○24番(楠 正信)登壇 おはようございます。今朝、関西地方で起こりました震災で被害に遭われた皆様には心からお見舞いを申し上げます。
私は公明党福岡市議団を代表して、障がい者グループホームの設置促進について、夜間中学校の設置に向けての2点質問いたします。
最初に、障がい者グループホームの設置促進についてです。
まず、障がい者グループホームとはどのような施設でしょうか。そして、なぜ必要なのかをお尋ねいたします。
これで1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。
○保健福祉局長(永渕英洋) 障がい者グループホームにつきましては、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律、いわゆる障害者総合支援法で規定されている共同生活援助を指すもので、主に夜間において共同生活を営む住居で相談、入浴、排せつまたは食事の介護、その他の日常生活上の援助を行う障がい福祉サービスの一つでございます。
障がいのある人の地域社会での共生に向け、入院や入所の生活から地域生活へ移行するため、居住の選択の機会が確保されるとともに、障がいの重度化や親なき後も地域で安心した生活ができるよう、アパートなどにおいて家庭的な雰囲気の中で共同生活を送る居住の場としてグループホームの果たす役割が重要となっております。以上でございます。
○議長(川上晋平) 楠正信議員。
○24番(楠 正信) あるグループホームに入居した利用者さんの声を紹介します。毎日温かい食事が食べられるのがうれしい、お話ができるのが楽しい、そして毎日お風呂に入れるのがうれしいと、生活リズムが整い、体調がよいことを話しておられました。また、利用者の親御さんは、本人のためと思っていましたが、親自身の生活に余裕ができて、自分自身も支援をいただいたと話されています。障がいのある人を在宅で見てきた親御さんが高齢化し、介助の限界を訴える声を多く聞きます。また、親に余力があるうちに我が子の生きていける環境を見届けたいとの悲痛な訴えもお聞きします。
そこで、お伺いをいたしますが、福岡市は障がい者の高齢化、重度化への対応を、特に地域生活への移行を進めるため、保健福祉総合計画の中ではどのような方針、計画でグループホーム促進に取り組むこととしていますか、お尋ねをいたします。
○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。
○保健福祉局長(永渕英洋) 平成28年に策定した福岡市保健福祉総合計画におきましては、グループホームの開設時に必要な敷金や備品などの経費を補助するとともに、市営住宅を計画的に活用するなど設置促進に努めることといたしております。また、あわせてグループホームの報酬体系について、利用者への良好な処遇の確保や安定的運営に資するよう、他都市と連携し、機会を捉えて国に要望していくことといたしております。以上でございます。
○議長(川上晋平) 楠正信議員。
○24番(楠 正信) お答えいただいた平成28年度の総合計画の方針や計画は何に基づいてつくられましたか、実態調査やアンケートなどされたのか、お尋ねをいたします。
○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。
○保健福祉局長(永渕英洋) 保健福祉総合計画につきましては、平成25年度に障がい児・者等実態調査を行っており、その中で、今後グループホームを利用したいとの回答割合が高かったことなどを踏まえて策定しております。以上でございます。
○議長(川上晋平) 楠正信議員。
○24番(楠 正信) 実態調査の中でのグループホームを利用したいという多くの声をもとにつくり上げた福岡市保健福祉総合計画原案。この障がい者分野に係る市民意見、パブリックコメントの中で、親なき後の生活支援やグループホームに関する意見は何件ありましたか、また、内容はどのようなものですか、お尋ねをいたします。
○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。
○保健福祉局長(永渕英洋) パブリックコメントにおける障がい分野の意見は89件あり、そのうち、親なき後やグループホームに関するものは25件でございました。主な内容といたしましては、困ったことが起きたとき、安心して相談できる窓口の設置やグループホームの充実を求める意見が、また、今後の取り組みを進める際には当事者の意見を聞いてほしいなどといった御意見がございました。以上でございます。
○議長(川上晋平) 楠正信議員。
○24番(楠 正信) 調査結果をもとにつくり上げたにもかかわらず、障がい福祉に係る全体意見のうち約30%がグループホームなどの充実を訴え、意見を聞いてほしいとの内容でした。福岡市のグループホーム設置促進の計画は現状と見合っていないのではないでしょうか。
それでは、今までに障がい者関係団体から親なき後の生活支援やグループホーム設置に関してどのような要望が届けられていますか、お尋ねをいたします。
○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。
○保健福祉局長(永渕英洋) 関係団体からは、親なき後も最重度の障がい者がついの住みかとして生活できるグループホームをつくってほしい、福岡市で土地や建物を確保し、グループホームがふえるよう対策を考えてほしい、また、入所施設及びグループホームともに数が不足しており、待機されている方が多い状況にあるため、今後の福岡市の対策や方策を教えてほしいなどの御要望をいただいております。以上でございます。
○議長(川上晋平) 楠正信議員。
○24番(楠 正信) ここでも現場の声は、福岡市でのグループホームの設置促進が進んでいないことをあらわしています。また、お答えにはありませんでしたが、グループホームを運営する事業者からは、現行の報酬体系では必要な人員配置が厳しいこと、夜間の支援員の確保にも大変苦慮していることなど運営に対する公的な支援を強く求め、事業者の窮状を何度も行政に訴えておられます。
このように、市民や障がい者関係団体からの要望を受け、いつ、どのような対策を検討し、どのような事業を進められていますか、お尋ねをいたします。
○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。
○保健福祉局長(永渕英洋) グループホームの設置促進につきましては、平成15年度に創設した敷金、礼金、備品購入費等を補助対象とした障がい者グループホーム設置費補助金について、平成27年度の消防法施行令の改正に伴い、消防用設備の整備に係る補助上限額を平成28年度に30万円から100万円に引き上げたところでございます。また、平成28年度から強度行動障がい者や重度障がい者のグループホームへの受け入れを支援するため、強度行動障がい者や重度障がい者を新たに受け入れ、支援員の加配を行ったグループホームに人件費の一部を補助するといった強度行動障がい者等支援グループホーム補助金制度を創設いたしました。さらに、賃貸物件の紹介や協力可能な宅地建物取引業者を不動産協力店として登録し、市ホームページ上に開設した障がい者グループホーム開設応援サイトにおいて不動産協力店の情報を提供するなど、賃貸物件の活用が進むよう取り組みを進めてまいりました。以上でございます。
○議長(川上晋平) 楠正信議員。
○24番(楠 正信) お答えいただいた各取り組みが進み、グループホーム不足が解消しているかどうかは、日ごろの相談業務からわかるのではないでしょうか。今回、3カ所の障がい者基幹相談支援センターを訪ねました。3カ所とも、相談員さんたちの諦めにも似た慢性的なグループホーム不足の声をお聞きしました。私の住む中央区は約7,300人の障害者手帳保持の方がおられますが、グループホームは3カ所しかなく、受け入れ実績のあるショートステイ、短期入所は1カ所もありません。
グループホームへの入居を待っている御家族の声を御紹介します。本人は重い知的障がい、30歳、母子家庭、母親60歳代、情緒不安定や睡眠の乱れなど介護度が高く、グループホーム入居を待っている間に父親が他界し、母親自身の仕事などにより自宅での介護の継続に大きな不安があり、一日も早いホーム入居を希望しますという声です。もう一つ、御紹介します。本人は知的障がいと身体障がいの重度重複障がい、36歳、御両親は60歳代と70歳代です。食事、排せつ、移動など身の回り全般に介護を要します。母親は脊柱管狭窄症の持病を抱え、短期入所や居宅介護サービスでつないではいるものの、今後、家庭での介護には大きな不安があり、グループホームに入居させたいという声です。このように、障がいの重たいと思われる支援区分5、6の方は現在どれぐらいグループホームに入居されているのでしょうか。
そこで、お伺いしますが、市内のグループホームにおいて、障がいが重いと思われる支援区分5、6の方の受け入れを行っているグループホームの数と受け入れ人数について、平成28年度と29年度の状況をお伺いいたします。
○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。
○保健福祉局長(永渕英洋) 市内のグループホームにおける障がい支援区分5及び6の利用者の受け入れ実績につきましては、平成28年度は受け入れグループホーム数が28カ所、実利用者数が50人、平成29年度は受け入れグループホーム数が26カ所、実利用者数が41人となっております。以上でございます。
○議長(川上晋平) 楠正信議員。
○24番(楠 正信) お答えいただいたように、障がいの重たい方のグループホームの受け入れは、平成28年度と比較すると29年度は箇所数も人数も減少しています。需要はふえているのに、重度障がい者を受け入れる事業所は減っています。グループホームの慢性的な不足、特に先ほど御紹介したホームのあきを待っている障がいの重たい方たちのグループホームの数は決定的に不足しています。まさしく福岡市保健福祉総合計画の親なき後の地域での生活を見据えた支援は、ここに手を入れなくてはなりません。
それでは、福岡市障がい福祉ガイドで紹介されている福岡市内のグループホームの箇所数、その利用者数をお尋ねいたします。また、直近の障害者手帳保持者数もお尋ねをいたします。
○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。
○保健福祉局長(永渕英洋) 福岡市の障がい福祉ガイドにおいて、平成29年4月1日時点での福岡市内のグループホームの数は116カ所、利用者数は800人となっており、また、平成29年度末時点での障害者手帳の所持者数は、身体障がい5万1,828人、知的障がい1万1,568人、精神障がい1万4,586人となっております。以上でございます。
○議長(川上晋平) 楠正信議員。
○24番(楠 正信) 重い障がいのある人の家族の方からお話を伺ったときに、横浜市のグループホームの実態をお聞きしました。ホームでの支援が手厚いこと、行政の支援が行き届いていることなど、今回、私も横浜市を訪ね、実際に社会福祉法人が運営するグループホームの一つを見学してきました。(パネル表示)この方は知的障がいと身体障がいが重複する重たい障がいのある方で、支援区分5、6の方たちのグループホームであります。(パネル表示)外見は普通のアパートのように見えますけれども、(パネル表示)天井では、天井づりのリフトなど最初から備えつけなければならないものが別枠で400万円から500万円かかるそうであります。横浜市には、このような重い障がいの方を受け入れるグループホームが250カ所以上あります。そして、横浜市内全体のグループホームの設置数は685カ所ありますが、障害者手帳保持者の方は15万9,563人ですので、目安として、232人に1カ所はホームがあるということです。
福岡市は、先ほどのお答えで手帳保持の方が7万7,982人ですので、666人に1カ所しかない目安になります。おおよそ横浜市の3分の1です。また、障がいの重たい支援区分5、6の方のグループホームを利用する利用率は、先ほどのお答えで福岡市が5.1%、横浜市は34.2%と、ここはおおよそ7分の1になります。横浜市の親なき後の地域での暮らしは確実に進んでいました。なぜ横浜市のグループホームが比率として多いのか、なぜ障がいの重たい人の入居が多いのか、その理由を申し上げます。それはグループホームを設置しやすいシステムがあるから、障がいの重たい人を受け入れても運営しやすいシステムがあるからです。
グループホームを設置しようとするとき、運営者の負担、リスクにはどのようなものがありますか、お尋ねをいたします。
○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。
○保健福祉局長(永渕英洋) グループホーム設置時の負担及びリスクにつきましては、事業者からの御意見といたしまして、賃貸料や間取りなどグループホームに適した賃貸物件を探すための時間を要する、また、新たにグループホームを建設する場合、土地の取得や建設費など初期投資の負担が大きい、さらに利用者の個々の障がい特性や程度に応じた支援が十分可能となる人員を配置するためには、報酬単価が十分ではなく、専門性のある人材を確保しても離職するリスクがあるなどと聞いております。以上でございます。
○議長(川上晋平) 楠正信議員。
○24番(楠 正信) 福岡市の場合、最初にグループホームをつくるとき、創設時の初期投資に係る独自の設置費補助金は幾らですか、お尋ねをいたします。
○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。
○保健福祉局長(永渕英洋) グループホーム創設時における福岡市独自の補助金につきましては、敷金、礼金、備品購入費、消防用設備費など、開設に必要な初期経費を対象に1件当たり150万円を上限に補助する福岡市障がい者グループホーム設置費補助金がございます。以上でございます。
○議長(川上晋平) 楠正信議員。
○24番(楠 正信) 横浜市の初期投資に係る設置補助金は450万円です。先ほどの別枠でつくらなければいかんという、この450万円が最初から補助金として出ます。また、設置されるグループホームの借地料や家賃に対して、月額29万5,000円を上限に費用の2分の1が毎月補助されます。設置補助金や家賃補助があるということは、都心であっても土地のオーナーさんが450万円の補助金を活用し、最初からグループホームとして建物を建て、運営者に賃貸するという建て貸し方式が成り立つということです。オーナーさんには、その後も安定した家賃収入が見込めるということになります。横浜市のグループホームの半分以上はこの建て貸し方式で設置され、運営者の初期負担は発生しないシステムになっています。先ほど御紹介した障がいの重たい方のグループホームもこのシステムで設置されました。
それでは、福岡市のグループホームの運営に対する補助の内容はどのようなものがありますか、お尋ねをいたします。
○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。
○保健福祉局長(永渕英洋) グループホームの運営に対する福岡市独自の補助金につきましては、強度行動障がい者等を新たに受け入れ、支援員の加配を行った場合、人件費の一部として、強度行動障がい者については1年を限度として最大115万1,000円余、重度障がい者については1カ月を限度として最大9万4,000円余を補助する強度行動障がい者等支援グループホーム補助金制度がございます。以上でございます。
○議長(川上晋平) 楠正信議員。
○24番(楠 正信) お答えいただいた補助メニューは、障がいの重たい方を受け入れた場合の支援員に対し、期間が最長1年間と限定された福岡市の補助金です。その強度行動障がい者等支援グループホーム補助金の平成28年度の予算額と執行額をお示しください。
○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。
○保健福祉局長(永渕英洋) 強度行動障がい者等支援グループホーム補助金につきましては、制度創設の初年度である平成28年度におきましては予算額561万8,000円を計上しておりましたが、補助の申請がなく、執行額はございませんでした。以上でございます。
○議長(川上晋平) 楠正信議員。
○24番(楠 正信) 執行額はゼロです。残念ながら、この福岡市の補助金は制度として使えないようになっています。グループホーム運営者が、もともとある国の加算報酬を受けていると補助金の対象外になるのです。国の制度を使っても運営が厳しいから独自の制度があるはずなのに、制度はあっても申請ができない、補助金は出ない、出さない。だから執行額がゼロなのです。横浜市はホームの入居者の介護を要する支援費として、国の報酬とは別に1ホーム当たり月額9万6,700円を人件費として上乗せで補助します。しかも、1年限りではありません。運営が続く限り、年額116万円の補助が行われます。(パネル表示)これは横浜市と福岡市でありますけれども、横浜市はサービス管理費というのが入居者1人に対して月額5,000円、水道料金補助、1人に対して月額1,300円、今申し上げました要介護支援費、1ホーム当たり人件費、月額9万6,700円の補助体制となっております。グループホームの定員が10人だった場合、年額の補助金の交付は545万円、1ホーム当たり545万円の補助が交付されるようになっております。先ほど御紹介した横浜市のグループホームが重度の障がいの方を受け入れられるシステムがこれなのです。このように、介護を要する支援費補助の独自制度は、横浜市だけではなく、札幌市、新潟市、神戸市を初め、政令市10の都市で行われています。家賃補助制度も、横浜市、新潟市、神戸市を初め、5都市で行われ、継続できる運営を支援しています。格差社会と言われていますが、障がい福祉分野では格差があってはならないと思っています。グループホームへの入居を強く望んでいる人がたくさんいる。ホームを設置したくても運営上リスクが多過ぎる。そのことがわかっていながら、どこに手を打てばいいのかもわかっていながら何もしないのは、合理的配慮の不提供を禁止している障がい者差別解消条例の趣旨に反すると私は思います。
横浜市に行ってお話を伺ってきましたが、厳しい予算編成でのやりくりに悪戦苦闘され、決して予算が潤沢にあるわけではありませんでした。横浜市と同じ制度を要望するわけではありません。先ほどの福岡市の執行額ゼロの予算を使えるようにしてください。他都市が行っている補助制度のように申請することができて、補助金額は低くても、期間を限定するのではなく継続して支援することが重要であると考えます。従来の補助制度のうち、余り利用されていない予算額を家賃補助や運営支援費として使えるような工夫が必要です。
グループホーム設置促進が現実に進むための補助制度を早急に構築すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。
○保健福祉局長(永渕英洋) グループホームの設置促進につきましては、従来の補助制度のこれまでの活用状況や効果を検証の上、補助制度の再構築等について検討してまいります。また、障がい者の地域への移行促進に向け、学識経験者や障がい当事者、障がい福祉サービス事業者などにより構成される地域生活支援協議会に専門部会を立ち上げることとしており、その中でグループホームの設置促進に必要な取り組みや今後の望ましい補助制度のあり方について検討してまいりたいと考えております。以上でございます。
○議長(川上晋平) 楠正信議員。
○24番(楠 正信) ありがとうございます。障がいのある我が子が40歳、50歳となったとき、親は誰しも自分が動けるうちに本人がきちんと生活できるだけの環境を見届けたいと思うのは人の摂理であろうと思います。親御さんの立場を自分自身に置きかえたとき、胸が締めつけられる思いがします。
親亡き後の障がいのある人たちの地域での生活を見据えた総合的な支援を今後どのように進めていかれるのか、高島市長に御所見をお伺いし、この質問を終わります。
○議長(川上晋平) 高島市長。
○市長(高島宗一郎) 障がいのある方やその御家族の切実な願いであります親なき後の支援を一層進めるために、地域で安心して生活を続けることができるように、居住の場であるグループホームの設置促進に取り組むことは大変重要であるというふうに認識をしております。楠議員御指摘のとおり、グループホームの設置を促進するため、これまでの制度が事業者にとって活用しやすいものになるよう見直しますとともに、市有財産も含めた物件の活用などにも取り組んでまいりたいと考えております。今後とも、施策の推進に当たりましては、より効果的な支援となるように総合的な観点から検討を進め、障がいのある方が身近な場所で必要な支援を受けながら、みずからの能力を最大限に発揮し、地域や家庭で生き生きと生活ができるまちづくりに取り組んでまいります。以上です。
○議長(川上晋平) 楠正信議員。
○24番(楠 正信) ありがとうございます。
次に、夜間中学校の設置に向けてです。
さまざまな理由で義務教育を十分に受けられなかった人たちが年齢や国籍を超えてお互いに励まし合いながら学んでいる学校があります。それは夜間中学校です。文化庁芸術文化振興基金で制作されたドキュメンタリー映画「こんばんは」は、東京都墨田区立文花中学校の夜間学級を舞台に生徒たちが懸命に学ぶ姿を描いた作品です。この映画を星子教育長にも見ていただきました。
そこで、教育長にお尋ねしますが、まず、この映画を見られた感想をお聞かせください。
○議長(川上晋平) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 映画の感想ですが、病気や貧困で学校に通うことがかなわなかった高齢者や日本語がわからない在日外国人、不登校の若者など、さまざまな理由で義務教育を受けられなかった生徒が一生懸命学習に取り組む姿がドキュメンタリー映画として映し出されており、改めて学ぶことの大切さについて認識したところでございます。この映画の中で、「私は親を恨んでも問題の解決にはならないこと、親の後には社会の大きな流れがあることを学び、そして救われました。親を否定することは悲しく、苦しいことですから」という生徒の作文の語りがありましたが、掛け算九九や読み書きの学びだけでなく、学びを通して人生の艱難や理不尽と向き合い、対峙し、そして、自己の人間性、人間愛の成長まで昇華させた生徒さんの話には大変感銘を受けたところでございます。以上です。
○議長(川上晋平) 楠正信議員。
○24番(楠 正信) ありがとうございます。
中学校を卒業していない義務教育未修了者数は全国で12万8,000人との統計にもあるとおり、学びの場を求める人たちが一定数存在することが明らかになりました。公明党はさまざまな理由で義務教育を十分に受けることができなかった人への教育を確保するための法律づくりを議員立法で進めてきました。それは平成28年12月に教育機会確保法として成立し、昨年2月に施行されました。
そこで、お尋ねをいたしますが、この法律において、夜間中学校の設置を促進していくため、地方自治体にはどのような義務づけが示されていますか、お尋ねいたします。
○議長(川上晋平) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 法における地方自治体の義務につきましては、義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律第14条において、地方公共団体は、学齢期を経過した者であって学校における就学の機会が提供されなかったもののうちにその機会の提供を希望する者が多く存在することを踏まえ、夜間その他特別な時間において授業を行う学校における就学の機会の提供その他の必要な措置を講ずるものとすると示されております。以上です。
○議長(川上晋平) 楠正信議員。
○24番(楠 正信) お答えいただいたとおり義務があるわけですが、この法律を受けて策定された基本指針において、夜間中学校の設置の促進に関してどのような取り組みを進めていくよう示されていますか、簡潔にお答えください。
○議長(川上晋平) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 夜間中学の設置を促進するため、推進していく取り組みに関しましては、文部科学省策定の義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する基本指針において、夜間中学校の設置に係るニーズの把握や設置に向けた準備の支援及び就学の機会の提供その他の必要な措置に係る事務について、都道府県及び市町村の役割分担に関する事項の協議等を行うための協議会の設置、活用、広報活動などの取り組みが示されております。以上です。
○議長(川上晋平) 楠正信議員。
○24番(楠 正信) お答えいただいた夜間中学校の設置に係るニーズの把握や設置に向けた準備として、福岡市ではこれまでどのような取り組みを進めてこられたのか、お尋ねをいたします。
○議長(川上晋平) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 夜間中学の設置に係る正確なニーズを把握するためには、まずは市民の皆様の夜間中学に関する認知度を上げることが必要であると考えております。そこで、文部科学省作成の公立夜間中学に関する広報チラシを、区役所を初め、福岡市内22カ所の公共施設に設置するなど広報に努めているところでございます。以上です。
○議長(川上晋平) 楠正信議員。
○24番(楠 正信) ニーズの把握が必要とのことですが、私は既にニーズは十分にあると思います。その一例として、中学校を卒業していない義務教育未修了者数があると思います。
そこで、お尋ねしますが、義務教育未修了者は福岡県、福岡市それぞれ何人となっていますか。また、おのおのの数は全国で何番目、政令市の中では何番目に多い数になっていますか、お伺いをいたします。
○議長(川上晋平) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 義務教育未修了者の数につきましては、平成22年の国勢調査によりますと、福岡県は6,543人で全国で4番目に多く、福岡市は1,842人で政令指定都市の中で5番目に多い数となっております。以上です。
○議長(川上晋平) 楠正信議員。
○24番(楠 正信) 全国的に見ても、福岡は義務教育未修了者が多いのがわかります。お答えいただいた政令市中、義務教育未修了者の多い5番目までの都市は、福岡市を除いて、既に公立夜間中学校を設置しているか、または設置に向けた検討会議を立ち上げているかのどちらかです。ほかにも義務教育未修了者数が福岡市よりも少ないものの、川崎市、堺市、神戸市、広島市の4都市は既に公立夜間中学校を設置しております。
先月、この4都市のうち、川崎市にある市立西中原夜間中学校を訪問させていただきました。在籍生徒数は25人、10代から80代まで職業もさまざまです。学校行事だけは昼間の生徒と同じ、体育祭も文化祭も同じように取り組み、昼間の生徒はいやが応にも夜間学級の生徒の勉学のひたむきさを目にします。ここでは、昼間と夜間の生徒がお互いに学ぶことへの相乗効果を生み出していました。この西中原夜間中学校はボランティアによる自主夜間中学校として始まり、学ぶことができずに社会人となった市民が実態として存在していたことから、その後、教育委員会の正式な入学希望調査を経て、公立夜間中学校として開設をされました。その地域に自主夜間中学が存在していること自体がニーズの把握であると考えます。このように、本来自治体が行うべき学び直しのための学校をボランティアで行っている自主夜間中学が福岡市も含めて全国で27カ所あると聞いております。
それでは、福岡市で行われている自主夜間中学ではどのような活動が行われていますか、お尋ねをいたします。
○議長(川上晋平) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 自主夜間中学の活動では、福岡市立千代中学校の空き教室を利用して、週2回、夜間2時間程度、日本語の読み書きを初め、福岡の歴史を学んだり、合唱を練習するなどの学習が行われております。以上です。
○議長(川上晋平) 楠正信議員。
○24番(楠 正信) お答えいただいたように、いろいろな学習に取り組み、修学旅行にも行かれているとお聞きをしております。
千代中学校にある自主夜間中学よみかき教室には何人の生徒さんが在籍され、年代構成はどのようになっていますか、お尋ねをいたします。
○議長(川上晋平) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) よみかき教室の主催者に確認したところ、6月1日現在で20人の生徒が在籍され、年齢は10代から90代まで幅広い構成となっているとのことでございます。以上です。
○議長(川上晋平) 楠正信議員。
○24番(楠 正信) 千代中学校のよみかき教室のようなボランティアによる自主夜間中学に対して、教育機会確保法の基本指針では自治体にどのような取り組みを示していますか、お尋ねいたします。
○議長(川上晋平) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 自治体の取り組みに関しましては、国の基本指針において、ボランティア等により自主的に行われている、いわゆる自主夜間中学についても、義務教育を卒業していない者等に対する重要な学びの場となっており、各地方公共団体において、地域の実情に応じて適切な措置が検討されるよう促すと示されております。以上です。
○議長(川上晋平) 楠正信議員。
○24番(楠 正信) お答えいただいた指針、それを受けて、福岡市では自主夜間中学よみかき教室に対してどのような支援を行っていますか、お尋ねをいたします。
○議長(川上晋平) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 支援につきましては、千代中学校の空き教室を無償で提供し、空調設備や備品を整備するとともに、光熱水費を市が負担いたしております。また、学習活動に対して共生する地域づくり事業の助成グループとして、年間30万円の助成金を交付しております。以上です。
○議長(川上晋平) 楠正信議員。
○24番(楠 正信) 先日、北九州市立城南中学校の中にある自主夜間中学の教室も訪問させていただきました。千代中よみかき教室より1年後に活動、学習支援を始めておられ、在籍生徒数は21人、そのうち半分は中学校卒業証書を持っておられる形式卒業者の方です。同じボランティアによる自主夜間中学でありながら、改修されたすばらしい教室、設備の中で学習されています。また、学習支援のための運営補助金が市から1夜間中学に250万円支給されます。2つの夜間中学がありますので、合計500万円です。福岡市と北九州市では、市民の生涯学習活動に対する支援や不登校児童生徒への支援のあり方なども異なるでしょうから、単純に比較はできないかもしれませんが、同じ福岡県内の政令市で自主夜間中学に対する支援の内容にこれほどの差があるというのも事実ですので、ぜひ北九州市の取り組みを参考に支援の充実を図っていただきたいと要望しておきます。
次に、自主夜間中学校の広報についてお尋ねしますが、千代中よみかき教室の広報に対する福岡市の支援内容はどのようなものなのか、お尋ねをいたします。
○議長(川上晋平) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 広報に対する福岡市の支援につきましては、主催者からの依頼に基づき、情報プラザに案内チラシを置いているところでございます。以上です。
○議長(川上晋平) 楠正信議員。
○24番(楠 正信) 自主夜間中学を知ってもらうための広報に関しても、先ほど御紹介した北九州市では入学希望の問い合わせ先は全て教育委員会が窓口となっており、夜間中学の広報チラシの作成から配布までも教育委員会の担当となっています。文字が読めない方に情報を伝えるのは難しく、声で広報しようと、3年前、FM放送で教育委員会提供の夜間中学へのお誘いを流したそうです。直接ではなくても、学びたいと思っている方の家族や友人に幅広く情報が伝わるために取り組んでいるそうです。同じ自主夜間中学でありながら、福岡市のよみかき教室のほうは区役所も公民館も学校もチラシ設置を認めてもらえず、相変わらず設置場所は情報プラザ1カ所に限られています。現在在籍されている生徒さんたちは、ここのよみかき教室にたどり着くまで随分と遠回りをされています。
そこで、お尋ねいたしますが、学びたいと思っている方の近くまで情報が伝わるように、具体的には広報チラシを全区役所、公民館に設置できるよう配慮し、年に1回は市政だよりで、いつでも誰でも勉強できますよと自主夜間中学よみかき教室のお知らせを掲載していくべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(川上晋平) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 広報につきましては、主催者の要望をお伺いしながら、多くの市民が利用する施設へ自主夜間中学のチラシを置くことや市政だよりを含めた市の広報媒体を活用することなどにより、協力してまいりたいと考えております。以上です。
○議長(川上晋平) 楠正信議員。
○24番(楠 正信) ありがとうございます。北九州市のように教育委員会が窓口となって、千代中よみかき教室の広報を積極的に行っていただければ、広報に対する市民の方からの問い合わせなどを通して、公立夜間中学校の設置に向けたニーズ把握にもつながると思います。
そこで、夜間中学全般の問い合わせ先の窓口を教育委員会につくるべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(川上晋平) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 問い合わせの窓口をつくることにつきましては、夜間中学の設置に係るニーズ把握の手法の一つでもあることから、よみかき教室主催者の要望も伺いながら検討してまいります。以上です。
○議長(川上晋平) 楠正信議員。
○24番(楠 正信) よろしくお願いします。
先月、千代中学校の自主夜間中学よみかき教室にも訪問し、授業を拝見しました。学校に通えなかったその時間を取り戻すかのように、一生懸命勉強されている姿に心が洗われます。ここで勉強し、孫の手紙が読めるようになった70歳代の御婦人は、初めて自分に自信が持てるようになり、空が青く見えるようになりましたと語ってくれました。40歳代の形式卒業者であった壮年の方は、御自分の学校生活を少しずつ取り戻すため、仲間の皆さんに励まされながら学習を続けられています。千代中よみかき教室は、先ほど御紹介した川崎市の公立夜間中学校とほぼ同じ在籍生徒数でありながら、全てをボランティアで運営されています。私は、夜間中学における就学機会の提供のためのニーズ、社会的要請は、まさにこの教室にあらわれていると考えます。
そこで、このニーズを肌で感じていただくためにも、教育長にはぜひ千代中よみかき教室に訪問していただきたいと思いますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(川上晋平) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 自主夜間中学よみかき教室への訪問につきましては、これまで所管の部長や課長が教室を訪れており、状況は伺っておりますが、私も訪問する機会をいただけましたら、ぜひとも行かせていただきたいと考えております。以上です。
○議長(川上晋平) 楠正信議員。
○24番(楠 正信) よろしくお願いをいたします。
最後に、夜間中学校設置に向けての準備を今後どのように進めていかれるのか、教育長の決意をお伺いして、私の質問を終わります。
○議長(川上晋平) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 教育の機会の確保に関しましては、法律においても義務教育の段階における普通教育に相当する教育を十分に受けていない者の意思を十分に尊重しつつ、その年齢または国籍、その他置かれている事情にかかわりなく、その能力に応じた教育を受ける機会が確保されること、そのために、地方自治体が国と協力しつつ施策を策定し、実施する責務があることが定められているところでございます。福岡市におきましても、その責務を果たすため、自主夜間中学よみかき教室を初め、不登校児童生徒や外国人に対する支援を継続するとともに、公立夜間中学校の設置につきましては、まずは夜間中学の認知度を上げるために自主夜間中学よみかき教室に携わる方などの御意見を伺いながら広報を進めてまいります。以上です。