▼令和4年 条例予算特別委員会 川上 多恵 総会質疑 (令和4年3月18日)

◯川上(多)委員 公明党福岡市議団を代表して、産前産後のケアにおける産後ドゥーラの活用について、子どもの権利サポート事業について、不登校支援及びいじめ問題について質問する。初めに、産前産後のケアにおける産後ドゥーラの活用についてである。新型コロナウイルス感染症のオミクロン株による第6波の影響を受ける中、人流の抑制や人との交流の機会が減少し、育児不安を抱えながらも身近な人からサポートを受けにくい状況にある母親の育児負担や育児不安が懸念される。そのような中、令和4年度は産後ケア事業に助産師による訪問型のメニューが拡充される。まず、産後ケア事業を拡充する目的について尋ねる。

△こども未来局長 産後ケア事業はこれまで産科医療機関や助産所などの施設で実施し、順次増設を図ってきているが、コロナ下で母親の育児不安の高まりが懸念される中、施設が近くになくても支援を必要とする産婦がより利用しやすくなるよう、施設型に加えて助産師等が自宅に行って支援する訪問型の産後ケア事業を新たに実施することとしたものである。

◯川上(多)委員 産後ケア施設に出向いていけない妊産婦にとっては、訪問型の支援はありがたいことだと思うし、その必要性については私も同感である。私は昨年の第3回定例会にて、産前産後の母親に寄り添ったサポートが必要であるという考えから、母親、新生児、家事、育児など包括的にサポートする産後ドゥーラのことを取り上げ、広く市民に知ってもらうために、チラシやポスターを公共施設等に配備するよう要望した。その際、産後ドゥーラは民間資格の一つと承知しており、その位置づけや活動状況等を把握した上で周知を含め、取扱いを検討する必要があるとの答弁であったが、その後、何か進展があったのか。

△こども未来局長 産後ドゥーラについては、一定の研修などを経て産後の親子等を支援するための知識やスキルを認定する民間の資格と承知している。本市においては、これまで産後ドゥーラの実施状況などの把握に努め、全国の登録者数は約650人で主に東京都や周辺の自治体で活動しており、一方で、本市内で現在活動している産後ドゥーラは数人であることを確認している。引き続きその実施状況などの把握を行っていく。

◯川上(多)委員 実施状況の把握だけにとどまらず、どうすれば本市でも実施できるかという発想の転換が必要ではないか。では、本市内にはまだ産後ドゥーラは少ないとのことなら、まずは産後ドゥーラになってもらう人を増やすために、資格を取得するための受講費の一部を助成してはどうか、所見を尋ねる。

△こども未来局長 産後ドゥーラの育成講座受講への助成の必要性については、例えば、産後ケア事業において助産師の資格が必要とされているような制度上の位置づけや、本市における活動状況等も考慮した上で検討する必要があると考える。

◯川上(多)委員 さらに、産後ドゥーラが民間の資格であり、取扱いを検討する必要があるとの認識について、では、なぜ東京都や神奈川県などでは民間の資格である産後ドゥーラを支援のための人材として活用しているのか、また、産後ドゥーラの資格を取得するための費用の一部を助成しているのか。

△こども未来局長 東京都や神奈川県においては10年近く前から産後ドゥーラの活動が行われており、これまでの利用状況など、その地域の事情を踏まえて、各自治体が公的な支援サービスの中での産後ドゥーラの活用や育成について判断しているものと考える。

◯川上(多)委員 東京都や神奈川県において約10年の活動実績があること、これまでの利用状況などを踏まえ公的な支援サービスに産後ドゥーラを活用しているという十分な先見的知見があるため、本市においても産後ドゥーラの活用について前向きに検討すべきと思うが、所見を尋ねる。

△こども未来局長 本市においては、産後の子育て家庭への支援として、母親や乳児のケアを行う産後ケア事業や、家事、育児の支援を行う産後ヘルパー派遣事業などを実施しているところである。例えば、横浜市等においては産前産後のヘルパー派遣事業の中で産後ドゥーラを活用していると聞いており、本市においても産後ヘルパー派遣事業の委託事業者として、必要な条件に該当する場合に産後ドゥーラを活用することが可能であると考える。

◯川上(多)委員 私は昨年、産後の家事、育児支援事業に産後ドゥーラを活用している東京都品川区と港区を調査した。品川区では、平成28年度から産後ドゥーラを活用、その前年度に5歳以下の保護者を対象にどんな支援が必要かを調査し、結果、産後ドゥーラは民間資格者ながら区の要望に沿っていること、保険加入等もして活動していることなどから事業を開始した。また、産後ドゥーラの資格取得費用の一部助成については、サービスを利用する区民が増え、その際、利用者が産後ドゥーラへ支払う交通費の実費負担を軽減するため、さらに国家資格で対応できるものがなかったとの理由を挙げていた。東京都品川区における直近3年の産後ドゥーラの利用状況を示したパネルを用意した。グラフの青い部分は育児支援ヘルパーの利用者数、赤は産後ドゥーラの利用者数である。育児支援ヘルパーと比較して、産後ドゥーラの利用者数のほうが圧倒的に多く、そのニーズの高さは一目瞭然である。利用者からも、「産後、体力がない中、料理を作ってもらって助かった」「コロナ禍で育児不安になっていたが、気持ちに寄り添ってくれて自信がついた」「ストレスがたまっていた兄弟児のお世話をしてもらってとても助かった」等のアンケート結果が得られ、満足度は90%を超えているとのことだった。母親と赤ちゃんを丸ごとサポートする産後ドゥーラの人気は高く、予約が取りにくいという意見もあるとのことである。このように産後ドゥーラを活用している自治体は利用者のニーズに合った事業を進め、有資格者を増員するための拡充を図るなど、実効性のある取組をしていた。私も首都圏から福岡へ転居した産前産後の母親から、「東京で利用していた産後ドゥーラが本当に助かった。福岡ではその制度がないのでとても困る」との声を聞いており、一度、産後ドゥーラのサービスを利用した人はリピーターになるほど、その支援サービスが充実していることが分かる。また、産前産後の母親をサポートする産後ドゥーラの活用は、東京以外にも政令市である千葉市、横浜市でも実施されている。他都市の先進事例や利用者の声、ニーズの高さなど、産後ドゥーラの活用に向けての提案をしてきた。今回、産後ヘルパー派遣事業で活用が可能と答弁したのは本当に一歩前進だと理解するが、一方で課題もあるとのことである。しかし、本市がこれまで取り組んできた子ども食堂の運営や、里親養育包括支援事業、フォスタリングなどのように、民間の活力を生かした施策に積極的に取り組む姿勢が大事であると思う。新型コロナウイルス感染症を含めた現在の社会状況を踏まえ、児童虐待やネグレクトなどの芽を摘むためにも、既に実施している他の自治体の取組を参考に、ぜひ産後ドゥーラを活用し、産前産後の母親に寄り添った支援事業を早期に実現してほしいと思うが、市長の所見を尋ねてこの質問を終わる。

△市長 コロナの影響が続く中、妊産婦やその家族の不安や負担を軽減し、安心して子育てができる環境をつくっていくことは、子どもへの虐待を未然に防ぐためにもますます重要になっていると考える。本市では、妊産婦に対する健康診査、また、オンラインを活用した母子健康事業を実施するほか、令和4年度からは産後ケア事業で新たに訪問型を開始するなど、行政と民間が連携しながら支援の充実を図っているところである。委員指摘の産後ドゥーラを含め、今後とも民間の活力を生かしながら、産前産後の子育て家庭に寄り添った支援にしっかりと取り組んでいく。

◯川上(多)委員 次に、子どもの権利サポート事業についてである。いじめや虐待、貧困や自殺など、子どもの人権に関わる課題が複雑化、多様化する中、子ども自身の意思や意見が尊重されることがとても重要である。子どもの基本的人権を国際的に保障するために制定された子どもの権利条約は、18歳未満の子どもを権利を持つ主体として位置づけ、大人と同じ一人の人間としての人権を認めている。また、我が党はこれまで、国に対して子どもの権利を保障するこども基本法を制定することや、弱い立場にある子どもの側に立ち、その声を代弁し、子どもの権利や利益を守る役割の子どもコミッショナー、権利擁護機関の設置を強く求めてきた。本市においては子どもの権利擁護を推進するために、令和4年度から新たに子どもの権利サポート事業が実施される。そこでまず、本事業の予算額と事業概要を分かりやすく示されたい。

△こども未来局長 子どもの権利サポート事業の予算額については1,000万円となっている。事業の概要については、子どもの権利を守るための専門的な知識やスキルを身につけた意見表明支援員、子どもアドボケイトが児童養護施設等を訪問して、必要な場面で独立した第三者として子ども自身の意見表明をサポートし、また、子どもの立場に立って代わりに意見を伝えるものである。

◯川上(多)委員 では、子どもの権利サポート事業を実施するに至った背景を尋ねる。

△こども未来局長 平成28年の児童福祉法改正において子どもが権利の主体であり、その意見が尊重されるべきであるとされた趣旨や、その後の国の検討状況等を踏まえ、児童養護施設等で暮らす子どもに影響を及ぼす支援や判断については、専門的な第三者がサポートしながら子ども自身の意見を表明できるようにすることにより、子どもに寄り添った適切な対応につなげていく必要があるため実施するものである。

◯川上(多)委員 事業化に至るまでには様々な準備も必要だったと思うが、どのように取り組んできたのか。

△こども未来局長 令和元年度に策定した第5次子ども総合計画において全国に先駆け、児童養護施設等で暮らす子どもを定期的に訪問して意見表明を支援する仕組みづくりに取り組むこととし、子どもの権利擁護に意欲的なNPOとの共働により、担い手となる意見表明支援員、子どもアドボケイトの養成や、具体的な手続等の検討を進めてきた。2年度からは官民共働で国の研究事業に参加し、意見表明支援員が実際に施設等で暮らす子どもたちを試行的に訪問しながら、面接に必要な技術やツールの改善に取り組んでいる。4年度は国のモデル事業を活用して事業化する予定であり、今後全国に広がることが期待されるものである。

◯川上(多)委員 本市が全国に先駆けて、NPOと共働で子どもの権利をサポートする仕組みを本事業として実施するということである。では、児童養護施設や一時保護所などの要保護の子どもを対象とするとのことであるが、子どもに対してどのようにアプローチするのか。

△こども未来局長 専門的なスキルを学んだ支援員が定期的に子どもを訪ねて信頼関係を築き、子どもの年齢や性格などに合わせて丁寧な説明や問いかけを行いながら、子どもが自分の思いや意見をまとめ、正しく伝わるよう表明するサポートを行い、子どもの気持ちに寄り添った必要な対応につなげていくこととしている。

◯川上(多)委員 定期的に子どもの元を訪問することで信頼関係を築き、子どもの気持ちを引き出し、その声に基づいた適切な支援やケアにつなげていくということである。国連児童基金、ユニセフによる令和2年の子どもの幸福度に関する調査によると、先進国など38か国中、日本は身体的健康が1位に対し生活満足度は下から2番目、自殺率も高く、精神的幸福度は37位という最下位に近い結果となっている。日本の子どもたちが抱える精神的負担がいかに大きいかということが分かる。児童養護施設などで暮らした子どもたちが社会に出ようとするときには頼る人もなく、自ら前に進んでいかなくてはならない。そのときに子ども自身の意向に沿った将来への道筋を立て、そのための支援につなぐ子どもの権利サポート事業の役割は非常に大きいと思う。子どもの心理に寄り添い、その権利をしっかりサポートするよう期待するとともに、要保護下にある子どものみならず、より多くの子どもたちへ対象を拡大するよう要望する。最後に、社会の宝である全ての子どもが環境に左右されることなく強く生き抜いていけるように、子どもの権利擁護の推進に向けた市長の決意を尋ね、この質問を終わる。

△市長 様々な環境で育つ全ての子どもたちが自分自身の思いや意見を表明でき、子どもの立場に立った支援につながることで、子どもの権利が尊重される社会を目指していくことは大変重要であると認識している。本市ではこれまで、全国に先駆けて意欲的に活動しているNPOや市民とともに、児童養護施設などで暮らしている子どもたちを実際に訪問しながら、意見表明を支援する方法を検討し、寄り添ったサポートを担う人材を養成するなど、子どもアドボカシーを推進してきた。今後とも、子どもの意見が十分に考慮され、最善の利益が実現される社会を目指して、本市が官民で培ってきた意見表明をサポートする取組を着実に進め、全国をリードしていけるように子どもの権利擁護の推進にしっかりと取り組んでいく。

◯川上(多)委員 次に、不登校支援及びいじめ問題についてである。学校生活では、学級閉鎖や部活動の制限、楽しい給食の時間も友達との会話ができないなど、新型コロナウイルスの影響は多くの我慢を子どもたちに与えている。現場の教職員には、変化に次ぐ変化の中で様々な対応をしてもらい、心から感謝と敬意を表する。今回は、なかなか学校に行けない子どもやいじめで悩んでいる子どもの心に寄り添った支援が推進できるよう質問していく。まず、不登校の定義を尋ねる。

△教育長 文部科学省によると、不登校は年間30日以上欠席している長期欠席児童生徒のうち、何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因、背景により登校しない、あるいはしたくてもできない状況にある者とされている。

◯川上(多)委員 文部科学省が昨年10月に令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果を公表した。それによると、不登校の小中学生は前年度から約1万5,000人増加し19万人を超え、8年連続で過去最多を更新している。では、本市における3年間の市立小中学校それぞれの不登校児童生徒数を示されたい。また、その数をどのように分析しているのか、所見を尋ねる。

△教育長 市立小中学校の不登校児童生徒数は平成30年度が小学校522人、中学校1,292人、令和元年度が小学校871人、中学校1,634人、2年度が小学校1,059人、中学校1,660人となっている。増加の背景として、新型コロナウイルスの影響などにより生活リズムが乱れたことや、学校生活において様々な制約が生じたことなどから、登校する意欲が湧きにくい状況にあったことなどが考えられる。

◯川上(多)委員 文部科学省は令和元年10月、不登校児童生徒への支援の在り方についての通知を発表した。その中で、不登校児童生徒への支援に対する基本的な考え方として、学校に登校するという結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す必要があるということが明記されている。児童生徒自身が自分の進路、将来の夢や目標に向かって前向きに主体的に取り組むことが何よりも大事なのではないかと思う。学校に登校するという目標にとらわれず、まずはその子自身の気持ちに寄り添い、心を通わせながら、一歩を踏み出せるようなサポートが求められているのではないか。本市として不登校児童生徒に対してどのような支援策を講じてきたのか。

△教育長 不登校児童生徒一人一人に応じた支援をするため、教育相談コーディネーターがスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなどと連携し、家庭訪問や相談対応等を行っている。また、学校復帰及び社会的自立の支援をするため、適応指導教室を運営するとともに、ひきこもりがちな児童生徒宅を大学生相談員が訪問支援するメンタルフレンド活用事業や登山などの自然体験イベントなどを実施している。

◯川上(多)委員 これまでも校内適応指導教室の設置や、不登校児童生徒への対応を行う教育相談コーディネーターの配置などに取り組んできた。では、年間で何人の生徒が校内適応指導教室に通っているのか、3年間の実績を尋ねる。また、校内適応指導教室から本来の学級に通えるようになった生徒は何人なのか示されたい。

△教育長 校内適応指導教室に通った生徒数は平成30年度が949人、令和元年度が1,030人、2年度が1,081人となっている。そのうち在籍する学級に通えるようになった生徒数は平成30年度が405人、令和元年度が481人、2年度が465人となっている。

◯川上(多)委員 次に、不登校に対応する教育相談コーディネーターはどのように配置され、1人の教育相談コーディネーターが平均何人の児童生徒を担当しているのか示されたい。

△教育長 教育相談コーディネーターは各中学校に69人配置し、中学校ブロック内の他の小学校に対しても支援を行っている。また、担当する人数については、担当する中学校ブロックや時期により異なるが、平均的に15人程度である。

◯川上(多)委員 1人の教育相談コーディネーターが約15人の生徒を担当しているとのことだが、学習状況の把握や個に応じた生徒への関わりが十分にできているのか心配になる。ここで熊本市の取組を紹介する。熊本市では、教育ICTを活用したオンライン学習支援を今年度試行的に行い、令和4年度から本格実施する。不登校児童生徒が年々増加傾向にあることから、オンラインによる学習支援を行うことで学習保障につながると考えたものの、各学校において不登校児童生徒一人一人に合わせて学習支援を行うことは難しく、負担も大きいという課題があったそうである。そこで、不登校児童生徒を人や社会とつなぎ、学習の機会を保障することを目的として、教育委員会がオンライン学習支援のシステムを構築し、小学校、中学校各1校をオンライン支援校と定め、事前に申込みをした不登校児童生徒とオンライン学習を行う仕組みである。授業内容は小学生、中学生それぞれのカリキュラムで組まれているが、国語や算数などの教科に加えて、小学生はプログラミング体験やアニメーションづくり等の創作活動ができるクリエイティブタイム、また、中学生は創作、表現活動等をするパフォーマンスタイムがあり、さらに、小中学生どちらも市内の様々な施設から出前授業を配信するわくわく学習が設けられているそうである。私は、この内容を聞いただけでも不登校児童生徒がオンライン学習を受けてみようかなと思いたくなるような配慮がなされているように感じた。今年度の体験に参加した児童生徒の保護者へのアンケートでは、子どもの生活リズムが整った、進路について前向きに考えるようになった、学校に登校できるようになった等の肯定的な意見が多かったとのことである。不登校児童生徒にとって実効性のある大変すばらしい取組であると思う。本市においては、各学校において不登校児童生徒に対してクラスでの授業を受けることができるオンライン授業を実施しているが、熊本市のように不登校の児童生徒を対象にICTを活用したオンライン学習支援の仕組みを構築し、学習の機会を提供する取組を行ってはどうか、所見を尋ねる。

△教育長 全市の不登校児童生徒を対象としたオンラインによる支援については、他都市における取組の成果や課題を十分に検証し、ICTを活用して児童生徒が交流し合う居場所づくりに対する子どもたちのニーズの有無なども踏まえ、仕組みづくりについて検討していく。

◯川上(多)委員 さらに、先ほどの文部科学省の通知の中には、フリースクールなどの民間施設、ICTを活用した学習支援など、多様な教育機会を確保する必要があるとも明記されている。熊本市のようなICTを活用した関わりや、フリースクールなどの民間施設やNPOと連携することで、不登校児童生徒にとっては多様な学びの機会を得ることができる。このようなアプローチは一人一人の可能性を伸ばし、不登校児童生徒の社会的自立支援につながる重要な支援策であると思う。本市ではフリースクールやNPOなどと連携して、不登校児童生徒を支援する事業が行われているのか。

△教育長 教育委員会とフリースクールとの間で年に2回、支援の在り方などについての意見交換会を実施しており、出席の取扱いなど児童生徒に応じた対応を行っている。また、NPOとの共催で、不登校児童生徒の保護者支援事業を実施している。

◯川上(多)委員 フリースクールに通わせることは授業料がかかり、保護者に負担がかかる。滋賀県草津市では、市が認定するフリースクールを利用する不登校児童生徒の保護者に対し授業料の支援を行い、保護者の負担を軽減している。本市でも不登校児童生徒が通うフリースクールの授業料を助成し、保護者の負担軽減を図ってはどうかと提案するが、所見を尋ねる。

△教育長 フリースクールの授業料等の助成については、フリースクールにも様々な形態や支援内容があり、また、それに対して公費負担することの必要性などが明確となっていないことから、まず国や他都市の動向を注視していく。

◯川上(多)委員 次に、不登校児童生徒の保護者への精神的な支援も重要である。子どもの学習の遅れ、心身の成長に関する不安に加えて、生活リズムの不規則化や、進路や子どもへの関わり方など、保護者の心配は尽きないことと思う。このような保護者の不安に寄り添った事業として、本市ではNPOとの共働による不登校児童生徒の保護者支援事業を実施している。この事業概要と3年間の利用者数、また、この事業における成果及び課題について具体的に示されたい。

△教育長 事業の概要として、子どもが不登校になった経験のある保護者がその経験も生かして現在不登校で悩んでいる保護者を支援しようとするもので、不登校対応の基本知識や当事者の体験談を聞く不登校セミナーを年間5回開催するとともに、電話相談や学校での保護者会の開催支援を行っている。利用者数及び相談件数は不登校セミナーが平成30年度285人、令和元年度249人、2年度261人で、電話相談は平成30年度242件、令和元年度254件、2年度223件である。当該事業は保護者の孤立防止や家庭支援に一定の役割を果たしているが、課題としてはセミナーの参加人数を増やしていく必要があると考える。

◯川上(多)委員 この事業は同じ経験を持つ人からのアドバイスや情報提供を受けることができ、保護者同士の交流やつながりができるなど、不登校で悩んでいる保護者に対して当事者の立場から支援できる、まさに寄り添い型のすばらしい支援であると思う。保護者が1人で悩むことのないよう、全ての学校に本事業の周知、啓発を図り、さらなる事業拡充に努めてほしいと思うが、所見を尋ねる。

△教育長 不登校支援を充実させるためには、より多くの保護者が気軽に参加できるようにしていくことが大切で、今後、各学校や関係団体とのさらなる連携を図り、周知を行っていくとともに、令和4年度からは不登校セミナーの参加費を無料とし、支援を拡充していく。

◯川上(多)委員 さて、不登校になる原因の一つにいじめ問題がある。ここからはいじめについての質問を進めていく。まず、いじめの定義について示されたい。

△教育長 いじめはいじめ防止対策推進法に定義されており、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍しているなど当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的または物理的な影響を与える、インターネットを通じて行われるものを含む行為であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものとされている。

◯川上(多)委員 今、法におけるいじめの定義の答弁があったが、つまり、受けた側の人が嫌な気持ちになったり、痛いと感じたりすれば、それはいじめということになる。先ほどの文部科学省の調査結果によると、小中高等学校及び特別支援学校におけるいじめの認知件数は51万7,163件、前年度に比べ9万5,333件、15.6%減少している。では、本市におけるいじめの認知件数を3年間で示されたい。

△教育長 市立小中学校におけるいじめの認知件数は平成30年度1,474件、令和元年度2,632件、2年度2,138件となっている。

◯川上(多)委員 次に、これまで本市が行ってきたいじめ問題への対策とその効果、また、課題をどのように分析しているのか尋ねる。

△教育長 平成26年3月に福岡市いじめ防止基本方針を策定し、いじめを生まない教育活動の推進やいじめの早期発見の取組、いじめゼロサミットなどの啓発事業を実施するとともに、教育委員会として、いじめの認知漏れが発生しないよう各学校に指導してきた。その結果、認知件数の増加傾向に現れており、学校におけるいじめの早期発見や早期対応につながっていると考える。今後の課題として、一人一人に応じたきめ細かい支援をより一層充実させるため、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの専門スタッフとのさらなる連携が必要であると考える。

◯川上(多)委員 個に応じた効果的な支援を行うために、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーなどのさらなる連携が必要とのことであるが、いじめられた子どもの心の傷が深くならないように、いじめの早期発見が大事であると思う。いじめは教員や周りの友達からの報告により認知されるケースもあると思うが、いじめを受けた児童生徒自身がSOSを出しやすい環境づくりも重要である。他の自治体では、1人1台配備されているタブレット端末を活用して、困っていることや悩んでいることなどを意思表示できるような仕組みを構築しているところもあるようである。先生や親には直接言い出せないことも、タブレットの画面上からは少しハードルが下がってSOSを出しやすいのではないかと思う。そこで、本市では1人1台配備されているタブレット端末に児童生徒自身が相談するためのアイコンなどはあるのか尋ねる。

△教育長 1人1台端末のトップページにあるアイコンをクリックすると、SNS相談窓口の二次元バーコードや24時間子供SOSダイヤルなど、7か所の相談窓口の紹介ページが表示されるようにしている。

◯川上(多)委員 では、SNSや電話での相談のうち、いじめに関する相談件数を3年間で示されたい。

△教育長 SNSを活用した相談事業として、令和元年度から福岡市こどもSNS相談を実施しており、相談件数は元年度37件、2年度47件となっている。また、教育委員会へのいじめに関する電話相談件数は平成30年度113件、令和元年度90件、2年度63件となっている。

◯川上(多)委員 先ほど答弁した認知件数に比べると、実際の相談件数というのは非常に少ないと感じる。さらに、令和4年度から新たにタブレット端末を活用した相談支援事業が開始されるが、その事業概要と予算額を示されたい。

△こども未来局長 タブレット端末を活用した新たな相談支援事業については、児童虐待等の防止や早期発見のため、児童生徒に1人1台配付しているタブレット端末を活用して、子ども自身がより相談しやすいシステムを整備し、支援に取り組むものである。具体的には、タブレットの画面に表示される悩みや困っていることなどをボタンで選択し、必要なときには相談員と直接話せるようにするなど、小学校低学年でも簡単で気軽に相談できるよう工夫するとともに、内容に応じて速やかに関係機関につなぐことで虐待等の早期発見、支援を図ることとしており、令和4年度の予算額は3,300万円となっている。

◯川上(多)委員 児童虐待の防止や早期発見のために、子ども自身が相談しやすいシステムを整備するとのことであるが、いじめなど学校現場の悩みについては学校や家庭としっかり連携し、最適な支援ができるように万全を期するよう求めておく。先ほどの調査結果によると、令和2年度の学校でのいじめの認知件数は減少する一方、パソコンや携帯電話等で誹謗中傷や嫌なことをされる、いわゆるネットいじめの件数は全体で1万8,870件で過去最多を更新し、この5年間で倍増していると報告されている。昨年11月、東京都町田市の女子児童がネットによるいじめ被害により自殺した事案は本当に胸が痛く、何とか周りの気づきや支援が届けられなかったのかと悔やまれる。特にネットでのいじめは教員や保護者の目が届きにくく、重大事案につながるおそれがあるのではないかと非常に危惧している。そこで、本市ではタブレット端末についてどのような制限がされているのか示されたい。

△教育長 児童生徒が活用している1人1台端末からは外部のSNSサイトへの接続や、児童生徒同士でコミュニケーションが可能なチャット機能は現在利用できないように設定している。さらに、深夜には端末自体の利用ができなくなる仕組みを導入している。

◯川上(多)委員 タブレット端末から外部のSNSサイトへの接続や、児童生徒同士のチャット機能は利用できないようになっているとのことで安心した。今や小学生でもスマートフォンなどを持っている子どもも多く、SNSのサイトに容易にアクセスできる環境がある。ネット上でのいじめや様々なサイトにアクセスすることで起こり得る問題をきちんと理解するためのリテラシー教育をしっかりと推進するよう要望しておく。そして、いじめはどこでも誰にでも起こり得るとの視点に立ち、いじめの防止、早期発見、いじめへの対応、地域や家庭との連携強化などのさらなる取組を強化してほしいと思うが、所見を尋ねる。

△教育長 いじめは子どもの尊厳や権利を侵害する行為で決して許されるものではなく、いじめをなくすためには学校の取組とともに、保護者や地域との連携の強化は重要と考える。今後も、定期的なアンケート調査の実施や、1人1台端末を利用した相談窓口の紹介、児童生徒が主体的に取り組むいじめゼロサミットの開催と保護者や地域への啓発活動等、いじめ防止に関する取組を総合的に実施し、未然防止、早期発見、きめ細やかな対応に努めていく。

◯川上(多)委員 不登校児童生徒への支援策、また、いじめの問題について質問、提案してきた。新型コロナウイルス感染症やスマートフォンの普及によるネットいじめのリスクなど、社会状況の変化によって、様々な観点から子どもたちへの支援の在り方も考えていかなければならない時代となった。どんな状況になっても全ての子どもたちが自分の夢や希望に向かって前に進んでいけるような施策を実施してほしいと思うが、最後に市長の決意を尋ねて質問を終わる。

△市長 子どもは、その一人一人が未来をつくっていくかけがえのない存在であり、全ての子どもたちが自分の夢や希望に向かって進んでいけるように困難を抱える子どもたちを支援していくことは大変重要であると考える。これまで教育委員会が取り組んできた相談体制の強化に加えて、新年度は児童生徒の1人1台端末を活用した相談支援や、子どもの習い事費用の支援、ヤングケアラーに対する支援体制の強化に取り組んでいく。今後とも、自分らしく、子どもたちが生き生きと輝き、将来に夢を描きながら心身ともに健やかに成長していけるまちづくりをしっかりと進めていく。
◯川上(多)委員 公明党福岡市議団を代表して、産前産後のケアにおける産後ドゥーラの活用について、子どもの権利サポート事業について、不登校支援及びいじめ問題について質問する。初めに、産前産後のケアにおける産後ドゥーラの活用についてである。新型コロナウイルス感染症のオミクロン株による第6波の影響を受ける中、人流の抑制や人との交流の機会が減少し、育児不安を抱えながらも身近な人からサポートを受けにくい状況にある母親の育児負担や育児不安が懸念される。そのような中、令和4年度は産後ケア事業に助産師による訪問型のメニューが拡充される。まず、産後ケア事業を拡充する目的について尋ねる。

△こども未来局長 産後ケア事業はこれまで産科医療機関や助産所などの施設で実施し、順次増設を図ってきているが、コロナ下で母親の育児不安の高まりが懸念される中、施設が近くになくても支援を必要とする産婦がより利用しやすくなるよう、施設型に加えて助産師等が自宅に行って支援する訪問型の産後ケア事業を新たに実施することとしたものである。

◯川上(多)委員 産後ケア施設に出向いていけない妊産婦にとっては、訪問型の支援はありがたいことだと思うし、その必要性については私も同感である。私は昨年の第3回定例会にて、産前産後の母親に寄り添ったサポートが必要であるという考えから、母親、新生児、家事、育児など包括的にサポートする産後ドゥーラのことを取り上げ、広く市民に知ってもらうために、チラシやポスターを公共施設等に配備するよう要望した。その際、産後ドゥーラは民間資格の一つと承知しており、その位置づけや活動状況等を把握した上で周知を含め、取扱いを検討する必要があるとの答弁であったが、その後、何か進展があったのか。

△こども未来局長 産後ドゥーラについては、一定の研修などを経て産後の親子等を支援するための知識やスキルを認定する民間の資格と承知している。本市においては、これまで産後ドゥーラの実施状況などの把握に努め、全国の登録者数は約650人で主に東京都や周辺の自治体で活動しており、一方で、本市内で現在活動している産後ドゥーラは数人であることを確認している。引き続きその実施状況などの把握を行っていく。

◯川上(多)委員 実施状況の把握だけにとどまらず、どうすれば本市でも実施できるかという発想の転換が必要ではないか。では、本市内にはまだ産後ドゥーラは少ないとのことなら、まずは産後ドゥーラになってもらう人を増やすために、資格を取得するための受講費の一部を助成してはどうか、所見を尋ねる。

△こども未来局長 産後ドゥーラの育成講座受講への助成の必要性については、例えば、産後ケア事業において助産師の資格が必要とされているような制度上の位置づけや、本市における活動状況等も考慮した上で検討する必要があると考える。

◯川上(多)委員 さらに、産後ドゥーラが民間の資格であり、取扱いを検討する必要があるとの認識について、では、なぜ東京都や神奈川県などでは民間の資格である産後ドゥーラを支援のための人材として活用しているのか、また、産後ドゥーラの資格を取得するための費用の一部を助成しているのか。

△こども未来局長 東京都や神奈川県においては10年近く前から産後ドゥーラの活動が行われており、これまでの利用状況など、その地域の事情を踏まえて、各自治体が公的な支援サービスの中での産後ドゥーラの活用や育成について判断しているものと考える。

◯川上(多)委員 東京都や神奈川県において約10年の活動実績があること、これまでの利用状況などを踏まえ公的な支援サービスに産後ドゥーラを活用しているという十分な先見的知見があるため、本市においても産後ドゥーラの活用について前向きに検討すべきと思うが、所見を尋ねる。

△こども未来局長 本市においては、産後の子育て家庭への支援として、母親や乳児のケアを行う産後ケア事業や、家事、育児の支援を行う産後ヘルパー派遣事業などを実施しているところである。例えば、横浜市等においては産前産後のヘルパー派遣事業の中で産後ドゥーラを活用していると聞いており、本市においても産後ヘルパー派遣事業の委託事業者として、必要な条件に該当する場合に産後ドゥーラを活用することが可能であると考える。

◯川上(多)委員 私は昨年、産後の家事、育児支援事業に産後ドゥーラを活用している東京都品川区と港区を調査した。品川区では、平成28年度から産後ドゥーラを活用、その前年度に5歳以下の保護者を対象にどんな支援が必要かを調査し、結果、産後ドゥーラは民間資格者ながら区の要望に沿っていること、保険加入等もして活動していることなどから事業を開始した。また、産後ドゥーラの資格取得費用の一部助成については、サービスを利用する区民が増え、その際、利用者が産後ドゥーラへ支払う交通費の実費負担を軽減するため、さらに国家資格で対応できるものがなかったとの理由を挙げていた。東京都品川区における直近3年の産後ドゥーラの利用状況を示したパネルを用意した。グラフの青い部分は育児支援ヘルパーの利用者数、赤は産後ドゥーラの利用者数である。育児支援ヘルパーと比較して、産後ドゥーラの利用者数のほうが圧倒的に多く、そのニーズの高さは一目瞭然である。利用者からも、「産後、体力がない中、料理を作ってもらって助かった」「コロナ禍で育児不安になっていたが、気持ちに寄り添ってくれて自信がついた」「ストレスがたまっていた兄弟児のお世話をしてもらってとても助かった」等のアンケート結果が得られ、満足度は90%を超えているとのことだった。母親と赤ちゃんを丸ごとサポートする産後ドゥーラの人気は高く、予約が取りにくいという意見もあるとのことである。このように産後ドゥーラを活用している自治体は利用者のニーズに合った事業を進め、有資格者を増員するための拡充を図るなど、実効性のある取組をしていた。私も首都圏から福岡へ転居した産前産後の母親から、「東京で利用していた産後ドゥーラが本当に助かった。福岡ではその制度がないのでとても困る」との声を聞いており、一度、産後ドゥーラのサービスを利用した人はリピーターになるほど、その支援サービスが充実していることが分かる。また、産前産後の母親をサポートする産後ドゥーラの活用は、東京以外にも政令市である千葉市、横浜市でも実施されている。他都市の先進事例や利用者の声、ニーズの高さなど、産後ドゥーラの活用に向けての提案をしてきた。今回、産後ヘルパー派遣事業で活用が可能と答弁したのは本当に一歩前進だと理解するが、一方で課題もあるとのことである。しかし、本市がこれまで取り組んできた子ども食堂の運営や、里親養育包括支援事業、フォスタリングなどのように、民間の活力を生かした施策に積極的に取り組む姿勢が大事であると思う。新型コロナウイルス感染症を含めた現在の社会状況を踏まえ、児童虐待やネグレクトなどの芽を摘むためにも、既に実施している他の自治体の取組を参考に、ぜひ産後ドゥーラを活用し、産前産後の母親に寄り添った支援事業を早期に実現してほしいと思うが、市長の所見を尋ねてこの質問を終わる。

△市長 コロナの影響が続く中、妊産婦やその家族の不安や負担を軽減し、安心して子育てができる環境をつくっていくことは、子どもへの虐待を未然に防ぐためにもますます重要になっていると考える。本市では、妊産婦に対する健康診査、また、オンラインを活用した母子健康事業を実施するほか、令和4年度からは産後ケア事業で新たに訪問型を開始するなど、行政と民間が連携しながら支援の充実を図っているところである。委員指摘の産後ドゥーラを含め、今後とも民間の活力を生かしながら、産前産後の子育て家庭に寄り添った支援にしっかりと取り組んでいく。

◯川上(多)委員 次に、子どもの権利サポート事業についてである。いじめや虐待、貧困や自殺など、子どもの人権に関わる課題が複雑化、多様化する中、子ども自身の意思や意見が尊重されることがとても重要である。子どもの基本的人権を国際的に保障するために制定された子どもの権利条約は、18歳未満の子どもを権利を持つ主体として位置づけ、大人と同じ一人の人間としての人権を認めている。また、我が党はこれまで、国に対して子どもの権利を保障するこども基本法を制定することや、弱い立場にある子どもの側に立ち、その声を代弁し、子どもの権利や利益を守る役割の子どもコミッショナー、権利擁護機関の設置を強く求めてきた。本市においては子どもの権利擁護を推進するために、令和4年度から新たに子どもの権利サポート事業が実施される。そこでまず、本事業の予算額と事業概要を分かりやすく示されたい。

△こども未来局長 子どもの権利サポート事業の予算額については1,000万円となっている。事業の概要については、子どもの権利を守るための専門的な知識やスキルを身につけた意見表明支援員、子どもアドボケイトが児童養護施設等を訪問して、必要な場面で独立した第三者として子ども自身の意見表明をサポートし、また、子どもの立場に立って代わりに意見を伝えるものである。

◯川上(多)委員 では、子どもの権利サポート事業を実施するに至った背景を尋ねる。

△こども未来局長 平成28年の児童福祉法改正において子どもが権利の主体であり、その意見が尊重されるべきであるとされた趣旨や、その後の国の検討状況等を踏まえ、児童養護施設等で暮らす子どもに影響を及ぼす支援や判断については、専門的な第三者がサポートしながら子ども自身の意見を表明できるようにすることにより、子どもに寄り添った適切な対応につなげていく必要があるため実施するものである。

◯川上(多)委員 事業化に至るまでには様々な準備も必要だったと思うが、どのように取り組んできたのか。

△こども未来局長 令和元年度に策定した第5次子ども総合計画において全国に先駆け、児童養護施設等で暮らす子どもを定期的に訪問して意見表明を支援する仕組みづくりに取り組むこととし、子どもの権利擁護に意欲的なNPOとの共働により、担い手となる意見表明支援員、子どもアドボケイトの養成や、具体的な手続等の検討を進めてきた。2年度からは官民共働で国の研究事業に参加し、意見表明支援員が実際に施設等で暮らす子どもたちを試行的に訪問しながら、面接に必要な技術やツールの改善に取り組んでいる。4年度は国のモデル事業を活用して事業化する予定であり、今後全国に広がることが期待されるものである。

◯川上(多)委員 本市が全国に先駆けて、NPOと共働で子どもの権利をサポートする仕組みを本事業として実施するということである。では、児童養護施設や一時保護所などの要保護の子どもを対象とするとのことであるが、子どもに対してどのようにアプローチするのか。

△こども未来局長 専門的なスキルを学んだ支援員が定期的に子どもを訪ねて信頼関係を築き、子どもの年齢や性格などに合わせて丁寧な説明や問いかけを行いながら、子どもが自分の思いや意見をまとめ、正しく伝わるよう表明するサポートを行い、子どもの気持ちに寄り添った必要な対応につなげていくこととしている。

◯川上(多)委員 定期的に子どもの元を訪問することで信頼関係を築き、子どもの気持ちを引き出し、その声に基づいた適切な支援やケアにつなげていくということである。国連児童基金、ユニセフによる令和2年の子どもの幸福度に関する調査によると、先進国など38か国中、日本は身体的健康が1位に対し生活満足度は下から2番目、自殺率も高く、精神的幸福度は37位という最下位に近い結果となっている。日本の子どもたちが抱える精神的負担がいかに大きいかということが分かる。児童養護施設などで暮らした子どもたちが社会に出ようとするときには頼る人もなく、自ら前に進んでいかなくてはならない。そのときに子ども自身の意向に沿った将来への道筋を立て、そのための支援につなぐ子どもの権利サポート事業の役割は非常に大きいと思う。子どもの心理に寄り添い、その権利をしっかりサポートするよう期待するとともに、要保護下にある子どものみならず、より多くの子どもたちへ対象を拡大するよう要望する。最後に、社会の宝である全ての子どもが環境に左右されることなく強く生き抜いていけるように、子どもの権利擁護の推進に向けた市長の決意を尋ね、この質問を終わる。

△市長 様々な環境で育つ全ての子どもたちが自分自身の思いや意見を表明でき、子どもの立場に立った支援につながることで、子どもの権利が尊重される社会を目指していくことは大変重要であると認識している。本市ではこれまで、全国に先駆けて意欲的に活動しているNPOや市民とともに、児童養護施設などで暮らしている子どもたちを実際に訪問しながら、意見表明を支援する方法を検討し、寄り添ったサポートを担う人材を養成するなど、子どもアドボカシーを推進してきた。今後とも、子どもの意見が十分に考慮され、最善の利益が実現される社会を目指して、本市が官民で培ってきた意見表明をサポートする取組を着実に進め、全国をリードしていけるように子どもの権利擁護の推進にしっかりと取り組んでいく。

◯川上(多)委員 次に、不登校支援及びいじめ問題についてである。学校生活では、学級閉鎖や部活動の制限、楽しい給食の時間も友達との会話ができないなど、新型コロナウイルスの影響は多くの我慢を子どもたちに与えている。現場の教職員には、変化に次ぐ変化の中で様々な対応をしてもらい、心から感謝と敬意を表する。今回は、なかなか学校に行けない子どもやいじめで悩んでいる子どもの心に寄り添った支援が推進できるよう質問していく。まず、不登校の定義を尋ねる。

△教育長 文部科学省によると、不登校は年間30日以上欠席している長期欠席児童生徒のうち、何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因、背景により登校しない、あるいはしたくてもできない状況にある者とされている。

◯川上(多)委員 文部科学省が昨年10月に令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果を公表した。それによると、不登校の小中学生は前年度から約1万5,000人増加し19万人を超え、8年連続で過去最多を更新している。では、本市における3年間の市立小中学校それぞれの不登校児童生徒数を示されたい。また、その数をどのように分析しているのか、所見を尋ねる。

△教育長 市立小中学校の不登校児童生徒数は平成30年度が小学校522人、中学校1,292人、令和元年度が小学校871人、中学校1,634人、2年度が小学校1,059人、中学校1,660人となっている。増加の背景として、新型コロナウイルスの影響などにより生活リズムが乱れたことや、学校生活において様々な制約が生じたことなどから、登校する意欲が湧きにくい状況にあったことなどが考えられる。

◯川上(多)委員 文部科学省は令和元年10月、不登校児童生徒への支援の在り方についての通知を発表した。その中で、不登校児童生徒への支援に対する基本的な考え方として、学校に登校するという結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す必要があるということが明記されている。児童生徒自身が自分の進路、将来の夢や目標に向かって前向きに主体的に取り組むことが何よりも大事なのではないかと思う。学校に登校するという目標にとらわれず、まずはその子自身の気持ちに寄り添い、心を通わせながら、一歩を踏み出せるようなサポートが求められているのではないか。本市として不登校児童生徒に対してどのような支援策を講じてきたのか。

△教育長 不登校児童生徒一人一人に応じた支援をするため、教育相談コーディネーターがスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなどと連携し、家庭訪問や相談対応等を行っている。また、学校復帰及び社会的自立の支援をするため、適応指導教室を運営するとともに、ひきこもりがちな児童生徒宅を大学生相談員が訪問支援するメンタルフレンド活用事業や登山などの自然体験イベントなどを実施している。

◯川上(多)委員 これまでも校内適応指導教室の設置や、不登校児童生徒への対応を行う教育相談コーディネーターの配置などに取り組んできた。では、年間で何人の生徒が校内適応指導教室に通っているのか、3年間の実績を尋ねる。また、校内適応指導教室から本来の学級に通えるようになった生徒は何人なのか示されたい。

△教育長 校内適応指導教室に通った生徒数は平成30年度が949人、令和元年度が1,030人、2年度が1,081人となっている。そのうち在籍する学級に通えるようになった生徒数は平成30年度が405人、令和元年度が481人、2年度が465人となっている。

◯川上(多)委員 次に、不登校に対応する教育相談コーディネーターはどのように配置され、1人の教育相談コーディネーターが平均何人の児童生徒を担当しているのか示されたい。

△教育長 教育相談コーディネーターは各中学校に69人配置し、中学校ブロック内の他の小学校に対しても支援を行っている。また、担当する人数については、担当する中学校ブロックや時期により異なるが、平均的に15人程度である。

◯川上(多)委員 1人の教育相談コーディネーターが約15人の生徒を担当しているとのことだが、学習状況の把握や個に応じた生徒への関わりが十分にできているのか心配になる。ここで熊本市の取組を紹介する。熊本市では、教育ICTを活用したオンライン学習支援を今年度試行的に行い、令和4年度から本格実施する。不登校児童生徒が年々増加傾向にあることから、オンラインによる学習支援を行うことで学習保障につながると考えたものの、各学校において不登校児童生徒一人一人に合わせて学習支援を行うことは難しく、負担も大きいという課題があったそうである。そこで、不登校児童生徒を人や社会とつなぎ、学習の機会を保障することを目的として、教育委員会がオンライン学習支援のシステムを構築し、小学校、中学校各1校をオンライン支援校と定め、事前に申込みをした不登校児童生徒とオンライン学習を行う仕組みである。授業内容は小学生、中学生それぞれのカリキュラムで組まれているが、国語や算数などの教科に加えて、小学生はプログラミング体験やアニメーションづくり等の創作活動ができるクリエイティブタイム、また、中学生は創作、表現活動等をするパフォーマンスタイムがあり、さらに、小中学生どちらも市内の様々な施設から出前授業を配信するわくわく学習が設けられているそうである。私は、この内容を聞いただけでも不登校児童生徒がオンライン学習を受けてみようかなと思いたくなるような配慮がなされているように感じた。今年度の体験に参加した児童生徒の保護者へのアンケートでは、子どもの生活リズムが整った、進路について前向きに考えるようになった、学校に登校できるようになった等の肯定的な意見が多かったとのことである。不登校児童生徒にとって実効性のある大変すばらしい取組であると思う。本市においては、各学校において不登校児童生徒に対してクラスでの授業を受けることができるオンライン授業を実施しているが、熊本市のように不登校の児童生徒を対象にICTを活用したオンライン学習支援の仕組みを構築し、学習の機会を提供する取組を行ってはどうか、所見を尋ねる。

△教育長 全市の不登校児童生徒を対象としたオンラインによる支援については、他都市における取組の成果や課題を十分に検証し、ICTを活用して児童生徒が交流し合う居場所づくりに対する子どもたちのニーズの有無なども踏まえ、仕組みづくりについて検討していく。

◯川上(多)委員 さらに、先ほどの文部科学省の通知の中には、フリースクールなどの民間施設、ICTを活用した学習支援など、多様な教育機会を確保する必要があるとも明記されている。熊本市のようなICTを活用した関わりや、フリースクールなどの民間施設やNPOと連携することで、不登校児童生徒にとっては多様な学びの機会を得ることができる。このようなアプローチは一人一人の可能性を伸ばし、不登校児童生徒の社会的自立支援につながる重要な支援策であると思う。本市ではフリースクールやNPOなどと連携して、不登校児童生徒を支援する事業が行われているのか。

△教育長 教育委員会とフリースクールとの間で年に2回、支援の在り方などについての意見交換会を実施しており、出席の取扱いなど児童生徒に応じた対応を行っている。また、NPOとの共催で、不登校児童生徒の保護者支援事業を実施している。

◯川上(多)委員 フリースクールに通わせることは授業料がかかり、保護者に負担がかかる。滋賀県草津市では、市が認定するフリースクールを利用する不登校児童生徒の保護者に対し授業料の支援を行い、保護者の負担を軽減している。本市でも不登校児童生徒が通うフリースクールの授業料を助成し、保護者の負担軽減を図ってはどうかと提案するが、所見を尋ねる。

△教育長 フリースクールの授業料等の助成については、フリースクールにも様々な形態や支援内容があり、また、それに対して公費負担することの必要性などが明確となっていないことから、まず国や他都市の動向を注視していく。

◯川上(多)委員 次に、不登校児童生徒の保護者への精神的な支援も重要である。子どもの学習の遅れ、心身の成長に関する不安に加えて、生活リズムの不規則化や、進路や子どもへの関わり方など、保護者の心配は尽きないことと思う。このような保護者の不安に寄り添った事業として、本市ではNPOとの共働による不登校児童生徒の保護者支援事業を実施している。この事業概要と3年間の利用者数、また、この事業における成果及び課題について具体的に示されたい。

△教育長 事業の概要として、子どもが不登校になった経験のある保護者がその経験も生かして現在不登校で悩んでいる保護者を支援しようとするもので、不登校対応の基本知識や当事者の体験談を聞く不登校セミナーを年間5回開催するとともに、電話相談や学校での保護者会の開催支援を行っている。利用者数及び相談件数は不登校セミナーが平成30年度285人、令和元年度249人、2年度261人で、電話相談は平成30年度242件、令和元年度254件、2年度223件である。当該事業は保護者の孤立防止や家庭支援に一定の役割を果たしているが、課題としてはセミナーの参加人数を増やしていく必要があると考える。

◯川上(多)委員 この事業は同じ経験を持つ人からのアドバイスや情報提供を受けることができ、保護者同士の交流やつながりができるなど、不登校で悩んでいる保護者に対して当事者の立場から支援できる、まさに寄り添い型のすばらしい支援であると思う。保護者が1人で悩むことのないよう、全ての学校に本事業の周知、啓発を図り、さらなる事業拡充に努めてほしいと思うが、所見を尋ねる。

△教育長 不登校支援を充実させるためには、より多くの保護者が気軽に参加できるようにしていくことが大切で、今後、各学校や関係団体とのさらなる連携を図り、周知を行っていくとともに、令和4年度からは不登校セミナーの参加費を無料とし、支援を拡充していく。

◯川上(多)委員 さて、不登校になる原因の一つにいじめ問題がある。ここからはいじめについての質問を進めていく。まず、いじめの定義について示されたい。

△教育長 いじめはいじめ防止対策推進法に定義されており、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍しているなど当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的または物理的な影響を与える、インターネットを通じて行われるものを含む行為であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものとされている。

◯川上(多)委員 今、法におけるいじめの定義の答弁があったが、つまり、受けた側の人が嫌な気持ちになったり、痛いと感じたりすれば、それはいじめということになる。先ほどの文部科学省の調査結果によると、小中高等学校及び特別支援学校におけるいじめの認知件数は51万7,163件、前年度に比べ9万5,333件、15.6%減少している。では、本市におけるいじめの認知件数を3年間で示されたい。

△教育長 市立小中学校におけるいじめの認知件数は平成30年度1,474件、令和元年度2,632件、2年度2,138件となっている。

◯川上(多)委員 次に、これまで本市が行ってきたいじめ問題への対策とその効果、また、課題をどのように分析しているのか尋ねる。

△教育長 平成26年3月に福岡市いじめ防止基本方針を策定し、いじめを生まない教育活動の推進やいじめの早期発見の取組、いじめゼロサミットなどの啓発事業を実施するとともに、教育委員会として、いじめの認知漏れが発生しないよう各学校に指導してきた。その結果、認知件数の増加傾向に現れており、学校におけるいじめの早期発見や早期対応につながっていると考える。今後の課題として、一人一人に応じたきめ細かい支援をより一層充実させるため、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの専門スタッフとのさらなる連携が必要であると考える。

◯川上(多)委員 個に応じた効果的な支援を行うために、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーなどのさらなる連携が必要とのことであるが、いじめられた子どもの心の傷が深くならないように、いじめの早期発見が大事であると思う。いじめは教員や周りの友達からの報告により認知されるケースもあると思うが、いじめを受けた児童生徒自身がSOSを出しやすい環境づくりも重要である。他の自治体では、1人1台配備されているタブレット端末を活用して、困っていることや悩んでいることなどを意思表示できるような仕組みを構築しているところもあるようである。先生や親には直接言い出せないことも、タブレットの画面上からは少しハードルが下がってSOSを出しやすいのではないかと思う。そこで、本市では1人1台配備されているタブレット端末に児童生徒自身が相談するためのアイコンなどはあるのか尋ねる。

△教育長 1人1台端末のトップページにあるアイコンをクリックすると、SNS相談窓口の二次元バーコードや24時間子供SOSダイヤルなど、7か所の相談窓口の紹介ページが表示されるようにしている。

◯川上(多)委員 では、SNSや電話での相談のうち、いじめに関する相談件数を3年間で示されたい。

△教育長 SNSを活用した相談事業として、令和元年度から福岡市こどもSNS相談を実施しており、相談件数は元年度37件、2年度47件となっている。また、教育委員会へのいじめに関する電話相談件数は平成30年度113件、令和元年度90件、2年度63件となっている。

◯川上(多)委員 先ほど答弁した認知件数に比べると、実際の相談件数というのは非常に少ないと感じる。さらに、令和4年度から新たにタブレット端末を活用した相談支援事業が開始されるが、その事業概要と予算額を示されたい。

△こども未来局長 タブレット端末を活用した新たな相談支援事業については、児童虐待等の防止や早期発見のため、児童生徒に1人1台配付しているタブレット端末を活用して、子ども自身がより相談しやすいシステムを整備し、支援に取り組むものである。具体的には、タブレットの画面に表示される悩みや困っていることなどをボタンで選択し、必要なときには相談員と直接話せるようにするなど、小学校低学年でも簡単で気軽に相談できるよう工夫するとともに、内容に応じて速やかに関係機関につなぐことで虐待等の早期発見、支援を図ることとしており、令和4年度の予算額は3,300万円となっている。

◯川上(多)委員 児童虐待の防止や早期発見のために、子ども自身が相談しやすいシステムを整備するとのことであるが、いじめなど学校現場の悩みについては学校や家庭としっかり連携し、最適な支援ができるように万全を期するよう求めておく。先ほどの調査結果によると、令和2年度の学校でのいじめの認知件数は減少する一方、パソコンや携帯電話等で誹謗中傷や嫌なことをされる、いわゆるネットいじめの件数は全体で1万8,870件で過去最多を更新し、この5年間で倍増していると報告されている。昨年11月、東京都町田市の女子児童がネットによるいじめ被害により自殺した事案は本当に胸が痛く、何とか周りの気づきや支援が届けられなかったのかと悔やまれる。特にネットでのいじめは教員や保護者の目が届きにくく、重大事案につながるおそれがあるのではないかと非常に危惧している。そこで、本市ではタブレット端末についてどのような制限がされているのか示されたい。

△教育長 児童生徒が活用している1人1台端末からは外部のSNSサイトへの接続や、児童生徒同士でコミュニケーションが可能なチャット機能は現在利用できないように設定している。さらに、深夜には端末自体の利用ができなくなる仕組みを導入している。

◯川上(多)委員 タブレット端末から外部のSNSサイトへの接続や、児童生徒同士のチャット機能は利用できないようになっているとのことで安心した。今や小学生でもスマートフォンなどを持っている子どもも多く、SNSのサイトに容易にアクセスできる環境がある。ネット上でのいじめや様々なサイトにアクセスすることで起こり得る問題をきちんと理解するためのリテラシー教育をしっかりと推進するよう要望しておく。そして、いじめはどこでも誰にでも起こり得るとの視点に立ち、いじめの防止、早期発見、いじめへの対応、地域や家庭との連携強化などのさらなる取組を強化してほしいと思うが、所見を尋ねる。

△教育長 いじめは子どもの尊厳や権利を侵害する行為で決して許されるものではなく、いじめをなくすためには学校の取組とともに、保護者や地域との連携の強化は重要と考える。今後も、定期的なアンケート調査の実施や、1人1台端末を利用した相談窓口の紹介、児童生徒が主体的に取り組むいじめゼロサミットの開催と保護者や地域への啓発活動等、いじめ防止に関する取組を総合的に実施し、未然防止、早期発見、きめ細やかな対応に努めていく。

◯川上(多)委員 不登校児童生徒への支援策、また、いじめの問題について質問、提案してきた。新型コロナウイルス感染症やスマートフォンの普及によるネットいじめのリスクなど、社会状況の変化によって、様々な観点から子どもたちへの支援の在り方も考えていかなければならない時代となった。どんな状況になっても全ての子どもたちが自分の夢や希望に向かって前に進んでいけるような施策を実施してほしいと思うが、最後に市長の決意を尋ねて質問を終わる。

△市長 子どもは、その一人一人が未来をつくっていくかけがえのない存在であり、全ての子どもたちが自分の夢や希望に向かって進んでいけるように困難を抱える子どもたちを支援していくことは大変重要であると考える。これまで教育委員会が取り組んできた相談体制の強化に加えて、新年度は児童生徒の1人1台端末を活用した相談支援や、子どもの習い事費用の支援、ヤングケアラーに対する支援体制の強化に取り組んでいく。今後とも、自分らしく、子どもたちが生き生きと輝き、将来に夢を描きながら心身ともに健やかに成長していけるまちづくりをしっかりと進めていく。

 

議員紹介

  1. つつみ 健太郎

    西 区

    つつみ 健太郎
  2. たばる 香代子

    中央区

    たばる 香代子
  3. たのかしら 知行

    博多区

    たのかしら 知行
  4. 石本 優子

    早良区

    石本 優子
  5. かつやま 信吾

    東 区

    かつやま 信吾
  6. 古川 きよふみ

    博多区

    古川 きよふみ
  7. 高木 勝利

    早良区

    高木 勝利
  8. しのはら 達也

    城南区

    しのはら 達也
  9. 尾花 康広

    東 区

    尾花 康広
  10. 松野 たかし

    南 区

    松野 たかし
  11. 山口 つよし

    東 区

    山口 つよし
  12. 大石 しゅうじ

    南 区

    大石 しゅうじ
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