○24番(松野 隆)登壇 公明党の松野隆でございます。本日8人目で、最後の登壇となりました。大変お疲れの時間帯だとは思いますけど、いましばらくお付き合いをいただきますようによろしくお願いいたします。
それでは、まず初めに、イノベーションを活用した温暖化対策の推進についてお尋ねしてまいります。
私は令和3年の第1回定例議会で、福岡市におけるカーボンニュートラルの実現に向けた取組について質問をいたしました。その後、僅か1年ほどしかたっておりませんが、日本、そして世界における脱炭素、カーボンニュートラルの実現ということがますます大きな潮流となっております。
日本では昨年5月に地球温暖化対策の推進に関する法律が改正され、2050年までの脱炭素社会の実現が基本理念として明確に位置づけられ、10月には2030年度に温室効果ガスの排出量を2013年度比で46%削減するとの目標を踏まえた地球温暖化対策計画が閣議決定されました。また、世界においても同月、2年ぶりの開催となるCOP26、気候変動枠組条約締約国会議がイギリスのグラスゴーで開催され、今世紀半ばのカーボンニュートラル及びその経過点である2030年に向けて野心的な気候変動対策を行っていくことが確認されるなど、温暖化対策に関して各国協調による大きな前進が見られました。
日本において、政府は2050カーボンニュートラル実現に向けたクリーンエネルギー戦略の今年度中の策定を目指しており、福岡市においても今後の温暖化対策の取組の方向性を示す、新たな福岡市地球温暖化対策実行計画の改定が進められております。
そこで、まずはこの計画の概要について改めてお尋ねをするとともに、前回の答弁にありましたイノベーションの導入や企業支援について質問してまいります。
まずは、地球温暖化対策実行計画の改定に向けたこれまでの経緯と計画原案においては、どのような目標設定しているのか、お尋ねいたします。
以降の質問は発言者席にて行います。
○副議長(山口剛司) 髙田環境局長。
○環境局長(髙田浩輝) 福岡市地球温暖化対策実行計画につきましては、令和2年9月に改定に着手し、国の地球温暖化対策計画の改定状況や市民、事業者、学識経験者等から成る福岡市地球温暖化対策実行計画協議会や福岡市環境審議会での御意見を踏まえながら検討を進め、本6月議会において計画原案の委員会報告を行った上でパブリックコメントを実施し、9月に策定する予定としております。
計画原案における目標といたしましては、2030年度の市域の温室効果ガス排出量を2013年度比で50%削減すること、及び2030年度の市外への温室効果ガス削減貢献量と市内での吸収量を100万トンとすることを掲げております。以上でございます。
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) では、目標達成に向けて地球温暖化対策実行計画原案では、どのように温暖化対策に取り組んでいくこととしているのか、その方向性についてお尋ねいたします。
○副議長(山口剛司) 髙田環境局長。
○環境局長(髙田浩輝) 福岡市地球温暖化対策実行計画原案におきましては、温室効果ガスの排出量が多い家庭、業務、自動車に廃棄物を加えた4つの部門を重点的に取り組む部門と位置づけ、これらの部門において脱炭素型ライフスタイル・ビジネススタイルへの行動変容、省エネによるエネルギーの効率化、再生可能エネルギーの使用によるエネルギーの脱炭素化、緑や海による炭素吸収増に関する施策を実施することとしております。
また、取組の視点といたしまして、ライフスタイル、ビジネススタイルの転換、将来の世代を見据える、様々な主体とのパートナーシップ、新たなイノベーションの積極的な取り込みの4つの視点を持って、市民、事業者と連携した取組を進めていくこととしております。以上でございます。
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 取組の視点として4つ挙げられましたが、私はその中でも将来の世代を見据える、つまり子どもたちへの環境教育が非常に重要な視点の一つだと考えます。
そこでお尋ねをいたしますが、これまで児童生徒に対してどのような環境教育を実施してきたのでしょうか、お答えください。
○副議長(山口剛司) 髙田環境局長。
○環境局長(髙田浩輝) 児童生徒に対する環境教育につきましては、環境分野の専門家を派遣する環境わくわく出前授業の実施をはじめ、小学生を対象として環境副読本の作成、配布や市ホームページでの動画配信などを実施しているほか、中学生を対象として脱炭素社会を分かりやすく理解できる啓発リーフレットを作成し、配布しているところでございます。以上でございます。
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 脱炭素社会の実現を目指すには、将来を担う今の子どもたちに対して、これまでの枠にとどまらない環境教育が必要となってくる新たな視点が求められていくと思いますが、今後どのような環境教育に取り組んでいくのか、お尋ねいたします。
○副議長(山口剛司) 髙田環境局長。
○環境局長(髙田浩輝) 環境教育の取組につきましては、環境施設見学会などの体験学習やイベント、動画を通じた学習機会の充実などにより、より分かりやすく楽しみながら脱炭素社会や再生可能エネルギーなどについての気づきや理解を深めることができる機会を増やしていきたいと考えております。
また、令和4年度から環境教育、学習の施策に関して協議いただいている福岡市環境教育・学習計画推進協議会に地球温暖化対策に関する普及啓発を進めている福岡県地球温暖化防止活動推進センターからも参画していただき、脱炭素の視点を持った取組をさらに進めていきたいと考えております。以上でございます。
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 福岡市は温室効果ガスの排出量、実質ゼロを2040年度に実現することを目指しております。2040年度といえば今から18年後ですから、まさに今、小学生や中学生である子どもたちが成人し、社会に出て、この福岡市を支えている時期になるわけです。
子どもたちが未来の地球にとって脱炭素社会の実現がいかに大切なのかを心から実感し、脱炭素に資する行動がごく当然のことになるよう、しっかり啓発、環境教育に取り組んでいただくようお願いいたします。
次に、温暖化対策に重点的に取り組む分野として、家庭、業務、自動車、廃棄物の4つの分野を挙げられましたが、私は脱炭素社会の実現のためには、企業が非常に重要な役割を担うものと考えております。それは自社の活動において排出量を削減していくという側面と、温室効果ガスの排出がより少ない製品やサービスを開発してもらうという両面の役割があると考えるからです。
そこで、新しい地球温暖化対策実行計画において、企業の活動である業務部門に関し、どのような方向性で取り組むこととしているのか、お尋ねいたします。
○副議長(山口剛司) 髙田環境局長。
○環境局長(髙田浩輝) 福岡市地球温暖化対策実行計画原案における業務部門に関する取組の方向性につきましては、福岡市の目指す姿を脱炭素を経営にとり込み持続的成長を続けるまちとしており、その実現に向け市民や事業者、行政が取り組む方向性として脱炭素経営への移行、脱炭素関連のイノベーションの創出、建築物や設備の省エネルギー化、再生可能エネルギーの利用拡大を掲げております。以上でございます。
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 企業の活動である業務部門について答弁をいただきましたが、私はその中でも脱炭素経営への移行、脱炭素関連のイノベーションの創出の2つは大事な視点だと考えます。
まず、脱炭素経営への移行に関してですが、脱炭素の取組はSDGsの達成に欠かすことができないものです。令和3年12月議会において、我が会派の高木勝利議員がSDGsの認証制度について質問しましたが、本市は4月から福岡市Well-being&SDGs登録制度をスタートされました。このようにSDGsの達成に積極的に取り組む企業を行政が支援することで脱炭素の取組も広がっていくものと考えます。
また、企業での脱炭素の取組を支援するための民間企業の動きとして、4月にCodo Advisoryという企業の脱炭素経営への移行戦略を支援する会社がこの福岡で開業しました。5月にはふくおかフィナンシャルグループが脱炭素関連の課題への対応として、温室効果ガス排出量を算出して可視化するサービスの提供を行う会社と連携協定を結び、顧客のニーズに対応するという報道もありました。福岡市においても、脱炭素に取り組む企業を支援する環境が確実に整ってきております。こういった情報も市から広く企業に届けてもらい、企業の脱炭素経営への移行が進むよう取り組んでいただきたいと思います。
もう一つの方向性として、脱炭素関連のイノベーションの創出については、先ほど答弁いただいた取組の視点の一つには、新たなイノベーションの積極的な取り込みがあるとのことでした。つまり、新技術の導入やスタートアップをはじめとした企業支援ということが脱炭素社会を目指す上で非常に重要なキーワードになってくるということだと思います。
それでは、イノベーションの創出に向けた取組として、具体的にはどのようなことを行うこととしているのか、お答え願います。
○副議長(山口剛司) 髙田環境局長。
○環境局長(髙田浩輝) 福岡市地球温暖化対策実行計画原案におきましては、イノベーションの創出に向けた環境づくりといたしまして、脱炭素につながるテーマでの実証実験の支援や脱炭素に関する技術についての専門的な知見を有した大学などの研究機関や事業者との連携、中小企業等によるカーボンニュートラルに資する製品開発の支援などに取り組んでいくこととしております。以上でございます。
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 前回質問した際、私は脱炭素社会の実現にはこれまで以上に民間活力を生かした技術革新、イノベーションの実現こそ必要不可欠であると申し上げました。特に福岡市は、時期としては国よりも10年早い2040年度の温室効果ガス排出量実質ゼロを目指しているわけですが、既存の技術だけで、その目標を達成することは極めて困難であると思っております。
ここで、私が4月に視察してきました企業について御紹介したいと思います。
平成27年に設立された東京の株式会社CO2資源化研究所という企業で、水素菌を用いた技術を有するバイオベンチャーです。水素菌と言っても聞き慣れない方が多いと思いますので、簡単に説明しますと、この水素菌は水素をエネルギー源としてCO2を取り込み、有機物に変換しながら自ら増殖するという性質を持った細菌です。
穀物生産量もその生産に必要な水資源も限界が近いとされながら、しかし、世界的人口増による動物性たんぱく質の食材の需要は急増しております。また、脱石油の流れから、日本政府はバイオマス原料のプラスチック製造の実現を産業界に要請、あるいはバイオ原料をCO2から製造し、ジェット燃料に精製する技術開発など、環境問題だけでなく地球規模の課題解決への新しい技術が日本で生み出されました。このCO2資源化研究所は水素菌を活用して二酸化炭素と水素から代替肉やプラスチック、バイオ燃料といったたんぱく質や化学品を製造する技術の特許も既に取得しております。
パネルを見ていただきたいんですけど、これですね。(パネル表示)パテのような食品、それからクラッカーに塗ってあるリエットのようなもの、それからスープのようなものですね。こういったものは全てこの技術で生み出された動物性たんぱく質の食品となります。
そして、また同じ技術から(パネル表示)プラスチックのカップ、プラスチックのトレーなど食品包装容器なども生み出されており、こういう新しい技術が日本国内で生まれているということです。
そして、何といっても温室効果ガスとして削減の対象となっている二酸化炭素をこの企業はモノを生み出すための原料として利用しております。ですから、二酸化炭素の排出削減につながるだけでなく、造り出される代替肉は食料問題の解決に、またバイオ燃料は飛行機のゼロエミッションにもつながり、温暖化対策に大きく貢献することが期待されます。実際にバイオ燃料による飛行実験も既に行われております。こういった革新的な技術を持つ企業と連携し、地場企業が環境負荷軽減に資する新技術の開発を行う、あるいは新技術を持つ企業が福岡からぜひ誕生して、福岡市だけでなく日本、そして世界のカーボンニュートラルの実現に貢献してほしいと願っております。
そこでお尋ねいたしますが、福岡市ではスタートアップ支援に力を入れておりますが、これまで環境、脱炭素の分野で先進的な技術を有するスタートアップ企業は誕生しているのでしょうか。
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 環境や脱炭素の分野におけるスタートアップにつきましては、これまでにCO2を回収し、有効利用する技術を開発する企業や再生可能エネルギー由来の電力を販売する企業などが誕生しております。以上でございます。
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) それでは、スタートアップ企業に対して福岡市は具体的にどのような支援を行っているのか、お尋ねします。
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) スタートアップへの市の支援につきましては、創業の裾野拡大のためのスタートアップカフェや官民共働型の創業支援施設、Fukuoka Growth Nextの運営など、福岡市独自の取組に加え、グローバル創業・雇用創出特区などの国の施策を活用しながら、スタートアップ支援を行っております。以上でございます。
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) スタートアップ企業は事業が軌道に乗るまで、また事業を成長させていくためには資金をどのように調達するのかという課題もあると思いますが、資金調達に係る市の支援策、また民間企業による取組について、どのようなものがあるのか、お尋ねいたします。
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) スタートアップの資金調達に係る市の支援につきましては、Fukuoka Growth Nextにおいて資金を提供するベンチャーキャピタルとスタートアップ企業のマッチング機会の提供を行っております。
民間企業における取組につきましては、再生可能エネルギー発電事業への融資や、環境に配慮した経営を行う企業に対して金利の引下げを行う融資などがあると聞いております。以上でございます。
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) バイオエタノールやバイオマスに続く第3世代としてCO2などにシフトしたバイオプロセス産業を目指し、欧米のベンチャーは日本では考えられない規模の資金調達を達成しております。
さきに質問したESG投資は世界の潮流であり、福岡市自らの取組だけでなく、中小企業の支援や大学との連携による産業の振興、国際金融都市づくりも視点で、脱炭素、カーボンニュートラルに大胆に取り組み、今後の日本の経済成長戦略の柱となるグリーン戦略も大いに活用しながら、福岡市から脱炭素に貢献する技術を持った企業が誕生するよう引き続き支援をお願いいたします。
次に、福岡市の強みとも言える水素についてお聞きします。
先ほど申し上げ、先月取りまとめられた国のクリーンエネルギー戦略の中間整理において、水素は発電や運輸、産業部門といった幅広い分野での利活用が考えられており、導入の拡大や商用化に向けた支援措置が行われる方向性が示されました。
また、通常国会では、省エネの対象範囲の見直しや非化石エネルギーへの転換促進などを図る安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の改正案が成立し、これまでエネルギーとして法的な位置づけが不明瞭であった水素やアンモニアを非化石エネルギー源として位置づけ、今後は脱炭素燃料として利用促進が図られることとなりました。
福岡市においては、2月にトヨタと連携協定を結び、水素社会のまちづくり実現に向けた幅広い取組を進められていくこととされました。
そこで、この連携協定でどのようなことに取り組もうとしているのか、また令和4年度に具体的にどのような取組を実施されるのか、お尋ねします。
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 福岡市とトヨタ自動車の連携協定による取組につきましては、社会インフラを担う燃料電池車両の開発、実装を通した水素の社会受容性向上と需要拡大、市民に身近な施設やイベント等での水素エネルギーの活用、水素社会の実現のために必要な規制の適正化などに取り組むこととしております。
また、令和4年度の具体的な取組については、給食配送車への燃料電池トラックの導入や災害時に活用可能な大型FCモビリティーの導入を進めるとともに、ごみ収集車の燃料電池自動車化に取り組んでまいります。以上でございます。
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 燃料電池自動車は二酸化炭素を排出しないゼロエミッション車です。福岡市は下水処理の過程で出てくるガスから水素を製造しているため、グリーン水素と呼ばれる環境に非常に優しい水素を使うことができるという大きなアドバンテージがあります。
そこで、改めてではありますが、水素リーダー都市プロジェクトについて、これまでの取組と成果についてお尋ねいたします。
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 水素リーダー都市プロジェクトのこれまでの取組につきましては、水素社会の実現のため、中部水処理センターで発生する下水バイオガスを原料として水素を製造し、燃料電池自動車、いわゆるFCVに供給する世界初の水素ステーションを産学官で運営してまいりました。
また、このステーションの水素を活用し、民間事業者の実証実験に協力するとともに、国内外からの視察の受入れなど、水素エネルギーに関する普及啓発を実施しております。
これまでの成果といたしましては、国内初の燃料電池トラックの実証実験や燃料電池二輪車の実証への協力、さらにトヨタ自動車の水素エンジン車への水素供給などを行っております。
また、平成27年3月の水素ステーション開設から令和3年度までの7年間で、国内外から約730件、約6,150名以上の方に御視察いただいております。以上でございます。
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 国では水素は温室効果ガスを排出しない非化石エネルギーとして位置づけ、利用を促進していこうとしておりますが、現在、改定中の福岡市地球温暖化対策実行計画では、水素についてどのような内容が盛り込まれているのでしょうか、お尋ねいたします。
○副議長(山口剛司) 髙田環境局長。
○環境局長(髙田浩輝) 福岡市地球温暖化対策実行計画原案におきましては、温室効果ガス排出削減の方策の一つとして、水素などカーボンフリーエネルギーへの利用転換を進めていくとの内容を盛り込んでおります。
具体的には、自動車部門の取組として燃料電池自動車の購入時の助成などにより導入推進に取り組むとともに、市内における水素ステーションの空白地域を中心に、民間事業者との導入協議を進めることを掲げております。
また、様々な用途の車両での燃料電池自動車の開発や実装に向けた実証実験を支援するなど、水素社会の実現に向けた取組を推進していくこととしております。以上でございます。
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 温暖化対策実行計画においても、水素社会の実現に向けた取組を推進していくこととされているとのことですが、今後、水素リーダー都市プロジェクトをどのように推進していくのか、お尋ねいたします。
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 水素リーダー都市プロジェクトの今後につきましては、水素は脱炭素に貢献するエネルギーとして幅広い活用が期待されております。引き続き下水バイオガス水素ステーションの機能強化を図り、水素供給力を強化してまいります。
また、水素の需要拡大に向け、令和4年度よりFCVの補助対象に法人を追加するなど、FCVの普及促進を推進するとともに、民間事業者と連携して燃料電池トラックや燃料電池ごみ収集車などFCモビリティー導入促進を図ってまいります。
さらに、先進的なまちづくりへの水素の実装を目指し、民間事業者や大学などの研究機関とともに、水素社会の実現に向け積極的に取り組んでまいります。以上でございます。
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 水素については国からの支援が拡充されることが期待される中、アドバンテージを持つ福岡市は、これをぜひ追い風にして、引き続き水素リーダー都市として、この分野を牽引していただきたいと思います。
今回、環境教育やイノベーションの創出、脱炭素技術を持つ企業への支援策などについてお尋ねしてまいりました。脱炭素社会を実現することが、将来世代にわたって安心して生活を送るために必ず達成しなければならない命題であります。また、新たな技術を生み出し、実装していくことができれば、世界の中で日本が存在感を示し、また経済的に成長していくための強みとすることができると思います。
この質問の最後に、脱炭素社会の実現に向けたイノベーション創出や企業支援に係る取組について、髙島市長の御所見をお伺いし、この質問を終わります。
○副議長(山口剛司) 髙島市長。
○市長(髙島宗一郎) 福岡市は世界や日本が目指すカーボンニュートラルに積極的に取り組むこととし、2040年度を目指したチャレンジを掲げ、現在改定を進めております福岡市地球温暖化対策実行計画において、2030年度における市域の温室効果ガス排出の削減目標を2013年度比で、国の46%を上回る50%の削減としております。
脱炭素社会実現に向けては、松野議員御指摘のとおり、イノベーションの創出や企業支援が重要であると考えておりまして、産学官連携による研究開発の促進や、また脱炭素分野のスタートアップの支援、国際金融機能の強化によるESG投資の呼び込みなどに取り組んでまいります。
引き続き、人と環境と都市活力の調和が取れた世界から選ばれる都市を目指して、市民、事業者の皆様と一体となって脱炭素社会の実現に向けて取り組んでまいります。以上です。
○副議長(山口剛司) この際、時間を延長いたします。松野隆議員。
○24番(松野 隆) どうかよろしくお願いいたします。
続きまして、都市の成長と教育の充実の好循環に向けてと題して質問をしてまいります。
近年、コロナ禍が続くさなかに、福岡市は人口増加数、増加率ともに政令市1位という結果が出ました。福岡市総合計画にある生活の質の向上と都市の成長の好循環のまちづくりを目指し、人口も速報値で162万人を突破しました。
天神ビッグバンに代表されるように福岡市の持つポテンシャルの高さによる都市の発展は今後まだしばらくは続くのではないでしょうか。数年前までは市内各区での自然減による人口減少が続いておりましたが、今ではマンションの新規着工とともに、古い家屋は分割され、複数の戸建て住宅に生まれ変わり、子育て世代が福岡市内にどんどん増えております。
このように人口増加が続く福岡市において公立学校における教育環境の現状はどうなっているのか、幾つかのテーマについて質問を進めてまいります。
初めに、教員配置等の状況についてお尋ねします。
昨年度暫定実施した小中学校全学年での35人以下学級について、本年度はいよいよ本格実施に移行しました。新型コロナへの対応やきめ細やかな教育の推進、学級担任の負担軽減等の面でよい取組である一方、担任以外の教員の一部を学級担任に振り替えたことで、学校運営が厳しくなった学校もあると聞いております。専科指導等に従事する担任以外の教員数について、本年度本格実施するに当たり、昨年度から増やしたのか、お尋ねします。
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 担任以外の教員数につきましては、令和4年度は小中学校合わせまして431人となっておりまして、国の定数改善などにより、3年度の345人から86人増員いたしております。
加えて、本年度、福岡市独自に30人の非常勤講師を新たに配置しており、学校体制の充実を図っております。以上でございます。
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 教員数増は学校現場にとって大変ありがたいことですが、実際に配置しないと意味はありません。教員不足が大変深刻な問題となり、昨年度は国による初めての全国調査も行われ、大きく報道されたところですが、昨年度及び本年度の5月1日時点での小中特別支援学校ごとの不足教員数についてお答えください。
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) いわゆる教員不足数につきましては、令和3年度が小学校ゼロ、中学校19人、特別支援学校1人となっておりましたが、4年度は小中特別支援学校いずれもゼロとなっており、改善いたしております。以上でございます。
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 昨年度よりは改善しているという答弁です。しかし、少なくとも私が声をお聞きした教員の皆さんからは、学校現場では多忙を極め、教員同士で助け合いながら何とかやりくりしているという声を多く聞いております。本市だけでなく、全国的に教員不足と言われている状況ですが、学校現場の声を聞いて、しっかりとサポート体制を取っていただくよう要望いたします。
また、学校現場には教員以外にも様々な職員がおりますが、そういった専門スタッフを拡充させ、チーム学校を推進し、教員にとって働きやすい学校とすることが子どもたちの教育環境の向上につながると思います。特にニーズが高まっている福祉の専門家であるスクールソーシャルワーカー、支援を必要とする児童生徒をサポートする学校生活支援員について、昨年度から拡充したのか、お尋ねします。
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) スクールソーシャルワーカーにつきましては、令和4年度に8名増員し、合計79名を、学校生活支援員につきましては同じく令和4年度に50名増員し、合計318名を配置しております。以上でございます。
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 教員が子どもたちの指導に専念するためには、事務的な補助を行う職員の充実も重要であります。そのような事務的な補助を行う職員としてスクール・サポート・スタッフがおりますが、昨年度から拡充したのか、お答えください。
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) スクール・サポート・スタッフにつきましては、各学校に雇用できる日数という形で配当しておりますが、令和4年度は総配当日数を3万2,400日とし、3年度の2万6,600日から5,800日拡充しておりまして、教員のさらなる負担軽減を図っております。以上でございます。
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 教員も、そしてそれ以外の学校職員についても配置の充実を進めているというお答えですが、ぜひ今後も教員の負担を軽減することが教育環境の充実には不可欠であり、今後さらに学校の働き方改革を推進すべきと考えますが、御所見を求めます。
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学校における働き方改革は、教員が日々の生活の質や教職人生を豊かにすることで、子どもたちに効果的な教育活動を行えるようにすることを目的としておりまして、教育委員会としても大変重要なことと考えております。
このため、これまでスクールソーシャルワーカーなどの専門スタッフの配置、拡充をはじめ、全学校への自動音声メッセージ機能つき電話の整備や学校の庶務事務の効率化を図るシステムの導入など様々な取組を行ってきております。
また、令和4年4月に働き方改革のさらなる推進に向け、福岡市立学校における働き方改革推進プログラムを策定したところであり、このプログラムに掲げる取組を着実に進めてまいります。
今後とも、教育委員会事務局と学校が一体となり、教員が子どもたちと深く関わり、指導に専念できる環境づくりを推進してまいります。以上でございます。
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 次に、Society5.0時代の教育環境についてお尋ねします。
一人一人の多様な幸福感達成のために、科学技術の応用により課題解決を目指すSociety5.0時代にあり、子どもたちが置かれている環境や特性も多様化しております。アナログからデジタルへと変革の岐路にあるSociety5.0時代の本質は、多様性やウエルビーイングという豊かさを求めることにあります。
特にアジアの中でもシンガポールや台湾など、ICT教育先進国ではSTEAM教育と言われる分野横断的な学びの機会を通じ、それぞれの個性や特性に応じて、いや応なく進展するデジタル社会に対応し、恩恵を享受できる人材の育成に力を入れております。
一方で、OECD、生徒の学習到達度調査2018によりますと、日本の子どものICT活用状況はOECD加盟国の比較で、学校の授業での利用時間が短く、学校外ではチャットやゲームの利用に偏っており、本市でもGIGAスクールを入り口としてICT教育の拡充が必要ではないでしょうか。ビッグデータ解析による課題解決など社会構造の変化に対処するために必要な技術や現在の子どもたちを取り巻く環境の変化について御所見をお伺いします。
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 令和3年1月の中央教育審議会答申によりますと、AI、ビッグデータ、IoT、ロボティクス等の先端技術が高度化して、あらゆる産業や社会生活に取り入れられたSociety5.0の時代が到来しつつあり、社会の在り方そのものがこれまでとは非連続と言えるほど劇的に変わる状況が生じつつあるとした上で、このように急激に変化する時代の中で、我が国の学校教育には、一人一人の児童生徒が自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値ある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら、様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り開き、持続可能な社会のつくり手となることができるよう、その資質、能力を育成することが求められているとされてございます。以上でございます。
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) では、STEAM教育の必要性について教育委員会の考え方、方向性についてお示しください。
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 中央教育審議会答申によりますと、STEAM教育とは各教科での学習を実社会での問題発見、解決に生かしていくための教科横断的な教育であり、文系、理系といった枠にとらわれず、各教科等の学びを基盤としつつ、様々な情報を活用しながら、それらを統合し、課題の発見、解決や社会的な価値の創造に結びつけていく資質、能力の育成が求められるとされてございます。
教育委員会としましても、STEAM教育を推進していくことは重要であると認識しておりまして、その土台として児童生徒のものづくり体験や科学的な体験活動の充実、小中学校での各教科等や総合的な学習の時間における教科等横断的な学習やプログラミング教育、そして高等学校での総合的な探求の時間などの充実に努めているところでございます。以上でございます。
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 一部の子どもたちだけが私学においてICT教育による恩恵を受けるのではなく、全ての子どもたちが社会の問題に関心を広げ、才能を開花させ、自身の意欲と能力で将来の人生を生き抜いていくスキルと力を養う機会を平等に持つためにも、公立小学校においてICT教育を行うべきだと思います。
福岡市では全国に先駆けて令和2年から教員が授業で使用する端末や児童生徒の1人1台端末を整備し、ICTを活用した授業に取り組んでおりますが、ICTを活用して具体的にどのような授業が行われているのか、お尋ねいたします。
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) ICTを活用した授業につきましては、デジタル教科書内の音声や動画を活用して理解を深める学習、AIドリルによる児童生徒の習熟の度合いに応じた個別学習や反復学習、アプリを使ってクラスメートの考えを比較検討して自分の考えを深める学習などを行っております。
また、教室にいながら、通常では行けない様々な場所の様子をオンラインで見学したり、話を聞く授業も充実しております。
なお、令和3年12月に行いましたICT活用に関するアンケート調査では、9割を超える教員が毎日の授業などでICTを活用しており、教員の指導力の向上が図られております。以上でございます。
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 教員の指導力の向上が図られ、ICTの活用が推進されておりますが、教育委員会として教員の指導力向上のために、これまでどのような支援を行ってきたのか、お答えください。
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 教員の指導力向上のために各学校に指導主事を派遣し、校内研修をサポートするとともに、ICT支援員を月2回派遣し、ICTの操作研修や授業での効果的な活用の提案を行い、日々の授業の充実に努めてまいりました。
また、ICTを活用した授業における先進的な事例や有効な学習アプリの紹介などを盛り込んだ教育ICT推進通信を教員一人一人の端末に配信し、いつでも授業に役立てることができるようにしております。以上でございます。
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) ICT教育の推進に当たっては、幅広い学識や研究者のアドバイスを活用していくことも今後考えなければなりません。
さらに、今後新たに求められる教育を推進するには、市内の学校をモデル校に指定し、学習成果を検証しながら事業拡大を図るべきだと考えますが、今後、モデル校指定の有無と予定しているのであれば、学校名についてもお答えください。
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 令和4年度よりICTを活用した教育実践事例創出事業として、教育委員会がモデル校を指定し、ICTの効果を最大限に発揮させる取組を推進するとともに、こうした先進的な事例を全小中高等学校へ広げ、共有することにより、教員一人一人のICT活用指導力の向上を図ることに取り組んでおります。
なお、令和4年度のモデル校は、西高宮小学校、小笹小学校、弥永小学校、有住小学校、草ヶ江小学校、香椎東小学校、東光小学校、田村小学校、百道浜小学校、東光中学校、当仁中学校、福翔高等学校の12校でございます。以上でございます。
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 教育委員会の取組等について、るるお聞きしてきましたが、今後のICT教育の推進について、改めて教育長の御所見をお伺いします。
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 福岡市の教育につきましては、これまでの黒板とチョークを使った一斉学習から、ICTを活用した主体的、対話的で深い学びへと授業スタイルが変わってきております。今後も、これまで取り組んできた教育実践に、モデル校でのICT活用の事例を組み合わせ、さらに学習履歴を蓄積して活用するなど、児童生徒一人一人の可能性を最大限に引き出す新たな学びの構築に努めてまいります。以上でございます。
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) よろしくお願いいたします。
次に、過大規模校についてお尋ねします。
直近の過大規模校数は幾つあるのか、学校名と併せてお答えください。
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 31学級以上の過大規模校は、令和4年5月1日時点で、小学校が西都小学校、西高宮小学校、名島小学校など20校、中学校が元岡中学校、和白中学校、友泉中学校など6校となってございます。以上でございます。
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 先ほどモデル校というお答えもありました南区の西高宮小学校ですけれども、西高宮校区は交通の便もよく、人気が高い校区であり、マンション開発の影響もあり児童数も増え、平成23年以降、過大規模校の状況が続いております。これまで西高宮小の過大規模校への対応についてお尋ねします。
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 西高宮小学校につきましては、平成21年度以降、校舎増築や教室改造等を行うとともに、平成30年度に隣接地を借地して校地を拡張するなど、教育環境の改善を図ってきております。以上でございます。
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 今年度の児童数、学級数はどうなっているのか、また、今後の見込みについてもお示しください。
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 令和4年5月1日時点で、児童数1,155人、学級数41学級となっております。
現在、校区内の住宅開発が落ち着いてきており、幼児数が減少に転じていることから、徐々に児童数も減少し、令和9年度には児童数1,001人、学級数33学級程度になると見込んでおります。以上でございます。
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) それでも令和9年度以降も過大規模校状態は続きます。
西高宮校区は、住宅需要が依然として高く、今後もマンション開発計画が続き、当面、過大規模の状態は継続すると思いますが、そもそも西高宮小学校は校地面積が狭く、借地に第2運動場を整備したことによって、市の基準面積を確保できたのか、御所見を求めます。
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 校地面積は、借地している3,209平方メートルを含めて1万6,155平方メートルとなっておりまして、基準面積であります1万6,500平方メートルをほぼ確保いたしております。以上でございます。
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 借地を含めて何とか基準面積に近づく状況であり、そもそも過大規模校であるかどうかに関わらず、将来にわたって必要な敷地であり、本来取得すべきだと思うのですが、借地となった理由をお聞きします。
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 土地所有者との協議の中で、相手方から売却ではなく賃貸借であれば可能との提案があり、市としましても、第2運動場を早期に確保する必要があったことから、その提案を受け入れたものでございます。以上でございます。
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 当該民有地は平成24年に私も質問しましたが、当時あった社宅が老朽化し、処分を検討している旨の情報があり、地元自治会関係者の皆さんから、西高宮小の校舎や運動場の狭隘化対策を求める声が上がっていたことから、再三にわたり土地所有者に対し福岡市教育委員会から学校整備の土地として売却を要請していただきました。土地所有者の意向もあり、当時の判断はやむを得ず、借地に校舎ではなく第2グラウンドとして整備されました。それでもようやく、久しぶりに自前の学校で運動会が開催できたと、地元住民に大変喜んでいただきました。
しかし、昨年度、その第2グラウンドに仮設校舎、いわゆるプレハブが整備され、またもグラウンドが半分の狭さとなってしまいました。もともと校地が狭い上に過大規模校であり、今後さらに児童数が増加した場合、第2グラウンドに新たな仮設校舎を建設するのか、また、現借地は今後も必要と思いますが、今後どのように対応するのか、お答えください。
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 児童数は今年度がピークになると見込んでおりまして、当面の教室不足に対応するため、第2運動場に仮設校舎を設置いたしましたが、今後は学級数の減少に応じて複数ある仮設校舎を集約しながら、第2運動場を確保してまいります。
今後も第2運動場の利用が継続でき、必要な校地面積が確保できるよう所有者としっかり協議をしてまいります。以上でございます。
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) よろしくお願いします。
民間の所有地であり、土地の売却の困難さは承知しております。しかし、公共色が濃い事業者の職員には、同小学校の卒業生と保護者もたくさんおられます。しかも、福岡市とビジネス上の取引もありますので、地元の子どもたちが置かれた教育環境をどうか御理解いただき、ぜひとも用途に制限がある借地ではなく、売却を御検討いただきたいと願いますし、子どもたちのために必要不可欠な用地であり、保護者や地元も要望しているその思いを先方にも伝えながら、本市として粘り強く取得に向けて交渉していただきたいと強く要望しておきます。
去る5月20日、21日に過大規模校に対する取組が進む川崎市と横浜市を訪問し、両教育委員会の担当職員から取組について御教授いただいてまいりました。
川崎市の開校150周年を迎えた川崎市立高津小学校、現在39教室の同校は、令和元年から空間をうまく活用し、約12億5,000万円で仮設ではない普通教室10教室、多目的スペース2か所、第2理科室、第2音楽室、体育倉庫を増築。
次に、川崎市立小杉小学校は、武蔵小杉駅周辺の児童数増加に伴う学校新設の必要性が生じる一方、まとまった土地の確保が困難なため、学校法人日本医科大学と2010年に基本合意を交わし、同法人から定期借地による学校用地提供を受けました。平成29年から令和30年まで33年間の長期間、地代は令和3年度評価額で年額2億5,000万円、鉄骨一部鉄筋コンクリート造5階建て、借地期間終了後は原状復帰の上、返還となりますが、廃校としない場合は合意の下に再契約を行う方法も考えられます。
横浜市立みなとみらい本町小学校は、近代的商業ビルが林立するビジネス街に設立された10年限定の本町小学校の分校として校舎を新設しました。JR桜木町駅前に位置する本町小学校の過大規模化を見越し、将来的な児童数も踏まえ、平成30年10年限定の分校として開校しました。鉄骨4階建ての校舎、開校時は普通17教室、通常費用負担が軽い建物ですが、都市の立地上、防音、免震、吸じんなど約26億円と、RC工法とほぼ変わらない事業費をかけ設置されました。
横浜市では、ほかにも特色ある過大規模校対策として、児童数が減少に転じると予想される暫定30年まで、横浜市の下水道用地を一時利用して開校した市場小学校けやき分校や開校120年を迎える横浜市立子安小学校は旧日産マリノス所有地を民間事業者から割増しで取得し、将来的には50教室まで設置可能とお聞きしました。
土地の取得が本市以上に困難な川崎市、横浜市、ともに様々な手法を駆使して教育環境整備に尽力しておりました。学校整備に関する国の補助金は31教室を超える過大規模校の建て替えには交付されないという財政的な課題は残りますが、福岡市が過大規模校を容認するのであれば、児童生徒の環境を第一に考え、抜本的な教育環境の整備は不可欠であります。福岡市立小学校・中学校の学校規模適正化に関する提言において、検討委員会の検討の理念、大規模校の課題及び新しい学校づくりの提案には何と記述してあるのか、お答えください。
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 平成20年に提言をいただいた福岡市学校規模適正化検討委員会の検討においては、福岡市の将来を担う子どもたちを健やかに育み、豊かな人間性や社会性を育成し、確かな学力が身につく教育環境が整うよう、公教育の機会均等の確保などの4つの理念が掲げられております。
また、大規模校の課題として、競争心や向上心が育まれるという長所がある反面、学級数が多いことによる多様な体験活動が制限されるなどの課題が挙げられております。
また、新しい学校づくりの提案として、地域に守られる安全な教育施設や多目的な機能を有する施設など、4つの視点が挙げられております。以上でございます。
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 福岡市が都市として成長したことで過大規模校が発生するのであれば、当然、教育環境の充実を図るべきであり、今後、西高宮小学校においても建て替え等、あらゆる手法による校舎整備が必要と考えますが、改めて明確な答弁を求めます。
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 過大規模校も含む全ての学校において、良好な教育環境を維持、改善していくことは大変重要であると考えております。
西高宮小学校につきましても、第2運動場の確保の必要性について、所有者に御理解いただけるようしっかりと協議を進めていくとともに、将来的な校舎の建て替えも視野に入れながら、児童数に応じた施設整備を行ってまいります。以上でございます。
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) ありがとうございます。何とぞよろしくお願いいたします。
南区には同じく過大規模校である西花畑小学校についてもグラウンドが狭く、隣接する国有地の取得に向けて国と協議を進めていただいていると聞いております。過大規模校の教育環境確保についてはしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
横浜市では、校舎整備だけでなく、同時に特色ある教育も導入しております。みなとみらい本町小学校では、しなやかな学校になろうを合い言葉に、SDGs国認定校となり、ESD、持続可能な社会の担い手を育てる教育にも力を入れ、近隣企業と協働してSDGsを広める活動や、子安小学校はプログラミング教室にも力を入れ、いずれもレジリエントな人材育成を行っております。
DXをはじめデジタル化を推進する本市であればこそ、施設整備を含め、ICT教育環境の充実により、人材が育ち、さらなる都市の発展につながる好循環を生まなければなりません。感染症、大規模災害、AI技術の急速な進展など、変化を予測しにくいVUCA時代と言われる難しい時代を生き抜くため、人も企業も自力で生き残るスキルが必要だと言われており、そのような時代を力強く生き抜くために、子どもたちの育成に福岡市はどう取り組むべきなのか、髙島市長にお考えをお聞きして、私の質問を終わります。
○副議長(山口剛司) 髙島市長。
○市長(髙島宗一郎) 松野議員御指摘のとおり、今まさに社会の変化が加速度を増して、複雑で予測困難な時代と言われる中、社会全体が答えのない問いにどう立ち向かうのかが問われている状況であると認識をしています。
このような時代においては、一人一人の児童生徒が自分のよさや可能性を認識するとともに、多様な人々と協働しながら、様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り開き、持続可能な社会のつくり手となるための資質や能力を身につけていくことが重要であり、今後も教育委員会と一体となって次代を担う子どもたちの育成にしっかりと取り組んでまいります。以上です。