▼令和6年 条例予算特別委員会 勝山 信吾 総会質疑 (令和6年3月22日)

◯勝山委員 公明党福岡市議団を代表して、薬物乱用防止対策について、福祉、介護人材の確保、定着の取組について、認知症対策について、以上3つのテーマで質疑を行う。初めに、薬物乱用防止対策についてである。近年、大麻などの違法薬物使用者の若年化や市販薬を過剰摂取するオーバードーズによる乱用、依存の広がりが社会問題化するなど、薬物乱用問題は依然として予断を許さない状況が続いている。令和6年1月31日に福岡県では、現状、課題、目標と達成のための取組をまとめた、薬物乱用防止第六次五か年戦略を策定した。本市においても、若年層による薬物乱用の拡大が進む中、現状を把握し、課題解決に向けた若年層に届く取組が求められている。薬物乱用情勢について、主な事件別の検挙人数の推移と再犯者率、年代など、薬物乱用の現状について、どのように認識しているのか尋ねる。

△保健医療局長 福岡県が発表した薬物情勢によると、県内の大麻の検挙人員が増加傾向であり、令和5年1年間の速報値では、過去最高の478人となっており、30歳未満の若年層が8割を超えている。覚醒剤の検挙人員については減少傾向であり、5年の速報値では371人となっており、その再犯率は4年で80.6%、20歳未満の検挙人員は全体の1.0%となっている。5年の検挙人員において、初めて大麻が覚醒剤を追い抜くとともに、特に30歳未満の若年層が増加していることから、若者への大麻の乱用が広がっているものと認識している。

◯勝山委員 答弁によると、大麻事犯の検挙人数は、令和5年は過去最高の478人、30歳未満の若年層が初めて8割を超えたとのことである。大麻には精神障がいなどに加えて依存性もあり、覚醒剤などのゲートウェイドラッグと呼ばれ、深刻な薬物乱用につながるものと懸念されている。また、インターネット上の薬物情報の遮断は困難であり、興味本位の使用を防ぐためにも、学校や家庭で正しい情報を啓発していくことや、急増する大麻に焦点を当てた対策が重要である。そこで、若年層への啓発の取組、特に大学生への取組について尋ねる。また、それに係る新年度の予算額について示されたい。

△保健医療局長 若年層、特に大学生の啓発については、市内大学の新入学生に対する薬物乱用防止に関するメールの配信や啓発パンフレットの配布、大学構内での街頭キャンペーンなどに取り組んでいる。また、「NO DRUG,KNOW DRUGキャンペーン」として、大学生自身による啓発動画の作成、ステージイベント、パネル展示など、大学生と共に若年層へ向けた啓発を行っている。令和6年度の薬物乱用対策の予算額は282万6,000円を計上している。

◯勝山委員 また、児童生徒に対する薬物乱用防止教育について、どのように取り組んでいるのか尋ねる。

△教育長 学習指導要領にのっとり、発達段階に応じて、薬物乱用が心身の健康や社会に及ぼす影響などについて学んでおり、小学校では6年生の保健体育の授業で、シンナーや有機溶剤の悪影響について、中学校では2年生の保健体育で、覚醒剤や大麻の危険性について、高等学校では1年生の保健体育で、主な乱用薬物の種類とその危険性について学習している。

◯勝山委員 学習指導要領にのっとり、保健体育の授業で薬物乱用について学習しているとのことである。平成22年度は薬物乱用防止教室を小学校121校、中学校65校、高校3校で実施しているが、本市の教室の開催状況について尋ねる。また、薬物経験者の体験談などは防止対策に非常に効果的だと思うが、本市の認識と今後どのように取り組んでいくのか尋ねる。

△教育長 令和5年度の薬物乱用防止教室の開催は、小学校が144校、中学校は69校、高等学校は4校となっており、ほぼ全ての学校で実施している。また、薬物経験者の体験談については、これまで薬物乱用防止教室に薬物経験者を講師として招き、講話をお願いした学校もあり、今後とも適切な講師の確保に努めていく。

◯勝山委員 経験者の話は薬物乱用防止に効果的であるため、講師の確保にもしっかり取り組んでもらいたいと思う。次に、違法薬物に比べドラッグストアなどで入手しやすい一部の市販薬を過剰摂取するオーバードーズが、若年層などに急速に広がっており、この社会問題をどのように解決していくかが本市でも課題となっている。そこで、市販薬を過剰摂取することで、体や脳にどのようなダメージを与えるのか尋ねる。

△保健医療局長 国が作成したリーフレットによると、市販薬による急性中毒患者の健康被害として、吐き気、腹痛、意識障がい、震えや頭痛、耳鳴り、不整脈等が発生するとされている。

◯勝山委員 先日の福岡県議会では、オーバードーズが原因と見られる救急搬送者数が、昨年度だけでも1,167人に上ることが取り上げられていた。本市でも半分に満たないくらいの搬送者数が推計されるが、オーバードーズをする当事者や家族が相談することができる窓口と相談件数の推移、相談者の属性、当事者の年齢層、相談内容について尋ねる。

△保健医療局長 相談窓口としては、薬物依存症専門相談、市販薬依存相談ダイヤルを設置している。次に、相談件数の推移については、令和2年度が2件、3年度が3件、4年度が17件、5年度が2月末現在で14件となっており、その大半は家族からの相談で、当事者の年齢は20歳代が多くなっている。相談内容としては、過剰摂取を行う当事者との関わり方や医療機関の受診に関する相談などである。

◯勝山委員 相談ダイヤルの相談件数は年々増加しているということである。「トー横」と呼ばれる新宿、歌舞伎町の広場では、市販薬を飲むことでキマっている、市販薬を飲むことをパキっていると言うそうだが、そういう状態になり、そのままぐったり倒れ込んだり、意識が混濁して救急車で病院に搬送される若者が見かけられている。中には酩酊状態の中で自殺を図り、そのまま死亡してしまったケースもあったようである。特に昨年の12月、東京都内の小学校で高学年の女子児童2人が、市販薬を校内に持ち込み、オーバードーズで救急搬送されたニュースには大変驚いた。天神の中央部にある警固公園に集まる若者の集団は、警固界隈、警固キッズと呼ばれ、公園で飲酒や喫煙、オーバードーズが行われているという現状は、本市においても大きな問題だと思う。そこで、本市においても児童生徒によるオーバードーズは行われていると推測されるが、小学校、中学校、高等学校の把握している状況を尋ねる。

△教育長 オーバードーズが学校の管理外で行われていることや、通常、本人や保護者から学校に報告がなされないこと、また、文部科学省も報告を求めていないことから、学校で全体的な状況は把握していないが、保護者から当該児童生徒の見守りなど、相談を受けることはある。

◯勝山委員 答弁によると、保護者からの当該児童生徒の見守り相談は受けることはあるが、本人や保護者から報告がなされるとは限らない、また、文部科学省も報告を求めていないとの理由で、学校で全体的な状況は把握していないとのことである。確かにデリケートな問題であるため、不確かな状況把握での公表などは控えるべきだとは思うが、一方で、正確な状況を把握することで、児童生徒をオーバードーズから守ることにつながることもあるかと思う。では、保護者からの見守りなどの相談件数を示されたい。また、オーバードーズをした当事者や保護者に対して、寄り添った対応が求められるが、不安を払拭するためにどのように対応しているのか尋ねる。

△教育長 令和5年度における保護者からの相談や報告の件数は11件あり、各学校においては、相談等の内容について十分把握した上で、当該児童生徒の見守りや関係機関と連携した支援などに取り組んできたところであり、今後とも適切な相談、支援に努めていく。

◯勝山委員 相談だけで11件ということだが、まだまだ数は大きいのではないかと思う。しっかり支援してもらいたいと思う。国立精神・神経医療研究センターが行った調査によると、市販薬等を主たる薬物とする依存症患者が、2012~2020年にかけて約6倍に急増していることや、薬物依存症の治療を受けた10代患者の主な薬物の推移では、市販薬が56.4%を占めているという結果が示されている。また、高校生における市販薬物乱用の経験率は、大麻使用率の約10倍となっており、60人に1人が過去1年以内に市販薬の乱用経験があると報告されている。そこで、市販薬乱用の実態を把握するとともに、対策にどのように取り組むのか尋ねる。

△保健医療局長 市販薬乱用の実態把握については、国が実施する調査や研究報告等を活用し、情報を収集するとともに、市においても意識調査などの実施について関係者と協議していく。対策としては、薬物乱用防止対策推進協議会での協議を踏まえ、令和6年度はこれまで毎年実施してきた「NO DRUG,KNOW DRUGキャンペーン」をラジオ番組と連携して拡充するとともに、若年層に向けたSNS等による継続的な啓発に取り組んでいく。また、医薬品販売事業者に対しては、定期的な立入検査を行うなど、医薬品の適正販売について、引き続き指導していく。

◯勝山委員 今後は、学校薬剤師等による市販薬の乱用、依存に関する予防教育に、さらに重点を置いて取り組むべきだと思うが、本市の所見を尋ねる。

△教育長 薬物乱用防止教室の実施の際には、薬物の乱用には依存性があり、重大な健康被害を引き起こし、最悪の場合は命を落とす危険性があることから、オーバードーズに関する指導については、学校薬剤師とも連携し予防教育の充実を図っていく。

◯勝山委員 学校薬剤師ともしっかり連携をして、市販薬の正しい飲み方など、予防教育にあらゆる角度から取り組んでもらいたいと思う。また、業界全体で市販薬乱用について、さらに意識を高めるとともに、市販薬販売の最前線で働く薬剤師、また、登録販売者の役割はさらに重要である。そこで、薬剤師や登録販売者をゲートキーパー化する取組を検討すべきだと思うが、所見を尋ねる。

△保健医療局長 国においては、医薬品販売制度の見直しを行う中で、薬剤師や登録販売者のゲートキーパー化を検討しており、本市としても、悩みを抱えた当事者へ、そのゲートキーパーが声かけを行うことで、専門相談や支援へつなぐことが期待できるものと考えている。今後、薬物乱用防止対策推進協議会において、薬剤師や相談、支援機関等と連携した取組について検討していく。

◯勝山委員 学校や職場での人間関係や家庭の問題などを抱え、ひどい精神状態から解放されたいとの思いでオーバードーズに走るなど、社会的孤立や生きづらさが薬物乱用の背景にあると言われている。この質問の最後に、未来ある本市の若年者を守るため、薬物乱用防止について、市長の決意を尋ねる。

△市長 昨今の薬物乱用の現状としては、大麻や市販薬の過剰摂取などが若年層への急速な広がりが見られるなど、非常に危惧する状況にあると認識している。本市においては、小中学校での薬物乱用防止教育に加え、関係機関の皆さんと共に「NO DRUG,KNOW DRUGキャンペーン」などの市民啓発や依存症専門相談、回復支援プログラムなどの実施に取り組んできたところである。本市は若者の多い、活気あふれるまちである。その大切な若者を薬物の被害から守るために、薬剤師会など関係機関との連携を強化しながら、さらなる薬物乱用防止に向けた対策に取り組んでいく。

◯勝山委員 次に、福祉、介護人材の確保、定着の取組について尋ねていく。2025年問題とは、人口ボリュームが最も大きい団塊の世代の人たちが75歳以上の後期高齢者となり、医療や介護をはじめ社会に大きな影響を与えることを言う。超高齢社会、そして本格的な大介護時代の到来と言われる2025年を目の前にして、本市においては、持続可能な介護サービスを実現し、誰もが安心して介護サービスを受けられる都市となっていくために、どのような考え方を持って取り組んでいくのか。目前の2025年問題の福祉局長の問題意識、危機意識を尋ねる。

△福祉局長 今後、高齢化のさらなる進展に伴い、医療や介護が必要となる高齢者も増えていくと予測している。必要な介護サービスが安定的に提供され、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、しっかりと取り組んでいく必要があるものと認識している。

◯勝山委員 2025年問題は間近に迫った喫緊の課題であり、介護に係る支援の充実が課題解決のために非常に重要であると考える。このために、2025年問題に対して、高齢者や介護をしている家族、介護事業者のニーズを丁寧に把握し、かつ柔軟な発想で、危機感やスピード感を持って取り組まなければならないと思っている。先日、市内にある介護施設を訪問し、介護現場の現状について尋ねてきた。ここ数年で20人ほど退職しており、人材紹介会社に100万円ほどの決して安くはない手数料を支払いながら、ようやく10人ほど職員を確保できたものの、3か月程度で退職するなど、介護人材の確保に頭を悩ませていた。そして、慢性的な人手不足のため、当初予定していた入所者を入れることができず、デイサービス事業を中止した。また、ワンフロア6人体制で運営している有料老人ホームも維持することができず、泣く泣くワンフロア10床を閉鎖しなければならない状況に陥り、その結果、収入も月440万円ほど減収、年間で5,000万円以上の減収とのことであった。そのため、福祉医療機構からの借入れの返済にも苦慮し、経営的にも非常に困難な状況になってきているとのことであった。このように人手不足や借入れ返済による経営不振の介護施設は、本市においても氷山の一角にすぎないと思うが、本市の認識について尋ねる。

△福祉局長 介護施設等については、新規開設もある一方で、人材の確保が困難として、事業の休廃止や縮小を行う事例もある。なお、市内の介護施設等の離職率の平均は15.6%で改善傾向にあるが、離職率30%以上の施設が約14%ある一方で、離職率5%未満の施設が40%を超えているなど、事業所により状況が大きく異なっているものと認識している。

◯勝山委員 そのような施設が増えると、介護サービス量の見込みの提供などに影響しないのか、また、本市の介護保険事業計画に影響が生じないのか尋ねる。

△福祉局長 介護サービスの提供及び介護保険事業計画への影響については、新設される事業所等と休廃止となる事業等の両方があるが、サービスの提供可能量が全体として減少した場合は、影響が生じる可能性があるものと認識している。

◯勝山委員 本市もサービスの提供可能量が全体として減少した場合は、影響が生じる可能性があるとの認識である。介護保険事業計画についても同様のことが言えると思うため、介護施設の人手不足の状況を把握し、介護サービスの見込み量を確保してもらいたいと思う。本市における高齢化率は、令和5年、2023年の22.4%に対し、将来推計では、団塊の世代が全て75歳以上になる令和7年、2025年に22.8%、団塊ジュニア世代が全て65歳以上になる令和22年、2040年には27.8%になると見込まれている。また、要介護認定者数は令和5年が約7万3,000人、令和22年度には約12万4,000人になると見込まれているとの推計が中間報告で示されている。要介護認定者数の大きな増加が見込まれているが、国は、団塊の世代が75歳以上になる令和7年度に介護職員が全国で約243万人必要になると推計を発表し、元~7年度で約32万人が新たに必要になるとされている。そこで、本市における介護職員の必要人数と、7年度までに新たに確保すべき人数について示されたい。

△福祉局長 介護職員の必要数については、国が公表するデータを基に推計しており、直近は令和元年度の推計で約2万2,200人、7年度の必要数は元年度より約4,000人多い、約2万6,200人となっている。

◯勝山委員 答弁によると、確保すべき人数が2年後の令和7年度は元年度に比べ4,000人必要とのことだが、本市において充足できるのか尋ねる。また、5年度、6年度、7年度の介護職員の過不足数を尋ねる。

△福祉局長 介護職員の過不足数については、データを持ち合わせていないが、現在運営されている介護施設等については、基準上の必要数は満たしているものと認識している。今後とも、必要な介護職員数が確保されるよう取組を進めていく。

◯勝山委員 必要な介護職員の確保に取り組むことは、本市として当然のことだと思うが、介護職員必要数の毎年の数値を持ち合わせていない状況で、必要数を確保できるように取り組んでいくとの答弁は甚だ疑問を感じるところである。そのことが介護職員を充足させるための実態調査の課題の一つだと思うため、まずは毎年の必要数の把握に取り組んでいくことを要望しておく。では、今後高齢化が加速する中で、期待したいのが介護職の金の卵とも言える介護福祉士養成施設で学んでいる学生たちである。そこで、市内の介護福祉士養成施設の定員と在学者数について示されたい。

△福祉局長 介護福祉士養成施設については、市内に6校設置されており、令和5年度の定員数は合計で480人、在学者数は365人となっている。

◯勝山委員 定員480人に対して在学者数は365人と、残念ながら125人の定員割れという状態である。期待していただけに、このような本市の状況に愕然とするとともに、介護人材の確保は私が考えていたよりはるかに難しい環境にあると改めて気づかされた。市内の介護福祉士養成施設の定員割れが続くようであれば、中高生に対し介護に興味を持ってもらうことや、在学生が卒業後に介護職に就いてもらえるよう、何らかの手だてを打つ必要があると思うが、所見と、現在どのような取組を行っているのか尋ねる。

△福祉局長 介護人材の確保に向けては、中高生など若い世代も含め、介護の仕事について広く知ってもらうとともに、介護を学ぶ学生と介護業界との関係性づくりに取り組むことが重要であると考えている。そのため、学生と業界が一体となって介護の魅力を発信するイベントを企画、実施するとともに、市内の高等学校との共働事業として、高校生が授業の中で働きたくなる介護施設について研究、発表する取組を行っている。

◯勝山委員 介護業界団体とさらに連携を広げて取り組んでもらいたいと思う。これまで尋ねた介護職員を取り巻く様々な状況を鑑みて、本市の取り組むべき課題について尋ねる。

△福祉局長 少子・高齢化による労働力人口の減少により、全産業的に人材不足が進んでおり、介護サービスが安定的に提供されるよう、介護事業所の経営支援や新たな人材の確保に取り組んでいく必要があるものと考えている。

◯勝山委員 本市でも介護サービスが安定的に提供できるよう、介護事業所等の経営支援や新たな人材確保に取り組んでいくとのことである。ここからは新たな人材確保など、諸課題に関してどのように取り組んでいくのかを尋ねていく。初めに、介護人材の確保に係る主な事業と令和6年度予算額を示されたい。

△福祉局長 介護人材の確保については、介護職員初任者研修の無料開催や外国人人材の受入れ支援など、新たな人材の就労支援に取り組むとともに、労働環境や処遇の改善に向けて、新たに介護サービスのDXの推進や、コンサルタントの事業所等への派遣などに取り組んでいく。また、令和6年度の予算額は7,521万円余となっている。

◯勝山委員 主な事業のうち、介護職員初任者研修費の助成や支援については、かねてから我が会派の予算要望でもお願いしていたが、令和5年度に事業化してもらった初任者研修の無償取得支援の概要と実績を示されたい。

△福祉局長 介護職員初任者研修は介護職の資格を取得するための研修であり、令和5年度から全130時間の研修を無償で開催するとともに、修了した人たちと介護サービス事業所のマッチングを実施している。5年度の開催回数は3回で、受講者数は計72人、うち就職に結びついた人は32人となっている。

◯勝山委員 この事業に取り組んでもらった結果、令和5年度は開催回数3回、受講者72人、就職者32人と、介護人材の確保に向けて一定の効果があったと思う。そこで、就職者の増加に向けて、初任者研修の無償研修の開催回数を増やすことなど、さらなる拡充に取り組んでもらいたいと思うが、所見を尋ねる。

△福祉局長 令和5年度は定員を超える多くの人たちに応募してもらったところであり、今後、さらなる拡充に取り組んでいく。

◯勝山委員 さらなる拡充に取り組んでもらえるとのことだが、まだ就職に結びついていない40人に対しては、人材確保の観点から継続的なアプローチをしてもらいたいと思う。次に、令和6年度から始まる介護サービスのDX推進と経営支援の概要と期待する効果について尋ねる。

△福祉局長 介護サービスのDX推進は、介護保険制度において、令和6年度から新たに国の加算対象となるICTツールの導入を支援するとともに、これらを含む様々なICTツールの導入実験を行い、介護業界への普及を促進するものである。また、経営支援は、処遇改善加算の取得支援を行うとともに、介護事業所等にコンサルタントを派遣し、現状、課題の分析、経営改善に向けた助言等を行い、介護業界全体への展開を図っていくものである。期待する効果としては、経営改善の支援などによる労働環境や処遇の改善である。

◯勝山委員 労働環境や処遇の改善にしっかり取り組んでもらいたいと思う。政府は、外国人労働者の中長期的な在留を認める特定技能制度について、2024年度から5年間に受け入れる上限を80万人超に設定する方向で検討しているようである。そこで、介護事業所が外国人技能実習生や特定技能を受け入れる理由と、働く外国人の人数、そのうち技能実習生と特定技能の人数、技能実習と特定技能の違いを改めて尋ねる。

△福祉局長 技能実習や特定技能については、一定の介護技術や知識を持っており即戦力となり得ることや、最長で5年間働けることから、介護事業所等において人材確保の有効な方策の一つとして期待されているものと考えている。令和5年度に介護事業所等で働いている人数は約400人で、そのうち技能実習は84人、特定技能は194人となっている。技能実習は、日本で習得した技術を母国に持ち帰り広めてもらう制度であり、特定技能は、日本の人材不足を補うための制度である。

◯勝山委員 技能実習生や特定技能は、一定の介護技術や知識を持っており、即戦力として期待されている。中でも特定技能制度は、国内の人材不足を外国人材によって補うための労働者として扱うことができるため、今後の介護人材確保の施策として、特定技能の取組はますます重要になっていく。そこで、本市においても外国人の介護人材確保のため、特定技能の受入れにしっかりと取り組むべきだと思うが、所見を尋ねる。

△福祉局長 介護サービスの担い手の確保に向けて、外国人介護人材の参入を促進していくことは重要であると考えており、令和6年度は、新たに特定技能による海外の就労希望者等と介護施設等とのマッチングに取り組んでいく。

◯勝山委員 内閣府の令和4年版高齢社会白書における世界の高齢化率の推移によると、約10年後の2035年の日本の高齢化率は32.8%、韓国が29.0%、タイが23.1%、日本の10倍以上の人口を誇る14億人の中国では、超高齢社会の一歩手前の20.7%になることが報告されている。アジア各国でも10年後は、今の日本のような介護人材不足に陥ると同時に、外国人介護人材の争奪戦が始まることは明らかである。既に始まっていると言っても過言ではない。まして、このまま円安が進めば、なおさら日本にとっては不利な条件がそろうことになる。また、日本国内に置き換えると、各自治体で介護人材の争奪戦が近い将来始まることが容易に考えられる。本市においても、外国人を含む介護人材の確保、定着に向け、ありとあらゆる支援を考えて、できることは何でもすると決め、10年後に介護崩壊や介護難民と言われる市民が生まれないよう、今すぐ飛び抜けた支援策を講じなければならないと強く思っている。先日視察で訪問した名古屋市では、2025年が迫る中、介護人材の確保は介護保険制度の安定した運営を行う上で重要な課題であると認識されていた。介護人材を確保していくためには、介護現場の声をしっかり聞きながら、幾つもの具体的な事業を積み重ねていく必要があるとも言っていた。また、愛知県の介護福祉士等就学資金貸付制度とは別に、名古屋市独自で、介護、障がい福祉職員が奨学金を返済する費用の一部を助成する事業を令和5年度から開始しており、6年1月現在で136人に助成を決定しているということである。その結果、各事業所からは非常に助かる、人材確保につながったとの声もあったようである。本市では、元年度から、保育士の確保を強化するための奨学金返済支援制度を行っているため、その効果は認識していると思う。そこで、こども未来局長に保育士奨学金返済支援事業補助金の事業開始理由と経緯について尋ねる。

△こども未来局長 保育士奨学金返済支援については、保育需要の増大に対応するために、さらなる保育所等の整備が見込まれる中で、福岡地域の保育士の有効求人倍率が平成29年度は2.63倍、30年度は2.66倍と高い状態が続いたことから、市内の保育所等への就職の促進及び在職者の離職防止を図るために、令和元年度に事業を開始している。

◯勝山委員 今の答弁では、保育士の平成30年度の有効求人倍率は2.66倍と高い状態が継続する中で、保育士確保のため奨学金返済の支援が必要だと考え、開始したとのことである。一方で、福岡県内の介護サービスの有効求人倍率を見てみると、今年1月現在が3.40倍で、保育士の2.66倍と比べると0.74ポイント高い有効求人倍率となっており、保育士のときと同様、介護人材確保が喫緊の課題ということが分かる。今示してもらった介護サービスの有効求人倍率を見ただけでも、奨学金の返済支援は、保育士だけではなく、介護職員に対しても求められている必要な支援だと考える。そこで、新年度に介護現場の実態把握や課題分析などのアンケート調査を行うということであるため、この名古屋市のような取組を参考に、幅広い層に響く効果的な人材確保施策をしっかり検討すべきだと考えるが、所見を尋ねる。

△福祉局長 人材確保策については、令和6年度に市内の介護事業所等を対象に実施する介護労働等に関するアンケート調査等の中で、現状の把握や課題の分析を行い、他都市の状況も参考にしながら幅広く検討していく。

◯勝山委員 本市において介護崩壊、介護難民が生じないように、先手先手で施策を打ってもらうようお願いする。都市専門家である新井氏は「人は必ず年を取る。高齢化は最も確かな政策変数の一つであり、いつ、どこで、どのように高齢化が起こるのかを高い信憑性を持って把握することができる。だからこそ、開発計画において高齢化を軽視するべからず。将来を見据えておくことは、問題が起きてから対応するよりも費用対効果が高いのである」と述べている。急速な少子・高齢化が進む中、誰もが安心して受けられる介護サービスを実現することがますます重要になる。その支え手でもある福祉、介護人材の確保、定着の取組について、市長の所見を尋ね、この質問を終わる。

△市長 高齢者が急激に増加する中、介護サービスを安定的に供給していくためには、福祉、介護人材の確保は大変重要であると認識している。そのため、介護に関する資格取得の支援や、働きやすい職場環境づくりなどの取組に加え、令和6年度は、介護サービスのDXの推進やコンサルタントの派遣による経営支援などに取り組んでいく。今後とも、年齢を重ね介護が必要な状態になっても安心して暮らし続けられる社会の実現に向けて、しっかりと取組を進めていく。

◯勝山委員 次に、認知症対策について尋ねる。認知症は誰もがなり得るものとの認識の下、政府において、2015年に認知症高齢者等に優しい地域づくりに向けた新オレンジプランを策定、2019年には認知症施策推進大綱を策定し、取組を進めている。こうした中、認知症施策のあるべき姿や、認知症の人が尊厳を保持しつつ希望を持って暮らすことができること、認知症の人を含めた全ての人がその個性と能力を十分に発揮し、相互に人格と個性を尊重しつつ支え合いながら共生する活力ある共生社会の実現を推進することが重要となっている。認知症の本人やその家族、そのほか関係者の間で議論の末にまとめられ、令和5年、2023年6月に共生社会の実現を推進するための認知症基本法が国会において成立した。これを受けて、本市の認知症施策も高齢化のスピードに合わせて、さらに加速させて推し進めていくべきだと思う。初めに、認知症の人を取り巻く現状と課題について尋ねる。

△福祉局長 認知症の人は今後急速に増加し、国の推計によると、2025年に約700万人となり、65歳以上の高齢者の5人に1人を占めるとされている。こうした中、認知症に関する理解の促進や社会参加の機会の確保、相談体制の整備などが課題になっているものと認識している。

◯勝山委員 国によると2025年には約700万人、65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症になると見込まれており、社会参加の機会の確保や相談体制の整備など、様々な課題を本市でも抱えている。そこで、本市における認知症の人の数と今後の推移について示されたい。

△福祉局長 本市における認知症の人の数については、要介護認定者のうち、認知症高齢者日常生活自立度2以上に該当する人は、令和5年3月末時点で3万9,667人であり、これを基に、12年は5万1,578人、22年は6万8,967人と推計している。

◯勝山委員 本市の認知症の人は令和5年3月末に約4万人、7年後の12年には1.3倍の約5万1,000人、22年には1.73倍の約6万9,000人と推計され、確実に増加していく。本市が取り組む認知症関連施策、認知症フレンドリーシティ・プロジェクトにおける、新年度の主な事業の概要と予算額について示されたい。

△福祉局長 令和6年度においては、ユマニチュードのさらなる普及や認知症の人にもやさしいデザインの導入の促進、オレンジパートナーズによる企業との連携、認知症カフェの設置の促進などに取り組んでいく。予算額は総額で1億9,715万円余となっている。

◯勝山委員 答弁してもらった認知症施策の主な事業について尋ねていく。本市では、認知症になっても自分らしく暮らすために、認知症の人の支援から活躍へのステップアップを目指して、政令指定都市として初めて、産学官民オール福岡で構成する福岡オレンジパートナーズを令和3年6月に設立した。そこで、オレンジパートナーズ事業の概要と具体的な取組内容について、分かりやすく説明されたい。

△福祉局長 オレンジパートナーズは、認知症の人とその家族、企業、団体、医療、介護、福祉事業者、行政で構成しており、令和6年1月末時点で108社2団体が参画し、認知症に関する勉強会や認知症の人との共働による認知症フレンドリーな製品、サービスの開発などを行っている。

◯勝山委員 認知症の人と企業が双方向で関わりを持ち、商品開発などを行うことで、共に暮らせる共生社会を構築し、認知症とともに長く自分らしく活躍することにつなげる取組は、認知症の増加に伴い今後ますます必要になると思う。拡充に向けての取組を尋ねる。

△福祉局長 認知症の人の活躍については、認知症フレンドリーセンターを拠点として、様々な情報発信を行うとともに、広く企業の参画を得ながら、活躍の機会の創出に取り組んでいく。

◯勝山委員 認知症の社会的理解を広げるため、オレンジパートナーズへの登録数を増加させることも重要な取組の一つだと思う。そこで、登録してもらった企業、団体、介護、医療、福祉事業者に対して、例えば、公共事業等の総合評価に加点するなど、何らかのインセンティブを付与すべきだと思うが、所見を尋ねる。

△福祉局長 オレンジパートナーズについては、より多くの企業に参画してもらうことが重要であり、効果的な働きかけの方策を検討していく。

◯勝山委員 次に、若年性認知症について尋ねていく。初めに、若年性認知症とはどのようなもので、どのような課題があるのか、また、本市における若年性認知症の人の数を尋ねる。

△福祉局長 若年性認知症とは65歳未満で発症した認知症を指し、現役世代に発症するため、就労継続が困難になり経済的な困窮につながるなどの課題がある。本市における若年性認知症の人の数は、日本医療研究開発機構が公表している有病率を基に、令和5年3月末時点で約500人と推計している。

◯勝山委員 本市において若年性認知症の人が約500人いると推計されているが、若年性認知症は初期症状が疲れや鬱状態などと認識されることもあり、診断が難しいとされている。そこで、早期に治療を行い社会参加につなげるため、若年性認知症の早期発見と対応が重要だと思うが、本市の取組を尋ねる。

△福祉局長 若年性認知症については、早期発見、早期対応に向けて、症状や相談先などをまとめたパンフレットを作成、配布するとともに、認知症フレンドリーセンターや各区の健康教室などにおいて、タブレット端末を活用した物忘れチェックを実施し、認知症が疑われる場合はかかりつけ医への受診を案内するなどの取組を行っている。

◯勝山委員 特に、タブレット端末を活用した物忘れチェックは、早期発見のきっかけづくりに有効だと思うため、活用の機会をさらに広げてもらいたいと思う。また、若年性認知症は、就労や生活費、子どもの教育費等の経済的な負担が大きいこと、就労や社会参加に対する意欲が高いにもかかわらず、受け入れる場がないことなど、高齢者とは異なる特徴や課題がある。そこで、若年性認知症の人が利用できる様々な制度について分かりやすく情報を提供し、高齢者とは違った視点で、医療、介護、就労、居場所づくり、家族への支援など一体的なサポート体制を強化すべきだと考えるが、本市の所見を尋ねる。

△福祉局長 若年性認知症については、令和6年度に新たに認知症フレンドリーセンターに若年性認知症コーディネーターを配置し、従来の相談、啓発に加えて、その人の状況に応じた個別支援や社会参加、活躍の場づくりに取り組むなど支援を強化していく。

◯勝山委員 令和6年度から、サービスの情報提供や継続就労の支援などを行う若年性認知症コーディネーターが配置されるため、その活躍に期待したいと思う。本市では、認知症への正しい理解を深め、認知症の人とその家族を支え、見守る認知症サポーターを養成し、認知症の人に優しい地域づくりに取り組んでいる。そこで、認知症サポーターを養成する講座はいつから実施しているのか、また、これまでの受講者総数と過去5年の受講者数の推移、効果について示してもらうとともに、認知症サポーターの役割について尋ねる。

△福祉局長 認知症サポーター養成講座は平成19年度に開始し、受講者の総数は令和5年12月時点で13万7,055人、受講者数の推移は平成30年度が1万4,371人、令和元年度が1万1,532人、2年度が3,534人、3年度が4,636人、4年度が5,974人となっている。認知症サポーターは、認知症に関する正しい知識の普及と理解の促進、認知症の人やその家族が安心して暮らせる地域づくりに貢献しているものと認識している。

◯勝山委員 その講座を受けた後も、もっと知識を深めたい、具体的な実践の場でスキルを習得したいという人に対して、ステップアップ講座を新たに増やすなど、拡充を図るべきだと思うが、所見を尋ねる。

△福祉局長 ステップアップ講座については、団体などの希望に応じて実施しているところであり、今後、認知症フレンドリーセンターでの開催も含め、拡充を検討していく。

◯勝山委員 次に、本市では令和5年度から、認知症と診断された人がほかの認知症当事者の話を聞いてみたいという声に応え、認知症当事者による個別相談のピアサポート事業「和だち」をスタートした。そこで、ピアサポート事業「和だち」の実績と効果、今後期待することを示されたい。

△福祉局長 ピアサポートについては、当事者同士の交流の場である本人ミーティングに加え、昨年11月に「和だち」を設置し、1人から相談を受けている。また、認知症フレンドリーセンターで働いている当事者が、センターに来訪した人に随時サポートを行っているところである。当事者同士で互いの体験などを語り合うことで、診断を受けたことによるショックを軽減すると同時に、相談を受ける側の当事者にとっても活躍の機会となるものと考えている。

◯勝山委員 当事者同士で互いの体験などを語り合うことはとても重要だと思う。また、相談を受ける側の認知症当事者にとっても、社会の一員として活躍する機会となるとのことである。そこで、認知症カフェやピアサポートと連携して、認知症当事者の働く場を広く提供することも大切だと思うが、所見を尋ねる。

△福祉局長 認知症の人が社会参加することは、認知症の進行を遅らせるためにも重要であり、認知症カフェやピアサポートなど様々な機会を活用しながら、認知症の人が働く場の拡大に取り組んでいく。

◯勝山委員 新年度より、福祉局においてユマニチュード推進部が11人体制で新設され、本市のユマニチュードの普及、取組に対する意気込みを感じている。そこで、ユマニチュードによるみんなにやさしいまちと、認知症フレンドリーシティの推進の主な取組と新年度の予算額を尋ねる。

△福祉局長 ユマニチュードによるみんなにやさしいまちについては、ユマニチュードの認知度向上に向けた広報の強化や、本市で開催が予定されている日本ユマニチュード学会総会の共催、高齢者施設などへのユマニチュード導入支援など、また、認知症フレンドリーシティの推進については、認知症フレンドリーセンターの運営や若年性認知症コーディネーターの配置、認知症の人にもやさしいデザインの普及促進、認知症フレンドリーな商品、サービスの開発支援などに取り組んでいく。予算額については、ユマニチュードによるみんなにやさしいまちが7,769万円余、認知症フレンドリーシティの推進が1億1,945万円となっている。

◯勝山委員 認知症フレンドリーな商品の開発や認知症の人にやさしいデザインの普及等にも取り組むとのことである。そこで、認知症の人とのコミュニケーション・ケア技法であるユマニチュードとはどのようなものか、また、認知症当事者や介護する側への影響、効果などを具体的に示されたい。

△福祉局長 ユマニチュードは見る、話す、触れる、立つという4つの柱を基本としたコミュニケーション・ケアの技法であり、認知症の人とのコミュニケーションの円滑化や認知症の人と介護者のストレスの軽減などに効果を発揮するものである。

◯勝山委員 私は3日前に、ユマニチュードを導入して認知症の人のケアを行っている脳神経外科病院を訪問し、ユマニチュード認定チーフインストラクターから様々な話を聞き、実際に認知症の人に対して、ユマニチュードを活用して介護をしている現場まで視察させてもらった。ユマニチュードとは、技術的なことだと思っていたが、インストラクターの初めの一言は「ケアする人とは何か、人とは何かなどの哲学をベースにケア技法が展開されていったことがとても大切なのです」と教わり、衝撃を受けた。また、ICUに入院した患者のせん妄が減少した、口腔ケアの拒否が減少し口腔健康状態が改善した、向精神薬の処方量も減少した、離職率が低下した、介護に対する職員のモチベーションが向上し施設全体の雰囲気がよくなったなど、様々な効果がもたらされている。そこで、様々な効果をもたらすユマニチュードの普及促進の課題と今後の取組を尋ねる。

△福祉局長 ユマニチュードについては、令和5年度に実施したアンケートによると、市民の認知度は約2割となっており、さらなる向上が必要であると考えている。6年度は、ユマニチュードの普及促進に向けて、様々な媒体を活用した広報を展開するとともに、市民参加型のイベントの開催やユマニチュード講座の拡大、高齢者施設などへのユマニチュード導入の支援などに取り組んでいく。

◯勝山委員 市民のユマニチュードの認知度は約2割とのことであるため、認知度向上や普及促進の取組は今後とても大切になっていく。一方で、ユマニチュードという言葉だけが先行して、宣伝に利用されることも危惧されており、あくまで哲学を基に、最前線の現場から自然的に広がって普及していくことが肝腎だと思う。本市としてもバランス感覚を持って取り組んでもらいたいと思う。そこで、普及するために行っているユマニチュード講座の概要と今後の具体的な展開について尋ねる。また、ユマニチュード地域リーダーの役割と必要性についても尋ねる。

△福祉局長 ユマニチュード講座については、日本ユマニチュード学会のインストラクターによる家族介護者や専門職向けの実践講座と、本市が独自に養成した地域リーダーによる地域、児童生徒向けの入門講座を実施している。地域リーダーは、ユマニチュードの基本的な知識を市民に伝える役割を担うものであり、令和6年度に新たな人材を養成し、増員を図るとともに、6年度に全小学校、7年度までに全公民館での講座展開に取り組んでいく。

◯勝山委員 令和6年度中に全小学校、7年度までに全公民館で講座を実施するとのことである。そこで、ユマニチュードの講座を受講した子どもと高齢者が触れ合う交流の場をつくることが、長く認知症の理解を深めることにつながると思うが、所見を尋ねる。また、先の話になるが、全中学校の講座の実施についても進めてもらいたいと思うが、所見を尋ねる。

△福祉局長 子どもと高齢者の交流は、認知症への理解を深めるためにも重要であり、認知症フレンドリーセンターでの催しなどを通じて機会の拡大を図っていく。また、中学校での講座についても、全校での実施を目指して取り組んでいく。

◯勝山委員 言うまでもなく、認知症の人や高齢者に携わる機会が多い医療、介護施設の従事者がユマニチュードを習得することが、認知症の人だけではなく、看護、介護する従事者、ひいては施設全体に好影響をもたらし、本市の目指すユマニチュード導入の期待する効果の一つだと考える。そこで、ユマニチュードのさらなる普及と効果を発揮するため、ユマニチュードの認証を取得する事業所が増えるよう、市が後押しをするべきだと考えるが、所見を尋ねる。

△福祉局長 ユマニチュードについては、高齢者施設などの認証取得に向けて、本市が一部費用を負担し支援を行っているところであり、このような取組を強化していく。

◯勝山委員 認知症基本法には、認知症の人にとって、日常生活または社会生活を営む上で障壁となるものを除去すること、社会のあらゆる分野における活動に参画する機会の確保を通じて、その個性と能力を十分に発揮することができるとある。ユマニチュードの普及や認知症の施策を推し進めるためには、認知症の人とその家族を守る条例の制定が重要だと考えるが、本市の所見を尋ねる。

△福祉局長 認知症については、認知症基本法を踏まえ、今後、国において認知症施策推進基本計画が策定される予定であり、必要な対応を行っていく。

◯勝山委員 ユマニチュードを福岡に広く普及することが、共生社会の実現に必ずつながると思う。最後に、市長が目指す認知症の人にやさしいユマニチュードのまち福岡の実現に向けた決意を尋ね、私の質問を終わる。

△市長 世界で最も高齢化が進む日本において、認知症をはじめ、誰もが大切にされていることを実感し、安心して自分らしく暮らせるインクルーシブな社会を実現することが極めて重要となっている。この実現に向けて大きな力を発揮するコミュニケーション・ケア技法、ユマニチュードについて、市民、事業者へのさらなる普及促進や、まち全体への浸透に向けて、様々な媒体による広報や、小学校、公民館での講座の拡大などを進めていく。今後とも、認知症の人が尊厳と希望を持って、認知症とともに生きることができる認知症フレンドリーシティを目指して、しっかりと取り組んでいく。

 

議員紹介

  1. つつみ 健太郎

    西 区

    つつみ 健太郎
  2. たばる 香代子

    中央区

    たばる 香代子
  3. たのかしら 知行

    博多区

    たのかしら 知行
  4. 石本 優子

    早良区

    石本 優子
  5. かつやま 信吾

    東 区

    かつやま 信吾
  6. 古川 きよふみ

    博多区

    古川 きよふみ
  7. 高木 勝利

    早良区

    高木 勝利
  8. しのはら 達也

    城南区

    しのはら 達也
  9. 尾花 康広

    東 区

    尾花 康広
  10. 松野 たかし

    南 区

    松野 たかし
  11. 山口 つよし

    東 区

    山口 つよし
  12. 大石 しゅうじ

    南 区

    大石 しゅうじ
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