◯黒子委員 公明党福岡市議団を代表して、次の世代へつなぐをキーワードに、持続可能な市政運営について、愛され続ける福岡市動植物園について、創設100周年を迎えた水道事業について、質疑を行う。人生最後の質問になるため、ぬくもりと彩りのある答弁をお願いする。初めに、持続可能な市政運営について質問を行う。本市は、これまで行政手続や市民サービスのデジタル化やオンライン化などに積極的に取り組んできたが、今後さらに、デジタルをうまく活用しながら業務効率化を進め、利便性を高めて市民サービスを向上し、将来にわたる持続可能な市政運営に当たることが重要と考える。民間サービスでは、レストランの予約や買物など、時間や場所を問わず行われるようになってきた。行政手続についても、いつでもどこでもできればと、市民の期待は高まっているのではないか。そこでまず、行政手続のオンライン化の令和4年度の取組状況について尋ねる。
△総務企画局長 本市における行政手続のオンライン化の状況については、市民の利便性の向上と業務の効率化を図る観点から、令和4年度末までに年間総処理件数の90%以上の行政手続について、オンラインによる申請等が可能となるよう取り組んでいる。4年度は、国民健康保険被保険者証の再交付や軽自動車税の申告手続などのオンライン化に取り組み、令和4年11月末時点で、年間総処理件数の約87.0%の行政手続について、オンラインによる申請等を可能としてきており、引き続き、目標達成に向け取り組んでいく。
◯黒子委員 目標達成までもう少しであるため頑張ってもらいたい。これまでオンライン化した取組のうち、我が会派の古川議員が令和3年9月に質問し、その後オンライン化した就学援助の手続について、オンライン利用の状況と今後の取組について尋ねる。
△教育長 令和4年度に、まずは添付書類による確認を要さない継続世帯を対象としたオンライン申請を開始しており、申請実績は約7,400件となっている。申請時に行ったアンケート調査では、「手続が簡単だった」、「仕事を休まず、時間外でも申請できたことがよかった」などの声が届いている。5年度からは、オンライン申請の対象者の拡充により、さらなる利便性の向上を図っていく。
◯黒子委員 日々忙しい保護者の負担が減ったとのことである。デジタルの力をうまく活用して大きな成果が出ている一つの事例だと思う。本市では、市民のオンライン利用が一番多い手続として、福岡市公共施設案内予約システム、通称コミネットによる文化、スポーツ施設などの抽せん予約申込みの手続があり、令和3年度は約183万件もの利用があっている。そのような利用の多いオンラインサービスを支えるシステムが古く、使い勝手が悪いなどの課題があったことから、我が会派の篠原議員が令和4年6月に、優先的にシステム更新を進めるべきとの質問を行い、その後、令和4年度9月の補正予算により、コミネットの更新に着手をしている。そこで、コミネットの更新によって、どのようにサービスが便利になるのか。
△総務企画局長 令和5年3月末の運用開始に向けて取り組んでいるが、スマートフォンでも見やすく、入力しやすい画面デザインとなるほか、クレジットカード決済機能や台風などによる臨時休館のお知らせ等を利用者に一斉配信する機能の追加など、利用者の利便性が向上するものと考えている。また、令和5年度には、コミネットで予約できる対象施設を拡大する予定としており、今回のシステムの更新により、市民にとってより使いやすいシステムとなるものと考えている。
◯黒子委員 公明党は重点政策として「書かない窓口」の推進を掲げており、今後は、北海道北見市や埼玉県深谷市などが取り入れている、書かないワンストップ窓口をさらに進めた「行かない窓口」を目指している。本市では、これまでノンストップ行政の実現を掲げ、行政手続のオンライン化などに積極的に取り組んできた。まさに「行かない窓口」を全国に先駆けて推進してきたものであり、今後はより多くの市民に使ってもらうことが重要だと思う。このように行政手続のオンライン化を進めることは、市民の利便性向上につながると思うが、市民に広く利用してもらうために、どのようなことが必要と考えているのか。
△総務企画局長 オンライン化した行政手続を広く市民に利用してもらうためには、利便性の高いユーザーインターフェース、つまり、誰もが使いやすく分かりやすいデザインや操作性が大変重要であると認識している。そのため、民間人材のDXデザイナーからも多くの意見やアイデアをもらいながら、スマートフォンでも見やすく、シンプルで入力しやすい画面のデザインなどの工夫を行っている。今後とも市民目線での見直しを進め、オンライン申請の利便性の向上や広報などに取り組むことによって、広く市民に利用してもらえるよう努めていく。
◯黒子委員 引き続き、利用しやすいサービスの充実に取り組まれたい。行政手続以外にも、デジタルを活用して市民の利便性が向上するものとして、音声コード、ユニボイスがある。視覚障がいのある人がスマートフォンのアプリを使って、印刷物の情報を音声で得ることができるため、視覚障がい者の情報アクセシビリティーが高まる有効な手段となっている。我が会派としても、ユニボイスの普及促進に向けてはこれまで様々な質問を行っており、本市は広報物への掲載などを推進していると思うが、それが広く活用されるためには、より多くの人に知ってもらい、使ってもらうことも必要である。ユニボイスが広く使われるために、本市はどのような取組を行っていくのか。
△福祉局長 音声コード、ユニボイスについては、本市が発行する重要なお知らせやチラシなどに掲載するとともに、より多くの視覚障がい者に使ってもらえるよう、令和4年12月からは、アプリ上で本市ホームページの新着情報や市政だよりの情報を提供している。このほか、ユニボイスそのものの認知度を高めるためのチラシや動画を作成するとともに、区役所や携帯ショップにおいて、アプリのインストール支援などを行っている。これらの取組を通じて、今後ともユニボイスの普及促進に取り組んでいく。
◯黒子委員 引き続き、ユニボイスの普及促進に取り組まれたい。ユニボイスアプリ上で提供している本市ホームページの情報には、防災情報も含まれていると思うが、現状の印刷物で提供しているハザードマップは、地図上のリスク情報を色塗り分布で表現しているため、視覚障がいのある人は利用することができない。しかし、ユニボイスを活用した耳で聞くウェブハザードマップシステムであれば、アプリ起動時にGPS機能で現在地を表示し、リスク情報の音声読み上げや避難所への誘導などが可能となり、現状のハザードマップの課題を克服することができる。このように知恵を働かせれば、ユニボイスを活用する余地はまだまだあると思う。視覚障がいのある人へも災害リスクなどの情報が伝わるよう、取組を進めてもらいたいと思うが、所見を尋ねる。
△市民局長 視覚障がいのある人への災害リスクの周知については、点字版の洪水ハザードマップを各区役所や市民福祉プラザなどで確認してもらえるようにしており、今後とも、より分かりやすく伝えることができるよう、国の動向なども踏まえながら、デジタル技術の活用などについて検討していく。
◯黒子委員 引き続き、幅広い活用をお願いする。さらに「行かない窓口」を進めていく上では、特に区役所から遠い地域の住民に対して、なるべく区役所に行かなくてよいサービスの提供も重要だと思う。本市では、公民館などの市民の身近な場所からビデオ通話を使って遠隔で市職員と相談ができるリモート窓口について、令和3年度より2年間実証に取り組んでいる。リモート窓口の実証の成果と、それを踏まえた5年度以降の取組について尋ねる。
△総務企画局長 リモート窓口については、公民館などの市民の身近な場所にビデオ通話が可能な機器を設置することで、市民が区役所等に出かけることなく、遠隔での手続や相談を可能とする実証実験を令和3年度から4年度にかけて実施している。3年度は、農山漁村地域や離島の公民館7か所で実施し、合計で171名に参加してもらっている。また、4年度は7区において、公民館8か所での体験会等を行うとともに、出張所2か所で区役所でしか取り扱っていない手続を受け付ける実証実験を行い、合計で230名に参加してもらっている。参加者からは「簡単に利用できた」や「このような窓口ができれば利用したい」などの意見を多くもらっており、5年度は、離島などの区役所から遠い地域の公民館や出張所などを中心に、20か所程度への導入を想定している。
◯黒子委員 リモート窓口は「行かない窓口」と方向性を同じくするものだと思うため、しっかりと進められたい。マイナンバーカードは、2月には国全体で申請が約9,100万枚になったと発表があり、運転免許証の保有者数を超えてきたとのことである。本市のマイナンバーカードの申請状況と、マイナンバーカードの普及促進に向けての今後の取組について尋ねる。
△総務企画局長 本市におけるマイナンバーカードの申請状況については、令和5年2月末現在の申請数は130万9,777件で、人口に対する申請率は約83.5%となっている。普及促進に向けての今後の取組については、令和5年度は、地域の団体などへの出前サポートを強化するとともに、19歳以下の若年層等のカード取得者を対象に、奨励金等を抽せんで贈呈する普及キャンペーンを実施するなど、マイナンバーカードの普及促進に積極的に取り組んでいく。
◯黒子委員 マイナンバー制度の活用により、国や自治体間の情報連携が対象事務において可能となる条例案が3月議会に上程されているが、例えば、高齢者乗車券の申請時の添付書類が削減されるなど、市民サービスの向上に寄与している。マイナンバー制度、マイナンバーカード普及の取組はしっかりと進めてもらうようお願いする。本市は、これまで、オープンデータを推進し、福岡市LINE公式アカウントを通じて、保護者に小学校給食の献立情報や食物アレルギー情報を配信するなど、オープンデータの活用事例も見られるようになっている。また、データを連携して、市民一人一人のニーズに合った情報提供、いわゆるプッシュ型の行政サービスの提供が急がれるところである。そのような中、国においてはデジタルを活用した地域の課題解決や魅力向上の実現に向けて、分野横断的な官民データの連携を可能にする、データ連携基盤の取組を推進している。そこで、本市が進めているデータ連携基盤の取組について尋ねる。
△総務企画局長 データ連携基盤の取組については、市民が利用できるサービスを申請がなくとも提供できるようにするなど、申請主義からプッシュ型の行政サービスへの転換を図っていく必要があると考える。このため、今年度、データ連携基盤を構築するとともに、新たにポータルサイトを開設し、その実現に向けた取組を進めている。具体的なサービス内容については、従来の本市ホームページは、利用者が検索機能などにより、自ら能動的に情報を得るものであるが、新たに開設するポータルサイトにおいては、利用者の属性やニーズなどに応じた利用者が知りたい情報や、本人の同意を前提に、一人一人に合った子育てや教育、福祉などの利用できる制度の案内の情報を優先的に表示するとともに、それらをSNSやメールで個別にお知らせすることとしている。このようなデータ連携基盤を活用したプッシュ型のサービスを今月下旬から提供していく。
◯黒子委員 十分なセキュリティーの下にデータを連携し、今後、ますます市民の利便性向上が図られることに期待をしている。スポーツの世界でも、最先端のテクノロジーによるDXが話題となっている。アメリカ大リーグでは、2000年代半ばから各球場に投球のリリースポイントや変化量を計測するシステムが導入されている。侍ジャパンのブルペンでも計測器が置かれ、ダルビッシュ投手が投球ごとに確認をしていたことが印象的であった。データを駆使することで、パフォーマンスの向上につながっているようである。今後、社会保障費が増加の一途をたどる中、医療や介護のデータを基にした有効な予防施策を立案し、実行していくことが重要だと考える。データに基づく政策の立案が必要と考えるが、所見を尋ねる。
△総務企画局長 データに基づく政策立案については、大変重要であると認識している。デジタル技術の進歩により、近年はAIやIoTを活用したデータの収集、分析や、所管ごとに管理されているデータの集約などが可能となっており、本市では福祉局において、医療、介護、健診データを一元的に集約、管理する地域包括ケア情報プラットフォームの活用などを進めてきた。令和5年度は、このような取組の全庁的な展開に向けた調査検討を行うこととしており、今後とも、データに基づく、より客観的で信頼性の高い政策立案を推進していく。
◯黒子委員 データの利活用に加え、新たなデジタル技術を積極的に導入することによって、行政事務の効率化はさらに向上する可能性がある。市民に寄り添った、ぬくもりのあるサービスを充実するよう、行政の効率化により生じる人的資源を、必要な相談窓口などに手厚く充当されたい。最後に、本市の将来にわたり持続可能な市政運営について、市長に尋ね、この質問を終わる。
△市長 今後、人口減少や少子・高齢化が進んでいく中、多様化する市民ニーズに丁寧に対応して、よりきめ細かな行政サービスを提供していくため、飛躍的に進化するデジタル技術が果たす役割は非常に大きいと考えている。このため、最少の経費で最大の効果を上げるという地方自治の基本理念にのっとり、来庁の必要がないノンストップ行政の実現に向けた行政手続や、市民サービスのデジタル化、オンライン化などのDXの取組を推進し、市民の利便性の向上に加え、業務の効率性、生産性を高め、それによって生じた人的資源を、福祉など人のぬくもりが必要な分野へ振り向けるなど、これからの時代にふさわしい行政サービスの提供を積極的に進めていく。本市が今、住みたいまち、働きたいまちとして選ばれているのは、黒子議員をはじめ、本市の発展を支えてこられた皆様が、長年にわたって尽力してこられたたまものであると考えている。この元気で住みやすい本市をさらに発展させ、将来に引き継いでいくため、今後とも、従来の発想や手法にとらわれず、不断の改善に取り組み、将来にわたって持続可能な市政運営を目指していく。
◯黒子委員 次に、愛され続ける動植物園について質問を行う。福岡市動植物園を含む南公園は、まちなかでは貴重な緑を有している。その強みを生かして、動植物園の価値を高めていくことが重要である。動植物園が、次の時代を担う子どもたちにも愛され、市民にとって誇れるような施設として未来に向けて進化することを期待して質問を行う。緑の創出や活用に関して、まず、新年度にスタートする都心の森1万本プロジェクトについて、その概要及び予算額について示されたい。
△住宅都市局長 都心の森1万本プロジェクトは、良好な都市景観の形成や都市環境の改善を図るため、地域や企業と共働し、都心部をはじめとして、全市域における植樹運動の展開を図り、緑豊かなまちづくりを推進する取組である。令和5年度の予算額は、公園や街路空間での植樹や、未来を担う子どもたちへの苗木配布など、1億2,215万円である。
◯黒子委員 本市を緑あふれる都市にする大切な事業だと思うため、しっかり取り組まれたい。数年前、福岡空港へ着陸する飛行機の中で、周りの座席から「緑が少ないな」という声が聞こえてきた。改めて市街地を見下ろすと、確かに緑が少ないと思う一方で、都心の近くの動植物園を含む南公園の緑は貴重な財産だと感じた。南公園の緑を生かした取組について尋ねる。
△住宅都市局長 動植物園のある南公園の照葉樹林は、本市の緑の骨格の一つである中央緑地帯を形成する貴重な樹林である。このため、動植物園エリア以外の無料区域では、造成等を極力避け、自然のままの樹林地形を生かした管理を行っており、野鳥観察や散策などで多くの市民に利用されている。また、地域住民のボランティアによる里山保全活動も行われており、倒木を利用した土留め柵や堆肥ヤードづくりなど、様々な取組を通じてコミュニティが形成されている。
◯黒子委員 ボランティアによる保全活動は、都心の森1万本プロジェクトにおける共働の発想と一致しており、緑を通じて多くの人が関わることができる仕組みを大事にしてほしいと思う。都心部に多くの人が関わる美しい緑の空間があることは、都市としての強みの一つと考える。昨年夏に、日本の植物分類学の父と言われる牧野富太郎博士が築いた高知県の牧野植物園を訪ねた。牧野博士が選んだその地は、眺望がすばらしく、緑にあふれた高台にあった。また、先日、本市と同様に動植物園が隣接している熊本市の動植物園を訪ねた。湧き水豊富な江津湖との一体感がとても印象的で、位置する場所の重要性を感じた。本市の動植物園も都心に近い貴重な樹林帯である南公園の中にあるというポテンシャルを生かしつつ、動植物園が一体となって魅力を高めるという視点が大事だと思うが、所見を尋ねる。
△住宅都市局長 動植物園には、都心からアクセスしやすく、南公園の緑に囲まれ、一度の入園料で両園を楽しむことができるなどの強みがあると考える。動物園への来園者が植物園に、植物園への来園者が動物園にも自然と立ち寄ることができるというものである。このような恵まれた環境を生かし、顧客拡大にもつなげるよう、両園が機能分担しながら相乗効果を発揮する一体的な魅力向上を図り、わくわくしながら快適に自然環境を学び体験できる動植物園を目指している。
◯黒子委員 熊本市動植物園では、温室の植物と一緒にナマケモノや亀などの動物を展示しており、生き物としてのあるべき生育環境が分かる混合展示を子どもたちに見せていた。本市も動植物園が一体となっている強みを生かしていくということであるため、参考にされたい。また、先日オープンした新たな拠点施設であるボタニカルライフスクエアは、材質として木が強調されており、周囲を花や緑に囲まれたとてもすばらしい施設であった。花や緑の中で活動したいと思う市民や団体、企業などは、さらに多くなると予想する。この機会に、これまでの概念にとらわれない柔軟な発想も大切にしてほしいと思う。例えば、今年度、夜の動植物園が大変にぎわっていたように、開園時間外となる夜をもっと活用するなど、今後の新たな価値創出につながる活用の可能性について、所見を尋ねる。
△住宅都市局長 3月10日に動植物園内にオープンしたボタニカルライフスクエアは、360度植物に囲まれたロケーションを生かして、緑のある空間や生活のよさを感じてもらいながら、市民や企業に様々な活動を実践してもらうための施設である。このため、施設の利用ニーズなども踏まえ、動植物園の開園時以外の朝、夜の時間帯も利用可能としており、夜の動植物園で実施している飲食やライトアップなどのイベントをはじめ、これまで植物園に来たことのない人たちも引きつける様々な企画について、民の力を最大限に生かした運営ができるよう、活用促進を図っていく。
◯黒子委員 知恵を絞れば可能性は無限大である。ボタニカルライフスクエアは、単体としては魅力的だが、一方でカフェ機能は展望台に、販売機能は緑の情報館に分かれており、連携が十分とは言えないようである。まだまだ打ち出しとして、工夫の余地があると思った。高知県の牧野植物園は、駐車場からエントランスまでの約100メートルが、引き込まれる植栽デザインのアプローチとなっており、とても印象的であった。また、熊本市動植物園では、入園口に無料の水辺のインフォメーションセンターが併設されており、大変開放的で利用しやすく、子どもたちが楽しみながら学習できるコンテンツが充実していた。いずれにしても、エントランスの工夫は、来園者にとって最初の印象を変化させる。福岡市動植物園におけるエントランスの現状と、今後の検討予定などについて尋ねる。
△住宅都市局長 平成30年度にリニューアルオープンした動物園エントランスについては、デジタル技術や映像を使用した体験型展示とともに、入園せずとも利用可能なレストランやショップなどが集約されたことで、利便性が高まり、にぎわいを創出している。また、植物園エントランスについては、令和2年度に立体駐車場、4年度に入り口トイレの洋式化の整備を実施している。今後とも、動植物園再生事業の中で必要なリニューアルについて検討していく。
◯黒子委員 植物園エントランス付近は、最近、立体駐車場や入り口トイレなどが少しずつ整備されてきたが、入り口部分の緑の情報館は以前のままで、もったいないと感じた。また、牧野植物園では、触ったり、ちぎったり、匂いを嗅いだりして、五感で植物を楽しむ様々な空間がつくられており、植物園の機能に対する民間提案も受け入れていた。公園の新たな取組として、パークPFI制度を活用した官民連携も進めており、このような制度の柔軟な活用も前向きに検討されたい。そこで、民間の力を活用した植物園の魅力づくりについて、所見を尋ねる。
△住宅都市局長 植物園の魅力をさらに高めていくためには、民の力の活用が有効であると考えている。このため、一人一花運動の拠点の核となる施設であるボタニカルライフスクエアにおいては、植物園をより楽しんでもらうための参加型のコンテンツや、ロケーションを生かした植物園ならではのにぎわい創出イベントなどの実施について、多様な市民や企業と連携しながら検討していく。また、今後とも、動植物園再生事業を進めていく中で、老朽化した施設についても、民の力やノウハウを柔軟に活用しながら、多くの市民を引きつけ、来園者の満足度を高めるリニューアルを行うなど、さらなる魅力向上に努めていく。
◯黒子委員 牧野富太郎博士は、雑草という名の草はないという言葉を残した。千差万別の特性を等しく尊び、多様性の価値を認めた博士らしい言葉である。牧野植物園では、そのような植物の多様性をたたえる理念に憧れて、その体現化を試みる職員が多く、説明解説や施設案内なども非常に丁寧で情熱にあふれていた。本市においても、花や緑にうまく命を吹き込めば、職員の誇りを生み出し、熱意ある職員による取組が動植物園の価値をさらに高めていけると確信している。福岡市動植物園では、都心に近い豊かな緑の中にあるという強みを生かすとともに、動植物園が一体となっているからこそのわくわく感を市民に提供できる、まさにぬくもりと彩りのある魅力ある施設であると思う。市民の誰もが、家族や友人などとの大切な思い出を抱いていると思うし、次世代にも引き続き愛される動植物園になってほしいと願う。最後に市長の意気込みを尋ね、この質問を終わる。
△市長 福岡市動植物園については、都心部に近い貴重な樹林地である南公園に位置をし、動植物園が隣接する特徴を生かしながら、市民が憩い学べる施設である。また、一人一花運動や都心の森1万本プロジェクトをはじめ、良好な都市景観の形成や都市環境の改善を進めていく中でも、花や緑の拠点であり、シンボルともなる場所であると考えている。特に、植物園については、一人一花運動の拠点として位置づけ、多くの来園者を引き込むわくわく感の演出やホスピタリティの向上、安心して過ごせる空間づくりなどを進めており、その核となるボタニカルライフスクエアでは、従来の植物園の枠にとらわれない幅広い活用を可能とすることで、より多くの市民や企業とともに、魅力の向上などに取り組んでいく。今後とも、一人一花運動の拠点としての機能強化や、動植物園がより一体となった取組など、市民、次世代の子どもたちに愛され続け、また、そこで働く職員にとって誇れる場として、動植物園の魅力や価値を高めるチャレンジを進めていく。
◯黒子委員 最後に、創設100周年を迎えた水道事業について質問する。大正12年3月1日に曲渕ダム、平尾浄水場の完成によりスタートした本市の水道事業は、この3月1日に創設100周年を迎えた。これまでの本市の水道事業を振り返ったときに、決して忘れてはならないことは、政令指定都市の中で唯一、市内に一級河川がなく水資源に恵まれていないため、昭和53年と平成6年の2度、大渇水を経験したことである。未曽有の渇水を経験した本市は、その教訓をばねに水源開発に取り組み、令和3年に完成した五ケ山ダムをもって水の安定供給を確保し、また、世界トップの低い漏水率に象徴される節水型都市を実現している。これまでの本市の水道事業の足跡を振り返りつつ、次の100年に向けて、市民の安全、安心な暮らしを支え、魅力あるまちをさらに発展させるためのインフラである水道事業を今後どのように構築していくのか、尋ねていく。私は昭和54年4月、東京での学生生活を終え、新社会人としてスタートをした。東京での生活が続くものと思っていたが、配属先は福岡だった。当時の福岡は、昭和53年に始まった287日にも及ぶ給水制限がまだ続いており、友人たちが水は大丈夫かと心配をしてくれたことを覚えている。当時の新聞を見ると、干からびたダムや給水車の前に長い行列をつくる市民の写真が掲載されている。そこで、昭和53年の大渇水が市民の生活にどのような影響を及ぼしたのか尋ねる。
△水道事業管理者 昭和53年の大渇水については、前年からの異常少雨により、本市が取水しているダムの貯水率が20%を割る危険な状態となったため、同年5月20日から翌年3月24日までの287日間、最大で1日19時間にも及ぶ給水制限を実施している。さらに、当時は配水管内の水量や水圧等を的確にコントロールすることが困難であったため、給水時間になっても水が出ない状況が市内各所で発生したことから、給水制限期間中、自衛隊などの応援も含め、延べ1万3,433台の給水車を出動させ、市民に給水を実施している。給水制限の実施は、水のくみ置きやお風呂の水でトイレを流すなど、市民の日常生活に大きな影響を及ぼすとともに、水を多く使用する飲食業やホテル等の宿泊業は営業の縮小を余儀なくされ、また、小中学校でのプール授業の中止や調理になるべく水を使わない節水型献立による給食の実施など、教育にも影響を及ぼした。さらには、一時的に市外に生活の拠点を移す市民もいた。
◯黒子委員 この記録的な大渇水は、市民生活にかつてないほどの影響を与えたが、同時に、本市がその後の水源開発や節水型都市づくりを強力に進めていく大きな転機となった。昭和53年の大渇水を教訓に、水源開発や水の有効利用にどのように取り組んだのか。
△水道事業管理者 昭和56年に水管理センターを設置し、主要な配水管の流量や水圧を365日24時間体制で監視、集中制御する本市独自の配水調整システムを導入している。配水調整システムの導入により、水道管からの漏水の減少による水の有効利用と、また、ダムの貯水量や河川の流量など水源の状況に合わせて、各浄水場が水道水を提供するエリアを柔軟に相互融通することによる水源の安定化を図ることなどを可能としている。さらに、58年には、水源地域、流域の方々や国、県をはじめとする関係団体などの理解と協力の下、福岡都市圏の自治体とともに設立した福岡地区水道企業団を通じて、現在、本市の水道水の約3分の1を頼っている筑後川からの受水を開始することにより、水道水の安定供給を大幅に向上させている。
◯黒子委員 福岡導水とも言う筑後川からの取水は、本来、有明海に注ぐ水を博多湾に持ってくるわけであり、常識では考えられないことを実現している。筑後川からの取水については、農業や漁業関係者をはじめ、筑後川の水で生活を営んでいる多くの関係者に改めて感謝の意を表する。そのような努力をしたにもかかわらず、本市は平成6年に2度目の大渇水に見舞われた。昭和53年当時105万人だった人口が、平成6年には127万人に増加したが、水源開発や節水型都市づくりの取組により、平成6年の大渇水の市民生活への影響は、昭和53年のときとどのように違っていたのか、また、その後の水源開発の取組について尋ねる。
△水道事業管理者 平成6年の大渇水については、降水量が年間平均の6割を下回る、福岡管区気象台開設以来の異常少雨に見舞われ、同年8月4日から翌年5月31日までの295日間という、昭和53年を上回る給水制限を余儀なくされた。しかしながら、筑後川からの導水などの水源開発をはじめ、配水調整システムの運用、そして何より市民の節水意識の向上により、給水制限の延べ時間数は2,452時間と、昭和53年の4,054時間に比べ約4割減少しており、また、給水時間中は各家庭の蛇口から給水が確保されたため、1台の給水車も出動させることはなかった。また、平成6年以降の主な水源開発の取組については、福岡都市圏の自助努力として、福岡地区水道企業団を事業主体とした、海水から真水をつくる国内最大の海水淡水化施設、海の中道奈多海水淡水化センターの運用を平成17年に開始している。さらに、令和3年に渇水対策容量を持つ五ケ山ダムの完成をもって、他の大都市では例のない水道創設以来19回にも及ぶ拡張事業を全て完了している。五ケ山ダムの完成により、本市関連ダムの水道などに使える容量がこれまでの約1.7倍となり、水の安定供給に寄与するとともに、異常渇水時にも市民生活等への影響を大幅に緩和できるようになった。
◯黒子委員 本市では水源開発と並行して、浄水場でつくった水道水を一滴も無駄にすることなく使うため、市民、事業者と行政が一体となって節水型都市づくりを進めてきた。特に市民の協力が節水型都市づくりを支えてきたと考えるが、節水型都市づくりに関するこれまでの取組と成果について尋ねる。
△水道事業管理者 節水型都市づくりに関する取組については、昭和53年の大渇水の翌年である54年に、福岡市節水型水利用等に関する措置要綱を制定し、節水意識の高揚、節水型機器の使用、雑用水道の普及の3つを大きな柱として、節水シンボルマークや節水の日の制定、水の無駄を少なくする節水機器の普及促進といった取組を市民、事業者、行政が一体となって進めてきた。さらに、平成15年には同要綱を発展させ、全国に先駆けて、福岡市節水推進条例を制定している。また、広報紙「みずだより」の全世帯配布や、小学校社会科副読本「水とわたしたち」の発行をはじめ、施設見学会やオンライン広報を実施するとともに、節水の日である6月1日には街頭キャンペーンを実施するなど、渇水の経験を風化させることなく、水を大切にする気持ちが次の世代に引き継がれるよう、様々な機会を捉えた啓発活動を進めている。このような取組の結果、市政アンケートでは、常に9割に上る市民が「節水に心がけている」と回答しており、また、家事用の1人1日当たり平均使用水量は約200リットルと大都市の中で最も少ない水準となっており、市民の高い節水意識は市民ダムとして、節水型都市づくりの大きな原動力となっている。
◯黒子委員 市民の高い節水意識は、本市の水道を支える曲渕ダム、南畑ダムなど9つのダムに加え、10番目となる市民ダムとして、本市の節水型都市づくりの大きな原動力となっている。市民の高い節水意識は一つのダムに匹敵すると言われるゆえんである。市政だよりを見ると、本市の人口などと一緒に、毎回ダムの貯水率が掲載されているのも政令市では本市だけであり、市民の節水意識の高さの象徴だと思っている。2度の大渇水を経験した本市の水道事業にとって、水資源の確保と節水型都市づくりは常に最重要課題であったが、海水淡水化施設が稼働を開始するなど、平成20年頃には水源開発の完了に向けて一定のめどが立ってきた。そこで、これからの水道事業は、市民のニーズでもある、安全でおいしい水道水の供給という新たな課題に対して、これまで水源開発に注いできた情熱を持って取り組まれたいと議会の場で提案したが、これまでの取組とその成果を尋ねる。
△水道事業管理者 安全でおいしい水道水に対するお客様の要望に応えるため、平成25年4月に、安全でおいしい水道水プロジェクトを立ち上げ、水源から蛇口に至るまでの様々な過程において、水質管理の徹底を図り、水道水の水質向上に努めてきた。具体的には、法律で検査が義務づけられている水質基準51項目のほか、農薬類、病原微生物及び放射性物質などの項目を本市独自に選定し、約200項目以上について水質検査を実施している。また、本市の水道水には、水の味をよくするミネラル等の成分が適度に含まれているため、水の味を損なう成分について、国の水質基準等より厳しい本市独自の水質目標を設定し、低減化を図っている。特に、残留塩素については、市内要所の配水管に設置した連続水質監視装置を用いて24時間監視しながら、浄水場で塩素の注入量をきめ細やかに調整し、カルキ臭の低減化に努めている。この取組の結果、残留塩素濃度の目標達成率は、プロジェクトを立ち上げる前の平成23年度は76.0%であったが、令和3年度には88.1%に上昇しており、福岡市水道長期ビジョン2028に定めた目標値の85%を既に上回っている。今後ともお客様の声を真摯に受け止め、1人でも多くのお客様に満足してもらえるよう、より安全でおいしい水道水の供給に努めていく。
◯黒子委員 水道局として、安全でおいしい水道水づくりに取り組んでいることは分かったが、浄水場でつくった安全でおいしい水道水が、蛇口から出てくるようにしなければならない。そのためには、貯水槽の適正管理や直結給水化を推進する必要がある。特に、次の世代を担う小中学生に水道水のおいしさを実感してもらい、水道への理解と信頼を深めてもらうため、小中学校における直結給水化を進める必要があると考える。私が最初に小中学校の直結給水化を提案した平成21年当時、本市で直結給水が行われている学校は、小中学校で各1校のみという状況だったが、現在の小中学校の直結給水化の状況と水道局の直結給水化への取組について尋ねる。
△水道事業管理者 小中学校の直結給水化については、子どもたちに安全でおいしい水道水を届けるため、学校の大規模改造等の計画に合わせて、教育委員会と連携を図りながら推進している。実績としては、平成20年度末の小学校1校、中学校1校の合計2校から、令和4年度末には小学校52校、中学校19校の合計71校が直結式給水となる見込みである。また、共同住宅などの直結給水化については、ホームページや「みずだより」による広報活動をはじめ、相談窓口の設置や水道加入金の負担軽減、関係団体への協力依頼など、普及促進に取り組んでいる。これらの取組により、直結式給水の割合は、取組を開始した平成14年度末の37.4%から令和4年度末には56.8%となる見込みであり、近年新築された共同住宅では98%以上が直結式給水を採用してもらっている。
◯黒子委員 新築についてはほぼ直結式給水とのことだが、本市は他の政令市と比較して、もともと共同住宅の割合が高く、既存の共同住宅の多くが貯水槽方式のままである。安全でおいしい水道水を蛇口まで届けるためには、貯水槽が適正に管理されていなければならない。水道水をつくり、配っている水道局が、家庭の蛇口から水が出るまで責任を持つべきだと考えるが、貯水槽の適正管理について、これまでの取組と成果を尋ねる。
△水道事業管理者 貯水槽の適正管理については、平成20~29年度にかけて、公共施設などを除く、有効容量が10トン以下の小規模貯水槽1万4,187件を対象に、施設の適正管理の啓発活動や管理状況把握のための実態調査を行い、29年度末において管理が良好な施設が1万623件、75%であることを確認している。平成30年1月からは、残る3,564件、25%の管理不十分な施設を対象にフォローアップ事業を実施し、啓発資料や水質を確認できる試薬の送付をはじめ、個別訪問による改善指導などを行った結果、令和2年度末には、管理が良好な施設の割合が9割を超えている。また、4年度には、お客様により分かりやすく情報を伝えることができる新たなパンフレットを保健医療局とともに作成し啓発に努めており、4年度末には96%となる見込みである。今後とも、保健医療局と連携するとともに、関係団体の協力も得ながら、適正管理のより一層の推進に向けしっかりと取り組んでいく。
◯黒子委員 本市の水道事業は、これまでのたゆまぬ努力により、水道水の安定供給に向けた量の確保に加え、安全性やおいしさなど質の向上についても、着実に取組を進めてきている。その中でも、特に注目すべき取組だと考えるのが、日本でも最大級となる海水淡水化施設の建設である。私は平成7年に本市議会に初当選したが、当選直後の6月議会で水問題について質問し、福岡都市圏の水不足を解消するために海水の淡水化を実現しようと提案した。海水淡水化施設導入の経緯について尋ねる。
△水道事業管理者 海水淡水化施設の導入については、平成2年度から本市において調査研究を開始し、3年度からは市議会の皆様とともに取組を進めている。その後、具体の導入に向け、福岡県の参画を得て、平成8年6月に県が設置した、県及び福岡都市圏の21の市町や水道事業者で構成する福岡都市圏海水淡水化導入検討委員会において、事業主体や事業規模等について検討が行われ、9年10月に県の福岡地域広域的水道整備計画に海水淡水化事業が位置づけられるとともに、福岡地区水道企業団が事業主体に定められている。11年4月には福岡地区水道企業団において事業着手され、17年6月に供用開始となったものである。
◯黒子委員 五木の子守歌で有名な熊本県の川辺川ダムは、昭和40年代に調査に着手して以降、いまだに議論が続いているが、海水淡水化施設は県による委員会での検討開始から供用開始に至るまで、10年程度しかかかっていない。今後、地球温暖化が進む中、気候変動に伴う降水量の変動が大きくなることが想定され、世界的な水不足も懸念されている。天候に左右されない海水淡水化施設の役割は、水源のリスク管理の観点から、今後ますます重要になってくると考えるが、その必要性について、いま一度、所見を尋ねる。
△水道事業管理者 海水淡水化施設は、これまでにも少雨時に最大限の能力で稼働することにより、筑後川の取水制限の影響を大きく軽減するなど、その効果を存分に発揮している。また、当該施設はダムや近郊河川からの取水、筑後川からの受水などとともに、多様な水源の一つとなっており、天候に左右されず水を生産できる安定的な水源として、また、他の水源状況に応じて渇水等に対応できるセーフティネットとして、リスク管理の観点からも重要な役割を担っている。近年、地球温暖化に伴う気候変動等の影響により、降雨状況が少雨と多雨に二極化する傾向が見られ、今後、渇水リスクがさらに高まることも懸念されていることから、海水淡水化施設は、今後とも、本市さらには福岡都市圏にとって、水道水の安定供給を図る上で極めて重要な施設であると認識している。
◯黒子委員 私は、本市の水道は日本一だと思っているが、それは、これまでの100年の間、先人の方々の不断の努力により築き上げられてきたものである。そして、これからの100年も健全な形で水道が維持されてこそ、豊かな市民生活や都市の成長が可能であると思う。現在、少子・高齢社会の進展や気候変動に伴う災害の激甚化、頻発化など、水道事業を取り巻く環境は厳しくなっており、また、多様な価値観が市民の間に広がっている。このような状況に的確に対応し、次の世代に健全な形で水道事業を引き継ぐ必要があると思う。今後、持続可能な水道事業をどのように構築するのか、水道事業管理者の意気込みを尋ねる。
△水道事業管理者 本市の水道事業については、市民をはじめ多くの関係者の理解、協力により、令和5年3月1日に創設100周年を迎えた。水資源に恵まれない本市では、水道創設以来、人口の増加や都市の成長に伴い、増え続ける水需要に対応するため、水源開発に取り組むとともに、節水型都市づくりを推進してきた。さらに、市民生活の質の向上を図るため、安全でおいしい水道水プロジェクトの推進や施設の耐震化などの災害対策にも取り組んでおり、市政アンケートでも水道事業に対する市民の満足度は8割を大きく超えている。近年、水道事業を取り巻く環境は厳しさを増し、市民の価値観も多様化しているが、本市の水道事業を次の世代に健全な形で確実に引き継いでいけるよう、今後とも財政の健全化に努めつつ、施設の強靱化や水道ICTの積極的な推進などにより、世界トップの低い漏水率に磨きをかけるなど、水の安定供給や有効利用をより一層進めるとともに、ゼロカーボンシティ実現に向けた取組などにより、市民生活のさらなる質の向上を図るなど、持続可能な水道事業の構築に向けて、全力でチャレンジしていく。
◯黒子委員 これまでの福岡市水道100年の歴史は、本市の都市としての成長の歴史であったと言っても過言ではない。そして本市が、人と環境と都市活力の調和が取れたアジアのリーダー都市として、高い国際競争力を持ち、市民が質の高い暮らしを送ることができる未来をつくり、支えるのも水道事業であると考えている。本市が世界に誇れる貴重な財産である水道事業を次の世代へしっかりと引き継ぎ、市民が将来にわたり安心して心豊かに暮らせるまちの実現を目指すべきと考えるが、最後に市長の決意を尋ね、質問を終わる。
△市長 本市の水道事業は大正12年の創設以来、市民の生活と都市の成長を支える重要なライフラインであり続け、その100年の歴史はまさに本市の発展の歴史であったと考える。この間、2度の大渇水というピンチをチャンスに変え、世界トップの低い漏水率に象徴される節水型都市づくりを実現するなど、本市の水道技術は国際的にも高い評価を受けており、今日の水道事業があるのも、本市の水道事業を支えてきた皆様の長年にわたる尽力のたまものと考えている。今後とも、社会の変化や新たな価値観などをしなやかに取り入れ、都市の成長と生活の質の向上をさらに推進するためのチャレンジを果断に進めながら、水道事業をアップデートし、人と環境と都市活力の調和が取れたアジアのリーダー都市の実現を目指して、しっかりと取り組んでいく。