▼令和6年 条例予算特別委員会 高木 勝利 総会質疑 (令和6年3月25日)

◯高木委員 公明党福岡市議団を代表して、災害対策強化とDX化、AEDの普及、活用と救命サポーターづくり、自治会、町内会の電子回覧板について、以上3項目質疑を行う。初めに、災害対策強化とDX化についてである。今年元日に発生した令和6年能登半島地震は、私たち福岡市民にとっても大変大切な教訓をもたらした。また、今月11日は東日本大震災から13年、残念ながら今なお2万9,000人が避難生活を余儀なくされ、避難所などで3,802人が災害関連死したことも現実である。災害はいつどこで発生してもおかしくない。本市の地域防災計画のさらなる拡充が不可欠である。本市は6年度新規事業として、災害時の保健医療に関わる災害時健康危機管理支援チーム、DHEATの派遣体制整備が示されている。災害時に主に被災地の保健所業務を担う役割と聞いているが、構成メンバーや業務内容、整備に至った経緯、予算額について示されたい。

△保健医療局長 構成メンバーについては、公衆衛生医師、保健師、業務調整員のほか、薬剤師、管理栄養士などを含め、1班当たり5人程度で構成されるものである。業務内容としては、被災した都道府県等の保健医療調整機能を補佐するものである。整備に至った経緯としては、東日本大震災や熊本地震において、被災した自治体の指揮調整機能が混乱したため、国において都道府県災害対策本部の下に保健医療調整本部を設置するとともに、その本部を補佐するため、専門的な研修、訓練を受けた都道府県及び指定都市の職員で構成される災害時健康危機管理支援チーム、DHEATを編成し、被災した都道府県等に派遣することが制度化されたものである。令和6年度の予算額は322万円を計上している。

◯高木委員 被災者の避難生活が長期化した場合に、高齢者や障がい者らの健康、介護状態の悪化が危惧されるが、こうした配慮が必要な人への福祉支援を行う自治体からの災害派遣福祉チーム、DWATが福祉避難所などで活動する動きも広がっている。2011年の東日本大震災で、避難所での災害関連死が相次いだ課題を踏まえ、災害関連死を食い止める役割を持つDWATについても設置を検討すべきと考えるが、所見を尋ねる。

△福祉局長 DWATについては、都道府県単位で編成することとされており、福岡県においても、社会福祉士会や介護福祉士会など、様々な団体の参画の下で設置されている。本市においても、より多くの専門職がDWATに登録されるよう、周知を図っていく。

◯高木委員 2023年5月、政府は初めて、災害ケースマネジメントについて、災害時に備えた整備を防災基本計画に明記した。自治体が弁護士、保健師、建築士、民間団体などと連携し、被災者一人一人の悩みやニーズを個別に聞き取り、生活再建を後押しするものである。被災者の中には行政窓口に行くことが難しかったり、支援制度の情報が届かなかったり、特に自力での解決が困難なケースがある。NPOフードバンク岩手の阿部事務局長は、今の被災者支援制度は、住宅に被害があった場合に建物そのものは支援するが、人には支援が行き届かず制度から漏れ落ちてしまう実態を東日本大震災以降の被災地で何度も直面してきたと語る。東日本大震災で仙台市が災害ケースマネジメントをスタート、熊本地震、西日本豪雨でも活用され、平成28年10月21日の鳥取県中部地震で震度6弱の地震があった鳥取県では、全国で初めて災害ケースマネジメントを条例に規定した。被災者一人一人が抱える課題はそれぞれ違い、その解決へ様々な制度を組み合わせたオーダーメードの支援で、被災地の弱者に寄り添う災害ケースマネジメントについて、本市ではどのように活用してきたのか。条例制定も含め、さらなる推進をすべきと考えるが、所見を尋ねる。

△市民局長 被災者の生活再建については、見守り、相談などの機会を捉え、被災者台帳等を活用したきめ細やかな支援を行うとともに、支援制度の周知に努め、必要な施策を行うこととしている。災害ケースマネジメントについては、令和5年5月に国の防災基本計画に明記されたことを受け、福岡市地域防災計画に反映させた上で、被災者一人一人の状況を把握しながら、関係者が連携して災害弱者などに寄り添った、きめ細やかな支援を継続的に実施できるよう、関係局と連携して取組を進めていく。

◯高木委員 東京都は、マンションの停電時にエレベーターやポンプを稼働できる蓄電池や非常用電源を設置し、防災マニュアルを策定しているマンションを東京とどまるマンションとして登録し、簡易トイレ、投光器、給水タンクなどの防災備蓄資器材の購入費用を助成している。また、横浜市は、よこはま防災力向上マンション認定制度をつくり、防災活動などを実施していればソフト認定、建物の対策をしていればハード認定、さらに地域との災害協定などをつくっていれば、それぞれソフトプラス、ハードプラスとして、マンションエントランス等に認定証を掲げることができる。横浜市が全額負担して、マンション防災アドバイザーを派遣することや容積率緩和も実施している。本市は政令市の中でも集合住宅の割合が一番高くなっている。東京都や横浜市のようなマンションや集合住宅の防災力を向上させる登録認定制度などの取組を検討すべきと考えるが、所見を尋ねる。

△市民局長 マンションの防災対策については、マンション特有の課題に特化した防災・減災マニュアルを作成し、管理組合等への出前講座の実施などにより、日頃の備えと災害時の対応等の周知、啓発に取り組んでいる。

△住宅都市局長 住宅都市局においても、マンションの防災力向上のため、令和4年7月より運用を開始したマンション管理計画認定制度の認定基準に、本市独自の基準として、災害時対応マニュアルの作成や防災用品等の備蓄など、防災の取組に関する項目を設け促進に取り組んでいる。引き続き、市民局と連携し、他都市の取組状況等の調査など、しっかりと取り組んでいく。

◯高木委員 大雨洪水警報などによる避難情報が発令された際の避難行動要支援者への支援として、昨年11月、陸前高田市では全国で初めて、避難行動要支援者などに自動音声で電話に応答するオートコールとAIを組み合わせた、双方向情報伝達システムの運用を開始した。避難できますかなどの問いに、はい、いいえなどで答えるとAIが文字に変換し、災害対策本部へデータを送信する。警戒レベル3、高齢者等避難以上の場合に発令され、対象は災害警戒区域に住む65歳以上の高齢者や障がい者で、単独での避難が難しい人や台風などの風水害で孤立する可能性がある地域住民である。けが、痛いなどの危険ワードが回答に含まれている場合は文字が赤く表示され、救助の有無を判断する仕組みである。同じく本年1月に富士市が逃げ遅れ防止アプリを公表した。避難行動要支援者が避難指示が発令された場合にSOS支援要請のボタンを押して助けを求めると、事前登録した支援者で近くにいる人のスマホに通知が届き、その位置が地図で表示され、救助につなげる共助の仕組みである。さらに全国39自治体で、測位衛星みちびきによるGPSを活用した安否確認サービスであるQ-ANPIの活用も始まっている。これらのように、AIやスマホアプリなどを活用した避難行動要支援者を支援する取組を検討すべきと考えるが、所見を尋ねる。

△市民局長 避難行動要支援者については、福祉事業者と連携した個別避難計画の作成や自治会、町内会単位でのワークショップの実施などにより、地域による計画の作成が進むよう支援を行っているところであり、委員指摘のDXの活用なども参考にしながら、より効果的に避難支援の取組が進むよう検討していく。

◯高木委員 地震や水害などで住宅に被害を受けた被災者が支援金を受けたり、建物を公費で解体する際に必要なのが罹災証明書である。また、地震などの直後に、余震による家屋の倒壊や外壁落下などの危険性を判定して、その結果を表示することで注意喚起を行うのが、自治体職員や建築士などの専門家による応急危険度判定調査である。危険は赤、要注意は黄色、調査済みは青のステッカーを貼り出し注意を促す。災害直後には、応急危険度判定を迅速に実施することが求められるが、本市ではどのような体制を構築しているのか尋ねる。

△住宅都市局長 応急危険度判定については、災害直後に迅速に実施できるよう、地域防災計画に基づき実施体制や具体的な判定手順を定めた、被災建築物応急危険度判定業務実施計画を策定している。また、判定に当たっては、国立研究開発法人建築研究所が開発した判定アプリとGISクラウドを組み合わせたシステムを令和4年度に構築し、判定作業の迅速化を図っている。

◯高木委員 今回大きな被害を受けた輪島市に代わって、東京都と都内職員らが東京都庁内で被害認定をリモートで実施した。輪島市が実施した応急危険度判定で危険と判定された住宅2,200軒を対象に、罹災証明書の発行が可能となる全壊かどうかを、輪島市から送られてきた写真やデータを基に東京から判定するもので、1月27日、28日の2日間で約6割が判定済みとされた。今後、大規模災害発生時などに、本市としてもこのような取組を検討していく必要があると考えるが、所見を尋ねる。

△市民局長 家屋の被害認定調査については、内閣府の災害に係る住家の被害認定基準運用指針において、航空写真等により判定した結果をもって全壊の被害認定を行うことが可能とされるなど、罹災証明書発行の迅速化に向けた取組が進められており、本市が被災した場合においても、国の運用指針に基づく方法や遠隔地からの判定など、他都市の効率的な手法についても積極的に取り入れていきたいと考えている。

◯高木委員 昨年11月、東京の民間企業を訪問し、災害発生時の罹災証明書の交付の迅速化について聞いてきた。タブレットを活用した地震や水害などの被災現場の被害調査や家屋被害を判定するアプリで、既に導入した日田市では、導入後の令和5年7月の豪雨と導入前の2年7月豪雨を比較した。申請受付、調査計画策定、調査班編成、調査進捗管理、調査準備、現地調査、データ整理、内容確認、決裁といった多くの作業があり、災害の規模で違いはあるが、導入前は627時間、導入後は270時間、その差357時間、57%の削減効果があったとのことである。また、小松市でも同社の無償版トライアルの開始直後に豪雨災害があり、市職員は1時間の講習で問題なく習得でき、システム活用で入力の所要時間は従来の半分以下に短縮された。本市でも罹災証明書交付の迅速化や職員の負担軽減のためにも、DXを活用した仕組みを推進すべきと考えるが、所見を尋ねる。

△市民局長 罹災証明書の交付については、本市においても、申請受付から被害認定調査の実施及び証明書発行までの一連の業務を行えるシステムを令和5年度に導入している。現地調査においてはタブレット等を使用し、専用アプリの設定項目に沿って結果を入力していくことで、システム上において被害程度を自動判定し、住民基本台帳や家屋課税台帳の情報と突合することで、迅速に証明書を発行できるようになっている。

◯高木委員 答弁のように応急危険度判定、それから罹災証明書がDXを活用した迅速化が図られていることが分かった。今後に期待している。今回の災害でも一番大きな問題となったトイレに関して、トイレトレーラーをふるさと納税型クラウドファンディングで調達する配備も始まっており、このような手法も検討するよう求めておく。この項目の最後に、防災先進都市・福岡を掲げる本市のさらなる防災力向上への市長の決意を尋ねる。

△市長 令和6年能登半島地震をはじめ、近年日本各地で大規模な自然災害が発生しており、ハード、ソフトの両面から、まち全体の防災力を高めていくことが大変重要であると認識している。このため、災害時の保健医療体制などの充実や避難行動要支援者対策の推進、公的備蓄の拡充などに取り組むとともに、デジタル技術の活用による被災者支援の迅速化を図っていく。今後とも、市民の貴い生命と財産を守ることを第一に、災害に強いまちづくりを進め、防災先進都市・福岡を目指していく。

◯高木委員 次に、AEDの普及、活用と救命サポーターづくりについて尋ねる。これまで平成24年、27年にAEDの普及、活用や24時間利用可能な設置などを質問してきた。今回は昨年秋、日本AED財団を訪問し、専務理事の石見拓京都大学大学院教授らから教示を受けたことも交えて質問を行う。消防庁は、2022年に救急車が119番通報から現場着までの時間が全国平均10.3分で初めて10分を超えたと発表した。令和6年度予算案では、救急需要の増加に的確に対応するため、城南消防署に救急隊が1隊増隊されるが、人口増加も見据え、さらなる救急体制の充実が必要である。まずは119番通報から現場到着までと、119番通報から病院到着までの所要時間はどのような状況か、大都市との比較はどうか、5年前と現在との差はどのくらいか尋ねる。

△消防局長 119番通報から現場到着までの平均時間は、令和4年が8分35秒、5年が速報値で8分19秒となっており、16秒の短縮となっている。また、通報から病院到着までの平均時間は、4年が36分5秒、5年が速報値で35分20秒となっており、45秒の短縮となっている。次に、総務省消防庁の公表資料における、4年の人口70万人以上を管轄する消防本部における通報から現場到着までの平均時間は10分48秒であり、本市が2分13秒早く、また、通報から病院到着までの平均時間は51分48秒であり、本市が15分43秒早くなっている。次に、本市における5年前の平成30年と令和5年を比較すると、通報から現場到着までが49秒の延伸、通報から病院到着までが5分58秒の延伸となっている。

◯高木委員 同財団によると、日本では病院以外での心停止者数は年間約8万人、毎日200人超であるが、もしも救急車到着前にAEDを使用すれば救命効果は2倍に、胸骨圧迫などの心肺蘇生をすれば救命効果も2倍に、AEDと心肺蘇生を両方行えば助かる人を4倍にも増やすとのことであった。本市にはAEDがどのくらい設置されているのか、本市が設置している学校や公民館などの公共施設の数、耐用年数が経過した際や電池切れの際の対応方法について示されたい。また、市内のコンビニや企業などの民間施設での設置数を尋ねる。

△保健医療局長 市有施設における設置台数については、令和6年2月末時点で735台となっている。AEDには耐用期間が設定されており、その期間を過ぎたものはできるだけ速やかに更新するとともに、消耗品である電極パッドやバッテリーについても、交換時期等を明記した表示ラベルを確認し適切に交換することを求められている。そのため、市有施設に対して、点検担当者による日常点検や電極パッドなどの消耗品の交換など、適切に管理するよう通知している。また、一般の人が使用可能なAEDを福岡市AED設置施設として登録している民間施設においては、6年2月末時点で503台が設置されている。

◯高木委員 AED設置拡大と同時に設置場所の正確な把握が重要である。同財団のみんなで作るAEDマップであるAEDナビは、ボランティアの協力により、全国最新AED設置情報を集約、更新し、自治体のAEDマップとしてシステム共有も可能で、現在地からAED設置場所まで何メートルという表示もある。本市ホームページでは、福岡市AED設置登録施設情報が掲載され、各区別のAED設置施設の検索やAEDマップの表示もできるが、いざというときに本当に使用できるのかどうかが重要な鍵になると考える。AEDマップを常に最新情報に更新することや最寄りのAEDまで何メートルといった機能を検討すべきと考えるが、所見を尋ねる。また、夜間や休日など、24時間使用可能な設置数は幾つか、24時間使用可能なAEDをマップに表示させるべきと考えるがどうか。

△保健医療局長 福岡市AEDマップについては、定期的に現状確認を行い、最新情報となるよう更新に努めるとともに、最寄りのAEDまでの距離が計測できる機能の付与など、使いやすいマップとなるよう今後検討していく。24時間使用可能なAEDは、令和6年2月末時点で98台登録しており、福岡市AEDマップにおいて使用できる時間を確認することが可能である。

◯高木委員 24時間利用可能なAEDは164万人の人口で98台しかないのは少な過ぎないか。大田区では、地域団体等がAEDを購入する際に、24時間誰でも使える状態で設置することを条件に費用を補助している。自治会、町内会などの団体は費用の2分の1、上限35万6,000円、さらにバッテリーパックや除細動パッドの費用も助成している。このほかにも堺市がAED設置補助を実施しているほか、防災力強化の観点から、集合住宅などが防災備蓄資器材を備蓄する際に、AEDの設置も含めて補助している自治体や住宅供給公社も多くある。AED設置数拡大のため、自治会、町内会や集合住宅が設置する際の補助金など、検討が必要と考えるが、所見を尋ねる。

△保健医療局長 地域におけるAEDの設置については、地域防災力の向上や安全、安心な地域づくりの取組の中で、施設管理者が必要性を判断し、自主的に設置、管理することが必要であることから、他都市の状況なども参考にしながら、助成の在り方について検討していきたいと考えている。なお、令和6年度から新たに福岡市AED設置施設に登録している施設に対しては、一般市民が使用した電極パッドについて無償交換を行うこととしている。

◯高木委員 AED設置数拡大とともに、設置されているAEDが、心停止の傷病者が発生した際に1秒でも早く使用されることが大変重要である。心停止から1分後にAEDを使用した場合の助かる確率は90%、1分遅れるごとに7~10%低下、8分後では20%に低下すると言われている。同財団では、市民ボランティアである救命サポーターがスマホなどを使い、AEDマップで得られた情報により、救急車よりも早くAEDを届け活用し救命のバトンをつなぐアプリ、AED GOの普及に取り組んでいる。心停止現場から119番通報、消防指令は救急車を出動させ、心停止現場付近の救命サポーターのスマホに通知、救命サポーターが近くのAEDを現場に届けて使用する仕組みである。具体例を挙げる。尾張旭市では、119番通報から救急出動指令まで51秒、救急隊現着は平均7分37秒、心停止の疑いの場合に消防指令が救命サポーターにアプリで通知発信するのが3分19秒、救急隊現着まで残り4分18秒、どちらがAEDを早く使えるかである。柏市では119番通報から救急出動指令が2分8秒、同時にアプリで通知発信、救急隊現着は平均8分34秒、救急隊現着まで残り6分26秒、どちらがAEDを早く使えるかである。1人でも多くの命を救うため、市民の協力を得ながら1秒でも早くAEDが現場に届き、使用される仕組みづくりをぜひ検討してもらいたいと考えるが、所見を尋ねる。

△消防局長 心停止の状態にある傷病者に対し、AEDがより早く適切に使用されることは重要であると考えている。本市では、心停止が疑われる119番通報があった場合は、最寄りのAEDの場所を案内するとともに使用方法を口頭で指導するなど、救命率の向上に取り組んでいる。また、救急車のほか、消防車にもAEDを搭載しており、心停止が疑われる事案の場合は救急車のほか、最も近くにいる消防車にも出動を指令し、より迅速に救命処置が行えるようにしている。アプリを活用したボランティアとの連携については、プライバシー保護の面や救急現場の平穏かつ安全な環境の確保などの課題があるが、引き続き、他都市の事例も参考にしながら、AEDがより早く使用される仕組みの在り方について検討していく。

◯高木委員 このような取組には、本市のさらなる救命力向上の機運づくりが必要で、何よりも多くの市民の理解と協力が不可欠である。いざというときに、いち早くAEDを持参し、迷わず使用できるような市民の救命サポーターをより多く育成するため、救命講習を受講する市民や小中学校での救命講習時の協力依頼など、市民全体の意識向上を図るべきと考えるが、所見を尋ねる。

△消防局長 救命講習等の機会を通じ、AEDの重要性を周知し、使用方法を身につけてもらうとともに、AEDが必要な場面においては、最寄りの設置場所からAEDを持参し活用してもらうよう啓発を進めていく。また、店舗や施設の従業員がスムーズに応急手当の実施やAEDの使用ができる救マーク施設の拡充に向けた取組を推進することにより、速やかな救命のための協力が得られる仕組みづくりに取り組んでいく。

◯高木委員 積極的な推進をお願いしておく。2011年9月、さいたま市立の小学校6年生、桐田明日香さんが駅伝の課外練習中に倒れ、救急搬送された後、翌日に死亡するという大変悲しい事故が起きた。検証の結果、倒れた直後にけいれんやゆっくりとあえぐような呼吸があったことから、教師らは心臓が止まっているとは思わずに、校内にあったAEDを使わなかったことが分かった。判断ができなかったり迷ったら胸骨圧迫とAEDの使用に進むことが重要であることを強調した、体育活動時等における事故対応テキスト、ASUKAモデルは、この事故を教訓とした教員研修等のためのテキストである。本市の市立学校に設置しているAEDが使われた実績、このASUKAモデルの学校での活用状況について尋ねる。

△教育長 AEDの活用実績については、過去5年間の平均で年3件、そのうち児童生徒への使用は年1件程度となっている。また、全市立学校の教職員の代表者を対象に、心肺蘇生やAEDの実技研修を消防局と連携して毎年実施している。この研修の中で、ASUKAモデルに関するメッセージ動画を活用し、AEDの重要性を伝えるとともに、消防局が作成したテキスト等により全小中学校で救命講習を指導できる教職員の育成に取り組んでいる。

◯高木委員 2022年9月、ASUKAモデルから10年を機に始動したのが、救命サポーターアプリのteam ASUKAという、スマホのアプリである。このアプリには119番通報ガイド、救命処置の方法、AEDマップ、それから最寄りのAEDまでの検索、先ほどのAED GOの取組などの機能が全部入っている。AEDの普及推進のために、この救命サポーターアプリ、team ASUKAを市ホームページに掲載するなど、活用すべきと考えるが、所見を尋ねる。

△保健医療局長 team ASUKAについては、最寄りのAEDの検索やAEDの使用方法などをeラーニング等で学べるアプリであり、AEDの普及促進に有効なツールであると認識している。このアプリのAEDマップについては、サポーターからの情報を基に登録、更新が可能であり、福岡市AED設置施設に登録されていない施設も多いことから、登録促進に向けた活用など、連携の可能性について検討していく。

◯高木委員 京都大学の研究グループの調査で、AEDを使用される傷病者側に男女差があり、小学生、中学生では大きな差はなかったが、高校生、高専生では、男子に比べ女子は約30ポイント低いという結果を示している。女性の場合だと服を脱がすことに抵抗があり、助けたいが消極的になるなどで、使用をためらうことが原因である。しかし、重要なのはAEDによる電気ショックの時間を遅らせないことで、1分遅れれば救命率は10%ずつ低下するということである。さらに全国の自治体では、AEDを使う際に傷病者にかけたり止血をするため、AEDに色がついた三角巾などを備え付けておく取組も広がっている。これは東京都の啓発のチラシである。右の鎖骨と左の脇腹にパットを貼ればよいため、無理に服を脱がせる必要はないという啓発である。あとは下着のワイヤーやネックレス等に当たらないようにAEDのパッドをはめればAEDが使えるという、女性にAEDを使うのをためらわないでくださいという啓発である。これは同財団の監修を受けて東京都などが啓発をしている。服を全て脱がさなくてもAEDは使用できるというチラシ、また、ホームページでの広報強化をしており、このような取組の強化や、公共や民間の設置を問わずAEDに三角巾を備え付けておくこともぜひ実施すべきと考えるが、所見を尋ねる。

△保健医療局長 女性に配慮したAEDの使用方法について広く周知を図ることは、救命率アップに向けた取組として非常に重要であると考えている。まずは使用時に体にかぶせる布などをAEDと一緒に保管するといった工夫についてホームページへ掲載するとともに、福岡市AED設置施設に対し協力を要請するなど、女性に配慮した使用方法の理解促進を図っていく。

◯高木委員 日本AED財団から本市への大きな期待が寄せられた。それは、大都市で一定数の心停止が発生しており、小中学校での救命教育の導入、普及が継続的に実施され、優れた病院前救護体制を有しており、救命ボランティアを広げる素地を有していることなどからである。そして本市には、デジタル技術や市民の力を活用した救命都市のロールモデルになってもらいたいという熱い思いであった。この項目の最後に、AEDのさらなる普及と活用拡大で、救命力ナンバーワン都市を目指してもらいたいと考えるが、市長の決意を尋ねる。

△市長 本市では市民の生命を守り、安全、安心なまちづくりを推進するため、AEDの設置場所の周知や集客施設等への普及促進を図るとともに、その使用方法について、市民や企業をはじめ幅広く啓発を進めているところである。令和6年度新たに使用済み電極パットの無償交換を実施するなど、身近な施設へのAEDの設置促進に向けた取組を進めることとしており、今後とも、AEDの効果的、効率的な配置や適切な管理の実施をはじめとした、市民の命を守る取組や啓発を進め、より一層、安全、安心なまちづくりを推進していく。

◯高木委員 次に、自治会、町内会の電子回覧板について尋ねる。令和6年度予算案では自治会、町内会や公民館など、住民主体のコミュニティづくりの支援強化が盛り込まれている。特に校区主体の活動推進のための共創補助金の拡充やDX推進による公民館の利便性向上を図る事業である。自治協議会への共創補助金は、6年度に各校区10万円増やされるが、これまで拡充してきた推移と6年度増額の趣旨を説明されたい。また、公民館業務の効率化のためのDXの推進や一部の公民館へのタブレット端末導入は、具体的にどのように実施されるのか尋ねる。

△市民局長 自治協議会共創補助金は、校区人口に応じて限度額を定めており、平成20年度には人口区分を1つ新設した上で各区分で30万円から70万円を増額、28年度には16万円から24万円を増額、令和元年度には一律7万円を増額してきたところであり、6年度からは担い手づくりにも活用してもらえるよう、一律10万円を増額することとしている。公民館については、民間の知見も踏まえながら、デジタル技術の活用による公民館事務や施設管理業務の効率化について検討していく。なお、タブレット端末の試験導入については、今後、公民館と詳細を協議していくが、公民館事業への活用などにより、来館者にデジタル端末を身近に体感してもらうとともに、タブレットを活用した事務の効率化などについても検討していく。

◯高木委員 内閣府の市区町村アンケートで、自治会の課題として、役員や運営の担い手不足、役員の高齢化、近所付き合いの希薄化などが挙げられている。本市の自治会加入率の推移、自治会が抱える課題として、どのようなことがあるのか示されたい。

△市民局長 自治会、町内会の加入率は、4年ごとに実施している自治会・町内会アンケートによると、平成18年度は90.9%、22年度は88.6%、26年度は89.1%、30年度は85.7%、令和4年度は81.1%となっており、課題としては、担い手不足や活動への参加者の減少などがあるものと認識している。

◯高木委員 自治会、町内会の回覧板について、戸建て住宅が多い地域では、決められた順番に近所に回して情報共有を行うが、集合住宅などでは入り口部分などへの掲示板に各種情報が貼り出されることで情報共有を図っていることが多いと思う。市政だよりや各公民館が月に1回発行する公民館だよりは全戸配布されていると思うが、それ以外の本市が自治会などに配布を依頼している広報物の数と、情報共有方法について示されたい。

△市民局長 市が地域に配布を依頼している広報物は、一部の区や校区を対象としたものも含め、令和4年度は計11種類あるが、地域においては、これらのほかにも市以外の団体からの依頼や、地域の要望を受けて市から提供した広報物もある。また、地域での共有方法については、市が公民館など地域が指定する場所まで届けた後、自治会、町内会ごとに各世帯へ配布や回覧が行われているものと認識している。

◯高木委員 昨年11月、札幌市の町内会デジタル化支援事業について聞いてきた。札幌市でも町内会加入率が69.4%に低下しており、町内会の課題として、役員の担い手不足と負担増、コロナの影響で活動の停滞や感染症への不安、多様化する会員ニーズへの対応など課題があった。その解決のため、デジタル化の進展やスマホが普及したことにより、町内会のデジタル化が有効として、電子回覧板、デジタル回覧板の導入が始まっている。令和4年度から電子回覧板の導入に際して、町内会デジタル活用促進補助金として、物品、備品購入費、工事費は3分の2、報償費、使用料、役務費、委託費は10分の10、上限10万円を補助している。4年度は155団体、5年度は10月までに100団体が申し込んでいる。ほかにも、運営の支援、参考となる冊子の作成、町内会デジタル化出前講座を実施して支援している。電子回覧板のメリットとして、活動の効率化により役員の負担軽減が図られる、役員になることへのハードルが下がる、町内会からの積極的な情報提供が可能となるなどである。これまでの紙ベースでの回覧板の課題として、回すのに時間がかかる、詳しく読まれていない、回すことが負担、感染症への不安などもある。本市の自治会、町内会などの地域コミュニティサイトやホームページを作成している状況はどうか、その際の助成はあったのか、本市が主導して自治会、町内会のデジタル化を一層推進すべきと考えるが、所見を尋ねる。

△市民局長 令和4年度に実施した自治会・町内会アンケートによると、4.9%の自治会、町内会がホームページやブログなどを開設しており、町内会活動支援事業補助金を活用して作成した自治会、町内会もある。市としても、自治会、町内会におけるデジタル化の支援は重要であると考えており、各区に配置された地域広報アドバイザーが、SNS等を活用した情報発信への支援を行うなど、今後とも地域の声を聞きながら、デジタル化に向けた取組を進めていく。

◯高木委員 自治会、町内会デジタル化のための補助金の内容を示すとともに、できる限り地域に負担をかけることがない、分かりやすい運用方法のアドバイスなど、考慮してもらいたいと考えるが、所見を尋ねる。

△市民局長 町内会活動支援事業補助金は、自治会、町内会の活性化や課題解決につながる幅広い事業を補助対象としており、情報発信事業に必要なホームページ作成経費や電子回覧板の月額利用料等にも活用できるものである。補助額は、初年度であれば補助率5分の4以内で上限10万円、2年目以降は補助率2分の1以内で上限5万円としており、今後とも補助金の積極的な活用を促すとともに、地域広報アドバイザーによる寄り添った支援を行っていく。

◯高木委員 総務省は、役員の担い手不足や加入率低下に悩む自治会の活動を活性化させるため、SNSを用いたデジタル化として、民間企業が開発した、いちのいちの実証実験を昨年6月から始めた。こちらはスマホ画面のイメージ図であるが、平仮名でいちのいちと書いている。このいちのいちは、いの一番にという意味を込めたスマホの回覧板である。電子回覧板の機能や地域情報の発信、小規模河川の氾濫時など報道されにくい近隣の災害情報や避難所情報、スケジュールカレンダーなど、より多くの会員との情報共有であり、回覧情報を迅速化する取組で、急な予定変更の伝達など幅広い世帯が活動しやすくする。この電子回覧板は、その地域特有の近隣の災害情報の共有ができること、緊急の連絡ができることは大きな役割を持つと考える。身近な例を挙げる。本市では昨年7月7日から10日にかけ断続的に強い雨が降り続き、特に10日の夜半過ぎから午前中にかけて激しい雨による線状降水帯発生情報が出され、局地的に最大1時間降水量が60ミリを超える非常に激しい雨が降った。特に早良区脇山では、7月の一日降水量としては平成30年7月豪雨以来となる観測史上2番目の225ミリを記録、その7月10日早朝5時頃、早良区の自治協議会会長が近隣を見回りしたところ、小学校沿いの水路は濁流状態で今にも越水寸前であった。その水路沿いの1棟のマンションは地下に駐車場があったが、当然どの部屋の人が車を駐車しているという情報もないため、一軒一軒全てのインターホンを鳴らし、車を移動させるよう伝達したそうである。たまたまその約1年前に、自治会と防災協定を結んでいた近隣の民間施設の駐車場に移動してもらったことを聞いた。もう1点は自治会、町内会の緊急連絡についてである。これも早良区内で昨年10月に開催予定だった校区運動会であるが、コロナ禍でここ数年中止を余儀なくされていたため、本当に皆が楽しみにして準備も全て終えていた前々日の夕方、小中学校でコロナとインフルエンザの感染が急拡大し、学級閉鎖が増えたことから、急遽、自治会役員会で運動会中止を決定した。災害時の自治会、町内会と近隣民間企業との防災協定は大変重要であるが、本市での進捗状況について、さらに防災協定の策定を促すべきと考えるが、所見を尋ねる。

△市民局長 防災協定については、災害時に近くの民間施設を避難所として利用できるようにするなど、地域と民間企業とで災害支援に関する協定を締結する事例も増えており、市としても地域からの相談や協力依頼等に応じ、地域とともに企業側との協議、調整を行うなど、引き続き、必要な支援を行っていく。

◯高木委員 早朝5時過ぎに警戒見回りを行い、一軒一軒インターホンを押した会長の地域を守る責任感と行動力に感謝と敬意を表するばかりであるが、このような災害時の地域の特有の緊急情報の発信、校区運動会の緊急の中止を伝達するような観点からも、自治会、町内会を支援する電子回覧板は大変有効であると考えるが、所見を尋ねる。

△市民局長 LINE等のSNSやホームページなども含む、電子回覧板ツールについては、情報発信の迅速化や効率化といった点から有効な手段であると考えている。既にLINE等を積極的に活用している自治会、町内会もあることから、これらの事例の共有を図るとともに、地域のニーズを踏まえながら、デジタル技術の活用支援を行っていく。

◯高木委員 電子回覧板を始める前は、自治会役員から作業が面倒ではないかなど、発信する側からの不安の声があったが、始まってみると思ったより簡単との声がほとんどだそうである。始めるきっかけづくりとしては、各区地域支援課職員によるメリットの紹介や分かりやすいアドバイスをぜひお願いしておく。本市でも希望する自治会、町内会に、まずはモデル事業として電子回覧板を導入すべきと考えるが、所見を尋ねる。

△市民局長 自治会、町内会における電子回覧板ツールを活用した情報発信への支援については、他都市の取組なども参考にしながら、検討を行っていきたいと考えている。

◯高木委員 他都市では、京都市、岡山市、千葉市、さいたま市など、多くの自治体で電子回覧板の活用が始まっている。ツールとしては、総務省が実証実験をしている先ほどのいちのいちやLINE、結ネット、マ・メールなどの多くのSNSアプリから選定して実施している。市長は令和6年度市政運営方針で、持続可能な地域コミュニティづくりを進めるため、地域の活性化や課題解決につながる活動への支援を充実すると述べた。本市らしい自治会、町内会のDX化を進めてもらいたいと考えるが、最後に市長の所見を尋ね、質疑を終わる。

△市長 自治会、町内会は住民にとって最も身近な自治組織として重要な役割を担ってもらっており、様々な工夫を凝らしながら、住みよいまちづくりに向けた取組に尽力してもらっている。自治会、町内会の活性化のためには、デジタル技術の活用による地域の負担軽減や活動しやすい環境づくりは重要であると考えており、補助制度や地域広報アドバイザーによる支援のほか、デジタルに不慣れな人を対象とした公民館スマホ塾の実施など、様々な取組を進めているところである。今後とも、地域の意見を十分に聞きながら、持続可能な地域コミュニティづくりにしっかりと取り組んでいく。

 

議員紹介

  1. つつみ 健太郎

    西 区

    つつみ 健太郎
  2. たばる 香代子

    中央区

    たばる 香代子
  3. たのかしら 知行

    博多区

    たのかしら 知行
  4. 石本 優子

    早良区

    石本 優子
  5. かつやま 信吾

    東 区

    かつやま 信吾
  6. 古川 きよふみ

    博多区

    古川 きよふみ
  7. 高木 勝利

    早良区

    高木 勝利
  8. しのはら 達也

    城南区

    しのはら 達也
  9. 尾花 康広

    東 区

    尾花 康広
  10. 松野 たかし

    南 区

    松野 たかし
  11. 山口 つよし

    東 区

    山口 つよし
  12. 大石 しゅうじ

    南 区

    大石 しゅうじ
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