▼令和3年 第1回定例会 松野 隆 補足質疑 (令和3年3月9日)

○24番(松野 隆)登壇 私は公明党福岡市議団を代表し、篠原達也議員の代表質疑を補足して、コロナ禍におけるテレワークを活用した障がい者の就労支援について、2040福岡市カーボンニュートラルの実現に向けての以上2点について質問してまいります。
 初めに、障がい者の就労支援についてであります。
 新型コロナウイルスの感染の蔓延を防ぐため、人との接触を8割減らし、人と人との距離を確保し、3密を防ぐためのテレワークによる新しい生活様式や働き方を導入する企業が増えつつあり、それは一時的な対処からウィズコロナ、アフターコロナ時代の働き方のスタンダードとなりつつあります。
 まず、新型コロナウイルスの感染拡大後における就業者のテレワークの実施状況、業種別の状況について、あわせて、本市における事業所のテレワーク導入状況についてお答えください。
 コロナ禍におけるテレワークは、ワーク・ライフ・バランスやダイバーシティの観点から、今後、仮にコロナが収束しても経済界ではますます導入が進んでいくと思われます。
 一方で、障がい者のテレワークの実態はどうなのでしょうか。一部では既に企業での取組が進み、テレワークを活用し活躍されている方もおられますが、今後さらに障がい者のICTを活用した雇用と就労環境を広げるには検討課題は多々あると思います。
 私の身近なある障がい者の方は、学歴も語学力もあり、大手企業に採用され、健常者と変わらぬ期待を寄せられ大活躍しておられましたが、昨年、ある日突然体調を大きく崩し、長期に及ぶ入院加療が必要となり、結局、今も職場復帰がかなわず、自宅で生活を送っておられます。意欲も能力も高く、そもそも障がい者であることへの配慮も欠けていたのか、働き過ぎたのです。その活躍があだとなってしまいました。このような事例を通じ、障がいのある方が自宅でも無理なく会社や社会に貢献できる就労の在り方や広がりの重要性を強く感じておりました。
 同じく自分の将来に夢を抱いて就労に向けた訓練に励む障がい者や難病に苦しみながら努力を続けておられる方たちが体調不良で夢半ばで頓挫してしまわないよう、今後もICTを活用したテレワークによる労働環境の整備は社会の重要な課題です。
 そこで、本市では就労系障がい福祉サービスの実利用者はどれほどいるのか、サービス種別ごとに過去3年間の推移をお示しください。
 次に、2040福岡市カーボンニュートラルの実現に向けてお尋ねします。
 2020年、全ての国が参加する国際的な枠組みであるパリ協定の本格的な運用が始まりました。地球温暖化に起因する気象災害のリスクは年々高まり、とどまるところを知りません。2015年、国連総会で採択された持続可能な開発目標、SDGs達成のためにも気候変動への取組は我々に課せられた大事な責務でもあります。
 国は2050年に温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの実現に向け、昨年末に、経済と環境の好循環の実現を目指す実行計画、グリーン成長戦略を策定しました。そして、本市は国の達成を10年前倒し、2040年度にカーボンニュートラルを実現するとの意欲的目標を掲げ、福岡市地球温暖化対策実行計画を策定中であります。
 まず、脱炭素の実現に向けては、国においても地球温暖化対策計画の見直しの動きがあり、多岐にわたり検討が進められております。
 そこで、国の地球温暖化対策計画の検討状況についてお聞きします。
また、国の地球温暖化対策計画の検討に合わせて、福岡市も地球温暖化対策実行計画の策定を行っておりますが、本市の検討状況について概要を御説明ください。
 次に、国の2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略策定の趣旨と概要についてお答えください。
 また、福岡市ではクリーンなエネルギーである水素にいち早く注目し、水素リーダー都市プロジェクトに取り組んでおられますが、これまでの取組の概要について伺います。
 以上で1回目を終え、次回から自席にて行います。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) コロナ禍におけるテレワークを活用した障がい者の就労支援に関する御質問にお答えいたします。
 テレワークの実施状況につきましては、内閣府の第2回新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査によりますと、令和2年12月時点での就業者の実施率は全国で21.5%でございます。また、業種別の実施率は、情報通信業、電気・ガス・水道業などで高く、保育関係、医療、福祉などで低くなっております。
 市内事業所については、感染拡大前の令和元年11月の福岡市女性活躍推進に関する事業所等実態調査によるものでございますが、テレワーク制度がある事業所は6.7%、制度の導入を検討している事業所は11.7%となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 障がい者の就労支援についての御質問にお答えをいたします。
 就労系障がい福祉サービスの一月当たりの実利用者数につきましては、サービスの種別ごとに申し上げますと、就労移行支援サービスでは、平成29年度が745人、30年度が800人、令和元年度が792人、就労継続支援A型サービスでは、平成29年度が1,090人、30年度が1,144人、令和元年度が1,154人、就労継続支援B型サービスでは、平成29年度が1,942人、30年度が2,073人、令和元年度が2,257人となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 細川環境局長。
○環境局長(細川浩行) カーボンニュートラルの実現に関する御質問にお答えいたします。
 まず、国の状況につきましては、昨年10月に政府が2050年脱炭素社会の実現を目指すことを宣言されました。現在、平成28年に閣議決定された地球温暖化対策計画の見直しが進められており、本年11月に開催予定の国連気候変動枠組条約締約国会議、COP26までに、意欲的な2030年目標を表明するとされております。
 温室効果ガスの削減目標を長期エネルギー需給見通しの改定と整合的に進めていくため、環境省と経済産業省を中心に検討が進められております。これまで再生可能エネルギーの最大限導入、2035年までの新車販売で電動車100%などの方針が示されたほか、昨年12月に2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略が策定されたところでございます。
 次に、福岡市の地球温暖化対策実行計画策定の検討状況につきましては、気候変動の影響の深刻化とパリ協定を契機とした国内外の潮流を受け、昨年2月に2040年度温室効果ガス排出量実質ゼロを目指し、チャレンジすることを表明し、現在、脱炭素社会の実現に向け、福岡市地球温暖化対策実行計画の改定を進めております。
 これまで改定検討の進め方、現行計画の振り返り、計画改定に当たっての基本的な方向性について検討を行い、事業者、学識経験者、市民等から成る実行計画協議会、議会、環境審議会において御意見をいただいているところでございます。今後は、これまでいただいた御意見と現在進められている国計画の見直し状況を踏まえ、骨子案、改定案の検討を進めてまいります。
 次に、国の2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略につきましては、環境への対応を積極的に行うことが産業構造や社会経済の変革をもたらし、次なる成長につながるとの考え方の下、2050年カーボンニュートラルに向けて、経済と環境の好循環をつくっていくための産業政策として策定されたものでございます。
 戦略では、大胆な投資でイノベーションを起こすといった民間企業の挑戦を応援するため、国として、水素産業、自動車・蓄電池産業など成長が期待される14の重要分野の目標や今後の取組を定めた実行計画を示し、そこに金融や規制改革などの分野横断的な政策を総動員していくこととされております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 水素リーダー都市プロジェクトについてお答えします。
 これまでの取組につきましては、水素社会の実現のため、中部水処理センターで発生する下水バイオガスを原料として水素を製造し、燃料電池自動車、いわゆるFCVに供給する世界初の水素ステーションを産学官で運営しております。また、このステーションの水素を活用した実証実験のサポートなど民間事業者との協働事業や水素エネルギーに関する普及啓発を実施しております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 障がい者の就労支援についてです。
 そもそも新型コロナ感染以前の平成28年にはニッポン一億総活躍プランにも、テレワークによる在宅雇用の推進などICTを活用した雇用支援等が盛り込まれ、障がい者や難病患者も特性や症状に応じて、社会で活躍できる柔軟な働き方の労働環境が求められてきました。
 障がい者の在宅就労への支援については、平成24年、就労継続支援事業A型、B型の在宅就労が可能となり、平成25年に障害者総合支援法が施行され、同時に障がい者の定義に難病が追加されました。平成27年には就労移行支援事業の在宅就労も可能となり、これらの背景には障害者権利条約への批准、障害者差別解消法の成立、本市においても条例が制定され、障がいのある人への合理的配慮が求められるようになりました。
 そこで、令和元年度に、国の新型コロナウイルス感染症対策に関する緊急対策に盛り込まれた、障がい福祉サービスにおけるテレワーク等導入事業の概要と年度別実施状況、新年度予算についてお答えください。
 続いて、本市内の就労移行支援事業所の在宅訓練の実施状況について、コロナ前時点の令和2年1月の利用者総数と、そのうち在宅訓練実施者数と、さらに、コロナ禍における令和3年1月の利用者総数と、そのうち在宅訓練実施者数の実態をお示しください。
 令和2年9月に本市は特区を活用し、国に対し、障がい者在宅就労の継続を要望しておりますが、その概要について答弁を求めます。
 次に、カーボンニュートラルについてです。
 令和3年1月に開かれた通常国会の菅総理の施政方針演説において、環境対策はもはや経済の制約ではなく、力強い経済を生み出す鍵となることや、令和3年秋に英国で開催予定のCOP26までに、意欲的な2030年目標を表明することなどが宣言されており、グリーン成長戦略に示された14分野の取組をいかに推進していくかが重要となります。
 また、グリーン成長戦略においては、電力部門の脱炭素化が大前提とされ、再生可能エネルギーを最大限導入することとされており、福岡市においてもこれまで再生可能エネルギーなど、地球温暖化対策に取り組んできましたが、現状はどうなのでしょうか。
 そこで、再生可能エネルギー導入に向けたこれまでの福岡市の取組と脱炭素社会の実現に向けた課題についてお答えください。
 水素については、現段階では化石燃料からの製造が7割と言われており、福岡市の下水バイオガスを原料に製造する水素の最大の特徴、セールスポイントについて所見を求めます。
 中部水処理センターの水素ステーションで作られるグリーン水素は脱炭素社会への貢献と地産地消の観点から大変貴重であり、一方、FCV、燃料電池車は走行時に二酸化炭素を排出せず、非常時には外部に給電する機能を持ちますが、その普及台数は日本全体で見ても国の目標である2020年に4万台、2030年に80万台に対して、2020年に約4,000台と普及が進んでいるとは言い難いのが現状です。これまで水素ステーション設置はコストや技術面で難易度が高く、全国各地が官民連携し、水素活用協議会などを立ち上げてきましたが、特に安全面での国の規制が大変厳しく、実用化はいまだ道半ばであります。
 しかし、政府は2021年度予算には110億円を計上し、資金面で民間の取組を後押しし、さらに新聞報道によりますと、機器の材料、立地や運営面など、これまでに見直された規制は数十項目に及び、民間の給油所に水素充?設備を設置する水素ステーションの広がりが現実となりつつあります。
このような状況の中、水素利用を広げるために福岡市は今後どのように取り組んでいくのか、御所見を求めます。
 また、水素社会実現のためには、規制改革も重要な課題と言われています。国家戦略特区に指定されている福岡市がぜひ規制を突破し、水素エネルギーをはじめとする環境技術を社会に広めてほしいと思います。
 そこで、今後さらに水素エネルギー活用先進都市を実現していくために必要な規制緩和にどのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いします。
 また、再生可能エネルギーや水素の活用など、新たな技術の実用化と市民生活へと応用していくためには、官民のパートナーシップが非常に重要だと考えます。
 そこで、官民連携によってイノベーションをどのように市民生活に取り込んでいるのか、福岡市のこれまでの取組と令和3年度の取組についてお答えください。
 さらに、国のグリーン成長戦略では、金融政策についても記載されております。カーボンニュートラルを実現するために、政府の資金を呼び水に民間投資を呼び込み、脱炭素に向けた革新的技術へのファイナンスが注目されています。
 先日の日経新聞にも地球温暖化への対応にどう取り組むかについて、多くの慈善、投資事業に関わるビル・ゲイツ氏のインタビュー記事が掲載され、日本の役割はイノベーションに貢献することとし、さらに、日本は国際的に協調してエネルギー関連開発予算を大幅に増やすべきで、アイデアを持つ起業家への資金提供も増やしたいなど、今や同氏だけではなく、多くの投資家や経営者は特に環境課題とイノベーションに大変敏感で、環境関連の技術革新が雇用と起業を生み出すと大変大きな期待も寄せられております。
 そして、時を同じくして、福岡市では昨年から国際金融機能の誘致に力を入れております。その金融や投資では、もうけやリターンだけが話題とされ、一見、カーボンニュートラルやSDGsとはかけ離れた世界だと思いがちですが、実は現在、金融や投資において世界的な潮流となっているのがESG投資です。このESGは国連が2005年に提唱した投資責任原則で初めて登場したもので、持続可能な社会の構築に向けて、ESG――環境、社会、ガバナンスの3点から貢献できているかどうかに着目して企業を選別する投資手法を採用しようと投資家に呼びかけているものです。
 国連の提唱、持続可能な社会に向けた社会的な課題の解決を意図しているという点で、ESG投資とSDGsはその理念と方向性を一にするもので、日本のある証券会社では、投資の視点からはESG投資、投資を受ける側の視点からはSDGs債と表現するところもあります。
このSDGs債は、今後も成長が見込まれる投資分野であり、行政においても東京都が平成29年からSDGs債の中で一番発行規模の大きいグリーンボンドを発行しております。グリーンボンドは環境改善効果のある事業に充当する資金を調達するために発行する債券で、2009年に約9億ドル、2019年には2,500億ドルを突破し、277倍の規模となるほど、それほど発行実績が伸びている背景には、持続可能な社会の実現、SDGsに向けた世界的な意識の高まりと、その実現に向けた新たな技術開発につながるグリーンボンドに世界の主要企業や投資家たちが注目しているからにほかなりません。これは国際金融都市を目指す福岡市として、また、2040年度カーボンニュートラルに向けた取組を強化しようとする福岡市において、かなり重要な視点であると考えます。
 脱炭素社会実現に向けて、福岡市の意気込みを示す上で、グリーンボンドの発行を検討してはどうかと思いますが、御所見をお伺いします。
 以上で2回目を終わります。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 障がい者の就労支援についての御質問にお答えをいたします。
 就労系の障がい福祉サービスにおけるテレワーク等導入事業につきましては、国の制度を活用し、利用者の在宅就労等を推進するため、タブレット端末やシステム導入などの経費を補助するものでございます。令和元年度は11事業所に対し約675万円の補助を行っておりまして、令和2年度につきましては、対象となる全ての事業所に調査を行った上で、テレワーク等が実施可能な38事業所に対し約3,812万円の補助を行うことといたしております。このため、令和3年度につきましては、緊急対策として実施された国の補助制度が終了することも踏まえ、予算措置は行っていないところでございます。
 次に、就労移行支援事業所の在宅訓練等の実施状況につきましては、令和2年1月時点では利用者総数が1,009人、うち在宅訓練等の実施者数は45人、令和3年1月時点では利用者総数が1,087人、うち在宅訓練等の実施者数は621人となっております。
 次に、国家戦略特区を活用した障がい者在宅就労の提案についてでございますが、障がいのある方の就労支援は、これまで原則として通所により行うこととされておりましたが、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、令和2年度に限り、本人の希望に応じて在宅での就労系障がい福祉サービスの利用が可能となる臨時的な取扱いが行われております。そこで、新しい生活様式も見据え、障がいのある方の多様な働き方を促進し、就労の可能性を広げるため、特区を活用し、令和3年度以降も引き続き、本人の希望に応じて在宅でのサービス利用ができるよう国に提案を行ったものでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 細川環境局長。
○環境局長(細川浩行) カーボンニュートラルの実現に関する御質問にお答えいたします。
 再生可能エネルギーの導入に向けたこれまでの取組につきましては、平成26年度策定の福岡市環境・エネルギー戦略に基づき、家庭に対して、太陽光発電設備に蓄電池などを組み合わせて設置する住宅用エネルギーシステムの導入助成を実施し、令和2年12月末までに延べ約1万5,000件の導入を図ってきたところでございます。また、市の率先的な取組としまして、市有地や公共施設での太陽光発電、清掃工場や水処理センターでのバイオマス発電を進め、令和3年2月末時点で204施設、9万2,317キロワットの設備を導入しております。
 課題といたしましては、太陽光発電を中心に設備導入が進み、導入件数は年々増加しておりますが、大規模なものについては物流施設や公共施設の屋根のほかに、環境に負荷を伴わず設置できる適地が多くないこと等により、発電量が限られてくることがございます。
 次に、イノベーションの取組につきましては、福岡市ではこれまで電気自動車が発売された翌年度から速やかに購入助成を行うとともに、電気自動車と住宅の相互で充給電できるV2Hシステムへも購入助成を行ってきております。また、自動車会社と連携し、電気自動車など次世代自動車の展示、試乗会の開催や商業施設等と連携した急速充電設備の設置拡充を行い、新技術を活用した脱炭素化に資する製品の普及促進を進めたところでございます。
 令和3年度につきましては、次世代自動車購入補助の対象に水素を燃料とする燃料電池自動車を加え、補助枠も拡大するとともに、急速充電設備、V2Hシステムの設備導入についても補助を拡充し、さらなる普及に取り組んでまいります。
 次に、グリーンボンドの発行の検討についてでございますが、グリーンボンドは社会的課題の解決に資する環境プロジェクトに対し、投資という形で関与する機会を提供することができる仕組みでございます。これを市の事業の資金調達に活用することは、その過程で福岡市の環境への取組と環境改善効果が専門の認証機関から評価され、それを国内外にPRすることができる有効なものであると認識しております。現在、東京都の事例も研究しつつ、関係局と連携してグリーンボンドの発行に向けた具体的な検討を進めているところでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 水素エネルギーについてお答えします。
 まず、福岡市で製造している水素の特徴についてでございますが、中部水処理センターのステーションで製造している水素は、再生可能エネルギーである下水バイオガスを原料としており、利用時に加え、水素製造時にも二酸化炭素を増やさない、脱炭素社会に貢献するグリーン水素でございます。また、都心の中部水処理センターで水素を製造し、隣接地で供給するため、化石燃料のように輸入リスクがなく、エネルギーの地産地消が実現できるものでございます。
 次に、今後の取組につきましては、世界的にも脱炭素化が求められ、水素についても関心が集まっている中、引き続きFCVの普及を進めるため、環境局が行う次世代自動車普及促進事業の補助対象に令和3年度から新たにFCVを加える予定でございます。また、さらに水素の利用を広げるためには、水素に関する機器の開発やコスト低減のための技術革新、水素を作る、運ぶ、使うまでの一貫したサプライチェーンの構築などの研究開発などが重要であり、今後も国の動向を踏まえながら、水素社会の実現を目指し、水素エネルギーの実用化に向けて九州大学や民間事業者と力を合わせて積極的に取り組んでまいります。
 次に、規制緩和についてでございますが、水素エネルギーには高圧ガス保安法など、安全に関する国の厳しい規制がある中、平成30年度に中部水処理センターの水素ステーションにおいて、運転手自らが水素を充?する実証を行い、国へ提言を行った結果、令和2年度から全国的に水素ステーションの無人営業が可能になった例がございます。今後も産学官で連携して、さらなる規制緩和につながるよう、必要に応じて国家戦略特区なども活用しながら、国へ働きかけを行ってまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 初めに、障がい者の就労支援についてです。
 昨年、私はテレワークを積極的に活用する障がい者の就労支援事業所、夢つむぎを訪問し、実際にリモートで訓練を受ける様子や、難病患者でテレワークによる就労移行支援により企業就職を勝ち取り、現在、リモートワークにより自宅で就労しているAさんからも直接お話を伺うことができました。
 Aさんは専門学校在学中にエクセル、ワードなどの資格を取得し、就職、結婚、出産を経て再び無職となり、第2子を出産した数か月後に難病を発症し、体調の変化や感染症への恐怖と闘いながら子育てと家事を行う生活でしたが、就労の経験があり、パソコンのスキルもある、体調に波はあるが、何より働きたい、収入を得たい、そして家族の理解がありました。その後、就労移行支援事業所において、インターネットとソフトウエアを使用した在宅での就労訓練で、知識の習得、イラストや文書の作成訓練を行い、現在、テレワークでの在宅勤務に励んでおられます。御本人も社会貢献できる今を大変に喜んでおられました。
 就労移行訓練を受ける全ての障がい者に一概にテレワークを推奨するわけではありません。中には事業所に通うことや、多くの人や社会の中で人間関係やビジネスマナーを習得し、自分の立ち位置、役回りをつかむことが企業での就労につながる障がい者の方たちもたくさんおられるとは思います。
しかし、障がい者や難病患者が自宅から事業所へ通い、就労系サービスを受ける課題として、1日の間で体調に波があり、通所することによる心身の負担や、免疫力の低下により集団で長時間過ごすことでの感染リスクなど、通いづらいという見過ごせない一面があり、このような実態からも、コロナ後も恒常的なテレワーク環境の継続が求められます。このように新型コロナ感染防止対策だけでなく、障がい者の就労支援においても、テレワークは非常に有用な役割を担っております。
 先般、令和2年度に限り新型コロナウイルス感染症への対応として臨時的に要件緩和した取扱いを令和3年度以降は通常の取扱いとする法改正により、通所が困難な障がい者の在宅でのサービス利用要件が通常の取扱いとなる見込みとなりました。
しかし、まだまだこれからというときに、肝心なときに支援がなくなる、令和3年度においてテレワーク等導入事業の国庫補助はなくなると。障がい者の就労を支援する事業所に広く在宅による就労基盤を整備するには財政的な支援は欠かせません。自己完結できる人とそうでない人との格差がこれ以上広がらないためにも、国も福岡市も継続して支援し、今後も積極的にICT導入を推進すべきと考えます。
 福岡市として就労系の障がい福祉サービス事業所におけるテレワークに今後どのように取り組み、障がい者や難病患者の皆さんをサポートしていかれるのか、御所見をお伺いして、この質問を終わります。
 最後に、カーボンニュートラルについてです。
 福岡市では、太陽光発電をはじめ、再生可能エネルギーの導入に向けて取組を進め、水素についても世界トップクラスの研究拠点である九州大学と連携し、下水汚泥から水素を製造するという革新的な取組を進めており、これは今後の脱炭素に向けた最大のアドバンテージであると考えます。
 それぞれまだ課題はありますが、国が言うように、福岡市のこれからの環境政策を力強い成長を生み出す鍵として捉え、経済と環境の好循環をいかにつくり出すか。いずれにせよ、民間の技術力、資金力との連携なくして地球温暖化防止はなし得ません。まさに官民のパートナーシップが重要となってくると考えます。
 脱炭素社会の実現は全世界共通の課題であり、その解決にはこれまで以上に民間活力を生かした新技術のイノベーションの実現こそ必要不可欠です。福岡市地球温暖化対策実行計画の策定が進められておりますが、イノベーションの導入に向けた今後の方向性についてお示しください。
 官民のパートナーシップ、規制緩和、そして金融。これについては先ほど御答弁いただいたように、グリーンボンドの検討を進めていただいておりますが、グリーンボンドはSDGsの実現にも大きく寄与していくものと確信します。
 地球温暖化に起因する気象災害のリスクは年々高まっています。地球温暖化の要因である温室効果ガスの削減、そしてカーボンニュートラルの実現に向けた取組は、行政だけでなく現代社会に生きる全ての市民、企業がこの問題に向き合い、チャレンジしていかなければ達成できないものと考えます。
 最後に、今後とも、行政、企業、市民が一体となり、オール福岡でのカーボンニュートラル実現を願い、髙島市長の御決意をお伺いして、私の質問を終わります。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 障がい者の就労支援についての御質問にお答えをいたします。
 就労系の障がい福祉サービス事業所におけるテレワーク等の導入につきましては、令和元年度から実施した新型コロナウイルス感染症に関する緊急対策により、一定の環境が整ってきたものと認識をいたしております。そこで、令和3年度におきましては、この環境を有効に活用するため、各事業所に対してテレワーク等の全国的な好事例を紹介するなどにより、取組の充実を図りますとともに、テレワーク等を希望する障がいのある方が本人の適性やニーズに応じ、適切な事業所を選択できるようサポートするなど、より一層の活用を促進してまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 細川環境局長。
○環境局長(細川浩行) カーボンニュートラルの実現に関する御質問のうち、イノベーションの導入に向けた今後の方向性につきまして、私からお答えいたします。
 福岡市は市民のライフスタイル等の転換に資する新たな技術やサービス導入への親和性が高いことが強みであると考えております。その強みを生かして、今後、国の戦略に沿ってイノベーションが生まれ、実装されていく過程において、新たなライフスタイル、ビジネススタイルを市民、事業者に先行して定着していくことで、脱炭素へ貢献する行動の変容につなげていきたいと考えております。
 現在、地球温暖化対策実行計画の改定作業を進めているところでありますが、国のロードマップや福岡市の特性も踏まえながら、脱炭素社会の実現に向け、全庁一丸となってしっかりと取組を進めてまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 髙島市長。
○市長(髙島宗一郎) 福岡市におきましては、気象災害など気候変動が及ぼす安全、安心への懸念から、世界が目指すカーボンニュートラルに積極的に貢献をするために、2040年度を目指したチャレンジを行っております。その実現には、環境をコストではなくて成長の機会と捉えるという観点が重要でありまして、松野議員御指摘のとおり、市民、事業者、また、行政が一体となったオール福岡で、さらなる水素エネルギーの活用や新たなイノベーションの導入、グリーンボンドの発行など、カーボンニュートラル実現に向けた取組をしっかりと進めて、持続可能な都市の成長へとつなげていきたいと思います。以上です。

 

議員紹介

  1. つつみ 健太郎

    西 区

    つつみ 健太郎
  2. たばる 香代子

    中央区

    たばる 香代子
  3. たのかしら 知行

    博多区

    たのかしら 知行
  4. 石本 優子

    早良区

    石本 優子
  5. かつやま 信吾

    東 区

    かつやま 信吾
  6. 古川 きよふみ

    博多区

    古川 きよふみ
  7. 高木 勝利

    早良区

    高木 勝利
  8. しのはら 達也

    城南区

    しのはら 達也
  9. 尾花 康広

    東 区

    尾花 康広
  10. 松野 たかし

    南 区

    松野 たかし
  11. 山口 つよし

    東 区

    山口 つよし
  12. 大石 しゅうじ

    南 区

    大石 しゅうじ
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