◆令和元年平成30年度決算特別委員会 篠原 達也 総会質疑 (令和元年10月7日)

◯篠原委員 公明党福岡市議団を代表して、断らない相談支援の体制づくりについて、プラスチックごみと粗大ごみの削減について質問する。まず、断らない相談支援の体制づくりについてである。ひきこもりの子が50代で親が80代と、ともに高齢化する8050問題や、介護と子育てを同時に抱えて負担が過重になるダブルケア問題などが昨今注目されているが、これらの問題を解決に導くには、従来の制度を超えた柔軟な対応が必要となる。先日、複合的な課題を抱えた地域の高齢者から相談を受けた。その人は90歳近い病弱の夫人であり、50代の息子と同居している。何度か手術したが術後の体調が思わしくなく、病院に行きたいがさまざまな状況があり、どうしたらよいかわからなくなったとのことであった。また、息子に対しては、生活自立支援センターへ一緒に相談に行こうと伝えると、まだ大丈夫だから結構だと断られてしまったとのことであった。夫人は耳が遠く、スムーズに会話できないようであり、大変つらい状況を息子に伝えづらそうであった。このままでは本人の命にかかわると思い、生活自立支援センターに相談したところ、いきいきセンターにつないでもらい、次の日には訪問してもらった。その後も寄り添いながらの支援が続けられている。しかし、多くの人の支援には、まだまだ課題が山積している。国は、子どものひきこもりが長期化し、親も介護や貧困を抱えて行き詰まるなど、生活上の複合的な課題に対応する断らない相談支援を2020年度から強化することを打ち出している。今後は役所内でたらい回しにしない体制を整え、対応する相談窓口を置く市町村をふやすとのことである。断らない相談支援とは、異なる福祉分野の課題を一度に抱えたケースを包括的に受けとめる仕組みのことである。厚生労働省は一部の市町村において、モデル的な取り組みを推進している。この事業を通して、複合的な課題に関する相談状況の把握を行っていると聞いているが、概要を尋ねる。

◯保健福祉局長 厚生労働省は、地域における複合化、複雑化した課題に対応するため、制度ごとの相談支援機関を総合的にコーディネートする推進員を市町村に配置するなどのモデル事業を進めている。公表されている平成30年10月末時点のモデル事業の実績によると、支援対象である相談者のうち、課題が2つ以上複合していた人が60%、3つ以上複合していた人が34%であり、多くの人が複合的な課題を抱えている。また、主な課題は経済的困窮、障がい、家族関係などである。

◯篠原委員 本市では相談者のさまざまな課題に対応するため、高齢者については地域包括支援センター、障がい者については区障がい者基幹相談支援センター、生活困窮者については生活自立支援センターでそれぞれの相談に応じている。まず、高齢者の相談窓口であり、いきいきセンターの愛称で親しまれている地域包括支援センターの概要を尋ねる。

◯保健福祉局長 おおむね中学校区単位となる市内57カ所に設置しており、各センターには保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーが常駐している。高齢者やその家族、地域の人などから健康、福祉、介護などに関する相談を受け、訪問調査によりどのような支援が必要かを把握した上で、介護サービスに関する支援のほか、消費者被害や高齢者の虐待等の権利擁護に関する支援などを医療、福祉、介護の専門機関と連携しながら行っている。

◯篠原委員 同センターの過去3年間の相談件数及び主な相談内容、事業費の決算額を尋ねる。

◯保健福祉局長 延べ相談件数は平成28年度が14万549件、29年度が15万8,451件、30年度が16万846件であり、主な相談内容は介護保険に関すること、健康管理や認知症など保健に関すること、医療機関の紹介や治療状況の共有など医療に関することなどである。決算額は平成28年度が12億3,342万円余、29年度が12億4,363万円余、30年度が12億8,369万円余である。

◯篠原委員 相談件数は年々ふえ続けており、支援体制の充実が必要である。地域の身近な相談相手として必要な支援を行う存在が民生委員であるが、同センターと民生委員との連携について尋ねる。

◯保健福祉局長 地域での会議の場や日々の相談の中で、民生委員から、地域で気になっている高齢者に関する話を聞いて情報共有を行うなど、連携を密にとり、必要に応じて同行訪問を行うなどの支援を実施している。

◯篠原委員 十分な連携を求めておく。次に、区障がい者基幹相談支援センターの概要を尋ねる。

◯保健福祉局長 市内14カ所に設置しており、障がい児・者やその保護者、介護者などから寄せられるさまざまな相談に対応している。1カ所当たり4人または5人の相談支援専門員を配置しており、障がい福祉サービスに関する情報提供や利用の調整及び申請の援助のほか、相談支援事業所に対する専門的な指導、助言、人材育成などを行っている。

◯篠原委員 平成29年度に開設された同センターの過去2年間の相談件数及び主な相談内容、事業費の決算額を尋ねる。

◯保健福祉局長 延べ相談件数は平成29年度が6万6件、30年度が7万7,419件であり、主な相談内容は障がい福祉サービスの利用に関すること、健康、医療に関すること、不安の解消に関することなどである。決算額は平成29年度が4億9,740万円余、30年度が4億9,731万円である。

◯篠原委員 同センターの相談件数もふえており、支援体制の充実を求めておく。次に、ひきこもりなどによって生活困窮のおそれがある場合の相談窓口の制度として自立相談支援機関がある。本市の生活自立支援センターの概要を尋ねる。

◯保健福祉局長 平成27年4月に天神のエルガーラオフィス棟7階に設置し、社会福祉士や精神保健福祉士、キャリアコンサルタントなどの資格を有する相談支援員や就労支援員、求人開拓員など職員18人を配置している。現に生活に困窮している人やひきこもり等で困窮するおそれのある人から生活費や仕事に関する相談を受け、家計の見直しや就労支援などを行い、複合的な課題を抱えた人については他の機関とも連携しながら、一人一人の課題に応じた支援を行っている。

◯篠原委員 同センターの過去3年間の相談件数及び主な相談内容、事業費の決算額を尋ねる。

◯保健福祉局長 延べ相談件数は平成28年度が1,304件、29年度が1,589件、30年度が2,030件であり、主な相談内容は収入、生活費に関すること、家賃や住宅ローンを含む住まい全般に関すること、仕事、就職に関することなどである。決算額は平成28年度が1億518万円余、29年度が1億1,055万円余、30年度が1億1,029万円余である。

◯篠原委員 同センターの相談件数もふえ続けており、支援体制の充実を求めておく。それぞれのセンターで受けた相談内容が複合的であり、他のセンターの業務にまたがる場合、どのような情報共有及び連携が図られているか。

◯保健福祉局長 各相談窓口における相談内容が他の相談機関に関係する場合には、相談者の意向を踏まえ、関係制度や窓口の情報提供、つなぎの支援などを行っている。また、内容が複合化、複雑化した相談については、相談者の了承のもと、関係機関との調整会議を開催するなど、課題の解決に向けて連携した取り組みを行っている。

◯篠原委員 内閣府がことし発表した初の全国調査によると、40~64歳の中高年層のひきこもりが推計61万3,000人に上っている。ひきこもりが長期化し、親も子も高齢になることで、生活上の困難や親なき後の子どもの将来も案じられる。本市における中高年層のひきこもりの状況をどのように把握しているか。

◯保健福祉局長 精神保健福祉センターにおいて、平成30年10月に地域包括支援センターを対象としたアンケート調査を実施した。その結果、同センターの約4割が、かかわっている高齢者世帯に同居のひきこもり者がいると回答している。また、現在、民生委員・児童委員を対象としたアンケート調査を実施しており、今年度末を目途に結果をまとめることとしている。

◯篠原委員 以前、ある相談者が、30歳までひきこもり、1度働いてみたが長く続かず、またひきこもるようになったと語っていた。不登校や家族との確執、長時間労働によるうつ病の発症など、ひきこもりの原因は1つだけではなく、複合的である。ひきこもり状態にある人の相談から支援までの流れを尋ねる。

◯保健福祉局長 精神保健福祉センター内にひきこもり成年地域支援センターを設置し、電話や面接による相談を行っている。多くの場合、最初に家族から電話相談を受け、家族に来所してもらい、面接相談を重ねる中で本人の来所を促している。本人が来所した場合は個別面接を行い、本人の意向や状況を把握した上で、その人に応じた社会参加を目指してグループ活動の支援等を行っている。

◯篠原委員 ひきこもり状態にある人やその家族には、それぞれ異なるいきさつや事情があると思われるため、正確な実態把握が重要になる。兵庫県伊丹市では、支援を途切れさせないため、電話をかけ自宅を訪問するなど、積極的にかかわるアウトリーチ型の支援員制度を導入している。家族の協力を得て自宅を訪問し、ひきこもりの本人と話ができる関係を築こうとドア越しでの会話を続け、精神的にへこむこともあるが粘り強く手紙を書き、その人の興味や関心に合った支援メニューのチラシをつくって持っていき、健康状況が心配な場合には医師や精神保健福祉士とともに訪れるなど、着実に一歩前進するための工夫を重ねている。過去の例を踏まえると、本人と会えるようになれば、その後時間はかかるが、何らかの継続支援につながる確率が高いため、アウトリーチ支援員の役割に期待しているとのことであった。さまざまな課題や生きづらさを抱えたひきこもり状態にある人に対し、本市ではどのような支援を行っているか。また、アウトリーチ型の支援に力を入れるべきと考えるが、所見を尋ねる。

◯保健福祉局長 精神保健福祉センターではひきこもりの電話相談のほか、専門医師による面接相談や家族の負担を軽減するための家族教室を開催しており、個別の支援においては、まず家族を支援し、次に本人を支援するなど段階的に行っている。アウトリーチについては、本人の状況や家族の要望を踏まえ、ひきこもり成年地域支援センターの相談支援員が訪問支援を行い、時間をかけて本人に来所を促している。本人が来所した後は、安心して過ごせる居場所の提供やグループ活動の支援などを通じて、その人に応じた社会参加を目指している。また、今年度は新たに、地域でのネットワークづくりを行う地域支援員を配置し、ひきこもり支援機関との連携強化を図っている。

◯篠原委員 生活困窮者自立支援法では、自立支援事業として家計の改善を助言する事業や、ひきこもり状態にある人たちが社会復帰するための就労準備など、多くのメニューが用意されているようだが、詳細を尋ねる。

◯保健福祉局長 同法に基づき、生活困窮者からのさまざまな相談に応じて包括的な支援を行う自立相談支援事業の中で、必要に応じ、家計に関する課題の整理などの助言を行っている。また、就労を希望する人で、長期のひきこもりなどにより直ちに就労することが難しい場合については、清掃ボランティアや農業体験などに参加する就労準備支援事業を案内している。さらに、一般就労に向けた支援として、客室清掃や店舗内作業などの支援つき就労の場を提供する認定就労訓練事業の利用を促している。そのほか、離職により住居を失うおそれのある人などに対して、家賃相当額を一定期間支給する住居確保給付金事業などを行っている。

◯篠原委員 本市でもさまざまな取り組みを行っているようだが、生活困窮者の多様な悩みを1つの相談窓口で受ける先進事例を紹介する。神奈川県座間市では、2015年度から「生活でお困りの方へ『自立サポート相談』~断らない相談支援」を掲げ、全ての相談について断らずに丸ごと対応する窓口を生活援護課に設けている。相談者の困り事を丁寧に引き出すことを第一にしているため、対応に1人当たり3時間かかることもあるとのことである。また、行政の対応だけで限界がある場合には、地域のNPOの力もかりている。担当者によると、当初は納税に関する相談に訪れた60代後半の高齢者から、生活援護課が対応して話を聞く中で、長期間ひきこもり状態にある息子がいることを初めて打ち明けられ、その結果、支援の手が入り、息子が就職準備のための施設に通えるようになったケースもあったとのことである。断らずに解決策を探す中で、庁内連携や地域との協力を深め、支援の内容をふやすことができた、また、役所は敷居が高いと感じていた人が直接相談に訪れる事例がふえており、昨年は437件の相談を受けたとのことである。具体的には、複数の窓口にまたがる悩みを抱える市民を包括的に支援するため、つなぐシートを活用している。シートの導入により相談者の悩みをすくい上げ、適切な窓口に案内したり、情報共有により部局間のたらい回しを防止できたりするそうである。A4サイズで3枚のシートに、最初に相談を受けた窓口職員が日付と自分の所属、氏名を記入し、個人情報の取り扱いについて同意を求めた上で、相談者の氏名、住所、家族構成などを記載していく。また、相談内容として、病気や健康、障がい、収入・生活費、ひきこもり・不登校など15項目のうち、該当する項目に丸をつけていく。職員がみずからの担当業務だけでなく、全体的な状況を聞き取り、記録するのがポイントである。相談内容が多岐にわたる際などには、相談者を関連部署へ案内する場合でも、つなぐシートを引き継ぐことで、同じ内容を繰り返し説明する負担が軽減できる。また、生活困窮者が相談したい内容を整理し、適した窓口を訪れることが困難なケースが目立っており、さらに、職員側にも縦割りの意識があり、全庁的に取り組むことでたらい回しを改善したいとのことである。すばらしい取り組みであり、本市でもシートを導入されたいが、所見を尋ねる。

◯保健福祉局長 各相談窓口において、複合化した課題についての連携が必要な場合には、本人の同意のもと、関係機関が相談内容の記録を持ち寄り、支援のための調整会議を開催した上で、課題の内容に応じた支援の方向性を決定するとともに、関係機関で役割を分担しながら包括的に支援を行っている。つなぐシートの活用も含めた情報共有、連携強化のあり方については、他都市の事例も参考にしながら調査、検討を行っていく。

◯篠原委員 全庁でつなぐシートを活用できるよう検討を強く要望しておく。座間市がこのような取り組みを行った背景として、相談内容が早くわかっていれば深刻化せずに済んだケースが過去にあったとのことである。断らない相談支援という言葉には、諦めずに何でも相談してもらいたいという強いメッセージが込められている。複合化、複雑化した課題や時間の経過とともに変化する課題に対応するためには、つながり寄り添い続ける伴走型の支援も重要となる。相談者に寄り添いつつ、浮かび上がった課題を関係機関が共有し、連携を深めることで、住まいの確保から就労、自立まで支え続けることも可能になる。本市も伴走型の支援体制を構築すべきと考えるが、所見を尋ねる。

◯保健福祉局長 さまざまな課題を抱えた相談者に当初から課題の全てを話してもらえない場合もあるため、継続的に面接相談等を重ねながら信頼関係を築きつつ、相談者の実情に即した支援を行うことが重要と考えている。このため、既存の相談窓口においても、さまざまな機関との連携を図りつつ、相談者に寄り添った支援を心がけている。複合化、複雑化した課題などにおける伴走型の支援を国が重視していることは承知しており、本市としても引き続き、よりよい支援のあり方を検討していく。

◯篠原委員 厚生労働省は関係機関との連携を促すため、各関係者への働きかけや連携を支援するコーディネーターの市町村への配置を進めようとしている。2019年度予算では、断らない相談支援を推進するための補助金を200市町村分確保したようであるが、補助金の活用を含め、本市の取り組み状況を尋ねる。

◯保健福祉局長 いわゆる断らない相談支援のあり方については、厚生労働省の地域共生社会推進検討会の中間とりまとめにおいて、今後引き続き、圏域や人員配置等のあり方などを検討していくこととされており、動向を注視している。本市の取り組み状況として、補助金の活用は行っていないが、複合化した課題に関する相談については、生活自立支援センターや地域包括支援センター、区障がい者基幹相談支援センターなどさまざまな相談機関が連携して対応しており、研修や事例検討などを通して支援能力の向上を図っている。

◯篠原委員 厚生労働省は2020年度予算の概算要求で、今年度の倍に当たる約60億円、250市町村分まで補助金を増額し、関連事業費を計上する方向で調整している。断らない相談支援は公明党が主張してきたものであり、ことしの6月に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針2019(骨太方針2019)において、断らない相談支援の輪を広げることが明記されている。本市においても断らない相談支援の体制構築をしっかり進められたいが、所見を尋ねる。

◯保健福祉局長 持続可能な社会の構築に向け、子ども、高齢者、障がい者など全ての人が地域、暮らし、生きがいをともにつくり、高め合うことができる地域共生社会の実現を図ることが重要であり、包括的な支援体制の構築は、実現に向けた取り組みの柱であると考えている。現在、次期保健福祉総合計画の策定に着手し、地域共生社会の実現に向けた取り組みを計画策定における主要なテーマの一つとして掲げており、保健福祉審議会の意見等も踏まえながら、本市における包括的な支援体制について検討していきたい。

◯篠原委員 国は、これまでモデル的に推進してきた市町村の断らない相談支援で明らかになった、既存の制度ではカバーできない就労、居住支援などのニーズへの対応も含め、関連する予算を確保している。また、継続した支援ができるよう、社会福祉協議会やNPO、企業や商店街など地域のさまざまな関係者に参加を促す仕組みをつくろうとしている。さまざまな悩みを抱えて困窮する人たちを支えるためには、福祉や介護、子育てといった行政の縦割りを超えた総合的な支援が重要である。断らないをモットーに掲げて総合的な相談支援に当たられたいが、市長の決意を尋ねる。

◯市長 超少子高齢社会を迎え、ひとり暮らしの高齢者や共働きの核家族が増加するなど、社会環境が大きく変化する中、介護、障がい、子育て、生活困窮など複数の課題を同時に抱える人も多くなっており、複合化、複雑化した課題に対応する断らない相談支援などの包括的な支援の重要性が高まっている。このような社会情勢を踏まえ、本市では地域包括支援センターや区障がい者基幹相談支援センターなどの相談支援体制の充実を図るとともに、人生100年時代を見据えた持続可能な社会の実現を目指す福岡100の推進や、見守り、支え合う共創の地域づくりを通した多様な地域活動の普及、促進を図ってきた。こうした総合的、包括的な取り組みを生かし、高齢者や障がい者、さまざまな課題を抱えた人など、全ての人が安心して住み続けられる地域共生社会の実現をしっかりと目指していく。

◯篠原委員 次に、プラスチックごみと粗大ごみの削減について質問する。まず、プラスチックごみの削減についてだが、日本ではリサイクルされたり、焼却されたり、埋められたり、地域ごとに処理方法が決められている。しかし、ルールが守られずにそのまま捨てられたり、ルールを守っていてもきちんと回収されなかったりしている。そのごみは雨風によって排水溝や川に落ち、海へ流れ着き、海洋プラスチックごみになる。これが国際的な社会問題になっている。日本のごみ処理における焼却率は圧倒的に高く、世界的に見ても焼却大国である。平成28年度に国内で排出された一般廃棄物の量は約4,289万トンであり、およそ東京ドーム115杯分である。生活系のごみが全体の約70%を占めており、また、プラスチックごみは約80%が焼却され、再生利用率はわずか23%である。焼却技術は世界トップクラスであるが、最終的にはかすが出てしまい、土に埋めて最終処理を行っている。環境省は、あと20年で全国のごみ埋立場が満杯になると発表した。本市における過去3年間のごみ処理量及びそのうちのプラスチックごみ処理量並びにごみ処理全体に係る決算額を尋ねる。

◯環境局長 ごみ処理量は平成28年度が57万94トン、29年度が57万3,103トン、30年度が57万6,620トンであり、そのうちプラスチックごみ処理量は、組成調査から推計すると平成28年度が約10万3,000トン、29年度が約10万8,000トン、30年度が約11万6,000トンとなる。ごみ処理全体に係る決算額は平成28年度が約187億円、29年度が約185億1,000万円、30年度が約211億1,000万円である。

◯篠原委員 家庭で長期間使われたプラスチック製の洗濯ばさみ、バケツやカバーなどが砕けてぼろぼろになり、ごみとして放置されているのをよく見かける。プラスチックは小さなかけらになっても自然分解されにくく、長期にわたり海に残存する。また、細かくなるほど回収が困難になるため、早期に回収する必要がある。海洋生物の体にプラスチックごみが絡まったり、餌と間違えて食べたりして命を奪ってしまうことは深刻な問題である。プラスチックごみが及ぼす悪影響について、認識を尋ねる。

◯環境局長 プラスチックごみの海への流出による生態系や生活環境、漁業、観光等への悪影響が懸念されている。特に、5ミリメートル以下のプラスチック、いわゆるマイクロプラスチックは微細なため、流出すると回収は困難であり、また、マイクロプラスチックが含有、吸着する化学物質が食物連鎖に取り込まれることによる生態系への影響が懸念されている。

◯篠原委員 今、深刻になっている海洋汚染は日本にも原因がある。日本は使い捨てプラスチックごみの量が世界で2番目に多い国と言われている。過去50年間でプラスチックの使用量は約20倍となっており、いまだにふえ続けている。鼻にプラスチックストローが突き刺さる被害に遭ったウミガメの衝撃的な画像を見た人もいると思う。海洋生物への悪影響は92%がプラスチックごみによるものだそうである。プラスチックごみによる海洋汚染が地球規模での問題となっており、日本においても本年5月に、プラスチックの資源循環を総合的に推進するための方向性を取りまとめたプラスチック資源循環戦略及び海洋プラスチックごみ対策に係る具体的な対策を取りまとめた海洋プラスチックごみ対策アクションプランが示された。その中で、生活に密接な関係がある4R、リフューズ(断る)、リデュース(少なくする)、リユース(再利用)、リサイクル(再生利用)について、どのような取り組みが必要とされているか。

◯環境局長 プラスチック資源循環戦略においては、レジ袋やストロー、スプーンなどのプラスチック製の容器や製品等が不必要に使用、廃棄されることがないよう、消費者のライフスタイルの変革に関する国民的理解を醸成すること、紙やバイオマスプラスチックといった化石燃料由来のプラスチックの代替となる素材の開発や利用を促進すること、リユース容器や製品の利用促進、普及啓発を図ること、資源化のために必要な分別回収、リサイクル等が徹底されるよう推進することなどが必要とされている。

◯篠原委員 ストローはほかのプラスチックごみに比べ、削減しやすいものではないだろうか。大抵の人はストローがなくても済ませることができる。つまり、使わなければ発生するプラスチックごみの量は減る。ごみ全体に占めるストローの割合は氷山の一角程度かもしれないが、身近でまず廃止しやすいものであり、解決する価値のある問題ではないだろうか。ストロー廃止運動はアメリカ企業が率先しているが、日本企業もそれに続いている。アメリカのコーヒーチェーン店であるスターバックスは、2020年までに使い捨てプラスチックストローの使用を全店で段階的に廃止すると発表した。これに続くように、他のチェーン店もプラスチックストローを廃止し、紙ストローを導入することを発表している。このようなストロー廃止や紙ストローへの変更という民間の動きも含め、プラスチックごみの削減に向けて、本市としても歩調を合わせるべきと考えるが、所見を尋ねる。

◯環境局長 現在、民間事業者においては、ストローを初めとしたプラスチック製品等の代替素材の技術開発が進められており、再生材や再生可能資源への積極的な切りかえが始まっている状況である。使い捨てプラスチックの削減のためには、このような民間事業者の主体的な取り組みに加え、市民一人一人がプラスチックの使用そのものを減らしたライフスタイルへの変革が必要であり、そのための教育、啓発の推進を図ることが重要と考えている。環境局としては、これまで行ってきた3Rによるごみ減量の取り組みに加え、今後はストローなどごみとなってしまう不必要なものを断るリフューズへの理解と認知度を高めるための普及啓発を強化していきたい。

◯篠原委員 リフューズの普及啓発を求めておく。小中学校の給食では、プラスチックストローを年間何日、合計で何本使用しているか。

◯教育長 年間約190日の給食において、牛乳を飲む際にプラスチックストローを使用しており、平成30年度の使用本数は約2,233万本である。

◯篠原委員 使用したストローはどのように処分しているか。

◯教育長 給食終了後に教室ごとに回収し、学校でまとめて一般ごみとして出している。一般ごみは収集運搬業者が収集し、焼却処分している。

◯篠原委員 全て回収され、きちんと焼却処分されていれば、海洋汚染の懸念などはないと思うが、ストローを含めたプラスチックごみ等の廃棄物の処理について、学校では子どもたちにどのような教育を行っているか。

◯教育長 小学4年生の社会科「ごみの始末と活用」において、家庭や学校などから出されるごみ処理の仕方やごみを減らすための取り組みを学習している。また、小学5年生の家庭科「環境に配慮した生活」において、ごみは地域の決まりに従って分別して出すことにより、資源として再使用、再利用できるようになることを学習している。さらに、中学2年生の保健体育科「健康と環境」において、ごみなどの廃棄物はその種類に則して自然環境を汚染しないように衛生的に処理しなければならないことや、ごみの減量や分別など個人の取り組みが自然環境の汚染を防ぎ、廃棄物の衛生的な管理につながることを学習している。

◯環境局長 学校教育における環境学習の支援として、全ての小学4年生を対象に、本市のごみ処理の仕組みやごみ減量の取り組みについて解説した社会科副読本を作成、配付するとともに、実際に学校に出向き、講義とあわせて分別作業やごみ収集の実演なども行っている。また、プラスチックごみの地球環境への影響についても、原因が身近にあることや何が問題となっているかを伝え、自分のこととして考え、取り組むことができるようわかりやすく説明を行っている。

◯篠原委員 環境教育の一環としても、給食用の牛乳パックからプラスチックストローをなくすことは意味があると思う。例えば、パックから直接飲む方法やマイコップを持参する方法、紙ストローを使う方法もあると思うがどうか。

◯教育長 給食用の牛乳パックはストローを使って飲むことを想定しており、パックをあけることやこぼさずに飲むことが難しい児童生徒が多くいると学校から聞いている。また、コップを家庭から持参することは、毎日の持ち帰りや使用後の洗浄が必要であり、家庭や学校の負担が大きく、さらに、紙ストローなどは値段が高く、現状ではプラスチックストローから代用可能なものがないなどの課題がある。

◯篠原委員 今すぐプラスチックストローをなくすことは難しいことがわかったが、多少の負担や課題があったとしても、プラスチックごみの地球環境への影響を子どもたちに理解させるためには、この負担や課題が逆にプラスチックストローの廃止について考えていくよい機会になると思う。今後、プラスチックごみの影響についてしっかり教育されたいが、所見を尋ねる。

◯教育長 プラスチックごみを含むごみ問題については、持続可能な社会の構築などの視点から環境にできるだけ負担をかけないよう、子どもたちには物を長く大切に活用したり、無駄なく使い切ったり、使い終わった物を他の用途に再利用したりすることを理解させることが重要と考えている。今後も環境局と連携しながら、プラスチックごみが自分の生活や地球環境に及ぼす影響を理解させる学習を行っていく。

◯篠原委員 次に、粗大ごみの削減についてだが、過去3年間の家庭ごみの処理量及び決算額を尋ねる。

◯環境局長 家庭ごみの処理量は平成28年度が28万5,328トン、29年度が28万5,975トン、30年度が28万7,873トンである。決算額は、ごみ処理全体に係る決算額を家庭ごみの処理量で案分すると平成28年度が約135億1,000万円、29年度が約134億2,000万円、30年度が約147億4,000万円となる。

◯篠原委員 この3年間、ほぼ横ばいで推移している。家庭ごみのうち、粗大ごみの過去3年間の処理量及び決算額を尋ねる。

◯環境局長 粗大ごみの処理量は平成28年度が4,496トン、29年度が4,772トン、30年度が5,608トンである。決算額は、ごみ処理全体に係る決算額を粗大ごみの処理量で案分すると平成28年度が約7億8,000万円、29年度が約8億1,000万円、30年度が約8億5,000万円となる。

◯篠原委員 粗大ごみのほうは徐々にふえている。粗大ごみの上位5品目及び受け付け個数を尋ねる。

◯環境局長 平成30年度は1位が椅子で6万2,167個、2位が布団で2万668個、3位が自転車で1万9,762個、4位がベッドで1万8,667個、5位がテーブルで1万8,564個である。

◯篠原委員 家庭ごみ全体の処理量がほぼ横ばいの中、粗大ごみの処理量がふえている理由を尋ねる。

◯環境局長 世帯数の増加のほか、電化製品などの耐久消費財の買いかえの増加、生前整理や引っ越しに伴う家具等の搬出の増加などが理由だと考えている。特に、平成30年度から今年度にかけては、消費税増税前の駆け込み需要などが一因になっていると考えている。

◯篠原委員 粗大ごみの収集方法は、燃えるごみや燃えないごみの収集方法とどのように違うのか。

◯環境局長 燃えるごみなどの定期収集ごみの搬出については、特に申し込みは不要であり、決まった日に指定ごみ袋で出せば夜間収集される。粗大ごみの搬出については、粗大ごみ受付センターへの事前の申し込みが必要であり、申し込みの際にごみを出す日や処理手数料を確認している。なお、収集は昼間に行っている。

◯篠原委員 粗大ごみの搬出の申し込みはどのように行うのか。

◯環境局長 大きく分けて電話による申し込みとインターネットによる申し込みがある。電話については月~土曜日の朝9時~夕方5時、オペレーターが対応している。インターネットについては原則24時間、365日、専用ホームページにおいて必要事項を入力の上、申し込むことになっている。なお、本市では市民サービスの向上と行政事務の効率化を図るため、平成30年9月19日から無料通信アプリのLINEからも申し込みができる実証実験を開始し、令和元年5月から本格実施している。

◯篠原委員 LINEによる申し込みはどのように行うのか。

◯環境局長 LINEの粗大ごみ受付システムではAIを使用しているため、品目や住所など、LINEから質問される内容に対話形式で答えることで、簡単、迅速に申し込みが完了する。また、令和元年7月1日からは利用者のさらなる利便性の向上を図るため、LINEによる申し込みの後、そのままLINEペイで処理手数料を支払うことができる実証実験を中央区で行っている。

◯篠原委員 電話、インターネット、LINEによる受け付け件数の全体に占める割合について、5年前と直近の数値を尋ねる。

◯環境局長 いずれも8月末時点で、5年前の平成26年度は電話が85.4%、インターネットが14.6%、今年度は電話が63.2%、インターネットが16.2%、LINEが20.6%であり、LINEによる受け付けを開始したことで、電話による受け付けの割合が減少している。

◯篠原委員 インターネットやLINEの普及により、近年、粗大ごみの搬出の申し込みに係る市民の利便性は非常に向上している一方、申し込んだ時点でごみとなってしまうため、一工夫が必要である。リユースを促進し、粗大ごみを削減するためには、申し込む前にリユースに関する具体的な情報を申し込み者に伝えることが有効と考える。先日、視察調査を行った東京都墨田区では、不用となった自転車が区民から有価物として持ち込まれたら、廃棄物手数料は無料で引き取り、協力業者へ無償で引き渡している。今でも使用できる自転車をただ鉄くずとして資源化するだけではもったいない、まだ乗ることができる使わなくなった自転車を発展途上国の人たちに使ってもらいたいと、ごみ減量の取り組みにつなげていた。本市において粗大ごみの上位5品目に含まれている自転車について、粗大ごみの中にリユースできるものも多く含まれているのではないか。そこで提案だが、特にLINEで搬出を申し込む市民はスマートフォンを使いこなしており、例えばフリーマーケットアプリなども抵抗なく使えるのではないかと思われる。LINEによる申し込みの初期画面で、できるだけ詳細なリユースに関する情報を提供してはどうか。

◯環境局長 粗大ごみとして捨てるのではなく、受け付ける前に、何度も繰り返し使うリユースへと誘導していく仕組みをつくることは、粗大ごみを減らす上で有効な方法と考える。今後、LINEを使ったリユースへの誘導を初め、市民への効果的な広報や啓発について検討していく。

◯篠原委員 プラスチックごみと粗大ごみの削減について尋ねてきたが、国において本年5月にプラスチック資源循環戦略が策定され、食品ロスの削減の推進に関する法律が成立するなど、今後の取り組みの方向性が示された。また、本年6月に開催されたG20においても、海洋プラスチックごみ問題の解決に向けた具体的な取り組みが紹介され、各国が自主的な対策を実施し、その取り組みを継続的に報告、共有する実効性のある新しい枠組みであるG20海洋プラスチックごみ対策実施枠組が合意されるなど、環境行政を取り巻く状況が大きく変化している。さらに、スマートフォンの普及によるSNSの利用増加やフリーマーケットアプリの市場規模の拡大などによるリユース行動の多様化など、市民のライフスタイルの変化、ICTの発達などを踏まえることが必要である。今後のごみ減量の推進に向けての市長の決意を尋ね、質問を終える。

◯市長 本市においては、元気が持続する循環のまち・ふくおかを実現するため、市民、事業者の主体的、自発的な取り組みを行政が支援することにより、福岡式循環型社会システムの構築を推進している。市政アンケートによると、市民のごみ減量・リサイクルへの関心度は高い水準で維持され、3Rの認知度は向上しているが、環境行政を取り巻く状況や市民のライフスタイルが変化してきていることから、ICTなどを活用してさまざまな社会課題の解決に取り組むことや、3Rに加え4つ目のRであるリフューズの取り組みなど、市民の実践行動を呼び起こす施策の推進が重要と考えている。今後とも市民、事業者、学校などと互いに連携しながら、ごみ減量の推進に向けてしっかり取り組んでいく。

 

議員紹介

  1. つつみ 健太郎

    西 区

    つつみ 健太郎
  2. たばる 香代子

    中央区

    たばる 香代子
  3. たのかしら 知行

    博多区

    たのかしら 知行
  4. 石本 優子

    早良区

    石本 優子
  5. かつやま 信吾

    東 区

    かつやま 信吾
  6. 古川 きよふみ

    博多区

    古川 きよふみ
  7. 高木 勝利

    早良区

    高木 勝利
  8. しのはら 達也

    城南区

    しのはら 達也
  9. 尾花 康広

    東 区

    尾花 康広
  10. 松野 たかし

    南 区

    松野 たかし
  11. 山口 つよし

    東 区

    山口 つよし
  12. 大石 しゅうじ

    南 区

    大石 しゅうじ
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