得状況によっては無償で2週間程度の留学に行くことができる体制を整えています。
 英語力向上の取組として、14校ある市立高校から英検2級以上の生徒さんが集まり、高校を超えて交流しながら、講師による英語での授業を受ける取組を行っています。英語で会話を行い、英語力だけではなく思考力を鍛えるプログラムとなっているとのこと。多くの市立高校を抱える名古屋市ならではの取組ではありますが、連携や交流が活発に行われていることを実感しました。また、多くの専門学科を市立高校に設置しているほか、昼間定時制高校も開校。無学年、無学級制で多様な学びを支えているとのことでした。
 本市でも様々な取組を行っていますが、市立高校生向けの留学プログラムなど多様な学びの場を提供することで、さらに選ばれる高校へと発展すると考えますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 市立高校においては、海外姉妹校等との交流やオンラインを活用した留学体験、仮想会社の経営シミュレーションなどの教育プログラムの活用、独自開発した圧縮空気エンジンを搭載した自転車でのギネス挑戦など多様な学びを提供いたしておりまして、今後も生徒の様々なニーズに対応する特色ある取組を充実させてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 盛岡市の唯一の市立高校である盛岡市立高校へも視察に伺いました。将来、公務員を目指す高校生向けに市役所へのインターン施策を実施。市役所組織図から生徒が自分の興味のある部署を選び、事前学習を行った上で参加します。インターンの中で公務員になるために何が必要かを学習し、その後、大学などへ進学し、学びを深めることができ、行政と連携した取組ができる市立高校の強みを生かしたキャリア学習を行っているとのことでした。また、教員を目指す生徒のために、岩手県立大学と連携し、大学生の教育実習期間に一緒に市内の小中学校へ実習として参加。教育現場を体験し、また、教員を志す年の近い先輩と接し、学ぶことで、教職への志望意欲も増しているとのことでした。
 本市でも市立高校ならではの強みを生かした行政との連携による取組を実施すべきと考えますが、現在の取組内容をお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 行政と連携した取組といたしまして、市立高校の生徒による市関係機関へのインターンシップや、油山の間伐材を活用した木工品の制作、能古島の廃棄される甘夏を再利用した商品開発など、農林水産局や西区役所などと連携して課題解決型の学習を行っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 本市でも行政と連携した取組を行っているとのことです。市立高校の強みを最大に生かした、市立高校生とならなければできない体験は貴重です。
 盛岡市は、市立高校の存在意義を第三次市立高等学校教育改革の方針と取組に記載。教育活動として、盛岡市内の官民と連携して学ぶことができる、盛岡市の人材、施設、設備を活用して学ぶことができる、盛岡市の魅力や将来について学ぶことができると掲げ、卒業後、盛岡市への貢献や魅力発信を含めた進路を実現できる人材育成を目指していました。市税を投入し、人材を育成する意義を教職員の間でも意識し、盛岡市にとどまることだけが貢献ではなく、盛岡市が育てた人材として他都市や世界で活躍するよう教育することを目標にしていました。このような教育の指針も重要であると感じます。
 さきにお話しした西陵高校の視察では3学年の全授業に伺わせていただきましたが、本市の教職員の皆様も授業に工夫を凝らし、生徒が生き生きと授業を受けている姿が印象的でした。タブレットを活用し、ゲーム感覚を取り入れた授業では活気ある生徒の声が飛び交い、また、話合いをしてみようとの先生の声かけで、すぐに生徒たちから闊達な意見が出るなど生徒主体の授業が展開されていました。このような取組や市立高校の校風がさらに広まり、市立高校で学びたいと思う生徒が増えることが重要であると考えます。
 ぜひ各学校の取組を広く周知し、市立高校の強みとしてアピールしてはいかがでしょうか。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 市立高校においては、オープンスクール等で生徒自らが自校の魅力を中学3年生にプレゼンしたり、特色ある授業や文化祭などの行事をSNSに配信したり、各学校の取組をアピールしております。また、4校合同のリーフレットや市ホームページなどを活用した広報活動など、引き続き各学校の取組を周知してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) ぜひ多くの中学生や保護者に届くよう取組をお願いいたします。
 埼玉県川口市では、市の3大プロジェクトの一つとして、市全体で川口市の未来の人材を育てる学びやとして市立高校を位置づけ、約200億円をかけ校舎を改築し、新しい学びに取り組まれたとのことでした。市立高校を運営する意義として、我が市の大切な人材を世界に羽ばたく人材へと育てようとの心意気でした。
 本市でも市立高校生から多くの人材を輩出し、本市を支える人材に、また、本市から様々な方面で活躍する人材を育成することで、選ばれ続ける市立高校となるよう取組に期待します。
 最後に、市立高校のさらなる魅力向上を図るための教育環境づくりについて教育長の御所見を伺い、この質問を終わります。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) AIやIoTなどの急速な技術の進展によりまして、社会が大きく変化し、多様な課題が生じている今日においては、これまでの文系、理系といった枠にとらわれず、様々な情報を活用しながら、それらを統合し、課題の発見、解決や社会的な価値の創造に結びつけていく資質、能力の育成が求められております。そのため、市立高校においては、各学校がこれまで果たしてきた役割を踏まえつつ、国際交流の強化やICT等の環境整備、各学校の特色を生かした探究的な学びの充実など、さらなる魅力の向上に取り組んでまいります。以上でございます。

 

議員紹介

  1. つつみ 健太郎

    西 区

    つつみ 健太郎
  2. たばる 香代子

    中央区

    たばる 香代子
  3. たのかしら 知行

    博多区

    たのかしら 知行
  4. 石本 優子

    早良区

    石本 優子
  5. かつやま 信吾

    東 区

    かつやま 信吾
  6. 古川 きよふみ

    博多区

    古川 きよふみ
  7. 高木 勝利

    早良区

    高木 勝利
  8. しのはら 達也

    城南区

    しのはら 達也
  9. 尾花 康広

    東 区

    尾花 康広
  10. 松野 たかし

    南 区

    松野 たかし
  11. 山口 つよし

    東 区

    山口 つよし
  12. 大石 しゅうじ

    南 区

    大石 しゅうじ
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