◆令和2年 第1回定例会 勝山 信吾 議案質疑(令和2年2月17日)

◯12番(勝山信吾)登壇 私は公明党市議団を代表して、本議会に上程されております諸議案のうち、議案第13号、福岡市国民健康保険財政調整基金条例案について質問をいたします。

前の発言者と内容が重なるところがあろうかと思いますが、大切な内容でもございますので、しっかり質問させていただきたいと思います。

まず、今回の基金の設置目的は国保財政の安定化に資するためとのことですが、基金の具体的な活用内容について御説明ください。
あわせて、基金の積立金額とその財源は何かをお尋ねいたします。

 私はこの質問を行うに当たって、平成30年度に行われた国民健康保険の制度改正の内容について少し調べてまいりました。国民健康保険事業は市町村の間で年齢構成や所得、医療費水準の差が生じており、さらに、財政規模の小さい国民健康保険の保険者である自治体が多数存在し、高額な医療費が発生すると財政が不安定になりやすいなどの財政運営上の課題がありました。このため、国は平成27年5月に成立した持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律により、国民皆保険制度が整ってから半世紀たった平成30年度に財政運営の都道府県単位化が実施され、新たに都道府県に対して財政運営の責任主体として安定的な財政運営や効率的な事業の確保など中心的な役割を担わせるという趣旨で、この制度改正を行いました。制度改正を実施するにあたり、国は国保事業に対して約3,400億円の財政支援の拡充を図ったことなどから、法定外繰入金に頼らない体制が整備できたとして、市町村における決算補?等目的の法定外繰入金については都道府県ごとに定める国民健康保険運営方針において削減、解消を図るための計画を策定しなければならないと定められております。

 そこで、お尋ねいたしますが、赤字削減・解消計画の具体的な考え方について御説明ください。

 また、福岡市における計画の期間及び削減解消額は幾らなのか、お尋ねいたします。

 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて質問させていただきます。

 

◯議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。

◯保健福祉局長(舟越伸一) 福岡市国民健康保険財政調整基金条例案についての御質問にお答えをいたします。

 まず、基金の活用内容につきましては、福岡市の国民健康保険事業における財政の安定に資するため、基金の運用により収入を確保するとともに、保険料収入が見込みを下回る場合など、財源が不足した場合に補?財源として活用することを考えております。

 次に、基金の積立額につきましては21億5,500万円余で、その財源につきましては平成30年度国民健康保険事業特別会計における決算剰余金でございます。

 次に、赤字削減・解消計画の基本的な考え方につきましては、国民健康保険は原則として納付金等の必要な経費を国や県からの公費と被保険者からの保険料で賄う社会保険制度でございます。このため、歳入を着実に確保しつつ、歳出の抑制を最大限図った上でもなお不足する財源につきましては保険料によることとしておりますが、被保険者に過度な負担とならないよう最大限配慮した計画といたしております。

 次に、計画の期間につきましては、国において目標年次とされております6年間といたしております。また、削減、解消すべき金額につきましては、法定外繰入金のうち保険料負担緩和などの決算補?等を目的とするものが赤字対象とされておりまして、平成30年度決算では約17億円でございます。以上でございます。

 

◯議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。

◯12番(勝山信吾) それでは、2問目に入ります。

 基金を設置し、基金の運用益を活用して保険料の負担を緩和することは重要なことだと思います。先ほどの答弁では、基金を段階的に取り崩すことにより被保険者に過度な負担とならないよう最大限配慮したとのことです。

 そこで、お尋ねいたしますが、1月の国民健康保険運営協議会において1人当たりの保険料を諮問し、先日、答申を受けておられましたが、赤字削減・解消計画においては1人当たりの保険料は幾ら引き上げられるのか、理由も含めてお尋ねいたします。

 福岡市は被保険者に過度な負担とならないよう、平成23年度から8年間、1人当たりの保険料を据え置き、配慮されたとのことですが、引上げ額が過度であるかの判断は難しいと思います。

 そこで、お伺いいたしますが、政令市の保険料について、前年度及び平成23年度比較はどのような状況かをお尋ねいたします。

 先ほどの答弁に歳入の確保と歳出の抑制を図ると言われていましたが、これまで保険者としてどのように取り組んでいるのか、お尋ねいたします。

 保険料の引上げは当然ながら被保険者の負担の増加につながります。近年では教育費などにかかる家計の支出が増加し、経済的に生活にゆとりがないと感じている子育て世帯が半数以上あるそうで、多子世帯に関してはなおさらのことだと思います。これらのことを考えると、特に子育て世帯に対してはできるだけ負担を少なくする配慮が必要になってくると思います。

 子育て世帯の負担を緩和することが子どもを安心して生み育てられる福岡の実現につながると考えますが、御所見をお伺いします。

 以上で2問目を終わります。

 

◯議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。

◯保健福祉局長(舟越伸一) 赤字削減・解消計画に基づく1人当たり保険料につきましては、計画期間である6年間で基金を段階的に全額取り崩すことにより保険料負担の抑制を最大限図った上でなお不足する財源につきましては保険料によることとし、医療分と支援分の1人当たり保険料を2,000円引き上げるものでございます。

 次に、政令市の保険料の状況につきましては、20政令市の平均で令和元年度の1人当たりの保険料は前年度比で2,149円増加し、平成23年度比では5,631円の増加となっております。

 次に、保険者としての取組につきましては、保険者努力支援制度等による国費の着実な確保やさらなる収納対策による保険料収入など、歳入の確保を図っております。また、ジェネリック医薬品の普及促進やレセプト点検などによる医療費の適正化を図るとともに、特定健診や特定保健指導による生活習慣病の発症予防や重症化予防など、歳出の抑制に最大限努めております。

 次に、子育て世帯の保険料負担の緩和につきましては、令和3年度から新たに多子世帯を対象に保険料の減免を実施することとし、令和2年度に制度設計やシステム改修を行うことといたしております。以上でございます。

 

◯議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。

◯12番(勝山信吾) 子育て世帯に対する保険料負担の緩和については、令和3年度から新たに多子世帯の保険料減免実施に向けて新年度に制度設計を行うと答弁をいただきました。保険料の負担軽減が子育て世帯に幅広く届けられるように、まずは制度設計をしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 国民健康保険事業は原則として納付金等の必要な経費を国や県からの公費と被保険者からの保険料で賄う社会保険制度であるとの答弁でした。原則どおりに保険料を賦課すると、被保険者の負担がさらに増加することになります。このため、今回基金を設置することで新たに運用益という財源を確保することや基金の取崩しによる年度間の財源調整を行うことは、国保財政の安定化を図るためには必要なことだと思います。しかしながら、原則を踏まえつつも、高齢化や医療の高度化により医療費の増加は避けることができない課題になってくると思います。そういう課題を抱える中、今後さらに大切になってくるのが健康寿命を延ばす取組だと思います。そのためにも関係団体との連携を強化し、生活習慣病の予防や重症化予防は重要であり、効果的な保健事業の実施など、医療費の増加抑制に積極的に取り組んでいただきたいと思います。

 国保は会社を退職した方が多く加入されています。65歳から74歳までの約8割が国保に加入しているとのことです。この状況を踏まえると、健康寿命を延ばすためには、国保だけが努力しても限られた効果しか得ることができないのではないかと思います。国保に加入する前の段階から健康づくり、生活習慣の改善に努めてもらい、歳出抑制に取り組まなければなりません。そのためには今後さらにオール福岡で一丸となった取組を進める必要があると思います。国民健康保険事業は日本が世界に誇る国民皆保険制度の最後のセーフティネットとしての重要な役割を果たしております。今後も持続可能なものとして円滑に国民健康保険制度が運営されるよう、本市としても歳入の確保と歳出の抑制に明確な目標を定め、被保険者の負担の緩和に取り組んでいただきたいと思います。

 最後に、髙島市長の御所見をお伺いして、私の質問を終わります。

◯議長(阿部真之助) 髙島市長。

◯市長(髙島宗一郎) 国民健康保険につきましては、国民皆保険制度を支えるセーフティネットとして国民の健康増進と福祉の向上に大きな役割を果たしているところでございますが、加入者の医療費水準が高く、所得水準が低いなど、構造的な問題を抱えており、その財政基盤は極めて脆弱なものとなっています。そのため、福岡市としましても収納対策の強化による歳入の確保や生活習慣病の発症や重症化予防などによる歳出の抑制を図り、財政健全化に努めますとともに、持続可能な制度とするため、加入者の過度な負担とならないよう最大限配慮しつつ、計画的、段階的に赤字の削減、解消に取り組むなど、健全で安定的な国民健康保険事業の財政運営に努めてまいります。以上です。

 

議員紹介

  1. つつみ 健太郎

    西 区

    つつみ 健太郎
  2. たばる 香代子

    中央区

    たばる 香代子
  3. たのかしら 知行

    博多区

    たのかしら 知行
  4. 石本 優子

    早良区

    石本 優子
  5. かつやま 信吾

    東 区

    かつやま 信吾
  6. 古川 きよふみ

    博多区

    古川 きよふみ
  7. 高木 勝利

    早良区

    高木 勝利
  8. しのはら 達也

    城南区

    しのはら 達也
  9. 尾花 康広

    東 区

    尾花 康広
  10. 松野 たかし

    南 区

    松野 たかし
  11. 山口 つよし

    東 区

    山口 つよし
  12. 大石 しゅうじ

    南 区

    大石 しゅうじ
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