▼令和6年 条例予算特別委員会 古川 清文 総会質疑 (令和6年3月25日)

◯古川委員 公明党福岡市議団を代表して、学校の夜間照明灯について、農山漁村地域など市街化調整区域の活性化と海業について質問する。初めに、学校の夜間照明灯についてである。今回、学校の夜間照明灯を取り上げるきっかけになったのは、ある市民相談である。中学校の学校施設開放事業で運動場を借り、ソフトボールのナイターリーグに参加している。人数がそろわないことが決まり、3日前にキャンセルした結果、運動場も夜間照明灯も使用していないのに、利用料を口座から引き落としされたまま払戻しされないが、何とかならないかとの問合せであった。教育委員会に問い合わせたところ、キャンセルの場合は利用予定日の1週間前までに申請しなければ返金は認められないとのことである。また、雨天による利用中止の場合は返金が認められるが、これも使用予定日から1週間以内に申請する必要があるとのことであった。夜間照明灯は全く利用していないため、学校側も電力会社から電気代を請求されることはないはずである。市民から事前に徴収して、未利用だった場合に返金が認められないのは絶対におかしいと思う。皆さんはどう思うだろうか。私は納得いかない。そこでまず、学校施設開放事業の目的は何か尋ねる。また、その根拠法についても示されたい。

△教育長 学校施設は、学校教育法及び社会教育法において、学校教育上支障のない限り、社会教育などの利用に供することなどについての定めがあり、これを踏まえ、学校施設開放事業は、学校施設を学校教育に支障のない範囲で、地域住民のスポーツ活動や社会教育の場として開放し、その有効な活用を図ることを目的として実施している。

◯古川委員 では、学校施設開放事業の新年度の予算額と実施内容、予算内訳について示されたい。

△教育長 令和6年度の予算額として、4,244万6,000円をお願いしており、主な内訳については、夜間照明施設の修繕や定期点検などの維持管理委託経費として1,545万5,000円、夜間照明施設電気代などの光熱水費として1,417万8,000円などである。

◯古川委員 次に、市立の小中学校の学校数と施設開放事業の実施校数、実施率について、小中それぞれ尋ねる。

△教育長 令和5年度は、小学校146校中、全ての学校で、中学校も校庭を有する69校の全てで実施しており、実施率はともに100%となっている。

◯古川委員 学校の運動場を放課後、日没後に借りてスポーツを行うためには、夜間照明灯が必要である。学校施設開放事業を行うに当たり、市立小中学校の運動場に夜間照明灯が整備されている学校数と設置率を小中それぞれ尋ねる。また、夜間照明灯設置の考え方についても尋ねる。

△教育長 基本的に、中学校は小学校よりも校庭が広く、防球ネット等の設備も整備されていることから、原則として中学校に夜間照明施設を設置し開放事業を実施しているが、周辺環境などにより中学校への設置が難しい場合は、同じ中学校区の小学校に設置している。また、設置校数と設置率については、中学校が69校のうち50校で72.4%、小学校が146校のうち15校で10.2%である。

◯古川委員 小学校146校中15校、10.2%とすごく少ないことが気になるため、これは後ほど触れたいと思う。例えば、学校運動場の夜間照明灯を19~21時まで2時間利用する場合、夜間照明灯電気代込みの利用料金は、どのように設定されているのか詳細を尋ねる。また、運動場予約の申請方法、キャンセルするための申請方法と未使用電気代の返金の有無を示されたい。

△教育長 まず、2時間利用する場合の使用料については、学校施設使用料条例に基づき、校庭使用料が400円、夜間照明施設使用料が1,200円で、合計1,600円となっている。また、学校の校庭を利用する場合は、最初に学校や地域団体が行事などで利用する日程を確保し、その上で空いている日時について、利用を希望する団体間での利用調整が行われる。利用日時の確定後は、各団体から学校施設使用許可申請書を提出してもらうが、仮に利用を中止することとなった場合は、使用中止届を電子メールやファクスなどで提出してもらうことになっている。原則として、既に納めた使用料の返金は行わないが、天候により使用ができなくなったときや、使用者が使用中止届により使用日の7日前までに使用の取りやめを申し出たときなどは、使用料の全額を返金している。

◯古川委員 同様に、市民が平日夜間に2時間、公共施設である東区の社領スポーツ広場を利用して、サッカー等のスポーツをする場合の申請方法、料金について尋ねる。また、キャンセルするための方法と未使用電気代の返金の有無を市民局に尋ねる。

△市民局長 社領スポーツ広場の利用に係る申請については、取りやめも含め、福岡市公共施設案内予約システム、通称コミネットや、窓口で受け付けている。また、19~21時までの使用料は、グラウンド使用料3,000円と照明施設使用料3,000円を合わせ、計6,000円となる。なお、利用日の7日前までに取りやめの申請を受け付けた場合には、いずれの使用料も徴収しないが、それ以降に受け付けた場合は、グラウンド使用料は徴収し、照明施設使用料については徴収しないこととしている。

◯古川委員 今答弁があったように、夜間照明灯を使用せずキャンセルした場合、中学校は電気代が返金されず市有施設では返金される。同じような運動場施設、同じ電気代なのに制度が違うことは公平性に欠けるし、利用者の混乱を招くと思う。これまでもそのような声があったのではないだろうか。それでは、スポーツ施設において利便性向上を図るため、利用者からの声を聞いて改善した例などはこれまでにないのか、市民局長に尋ねる。

△市民局長 利用者の意見などを踏まえて改善した例としては、平成30年度から、地区体育館などにおいて、21時までであった開館時間を22時までに延長した事例や、令和4年度に雁の巣レクリエーションセンターにおいて、125平方メートル程度であったスケートボードエリアを約1,000平方メートルに拡張した事例などがある。

◯古川委員 事例はあるとのことである。それでは、少し視点を変えて、市民が望むスポーツ施設の場所、利用料金などのアンケート調査があれば示してもらいたいと思う。市民がスポーツを実施する場所として重視するものを多い順に示されたい。

△市民局長 平成30年度に実施した市民アンケート調査においては、スポーツを実施する場所として重視するものについて、自宅から近いと回答した人が最も多く、次いで、交通事故に遭いにくい、または治安がよいなど、安心、安全である、日常の買物などのついでに行ける、利用者が少なく周囲を気にしなくてよい、職場から近いなどとなっている。

◯古川委員 次に、スポーツ施設に対する希望で、多い順に示されたい。

△市民局長 スポーツ施設に対して希望することについては、利用料金が安いと回答した人が最も多く、次いで、設備に清潔感がある、自分が行いたい種目が実施できる設備がある、駐車場の台数が確保されている、スポーツに関する設備が充実しているなどとなっている。

◯古川委員 区内や地域等の自宅から近い所、安心、安全で利用料も安く手軽な場所の要望が高いことが判明した。身近な地域にある、利用料も安く身近なコミュニティである小学校は、地域住民のスポーツの場としての需要があるのではないかと考えるが、教育長の所見を尋ねる。

△教育長 小学校についても、平日の放課後や土日祝日に開放事業で利用されており、一定の需要はあると考えている。

◯古川委員 学校施設開放事業の取組、夜間照明灯の設置状況を、本市を除く19政令指定都市に調査した。学校施設開放事業は、本市と同様に全ての政令市の公立小中学校で実施されており、ほぼ100%に近い実施率である。先ほど、本市の小学校の照明灯の設置率は10.2%とのことであったが、他の政令市の小学校の夜間照明灯の設置は、100%設置の浜松市や98.7%の広島市など、高い設置率の政令市も存在する。なぜ本市の小学校には照明灯設備が設置されていないのか、その理由を尋ねる。

△教育長 繰り返しになるが、夜間照明施設については、校庭の条件などから基本的に中学校に設置することとしている。小学校の設置率は相対的に低くなっているが、一方で中学校への設置率のほうは72.4%に至っている。

◯古川委員 中学校では放課後に部活動があることを考えると、公立小中学校における学校施設開放事業において、夜間使用は他都市と比較し狭められているのではないかと危惧するため、もっと小学校が活用されるべきだと思う。夜間に運動場を使用するなら、夜間照明灯が必要であることはごく当たり前のことであると、他の政令市の調査からも感じた。夜間照明灯の役割は、ほかにもないのだろうか。今回、能登半島の地震では、耐震化が進められた学校施設の倒壊は1校もなかった。その学校に避難している被災者のニュース映像を見た。運動場に多くの自家用車が駐車してあり、車中泊にて避難生活を送る人もいる。そこで、照明灯という明かりがともっていることに、特に女性、子どもたち、高齢の避難者が安心したかと思うと、地域の拠点である小学校にこそ夜間照明灯設置の必要性を感じさせる。政令指定都市にスポーツ以外の夜間照明灯の利用目的を尋ねたところ、災害時の一時避難所、避難所運営において必要に応じて利用していると回答したのは、仙台市をはじめ7政令市であった。スポーツ利用以外の目的としても、しっかりと活用する準備がなされている。他都市にあって本市に欠けているのは、この危機感ではないだろうか。熊本県教育委員会が県内の学校設置者に行った、熊本地震の際に避難所となった学校施設の状況に関するアンケート結果がある。備えられていなかったため困った機能の中に、ナイター照明と答えた学校が何校もある。特に、震災後2日目から求められる設備であったことが判明している。政令市の中でも、小中学校の夜間照明灯の設置率が高い広島市に話を聞いてきた。広島市の場合も、災害時に避難所となった小学校の運動場が、避難所駐車場として活用された。そのときも、夜間照明灯が避難所生活にとても役立ったそうである。平時の施設開放事業も、18~21時までの使用が多く、夜間照明灯が必要なのは当然との考えであった。子どもたちの安全な遊び場の確保や生涯スポーツの振興という観点から広く利用され、現在では100%に近い学校施設開放事業の利用率となっており、市民のスポーツに関する意識も大変高くなっている。本市も災害時に校区の避難所となり、地域コミュニティの拠点である小学校で活用できるよう、また、学校施設開放事業を夜間も安全に活用できるように、全小学校に夜間照明灯の設置を進めるべきだと思うが、教育長の所見を尋ねる。

△教育長 小学校への設置については、現在、地域等から具体的な要望はなされていないが、中学校を中心に設置している開放校の利用状況や、小学校それぞれの校庭の面積や形状、周辺の住宅環境などを考慮の上、検討していく必要があると考えている。

◯古川委員 博多区内にある小学校では、地域の児童が加入しているサッカークラブが放課後、照明灯のない運動場で練習を行っている。冬場は特に真っ暗な中、ボールを追いかけ走り回っており、その姿を見て危険だなと思った。教育長、どうか検討と言わず、設置するという早急な判断をお願いする。学校施設開放事業の目的は、冒頭に教育長が答弁したように、学校施設を地域住民のスポーツ活動や社会教育の場として開放し、その有効な活用を図ることであるとのことであり、その利活用のためには、夜間照明灯などの設備の整備を行うことも、スポーツ基本法にちゃんと書いてあることを再度申し述べておく。今回の、運動場の照明灯電気代返金の市民相談に話を戻す。夜間照明灯の使用に関して、プリペイドカード方式で事前にカードを購入してもらう政令市もあったが、利用分だけカードの残金から支払う方式なら返金の問題は発生しない。利用者負担の観点から、利用した照明灯電気代分の負担は当然だと思う。しかし、使っていない夜間照明灯の利用料金を事前に徴収しておきながら、未使用だった場合に返却するシステムがないのは悪質である。早急に改善すべきだと思うが、教育長の所見を尋ねる。

△教育長 学校施設については、利用を希望する人に広く公平に利用してもらうためにも、利用可能な範囲での予約や早めのキャンセルをお願いしているところである。夜間照明使用料の返金については、類似の各種市有施設との取扱いの整合を図る必要もあり、今後、関係局とも協議し、検討していきたいと考えている。

◯古川委員 これも検討と言わず、今すぐにでも改善の決断をお願いしておく。本市では、誰もが身近なところでスポーツに親しめるよう、ハード、ソフト両面にわたる環境整備を目指していると認識している。そのため、各施設において、しっかりと市民の声に耳を傾けて、利便性向上に努めていく必要があると考えるが、この質問の最後に市長の所見を尋ねる。

△市長 市民スポーツの普及振興に当たっては、少子・高齢化の進展などによってスポーツを取り巻く環境が変化する中、多様化する市民ニーズを的確に把握し、する、見る、支えるの観点から、総合的に施策を推進していく必要があると考えている。今後とも、利用者や関係団体のニーズを踏まえながら、運営面も含め、公共スポーツ施設の利便性向上を図り、子どもから高齢者、障がいのある人など、全ての人が生涯にわたってスポーツに親しむことができる環境づくりに取り組んでいく。

◯古川委員 次に、農山漁村地域など市街化調整区域の活性化と海業について尋ねる。今回は、農山漁村地域など、市街化調整区域の現状や課題などについて尋ねるが、中でも、市街化調整区域の主要産業である漁業、特に、新たな取組である海業について尋ねていきたいと思う。漁業は、市民への水産物の安定供給を担い、漁村において雇用を生み出すなど、地域の産業として重要な役割を果たしている。しかし、近年の水産物消費の減少や不漁等による生産量の減少、漁業従事者の減少など様々な課題を抱えている。令和5年5月に、漁港の新たな活用による漁業所得の向上や雇用創出を目的とした漁港漁場整備法の改正が行われた。いわゆる海業の推進である。この海業の取組を漁港において行うことは、都市と漁村の交流人口を増やし、新たな観光振興にもつながるものであり、人口減少の進む市街化調整区域において、この取組を進めることが大変重要であると考える。そこで、漁村集落が点在する市街化調整区域の現状と課題から尋ねていく。今から55年前の昭和43年、都市計画法により、農林漁業と調整を図りながら無秩序な市街地の拡大を防止するため、市街化区域と市街化調整区域を区分する制度ができている。市街化区域とは、既に市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域、市街化調整区域は市街化を抑制すべき区域と定められている。つまり、市街化調整区域は、自由に開発することを抑制され続けているエリアということである。制定から55年を経て、市街化調整区域の役割も変わりつつあるのではないだろうか。平成22年に作成された(財)福岡アジア都市研究所による調査報告書、市街化調整区域の施策に関する研究IIによると、10年以上前から、都心部の発展に対し、市街化調整区域の農業集落人口の減少や衰退について指摘しながら、それらの課題に向けて取り組むべき提案が行われている。これまでの間、市街化調整区域の活性化に関し、関係部局ではどのような課題認識で、どのような取組を行ってきたのか尋ねていく。初めに、市街化調整区域の課題を尋ねる。

△総務企画局長 農山漁村地域など市街化調整区域については、本市の強みであるまちと自然が調和したコンパクトな都市を支える重要なエリアであるが、人口減少や高齢化が進展しており、地域コミュニティの維持や農林水産業の振興など、様々な課題を抱えていると認識している。

◯古川委員 では、以前から市街化調整区域の人口減少が指摘されていたが、市街化調整区域のこの10年の人口の変化を尋ねる。

△総務企画局長 市街化調整区域の人口については、国勢調査で答弁すると、直近の令和2年の調査では3万5,878人、その10年前の平成22年の調査では3万8,717人となっており、この10年間で約7%減少している。

◯古川委員 以前から、本市の農業者、漁業者の就業者数の減少も指摘されてきたが、この10年の本市の農業者、漁業者の就業者数を尋ねる。

△農林水産局長 直近の農林業センサスで答弁すると、市内の農業従事者数は、平成22年が4,563人、10年後の令和2年が2,580人と約43%減少している。また、市漁協の調査によると、市内の沿岸漁業における漁業就業者数は、平成25年が590人、令和4年が457人と、この10年で約23%減少している。

◯古川委員 以前から、本市の農地面積の減少も指摘されていたが、この10年の農地面積の変化を尋ねる。

△農林水産局長 福岡市農林水産統計書によると、市内の農地面積は、平成25年が2,777ヘクタール、令和4年が2,374ヘクタールと、この10年で約15%減少している。

◯古川委員 何もかも減っているというイメージである。本市では、第10次総合計画の策定が始まった。次の10年への目標設定は重要である。農林業及び水産業総合計画における農業、漁業の目指す姿として、従事者の数などの目標をどのように設定しているのか。

△農林水産局長 まず、農業については、令和2年度から計画の最終年度である8年度までの間に、新規就農者を累計で178人とすることを目標としている。次に、漁業については、沿岸漁業における漁業就業者の目標を8年に450人としている。

◯古川委員 ここまで、市街化調整区域の課題や人口の状況を尋ねてきたが、次に、市街化調整区域において、関係する担当局がどのような取組を行っているのか尋ねていきたいと思う。総務企画局予算資料に、農山漁村地域など市街化調整区域の活性化が盛り込まれている。この取組の目的、概要、予算額を尋ねる。

△総務企画局長 総務企画局においては、地域住民が取り組むワークショップや産直市など、地域主体の取組を支援するとともに、地域産業の振興につながるビジネス創出に向け、未利用地の活用や、地域と事業者のマッチングなどに、土地利用の規制緩和制度を活用しながら取り組むこととしており、令和6年度の予算額は1,000万円である。

◯古川委員 総務企画局で行っている規制緩和制度について、取組内容と成果を尋ねる。

△総務企画局長 市街化調整区域においては、自然や農地を保全するため、建築可能な施設が、居住者の生活利便施設や生産者が行う店舗などに限られているが、土地利用の規制緩和制度は、地域住民の合意など一定の条件の下、地域の農林水産業や観光資源を生かした飲食店、宿泊施設などの地域産業の振興に寄与する施設の建築を可能とするものであり、平成28年6月から運用を開始している。これまで、民間事業者の意向調査や、地域住民と民間事業者の対話の場の設定など、民間活力導入に向けた取組を進めてきた結果、事業展開に向けた具体的な相談件数は96件あり、開発許可等の手続が完了したものは13件である。

◯古川委員 以前から、公共交通の空白地、不便地の課題が取り上げられていたが、市街化調整区域内の交通空白地、不便地の解消に向けて、住宅都市局ではどのような取組を行っているのか。

△住宅都市局長 生活交通の確保に向け、条例に基づく休廃止対策等を実施しており、バス路線の休廃止に伴う公共交通空白地への代替交通を確保するため、市内5路線に運行経費の補助を行っている。また、西の浦線等において、路線維持、活性化に向けた利用促進等に、地域、交通事業者と共働で取り組んでいる。

◯古川委員 西区北崎地区も、東区志賀島のように渡船があれば都心からの利便性が高いのだが、市営渡船では交通不便地である市街化調整区域へのアクセス手段を検討しているのか、港湾空港局に尋ねる。

△港湾空港局長 市営渡船については、島と本土をつなぐ重要な交通手段として、志賀島航路、玄界島航路、能古航路、小呂島航路の4航路の運行を行っており、持続可能な運営に向け、増客増収や利用者の利便性向上の取組など、経営改善に努めているところである。しかしながら、その他の地域への運行については検討していない。

◯古川委員 以前から、市街化調整区域では少子・高齢化が進み、一部では限界集落の危険性をはらんでいるなどの課題が示されていた。市街化調整区域内の各地区の持続可能な集落を維持する上で、住宅都市局はどのような取組を行っているのか。

△住宅都市局長 市街化調整区域における定住化の促進に向け、一定の要件を満たせば誰でも住宅等の建築が可能となる区域指定型制度や、既存住宅の賃貸化を許容する制度などを創設し、これらの制度も活用しながら地域の取組を支援している。また、空き家の改修費用の一部を補助する制度の活用や、物件所有者への意向調査を行うなど、空き家の利活用に関する取組への支援も行っている。

◯古川委員 各局区が市街化調整区域で各種活性化イベントを行っていると認識しているが、活性化イベントなどによって、市街化調整区域の就労、新規事業、定住など、各集落にどのような変化が与えられたのか。

△総務企画局長 市街化調整区域の活性化については、定住化の促進に取り組むとともに、地域主体の取組支援や農林水産業、観光の振興に取り組んでおり、地域をさらに魅力あるエリアにすることで、新たな担い手の確保や来訪者の増加につなげていきたいと考えている。その一環として、各局区が連携し、特産品のPRや消費拡大に向けた直売イベント、市営渡船と連携した集客イベントのほか、お祭りを支援するなど、地域と一体となって活性化に取り組んでいる。これらのイベントが就労や定住化などに与える変化を測ることは難しいところであるが、イベントには多くの来訪者があり、地域からも「消費者と交流しながら販売できる場として続けていきたい」、「多くの人に来てもらい、地域の活性化につながると感じた」といった声が寄せられている。

◯古川委員 本市は、未来に向けた社会問題をmirai@として、民間アイデア募集や社会実験を経て実装してきた。漁業が抱える課題解決につながるようなものの成果があれば示されたい。また、市街化調整区域の活性化に資する取組があれば、その取組と成果を尋ねる。

△総務企画局長 公民連携ワンストップ窓口、mirai@については、平成30年5月の開設から令和6年1月末までで991件の相談、提案があり、174件の実証実験等の実施に至っている。このうち、漁業が抱える課題解決に特化したプロジェクトの実施事例はないが、市街化調整区域の活性化に資するものとしては、ドローンによる食料品などの夜間配送や、地域の魅力発信に関する実証実験などの、社会課題解決につながる民間企業等の取組を支援している。

◯古川委員 mirai@の取組は、新年度から経済観光文化局に所管が移るが、漁業や市街化調整区域が抱える課題解決に向けた民間との取組にも力を入れてもらいたいと期待する。ここまで、各局での市街化調整区域の活性化のための様々な取組について確認してきた。どの局も前進しているのだろうが、地域住民の減少に歯止めをかけられず、厳しい状況になっていると言わざるを得ない。このような中、農林水産局では、直近では油山のリニューアルがあり、また近々、海づり公園のリニューアルが始まろうとしている。特に水産では、漁港の新たな活用による漁業所得の向上や雇用創出を目的とした漁港漁場整備法の改正が行われた。いわゆる海業の推進で、これは国の規制緩和措置だと聞いているが、この海業とはどのような制度なのか。

△農林水産局長 海業とは、国において、海や漁村の地域資源の価値や魅力を活用する事業であって、地域のにぎわいや所得と雇用を生み出すことが期待されるものと定義されている。令和5年5月に漁港漁場整備法が改正され、漁業者や地方自治体などの利用に限定されていた漁港に、民間事業者の参入が可能になるとともに、用途が限定されていた漁港内の用地等を飲食店などでの消費増進や、漁業体験などの交流促進に寄与する取組にも活用することが可能となる。この制度を活用するためには、本市において、漁港ごとに活用推進計画を策定する必要があるため、今後、漁業関係者や関係機関との協議を行いながら、活用区域や事業内容の検討を行っていく。

◯古川委員 市内には8つの漁港があり、漁業活動には漁港ごとに特色があると承知している。そこで、海業を推進する上で、市は令和5年度どのような取組を行ってきたのか。また、6年度の取組についても尋ねる。

△農林水産局長 令和5年度は、各漁港における利用状況を把握するための調査を実施しており、この結果を踏まえ、6年度からは、漁業関係者等の意見を聞きながら、漁港ごとにそれぞれの特色を生かした活用推進計画を策定するとともに、有効活用や民間活力の導入などに向け取り組んでいく。

◯古川委員 海業を推進するに当たって重要なことは何だと認識しているのか。

△農林水産局長 海業の推進に当たっては、漁業活動の拠点としての漁港の利用に十分配慮した上で有効活用を図ることとされており、漁業活動に支障を及ぼさないことが最も重要であると考えている。このため、漁業者の意見を聞きながら、漁業権との調整や漁業活動を阻害しないための措置などの検討を行った上で、計画の策定に取り組むこととしている。

◯古川委員 海業の推進により民間事業者が参入することも重要であるが、漁業者の生産活動を守ることも大変重要だと分かった。そこで、市漁協の現状について尋ねる。市漁協の10年間の生産量、生産額の推移を示されたい。

△農林水産局長 市漁協の調査によると、本市の沿岸漁業における生産量は、平成25年が5,096トン、令和4年が2,808トンと、この10年で約45%減少している。次に、生産額は平成25年が23億9,600万円、令和4年が17億9,700万円と、約25%減少している。

◯古川委員 大変厳しい状況になっていると言わざるを得ないが、なぜ生産量が減少しているのか。

△農林水産局長 減少の原因は特定されていないが、海水温や海流など、海洋環境の変化による水産資源の減少や、魚の回遊経路の変化などによるものと考えている。

◯古川委員 生産量の減少も危惧されるところであるが、もう一つ大きな課題として魚の消費の減少や、魚食が衰退しているのではないかと危惧される。そこで、魚食が敬遠される傾向などがあるのか、市の認識を尋ねる。

△農林水産局長 水産庁の調査によると、健康によいなど、魚料理に対する好感度は高いものの、調理時における魚の扱いにくさや手間などを理由に、特に、家庭での消費にブレーキがかかっていると分析されていることから、これらが魚の消費の減少につながっているものと考えている。

◯古川委員 生産と魚食が減っている中で、海業の推進はとても重要だと感じている。生産者だけでなく市民も含め、魚を食べることはとても重要であると思っている。既に消費増進のための取組として行っている、本市のブランド水産物である唐泊恵比須かきは、カキ小屋で食べられており、このような生産者の顔が見える取組がもっと必要であると思うし、大変重要だと考えている。そこで、海業に関する農林水産局の方針を尋ねる。

△農林水産局長 農林水産局においては、令和4年に策定した第11次水産業総合計画において、基本方針の一つに漁港・漁業集落の活性化を掲げており、今回の法改正を好機と捉え、6年度から組織体制を強化して海業の推進に取り組むこととしている。具体的には、漁港内の遊休地等の活用や民間活力の導入により、漁港が漁村地域の新たな雇用や所得を創出する場となるよう、養殖業のほか、交流推進事業などに取り組み、地域の活性化を図るとともに、将来の漁業生産を担う人材を確保し、持続可能な水産業の維持につなげていきたいと考えている。

◯古川委員 海業のヒントとなるように、水産庁が海業のモデルの一つとして紹介した、和歌山県有田市にある箕島漁協直営新鮮市場「浜のうたせ」を視察し、水産関係者に話を聞いてきた。和歌山県有田市では、これまでも所得向上や雇用創出、安定した漁業経営を確立するため、水産物の安定供給、高付加価値化、ブランド化に取り組んできた。そもそも、漁港で鮮魚が購入できるとなれば、どれくらいの需要や集客が見込めるのか検討するために、平成24年から、漁港内で鮮魚や市の特産品を販売する朝市を市場調査としてスタートさせた。販売するのは地元の漁師や農家で、鮮魚は早いときには30分程度で完売するという盛況ぶりである。しかしながら、この盛況ぶりの陰に、漁師気質上たたき売りというか、収益を度外視した売り方をする漁師もいたので、この取組が所得向上につなげられるのか疑問視されたそうである。この市場調査を踏まえ、適正な販売方法、安定的な経営を図るためには、民間のノウハウを取り入れていくことが必要不可欠だと考えたところ、地元に縁のあるスーパーから有田地域の活性化のために協力してもらえるとの提案を受け、漁協、民間企業であるスーパー、市の三者で協定が結ばれている。この協定により、スーパーからは、売上げの数値管理や人事などの労務管理、さらには従業員の教育面においてのサポートが提供され、市は、特産品をPR、販売できる観光拠点施設へとしていくべく、広報、PRなどソフト面で協力していくことになった。その結果、令和2年5月に漁協直営新鮮市場「浜のうたせ」をオープンしている。この施設は、販売棟と食堂棟に分かれており、販売棟では箕島漁協で水揚げされた魚を販売し、また、無料でさばくサービスまでついているということである。また、鮮度のあるうちに食堂棟のメニュー用に回すなどして、売れ残りをなくす工夫もされている。幹線道路に面していない漁港であるにもかかわらず、想定以上の来場者数を記録するような施設になり、駐車場を増設するも間に合わないほど活性化されたとのことである。その結果、ここ近年の漁獲量減のときにもかかわらず、漁師の所得も確保、若い漁師も希望を持って働くなど、まさに雇用を守る施設となったのである。海業推進の目的である、漁港の未利用地を活用した地域のにぎわいや所得と雇用を生み出すという理念をかなえた事業であるということを視察して感じた。一方で、アクセス道路の慢性的な渋滞やインフラ整備が追いついていないとの大きな課題も耳にし、地域交通をはじめとする区域一帯のインフラ整備が重要であることを教えてもらった。本市においても、これから海業を進めていくに当たり、幾つもの市街化調整区域の課題を抱えていることが分かった。市街化調整区域を活性化するためには、漁港などの点ではなく、北崎地区や志賀島地区など、農山漁村地域を面で捉えた取組が重要であり、海業を推進する上でも関連部局横断で取り組む必要があると考えるが、活性化の取組全体を調整している総務企画局長の所見を尋ねる。

△総務企画局長 市街化調整区域については、地域コミュニティの維持や農林水産業の振興、生活交通の確保など、様々な課題が密接に関連しながら存在し、その関係局も多岐にわたっていることから、海業などの新たな取組も含め、関係局とさらに連携を図りながら、地域と一体となって活性化に取り組んでいく。

◯古川委員 市街化調整区域の課題については、長年時間をかけても解決につながっていない現実がある。多くの都市が既に人口減少を迎えているように、本市も人口減少へと進むことも明確である。本市は今、元気がある都市として評価されているが、元気や活力、財政的余地があるうちに、危機的課題に早めに取り組むことが重要と考える。市街化調整区域の活性化と海業について、市長の所見を尋ね、質問を終わる。

△市長 本市は、都市的な魅力と豊かな自然環境が調和したコンパクトな都市を形成しており、住みたいまち、住みやすいまちとして、国内外から高い評価を得ているところである。一方で、豊かな自然環境を育む農山漁村地域などの市街化調整区域は、依然として人口減少や高齢化の進展など、様々な課題を抱えている状況であることから、その活性化に向けて、地域産業の振興や定住化の促進、生活交通の支援などに取り組むとともに、Fukuoka East&West Coastプロジェクトによって、海辺の魅力向上、観光資源の磨き上げに取り組んでいるところである。これらに加え、新たな規制緩和制度を活用した海業を推進し、水産業の振興に取り組んでいく。今後も、市街化調整区域の活性化に向けて、生活の利便性向上や地域の魅力を生かしたまちづくりに地域と一体となって取り組んでいく。

 

議員紹介

  1. つつみ 健太郎

    西 区

    つつみ 健太郎
  2. たばる 香代子

    中央区

    たばる 香代子
  3. たのかしら 知行

    博多区

    たのかしら 知行
  4. 石本 優子

    早良区

    石本 優子
  5. かつやま 信吾

    東 区

    かつやま 信吾
  6. 古川 きよふみ

    博多区

    古川 きよふみ
  7. 高木 勝利

    早良区

    高木 勝利
  8. しのはら 達也

    城南区

    しのはら 達也
  9. 尾花 康広

    東 区

    尾花 康広
  10. 松野 たかし

    南 区

    松野 たかし
  11. 山口 つよし

    東 区

    山口 つよし
  12. 大石 しゅうじ

    南 区

    大石 しゅうじ
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