◯大石委員 公明党福岡市議団を代表して、水道事業における経営の効率化について、ごみ収集業務における働きやすい環境づくりについて、そして街路樹の根上がり問題について、帯状疱疹予防ワクチンの接種費用助成について、以上4項目の質疑を行う。まず初めに、本市の水道事業における経営の効率化について尋ねる。本年3月の予算特別委員会で、我が会派の議員が、未来へつなぐ水道事業についてと題して、これまでの本市の水道事業の足跡を振り返りつつ、次の100年に向けて、市民の安全、安心な暮らしを支え、魅力あるまちをさらに発展させるためのインフラである水道事業を、今後どのように構築していくのかについて質問した。この質問に対して、水道事業管理者からは、本市の水道事業を次の世代に健全な形で引き継いでいけるよう、持続可能な水道事業の構築に向けて全力で取り組むという大変に頼もしい答弁があった。しかしながら、国際情勢等の影響により物価の高騰が続いていることや、令和6年4月から建設業にも労働時間の上限規制が適用されること、また近い将来本市も人口減少に転じて水道料金収入への影響が避けられないことなど、水道事業を取り巻く環境が厳しさを増す中で、その安定経営が懸念されているところである。このような中で、将来にわたり重要なインフラである水道事業を健全な形で持続していくためには、ICTやAIなどの先進技術や、これまでにない新たな発想をもって、効率的な経営に取り組んでいかなくてはならないと思う。そこでまず、令和4年度決算におけるICT等の新技術の活用に向けた取組とその決算額について尋ねる。
△水道事業管理者 水道局では、水道ICTの積極的な推進を経営戦略に位置づけ、令和2年度から様々な実証実験に取り組んでいる。4年度はIoTセンサーを活用したポンプ設備の点検を事業化するとともに、ICT技術を活用した水源涵養林の点検及びAIを活用した管路劣化予測の実証実験や、水道料金系システムの再構築などに取り組んでいる。決算額はIoTセンサーをポンプ設備に実装する費用として792万円、システムの再構築は2年度から着手しており、4年度決算額は4億65万円余である。
◯大石委員 次に、令和4年度に実際に事業化したものや、5年度に事業化するものについて、どのような事業があるのか尋ねる。
△水道事業管理者 令和4年度に事業化したIoTセンサーを活用したポンプ設備の点検については、遠隔でリアルタイムに振動データを自動計測することでポンプの異変を早期に察知し、時宜を捉えた効果的なメンテナンスを可能とするもので、高宮浄水場に実装している。4年度に実証実験した水源涵養林の点検については、マルチスペクトルカメラを搭載したドローンを活用し、倒木のおそれがある枯れ木等を検出するもので、5年度中に曲渕ダム周辺において事業化予定である。料金システムについては、昭和63年度導入以降、度重なる改修によって複雑化しているため、経営の効率化と市民サービスの向上を図るとともに、将来多様化するニーズなどにも対応できるよう、令和6年1月からの稼働に向けて再構築を進めている。
◯大石委員 様々なICT等の技術について研究、検討しながら、着実に事業化につなげていることがよく理解できた。長年培ってきた技術やノウハウに、さらにICT等の技術を掛け合わせることで、水道事業のより一層の効率的な運営につなげるよう要望しておきたい。また、これらの取組の中で、水道料金系システムの再構築については、経営の効率化はもちろんのことだが、市民サービスの向上に大いに資することが望まれる。特に、我が会派では、ユニバーサルデザインの考えに基づき、様々な場面での音声コード、ユニボイスの活用を求めてきたところである。このユニボイスについては、視覚に障がいのある人がスマートフォンのアプリを使って印刷物の情報を音声で得ることができるもので、横浜市や名古屋市では、水道メーターの検針時に各戸に投函する水道使用量等のお知らせに対して、既にユニボイスを導入しているところである。新たな水道料金系システムについて、令和6年1月から稼働するとのことだが、経営の効率化や市民サービスの向上がどのように図られるのか尋ねる。また、このシステムの再構築に併せて水道使用量等のお知らせへのユニボイスの導入はできないのか尋ねる。
△水道事業管理者 新たなシステムについては、事務処理や運用保守の効率化、改修費用の軽減が可能となるとともに、お客様からの問合せに対する対応の迅速化や水道料金等のスマートフォン決済が可能となるなど、お客様サービスの充実が図られるものである。ユニボイスについては、視覚障がい者への支援の充実を図るため、水道使用量や料金を音声で知らせることができるよう、システムの稼働開始に併せた導入に向けて取り組んでいく。
◯大石委員 今答弁してもらったが、ぜひともシステムの再構築を図り、市民によりよいサービスが提供できるよう、しっかり取り組んでもらいたいと思う。また、水道使用量等のお知らせへのユニボイス導入については、早期に実現するよう強く要望しておく。さて、令和6年4月には、国において水道行政は厚生労働省から国土交通省と環境省に移管されることとなっている。水道事業を次の世代にしっかりと引き継いでいくためには、施設や配水管等の維持、更新や強靭化を計画的に行っていく必要があるが、これらの事業には当然ながら莫大な経費が必要となる。この機会を捉え、財政支援措置の拡充などを国に働きかけることも経営の効率化に向けた重要な取組だと思う。最後に、水道事業を取り巻く環境が厳しさを増している中で、水道事業の安定経営に向けどのように取り組んでいくのか、管理者の決意を聞いて、この質問を終わる。
△水道事業管理者 水道局では、持続的な安定経営に向け、組織体制の最適化や民間活力の活用など経営の効率化を進めるとともに、アセットマネジメント手法の活用による施設の長寿命化や資金需要の平準化を図りながら、財政運営に取り組んでいる。委員指摘のとおり、水道事業を取り巻く環境が厳しさを増す中、増大する水道施設の更新需要に適切に対応していくため、耐震化や耐水化、設備の更新、浄水場の再編などを計画的かつ着実に進めていかなければならない。引き続き、ICTの活用などによる効率的な事業運営や健全な財政運営に努めるとともに、国の水道行政移管に伴う制度改正などを注視しながら、持続可能な水道事業の構築にしっかりと取り組んでいく。
◯大石委員 どうか、よろしくお願いする。次に、ごみ収集業務における働きやすい環境づくりについて尋ねる。今年8月、台風6号が九州に襲来したのは記憶に新しいと思う。台風が過ぎ去ってから、私は知人から、台風でもごみを出すことができて助かったという声や、強風の中作業をした収集作業員の人たちへの感謝の声を聞いた。ごみ収集に関しては、日頃からそのような声以外にも、他都市から転入してきた人などからは、夜間収集や戸別収集について高い評価の声を聞くことがある。その一方で、ごみ収集を担う事業者に話を聞いてみると、深刻な人材不足を背景に、近年、新規採用を募集してもなかなか応募がなく、やはり人材の確保に苦慮しているということを聞いた。夜間の収集業務は昼夜逆転の生活になり大変であることも、人材確保を困難にしている要因としてあるようである。ごみ収集については、快適な市民生活を支える上での重要な生活インフラであり、人材の確保が困難になるということは、市民生活への影響に直結する大きな課題となりかねない。少しでも事業者の人材確保が円滑に進められるように、収集業務に従事する人たちの働きやすい環境づくりが重要となってくる。そこでまず、令和4年度におけるごみ関連の決算状況について尋ねる。
△環境局長 令和4年度のごみ処理関連の決算額については、197億7,010万円余となっている。その内訳は、家庭から出る可燃、不燃、粗大ごみなどの収集運搬に係る経費として81億1,924万円余、工場や埋立場などのごみ処理施設の運営経費として60億5,974万円余、ごみ処理施設の整備や修繕等の経費として41億4,854万円余、家庭ごみの指定袋の調達等の経費として9億653万円余、その他の経費として5億3,603万円余となっている。
◯大石委員 次に、家庭ごみ処理量及び市民1人1日当たりのごみ処理量について、平成30年度から令和4年度までの実績値を尋ねる。
△環境局長 家庭ごみの処理量については、平成30年度が約28万8,000トン、令和元年度が約29万2,000トン、2年度が約30万2,000トン、3年度が約29万3,000トン、4年度が約28万3,000トンとなっており、次に、市民1人1日当たりのごみ処理量は、平成30年度が498グラム、令和元年度が499グラム、2年度が513グラム、3年度が495グラム、4年度が475グラムとなっている。
◯大石委員 それでは次に、本市の家庭ごみの分別区分や収集方法について、改めて尋ねる。
△環境局長 本市の家庭ごみ収集については、可燃ごみ、不燃ごみ、粗大ごみ、空き瓶・ペットボトルの4分別である。可燃ごみは週2回、不燃ごみ及び空き瓶・ペットボトルは月1回の夜間戸別収集、粗大ごみは事前申込みにより昼間に戸別収集を行っている。
◯大石委員 可燃ごみ、不燃ごみ、空き瓶・ペットボトルについては、本市の特徴であり大きな強みである夜間戸別収集が行われている。このような収集形態は全国的に見て一般的なものかどうか、他都市の状況について尋ねる。
△環境局長 政令指定都市においては、家庭ごみの戸別収集は本市のほか名古屋市、大阪市、堺市で実施されており、夜間収集は本市のみが実施しているところである。
◯大石委員 夜間戸別収集は全国的にも例が少ない取組であることがよく理解できた。それでは、本市はこの夜間収集のメリットについてどのように考えているのか尋ねる。
△環境局長 ごみの夜間収集については、街角に昼間ごみ袋がなく都市の美観を確保できること、夜間は交通量が少ないため収集効率がよく昼間の交通渋滞も緩和できること、カラスなどの被害を抑制できることなどのメリットに加え、犯罪などが発生しやすい時間帯である深夜から早朝にかけて、街頭犯罪を抑止するという効果もあると考えている。
◯大石委員 今答弁にもあったが、渋滞を回避し効率的なごみ収集を行うことは脱炭素にもつながるものであるし、夜間の治安維持の向上にもつながっており、大きな社会貢献にもなっていると思う。さらには、防犯以外でも火災の早期発見や消火活動、交通事故への迅速な対応などにつながった事例もあると聞いている。では、全国的にも珍しい本市の夜間戸別収集は、市民からはどのような評価を受けているのか尋ねる。
△環境局長 夜間戸別収集に関する市民評価については、令和3年度の市政アンケート調査において、夜間収集については、満足している、どちらかといえば満足していると回答した人の合計が97.8%、戸別収集については、満足している、どちらかといえば満足していると回答した人の合計が91.0%となっている。
◯大石委員 市民からも非常に高い評価を得ていることがよく分かる。それでは、逆に、現在のごみ収集業務に対して苦情のようなものは届いているのか。あれば、それはどのような内容なのか尋ねる。
△環境局長 ごみ収集業務に関する苦情としては、収集時間が夜のため収集時の音に関すること、ごみ収集車が並走することにより車線が塞がれるなどといった収集車の走行に関すること、収集作業員の休憩時におけるコンビニなどの利用に関することなどについて、寄せられることがある。
◯大石委員 市民からの評価が高い一方で、苦情のような声も届いているということであった。そのような苦情の中でも私が非常に気になっているのが、収集作業員の休憩に関する苦情である。このごみの収集業務は限られた時間で効率的に作業を進める必要があり、作業時間中に休憩を取るというのは、時間的にも場所の確保という意味でも大変に苦労をしているということで、大きな問題になっているようであった。そこで、収集作業員の1日の作業の流れはどのようになっているのか尋ねる。
△環境局長 夜間のごみ収集作業については、夜の11時半に始業し、作業時の注意点の共有や車両点検を行った後、夜の12時前後に車庫を出発する。その後、ごみの収集を行い、清掃工場や資源化センターなどへの搬入を何度か繰り返し、作業終了後、車庫へ戻る。車庫に戻った後、車両清掃や点検、終礼を行い、朝の8時半に終業となる。
◯大石委員 今、ごみ収集時の作業の流れを答弁してもらった。正直、休憩時間の確保については大変に取りにくくなっているのではないかとの印象も受けるが、休憩時間の付与に関して、法令上どのように規定されているのか尋ねる。
△環境局長 労働者の勤務時間中の休憩時間については、労働基準法第34条第1項において、労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を、労働時間の途中に与えなければならないと規定されている。
◯大石委員 最近、他都市において、救急車の隊員が休憩中にコンビニ等で買物をしていると、市民から職務怠慢だというようなクレームが寄せられるといったことが起きていた。同じように、本市のごみ収集においても、収集作業員が休憩を取っていると様々な市民から厳しい意見をもらうことがあると私も聞いている。先日、ごみ収集業務をしている人から相談があった。手紙をもらったので少し抜粋して紹介をしたいと思う。「私たちは、法令順守や熱中症対策の観点から小まめな休憩を行い、一定の休憩時間を取る必要があるため、各個人・各事業者とも作業の進み具合や乗務員の状況を考えながら休憩を取っています。しかし近年、市民からの厳しい目やご意見、あるいは、コンビニの諸事情により休憩が取りづらくなっています。また、夜明けが早い夏場はカラス被害によるごみの散乱での苦情が入るため、早目に収集業務を済まさないといけない現状もあります。休憩を確保することと、休憩が取りづらい現状があり、世帯数やごみが多い収集日と搬入工場の兼ね合いによっては、休憩を、どこで、どのように取って良いものか大変苦慮している状況であります。コンビニでの休憩に関しては、ルールを守ったうえで一お客として利用をさせて頂いております。『トイレを借りるのであれば何か商品を購入する』、『喫煙スペースがないコンビニでは喫煙をしない』、『私語を慎む』、『アイドリングをしない』など、各自・各事業者、気を付けながら休憩を確保している状況であります。また、ごみ収集業務は公務員の方の仕事であるとの誤解があり、適切に休憩を取っているにもかかわらず世間一般の休憩時間ではない時間帯での休憩のため、苦情を受けたりして苦しい思いをすることもしばしばあります。苦情対策として、公園の駐車場や田舎道や車通りの少ない路肩などに車を停めて休憩したり、車庫にいったん戻り休憩を取ったりもしますが、交通量が多いエリアを持つ事業者にとっては追突事故のリスクがあり、現場と車庫が遠い事業者にとっては車庫での休憩も現実的ではありません。以上を踏まえまして、休憩場所の確保や休憩を取りやすい環境づくりにご対応頂きますようよろしくお願いいたします」ということであった。この手紙で、事業者や現場で作業を行っている人たちの苦労がよく分かった。そこで、このような状況について、環境局としてどのような考えを持っているのか尋ねる。
△環境局長 収集作業員が適切に休憩時間を確保することは、法令遵守の観点だけでなく、事故を未然に防ぎ安全に作業を行うという観点からも、非常に重要なことであると考えている。
◯大石委員 次に、これまでに環境局が事業者に対して収集作業員の休憩に関する周知を図ったことがあるのか、また事業者から環境局に対して収集作業員の休憩に関する要望や相談等がなされたことがあるのか尋ねる。
△環境局長 事業者へは、折に触れ、適切な休憩時間の取得など法令遵守について文書などで周知を行っているところである。また、事業者からは、コンビニで休憩することに関して市民やオーナーの理解が得られるよう啓発してほしい、公共施設の駐車場などコンビニ以外での休憩場所を確保してほしいといった要望を受けている。
◯大石委員 事業者としても、収集作業員の休憩場所の確保等に大変苦慮しているということである。このような状況を改善するためには、収集作業が夜間に行われていることや収集作業員の休憩の必要性などについて、市民にも広く知ってもらい理解を得ることが重要であると思う。これまで本市では、ごみ収集業務について市民へどのような周知を行ってきたのか、また休憩の必要性に関する広報についてどのように考えているのか尋ねる。
△環境局長 ごみ収集については、これまでも市政だよりなどにおいて、夜間収集の取組やそのメリットなどについて広報するとともに、収集作業員の安全確保等の観点から、分別の徹底や危険物の混入防止などについて注意喚起を行ってきたところである。また、これまでに収集作業員の休憩に関し、広く市民等への周知啓発を行ったことはないが、電話等によりコンビニなどの利用に関する意見をもらった際には、収集作業員の休憩の必要性や休憩場所としての利用について理解や協力を求めてきたところである。今後、ごみ収集業務における休憩の必要性などについて、さらに市民理解を得られるよう、事業者とも連携を図りながら広く周知、啓発に努めていく。
◯大石委員 ぜひ、引き続き広報等に努めてもらいたい。そして、このような事案については、事業者だけでの解決を求めるのではなく、市も一緒になって何らかの対策を講じていく必要があるかと思う。例えば、コンビニ業界に対して駐車場での休憩についての協力要請や、あるいは公民館や市の公共施設の駐車場を休憩場所として提供するなど、収集作業員が安心して休憩できる環境が整えられるよう、市も協力していく必要があるのではないかと考える。ごみ収集業務は、快適な市民生活を維持するために必要不可欠なものであり、安定的に業務を継続していくことが大変重要である。これまで述べてきたとおり、市民からの評価も高く、本市が全国に誇るすばらしい生活インフラである夜間収集は、今後もぜひ継続してもらいたいと考えている。そのためにも収集作業員の人材確保、そして労働環境の整備は欠かすことができない。最後に、本市も事業者と連携を図り、ごみ収集作業員の働きやすい環境づくりに努め、ごみ収集業務を安定的に継続していくことができるよう、そして安全、安心で快適な市民生活の確保につなげてもらいたいと思うが、市長の所見を尋ね、この質問を終わる。
△市長 本市は、豊かな自然と充実した都市機能がコンパクトに集約された美しく住みよいまちとして国内外から高い評価を受けており、全国でもまれなこの夜間のごみ収集は、都市の良好な都市景観や市民の安全で快適な生活に大いに貢献している。委員指摘のとおり、ごみ収集は市民生活を維持するために必要不可欠であり、今後も安定的に業務を継続していくこと、そして、そのためにもごみ収集に携わる人たちの働きやすい環境づくりは大変重要なことと考えている。今後とも、事業者と連携を図りながら必要な協力、支援を行い、ごみ収集業務の安定的な実施と市民の安全、安心な生活環境の確保に取り組んでいく。
◯大石委員 どうかよろしくお願いする。次に、本市の街路樹の根上がり問題について尋ねる。道路を彩る緑である街路樹は、都市の潤いある良好な環境づくりと豊かな市民生活の向上において、とても重要な役割を果たしていると思う。また、都市の成熟とともに緑の存在感と重要性も増していると感じるところである。一方で、古くに植樹された街路樹では大木化をしているものもあり、近年、樹木の老齢化や病虫害による腐れや枯れ、台風などの気象現象による倒木事故の全国ニュースを目にすることも多くなってきている。そうなると、せっかくの街路樹の効能、効果よりも弊害のほうが目立ってしまい、厄介者として扱われてしまうことになるのではないかと危惧しており、風格ある都市環境の形成と景観づくりにとって欠かせない要素となっている街路樹は、しっかりと守り生かしていく必要があると考えているところである。私は、令和元年に街路樹の管理状況や課題、取組状況について質問したが、時間の経過とともに街路樹を取り巻く環境も状況も変化をしてきており、安全対策などに対する市民の認識も高まっていると感じている。そこで、本市における街路樹の状況や安全対策をはじめ、現在の取組、これからの在り方などについて尋ねる。まず、過去5年間の本市の街路樹の維持管理費の決算状況はどのように推移しているのか尋ねる。
△住宅都市局長 街路樹の維持管理費については、平成30年度は約4億9,400万円、令和元年度は約5億円、2年度は約5億700万円、3年度は約4億8,900万円、4年度は約5億3,700万円となっており、近年は増額してきたところである。
◯大石委員 都市を彩る街路樹には様々な種類があるかと思う。本市の街路樹にはどういった樹種があるのか、樹齢はどれくらいか、高木、中木などはそれぞれどれだけの数があるのか、また近年の増減はどうなっているのか、本市の特徴があれば併せて答弁を求める。
△住宅都市局長 街路樹の樹種については、植栽本数の多い順に、ホルトノキ、ケヤキ、イチョウ、クロガネモチ、クスノキなどとなっている。樹齢については、植栽されて間もない数年程度のものから、香椎参道のクスノキのように100年を超えているものまである。数については、高木は5万4,000本余、中木は2万7,000本余、低木は170万本余を管理している。近年の増減については、病害虫や腐朽により危険木として撤去するものや台風等により倒れる樹木もあるが、新規路線整備などで新たに植栽を行っており、全体としてはほぼ横ばいの状況である。特徴としては、これまでは、市の木であるクロガネモチやクスノキをはじめとした常緑樹を多く取り入れていたが、近年では、ヒトツバタゴやサルスベリなどの花が咲く樹木も植えることによって、まち並みに彩りを添えている。さらに、植樹帯において一人一花運動として市民や企業との共働により花壇づくりにも取り組んでおり、都市景観の向上にも寄与している。
◯大石委員 前回質問した街路樹の本数とほぼ変わりがないようであるが、樹木の年数の経過により、大木化、老齢化などの問題については顕在化してきているのではないかと危惧している。そこで、本市に寄せられる街路樹の相談について、過去5年間の相談件数の推移、相談内容等はどのようになっているのか、また相談の中身について何か特徴的なものがあるのか尋ねる。
△住宅都市局長 市民からの相談件数については、平成30年度は1,505件、令和元年度は1,605件、2年度は1,244件、3年度は1,019件、4年度は1,076件となっている。また、相談内容については、街路樹の剪定や刈り込み、植栽帯の除草や落ち葉の清掃、毛虫などの害虫、カラスやムクドリなどの鳥害、隣接地への街路樹の根の侵入、歩道の根上がりに関する要望等がある。相談の特徴としては、信号標識などの遮蔽や運転者からの見通し阻害など、安全、安心の観点から剪定要望や除草要望が多くを占めている。
◯大石委員 今、答弁で市民からの相談内容を説明してもらったが、前回の質問時から引き続き、なかなか解決されない問題であり、市民生活にとってはより深刻度が増しているのではないかと思われる根上がりについて尋ねる。まず、この根上がりとは何かということだが、写真を持ってきた。根が上がって、4つの方向に根が走って盛り上がって、歩行がなかなかしにくいという状況になっているようである。これが根上がりである。なぜ根上がりが発生するのか、また根上がりが原因の事故はどれくらい発生しているのか、過去5年間の件数を尋ねる。
△住宅都市局長 根上がりとは、樹木の成長に伴い、根が道路の舗装やブロックを持ち上げて路面等が凸凹になることである。その原因は、樹種や生育環境などにより異なるが、一般的には狭い植樹帯において樹木と縁石などの構造物が近いため、樹木の成長に伴い根が舗装下部の隙間に入り込むことによるものである。根上がりによる事故件数については、詳細には把握できていないが、根上がりに関する通報等は年間80件程度把握しているところである。
◯大石委員 根上がりについては、市民から、凸凹して歩きにくい、車椅子やベビーカーで通りにくい、危険だなど切実な声もよく聞くことがある。総合的な街路樹管理が必要ではないかと思うが、所見を尋ねる。
△住宅都市局長 街路樹については、都市景観の向上や緑陰形成、交通安全など多種多様な効用があり、その機能を発揮するための必要な管理を行っている。一方で、街路樹による道路の根上がりについては、歩行者等の安全な通行を妨げる要因であると認識している。そのため、日々のパトロールや点検により根上がりの早期発見に努め、道路管理者とも連携しながら対応しているところである。
◯大石委員 それでは、本市において年間どれくらいの根上がりに対しての対処、対応をしてきているのか、過去5年間の推移を尋ねる。
△住宅都市局長 対処した件数については、平成30年度は56件、令和元年度は69件、2年度は88件、3年度は59件、4年度は43件となっている。
◯大石委員 それでは、改めて確認するが、本市では、これまで根上がりの対処、補修はどのような方法を取ってきているのか、現在の補修方法になったのはどのような理由からなのか尋ねる。
△住宅都市局長 根上がりの対処については、既存路線では、歩行者の安全を確保しつつ既存樹木を可能な限り生かすため、道路管理者と連携して、段差が緩やかになるように舗装をならし段差の解消を行うことを原則としているが、それで解消できない場合には、歩道の舗装を剥がして掘削した上で樹木の根切りを行い、再び埋め戻して舗装することで、段差の解消を行っている。根切りの程度により倒木の可能性がある場合などやむを得ない場合には、街路樹の撤去を行うこともある。なお、新規路線の街路樹植栽や既存路線の街路樹の更新の際には、将来的な根上がりの発生を抑制するため、歩道幅員に応じた樹種の選定や根の広がりを抑制する防根シートの設置、根を誘導するための基盤材の設置などの対策に取り組んでいる。今後も、新たな技術を取り入れながら取り組んでいく。
◯大石委員 この根上がりについては、樹種、植栽場所など様々な原因によって影響があるかと思う。根上がりの現状を知らなければ、正しい対策は取れない。また、おのずと対策方法も変わってくるかと思う。そこで、本市では、根上がりに特化した実態調査を行ったことがあるか。具体的にどれだけの根上がり箇所が存在するのか答弁を求める。
△住宅都市局長 根上がりの実態については、全市的に徒歩による街路樹パトロールを3年ごとに行っており、近年の3年間で137か所を確認している。加えて、月1回のパトロールや、電話やLINEによる市民からの通報などによる確認も行っている。
◯大石委員 街路樹の根上がりを含めた様々な情報をデータベース化して一元管理することは、街路樹管理の効率化に大いに資するものと思う。以前にも紹介した東京都杉並区では、街路樹に係るデータを一元的に管理して、樹種、所在地、樹木画像、施設番号を表記した電子地図を一般公開することで、住民からの問合せや苦情への対応を円滑に進める取組をいち早く行ってきている。本市でも、緑のまちづくり協会が一元的に管理するシステムを運用していると聞いたが、取組を具体的に尋ねる。
△住宅都市局長 街路樹の管理システムについては、樹種や位置図、要望内容等のこれまでのデータに加えて、樹木医による診断履歴や座標データ等を一元的に管理するシステムの構築を進めているところである。当該システムを構築できたところから運用しながら、随時、現地調査やデータの更新等を行っており、今後とも、街路樹管理の効率化に取り組んでいく。
◯大石委員 私は、令和元年の一般質問において、街路樹に特化した市民アンケートをぜひとも実施すべきであると要望した。当時の局長は、今後、緑の基本計画の改定の際に、街路樹の在り方に関しても市民アンケートなどを実施して計画に反映すると答弁した。その進捗状況について尋ねる。
△住宅都市局長 緑の基本計画については、次期福岡市基本計画の検討に合わせて令和7年度の改定を目指し取り組んでおり、現在、緑の現況分析や課題抽出を行うとともに、有識者からなる検討委員会の設置、開催に向けて、委員の選定等を行っているところである。あわせて、幅広い市民の意見を踏まえた計画に改定していくため、次期福岡市基本計画策定と連動したアンケートや有識者インタビューなどを行っているところである。今後、さらに緑に関して幅広い市民の意見を聞くため、ワークショップやヒアリング、ホームページにおけるアンケートなどを実施することとしており、この中で街路樹に期待する点や課題点など在り方に関しても意見を聞き、計画の改定に取り組んでいく。
◯大石委員 杜の都、仙台市では、緑の基本計画から街路樹に関する項目を抜粋し、維持管理の推進や管理体制の充実について、仙台市街路樹マネジメント方針としてまとめ、既に取り組んでいる。また、横浜市では、平成20年から舗装の改修と同時に街路樹の育成を図る、街路樹根上がり対策事業を始めているようである。本市においても、新たな緑の基本計画の中に、街路樹の根上がり対策などが位置づけられることに期待しているところであるが、策定についてはまだ先になるようである。しかし、これまで述べてきた街路樹の根上がり対策については待ったなしの状況であるかと思うので、先行する形で新たな事業としてしっかりとした根上がり対策を実施すべきではないかと考える。この質問の最後に、本市における街路樹の総合管理、そして根上がり対策事業に対する取組についての所見を尋ねる。
△住宅都市局長 街路樹については、都市景観の向上や緑陰形成、交通安全など多種多様な効用があるが、そうした機能を発揮するため、定期的な樹木の剪定や除草、パトロールによる安全確認、日常的な市民要望対応、災害時の緊急対応などを行いながら、総合的な管理を行っている。特に根上がりに関しては、引き続き道路管理者と連携しながら対策を行い、発生抑制に取り組むことで、街路樹の良好な生育環境の確保と歩行者等の安全な通行の確保に努めていく。今後の緑の基本計画の改定において、市民や議会の意見を聞きながら、まちの緑の充実や緑に対する満足度を高める取組を位置づけることとしており、その際、街路樹の在り方等についても検討を行い、風格ある緑豊かなまちづくりに取り組んでいく。
◯大石委員 どうか、よろしくお願いしたい。最後に、帯状疱疹予防ワクチンの接種費用助成について尋ねる。今年の5月8日に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の類型が5類に移行したが、その後も感染は継続し、さらには例年冬の時期に流行するインフルエンザが夏場でも多くの感染が見られており、学級閉鎖等の報告も続いているところである。改めて、日々の感染対策の重要性を認識しているところである。このような状況の中、国において9月に内閣感染症危機管理統括庁が設置され、次の感染症危機に迅速、的確に対応できる体制整備が進められており、本市においても、これまでのコロナ対応を踏まえ、今後を見据えた感染症危機管理体制の強化が望まれるところだと思う。そこでまず、本市の令和4年度のワクチンの定期接種に係る決算額を尋ねる。
△保健医療局長 令和4年度の決算額は49億9,759万円余である。
◯大石委員 ここ最近、帯状疱疹に関するテレビCMをよく目にするようになった。また、新型コロナウイルスの影響もあるのか、ストレスや疲れ、免疫力の低下などにより、ここ数年、帯状疱疹が増えてきたという話もよく耳にする。そこで、帯状疱疹とはどのような病気なのか尋ねる。
△保健医療局長 帯状疱疹は、過去に感染した水痘のウイルスが治癒後も体に長期間潜伏し、免疫低下や加齢に伴い、ウイルスが再び活性化して発症するものである。その症状としては、水膨れを伴う発疹が皮膚に分布している神経に沿って帯状に出現する疾患であり、かゆみや痛みの出現後、水疱の多発や発熱、頭痛が見られるものである。
◯大石委員 今、答弁してもらったが、このパネルの写真が帯状疱疹の状況である。顔に帯状疱疹が出てきたものと背中から脇腹にかけて発疹が出てきたものらしく、これが帯状疱疹の状況となっている。次に、帯状疱疹の発生状況について、実際に本市ではどのようになっているのか、また全国的な状況についても尋ねる。
△保健医療局長 帯状疱疹の発生状況については、法律に基づき届出が必要な疾患ではないため、把握できていない。
◯大石委員 答弁では、帯状疱疹の患者数について、医療機関からの報告がないためデータがないということである。昨年度の決算総会質疑で我が会派の議員の質問にもあった、平成9年から宮崎県内の診療所や病院約40施設が続けている調査、いわゆる宮崎スタディによると、発症者数は増加傾向であり、9年の4,243人から令和4年は6,467人へと52%増加、人口1,000人当たりの発症率も3.61人から6.15人へと伸びているとのことであった。帯状疱疹はかゆみや強い痛みを伴うことが多いと言われているが、発疹等の皮膚の症状が治った後も痛みが残るなど、いわゆる後遺症に悩む人も多いと聞く。そこで、帯状疱疹の後遺症とはどのようなものがあるのか、またその治療方法についても併せて尋ねる。
△保健医療局長 最も頻度が高い後遺症としては、皮膚症状が治った後も痛みが残る帯状疱疹後神経痛であり、その治療方法は痛みを抑える鎮痛薬や神経ブロック注射などがある。
◯大石委員 先日も市民相談があったが、帯状疱疹の後遺症に対する治療薬の窓口負担が高額になるとのことであった。実際はどうなのか尋ねる。
△保健医療局長 治療薬については、医療保険が適用されるため、年齢や所得に応じて医療費の1~3割を負担することとされている。さらに、負担が一定の上限を超えた場合に超えた金額が支給される高額療養費制度により、自己負担が一定額に抑えられることとなる。
◯大石委員 帯状疱疹の発症原因は、ストレスや疲れ、加齢などによる免疫機能の低下で水痘・帯状疱疹ウイルスが再び活性化することと言われているが、そもそも帯状疱疹を予防することは可能なのか尋ねる。
△保健医療局長 帯状疱疹の予防については、規則正しい生活習慣や適度な運動に加え、50歳以上の人が希望する場合は、帯状疱疹予防ワクチンの接種を受けることが有効とされている。
◯大石委員 ただいまの答弁にもあった帯状疱疹予防ワクチンについて、その種類や効果について尋ねる。
△保健医療局長 ワクチンの種類は生ワクチンと不活化ワクチンの2種類があり、その発症予防効果については、生ワクチンが約50%、不活化ワクチンが約97%である。
◯大石委員 帯状疱疹予防ワクチンの接種によって、相当高い割合で発症予防や発症後の症状の軽減ができるということである。しかしながら、帯状疱疹予防ワクチンの接種費用は、生ワクチンが1回接種で約8,000円、不活化ワクチンが2回接種で約4万4,000円と、特に不活化ワクチンは高額のため接種をためらう人が多いのではないかと考えている。帯状疱疹予防ワクチンの接種費用に対する公費の助成が必要だと思うが、所見を尋ねる。
△保健医療局長 帯状疱疹予防ワクチンについては、現在、国の厚生科学審議会において、科学的根拠に基づき、有効性や安全性、費用対効果等について議論されているところである。今後、必要なデータに関して結果を取りまとめた後、期待される効果や対象年齢に関して検討される見込みであることから、引き続き国の動向を注視していきたいと考えている。
◯大石委員 帯状疱疹予防ワクチンについては国で検討をされているが、コロナの影響などもあり、平成30年5月以降、具体的な進展が見られない状況が続いている。先ほどの答弁によると、ワクチン接種による予防効果は非常に高く、帯状疱疹の予防にはワクチン接種が最も効果があるのではないかと思う。ワクチン接種によって感染を防ぐことができた場合、当然その分の医療費を削減することができるわけである。そこで、仮に65歳以上の市民を対象に帯状疱疹予防ワクチンの接種費用を助成した場合、その費用はどうなるのか示されたい。
△保健医療局長 他都市の助成実績を基に、接種率を4%、助成額を不活化ワクチン1万800円、生ワクチン4,200円として65歳以上の人に接種する場合については、その費用は年間で約2億8,000万円である。
◯大石委員 今、数字を出してもらったが、今後ますますの高齢化の進展により、加齢や疾病によって医療や介護が必要な人が増えていくことが予測される中、65歳以上の高齢者がワクチン接種によって帯状疱疹を予防することができるのであれば、接種の効果は医療費だけではなく介護費や介護負担の軽減などにも及ぶとも考えられる。費用対効果だけでははかれないプラスの効果があるのではないか。そこで、改めて尋ねるが、帯状疱疹については、ワクチン接種費用の公費助成を行い予防に取り組んだほうがより効果的だと考えるが、所見を尋ねる。
△保健医療局長 帯状疱疹予防ワクチンについては、現在、国の厚生科学審議会において予防接種法に基づく定期接種化に係る議論が続けられているため、その動向を注視するとともに、他都市の助成状況などに関する情報把握に努めていきたい。
◯大石委員 帯状疱疹を予防することによって、直接的な医療費や罹患による労働損失の抑制など大きな効果が期待される。また、帯状疱疹が予防できることは、生活の質の向上にも大きくつながるのではないかと考えている。そういったことからも、帯状疱疹の予防に効果が期待されるワクチン接種が受けやすい環境整備が一層求められているのではないか。高齢化の影響もあり、帯状疱疹の罹患者数は全国的にも増加傾向にあることから、名古屋市や東京23区など帯状疱疹予防ワクチンの接種に対して公費助成を行う自治体の数は、令和5年9月時点で278市区町村にまで増えてきており、福岡県においても既に3市で助成が開始されている。しかし、私たちの九州地域においては、特に対応が遅れている状況である。ぜひ、本市が帯状疱疹予防ワクチンの公費助成について、九州地域全体を牽引し、さらに市民の生活の質の向上に取り組むべきではないかと考えるが、荒瀬副市長の所見を尋ねて、私の質問を終わる。
△荒瀬副市長 帯状疱疹予防ワクチンは、帯状疱疹の有効な予防法の一つであり、現在、国において広く接種を促進する定期接種化に係る検討がなされているワクチンの一つである。現在ある2種類の帯状疱疹ワクチンのうち、より有効性が高いとされる不活化ワクチンは、令和2年1月に販売された新しいワクチンであり、高額であるが、現在有効性の持続期間等についてデータの収集途中であると聞いているところである。ワクチンを公費負担により多くの人に接種するに当たっては、科学的根拠に基づいた有効性や安全性、費用対効果等について情報を収集して、検討を続けていきたいと思っている。本市においても、高齢化がますます進展していくため、今後とも健康で安全な暮らしの実現に向けた取組をしっかりと行っていく。