◯大坪委員 公明党福岡市議団を代表して、不妊、不育治療への啓発について、特定健診とがん検診受診率、予防接種率向上について質問する。初めに、不妊、不育治療への啓発についてである。昨年の9月議会において、不育症の周知や患者支援の推進について質問したが、実態を調査し、安心して子どもを生み育てられる都市の実現に向け、子ども施策を推進するとの答弁を受けた。ちょうど1年が経過したので、本市における不育症の実態調査は行われたのか、どれくらいの人が不育症で悩んでいるのか尋ねる。
◯こども未来局長 不育症の実態調査については、平成31年1月に、市内の婦人科81施設に対して、検査及び治療に関する実態調査を実施した。調査結果によると、81施設のうち不育症の検査を行っているのは16施設で、治療まで行っているのは11施設であり、月当たり約30組が検査を受け、約20組が治療を受けた。
◯大坪委員 無事に赤ちゃんが誕生できるよう、少子化対策の面からも、この人たちの願いは大切にしなくてはならない。本市の出生数、合計特殊出生率、年齢別出生数、平均初婚年齢、平均初産年齢について、10年前と現状を比較して尋ねる。
◯こども未来局長 平成31年3月発行の最新の本市の保健統計年報によると、出生数については、直近の10年間は1万4,000人台で推移している。合計特殊出生率については、平成17年が1.08、27年が1.33と上昇傾向である。母の年齢別の出生数については、平成19年は多い順に、30~34歳が5,466人で39%、25~29歳が4,152人で30%、35~39歳が2,447人で18%となっており、29年は多い順に、30~34歳が5,459人で38%、35~39歳が3,560人で25%、25~29歳が3,342人で23%である。平均初婚年齢については、男性は、平成19年は30.4歳であり、29年は31.3歳、女性は、平成19年は28.9歳であり、29年は29.9歳と、ともに上昇している。平均初産年齢については、平成19年は29.9歳であり、29年は31.1歳に上昇している。
◯大坪委員 日本では、実際に不妊の検査や治療を受けたことがある、または現在受けている夫婦は約6組に1組と言われている。近年の晩婚化、晩産化を背景に、働きながら不妊治療を受ける人が増加傾向にあると考えられる。福岡市不妊専門相談センターが平成29年11月に開設されているが、平成29、30年度の決算額と相談件数、相談者の内訳、不育症の相談件数を尋ねる。
◯こども未来局長 平成29年度は、11月に開設してからの5カ月間の決算額は706万円余で、301組から延べ463件、1月当たり93件の相談を受けた。相談者の内訳は、妻1人での相談が265人で88%、夫1人での相談が19人で6%、夫婦での相談が16組で5%となっている。不育症の相談件数は7件あった。平成30年度の決算額は1,399万円余で、1,002組から延べ1,463件、1月当たり122件の相談を受けた。相談者の内訳は、妻1人での相談が838人で84%、夫1人での相談が72人で7%、夫婦での相談が89組で9%となっている。不育症の相談件数は17件あった。
◯大坪委員 同センターは、市役所地下通路入り口からすぐに来訪しやすい場所にあり、清潔感と落ちついた雰囲気に包まれた空間だと思う。開設当初からすると、相談者がふえているのがわかる。切れ目のない子育て支援を目的に、平成29年7月に各区保健福祉センターに開設された、子育て世代包括支援センターの平成29、30年度の決算額と、不妊、不育に関しての全市での相談件数を尋ねる。
◯こども未来局長 子育て世代包括支援センター事業については、各区役所で母子健康手帳の交付などを行う母子保健相談員等の人件費や、印刷消耗品費等の事務費を計上しており、決算額は平成29年度は6,976万円余、30年度は5,975万円余となっている。不妊に関する相談件数は、平成29年度が2,535件、30年度が2,805件となっている。不育に関する相談については、専門の相談員がいる不妊専門相談センターを案内することとしている。
◯大坪委員 最寄りの子育て世代包括支援センターに相談に行く方が多いことがうかがえる。2015年の調査で、日本では20人に1人が生殖補助医療、体外受精、顕微授精、凍結胚、卵を用いた治療により誕生している。本市の不妊治療費助成事業はいつから始められたのか、これまでどのように拡充されてきたのか尋ねる。
◯こども未来局長 平成17年度から国の補助事業を活用して特定不妊治療費助成事業を開始している。当初は、夫及び妻の所得の合計金額が650万円未満の夫婦を対象に、体外受精、顕微授精に係る治療費の総額の2分の1または10万円のいずれか低い金額について、1年度当たり1回、通算5年度まで助成を行っていた。その後、国において所得制限の緩和や助成額の拡充、治療回数の見直しなどが行われたことに対応して、適宜見直しを行ってきた。平成27年度には、平成28年1月20日以降に終了した初回治療に係るものについて助成上限額を30万円に拡充し、また、特定不妊治療の一環として行った男性不妊治療について15万円を上限に助成を開始している。さらに、元年度からは、男性不妊治療の初回助成の上限額を30万円に拡充している。平成30年7月からは、本市独自に一般不妊治療費助成事業として、人工授精に係る治療費について助成を開始している。
◯大坪委員 一般不妊治療費助成事業の助成内容、助成件数及び助成金額を尋ねる。
◯こども未来局長 一般不妊治療のうち、夫婦間で行われる人工授精に係る治療費の一部を助成しており、初回の治療の開始月から1年間の自己負担額の2分の1に対して5万円を上限に助成している。平成30年度は230人に対し、合計679回の治療費について777万円余を助成した。
◯大坪委員 多くの場合は、タイミング療法や排卵誘発法から人工授精、体外受精へと進むと聞いているが、特定不妊治療費助成事業の中の助成内容、助成件数及び助成金額、また、男性不妊治療費の助成件数を尋ねる。
◯こども未来局長 夫婦間で行う体外受精、顕微授精等に係る治療費の一部を助成している。平成30年度は、1,231人に対し、延べ1,960件の治療費について3億3,381万円余を助成した。助成件数のうち男性不妊治療費の助成は11件である。
◯大坪委員 不妊は女性に原因があると思われがちであるが、男女ともに原因があると考えられている。卵子のもとになる細胞は胎児の時期につくられ、生まれたときには約200万個、思春期に約20~30万個へ減少、その後、1カ月に約1,000個が消滅してしまう。卵子は生まれる前につくられ、その後補充されることはない。働く男性、女性の4人に1人が妊活の経験があると言われており、各相談窓口では仕事をしている人にとっては相談に行きにくいのではないかと考えるが、電話やメールなどの対応もできているか尋ねる。
◯こども未来局長 各相談窓口においては、来所による相談のほか、電話やメールでの相談にも対応している。不妊専門相談センターでは、平日昼間に仕事をしている方も相談しやすいよう、水曜日と金曜日は19時まで、第2、第4土曜日は13時から17時まで開設している。
◯大坪委員 不妊専門相談センターでは、相談日の開設日や時間帯も配慮され、専門の不妊カウンセラーや医師が悩みに寄り添ったカウンセリングを行っている。不育症や不妊症ではないかと悩んでいる人は、まず検査を受けてもらうことが重要と思う。検査を受けやすくすることで早期の治療につなげることができると考えるが、本市で不妊、不育検査に対して助成事業を行っているのか尋ねる。
◯こども未来局長 不妊症、不育症の検査に対する助成は行っていないが、検査費については、一般的に実施されている検査の大部分が健康保険の適用対象となっている。
◯大坪委員 政令指定都市の中で、不妊不育検査助成事業に取り組んでいる市と主な助成内容について尋ねる。
◯こども未来局長 不妊症の検査費用については、さいたま市では、妻の年齢が検査開始時点で43歳未満である夫婦に対して、夫婦で受けた不妊検査において2万円を上限に検査費用の一部を助成している。不育症の検査費用の助成については、札幌市、さいたま市、新潟市、静岡市、浜松市、京都市及び神戸市の7市が実施している。助成内容については、助成上限額が2~24万5,000円と幅があり、所得制限や年齢制限などの対象者の要件、対象となる検査項目、助成回数などが各市で異なる。
◯大坪委員 この質問を行うきっかけとなった夫婦は、昨年の時点で不妊治療を続けていくのかどうかを大変に悩んでいた。その後も治療を続けているが、本当に苦しい状況を語った。本人の了解を得たので少し紹介する。「約5年前から不妊治療を始めて、何度も顕微授精に取り組んできましたが、残念ながら赤ちゃんを授かることはできませんでした。また9月には採卵の予定です。受精卵ができれば凍結をし、二、三カ月の間、子宮を休めたり、少しでも環境をよくするために治療して、その後、来年あたりに移植の予定です。ここまで正確に計算はしておりませんが、助成金を除いて500~600万円の自己負担がかかりました。今も、毎月、保険がきかない1万2,000円くらいの薬を飲んでいます。貯蓄もとうとう底をつき、嫁は来年で41歳、私も49歳になります。最後の挑戦との思いで臨んでいきます。一日も早く、不妊治療で悩んでいる方がお金の心配をしなくてよい社会になることを祈ります。病院に行くと、本当にたくさんの御夫婦の方がいらっしゃいます。貯金があり、病院に行ける方はまだよいかもしれません。お金がなく諦めた方もいるでしょうね。女性もですが、年齢との戦いでもあります。人を救うための治療費も、人がこの世に生まれてくるための治療費も、ともに命にかかわる費用だと思います」との切実な話を聞いた。体外受精や顕微授精などの特定不妊治療に要する医療費について尋ねる。
◯こども未来局長 厚生労働省の調査では、1回の治療で20~70万円を要するとされている。なお、本市で平成30年度に助成した特定不妊治療のうち、採卵から治療終了までの1件当たりの費用の平均は約52万円となっている。
◯大坪委員 助成額は拡充されているが、保険適用とならないので高額の負担となる。赤ちゃんを望んでいる夫婦が早い時期に授かれるような取り組み、環境づくりがとても大事だと感じている。不妊、不育治療のスタートは、検査を受けることから始まる。そのためにも、安心して治療を受けてもらえるように、本市でも不妊症、不育症の助成事業に取り組んでもらいたいと強く望むが、所見を尋ねる。
◯こども未来局長 子どもを望む夫婦に対して、若い世代からの不妊治療を支援することは重要と認識している。本市では、特定不妊治療費の助成に加え、本市独自で一般不妊治療費への助成を行い、不妊治療を受ける夫婦の経済的負担の軽減を図るとともに、不妊専門相談センターにおける不妊や不育に悩む方に寄り添ったカウンセリングや、妊娠、出産に関する正しい知識の普及啓発に努めている。不妊症や不育症の検査費用への助成については、国による検査に対する保険適用範囲の拡大等の動向や、他の政令指定都市における導入状況、費用負担の実態などを踏まえ、あり方を検討していく。
◯大坪委員 山梨県は、8月から不妊、不育症の検査の費用を上限2万円で全額助成する制度を始めた。これまでも治療助成は行っていたが、一定年齢を超えると女性の妊娠率が低下することなどから、早期治療につなげるため、男性も含めて積極的に検査を受けてほしいと、検査事業をスタートさせている。本市においても、検査助成事業について、早く実現に向けて推進するよう求める。厚生労働省が行った調査によると、仕事と不妊治療の両立ができずに、女性の16%の方が離職している。本市の不妊治療と仕事の両立についての支援事業などがあるのか尋ねる。
◯こども未来局長 不妊治療と仕事の両立についての支援については、不妊専門相談センターにおいて、平成30年3月に不妊治療と仕事の両立をテーマにした講演会を開催し、啓発を実施している。同センターでは、仕事をしている人でも相談しやすいように夜間や土曜日にも開設している。
◯大坪委員 治療を進めていくには通院が何度も必要になり、通院日を自分の都合で選択できないなど、治療と仕事の両立に支障を来すことになる。不妊治療を続けていくには、職場や周囲の人たちの理解や支援が大変重要である。しかし、一方では、治療していることを知られたくない人もいるので、不妊治療は大変にデリケートな問題であり、プライバシーの保護に配慮することや、周囲の言動には、セクシャルハラスメントになる可能性があるので注意が必要である。不妊治療を知らない人々に対して啓発活動を行い、不妊治療と職場の両立などの理解を深めていくことが必要である。不妊症、不育症に関する正しい知識の普及啓発についての本市の取り組みを尋ねる。
◯こども未来局長 不妊専門相談センターにおいて、妊娠、出産のための基礎知識や不妊治療の現状などに関する講演会を開催している。平成30年度は2回開催し、合計で約930人が来場するなど、妊娠や出産、不妊治療に関する正しい知識の普及啓発を実施している。
◯大坪委員 社会は個性を大事にする多様性の時代であり、結婚をするかどうか、子どもを生むかどうかも自由である。しかし、若い世代に対して自分の体のことや適齢期があることなどを知っもらうことは大事なことだと考える。埼玉県の健康長寿課が出しているパンフレットに、願うときにこうのとりは来ますかとのタイトルが書いてあるが、みんなに知ってもらいたい妊娠や不妊のことを漫画でわかりやすく書いてある。他都市を参考に、このようなパンフレットを作成し、中高生、大学生にも不妊啓発の推進を求めるが、所見を尋ねる。
◯こども未来局長 若い世代への不妊に関する啓発については、助産師等の専門職が小中学校や高等学校等で、正しい性知識や生命のとうとさなどについて講義するティーンエージャー教室を実施している。今後とも、若い世代に対する妊娠や出産に関する正しい知識の啓発に努める。
◯大坪委員 平成30年度は中学生や専門学校生に対して6回実施したとのことだが、少ないと感じる。学校教育の中で、さらに普及、啓発に努めてもらうため、教育委員会との連携も必要と考える。思春期は子どもが大人へと成長する大切な過程であり、子どもたちが性に関する正しい知識を身につけ、命のとうとさや家族の大切さなど、それぞれの生きていく上での重要な課題となるものである。不妊治療は、妊娠、出産まで、あるいは治療をやめる決断をするときまで続くため、いつ終わるかを明らかにするのは困難である。また、不妊治療の末に子どもを諦めた経験を持つ人たちは、子どもを授かることができなかったという癒やされることのない苦しみを抱えて生きている。今の医療は、不妊治療をやめた人たちを支える視点が不十分ではないかとも言われている。少子高齢化が進む中、子どもは未来を担っていく大切な存在である。妊娠前から出産、子育てと切れ目のない支援と、安心して生み育てられる社会、環境づくりへのさらなる支援について、所見を尋ねる。
◯荒瀬副市長 本市の合計特殊出生率は、平成17年度に最低だった1.08が、その後の10年間で1.33と上昇しており、子どもを生み育てやすい環境に対しては一定の評価を受けているところであるが、子どもを望む夫婦に対しての支援も大変重要であると考えている。近年、晩婚化などに伴い、不妊に悩んでいる夫婦は多く、本市においては平成29年11月、市役所庁舎内に不妊専門の助産師や必要に応じて対応する不妊専門医師が、相談者に寄り添ったカウンセリングを行う不妊専門相談センターを開設するとともに、不妊専門の講演会も開催し、妊娠、出産のための基礎知識から、高度生殖医療の現状に関する情報の提供を行っており、多くの市民の参加を得ている。今後は、若年層に対して性や妊娠、出産の知識を啓発するとともに、不妊、不育に対するさらなる支援については、国の動向、他都市の状況を踏まえ、引き続きしっかりと取り組み、安心して生み育てられる環境づくりを推進していきたい。
◯大坪委員 公明党は、国民の命と健康を守るため、これまでがん対策、予防医学の重要性を訴え続けて、対策強化の推進に率先して取り組んできた。日本人の平均寿命は、女性が87.32歳で、男性が81.25歳と過去最高を更新し続けている。これからの長い人生をどう生きていくかは、一人一人にとって大事なテーマだと思う。人生100年時代を平均寿命と健康寿命の差を短縮して元気に暮らしてもらうことが大切と考える。10月は福岡市健康づくり月間であるが、本市の平均寿命と健康寿命、また、その差を男性女性別で尋ねる。
◯保健福祉局長 直近の厚生労働省の調査結果である平成27年の平均寿命と28年の健康寿命では、男性は平均寿命が81.10年、健康寿命が71.04年で、その差は10.06年、女性は平均寿命が87.62年、健康寿命が75.22年で、その差は12.40年である。
◯大坪委員 日本では、がんと診断される人は年々増加傾向にあり、生涯のうち2人に1人ががんにかかると推計されており、国民病とも称される一方、今や治る病気、治療と仕事や学業との両立も可能な病気になっている。がんは国民の生命と健康にとって重大な問題であることから、国はがん対策の全体目標として、がん予防、がん医療の充実、がんとの共生の3つを柱として掲げている。本市のがん対策事業の平成30年度決算額及び事業の効果や実績をどのように捉えているのか、所見を尋ねる。
◯保健福祉局長 平成30年度におけるがん対策事業の決算額は10億2,570万円余である。国の指針に基づく5つのがんの検診受診者数は14万6,928人で、このうちがんが発見された人が389人である。
◯大坪委員 国立がん研究センターによると、2017年にがんで死亡した人は37万3,334人に上り、そのうち死亡者数の一番多い部位は肺と報告されている。肺がんは、男性で第1位、女性では第2位である。平成29年の本市の肺がんの死亡者数は743人であり、死亡率は人口10万人当たり47.4人となっている。一方で、肺がんを初め、多くのがんが早期発見で治癒する率が高いことから、早期発見につながるがん検診は大変重要で、検診の受診率向上をさらに図っていかなければならない。肺がん検診の受診率は、平成28年度の国民生活基礎調査によると、全国平均で46.2%となっており、がん対策推進基本計画で設定されているがん検診受診率の目標値50%には達していない。本市の主ながん検診の目標値と受診率について尋ねる。
◯保健福祉局長 がん検診の目標値については、健康日本21福岡市計画において、5つのがん検診それぞれについて受診率50%を掲げている。受診率については、直近の平成28年国民生活基礎調査によると、胃がん検診が39.2%、大腸がん検診が38.0%、乳がん検診が37.7%、子宮頸がん検診が35.9%、肺がん検診が40.5%となっている。
◯大坪委員 平成30年度生活習慣病対策事業の決算額と、特定健診にかかわる決算額について、特定健診受診率の目標値及び過去3年間の実績を尋ねる。
◯保健福祉局長 平成30年度の決算額は10億6,323万円余で、そのうち特定健診関係分が6億9,735万円余となっている。特定健診受診率の目標値については、平成30年度~5年度を計画期間とする特定健診・特定保健指導実施計画において40%を掲げている。実績については、平成28年度が23.0%、29年度が25.7%、30年度が速報値で26.7%となっている。
◯大坪委員 福岡県下60市町村中何位で、政令市20市中何位となるのか。
◯保健福祉局長 直近の法定報告である平成29年度の数値で比較すると、福岡県内では56位、政令指定都市では16位となっている。
◯大坪委員 福岡県下で56位とは驚きである。がん検診と特定健診の同時実施は、受診者の利便性を高め、受診率向上が期待できる施策の一つとされ、国はがん検診の受診率向上に有効な体制づくりとして、がん検診と特定健診の同時実施を推奨しており、多くの自治体で導入されている。本市では、この特定健診とがん検診の同時受診が可能な体制となっているのか。
◯保健福祉局長 各区保健福祉センターや健康づくりサポートセンター、地域交流センター等で行っている集団健診において、特定健診とがん検診の同時受診ができる体制としている。なお、個別の医療機関においては、受診できるがん検診の種類が限られる場合があるが、多くの医療機関で特定健診とがん検診を同時に受診することが可能となっている。
◯大坪委員 厚生労働省発行の受診率向上施策ハンドブックでは、オプトアウトを導入することも受診率向上効果が期待できる施策の一つとして紹介されているが、オプトアウトの定義を尋ねる。
◯保健福祉局長 オプトアウト方式とは、受診者が複数の検診の中から希望する検診を選択する一般的な方式であるオプトイン方式とは逆に、受診者が全ての検診を受けることを前提として、その中から希望しないものを選択してもらう方式であると理解している。
◯大坪委員 本市はオプトイン方式である。先月、本市の特定健診、よかドック健診を受けた際、がん検診をどうするか尋ねられ、肺がんと乳がん検診をプラスした。オプトアウトは受けたくない検診を選び、受けたくない理由がない限りは検診を受けることになるため、受診率はさらに向上する可能性がある。東京都中央区では、既にがん検診と特定健診をセット受診することを標準化したオプトアウト方式を導入しており、受診率も特定健診とほぼ同等の数値となっている。他の自治体でも、9月定例市議会での質問に対し、がん検診受診率向上に向けた一つの方法として前向きに検討していくとの答弁があっている。本市においても受診者の利便性の向上となるオプトアウトを導入することによって、がん検診の受診率を特定健診受診率並みに向上させることも可能ではないか。オプトアウトの導入について、所見を尋ねる。
◯保健福祉局長 本市のがん検診については、医療機関で行う個別健診と各区保健福祉センターで行う集団健診の2つの方法で実施している。実施できるがん検診の種類が限られている個別健診では、オプトアウト方式を適用することは困難であるが、全てのがん検診を行っている集団検診では、受診率の向上を図る取り組みの中で導入を検討していきたい。
◯大坪委員 市民をがんから守るため、がん検診の受診率向上に向けた積極的な取り組みを要望する。厚生労働省が発信している新たなステージに入ったがん検診の総合支援事業実施要綱の中には、胃がん、子宮頸がん、肺がん、乳がん、大腸がん検診において、個別の受診勧奨、再勧奨を強化することにより、がん検診の受診を促進し、がんの早期発見につなげ、がんによる死亡者の減少を図ることを目的とするとの記載がある。本市の取り組みの中で、受診勧奨、また、再勧奨、いわゆるコール、リコールと通称で呼ばれている手法は取り入れているのか。
◯保健福祉局長 平成30年度においては、45歳、50歳、55歳、60歳の市民のほか、過去5年間に乳がん、子宮頸がん及び大腸がんの検診を受けたことがある人に対して、個別に受診勧奨はがきを送付している。今年度はその成果を踏まえて、受診勧奨に加えて再勧奨も実施することとしている。
◯大坪委員 平成28、29年度の受診者アンケートの比較をすると、受診動機として、市からのはがきとの回答が大幅に増加しており、効果があらわれている。また、10月は、乳がんの撲滅に向けて早期発見、治療を啓発するピンクリボン月間となっている。公明党は、女性特有のがん検診無料クーポンを提案し、乳がん、子宮頸がん検診の対象者に無料クーポン券の配付を実現してきた。がん検診受診率向上のためにどのように取り組んできたのか、また、コール、リコールの成果も含め、事業の効果について、所見を尋ねる。
◯保健福祉局長 がん検診率の向上に向けては、広報啓発の強化と健診を受けやすい体制づくりの2本柱で取り組みを進めている。広報啓発の強化としては、平成30年度から個別の受診勧奨はがきの送付や、市内全ての小中学校で行われているがん教育の際に啓発用チラシを配布するなどの取り組みを行っている。健診を受けやすくする体制づくりとしては、買い物などのついでに健診を受けることができる、よりみち健診について、総合図書館など新たな健診場所の開拓に取り組んでいる。その結果、国の指針に基づく5つのがん検診のうち、平成30年7月に対象年齢等の制度変更があった胃がんの検診を除き、4つの検診の受診者数はいずれも増加しており、その合計は11万8,172人で、前年度より約4,000人増加している。
◯大坪委員 10月に入ってもやや気温の高い日が続き、寒暖の差で体調を崩しやすいこの時期、特に高齢者への健康の配慮が欠かせない。風邪の症状によく似た肺炎は、がん、心疾患に続いて平成29年度の本市の死因の第3位となっている。しかも、肺炎で亡くなる方の97%は65歳以上の高齢者である。特に、肺炎球菌による発症がもっとも多い。平成30年度の高齢者予防接種事業の決算額、高齢者肺炎球菌ワクチン対象者数と接種者数、接種率を尋ねる。また、本市の接種率が、他の政令指定都市と比較してどのような状況にあるのかも尋ねる。
◯保健福祉局長 平成30年度における高齢者の予防接種に関する決算額は、7億9,478万円である。高齢者肺炎球菌ワクチンの対象者数は7万6,898人、接種者数は2万4,988人、接種率は32.5%である。また、高齢者肺炎球菌ワクチンの接種率を他の政令指定都市と比較できる平成29年度では、本市は33.9%で、集計中の都市を除いた16政令指定都市の平均は38.6%となっている。
◯大坪委員 平成30年度までの5年間を経過措置として、65歳から5歳刻みで対象者に接種の機会が提供され、5年間で全年齢の高齢者が接種できるようにしていた。しかし、ワクチン接種率は国の想定よりも伸びず、平成31年度から5年間、経過措置を延長することが決定された。接種率が伸びなかった原因として、経過措置の制度が複雑でわかりにくく、周知面での課題も指摘されている。対象者が5歳刻みで記載をされているため、5年ごとに定期的に対象者になると誤解していたり、期限があることを認識していない人も多いといった実態もある。そのため、ホームページや広報紙などでの消極的な対応だけではなく、もっとわかりやすく、しっかり伝わるような周知方法が重要である。本市では、未接種者に対して、接種を促す再通知であるコール、リコールを行っているのか、また、どのくらいの効果があるのか尋ねる。
◯保健福祉局長 これまで一度も高齢者肺炎球菌ワクチンの定期予防接種を受けていない対象者に対しては、例年5月下旬に個別通知を送付しているが、再通知は行っていない。
◯大坪委員 接種率の向上に向けた取り組みとしては、対象者に対する直接通知方式の効果が高いとされており、未接種者に接種を促す再通知を行っている自治体もふえてきているようである。周知、啓発に当たっては、接種機会は1回のみであること、平成31年度から5年間に1回のみ、1年間のみ定期接種の対象となることなど、制度や趣旨について理解が得られるよう留意することが求められている。65歳の対象者は、初めて通知を受け取るが、70歳以上の制度を活用していない人は、前回の通知を含めると2回目の通知を受け取ることになる。5年間の経過措置が延長されているが、本市では、今後の高齢者肺炎球菌ワクチン接種率向上の取り組みをどう行うのか、また、65歳の未接種者に再度通知を送付することを検討すべきと思うが、所見を尋ねる。
◯保健福祉局長 高齢者肺炎球菌ワクチンについては、国の厚生科学審議会ワクチン評価に関する小委員会によると、ワクチン接種により日本人の死亡原因の上位を占める肺炎の罹患率を減少させる効果があったとされており、接種率の向上が大切であると認識している。ワクチン接種の周知については、個別通知の送付や市政だより及びホームページへの掲載、医療機関等でのポスター掲示などに取り組んでいるが、より効果的な周知を図っていく必要があると考えており、特に今年度対象となった65歳の対象者に対しては、再通知を含め、接種率向上のさらなる取り組みについて検討を行っていく。
◯大坪委員 一人でも多く検診や接種を利用して早期治療、発見に臨んでいくことを願っている。一人一人が生き生きと活躍するには、健康寿命を伸ばすことが欠かせない。健康づくりは人生100年時代の基本中の基本である。福岡100のリーダーシップをとっている市長の所見を尋ねる。
◯市長 本市では、人生100年時代の到来を見据え、誰もが健康で自分らしく暮らすことができる持続可能なまちを目指すプロジェクト、福岡100を推進している。人生100年時代を生き生きと暮らしていくためには、まずは市民一人一人の健康づくりが非常に大切である。そのためには、国民健康保険を初めとして、さまざまな医療保険加入者の特定健診受診率の向上を図るとともに、がん検診の定期的な受診を促して、生活習慣病の早期発見、発症予防に努めていく必要がある。また、ワクチンの接種によって、高齢者の死亡原因の多くを占める肺炎を予防するなど疾病予防に積極的に取り組んで、健康寿命の延伸を図っていくことが重要と考えている。今後もさまざまな工夫を凝らしながら、人生のライフステージに応じた健康づくりの施策を進めていく。