◯大石委員 公明党福岡市議団を代表して、債権の適正管理について、火災を発生させる可能性があるごみの収集方法について、ストリートピアノ、街角ピアノで新たなにぎわいを、について質問する。まず、本市の適正な債権管理について尋ねる。厳しい財政状況の下、債権の適正な管理は、市財政の健全化と市民負担の公平性を確保するという大変重要度の高い問題である。初めに、本市全体の令和元年度における収入未済額と不納欠損額を尋ねる。また、債権の中には市税と税外債権があるため、それぞれの内訳を尋ねる。
△財政局長 令和元年度における一般会計及び特別会計を合わせた収入未済額は169億1,000万円余で、このうち市税は40億7,000万円余、税外債権は128億3,000万円余である。また、不納欠損額は19億5,000万円余で、このうち市税は3億4,000万円余、税外債権は16億円余である。
◯大石委員 市税と税外債権、それぞれの収入未済額が大きいものを尋ねる。
△財政局長 市税については、収入未済額の多い順に、個人市民税、固定資産税、都市計画税である。また、税外債権については、収入未済額の多い順に、国民健康保険料、母子父子寡婦福祉資金貸付金、生活保護費返還金・徴収金である。
◯大石委員 市民から、債権の徴収について不公平感を感じることがあると指摘を受けることがある。市税はもちろん、税外債権の収入未済額と不納欠損額についてである。両方共に本市財政の大きな歳入の柱である。この2つの債権について、歳入確保の方法や手順に違いはあるのか。
△財政局長 市税及び税外債権の滞納発生後の手続については、履行期限を経過した債権について、督促、さらに催告を行い、それでも納付がない場合には、財産調査を経て、法的措置を行うこととなる。法的措置の実施に当たっては、市税及び税外債権のうち、国民健康保険料等、法律に基づき自力執行可能な、いわゆる強制徴収債権については、自力で滞納処分ができるのに対し、母子父子寡婦福祉資金貸付金等の非強制徴収債権については、裁判所を通じた強制執行等となる。
◯大石委員 財政運営プランにおける種々の目標設定など、歳入の向上に対して相当の努力の結果、収納率等が向上しているようである。本市は、平成26年に債権管理マニュアルを策定し、併せて福岡市債権管理条例を制定、施行した。そして、それを受けて、平成28、29年度には、債権管理事務の執行状況についてのテーマの下で行政監査が行われている。監査結果や監査委員からの意見は、具体的にどのようなものだったのか。
△財政局長 平成28、29年度の行政監査の結果については、滞納処分等の実施状況について、おおむね適正に行われていたが、収入未済の発生件数や金額が比較的小規模な債権等を管理する所管課において、一部に不適切な事務処理が見受けられたとの指摘があった。また、監査委員からは、債権管理を適正かつ効果的、効率的に行うため、事務処理マニュアルの整備、債権管理に関する研修の拡充、民間委託活用の可能性の検討に取り組むよう意見を受けている。
◯大石委員 歳入向上の中心局、責任局である財政局は、どのような責任を果たしてきたのか。
△財政局長 行政監査における意見への対応については、債権全体のマニュアル整備や債権ごとのマニュアル作成支援、債権所管課を集めた研修の実施や充実、民間委託の導入支援を行っている。また、副市長をトップとする福岡市歳入向上推進本部において、税外債権に関する収納率及び収入未済額の全体目標を設定し、目標達成に向けた進行管理を行うとともに、効果的な取組の共有を図るなど、全庁的な債権管理の推進を図ってきた。
◯大石委員 これまで、全庁において歳入の向上に向けて行政監査の実施や歳入向上推進本部による取組など、鋭意努力を行ってきているようである。令和元年度はどのような取組を行ったのか、また、取組の結果、収入未済額や収納率はどうなったのか、さらに、政令指定都市の中で本市の収納率は何番目になるのか尋ねる。
△財政局長 税外債権における歳入向上の主な取組については、滞納発生の未然防止として、インターネット口座振替受付サービスの導入や収納チャネルの多様化などを、初期滞納対策として、納付勧奨の強化や訪問催告などを、累積滞納対策として、債権回収会社の活用や相続人調査の強化などを進めてきた。これらの取組の結果、令和元年度における税外債権の収入未済額は、平成30年度に比べ約1億2,000万円縮減し、収納率は98.9%を維持している。また、政令指定都市における市税を含む本市の収納率の順位については、平成30年度決算では20政令指定都市中3番目である。
◯大石委員 債権の所管課が、歳入向上へ向けて実際にどのように取り組んでいるのか、一例を挙げて確認したいと思う。一般会計等と特別会計を合わせて市税関係を除くと、最も収入未済額が大きい国民健康保険料について、滞納者に対する督促や催告の状況、延滞金・遅延損害金の徴収状況、財産調査の実施状況、さらには強制執行の実施状況など、令和元年度における具体的な取組を尋ねる。
△保健福祉局長 国民健康保険事業における歳入向上の取組については、保険料の納期限後20日以内に督促状を送付し、それでも納付がない場合は文書や電話で催告を行っており、催告後も納付しない滞納者に対しては、財産調査を実施した上で、差押さえなどの滞納処分を行っている。令和元年度においては、文書による催告件数が約22万7,900件、徴収した延滞金の額が1,141万円余、財産調査の実施件数が約57万9,600件、滞納処分の実施件数が4,895件となっている。
◯大石委員 財政局を中心に全局で歳入向上へ向けた努力の結果、2年連続で収納率は過去最高になっている。しかし、詳細を確認していくと、まだ改善の余地があるのではないかと考える。そこで、税外債権のうち、一般会計を見ていく中で気になるのが、生活保護費返還金等が収入未済額と不納欠損額の両方共に一番大きくなっていることである。生活保護法第63条と第78条のそれぞれにおける調定額と収入済額は幾らになるのか、それらが返還ができていないのはなぜか、また、不納欠損になるのはなぜか尋ねる。
△保健福祉局長 令和元年度決算における63条返還金については、調定額が11億4,439万円余、収入済額が5億8,577万円余で、78条徴収金については、調定額が13億322万円余、収入済額が1億7,304万円余である。収入未済額が多い理由としては、生活保護の廃止後に居所が不明となり、督促や催告が極めて困難となる事例や納付指導に応じない事例が多いことなどによるものである。また、納入に至らないまま5年を経過した場合には、地方自治法の規定に基づき、時効により債権が消滅するため、不納欠損とするものである。
◯大石委員 生活保護費の不正受給は決して許されない。適切な債権の回収に取り組むよう要望しておく。生活保護は法定受託事務であるため、国から負担金が出ていると思うが、返還金等に係る国庫負担金について、これまで国へ返還したことはあるのか、あれば具体的な金額を尋ねる。
△保健福祉局長 返還金等に係る国庫負担金については、平成26年度の会計検査において、全国的に徴収金等の債権管理の検査が行われ、本市においても、適正に債権管理がなされていないとの指摘を受けたため、平成23~25年度の合計で1億1,336万円余を国へ返還している。なお、27年度から返還金等を国庫負担金の対象とする際に、適正な債権管理が行われているかを国が確認することとされたため、これ以降は国への返還は生じていない。
◯大石委員 これまでの答弁で、各局それぞれ債権回収、歳入向上に対して取組の強化を図った結果が高い収納率に現われてきたのではないかと思う。しかし、局によっては、いまだに重大な収入未済額を抱えており、債権回収に困難を来しているとのことである。新たな回収方法や人員を増強するなど、対策を大きく取れる局はまだしも、比較的債権が少額であるとか、新たな回収方法や人員配置ができないなど、対応が取りにくい局もあるようである。そこで、全ての債権について、局を横断するような取組で対策を強化し、小規模な債権も含め、既に実施されている民間委託の活用をさらに進めていくべきと思うが、所見を尋ねる。
△財政局長 全庁的な債権管理の推進に向けた効率的、効果的な取組については、局横断的な実施を検討する必要があると認識している。民間委託については、一部の債権において、既に初期滞納対策のためのコールセンターの設置や、累積滞納対策のための債権回収会社等の活用を行うとともに、複数債権を取りまとめてインターネット口座振替受付サービス業務を行っている。また、今年度からは、新たに弁護士を活用した債権管理の適正化を全庁的に進めている。引き続き、費用対効果を見極めつつ、各債権における民間活用の導入について検討していく。
◯大石委員 現在の本市の債権回収の体制は、各局がそれぞれ単独で取り組んでおり、さらには、他の一般業務を行いながらの回収体制になっている。千葉県の船橋市では、全債権を一元管理するセクションを創設し、一括して歳入の向上を図る取組を早くから始めている。本市においても、全債権の一元管理に取り組むことはできないのか、所見を尋ねる。
△財政局長 債権の一元管理については、強制徴収債権と非強制徴収債権とでは法的措置を行う機関の違いなど、債権管理の手続等が一部異なることから、効率的、効果的な債権管理を行う上で課題もあると認識している。
◯大石委員 全ての債権管理の一元化が困難であれば、市税や国保料などの強制徴収債権だけでも一元管理する方法も考えられるのではないか。これは、裁判所の決定がなくても、自治体独自で財産の差押さえなど強制徴収を執行できることから一元管理がしやすいとされているが、所見を尋ねる。
△財政局長 強制徴収債権を対象とした一元管理については、現在、各債権の収納管理システムが独自に構築されており、一元的に管理する場合、新たなシステムを構築する必要があることや、徴収を一元化した他の政令指定都市においては、債権所管課における初期滞納対応が不十分となるなどの理由から、債権所管課による徴収に戻したところもあると聞き及んでいる。本市においては、これらの課題を慎重に見極めながら検討していく必要があると考えている。
◯大石委員 本市においては、これまで歳入の向上に向けてしっかり取り組んできており、結果も出してきている。この努力や結果に対して敬意を表したいと思う。しかし、様々なデータを見ると、全庁的な債権管理の効率化や合理化など、まだまだ課題もある。市税は当然のことであるが、税外債権を含め、全庁一体的な債権回収を進めていく必要があると思う。収入未済額や不納欠損額の縮減に向けての取組と市民負担の公平性をどのように担保していくのか。コロナ禍の中で歳入のさらなる向上と寄り添いという矛盾するような大変難しい取組も要求されているが、歳入向上と負担の公平性に向けた決意を尋ねる。
△財政局長 債権管理については、歳入の確保と市民負担の公平性確保の観点から、大変重要であると認識している。これまで債権管理条例の運用等により、債権管理の適正化の推進や徴収強化に取り組んできた結果、年々収納率が向上するとともに、収入未済額の縮減を達成している。引き続き、個別マニュアルの作成や研修の充実、民間活用のさらなる導入について検討を進めていく。今後とも、全庁的な債権管理の推進を図るとともに、新型コロナウイルス感染症の影響による納付相談等に適切に対応しながら、歳入の向上と市民負担の公平性確保に取り組んでいく。
◯大石委員 次に、全国的にも課題となっている、適切な処理が困難であるエアゾール缶やリチウムイオン電池等を含めた、火災を発生させる可能性があるごみの収集方法について尋ねる。まず、令和元年度の環境局ごみ関連の決算状況を尋ねる。
△環境局長 ごみの収集や処理施設の運営、整備など、環境局のごみ処理関連経費の令和元年度の決算額は221億2,500万円余である。その内訳については、家庭から出る可燃、不燃、粗大ごみなどの収集運搬にかかる経費として78億7,500万円余、工場や埋立場などの処理施設の運営経費として70億1,600万円余、処理施設の整備や修繕等の経費として60億4,100万円余、家庭ごみの指定袋の調達等の経費として6億8,200万円余、その他の経費として5億800万円余となっている。
◯大石委員 昨年12月22日、東区の東部資源化センターで火災事故が発生した。初めに、同センターの火災事故について確認しておきたい。まず、同センターの施設と昨年の火災事故の概要を尋ねる。
△環境局長 東部資源化センターは、不燃性廃棄物を破砕し、鉄、アルミ、不燃物、可燃物の4種類に選別する施設である。有価物である鉄とアルミは、売却後、再資源化されている。なお、西区に西部資源化センターがあり、2つの資源化センターで不燃性廃棄物の処理を行っていた。火災事故の概要については、昨年12月22日に東部資源化センターのごみを貯留するピット部分から出火した。これにより、ごみ貯留ピット棟やごみ受入れを行う搬入ステージの屋根、ごみを破砕、選別装置に投入するクレーン設備、施設の運転や監視を行う設備等が焼損するなど、大規模な火災となり、当日19時59分の火災報知機の発報から翌23日、21時30分に鎮火確認するまで、25時間余りの時間を要した。
◯大石委員 この火災事故に対して、環境局はどのような対応を取ったのか。
△環境局長 火災当日は日曜日で、ごみの受入れや処理を行っていない夜間や日曜日は施設が無人であったため、機械警備や定時の巡回警備等を警備会社へ委託していた。火災報知器の発報を受け、隣接する東部工場と警備会社の社員が火災現場に行き、火災を確認し、消防へ通報を行った。その後、警備会社から連絡を受けた環境局の職員も東部資源化センターへ駆けつけ、消防隊へ消火活動に必要な施設の配置の説明や情報提供などを行った。また、周辺住民に対しては、環境局から速やかに地元の蒲田自治会や蒲田焼却場対策委員会に対し、火災が発生した事実を報告し、迷惑をかけている旨謝罪した。なお、東区役所から周辺9校区の自治協議会に対して、同センターで火災が発生しており、注意する旨を伝える連絡をしている。
◯大石委員 この火災事故による市民のごみ収集や近隣住民への影響、健康被害などはなかったのか。
△環境局長 ごみ収集への影響については、火災により東部資源化センターでのごみの受入れができなくなったことから、家庭ごみの収集に影響が出ないよう、翌日から、全ての不燃ごみを西区にある西部資源化センターで受け入れている。市民や事業者が施設へ直接ごみを搬入する自己搬入については、従来、東西2か所の資源化センターを利用できたものが、西部資源化センター1か所となり、不便となっている。次に、近隣の住民への生活環境への影響については、環境大気の汚染状況を常時監視している、最寄りで風下の香椎測定局の測定データでは、PM2.5などについて、環境基準である1日の平均値は下回っていたが、一時的な濃度上昇が確認された。健康被害を訴える電話などはなかったが、火災による煙、臭気が発生し、風下側であった香椎や和白方面など、広範囲の市民から苦情や問合せが寄せられている。
◯大石委員 住民への情報提供の中に、人体に影響があるようなガスの発生の有無といった重要な情報がなかったとの指摘が出ているが、実際はどうだったのか、また、この東部資源化センターは、通常は人が常駐しているのか機械警備のみか尋ねる。
△環境局長 市内に設置している大気測定局では、いずれも環境基準を超える大気測定結果はなかったが、今回の火災について、市民に正しく情報を伝える努力が不十分であったこと等により、心配や迷惑をかけたものと認識している。今後は、広報車を活用するなど、より一層区役所とも連携して、適切な周知、広報ができるよう体制を整えた。次に、東部資源化センターの火災当時の警備体制については、同センターは、ごみの受入れや処理がある時間帯は有人だが、ごみの受入れがない夜間や日曜日は無人であったため、警備会社による機械警備及び定時の巡回警備を行い、施設の監視を行っていた。なお、このたびの事故を踏まえ、ごみの受入れがない時間帯も、常時有人監視に見直した。
◯大石委員 火災発生時に警備会社の社員と東部工場の職員が現場で対処したが、結局、消防局が電動カッターを使ってシャッターを切断し、ピット内部へ入ったと聞いているが、事実関係はどうだったのか。
△環境局長 火災発生時の対応について、火災報知機の発報を受けて、隣接する東部工場及び警備会社の社員が東部資源化センターに向かい、事務所のある管理棟内に入り、火災を確認し、消防へ通報した。消防隊が到着後、まず、管理棟内に入り、そこから放水を開始したが、それだけでは消火が進まないことから、ごみ貯留ピットへ直接放水するため、ごみ投入口のシャッターを開けようとしたところ、停電によりシャッターを開けることができなかったものである。そこで、消防隊により、特殊なカッターでシャッターを切断し、開口部からピット内部への放水が行われた。
◯大石委員 ごみ投入口のシャッターが停電により開けることができなかったとのことだが、停電が発生したのはなぜか。
△環境局長 当該シャッターについては、火災前日の12月21日の業務終了時にシャッターを閉じて職員が退所しており、そのときは正常に動作していたことから、火災の影響により電動シャッターの電源が停電した可能性が高いと考えている。
◯大石委員 火災の通報を受けて鎮火まで対応した消防局に、今回の火災事故がどれだけ大変な事故だったのか、できるだけ詳細に説明を求める。
△消防局長 12月22日20時12分に119番通報を受け、20時20分に最初の消防隊が到着した。消防隊の到着時には、管理棟の窓から炎と煙が噴出している状況であり、直ちに消火活動を開始した。出火元の貯留ピットは、停電により重量シャッターを開けることができず、特殊なカッターで開口部を作成し、放水を行うとともに、高い位置からの消火活動が可能な高所放水車を使用し、管理棟部分などへの放水活動を継続した。翌朝、管理棟の火の勢いは収まったが、貯留ピットは多量の黒煙が噴出している状況であった。そこで、貯留ピットの消火については、より消火効果の高い泡消火剤による消火に切り替えたが、鎮火しなかったため、東部資源化センター職員と協議の上、貯留ピットを水没させる作戦に変更した。最終的な消火活動については、消火栓を使用した通常の消火活動に加え、石油コンビナートなどの大規模火災対策用として導入した大型消防車2台で構成するドラゴンハイパーコマンドユニットという通常の消防車の約4倍の取水、放水能力がある最新の特殊車両を活用した。大量の水を必要とする緊急事態であることから、同センター南側にある久原川の水位を上げるため、水道局に久原ダムからの放流を要請し、久原川から大口径のホースを約1キロメートル延長して消火活動を実施した。これにより、総計で5,720トンの大量放水を行い、消防隊の到着から25時間10分後の12月23日21時30分に鎮火している。
◯大石委員 これは消防局から借りた火災の写真で、上から撮ったものである。もう一つが、赤外線カメラで撮った写真である。いかにセンターが熱を持って、大きな火災だったかが改めて分かると思う。また、石油コンビナート等の大規模火災対応用として導入した、通常の消防車の約4倍の取水、放水能力がある最新の特殊車両を活用し、さらに、消火用の水が足りず、久原川の水位を上げるためにダムからの放水も行い、飲料水を消火に使ったとも言える。いかに尋常でない消火活動で、想像を超えた大きな火災事故だったかがよく分かった。そこで、この火災事故の特徴は何だったのか、特に、出火については何が原因だったのか尋ねる。
△環境局長 この火災事故の特徴について、今までの本市の清掃工場や資源化センターで発生したごみ貯留ピットでの火災は、いずれもごみの受入れや処理を行っている有人監視下の時間帯に発生していたが、今回の火災事故は、本市では初めて、ごみの受入れや処理を行っていない時間帯にごみ貯留ピットで火災が発生した。次に、出火の原因及び今後の再発防止のため、消防局と連携して、ごみ貯留ピット内に残っている火災残渣物の調査を行った。その結果、中身の残っている使い捨てライターのほか、スプレー缶類やカセットガスボンベ、塗料缶類及び油脂缶類、電子機器及び小型家電、電池類など、火災につながるおそれのある品目が混入していることが分かった。このようなことから、今回の火災の出火原因は、ごみ貯留ピット内で不燃物である金属同士の摩擦や電池類のショートなど、何らかの原因により火花が生じ、周囲の可燃物、または、中身の残ったカセットボンベやスプレー缶などから漏出した可燃ガスに引火したことが原因ではないかと推定しているが、原因の特定には至らなかった。
◯大石委員 消防法で消防計画がうたわれているが、当然、東部資源化センターからも消防計画書が提出され、火災発生時の対応等が計画されていると思う。今回の火災事故において、実際の行動はどうだったのか、また、これまで火災事故の訓練等の実施状況はどうだったのか尋ねる。
△環境局長 東部資源化センターを所管するクリーンパーク・東部の消防計画においては、休日、夜間において無人となる場合は、警備会社からの通報により、火災発生等の連絡を受けた防火管理者等は直ちに現場に駆けつけなければならないとされており、当日は、警備会社から連絡を受けたクリーンパーク・東部の市職員が、消防計画に沿って現場に駆けつけ、消防隊への施設配置の説明や情報の提供等を行っている。消火訓練等の実施状況については、消防計画において、消火、通報、避難などの総合訓練及び消火器取扱い訓練を、それぞれ毎年、設備の定期点検時の2月に実施することとしており、いずれも計画どおりに実施している。
◯大石委員 今回の火災事故によって、本市には大きな損失が出たことになるが、損失額とその内訳及び保険による対応はどうだったのか尋ねる。
△環境局長 東部資源化センターの取得価額及び経過年数34年等を考慮して算出した損害額は7,200万円余である。その内訳については、建物等が3,800万円余、プラントが3,200万円余、その他備品などで100万円余となっている。保険適用については、復旧費用の一部が全国市有物件建物総合損害保険から災害共済金により賄われる見込みである。
◯大石委員 この火災事故により新たに発生した費用はないのか、発生したのであれば内訳も併せて尋ねる。
△環境局長 火災からの復旧費用については、これまで4億5,000万円余を要している。その内訳は、プラント設備の仮復旧に2億7,000万円余、屋根等の撤去に8,000万円余、建物の復旧の設計等に3,000万円余、その他に6,000万円余である。また、従来、東部資源化センターへごみを搬入していた収集車両が西部資源化センターへ搬入する経費として、約9か月分で400万円余である。
◯大石委員 火災事故による損害額、新たに発生した費用等の説明があったが、結局のところ金額の総計がよく分からない。本市が被った被害額はどれだけになるのか、また、今後、これ以上の費用負担はないのか尋ねる。
△環境局長 東部資源化センターの復旧費の総額の算定に当たっては、屋根などの復旧について設計、積算が必要だが、その設計、積算を行うためには、焼損した屋根やクレーンを撤去し、安全を確保するとともに、火災残渣物を除去した後、ピット内の壁や柱などの構造物にどの程度火災の影響があるのか、強度や補強の必要性などの調査、検討を設計の前に行っておく必要がある。現在は、屋根やクレーンの撤去が先月完了し、火災残渣物の除去も間もなく終了が見込まれるようになったことから、ピット内の構造物調査に着手した段階である。今後、構造物調査を進め、その結果を基に屋根などの復旧について設計、積算を行うため、現時点では復旧費総額を示すことは困難である。
◯大石委員 先ほど答弁の4億5,000万円余は、仮復旧までに要した金額になる。さらに、火災による損失が7,200万円余、この2つで5億2,000万円余となる。情報によると、これから2年かけて本復旧へ取り組んでいくとのことであるが、施設を稼働させながらの復旧工事ということで、かかる費用の計算ができないということである。本復旧までどれだけの費用負担が発生するのか、一般的に金額が決まらない工事は市民の理解は得にくいと思う。今後発生する本復旧工事に当たっては、現在行っている調査を基にして、適切な発注形態で取り組むべきと思う。これまで行われてきた仮復旧における主要な工事等の発注形態及び今後どのような発注形態で行われる予定なのか尋ねる。
△環境局長 これまでの復旧工事や委託の契約方法については、競争入札を原則とし、業務の性質が競争入札に適しない場合は随意契約で行っている。具体的には、プラント設備工事は、設置メーカー独自の技術により製作された設備の一部の復旧工事であり、他社では施工が困難なため、設置メーカーとの随意契約である。屋根の撤去やその他の附帯設備関係の工事等については、競争入札である。建物の復旧の設計等については、短期間で複数の業務を行う特殊性から、地場の設計事務所で構成される協同組合と随意契約を行っている。今後とも、本復旧に向け発注する工事等については、これまでと同様、福岡市契約事務規則等の法令に基づき、適正かつ公正に行っていく。
◯大石委員 しっかりした取組を求めておく。次に、東部資源化センターが使用できないことでごみを西部資源化センターへ搬入することになったが、市民への影響はどうだったのか尋ねる。
△環境局長 市民や事業者への影響については、施設へ直接搬入する自己搬入について、従来は東部資源化センターに搬入されていたものが、西部資源化センターまで運搬する必要が生じたことで利用者は不便となっている。そのため、できる限り早期に東部資源化センターでごみの受入れ及び処理が再開できるよう、速やかに仮復旧に取り組んできた。焼損した屋根やクレーン設備の撤去が完了し、安全が確保できたことから、本復旧を待たず、10月1日からごみの受入れ及び処理を再開することとしている。
◯大石委員 今回の火災事故により多大な被害が出たことになる。そして、様々な問題提起もされているのではないかと思う。環境局はこの火災事故を真摯に受け止め、総括を行い、今後二度とこのような大きな火災事故を起こさないと固く決意すべきである。再発防止について、どのような取組を行うのか尋ねる。
△環境局長 このたびは、大規模な火災となったことを真摯に受け止めており、二度とこのようなことが起きないよう、再発防止に取り組んでいく。今後の具体的な再発防止策については、今回の火災が、施設が稼働していない機械警備を行っている時間帯に発生したことを踏まえ、東西両資源化センターで24時間の有人監視を行い、監視体制の強化を図った。また、東部資源化センターの10月からのごみ受入れ再開後においては、火災予防の観点から、受け入れた不燃ごみを原則として即日処理を行っていく。さらに、今後の屋根の設置に合わせ、赤外線による発火監視装置の設置など、感知設備の強化を行うこととしている。加えて、資源化センターでごみを受け入れる際の搬入不適物の監視を強化するとともに、スプレー缶等の危険物のごみ出しのルールについて、市政だよりや家庭ごみルールブック、LINEなど、各種媒体の活用に加え、出前講座など、様々な機会を捉えて、ごみの排出者へより一層の周知を図っていくなど、再発防止に取り組んでいく。
◯大石委員 次に、本市のごみ収集全体における火災事故について尋ねる。初めに、本市のごみ収集体制の全容について説明を求める。
△環境局長 本市のごみ収集体制については、家庭ごみは燃えるごみ、燃えないごみ、空きびん・ペットボトル、粗大ごみの4分別で、分別区分ごとに本市が委託した民間業者が収集しており、燃えるごみは14業者、燃えないごみは3業者、空きびん・ペットボトルは3業者、粗大ごみは8業者に委託している。事業系ごみは、現在、燃えるごみ、燃えないごみの2分別で、本市が許可した民間業者が収集している。
◯大石委員 本市のごみ収集時における火災事故について、過去5年間の推移を尋ねる。
△環境局長 消防が家庭ごみ収集業者から通報を受け、消火活動を行った件数は、平成27年度は1件、28年度はゼロ件、29年度は1件、30年度はゼロ件、令和元年度は1件となっている。また、本市では、ごみ収集時の情報を的確に把握するため、車両から少しでも煙が発生したような際にも収集業者から事故報告書の提出を求めており、その報告の件数については、平成27年度は33件、28年度は44件、29年度は28件、30年度は44件、令和元年度は60件となっている。
◯大石委員 特に令和元年度が60件ということで、相当高い頻度で火災事故が起こっている。計算すると、6日に1回のペースで火災事故が発生している。このことは異常事態と言っても過言ではなく、あまりにも多いと思う。この火災発生状況について、環境局はどのように考えているのか、また、他の政令指定都市では、どれだけ火災事故が発生しているのか尋ねる。
△環境局長 作業員の安全確保の観点や市民に欠かせないごみ収集を安定的に継続するためにも、車両火災の発生を抑制することは大変重要であると認識しており、危険物のごみ出しルールの周知などに力を入れている。他の政令指定都市の車両火災発生状況については、発生件数を把握していない都市や消防車の出動回数のみを把握している都市など、都市によって把握状況が異なるため、単純に比較はできないが、本市の状況については、発生抑制に向けた取組が必要であると考えている。
◯大石委員 実際にごみ収集時に火災事故が起きるとどうなるのか、収集現場の最前線で話を聞いたが、火災が発生した際には、小規模の火災であれば、大規模にならないように収集車が止められる空きスペースを探し、移動して直ちにその場で消火活動を始めるそうである。火災の規模にもよるが、消火時間は平均30分ほどかかるとのことであった。火災は突発的に起きるため、消火スペースの消火後の清掃、応援体制も含めて、業務上相当の影響が出ると緊張して話していた。このような最前線の委託業者から、火災の状況は全て報告が上がっていると思うが、この現状をどのように理解しているのか尋ねる。
△環境局長 収集業者から火災の報告があった際は、出火場所、出火原因、消火方法、火災発生から消火までの時間、消火場所の原状回復状況、車両の被害状況などについて聞き取り等を行い、火災被害の状況を的確に把握するよう努めている。作業員の安全確保の観点や、一旦火災が発生すると消火に時間を要し、収集業務に及ぼす影響も大きいことから、状況を把握し、火災の発生を抑制することが大変重要であると認識している。
◯大石委員 先ほどの火災発生データから分かることは、本市において明らかに火災事故が増加傾向にあるということである。その結果として、ごみ収集の作業員は、火災の発生による民家への延焼の心配や自分自身の安全確保、車両の保全など、相当神経を使って収集業務を担っている。環境局として、最前線の安全確保と良質な業務の遂行のため、どのような対策に取り組んでいるのか。
△環境局長 ごみ収集を安定的に継続するためには、作業時の安全確保と適正排出の周知、啓発が必要と考えている。作業時の安全確保については、万一火災が起きた場合に速やかに対応できるよう、委託業務契約において、収集車両に消火器や水タンクを搭載する経費を含めた契約としている。また、適正排出の周知、啓発については、ごみ袋の中にガスが残ったスプレー缶やリチウムイオン電池が混入されていることが火災発生原因の一つと考えられるため、市民に対し、ごみ出しのルールについて、ホームページや家庭ごみルールブック等、様々な媒体を使い、ごみ出しルールの周知、啓発を行っている。
◯大石委員 本市が委託しているごみ収集業務は、市民福祉の向上のため、良質であることは当然であり、市民の負託に応え得る委託業務でなければならないと思う。今現在、火災事故の懸念やコロナ禍の感染リスクもある中、滞りなく業務は遂行されている。今後も業務の安定や安心、安全の確保など、環境局の責務は大変重要と思うが、所見を尋ねる。
△環境局長 市民生活に欠かせない業務であるごみ収集を安定的に継続するためには、収集業者の安全対策が大変重要であると考えている。このため、市民への適正排出の周知、啓発を強化するとともに、収集業者と連携しながら、車両の安全対策や収集業者の従業員への研修の実施、また、コロナ禍における感染症防止対策の支援など、安定的な事業継続が実施できる体制づくりにしっかり取り組んでいく。
◯大石委員 ごみ収集時のリスクの増大の結果、火災事故が頻発してきている状況など、本市のごみ行政を取り巻く環境の変化が理解できた。本市の状況については、全国組織である(公財)日本容器包装リサイクル協会や(一社)JBRCなどの調査結果からも、全国的に同じ傾向が見られることが分かっている。これまで、施設火災事故や車両火災事故について、火災の原因がガスボンベ等の廃エアゾール製品やリチウムイオン電池など様々であることも分かった。このように処理が大変困難なものに対して、国、環境省においても、全国の自治体に向けて通知の発出や事務連絡を行っており、2018年12月に廃エアゾール製品等の排出時の事故防止について、そして、2019年8月にリチウムイオン電池の適正処理についてと立て続けに出されている。それぞれ、どのような内容だったのか尋ねる。
△環境局長 環境省通知である廃エアゾール製品等の排出時の事故防止についての内容は2点ある。1点目は、廃エアゾール製品等を排出する際には、製品を最後まで使い切ること、缶を振って充填物が残っていないか確認すること、ガス抜きキャップがある製品は、屋外でキャップを使用して充填物を出し切ることといった取扱いが必要であり、廃エアゾール製品等の使い切り及び適切な出し切り方法について、改めて住民へ周知徹底するよう市町村へ求めるものである。2点目は、廃エアゾール製品等の排出時に穴開けを求めている市町村に対し、火災のおそれがあることから、穴を空けずに充填物を出し切り、処理体制を整備するよう求めるものである。次に、国の通知文のリチウムイオン電池の適正処理についての内容は3点ある。1点目は、市町村における処理体制の適正化について、リチウムイオン電池の不適正な残留や混入を防ぐ収集運搬、処分体制を検討すること。2点目は、リチウムイオン電池排出者への周知について、同電池やそれを使用した製品の排出方法について、具体的に住民に対して周知を行うこと。3点目は、(一社)JBRCは、所属会員企業の製造、販売したリチウムイオン電池等の回収、リサイクルを行っているため、この活用について検討することである。これらの国の通知等を踏まえ、本市では、廃エアゾール製品やリチウムイオン電池の排出方法について、市民への周知徹底などの対応を図っている。
◯大石委員 国においても廃エアゾール缶やリチウムイオン電池については相当の危機感を持っていることが分かる。一たび発生すると大変大きな被害が出る火災事故について、廃エアゾール缶やカセットボンベ、リチウムイオン電池等について、現在、本市ではどのような収集、処理体制になっているのか。
△環境局長 エアゾール缶及びカセットボンベの処理方法については、充填物の使い切り及び適切な出し切りを行ってもらい、燃えないごみとして収集し、資源化センターで破砕処理をした後、有価物として売却している。また、リチウムイオン電池については、国の通知文にある(一社)JBRCにより、家電量販店等の店頭回収が行われているほか、区役所など公共施設9か所でも拠点回収を行い、いずれも同法人によってリサイクルされている。
◯大石委員 本市の東部資源化センターの火災事故が起きた昨年は、全国でも大きな火災が起きていたようである。4月には、長野市の資源再生センターで不燃ごみピットが燃えて、消火まで3日も要したそうである。また、6月には東京都多摩市でも火災が発生している。長野市も多摩市も、出火原因は不燃、粗大ごみの貯蔵ピット内の家電系のごみではないかと推察されている。静岡市では、リチウムイオン電池の分別、戸別収集を始めている。従来の出し方を一部変更して、対象製品を中が見える袋に入れて、氏名、不要充電池と表示して、収集日に自宅前に出してもらう方法に切り替えた。また、浜松市では、市民が分別しやすいように、ごみ集積所でリチウムイオン電池の回収を行っているとのことである。本市を含め、全国でのごみ収集時や、その後の火災発生状況から、火災の発生防止や発生しても最小限で被害を抑えるための対策について早急に取り組む必要があると思うが、所見を尋ねる。
△環境局長 火災の発生防止対策については、リチウムイオン電池のごみへの混入防止のため、排出者である市民の理解と協力が必要であると考えており、様々な機会を捉え適切な排出方法と混入による火災の危険性について市民への周知を図っている。ごみ処理施設や収集車両において、万一火災が発生した場合に被害を最小限に抑えるための対策については、処理施設においては、24時間有人監視体制に見直すとともに、赤外線による発火監視装置の設置など、感知設備の強化を進めていく。また、収集車両については、火災が発生した場合に速やかに対応できるよう、消火器や水タンクの搭載など、車両の安全対策を図っている。さらに、火災の発生を防止する観点からリチウムイオン電池の回収拠点の拡充など、引き続き検討を行っていく。
◯大石委員 ここまで東部資源化センターと車両火災事故を示しながら火災を発生させるごみの収集方法について改善を求めてきた。国、環境省の事務連絡について、2019年8月のリチウムイオン電池の適正処理についての事務連絡の中で、1、市町村における処理体制の適正化、2、リチウムイオン電池排出者への排出方法の周知、3、(一社)JBRCが行う回収、リサイクル活動の活用を促す内容となっている。このような国からの要請に対し、本市においても具体的な取組を行うべきである。発火性の危険物に対する収集体制強化や民間との連携強化など、本市のごみ行政の安全、安心への取組に対する決意を尋ねる。
△環境局長 収集運搬、処理における火災発生防止対策は非常に重要であると認識しており、発火のおそれがある危険物の排出方法の周知については、市政だよりと同時配布する環境特集号や家庭ごみルールブックの活用に加え、出前講座など様々な機会を捉え、より一層の周知を図っていく。また、発火のおそれがある危険物の回収については、国の動向、他都市の状況を踏まえ、民間事業者との連携を図りながら、回収拠点の拡充を行うなど、安全、安心なごみ行政の運営にしっかりと取り組んでいく。
◯大石委員 次に、ストリートピアノ、街角ピアノで新たなにぎわいを、について尋ねる。令和元年度の本市の文化芸術振興関連の決算状況について、また、具体的にはどのような施策の展開に取り組んできたのか尋ねる。
△経済観光文化局長 文化芸術振興に関連する令和元年度の決算額については、文化振興費23億8,130万円余となっている。主な取組としては、本市の歴史、文化の魅力発信や市民の文化芸術の鑑賞、体験機会の充実、拠点文化施設整備事業など、文化振興施策を推進した。
◯大石委員 本市は、これまで文化芸術の振興のために羅針盤になる計画を策定し、計画に沿って様々な取組を行ってきている。2008年には福岡市文化芸術振興ビジョンの策定、さらには、令和元年に福岡市文化芸術振興計画の策定に取り組んでいる。本計画の概要について説明を求める。
△経済観光文化局長 本計画については、文化芸術基本法に基づく地方文化芸術推進基本計画として、令和元年度から10年間の本市の文化芸術振興施策の方向性を定めたものである。基本理念を、全ての人々にとっての文化技術、未来に向けての文化芸術とし、政策目標を、心豊かに文化芸術を楽しむまちづくりと、文化芸術が都市の魅力・価値となるまちづくりとしている。また、重点施策として、子どもたちの育成、社会参加の機会づくり、地域の歴史文化等の再認識、福岡スタイルの創造、インバウンド施策の展開を設定し、施策を推進している。
◯大石委員 本市は、文化芸術の振興等について、以前は所管局が市民局や教育委員会が中心になっていたが、経済観光文化局に変わった理由を尋ねる。
△経済観光文化局長 文化芸術振興の所管については、観光・集客施策、クリエイティブ関連産業分野などと連携しながら、文化振興施策の一体的な展開を図るため、平成24年度に市民局の文化振興部門、教育委員会の文化財部門と美術館、アジア美術館、博物館を当時の経済振興局に統合し、局名を経済観光文化局と変更したものである。
◯大石委員 文化芸術振興は、観光や集客、クリエイティブ関連と連携を図ることが重要であり、大変有益だろうと思う。以前、本市において、旧都市整備局所管で、彫刻のあるまちづくりという名称の事業で、まちなかにたくさんの彫刻作品を設置していった事業があった。その施策の具体的な説明とその施策によってどのような効果がもたらされたのか、市民や来街者の反応はどうだったのか、分かる範囲で示されたい。
△住宅都市局長 本市は、ゆとりと潤いのある魅力的なまち並みの形成を目的として、昭和58年度~平成12年度にかけて、都心部を中心に25作品の彫刻を設置した。これを契機の一つとし、その後、官民合わせて市内に100作品以上の彫刻設置が進んだところである。また、平成10年に行った彫刻のあるまちづくりに関する市民意識調査では、感じのよいまち並みづくりに効果的であるが40.9%、芸術作品を身近に感じることができるが37.3%、彫刻が置かれた場所の雰囲気を高めているが33.4%などとの評価を受けた。
◯大石委員 福岡市文化芸術振興計画の中でも、文化芸術の持つ役割の重要性に触れられている。また、彫刻のあるまちづくりにおいても、まちなかにゆとりと大きな潤いがもたらされ、大変魅力的なまち並みが形成されている。まさに芸術が持っている力ではないかと思う。ところで、ストリートピアノ、または街角ピアノなど、呼び名は様々であるが、まちなかに設置されて誰でも自由に弾くことができるピアノのことを聞いたことはあるだろうか。もともと、10年ほど前にイギリスのバーミンガムが発祥で、その後に世界的に広がったとされている。NHKのBS1で空港ピアノ、駅ピアノという番組が放送されており、世界中の空港や駅に置かれたピアノに定点カメラを設置し、やってきた人たちの演奏を聴くという番組である。演奏後に演奏した人の人生までかいま見えるという大変人気の高い番組でもあり、視聴した人は多いと思う。そういった影響もあり、世界的なムーブメントが日本にも広がってきている状況のようである。現在では、日本のあちらこちらでストリートピアノ、街角ピアノとして取り組まれている。まず、このストリートピアノ、街角ピアノのことを知っているか尋ねる。
△経済観光文化局長 ストリートピアノについては、まちなかなどの公共の場所に設置された誰でも自由に弾けるピアノとして、他都市において、行政や民間などにより設置されている事例があり、ピアノの音色による魅力的な空間や演奏者と通りがかりの人とのコミュニケーションの創出のほか、ピアノ演奏のための来訪者の増加などにつながるものと聞いている。なお、本市では、コロナ禍でのアーティスト支援とまちのにぎわい創出のため、10月からオープンスペースなどを活用し、アーティストの発表の場を提供する、まちなかパフォーマンス応援事業を開始することとしている。
◯大石委員 現在、全国12の都府県に設置されているようである。私が調査した中で、一番熱心に取り組んでいるのが神戸市と思うので、同市のストリートピアノ、街角ピアノの取組を紹介したい。同市では、昨年から試験設置を行った後に本格設置に乗り出し、昨年の12月現在で計13台の設置を行ったそうである。駅や商店街、地下街など、広がりを見せているようである。市民からも、まちが明るくなった、にぎわいが出てきたなど、好評の声が多かったとのことであった。また、エピソードとしても、ピアノにノートを設置して、弾いた人と聴いた人などの感想を記入しての交流や他都市から同市のピアノを弾きに来る人がいたり、小さな子どもから高齢者まで幅広い演奏者が出てきたなど、大きな反響があったようである。同市では、市民の反響が大きいことから、新たな設置場所の検討や市役所の文化セクションが中心となり、さらに気軽にピアノを弾ける環境づくりやセッションまでができる場所の検討も行っていくということである。また、同市内にピアノが設置されている場所を掲載したマップも作成し、市民へのさらなるアピールに取り組んでいる。ここまで神戸市の取組を説明してきたが、このストリートピアノ、街角ピアノが最高に似合うまちは我が福岡市だろうと確信し、今回の質問に至った。本市の持っているポテンシャルは高く、交流人口の多さ、音楽のまち、祭りなど、様々な条件がそろっている。また、以前は、福岡にはブルーノート福岡やビルボードライブ福岡などがあった時期もあり、そして今は、毎年たくさんの人を集める中州ジャズなど、福岡にはピアノがよく似合っており、まさにピアノが根づいているということである。そして、何より今、日本全国、そして、この福岡も新型コロナウイルスにより塗炭の苦しみを味わっている。交流人口も途絶えるなど、大変厳しい状況が続いている。そういった、これまで経験したことがないような状況ではあるが、そんなときだからこそ新たな挑戦が必要ではないかと思っている。市内の官民で協力して、市内のあちらこちらにストリートピアノ、街角ピアノを置いて、本市を、市民を、そして来街者を元気にしていくことができれば最高ではないか。ピアノの調達については、寄附を募ったり、学校などの廃棄寸前のピアノなど、知恵を絞れば調達は可能だと思う。いずれにしても、このストリートピアノ、街角ピアノの設置については、市長にしかできない。市長の、ストリートピアノで本市を元気にしようといった前向きな答弁を求める。
△市長 本市は、市民や様々な団体による多様な音楽活動が育まれ、これまで多くのミュージシャンを輩出しており、音楽は福岡の本当に大きな魅力であろうと考えている。本市においては、こうした強みを踏まえて、音楽関係者への支援や市内の音楽イベントが連携して毎年9月に開催されている福岡ミュージックマンスへの支援などを通して、福岡の音楽を国内外に発信するとともに、10月からは、街角オープンスペースなどを活用して、アーティストの活動を応援するような取組も始めようとしている。ストリートピアノ、街角ピアノについては、ユーチューブ等で見ており、人が集まって、知らない人同士が楽しんだり交流が生まれているということを聞き、すばらしいと思っている。また、コロナ禍で、特にマスクで表情が見えない中にあって、花のきれいさや音楽が一つの潤いを生んでくれたらよいとも思う。こうした音楽があふれるまちを目指して、ストリートピアノも含めてしっかりと取り組んでいく。