▼令和5年 令和4年度決算特別委員会 古川 清文 総会質疑 (令和5年9月19日)

◯古川委員 公明党福岡市議団を代表して、財源確保の取組について、宿泊税を活用した観光施策について、住吉中学校第2運動場の整備について、以上3項目質問する。初めに、財源確保の取組についてである。国が財源不足を補うため、福岡県内の市町村に配分する令和5年度の普通交付税と臨時財政対策債の発行可能額の合計は、前年度比2.1%減の3,892億円となったとの新聞報道があった。記事によると、本市の交付額は、前年度比9.8%減の578億円、県内の市町村の中では、多いほうから北九州に次いで2位、減少率が最も大きいのは、納税義務者などが増えた本市とのことであった。5年度の普通交付税には、4年度決算も反映されると思うが、このことを踏まえた4年度決算における本市の財政状況を分かりやすく説明されたい。

△財政局長 令和4年度一般会計決算については、地方交付税は大幅に減少したものの、市税収入が過去最高を更新したことなどにより、実質収支は98億円余の黒字となった。また、市債残高については、一般会計及び全会計共に前年度と比較して縮減するとともに、財政の健全性を示す健全化判断比率は、実質公債費比率、将来負担比率共に改善している。

◯古川委員 一般会計の実質収支は98億円余の黒字、健全化判断比率は、実質公債費比率、将来負担比率共に改善とのことである。財政局の頑張りもあったかもしれないが、何よりも市民のおかげと思うべきだと思う。ここ数年、コロナ感染症の影響で市民の様々な行動が規制された。社会景気や経済状況の苦しさを実感したが、コロナ感染症が5類へと移行し、人の移動も活発になり、経済が活性化している。今後は明るい状況が続いていくと考えてよいのか尋ねる。

△財政局長 財政の見通しについては、足元では個人消費をはじめとする経済が回復する中で、市税収入は着実に増加している。一方で、中長期的には、少子高齢化の進展などによる社会保障関係費の増加や、公共施設等の建て替え、改修に伴う財政需要の増大、公債費の高止まりなどが見込まれており、引き続き、投資の選択と集中や財源確保に向けた不断の取組が必要と認識している。

◯古川委員 地方自治体を取り巻く財政の状況は、少子高齢化の進行や人口減少等により依然として厳しい状況にある。このような状況の下で、地方自治体は歳出の抑制を図りつつ、様々な形で歳入確保の道を模索してきた。本市においても、様々な歳入確保の取組を実施してきたと思うが、令和4年度における主な取組と実績について尋ねる。

△財政局長 令和4年度の歳入確保の主な取組については、財政運営プランに基づき、未利用地の売却で約58億8,000万円、未利用地の貸付け及び使用許可で約11億8,000万円、公共施設や空間を活用した広告事業で約9億5,000万円、自動販売機公募化の推進で約1億5,000万円などとなっている。

◯古川委員 令和4年度には、主な取組だけでも約80億円余の歳入を確保しているということは評価したいと思うが、今こそ財源を増やす、次への取組に力を入れることが重要と思っている。その取組として、今回はネーミングライツとふくおか応援寄付の2つの税外収入を取り上げる。この2つはこれまでもあった取組であるが、まずはネーミングライツの収入について尋ねる。新たな歳入確保の取組の一環として、公共施設に対するネーミングライツの導入という施策を行う自治体が多数見受けられるようになった。そこで、まずネーミングライツとは何か尋ねる。

△財政局長 ネーミングライツとは、いわゆる命名権と呼ばれるもので、施設などの名称にスポンサー企業の社名やブランド名などを付与する権利であるとされている。

◯古川委員 元来、ネーミングライツとは、スポーツ施設や文化ホールなどの名称にスポンサー企業の社名や商品ブランドを付与する権利のことで、1970年代にアメリカで始まったと言われており、国内の公共施設では平成15年の東京スタジアムに味の素スタジアムとの命名権導入が始まりと言われている。本市が保有する公共施設には、PFI手法を活用した施設や指定管理者制度を活用した施設などがある。これらの施設にネーミングライツ導入ができる、できないなど区分があるのか、また、契約までの手続方法など、それぞれに違いがあるのか尋ねる。

△財政局長 ネーミングライツについては、市の施設であれば、施設の運営形態に関わらず、導入は可能と考えている。また、導入の手続については、ネーミングライツのみを公募により選考する場合や、PFI事業において事業者公募と併せて選考する場合などがあり、施設の運営形態により異なるが、基本的には競争性が働く仕組みを取り入れている。

◯古川委員 そこで、令和4年度決算における本市公共施設へのネーミングライツの契約件数、決算額の実績及び主な導入施設とその名称について尋ねる。

△財政局長 令和4年度のネーミングライツの契約件数は5件で、実績の合計額は4,665万円余、主な導入施設は、博多の森球技場のベスト電器スタジアム、福岡市総合体育館の照葉積水ハウスアリーナのほか、企業名を冠した歩道橋である。

◯古川委員 それにしても、本市は他都市に比べて、ネーミングライツの導入があまり進んでいないように思う。実績合計額は4,665万円余で、この結果を見ると、総額何億ドルといった海外のネーミングライツ事例や自治体の予算規模と比較すれば、僅かと言える金額である。自治体の目的である自治体収入確保や施設管理運営費を大きく賄う意味では、大きな効果を果たしていないという評価をする人もいるかもしれない。しかし、視点を変えて見れば、全国的に数千万円の貴重な財源が浮いていることも事実であり、それを別の施策や事業用途に使用できると考えれば、一概に効果が僅かであまり意味がないという評価はおかしいと思う。Jリーグのホームグラウンドの命名権を欲しがる中小企業は全国的にも多く、理由としては、テレビ放送などで企業名を呼ばれることで、高い知名度を上げることができるということである。大規模なグラウンドがホームになっている場合は、契約料が高いが、フットボール競技場など比較的小さな施設の場合は、中小企業でもネーミングライツに参戦できるチャンスは高いのである。また、スポーツ施設に限らず、横断歩道橋、花壇、公共トイレなどの施設でも、ネーミングライツが行われていることがある。今回の質問に当たり、こうしたネーミングライツの取組に積極的な京都市を訪ね、話を聞いてきた。パネルを作ってきたが、これは清水寺境内にあるトイレで、「はんなりトイレ」と命名され、トイレメーカーで有名な(株)TOTOがネーミングライツを導入している。自社トイレ製品で、TOTOの製品が全てに使われており、テナントのような感じになって使えるという状況である。また、別の「京都市蛸薬師新京極ササミック公衆トイレ」というものがあるが、こちらは繁華街にあり、利用者がとても多いトイレである。適切な清掃を実施していても、少なからず臭いが発生するという課題があった。そのようなトイレ問題を解決し地域に貢献したいという思いと、自社製品をアピールできる場所を探し、ネーミングライツに参戦し、自社開発製品である、殺菌、消臭、防カビ等に効果を有する光触媒屋内塗料を施設内に塗っている。これらの公衆トイレのネーミングライツ料は年間当たり2桁万円で契約されている。比較的安いコストであることから、清掃会社を中心とした小規模なほかの会社も、公共トイレのネーミングライツに参戦しており、ネーミングライツの活用は、大企業だけの特権ではなく、広がっているところである。参戦企業の特性を生かす企業側と自治体の行政課題の解決にもつながるウィン・ウィンの取組である。ここまでネーミングライツに関してメリットを話してきた。では、デメリットはないのか、少し調べてみた。1点目、大都市圏以外では応募企業が少ない、大企業は地方圏の施設には応募しないという特徴があるそうである。2点目、企業や商品名が目立ち施設の機能が分かりにくい、3点目、短期間で施設名が変わる可能性があり混乱を招く、4点目、契約した企業が社会的な問題を起こすと施設のイメージも下がる、5点目、地元に根差した施設ほど企業名をつけることに住民の理解、合意が得られないなどの指摘があるようだが、克服できない大きな壁ではないと思う。本市は、今後ネーミングライツを積極的に取り組む意欲はないのか尋ねる。

△財政局長 ネーミングライツについては、財源確保に寄与する取組の一つであり、財政局としても、各局区に先進事例を紹介するなど、積極的な検討を促すとともに、施設所管課がネーミングライツを具体的に検討する際には、その導入が円滑に進むよう支援していく。

◯古川委員 もう一つ取り上げたいのは、ふくおか応援寄付による税外収入である。総務省は8月1日、ふるさと納税による令和4年度寄附総額は、前年度比1,352億円、16.3%増の9,654億円となり、3年連続で過去最高を更新したと発表した。寄附件数も5,184万件で最多となり、新型コロナ禍での巣籠もり需要や物価高による返礼品として、食品や日用品を求める利用者が増えたと見られ、翌日の新聞報道では「ふるさと納税1兆円市場」という文字が1面を飾った。ふるさと納税は、6月議会で我が党の議員も質疑を行い、提案もした。今や寄附による財源の確保は大きな力である。では、ふくおか応援寄付について尋ねる。令和元年度以降、直近の4年間の寄附件数と寄附額の実績を示されたい。

△財政局長 ふくおか応援寄付の寄附件数と寄附額の実績については、令和元年度が約1,000件で約3億1,000万円、2年度が約4,700件で約3億6,000万円、3年度が約1万1,800件で約3億9,000万円、4年度が約3万3,200件で約9億5,000万円となっている。

◯古川委員 では、どのような寄附の関心が高いのか、令和4年度の寄附額上位5メニューについて尋ねる。また、併せて返礼品がない福岡市民からの寄附上位5メニューについても示されたい。

△財政局長 令和4年度の寄附額上位5メニューについては、多い順に「こども未来基金」、「困難を抱えた子ども応援」、「福岡市消防救急基金」、「動物愛護」、「世界水泳などのスポーツを応援」となっている。また、福岡市民から寄附のあった上位5メニューは、多い順に「福岡市消防救急基金」、「こども未来基金」、「福岡城整備基金」、「ありがとう基金」、「困難を抱えた子ども応援」となっている。

◯古川委員 返礼品がなく、本市の施策に貢献することが目的である寄附にはどういったものがあり、その寄附の状況について示されたい。

△財政局長 福岡市民以外であっても返礼品のない寄附メニューについては、コロナ対策の最前線で尽力する人たちを支援するため特に設けた「ありがとう基金」と「NPO法人の事業にご支援を」の2つで、令和4年度の寄附額は合わせて約1,600万円となっている。

◯古川委員 本当にありがたい寄附だと思う。それでは、応援寄付の件数を増やす策の検討はしているのか尋ねる。

△財政局長 寄附件数を増やすための方策については、主にPRの強化と返礼品の充実に取り組んでいる。まず、PR強化としては、本市独自のふるさと納税特設サイトにおいて、返礼品の魅力や寄附メニューを紹介するとともに、民間ポータルサイトの拡充による効果的な情報発信を行っている。また、返礼品については、大規模イベントのチケットや飲食、宿泊の利用券など、寄附者が来訪することにより経済波及効果も期待できる体験型返礼品の充実などに取り組んでいるところである。

◯古川委員 こちらのパネルを見てもらいたいと思う。福岡みんなの城基金というチラシである。ふるさと納税で福岡城を復元しませんかと書いてある。市民からこの基金の問合せをもらった。大河ドラマで、今、戦国時代ものがあっているが、城が出てくると羨ましく思うとのことで、「福岡城を復元することに大変興味があるが、本当にできるのか」という疑問とともに、様々な質問がある。期待が大きい内容であるが、福岡城整備基金、福岡みんなの城基金は、どのような目的でいつから募集しているのか尋ねる。

△経済観光文化局長 福岡城整備基金については、門ややぐらなど福岡城跡の歴史的建造物の復元整備に係る経費の一部に活用することを目的として、平成26年7月から募集を開始したものである。

◯古川委員 もう既に9年かかっている。これまでに基金を活用した実績はあるのか、また、今後の活用予定はあるのか尋ねる。

△経済観光文化局長 基金については、これまで取り崩した実績はなく、現在工事を進めている潮見櫓復元整備事業の財源への充当を検討しているところである。

◯古川委員 現在の基金積立額は幾らなのか尋ねる。

△経済観光文化局長 基金の積立額については、令和4年度末現在で約1億3,900万円となっている。

◯古川委員 年間の寄附金の目標額はあるのか、また、直近5年間の寄附状況について尋ねる。

△経済観光文化局長 寄附金については、毎年度2,500万円を目標額としており、直近5年間の決算額としては、平成30年度が2,628万円余、令和元年度が2,963万円余、2年度が538万円余、3年度が1,795万円余、4年度が1,638万円余となっている。

◯古川委員 令和2年度以降、コロナ等の影響も受けているようだが、寄附獲得に向けて、具体的にどのように取り組んでいるのか尋ねる。

△経済観光文化局長 基金の寄附獲得の取組については、これまで、市内外で開催されるイベントでのPRブース出展のほか、ホームページやデジタルサイネージでの周知、歴史に関する専門誌への広告掲載など、幅広い層に向けた広報を行っているところである。

◯古川委員 市内外から広く寄附を集めるには、寄附者に対して、福岡城ならではの魅力を伝える取組が必要と考えるが、所見を尋ねる。

△経済観光文化局長 寄附してもらった人に対しては、福岡城に関する四季折々の情報や様々なイベント情報を継続的に提供するとともに、希望者については、芳名板の掲示を行っているところである。今後とも、福岡城の魅力を感じることができる取組について積極的に検討し、寄附獲得に生かしていきたいと考えている。

◯古川委員 福岡城ゆかりの場所、三の丸スクエアでは、いろいろなお城グッズが販売してあったり、いろいろな案内をしている。これが御城印である。黒田官兵衛と黒田長政の御城印が福岡城にあるという、このようなグッズもしっかり生かしながら、頑張ってもらいたいと思っている。福岡城の復元事業は、期待が大きな事業である。福岡城整備基金についても、寄附獲得に向けて、これまで以上にお城ファンだけでなく、広く市内外の人々に訴求して、取組の強化に努めてほしいと願っている。目的がはっきりしている政策に対する寄附は、クラウドファンディングで採用されているように、目標額を設定し、寄附意欲がある人に目標達成まであと幾らなのかの進捗状況を公開し、一緒に達成感を感じられる取組も大切だと思うが、所見を尋ねる。

△財政局長 クラウドファンディングの手法を活用した取組については、令和4年度に、世界水泳福岡大会をまち全体で盛り上げるため、大会期間中に街路灯バナーを掲出する費用の一部を目標額として掲げ、寄附を求めた事例がある。今後とも、事業の目的や目標達成までの期間などに照らし、同手法を採用することがふさわしいものについて、適宜検討していく。

◯古川委員 本日は、財源を増やす次への取組として、特にネーミングライツ、そして、ふくおか応援寄付に力を入れるように提案を行った。この質問の最後に、税外収入としての新たな財源確保について、どのように取り組んでいくのか、市長の所見を尋ねる。

△市長 新たな財源の確保については、将来にわたって持続可能な財政運営を推進していくためにも大変重要であると認識している。本市では、これまでも財政運営プランに基づき、ふるさと応援寄付の充実、強化や未利用地の売却、貸付けを進めるとともに、民間事業者のノウハウを活用しながら、行政財産の余裕部分や公共空間の活用を図るなど、多様な手法による財源の確保に全庁を挙げて取り組んできたところである。今後とも、市民生活に必要な行政サービスを安定的に提供しつつ、重要施策の推進や新たな課題に対応するため、委員からの提案も含め、積極的な歳入の確保に努めていく。

◯古川委員 次に、宿泊税を活用した観光施策と今後の課題についてである。本市において、平成30年に市議会有志議員によって、今後の観光振興の方向性やその財源について、受益と負担の関係、安定的な財源確保等の様々な観点から検討が行われ、同年9月に福岡市観光振興条例が可決、成立した。令和元年6月には、宿泊税の課税要件等を規定した宿泊税条例が可決、成立し、2年4月1日から施行されている。そこで、宿泊税について改めて尋ねる。この宿泊税とは、どういう目的の税なのか、本市に宿泊の際にかかる宿泊税率、つまり税額、また一定の宿泊料金以下の場合に課税しない免税点の有無と、特定の宿泊者に対する課税免除があるのか尋ねる。併せて、本年4月1日現在、他の自治体で宿泊税を徴収している自治体は幾つあるのか示されたい。

△財政局長 宿泊税については、観光振興条例に基づき、観光振興に関する施策に要する費用に充てるために課される法定外目的税である。次に、税率については、1人1泊につき宿泊料金が2万円未満の場合が150円、2万円以上の場合が450円となっており、免税点及び課税免除は設けていない。最後に、令和5年4月1日現在、宿泊税を徴収している自治体については、本市を除き8自治体となっている。

◯古川委員 宿泊税は法定外目的税であること、これにより大きいのは、言い方は非常に悪いが、税収分全てが国に取られることなく、自治体で使える財源になるということである。そして、その税の使い道は観光産業の振興などの費用に充てることを目的にしている。正しく使われることが本市の発展にも効果を発揮することになる。本市では、令和2年度から施行されている新設の法定外税である宿泊税であるが、過去3年間それぞれの宿泊税収入実績と累計額を尋ねる。また、今後の見込みについても示されたい。

△財政局長 過去3年間の実績については、令和2年度が約6億9,000万円、3年度が約11億1,000万円、4年度が約19億1,000万円となっており、その累計額は約37億1,000万円となっている。また、今後の見込みについては、4年10月からの国の水際対策の緩和や5年5月からの新型コロナウイルス感染症の5類移行などにより、国内外の観光客数が回復していることなどから、現在の状況が続けば、堅調に推移するものと考えている。

◯古川委員 3年間の宿泊税収入37.1億円を財源として、どのような観光施策に取り組み、そして成果があったのか示されたい。

△経済観光文化局長 観光振興条例及び取組の方向性を示した観光・MICE推進プログラムに基づき施策を推進しており、マリンメッセ福岡B館の整備による大規模催事の実施や、博多旧市街フェスティバルにおける来訪者数の増加、Fukuoka East&West Coastプロジェクトによる北崎、志賀島地区の来訪者数の増加、博多駅筑紫口エスカレーターの設置による利便性の向上などの成果が出てきているところである。

◯古川委員 例えば、博多駅の地下から地上階へのエスカレーターの直通化など、観光施策といっても、宿泊客だけではなく市民や市内に通勤、通学で通っている人たちにも恩恵がある施策につながっていることに、大変評価をしたいと思っている。本市議会で可決、成立した観光振興条例の附則には、条例施行後3年を経過した場合、条例の施行状況について検討を行うように定められている。このほど施行後3年を迎えたため、施行状況について、第三者からの意見をもらうため、検討委員会が開催されたと聞いた。まず、この検討委員会の開催状況の詳細を尋ねる。

△経済観光文化局長 外部有識者による福岡市観光振興条例の施行状況に関する検討委員会を設置し、令和5年5月と8月の2回開催している。検討委員会においては、これまでの観光施策の成果や今後必要となる観光施策、宿泊税制度等について議論を行い、報告書が提出された。

◯古川委員 この検討委員会では、宿泊事業者に対してアンケートを実施している。このアンケートの目的、対象者、アンケート期間、アンケート回収率、主なアンケート項目について尋ねる。

△経済観光文化局長 アンケートについては、観光振興条例の施行状況を検討するに当たり、宿泊事業者の評価や意見を把握することを目的に、市内の全宿泊事業者491件を対象に、令和5年6月15日から7月21日まで実施したものである。主なアンケート項目は、これまでの観光施策の評価や認知度、今後、宿泊税を活用して取り組んでほしい観光施策、宿泊税の徴収に関することであり、約3割、137件の宿泊事業者から回答があった。

◯古川委員 コロナからの回復の時期であり、次への観光施策に有効に生かしていくことが重要である。今後の課題として、宿泊税を活用した取組に期待することとして、どのような声があったのか、アンケートから見えてきたことを示されたい。

△経済観光文化局長 宿泊事業者からは、宿泊税を活用した取組に期待することとして、人材確保や育成などの宿泊施設への支援や災害時等の外国人観光客への対応などの受入れ環境整備に関する意見が寄せられている。

◯古川委員 私もアンケート結果を見た。答弁のように、人材確保や育成などの宿泊施設への支援、また、災害時の外国人観光客への対応などが求められている。また、観光人材の確保が重要な課題であると思うが、本市はどのように展開しようとしているのか、所見を尋ねる。

△経済観光文化局長 観光・MICEを推進する上で、観光人材の確保は重要な課題であると認識している。民間企業の動向調査によると、宿泊業の約75%が人材不足であるという結果も出ていることから、市内の宿泊事業者に対する支援として、宿泊業界に興味を持つ人材向けの合同説明会や人材採用のノウハウを学ぶセミナーを実施することとしており、今後とも人材確保の課題に対応していく。

◯古川委員 要望アンケートの結果の中に、駅へのロッカーの増設や荷物預かりサービスがあった。気になったため、平日の昼休みに地下鉄空港線天神駅へ向かい、コインロッカー319個を探してみた。平日であり、連休などとは当然条件も違い、稼働率も違うだろうが、メインの通りから少し離れたスペースにロッカーが設置されていた。その場所が分かりにくいなど、せっかくのロッカーが生かされていないと感じた。案内表示を分かりやすくするなどの対策で、解決に導ける場合もあると思う。一度、現有ロッカーの稼働率を調査し、対策するよう要望する。今回、検討委員会により様々な報告を受けた。しっかり検証し、意見を聞くことはとても大事なことだと思う。これらの報告を受けて、本市も県も宿泊税額の変更は考えていないと考えてよいのか尋ねる。

△財政局長 本市の宿泊税制度については、観光振興条例の施行状況に関する検討委員会から、令和5年8月23日に提出された報告書を踏まえ、税率も含め、現行制度を維持することとしている。また、県においては、外部有識者で構成する福岡県宿泊税検討委員会から、5年9月12日に提出された報告書において、現行の税制度を維持することが適当であると提言されており、今後、この報告書も踏まえて判断されるものと認識している。

◯古川委員 議会と行政が力を合わせて導入した宿泊税については、本市に宿泊する人たちから貴重な財源を預かっているものであり、本市の観光振興のために有効に活用してもらう必要がある。今後の宿泊税活用に当たって、責務と決意を市長に尋ねて、この質問を終わる。

△市長 本市は第3次産業が9割を占める産業構造であり、来訪者を増やし消費を拡大することが、観光関連産業をはじめとした市内経済の活性化に重要であると認識している。議員立法によって成立した観光振興条例については、コロナ下における施行となったが、委員指摘のとおり、国内外の観光客が回復する中で、宿泊税は貴重な財源となっている。また、その財源を観光振興施策に充てることで、観光関連産業が活性化し、福岡に訪れる人が増え、より安定的な税収につながるという好循環を生んでいるものと考えている。今後とも、適正な課税によって宿泊税の確保に取り組むとともに、宿泊税の徴収事務を担う宿泊事業者などの意見も踏まえながら、観光関連産業の課題解決や受入れ環境の整備を促進し、市内経済のさらなる活性化に向けて、観光・MICEの振興にしっかりと取り組んでいく。

◯古川委員 最後に、住吉中学校第2運動場の整備について尋ねる。今春、南区旧住吉中学校の敷地に清水高等学園が開校された。特別支援教育のニーズが高まる中、新たな特別支援学校が整備されることは喜ばしいことである。そこで、市立特別支援学校清水高等学園の整備はどのように行ったのか、また、その整備に要した令和4年度の決算額を尋ねる。

△教育長 令和4年度に旧住吉中学校の既存校舎を活用し、内部改造工事などを行うことにより清水高等学園の施設を整備しており、その費用は7億4,347万円余となっている。

◯古川委員 ここはもともとある旧校舎を利用するということで、比較的建設費用を抑えることができたと思う。このように旧住吉中学校の校舎は、現在、市立清水高等学園として特別支援学校が使っているが、運動場はどのように使われているのか尋ねる。

△教育長 現在、住吉中学校の第2運動場として、部活動などに使用されるとともに、清水高等学園の教育活動にも使用されている。

◯古川委員 パネルを用意したが、これが元住吉中学校である。右側には清水高等学園の立て看板があり、左側には市立住吉中学校の第2グラウンドということで、現在このような姿になっている。校舎は今、外壁工事を行っている最中で、中は使われているという状況である。狭い運動場や、敷地外に第2運動場のある住吉小中連携校は、どのような経緯で開校されたのか尋ねる。

△教育長 平成23年3月に地域やPTAの合意の下、住吉中学校ブロックの小中学校再編に関する計画書を策定した。その後、24年4月に住吉小学校と美野島小学校を統合し、27年4月に旧美野島小学校跡地に施設一体型小中連携校として、住吉小中学校が開校している。

◯古川委員 小中連携校である住吉小中学校は、旧住吉小と旧美野島小、そして単独の旧住吉中学校が合併してできた小中連携校である。簡単に図を描いてきた。この旧住吉小学校というのは大変歴史ある学校で、一時期、戦後多いときでは3,000人児童がいて、一部二部構成で授業が行われていた。そういう歴史があるところである。それと新しくできた美野島小学校をいろいろな理由で、住吉小学校も人数が減ってきた関係もあって、統合しようということになり、美野島小、住吉小、住吉中と、それぞれのところにあったものを1か所に集めて、小中連携校をつくるということになり、新しい学校ができた。今、取り上げているのは旧住吉中学校である。この場所にある旧住吉中学校は、行政区は南区清水に存在するが、なぜか博多区住吉、美野島地区の生徒が通う博多区管轄の中学校であった。当時私の子どもが通っていた学校でもあることなどから、PTA会長に推挙され、小学校そして中学校のPTA会長として活動をしてきた。小学校のPTA会長になった頃には、既に住吉小学校、美野島小学校、そして、住吉中学校の3校をまとめた学校ができるという協議案がまとまっており、様々な課題に取り組んでいた。校歌や校旗、また、伝統あるものをどう引き継ぐべきか、また、通学路の問題、廃校になる学校跡地の課題など様々あった。その中でも、児童生徒の環境に大きく影響する運動場も問題であった。新設される小中連携校の運動場は、小学校規模の運動場と中学校規模の運動場の二つを整備することが必須であった。なぜなら、住吉中学校は野球部やテニス部が盛んで、部活動ができる運動場の確保が必須だったのである。再編に関する計画書には、運動場に関してどのような記載がされているのか尋ねる。

△教育長 計画書には、「新設校は現在の小学校用地に小中学校を併設することから、中学校の部活等において運動場面積が不足するため、校外に第2グラウンドを確保する。第2グラウンドは、新設校開校後当分の間は、現住吉中学校を利用することとし、その後、住吉中学校校区内に正式な第2グラウンドを確保する」と記載されている。

◯古川委員 中学生の部活等において運動場が不足するため、当分の間、第2グラウンドを確保することとし、その後、住吉校区内に正式な第2グラウンドを確保すると明記されているという答弁であった。さて、この春から開校した清水高等学園は、平日の昼間は特別支援学校が校舎を使用しており、第2運動場も住吉中の生徒は使えていない。かろうじて夕方、部活動で利用している状況である。今春、中学校の体育祭は、このような理由から第2運動場を利用することができず、小学校基準のとても狭い小中連携校の運動場で行われたのである。体育祭は日曜日だったが、平日の体育祭の練習のときは、校舎では小学生が通常授業を行っている状況の中で、練習を行ったということである。今後もこのような状況が当たり前のように続いていくのか、不安である。約束は本当に守られるのか、どれだけ待てばいいのか、疑問だらけである。この小中連携校も来年度は開校10周年を迎える。過去数年間、移転に向けた用地確保の交渉はどのように行われてきたのか、その経緯を尋ねる。

△教育長 校区内に、低未利用で運動場としての利用が見込める、まとまった広さの土地があることから、その地権者と平成25年以降、土地の取得や賃貸について、継続して協議を行っている。現在、地権者に当該土地を譲渡したり、貸与する意向がないことから、速やかな土地取得等が厳しい状況にある。

◯古川委員 今、土地取得は厳しいという絶望的な言葉を聞いて、とても残念である。あの約束は本当に何だったのか、そういう憤りを覚えそうになる。住吉中学校の第2運動場の移転整備はもうしないのか、今後の方針を尋ねる。

△教育長 既成市街地である住吉中学校の校区内には、運動場として利用できる、まとまった広さの土地はほとんどなく、地権者からの用地買収への理解と協力を得る必要があり、児童生徒の教育環境向上のため、校区内に第2運動場を確保できるよう引き続き取り組んでいく。

◯古川委員 校区内に第2運動場を確保できるよう引き続き取り組んでいくという、教育長の答弁を聞いて、少しだけ安心した。7年前の2016年9月議会で、この問題を一度取り上げた。前教育長は、「住吉小中学校の第2運動場については、現在、校区外の旧住吉中学校の運動場を使用しているが、移動に時間がかかるなど教育環境面で課題があるため、校区内のできるだけ学校の近くに移転の上、整備したいと考えている。移転整備に当たっては、既成市街地の中でまとまった整形地が必要であり、用地買収や財源確保などの課題はあるが、第2運動場の整備に向けて取り組んでいく」と答弁した。残念ながら、7年間、何の動きも変化もないが、この当時の先生や生徒たちも、もう皆いなくなってしまった。だが、約束は果たされるものと信じている。この春、校区内の大きな結婚式場が売却され、校区内に大型ファミリーマンションの建設が始まった。知る限りでも、校区内に数件マンション建設が始まっており、生徒数の増加が予想されている。小中連携校である現在の校舎に児童生徒が増えると、教室が足りなくなる不安があるが、住吉小中連携校は地上3階部分が運動場になっている。この運動場は建築構造上、プレハブ教室等の建設、設置など、他校で行われているような対策は可能なのか尋ねる。

△教育長 周辺のマンション開発の影響により、一時的に小中合わせて、2教室程度不足すると見込んでいる。人工地盤である運動場の上に教室を設置する場合には、建築基準法による制限などがあり、詳細な検討が必要となる一方で、現在、住吉小中学校には空き教室等があることから、それらを普通教室として活用することにより、教室不足に対応していきたいと考えている。

◯古川委員 今の環境で学校生活を営む住吉小中の児童生徒の教育環境は確保されていると思うのか、教育長の所見を尋ねる。

△教育長 第2運動場については、校区内のできるだけ近くにまとまった土地を確保できるよう、今後とも土地の所有者と引き続き協議していくとともに、児童生徒数の推移も注視しながら普通教室を整備するなど、住吉小中学校の教育環境の確保にしっかりと取り組んでいく。

◯古川委員 この学校に限らず、学校を取り巻く環境はどこも大変である。特に学校用地を求める課題は、博多区内に限らず深刻な課題である。大きな企業や工場が移転していくなどのタイミングがなければ、交渉さえも難しいのも事実である。しかも、一企業が公共のために売却してくれるのか。そこには粘り強い情熱と交渉力が求められると思う。どうか、教育委員会には、どこまでも未来の宝である子どもたちとの約束を守るために頑張ってもらいたい。そう心から願い、質問を終わる。

 

議員紹介

  1. つつみ 健太郎

    西 区

    つつみ 健太郎
  2. たばる 香代子

    中央区

    たばる 香代子
  3. たのかしら 知行

    博多区

    たのかしら 知行
  4. 石本 優子

    早良区

    石本 優子
  5. かつやま 信吾

    東 区

    かつやま 信吾
  6. 古川 きよふみ

    博多区

    古川 きよふみ
  7. 高木 勝利

    早良区

    高木 勝利
  8. しのはら 達也

    城南区

    しのはら 達也
  9. 尾花 康広

    東 区

    尾花 康広
  10. 松野 たかし

    南 区

    松野 たかし
  11. 山口 つよし

    東 区

    山口 つよし
  12. 大石 しゅうじ

    南 区

    大石 しゅうじ
PAGE TOP