▼令和5年 条例予算特別委員会 篠原 達也 総会質疑 (令和5年3月13日)

◯篠原委員 公明党福岡市議団を代表して、包括的な子育て支援について質問する。令和4年の日本の出生数の速報値が発表された。79万9,728人と統計を開始して以来、初めて80万人を下回り、想定していたよりも約11年も早く少子化が進んでおり、極めて深刻な現状である。世界で一番少子・高齢化が進んでいる我が国は抜本的な対策を講じ、少子化に歯止めをかけなければならない。もとより、結婚、妊娠、出産は個人の自由な意思決定に委ねるのが基本であるが、近年は子どもを持つことに対する希望が低下し、子どもを持つことをリスクと考える若者が増えていることが指摘されている。こうした若者の不安を払拭し、希望すれば誰もが安心して子どもを生み育てられる社会を構築しなければならない。公明党は、結婚、妊娠、出産から子どもが社会に巣立つまで、ライフステージに応じた支援を子育て応援トータルプランとして取りまとめ、昨年11月に発表した。少子化対策は、年金、医療、介護をはじめとする日本社会のシステムや地域社会を持続可能なものにしていく観点から極めて重要な課題である。トータルプランでは、5つの基本的な方向性と施策を打ち出した。1つ目は、仕事と家庭の両立によって生活を犠牲にしない働き方へ転換すること、2つ目は、子育ての負担が過重にならないように支援すること、この2つは、2006年に公明党が発表した少子社会トータルプランの大きな柱でもあった。この少子社会トータルプランで掲げた政策は、働き方改革推進法の成立や3~5歳児の幼児教育・保育の無償化などにより着実に具体化している。さらに前に進めるために、今回のトータルプランが必要だと位置づけている。3つ目の方向性の柱は、常に子ども視点に立って子ども施策を中心に据えた、「こどもまんなか社会」の実現を目指すこと、今年4月には、公明党が強く推進してきた施策の司令塔機能を担うこども家庭庁がいよいよ発足する。4つ目は、男女間の不平等を解消し、性別役割分担意識を是正することを目指す。5つ目は、若者が希望を持って将来の展望を描ける環境を整備すること、以上、5つの方向性を示した。また、トータルプランでは、結婚から子どもが社会人として育つまでのライフステージや年齢等に応じた支援の充実を掲げている。このトータルプランの内容を踏まえ、本市での取組について、ライフステージの順に質問する。まず、結婚段階であるが、若者の婚活に対する支援については、これまでも我が党の高木議員が平成27年と28年、そして令和3年には大坪議員が議会質問で訴えてきた。昨年の代表質問でも取り上げている。初めに、平均初婚年齢に近い30代前半の本市の未婚率の推移について尋ねる。

△こども未来局長 国勢調査における本市の30~34歳の未婚率については、男性は、平成27年が40.6%、令和2年が37.7%、女性は、平成27年が39.2%、令和2年が37.8%となっている。

◯篠原委員 国勢調査によると、平成27年~令和2年の5年間で男性、女性ともに未婚率は低下をしたようであるが、それでも男女ともに3分の1以上が未婚のままである。このように平均初婚年齢に達した後も多くの若者が結婚していない理由を本市としてはどのように分析しているのか尋ねる。

△こども未来局長 結婚していない理由としては、平成30年度に本市が実施した青少年の意識と行動調査によると、回答が多かった順に、適当な相手に巡り会わないが42.1%、収入が少ないが21.6%、自由や気楽さを失いたくないが20.5%、必要性を感じないが19.4%などとなっており、結婚に対する意識や価値観が変化し、多様化しているものと考えている。

◯篠原委員 調査結果の結婚してない理由として、一番多いのが適当な相手に巡り会わないとのことである。こういったことからも、結婚については、広域的な出会いの場の提供や相談体制の構築など、民間事業者とも連携しつつ、地域の実情に応じた結婚支援に行政としても取り組む必要があると思うがどうか。

△こども未来局長 結婚支援については、民間企業の出会いイベント情報の広報に協力するとともに、県との共催でコミュニケーション力やマナー、エチケットなど婚活イベントで役立つセミナーを実施しており、引き続き支援に取り組んでいく。

◯篠原委員 結婚や出産はあくまで個人の自由であり、婚活に関してどこまで支援するかについての難しさはあると思うが、先ほども述べたように、近年は子どもを持つことに対する希望が低下し、子どもを持つことをリスクと考える若者が増えているとの指摘もある。行政としてできる支援にしっかり取り組んでほしいと思う。次に、妊娠、出産段階について尋ねる。子育てのスタートラインであるはずの妊娠期やゼロ~2歳児について、従来の支援は手薄と言わざるを得ない。特に、本市のような都市部においては、核家族化や地域とのつながりの希薄化が進む中で、社会から孤立し適切な支援が受けられない保護者が多く、特にコロナ禍ではその深刻さが増している。この意味でも、伴走型相談支援により、そうした妊娠や3歳未満の子育て家庭にいち早く寄り添い、産前産後ケアや訪問による家事、育児支援などにつなげる意義は非常に大きいと考える。そこで、この伴走型の相談支援について、本市ではどのように取り組むのか尋ねる。

△こども未来局長 伴走型の相談支援については、妊娠届を提出する際に全ての妊婦を対象に助産師などが区役所で面談を行うとともに、出産後は乳児家庭全戸訪問を実施して支援が必要な場合は訪問を継続するなど、妊産婦に寄り添った支援に取り組んでいる。また、令和5年1月からは、妊娠届出時の面談や出産後の訪問を受けた人を対象に伴走型相談支援と経済的支援を一体的に実施する出産・子育て応援事業を開始したところである。さらに、令和5年度からは、おむつと安心定期便を開始し、子育てに関する不安や困り事を聞き、必要に応じて支援につなげていくこととしており、子育て家庭が孤立することのないよう切れ目のない支援を行っていく。

◯篠原委員 新たに開始するおむつと安心定期便は、単におむつなどの物資を3歳未満の家庭へ届けるだけでなく、産後間もないお母さん、家庭と、行政との間の貴重な接点を持ち続け、孤立化を防ぎ、必要に応じて支援につなげていくための重要な事業であると理解している。このような接点を生かして、しっかりときめ細かな見守りにつなげることを要望しておく。ここでおむつと安心定期便に関して、もう1点尋ねる。この事業は、障がいの有無にかかわらず、一律に同じサービスを受けられると思うが、その認識で間違いないか。

△こども未来局長 おむつと安心定期便は、3歳未満の子育て家庭であれば、子どもの障がいの有無にかかわらず利用できる。

◯篠原委員 2歳までは全ての子どもに届けるとのことであるが、障がいなどにより3歳以降もおむつが必要な人もいると思う。そこで、現在、市が障がいのある人に行っているおむつを給付する制度がほかにあれば、その内容と実績について尋ねる。

△福祉局長 障がいがある人へのおむつの給付については、3歳以上を対象に直腸や膀胱などに障がいがあり、蓄尿袋や蓄便袋を利用できない人、またはおおむね3歳未満で発症した脳性麻痺などにより排尿、排便の意思表示が困難な人のうち、自力でトイレに行けないなどの要件を満たす人に日常生活用具として月額1万2,000円を上限におむつを給付している。令和3年度の給付実績については、おおむね500人を対象に延べ6,060回給付しており、公費負担額は約6,737万円である。

◯篠原委員 ただいまの答弁で3歳以上でも重度の障がいのある人などに一定の支援があることが分かったが、その給付対象とならない人でも実際に支援を望んでいる人が見られる。今般、本市では2歳までの全ての子どもにおむつを届けるという決断をした。これは本当にすばらしいことだと思う。だからこそ、障がいによりその後もおむつが必要な人へ支援をつなぐことも大変重要なことではないかと思う。市内で最重度と言われる手帳に該当する人は約3万6,000人おり、その中には3歳以降もおむつの支援を必要とする人も多くいるのではないか。実態調査などで重度障がい者が求めているものを十分に把握し、障がいのある人に寄り添った支援を拡充する取組をぜひ要望しておく。また、実家が遠くて頼れない母親に第2のお母さんのようなヘルパーを派遣できるメニューがあればよいと思う。産後鬱病が起きやすいときなどに駆けつけてくれる人がいれば心強い。ヘルパーには、子育てを終えた元気なシニアなど幅広い人材を活用すれば、利用者と交流が生まれ、希薄になった地域のつながりを再び取り戻すきっかけとなる。そこで大事なのが、地域の人の力ではないか。このように、支援を必要とする人が自宅でサポートを受けられるヘルパーの派遣について、市はどのように取り組んでいるのか。併せて、直近の利用状況について5年前と比較して答えられたい。

△こども未来局長 本市においては、生後6か月未満の乳児がいる家庭を対象に、家事や育児を援助する産後ヘルパー派遣事業を実施している。令和5年度からは、利用期間に妊娠期を加え、生後1歳未満までに拡大するほか、多子世帯が利用できる回数を40回に倍増する。また、1回当たりの利用料を2,100円から500円とするなど、利用者の負担を大幅に軽減することとしている。利用状況については、平成29年度の延べ利用数1,507回に対し、直近の令和3年度は2,921回となっている。

◯篠原委員 先ほどの答弁にもあったように、自宅でサポートを受ける人は、平成29年度と令和3年度を比べても約倍の利用数になっている。このような訪問型の育児支援を充実するため、必要な資格や経験を有する人材を確保している民間事業者としっかり連携するような取組も必要ではないかと思うがどうか。

△こども未来局長 産後ヘルパー派遣事業については、民間の事業者に委託し、子育て経験や保健師、保育士等の資格を有するヘルパーを派遣しており、令和5年度は利用の増加に対応できるよう、事業者を随時募集する予定である。今後とも民間の活力を生かしながら、人材の確保やサービスの質の維持、向上を図り、子育て家庭に寄り添った支援にしっかりと取り組んでいく。

◯篠原委員 事業者を募集するとのことであるが、例えば、産後ドゥーラといった家事や育児サポートの民間資格もあるため、そういった人材を確保する事業者を活用するなど、サービスを必要とする家庭のニーズに十分対応できるよう、実施体制をしっかり整えてほしいと思う。次に、低出生体重児、いわゆるリトルベビーに対する支援について尋ねる。リトルベビーは出生後も医療的なケアが必要な場合が多く、保護者は健康や発育、発達の遅れなど様々な不安を抱えながら育児をしている。まず、本市におけるリトルベビーの出生数と全出生数に対する割合について、市は把握しているのか尋ねる。また、そのうち1,000グラム未満で生まれる赤ちゃんはどのくらいいるのか。

△こども未来局長 国の人口動態調査によると、令和2年の本市の出生数約1万3,000人のうち、2,500グラム未満で生まれた低出生体重児は1,287人で、全体の約1割となっている。また、そのうち1,000グラム未満で生まれた超低出生体重児は40人である。

◯篠原委員 低出生体重児は一定数いることが分かった。一般の母子手帳に掲げられている記載事項は、標準的な体重で生まれた赤ちゃんのその後の成長発達過程を記録できるようになっているが、リトルベビーについては記載しづらい欄もあるのが実情である。特に1,000グラム未満で生まれた超低出生体重児だと、発育を記入するグラフに目盛りがなくてつらい思いをしたという保護者の声も聞く。そこで、リトルベビーの成長を記録しやすいように工夫されたリトルベビーハンドブックが全国的に普及している。福岡県においても、一昨年、福岡版のリトルベビーハンドブックとして、ふくおか小さなあかちゃん親子手帳が改定されており、主に出産した医療機関等において保護者に渡されているとのことである。この改定には本市も関わったと聞いたが、本市ではリトルベビーについて、手帳の普及など、どのような取組を行っているのか。

△こども未来局長 2,500グラム未満の低出生体重児が生まれた家庭に対しては、生後3か月頃までに行う乳児家庭全戸訪問事業において校区担当の保健師が訪問し、育児などへの相談対応や助言を行うとともに、その後も継続的に支援を実施している。その際、必要に応じて、ふくおか小さなあかちゃん親子手帳を渡し、手帳も活用しながら親子の支援を行っている。

◯篠原委員 低出生体重児を持つ両親が安心して子育てできるように、そして、家族の皆さんにも赤ちゃんの成長を温かく見守ってもらえるよう、寄り添ったサポートや手帳の普及に取り組んでほしいと思う。次に、子育て応援トータルプランの中でも重要な、多様な子ども・子育て家庭への支援という観点から、児童虐待防止対策、社会的養護の推進について尋ねる。令和3年度の児童虐待相談対応件数は20万件を超えたとの調査結果も出ている。まず、本市の児童相談所における直近5か年の児童虐待相談対応件数の推移を尋ねる。

△こども未来局長 児童相談所における児童虐待相談対応件数については、平成29年度1,292件、30年度1,908件、令和元年度2,449件、2年度2,637件、3年度2,685件となっている。

◯篠原委員 虐待件数はまさに右肩上がりで増え続けている。虐待を未然に防ぐための取組を強化することが重要と考えるが、どのように取り組んでいくのか。

△こども未来局長 児童虐待については、子育ての孤立化、不安や負担感の増大などを背景に、全国的に虐待に関する相談対応件数が増加しており、社会全体で子どもや保護者を支援することが重要な課題であると認識している。本市においては、こども総合相談センターや保健福祉センターの体制強化を図り、子どもや家庭の悩み、困り事の相談に対応するほか、妊産婦や乳幼児の健診、乳児家庭全戸訪問などを通じて状況を把握し、支援が必要な場合は支援員やヘルパーの派遣、子どもショートステイなど、個々の状況に応じた様々な支援を実施しているところである。さらに、地域の民生委員、児童委員やスクールソーシャルワーカー、病院、警察などの関係機関が連携し、子どもを見守り、重層的に支える取組を行っている。令和5年度は、子育て世帯への支援を一層充実強化し、全ての3歳未満の子育て家庭にアプローチするおむつと安心定期便や産後ケアなどの産前産後サポートの充実、未就園児の預かり保育のほか、特にサポートが必要な妊産婦への支援の強化、乳児院における養育スキルトレーニングの導入などにより虐待を未然に防ぐための取組をさらに進めていく。

◯篠原委員 昨年、神奈川県藤沢市で起こった当時2歳児に対する母親の暴行による虐待死では、事件発生の約1か月前まで児童相談所が一時保護し、施設に入所していたそうであるが、行政がもう一歩踏み込んだ対応ができていれば最悪の事態は防げていたのかもしれない。令和5年度から未然防止の視点で取組を強化していくとのことであるため、しっかり取り組まれたい。次に、幼児教育や保育についてであるが、令和5年度予算編成に当たり、第2子以降の保育料について、保護者の所得やきょうだい児の同時入所などの要件にかかわらず、この4月から無償化する方針を打ち出したことについては、我が党の要望を実現できたことに早速喜びの声を聞いている。一方で、全ての子育て家庭の負担が過重にならないようにする観点から、特に未就園児を抱える専業主婦家庭に対する支援も大切である。現在、市では、未就園児を抱える専業主婦家庭に対する支援にどのように取り組んでいるのか尋ねる。

△こども未来局長 保育所や幼稚園に通っていない、いわゆる未就園児を抱える世帯への支援については、子育てに関する不安や負担感を軽減するために、子どもプラザや子育て交流サロンなどの身近な地域における乳幼児を抱える親子の交流の場づくりに加え、保育所等において乳幼児を一時的に預かる事業の充実などに取り組んでいる。

◯篠原委員 今、国においては、このような家庭も定期的に利用できる保育制度の創設が検討されているが、どのような内容が検討されているのか示されたい。

△こども未来局長 国においては、保育所や幼稚園に通っていない未就園児を対象に、保育所の空き定員等を活用して、週に1~2回程度、定期的に預かる事業を令和5年度に試行し、その効果を検証することとしている。事業の目的は、未就園児を保育所等で定期的に預かることで、専門家による良質な成育環境を確保し、他の児童とともに過ごし遊ぶ経験を通じ子どもたちの発達を促すだけでなく、育児疲れなど負担を抱える保護者に対する継続的な支援や、必要に応じて関係機関と連携した支援を行うものである。

◯篠原委員 制度設計の動向を注視し、ぜひ本市でも制度を活用した取組の強化を図っていくべきと思うがどうか。

△こども未来局長 今回、国が実施する保育所の空き定員等を活用した定期的な預かりモデル事業については、国が事業を実施する自治体を公募することとしている。本市としてもこの国のモデル事業に応募し、未就園児を抱える世帯への支援に取り組んでいく。

◯篠原委員 保育所や幼稚園などに通っていない未就園児を育てる家庭は、育児についての相談相手がおらず、不安を抱えている人が多くいる。こうした未就園児を含めた子育て家庭の孤立を防ぐため、妊娠期から身近な保育所をかかりつけ園として登録し、相談支援などを行うマイ保育園制度を独自で実施する自治体が拡大しつつあり、石川県ではほぼ全市で実施されている。未就園児を育てる家庭への支援について、国の動向や他都市の事例も踏まえ、しっかり取り組むよう要望しておく。続けて、小学生以降の就学期について質問する。コロナ禍では、子どもたちの日常から、安心、安全な居場所や様々な学び、体験が失われ、不登校も24万件を超え、過去最多となった。いじめも急増しており、とりわけ小中学校における子どもを取り巻く環境は深刻である。そこで、本市における直近5年間の小中学生におけるいじめ、不登校のそれぞれの件数を尋ねる。

△教育長 まず、いじめの認知件数は、平成30年度1,474件、令和元年度2,632件、2年度2,138件、3年度2,736件、4年度は12月末時点の速報値となるが2,843件である。次に、不登校児童生徒数は、平成30年度1,814人、令和元年度2,505人、2年度2,719人、3年度3,535人、4年度は12月末時点が3,421人である。

◯篠原委員 近年、不登校児童生徒数が大幅に増えていることについて、国はコロナ禍による生活環境の変化により生活リズムが乱れやすい状況であったこと、学校生活に様々な制限のある中でうまく交友関係が築けないなど、登校する意欲が湧きにくい状況にあったなどの背景があるとしており、本市も同じような状況にあると推察できる。このような状況を受け、令和5年度はどのような取組を進めていくのか示されたい。

△教育長 令和5年度はQ-Uアンケートの対象学年を小学校3年生以下に拡大するとともに、不登校または不登校傾向にある児童生徒が他の児童生徒やスクールカウンセラー等と交流するオンラインルームの開設や、ICTを活用したアウトリーチ支援に新たに取り組むなど、一人一人の課題に応じた多様な支援を推進する。また、不登校児童生徒本人やその保護者、教員などにアンケート調査を実施し、今後の支援の在り方を検討していく。

◯篠原委員 不登校は様々な理由で誰にでも起こり得るものである。社会が温かく見守るとともに多様な居場所、多様な支援、多様な学びを提供し、大切な子どもたちのために生徒に合わせた学びができる不登校特例校の設置など、しっかりと予算をつけて取り組んでほしいと思うがどうか。

△教育長 令和5年度に実施するアンケートの結果を基に、不登校児童生徒に対する今後の支援の在り方を検討することとしており、不登校特例校も含め、さらにどのような支援が必要なのか、幅広く検討していく。

◯篠原委員 次に、居住する地域の学校で学ばせたいというインクルーシブ教育への意識が高まり、校区の学校に自閉症・情緒障がい特別支援学級を設置してほしいという声をよく聞く。そこで、本市における自閉症・情緒障がい特別支援学級の令和元年度~4年度の増設数と5年度の増設予定数を示されたい。また、これまでの整備によって、5年度には小中学校それぞれで何学級になるのか示されたい。

△教育長 まず、令和元年度~4年度の増設数は、元年度が5学級、2年度9学級、3年度9学級、4年度7学級であり、5年度は30学級の大幅な増設を予定している。また、今回の整備により、総学級数は、小学校62学級、中学校31学級となる予定である。

◯篠原委員 それでは、令和5年度に大幅に30学級増設する理由を尋ねる。

△教育長 主な理由としては、対象となる児童生徒が近年大幅に増加していること、また、居住校区の学校に通わせることを選択する保護者の数も増えていることなどである。

◯篠原委員 本市における自閉症・情緒障がい特別支援学級について、教員の体制づくりや担い手の育成といった点も含めて、考え方を尋ねる。

△教育長 増設する学級についても、特別支援教育の専門性を有する教員が適切に関われるような人事配置を行っていくとともに、研修や学校でのOJTを通じて専門性を持った教員の育成に取り組んでいく。

◯篠原委員 就学相談において、自閉症・情緒障がい特別支援学級への就学が適切と判断した児童生徒数の5年間の推移を示されたい。

△教育長 平成29年度75人、30年度77人、令和元年度132人、2年度151人、3年度207人である。

◯篠原委員 対象となる児童生徒数の増加を踏まえると、今後も自閉症・情緒障がい特別支援学級の増設が必要であると考えるが、今後どのように対応するのか。

△教育長 これまで本市では、障がいの特性に応じた質の高い教育を行うため、拠点となる学校に自閉症・情緒障がい特別支援学級を設置し、高い専門性を持つ教員や安全を見守る会計年度任用職員を配置してきた。令和5年度は、対象となる児童生徒の増加や居住校区の学校に通わせたいという保護者の要望も増えていることなどを踏まえ、大幅に増設することとしており、今後も対象となる児童生徒の状況や居住地等の実態を踏まえ、多様な学びの場の計画的な増設に努めていく。

◯篠原委員 ここまでトータルプランの内容を踏まえ、本市での取組についてライフステージの時系列順に質問した。ここから、トータルプランの方向性の柱となっている、「男女間の不平等を解消し性別役割分担意識の是正」の視点で質問する。令和3年出生動向基本調査では、非正規雇用で働く女性のうち、第1子の出産前後で約6割の人が育休を取得せずに離職している。正規、非正規にかかわらず、育休を取得できるよう取組を進めるとともに、フリーランス、自営業など現行の育児休業の対象外となっている人も安心して出産、子育てできるよう、新たな取組の創設が国において検討されている。特に、男性が育休を取得しやすい環境づくりを進めるため、産後パパ育休制度の創設など、育児介護休業法が令和3年度に改正されている。福岡市役所の男性職員の育児休業取得率は、3年度34.7%で、政令市の中で第4位となっている。現在、100%取得に向けて取り組んでおり、民間企業にも育児休業を取得しやすい環境づくりを広めていくこととしているが、その取組支援について尋ねる。

△市民局長 民間企業への支援については、男性の育児休業取得促進に向け市役所が取り組んでいる育児休業計画書の作成や、上司との面談などの事例や要領を取り入れた企業向けの男性の育休取得の手引きを作成し、様々な機会を捉えて活用促進に努めている。また、労働局や関係機関等と連携し、男性の育児休業に関する制度の周知を図るとともに、民間企業の人事担当者を対象としたワークショップを開催し、ネットワークづくりなどを推進している。

◯篠原委員 もちろん休業だけにとどまらず、そもそも日頃からの男性の家事分担、育児分担が大切である。我が国においては、男は仕事、女は家事という考え方が依然とあり、令和2年度の男女共同参画白書によると、6歳未満の子どもを持つ夫の1日の家事、育児関連時間の国際比較では、スウェーデン201分、ドイツ180分となっているが、日本は僅か83分で、他の先進国と比較すると低水準である。日本と同様に長期間にわたり出生率が低迷していたドイツでは、男女の家事、育児分担の平等化や女性の職場復帰を促したことにより、近年は出生率が回復し始めている。今こそ、性別役割分業を前提とした働き方、暮らし方を大胆に見直し、男性の積極的な家事、育児への分担を促進していく必要があると考える。本市の男性の家事、育児への分担促進に向けた取組について尋ねる。

△市民局長 男性の家事、育児への参画については、男性を対象としてパートナーと一緒に家事・育児シェアの在り方や、今後の働き方などについて考えるワークショップを開催するとともに、家事・育児シェアシートを作成し、母子手帳と同時に配付するなど啓発に取り組んでいる。

◯篠原委員 平成30年度の男女共同参画白書によると、休日の男性の家事、育児時間と第2子以降の出生率について、6時間以上では87.1%、全くしない場合は10%となっており、家事、育児時間が長いほど出生率が高くなるという調査結果が出ている。このことからも、男性の家事、育児分担は少子化という社会課題の解決にもつながるものと考える。ぜひ男性の育児休業の取得促進と家事、育児分担については、引き続き、市役所が先頭に立って、民間にも取組が広がるよう取り組んでほしいと思う。次に、トータルプランの方向性のもう一つの柱となっている「若者が希望を持って将来の展望を描ける環境整備の視点」である。お茶の水女子大学、永瀬伸子教授の独身男女の金融リテラシー調査では、子どもを持ちたいと思うかは雇用形態で異なり、正規よりも非正規で低く、男性の非正規雇用労働者はより一層低くなっている。若者の非正規雇用の増加と非正規という働き方が家族形成をしにくくしている現実がある。若者の経済的基盤を安定させ、将来に希望を持てるようにするには雇用環境の整備が必要である。特に、就職や正規雇用を希望する若者への就労支援が必要であると考えるが、本市の若者の非正規雇用の現状とそれに対する取組について尋ねる。

△経済観光文化局長 若者の非正規雇用の現状については、学生のアルバイトなども含む数字になるが、総務省の就業構造基本調査によると、本市における29歳以下の雇用者の場合、非正規雇用の割合は、平成24年調査で46.1%、29年調査で45.4%となっている。また、29年の同調査によると、非正規雇用で働く理由について、全ての年代の合計で、主に自分の都合のよい時間に働きたいからが29.0%で最も割合が高くなっている一方、主に正規の職員、従業員の仕事がないからという理由で非正規の職に就いている労働者が13.7%おり、こうしたいわゆる不本意非正規労働者については支援が必要であると認識している。若者への就労支援については、各区の就労相談窓口において、就職への一歩を踏み出せない人や、非正規雇用から正規雇用へのキャリアアップを希望する人など、相談者一人一人のニーズに応じた寄り添い型の個別相談を実施しており、引き続き、きめ細かな就労支援に取り組んでいく。

◯篠原委員 就労支援については、各区の相談窓口において支援を実施しているとのことであるが、若者の経済基盤を安定させることが、将来への希望、ひいては結婚、出産への第一歩につながると思う。引き続きよろしくお願いしておく。出生数の急減は、日本の社会や経済に大きな影響を及ぼす。少子化の進行によって日本社会は持続可能性を揺るがす深刻な事態に直面していると言わざるを得ない。我が党の子育て応援トータルプランに基づき質問してきたが、希望すれば誰もが安心して子どもを生み育てられる社会の構築を目指し、児童手当についても、公明党はこの制度の生みの親として約50年前、第3子以降に月額3,000円からスタートし、2000年以降では5回にわたり拡充を実現してきた。そして今、育ての親として、現在15歳までの対象を18歳まで拡充することをプランの中に位置づけた。子どもや若い世代に対する未来の投資は人口減少を食い止めると同時に社会保障の担い手を増やすことになる。明治大学の金子隆一教授は、少子化や人口減少は国難とも言われるがとの質問に、今後、数年が正念場だとして、事態はもっと重症、人口問題は21世紀、世界が直面する文明の危機、日本は先頭を進んでおり、よそに学ぶべき国がない点で決定的に深刻、今世紀後半、文明社会の存立自体が危ぶまれると述べている。市長も、市長選で子育て支援を最重点施策として掲げ、早速子育て応援予算の強化を図った。市長の子育て支援に対する決意を尋ね、質問を終わる。

△市長 全国的に少子化が進む中、若い世代の結婚、出産、子育ての希望をかなえるためには、子育て支援の充実や仕事と生活の調和の実現など、多方面から取組を行っていく必要があると考えている。これまでも本市では都市の成長の果実を生かして、妊娠期から子育て期まで子育て家庭の不安や負担の軽減、そして、仕事と子育ての両立のための環境の整備など、様々な支援に取り組んできた。子どもは一人一人が未来をつくるかけがえのない存在であり、子ども、子育て施策の充実は重点的に取り組むべきものと考え、令和5年度予算では、第2子以降の保育料の無償化やおむつと安心定期便など、子育て応援予算として多子世帯への支援、サポートを必要とする子どもへの支援、全ての子育て世帯への支援という3つの柱で、子育て家庭をしっかりと支えていくこととしている。今後とも市民の皆さんが家庭を築き、安心して生み育て、子どもが健やかに成長していけるよう、切れ目のない子育て支援に、そしてまたその充実にしっかりと取り組んでいく。

 

議員紹介

  1. つつみ 健太郎

    西 区

    つつみ 健太郎
  2. たばる 香代子

    中央区

    たばる 香代子
  3. たのかしら 知行

    博多区

    たのかしら 知行
  4. 石本 優子

    早良区

    石本 優子
  5. かつやま 信吾

    東 区

    かつやま 信吾
  6. 古川 きよふみ

    博多区

    古川 きよふみ
  7. 高木 勝利

    早良区

    高木 勝利
  8. しのはら 達也

    城南区

    しのはら 達也
  9. 尾花 康広

    東 区

    尾花 康広
  10. 松野 たかし

    南 区

    松野 たかし
  11. 山口 つよし

    東 区

    山口 つよし
  12. 大石 しゅうじ

    南 区

    大石 しゅうじ
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