▼令和5年 令和4年度決算特別委員会 山口 剛司 総会質疑 (令和5年9月20日)

◯山口委員 公明党福岡市議団を代表して、介護施設事業者の課題について、市営住宅の建て替え計画について、オンデマンド交通社会実験の成果について、以下質問する。まず、介護施設事業者の課題である。令和4年度の介護保険事業特別会計の決算では、1,165億4,000万円ほどであった。3年度に比べ約30億円、2.6%の伸びとなっている。5年度の予算は1,200億2,000万円ほどである。そこで、5年度以降の支出はどのように伸びていくと考えているのか尋ねる。

△福祉局長 令和7年には、団塊世代全てが75歳以上となり、介護のニーズが高まる後期高齢者の増加が見込まれることから、介護サービスの必要量が増加し、介護保険給付費などの支出は年々増加していくものと考えている。

◯山口委員 現在の高齢者人口や第8期介護保険事業計画の進捗を踏まえて、今の時期は、来年度から次の第9期計画を策定するタイミングとなっている。そこで、現在の計画の進捗状況や課題に対して、これからはいかに事業を進めるかが大事な点と考える。特に介護保険を利用する市民が増加していく中で、その受皿となる介護サービス事業所施設や介護人材が特に大事になってくる。そこで、今回の質疑では、様々な介護支援のメニューがある中で、小規模多機能型居宅介護事業について尋ねていく。まず、この事業はどのような支援事業であるのか。その概要と、また、どのような人が利用できるのか示されたい。

△福祉局長 小規模多機能型居宅介護は、できる限り住み慣れた自宅や地域で安心して生活を続けられるよう、デイサービスと訪問介護、ショートステイが一体になったサービスである。サービスの対象者は、自宅などで生活する要支援または要介護の認定を受けた人となっている。

◯山口委員 この事業名は長いため、業界団体が使っている略称で「小多機」とこれから呼ぶ。24時間365日利用できるサービスである。利用料もほかのサービスで利用するたびに支払いが発生するものとは異なり、介護区分に応じて、一月幾らで支払うようになっている。この新しい取組を成功させるためには、地域も含めた話合いが必要となる。そこで、運営推進会議が必要であるが、うまく進んでいるのか。このような会議の取組は行われているのかどうか尋ねる。

△福祉局長 運営推進会議については、事業所のサービスの質の確保を図るため、利用者やその家族、地域住民の代表者などを構成員とし、各事業所が設置するもので、おおむね2か月に1回以上開催され、事業所の活動状況の報告や評価が行われている。

◯山口委員 今の本市内の事業所数及び月平均の利用人数について示されたい。

△福祉局長 令和5年6月末現在、事業所の数は50か所で、月平均の利用人数は895人となっている。

◯山口委員 本市が整備したい生活圏域について、どのくらいの地域単位で整備したいのか尋ねる。また、そう考えた理由も示されたい。

△福祉局長 高齢者が住み慣れた自宅や地域でサービスが利用できるよう、中学校区単位を基本とする59の日常生活圏域全てに小規模多機能型居宅介護事業所または訪問看護も提供できる看護小規模多機能型居宅介護事業所を整備する計画としている。

◯山口委員 第8期介護保険事業計画の中に「小多機」と訪問看護も提供される「看護・小多機」の目標事業所数80事業所が記載されているが、現在の事業所数と乖離がある。59の日常生活圏域、おおむね中学校区域の中で未整備地区は幾つあるのか。整備が進まない理由として何が考えられるのか尋ねる。

△福祉局長 設置されていない圏域数は、令和5年6月末現在で15圏域となっている。整備が進まない理由としては、事業者団体からは、小規模多機能型居宅介護の認知度が低く、サービス利用が進んでいない。国の介護報酬は、要介護度が中重度の人の利用を想定して設定されているが、比較的軽度な人の利用が多く、採算が取りにくいなどの声を聞いている。

◯山口委員 この制度は、平成18年度から地域密着型サービスとして始まっており、現在では既に16年が経過している。今の答弁にあったように未整備地域がある。この未整備の生活圏域では、地域で「小多機」の利用を希望する人のニーズに対応できないのではないかと危惧するが、所見を尋ねる。

△福祉局長 居住する圏域を問わず、市内の他の圏域の事業所を利用することも可能であるが、身近な日常生活圏域で利用してもらえるよう、引き続き整備を進めていく。

◯山口委員 身近なと言うが、中学校区域である。隣の中学校区域ではやはり遠い。この国の制度ではおおむね5キロ圏内というのがまず基本にあった。今の答弁では、利用する人のニーズには合っていないのではないかと考える。今の第8期介護保険事業計画に記載の制度改正4点の中で「地域・住民の複雑化、複合化した市民ニーズに対応する自治体の包括的な支援体制の構築の支援」と書かれているが、本市はうまくいっているとの認識か尋ねる。

△福祉局長 包括的な支援体制の構築については、介護や障がいなど、複数分野の相談機関の連携、協力を促進するとともに、様々な相談を受けた民生委員をサポートする地域共生推進員を配置するなど、体制を強化したところであり、引き続き取組を進めていく。

◯山口委員 「小多機」がさらに普及するよう改善を国に要望しなければならないのではないかと考えるが、所見を尋ねる。

△福祉局長 国に対しては、サービスの利用実態に即した報酬単価を設定するとともに、人員や運営等の基準について必要な措置を講じるよう要望しているところであり、引き続き要望していく。

◯山口委員 今年7月に福祉局並びにこども未来局から出された社会福祉関係予算に関する提案の資料をもらった。この中を見ると、介護現場では採算が取れない状況で、これに対しては、国が全て報酬という形でお金を握っている。そこを要望しないことには、国は分からないと思っている。さらに、もう1点は、令和5年の本市の国に対する提言事項である。例年7月に出されていると思う。これは令和5年度に対する提言事項であり、昨年提出されたものである。そして、まだ製本になっていないということであるが、こちらが今年の分である。今年の分にもいろいろな項目があるが、驚いたのは、この中に福祉・介護人材確保の重点事項というものが載っているが、なんと昨年の要望と一言一句変わっていない。どういうことか。これは担当局が悪いのか、それとも総務企画局のチェックができなかったのか、ここのところはしっかりやってもらいたい。なぜかというと、来年から介護保険事業計画が9期で見直しになる。見直しになるときに「去年と同じ文言で出して、福岡市は何を考えているのか」と言われるに決まっている。これは今年済んだ話であるため、もう取り返しがつかないが、まだ、市長も副市長も東京に行く機会があると思うため、ぜひ、去年と同じではないということを訴えてもらいたい。そうしなければ、国の官僚たちは動かないのではないかと危惧しているため、どうかお願いしたいと思う。そもそも、この「小多機」事業が広く知られていないことが、スタートからうまく回らないのではないかと考えている。現在この事業で収支が合うのか、担当課は何か調査等を行ったのか。調査していれば、その結果を示されたい。

△福祉局長 令和3年度に、市内の事業所を対象に、サービスの利用状況などに関する調査を実施し、事業所の定員に対する利用率は平均80%、利用者の要介護状態は軽度者と中重度者の割合が半々、利用者が少ないと感じている事業所の半数は認知度が低いと考えているなどの結果を得ている。こうした状況を踏まえ、市政だよりやパンフレットの配布による広報、フォーラムの開催など、小規模多機能型居宅介護の普及に向けて取り組んでいるところである。

◯山口委員 本市独自にでも資金面で給付金をプラスすることはできないのか尋ねる。

△福祉局長 小規模多機能型居宅介護に対する支援としては、県の補助金を活用した整備費や開設準備経費の助成に加え、令和3年度から本市独自に、1事業所当たり450万円の整備費の補助を行っている。

◯山口委員 新しく造るときに、整備費を出している。だが、各事業所は、毎年の運営資金不足に悩んでいる。ここのところはぜひ県にも意見を言ってもらい、何とか事業が回るようにできないか、ぜひ相談してもらいたいと思う。さらに本市では、事業者の相談会等は実施しているのか尋ねる。

△福祉局長 事業所の開設等に関する相談に随時応じているほか、事業運営に関する具体的な相談があった場合には、市内の事業者でつくる小規模多機能ケアネットワークを紹介するなどの対応を行っている。

◯山口委員 次に、高齢者施設の一つである軽費老人ホームに対しては、入所者数に応じ運営費補助金を出しているが、令和4年度の支給月はどうだったのか、何月に何%支給したのか示されたい。

△福祉局長 令和4年度は、12月に交付決定額の75%、3月に25%を概算払いにより交付し、5年5月に精算による追加交付等を行っている。

◯山口委員 また、令和3年度の支給月実績は、何月に何%支給したのか示されたい。

△福祉局長 令和3年度においては、10月に交付決定額の75%を概算払いにより交付し、4年5月に残額を精算払いにより交付している。

◯山口委員 令和3年度と4年度で支給月に違いがあるが、その理由を尋ねる。

△福祉局長 対象となる23施設から申請書類を提出してもらい、全ての申請内容を精査した後に一括して交付決定を行っていることから、年度によって支給月に違いが生じているものである。

◯山口委員 この支給月が違うことは本当に事業者にとってはたまったものではない。各施設では、財源が潤沢にあるところばかりではない。給与を含め、各支払いに頭を悩ませている施設が多いと思う。私が聞いた施設は、大変なやりくりをしてした。支給月が年によって異ならないようにするためには、何をどうすればよいか、標準化の方策を示されたい。また、今年度以降、支給月に対して固定するのかどうか、見解を尋ねる。

△福祉局長 軽費老人ホームについては、その運営に当たり、様々な経営上の努力をしているものと認識している。補助金については、原則として、毎年度同じ月に交付できるよう取り組んでいく。

◯山口委員 福祉局以外の部局も市からの運営費や補助金を支給している部署がたくさんあると思うが、よそごとと思ってはいけない。支給月が様々変化していないかどうか確認してもらいたい。支払い月を固定されたい。他山の石として、改善するようお願いしておく。今回質問している「小多機」は、市民が必要以上に多く利用しようとすれば、料金が月額の定額制であるため、このサービスは成り立たない。地域ケア会議や運営推進会議が適宜行われて、この事業が継続できるよう取り組むことが大事な視点だと考える。全ての介護保険事業は、今やなくしてはならない事業となっている。施設の運営も事業者の善意ばかりに頼るわけにはいかない。本市では、新しく事業を始める人たちには、スタートアップ事業がある。経営のやり方など、学べる機会が約束されている。しかし、介護関連の事業者は、コロナ禍を経験して大変な苦労があり、採算が取れなくなっている事業所も見受けられる。介護保険課や事業者指導課のプロの職員たちには、ぜひ現場に足を運んでもらいたい。特に、運営推進会議が終わった後など、書類で結果の報告を聞くだけではなく、何が課題として出て、どのように改善しようとしているかなどを聞いてもらいたい。「小多機」だけで言うと、それほど事業所が多いわけではない。他のサービスを提供している事業所へも現地訪問するのには、年に1回以上は行けるのではないかと考える。こう言うのも、昨年までで「小多機」は3か所やめている。この事業所の人たちの相談を聞く機会をどうか定期的に持ってもらいたい。所見を尋ねる。

△福祉局長 小規模多機能型居宅介護などの介護サービスは、要介護者やその家族などの生活を支える上で欠かせないものであると認識している。今後とも介護事業者等からの相談に適切に対応し、安定した事業運営の確保が図られるよう取り組んでいく。

◯山口委員 今回取り上げた介護保険事業は、これからも市民ニーズにマッチした施策が、時には手探りもあるだろうが、しっかり考えて実行することが必要と考える。利用する市民も、運営する事業者にも寄り添った事業への応援を走りながら取り組んでもらいたいと考えるが、今後の本市の取組に対して、市長の所見を尋ねる。

△市長 超高齢社会を迎える中、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らしていくために、介護保険制度は重要な役割を果たしているものと認識している。本市においては介護を必要とする人などが適切なサービスを受けられるよう、いきいきセンターふくおかにおいて、一人一人に寄り添った支援を行うとともに、高齢者やその家族を支えるために尽力している事業者に対し、施設の整備などの助成、また、サービス運営に関する助言、介護人材の確保に向けた取組など様々な支援を行っているところである。今後とも、介護保険制度をはじめとする高齢者施策にしっかりと取り組むとともに、産官学民、オール福岡で福岡100プロジェクトを推進し、誰もが自分らしく暮らせる持続可能な社会の実現に取り組んでいく。

◯山口委員 どうか介護制度をしっかり持続できるような仕組みにして、働いている今の若い人たちに負担がかからないような、そういう制度にぜひ取り組んでもらいたいと思っている。次に、市営住宅の建て替え計画について尋ねる。市営住宅の建て替え事業は、令和4年度、新規の高層耐火構造で132戸、継続で建設中が626戸であった。そのうち完成戸数は272戸になると記載されている。この戸数は、建築40年以上の住宅において、どのくらいの割合になるのか尋ねる。

△住宅都市局長 令和4年度末時点で築40年以上が経過した市営住宅は1万5,788戸であり、4年度に完成した272戸は、その約2%に当たる。

◯山口委員 本市の市営住宅は、169住宅で3万1,211戸ある。これまでの当局の話では、築40年経過した住宅の建て替えは終わらないのではないだろうかとのことであった。現在ではどうなっているのか。今後、築40年以上は解消されるのか尋ねる。

△住宅都市局長 市営住宅は約半数が昭和40~50年代に整備されており、これらの住宅が順次更新時期を迎えることから、限られた財源において居住環境を改善し、将来にわたって安定的な運営を確保するため、ストック総合活用計画に基づき、計画的、効率的な建て替えや維持保全に取り組んでいる。同計画を策定した平成12年度末時点において、築40年以上だった住宅については、全て建て替えが完了しており、引き続き計画的な建て替えなどに取り組んでいく。

◯山口委員 大規模団地の建て替えが進行しているが、中小規模の団地では、まだ建て替え前の住宅が多く見かけられる。現在の住宅の建築経過10年単位で戸数を示すとともに、今後の見通しを尋ねる。

△住宅都市局長 令和4年度末時点の市営住宅の管理戸数3万1,211戸のうち、築10年未満は2,709戸、10年以上20年未満は1,885戸、20年以上30年未満は4,473戸、30年以上40年未満は6,356戸、40年以上は1万5,788戸となっている。平成23年度からは、ストック総合活用計画において、それまでの10年間で2,000戸という建て替えの目標戸数を1.7倍以上となる3,500戸へ大幅に増やしており、近年は5か年平均で90億円を超える事業費を確保して建て替え等を進めるなど、他の政令市と比べても、建て替え等に積極的に取り組んでいる。長期安定的な運営の確保を図るため、今後とも社会情勢や人口動向、住宅状況等の変化を踏まえて、ストック総合活用計画を5年ごとに改定し、同計画に基づき、建て替えなどの機能更新や維持保全に努めていく。

◯山口委員 計画から建て替え完了まで5年以上はかかることを考えると、令和4年時点で40年以上が1万5,788戸というのは、待ったなしの状況ではないかと思う。この計画をどうしていくのかは、最後のほうでまた尋ねる。さて、今回の質疑では、入居者の個人負担の中で、網戸の設置について尋ねる。網戸を入居者が負担することはおかしいのではないかと相談があっている。網が古くなって張り替えを入居者が行うことは少しは理解できるが、網戸の枠も個人負担とはいかがなものか。この点で、なぜ入居者が設置しなければならないのかといった相談や苦情は届いていないのか尋ねる。

△住宅都市局長 市営住宅に関する相談については、本市に寄せられた意見、提案として、年間200件程度ある。このうち、網戸に関しては、エアコンなどの設備がないことについての意見と併せて「網戸がない」、「前の入居者の網戸が使えるようになればよい」といった意見が、過去3年間で6件寄せられている。なお、網戸が設置されていないことの入居者へのお知らせについては、建て替え事業においては計画等の説明の際に、また、入居募集においては当選後にそれぞれ行っている。

◯山口委員 現在、新築住宅や改装済み住宅では、網戸費用の負担は誰が行っているのか尋ねる。

△住宅都市局長 市営住宅の網戸は、入居者による購入、設置を基本としている。

◯山口委員 実際、東区で新築の市営住宅がある。改良住宅など、いろいろな立て分けがあるのかもしれないが、それを見た市民は、あの建物は新築なのに網戸が全部についている、なぜ私が住んでいるところにはつかないのかと言っており、やはりこれは素朴な疑問である。理由はどうあれ、ここのところはしっかり考えてもらいたい。20年前くらいの話になるが、風呂の釜について、当時、役所が設置した役所釜と個人が設置した個人釜で議論になった。退去のときに個人釜を撤去するのはおかしいと、多くの議員から指摘を受けて改善された。今では網戸枠を販売している事業者が少なく、1枚が高額になっている。あるところでは1万8,000円と聞いた。1軒に複数枚設置することを考えると、高額な負担にもなる。家賃の2~3か月分にもなると思う。さらに、普通に住宅の窓には網戸が設置されている日本の住宅を考えると、設置費用は役所が負担するのは当たり前の話と考えるのも当然と思うが、所見を尋ねる。

△住宅都市局長 市営住宅では、網戸をはじめ、照明器具、カーテン、ガスコンロ、エアコン、家具などは、入居者のライフスタイルや好みによって必要性や必要な性能、仕様などが異なるため、標準仕様としていない。県営住宅や北九州市営住宅においても網戸は設置されていないと聞いている。なお、入居者から網戸の購入先の相談があった際には、住宅供給公社において、設置業者の紹介を行っている。

◯山口委員 網戸についても、カーテンなどと同じように、ライフスタイルや好みとの答弁だが、冗談ではないと個人的に思っている。そもそも市営住宅に入居する人たちは、所得で生活に苦労している人たちで、家賃も2~3万円で入居している人がいる。子育てに頑張っている人や介護をしている人たちがいる。私が小学生時代の昭和30~40年代では、窓に網戸がない家が大半であった。今では生活水準が上がり、民間アパートでも普通に網戸は設置されている。また、入居者が網戸を設置した場合で、市営住宅を退去するときは網戸を処分するというルールはいかがなものか。なぜそのまま置いていかれないのか。以前のやり方が今は違うと思う。どうか本市も、ぬくもりを感じられるまちになってもらいたい。子育て世帯や低所得の入居者などに網戸を設置してはどうかと考えるが、答弁を求める。

△住宅都市局長 市営住宅については、安全、安心な居住環境を確保するため、計画的、効率的な機能更新に取り組むとともに、社会情勢や環境への配慮、市民のライフスタイルの変化等を考慮しながら、予算の有効活用の観点も含め、設備や仕様などについて適宜見直している。引き続き、高齢者や障がい者、子育て世帯など、特に配慮が必要な人の暮らしの実情やニーズ等を踏まえながら、誰もが安心して暮らせる居住環境の形成に向けて、退去者が残置した網戸の再利用なども含め、総合的に検討していく。

◯山口委員 今でも本市の人口は増えているものの、生活者の所得で下がっている人たちや、年金で暮らしている人も増えてきている。市営住宅に入居したいと思っている市民が多くいる。入居の抽せん倍率を見れば分かる。しかしながら、これまでに建て替えた住宅においては、空地になっている場所も見受けられる。これからの市営住宅の計画においては、きめ細かくエリアなどを検討する必要があるのではないかと考えるが、市営住宅の質問の最後に市長の所見を尋ねる。

△市長 市営住宅については、住宅の確保に困っている人などに、安全、安心な住宅を提供するという住宅セーフティネットの中核としての重要な役割があると認識しており、将来にわたって安定した運営を図っていくため、エリアごとの人口や世帯の動向、住宅の状況などをきめ細かく分析して策定した市営住宅ストック総合活用計画に基づき、計画的な建て替えや改善事業に取り組んでいる。特に、建て替え事業については、毎年必要な予算を確保して積極的に実施しているところであり、令和5年度からは車椅子使用者向け住戸の大幅な拡充を図ることとしている。また、新婚世帯や子育て世帯などの多様な世帯の入居を促し、地域コミュニティの維持、活性化を図る取組などと併せて、ハード、ソフトの両面から様々な取組を行っている。引き続き、高齢者や障がい者、子育て世帯など、特に配慮が必要な人の状況や、住宅の状況などを踏まえて定期的に計画を見直しながら、誰もが安心して暮らせる住環境づくりにしっかりと取り組んでいく。

◯山口委員 次に、オンデマンド交通社会実験の成果について尋ねていく。本市のオンデマンド交通チョイソコふくおかが令和4年7月より、東区を皮切りに社会実験がスタートした。そこで今回の質疑では、本市の環境に合うのかどうか検証していきたい。5年7月時点の乗車人数、運行日数、運賃収入総額を東区、南区、中央・城南区に分けて示されたい。

△住宅都市局長 エリア1東区は、令和4年11月から運行開始しており、5年7月は運行日数20日で、乗車人数551人、運賃収入約15万円となっている。次に、エリア2南区は、5年1月から運行開始しており、7月は運行日数20日で、乗車人数187人、運賃収入約5万円となっている。次に、エリア3中央区・城南区は、6月から運行を開始しており、7月は運行日数25日で、乗車人数94人、運賃収入約2万円となっている。

◯山口委員 令和4年度の決算額は、予定より費用がかかったのか。1回の乗車で300円は利用者からもらい、運行経費からその運賃等を差し引くと、市の持ち出しは幾らだったのか示されたい。

△住宅都市局長 オンデマンド交通社会実験に係る令和4年度の決算額は920万円余となっている。当初、3エリアとも4年10月の運行開始を想定していたところ、地域や交通事業者と運行内容等の検討を行う中で、運行開始時期が想定とそれぞれ異なることとなり、当初見込みよりも決算額は少なくなっている。また、運行経費と運賃、協賛金収入の差額を本市で交通事業者に負担することとしており、4年度の負担金額は895万円余となっている。

◯山口委員 本当は3か所同時に実証実験を開始したかったが、残念ながら同時にスタートできなかったという現状である。3か所ともいろいろな場面で違いがあろうかと思うため、その結果を検証してもらいたいと思っている。このチョイソコは、利用するためには会員登録が必要である。今の登録人数を3か所に分けて示されたい。また、東区の場合は、地域の高齢者人数から、その割合は何%になるのか尋ねる。

△住宅都市局長 各エリアの会員登録者は、令和5年7月末時点で、エリア1東区が959人、エリア2南区が350人、エリア3中央区・城南区が370人となっている。また、エリア1東区の美和台、和白東、三苫校区に居住する65歳以上の人口は、最新データである4年9月末で9,816人であり、65歳以上の会員登録者が706人のため、占める割合は約7%となっている。

◯山口委員 利用者の声を集めているのか。その内容を示されたい。

△住宅都市局長 エリア1東区における会員登録者へのアンケート調査結果では、チョイソコふくおかの利用により、外出機会が増加したと回答した人が約3割となっている。次に、利用者の満足度については、停留所や運賃など、全体で約5割の人がおおむね満足と回答しており、普通と回答した人を合わせると約7割となっている。その他、土曜日など運行日の追加や、19時頃までの運行時間の延長といった意見もあった。

◯山口委員 今のアンケート結果について、例えば、東区で言えば、市政だよりの一番後ろが東区版になっている。そこでこのようなアンケート結果が出ているということもぜひ出してもらいたい。それにより会員の登録が増えるし、利用者も増えるのではないかと思っている。あまりにも地域限定で、東区の場合4校区であるため、その校区しか分からない。いろいろなところで、このようなことをやっていることを分かってもらうと、利用も増えるのではないかと感じている。この東区もそうだが、協賛金としてエリアスポンサー制度をつくっている。東区においては4種類あるが、その概要とそれぞれ何件の登録があるのか示されたい。

△住宅都市局長 今回の社会実験では、協賛してもらった施設等へ停留所を設置するとともに、チラシ等への広告掲載を行うエリアスポンサー制度を実施している。スポンサープランには、協賛金の月額が異なる複数のプランがあり、金額により、チラシやホームページなどの広告掲載の大きさや頻度などが段階的になっている。スポンサー停留所は、月1万円のゴールドが5か所、月5,000円のシルバーが2か所、月3,000円のブロンズが3か所、月1,000円のホワイトが5か所で、合計15か所となっている。

◯山口委員 今の説明で、15か所のスポンサー停留所を整備したと聞いた。これから運行を続けていくための課題は、利用者からの要望にもあるように、停留所の設置もある程度確保する必要があるのではないかと考えるが、所見を尋ねる。

△住宅都市局長 停留所は、住宅地内の集会所や公園などに設置する停留所や、商業施設等に設置するスポンサー停留所があり、適宜、地域をはじめ、関係者と協議を行い設置している。なお、エリア1東区では、運行開始時の57か所から令和5年7月末時点では86か所へと増加している。停留所の要望は、電話予約を受け付けるチョイソコセンターでも聞いており、引き続き、利便性向上に向け、地域の意見も踏まえながら停留所の追加を行っていく。

◯山口委員 バス停の近くにも停留所を出してほしいと要望した。バス停から数メートル離さなければならないというルールがあるそうだが、結局、高齢者がチョイソコに乗るわけである。すぐ来ればよいが、すぐ来ないときはAIでぐるぐる回って乗せるわけである。ベンチで座っておきたいという人がいたときは、やはりベンチがある停留所が一番望ましいのではないかと思っている。西鉄バスとも協議するわけであるため、そういったところもぜひ話をして、このチョイソコの停留所もつくってもらいたいと思っている。さらにこの高齢者乗車券は福祉局の計らいで、チョイソコ乗車券も選択できるようになった。最大で何枚もらえるのか尋ねる。また、タクシー券も併せて両方交付してほしいという要望を聞いているが、そのような考えはないのか尋ねる。

△福祉局長 高齢者乗車券については、申請時期と所得段階に応じて、年額1万2,000円または8,000円を上限に交付しており、チョイソコふくおかの回数乗車券の場合は、最大で300円券40枚を交付している。また、券種については、7種類の中から最もよく利用するもの1種類を選んでもらっているところであり、15万人を超える人にできるだけ速やかに交付する必要があることなどを踏まえると、複数の券種を交付することは難しいものと考えている。

◯山口委員 これはなぜ取り上げているかというと、チョイソコのタクシーは18時までである。行きはチョイソコで交通結節地点まで行って買物をして、友達と御飯を食べて帰る。帰りは18時を過ぎれば、もうチョイソコは終わっている。あとは自分でタクシー代を払って帰らなければならない。せっかくそこまでチョイソコ乗車券を出してくれるのであれば、何枚でもよいから出してくれないかと言うのは皆の声だと思う。この福祉乗車券は、もう長い歴史がある。タクシー券もそうである。このチョイソコもそうだと思う。紙ベースで、切符みたいに分割できるなど、もう少しどうにかならないのか。これは各議員もいろいろな要望を受けているのではないかと思うため、ぜひ検討してもらいたい。また、チョイソコも18時までのため乗れないということで今、福祉局にお願いしているが、これは乗務員の都合もあるため難しいかどうか分からないが、これもぜひ検討してほしいと思っている。次に、乗車したい時間の予約が取れず、利用できなかったとの声を聞いた。何台のタクシー車両がそのエリアに必要と思っているのか。東区の場合、1台で1日平均28人が利用しているとのことだが、複数台必要ではないのか尋ねる。

△住宅都市局長 今回の社会実験は、1台の車両で一定のエリアを運行することに取り組んでおり、エリア1東区については、事業者から現在のエリア範囲が妥当ではないかとの意見を聞いている。一方、当該エリアでは、利用が集中する時間帯は予約が取りづらい場合もあると聞いており、乗車したい時間に予約が取れるよう、社会実験を進める中で、乗り合いを向上させる仕組みなどを検討していく。

◯山口委員 なかなか進めると言わない。チョイソコで利用されていない時間のタクシーは、どのような運行をしているのか尋ねる。

△住宅都市局長 事業者からは、チョイソコのタクシー車両は、社会実験の運行日、時間帯において、チョイソコ専用として運用されており、運行時間帯で利用されていない時間も乗車予約の都度運行するため、営業所等で待機をしていると聞いている。

◯山口委員 乗車予約について、今は当日30分前までの予約と思うが、登録者が利用せずキャンセルされた件数はあったか掌握しているのか。

△住宅都市局長 令和5年7月時点で、予約成立後にキャンセルされた件数は、予約時間の変更によるものを含め、3エリア合計で277件で予約総数の約25%となっている。このうち10件は、利用者が予約時間に停留所に来ないことによるものであるが、その際は、利用者に一報を入れ、キャンセルすることとしていると事業者からは聞いている。

◯山口委員 ぜひ1台で30分以上、1時間以上、仮に空くとすれば、4校区内を普通のタクシーとして利用してもよいと思う。さらに、先ほど予約が取りづらい時間があるとの答弁があった。要は4人しか乗れないため、4人がずっとぐるぐる回って乗ったり降りたりするわけであるから、もう少しいろいろな人が利用できるようにできないのか、こういうのも実験の中に加えてもらいたい。ぜひ検討されたい。今後のチョイソコについて、今の実験結果の検証をいつ頃行い、今後どのように計画していくのか、スケジュールを示されたい。

△住宅都市局長 社会実験は各エリアの運行開始から1年間を予定している。運行開始から一定期間経過した後に、アンケート調査や利用、収支状況の把握、分析を行い、その後、地域等で構成する運行協議会などの意見を踏まえ、最終的には運行終了前に、バス、タクシーなどの交通事業者や行政等で構成する地域公共交通会議において、今後の方向性等について協議を行うこととしている。なお、エリア1東区は、運行終了前の令和5年11月までに、地域公共交通会議で協議を行うこととしている。

◯山口委員 東区の場合は11月くらいまで、ぜひ地域の代表や交通事業者も含め、利用している人の意見もあると思うため、いろいろな要望を聞いて改良できるところは改良して、運行してもらいたいと思っている。私はこれまで、高齢者など交通の便が悪く利用できない地域で何かよいアイデアがないか、各地を調査してきた。高知県四万十市のオンデマンド交通システムは、JR駅からの乗車予約で商業施設や病院などに向かうバスが運行していた。この仕組みには、地元のタクシー、バス事業者も参画しており、交通手段としてはすばらしい取組だと思った。また、グリーンスローモビリティーという国土交通省の肝煎り事業では、東京の池袋駅周辺や島根県の石見銀山入り口まで走らせる取組で、ゴルフ場のカートのような乗り物が時速30キロメートルまでで、大体6~8人乗りの電気自動車を走らせていた。各地では様々な取組を行っているが、本市ではチョイソコを使っている。東区で買物など不便な地域から、早くここにも走らせてほしいと要望を受けた。今の実験から今後どのようにエリアを拡大していくつもりなのか、所見を尋ねる。

△住宅都市局長 社会実験は公共交通不便地等における持続可能な生活交通確保の仕組みづくりに向け、複数校区での広いエリアや、曜日別などの運行内容をはじめ、スポンサー制度などの運賃以外の収入確保の工夫等に取り組むこととし、令和4年度に、市と共働で主体的に取り組む地域、交通事業者をそれぞれ募集の上決定し、市内3エリアで実施している。引き続き、地域や交通事業者等と共働で、生活交通確保の仕組みづくりに資するよう取組を進めていく。

◯山口委員 スポンサーなど、様々な人の協力をもらい、他の交通事業者の協力もお願いしながら、この仕組みを福岡オリジナルとして永続的に行ってもらいたいと考えている。出張先で、本市のチョイソコはうまくいっているのかなどと聞かれている。他都市もまねをしたくなるようなシステムをどうかつくってもらいたい。市民に対しても今後どのように取り組んでいくつもりなのか、市長の所見を尋ね、質問を終わる。

△市長 本市においても今後高齢者が増加していく中、住み慣れた地域で安心して暮らしていくためには、買物をはじめ、日々の生活を支える基盤づくりが重要になってくると考えている。このため、生活交通確保の取組の一つとして、オンデマンド交通を活用した社会実験に取り組んでおり、関係部局はもとより、地域や交通事業者など様々な関係者とともに、この取組を着実に進めているところである。今後とも、生活交通条例に基づく休廃止対策などの取組と併せ、社会実験で得られた課題などを踏まえ、持続可能な生活交通確保の仕組みづくりについて、議会の意見も聞きながら、しっかりと進めていく。

 

議員紹介

  1. つつみ 健太郎

    西 区

    つつみ 健太郎
  2. たばる 香代子

    中央区

    たばる 香代子
  3. たのかしら 知行

    博多区

    たのかしら 知行
  4. 石本 優子

    早良区

    石本 優子
  5. かつやま 信吾

    東 区

    かつやま 信吾
  6. 古川 きよふみ

    博多区

    古川 きよふみ
  7. 高木 勝利

    早良区

    高木 勝利
  8. しのはら 達也

    城南区

    しのはら 達也
  9. 尾花 康広

    東 区

    尾花 康広
  10. 松野 たかし

    南 区

    松野 たかし
  11. 山口 つよし

    東 区

    山口 つよし
  12. 大石 しゅうじ

    南 区

    大石 しゅうじ
PAGE TOP