○24番(松野 隆)登壇 皆さんおはようございます。私は公明党福岡市議団を代表して、ポストコロナを見据えた住まいと暮らしについて、特に障がい者日常生活用具の給付について、そして、地域共生社会の構築について、以上2点について質問をさせていただきます。
初めに、障がい者の日常生活用具給付についてであります。
障がい者への各種福祉サービスについては、時代の推移とともに、障がい者の全体数も高齢化も進展しており、給付内容の見直しや検討が求められております。しかしながら、サービス拡充に伴う財源確保などの課題もあり、これまで公明党福岡市議団も一つ一つ要望を行い、改善、拡充もしておりますが、その中で、今回は紙おむつ等の給付についてお尋ねします。
おむつといえば高齢者が対象となるサービスがありますが、初めに、高齢者対象のおむつサービスの内容について、対象者、要介護度別の利用者数及び全体の利用者数についてお答えください。
以上で1回目の質問を終わり、2回目以降は自席にて質問させていただきます。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 高齢者のおむつサービスにつきましては、福岡市の介護保険被保険者のうち、要介護3から5と認定され、在宅で生活をされているおむつが必要な方を対象に実施をしております。要介護度別の利用者数は、平成30年度末現在で要介護3の方が1,816人、4の方が1,758人、5の方が1,400人であり、利用者数の合計は4,974人となっております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 要介護3から5で約5,000人の方がサービスを受けられている、そして、これは答弁にはありませんでしたけれども、高齢者以外の方でも要介護認定者は72人サービスを受けておられるということであります。
また、高齢者へのおむつサービス助成の理由についてお示しください。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 高齢者へのおむつサービスにつきましては、在宅の寝たきり高齢者等に対し、おむつの給付配送を行うことにより、介護の負担軽減等を図ることを目的に実施をいたしております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 介護の負担軽減のためということであります。
次に、障がい者へのおむつ等の給付対象となる条件及び対象者数についてお答えください。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 給付対象となる方の条件でございますが、まず、対象となる障がいの内容、程度につきましては、ストーマの著しい変形や高度の排尿機能、排便機能障がいがあるなど、ストーマ装具では対応できない方、またはおおむね3歳未満で発生した脳性麻痺などの脳原性運動機能障がいにより、排尿、排便の意思表示が困難で、自力でトイレに行けない、自力で便座に座ることができないなどの状態にある方で、医師の意見書などにより紙おむつ等を必要とする状態であるとされていることといたしております。また、所得要件につきましては、障がい児・者の属する世帯員のうち、市民税所得割の最多納税者の納税額が46万円未満となっております。
次に、紙おむつの給付者数につきましては、平成30年度の延べ人数で5,949人となっております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) ストーマの補助と、もう一つはおおむね3歳未満で発症した運動機能障がいが原因と、様々な症状はあってもこれが原因という厳しい条件がついております。延べ人数は約6,000人ということですけれども、実人数がどれくらいなのか、気になるところであります。
高齢者と障がい者では相対的に障がい者のほうが給付対象となる割合は低いようですが、障がい者に紙おむつ等を給付する理由について、法的根拠と併せてお示しください。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 紙おむつ等につきましては、障がいのある方が日常生活をよりスムーズに送るために、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第77条第1項第6号に規定された日常生活用具として位置づけ、給付をいたしております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 障害者総合支援法によるサービスということです。今、給付の理由についてお答えいただきましたが、国の制度であるということです。
この障がい者へのおむつの給付については、本市ではストーマの補助か、3歳未満で発症する脳性麻痺などに限定されており、条件設定がとても厳しく、後天的に病気や事故により障がい認定され、寝たきりになり、紙おむつが必要になった方々は制度の対象外のまま、ここは何の見直しもないままで、当事者や家族にとって経済的な負担が大変大きいとお聞きしております。紙おむつについては、寝たきりの障がい者だけではなく、乳幼児を持つ家庭も負担しております。いずれ高齢者になれば必要に応じて助成対象ともなります。ということから、ほかの年齢層との整合性に立って現状の判断を行っているということなのでしょうか、御所見を求めます。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 紙おむつ等の給付の判断基準につきましては、市において対象者の障がいの内容及び程度や対象年齢を定めておりまして、これに基づき給付の可否を判断いたしております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 何度も言いますけれども、国のサービスは3歳未満発症という厳しい対象年齢があり、可否の判断はとても厳しいものです。
そもそも障がい者への生活用具給付内容について、検討は定期的に行われているのでしょうか。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 日常生活用具の給付内容につきましては、市が利用者のニーズや他都市の状況等を勘案しながら、必要に応じ、福岡市障がい児・者日常生活用具検討委員会に意見を求めております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 定期的ではありませんが、行っているそうです。
では、おむつ等の助成等について給付の可否が行われた直近の検討会の開催日と検討結果についてお答えください。また、制度を拡充すべきとの意見はないのか、お尋ねします。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) お尋ねの検討委員会につきましては、直近では平成24年9月6日に開催し、紙おむつの給付対象者拡大について検討のみを行っております。この際、制度を拡充すべきとの意見はございませんでした。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 意見はないそうであります。この方々は当事者の声は聞いておられるのでしょうか。直近で平成24年から見直しも検討も行われていないということであります。
私は昨年、紙おむつ給付による障がい者支援事業を行っている新潟市の障がい福祉課で話を伺ってきました。新潟市では、本市と同様に日常生活用具による紙おむつ支援以外に、市単費の紙おむつ給付を行っております。対象者は3歳以上で常時紙おむつを必要としている方のうち、身体障害者手帳下肢1、2級、体幹1、2級、移動機能1、2級、療育手帳Aで、所得制限は生計中心者の課税標準額700万円以上が対象外となっております。支給内容もパンツ型と平型があり、世帯全員非課税、生計中心者が非課税、生計中心者が課税により支給枚数が変わってきます。対象者は大変喜ばれておりますが、担当課の説明では、特に進んでいるという印象はなく、ごく当たり前に支援が必要な障がい者に必要な支援を行っているという印象でありました。
これはぜひ参考にしていただきたいなというふうに思うんですが、本市が新潟市と同様の内容で紙おむつ給付事業を行った場合、対象人数と事業費の概算についてお答えください。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 新潟市と同様の給付要件とした場合の福岡市における対象人数につきましては、令和2年3月31日現在で8,920人となります。また、事業費につきましては、対象人数のうち、紙おむつを必要とする方の人数が把握できておりませんので、仮に対象者全員に給付を行うとした場合は年間12億8,000万円余となります。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 仮に全員に行う場合の試算ということであります。
個人的に御相談を受けた事例でありますが、本市在住、成人男性のAさんは生まれつき重度の知的障がいがあり、このために言葉も話せず、療育手帳A1を所持しております。数年前に不慮の交通事故により両足切断の大けがを負い、以降10回近くの手術を経て、現在も在宅でリハビリ療養を行っておられます。当然、本人はトイレで排せつできる状況ではなく、御家族が毎日おむつの交換を行っております。現在、本市からの支援はありません。昨年、診断書に医師の意見書を添付し、本市に相談されましたが、結果はやはり駄目でした。現下の条件に合致しないために個別に給付申請したけれども、結果は変わりませんでした。生まれつき重い障がいを抱え、さらに予期せぬ大事故に遭い、在宅でほぼ寝たきり、そこに毎日のおむつ交換という多額の出費も重なり、現在もさらに親なき後の経済的負担の大きさも言うまでもありません。生活保護を受けるほうが本市の負担は軽いのでしょうか。
改めて、重度障がい者に対する紙おむつ給付について本市独自の支援を行うべきではありませんか、答弁を求めます。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 重度障がい者の方々につきましては、多様な支援やサービスを必要とされておりまして、また、経済的な負担も大きく、厳しい状況にあるものと認識をいたしております。
御提案をいただきました紙おむつ給付に係る福岡市独自の支援につきましては、厳しい財政状況の中で、障がい者施策全体の中での優先度や他都市の状況などを含めて総合的に判断をしていく必要があるものと考えております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 私たち健常者は風邪を引いたとき、また、けがをしたときに、治れば健康のありがたさを実感し、また普通の暮らしに戻ることができます。しかし、このたびのコロナウイルス感染症はこれまで誰も経験したことがなく、いつ収束するかも分からないことから、生活苦や閉塞感で多くの国民が悩み苦しんでおります。一方で、重度障がい者の皆さんは、コロナ感染が収束したとしても、生きることのつらさは解消しません。Aさんは御自分の障がいによる悔しさや交通事故による両足切断の苦しさも、そして、コロナ感染による恐怖感も何も自身では言葉にできず、表現のすべさえありません。この先、言葉も出ないまま、両足も失ったままです。このようなときだからこそ、重い障がいを抱える弱者への視点や制度のはざまに置かれた方々に思いをはせ、少しでも生活が改善するよう配慮があるべきであり、見直しのきっかけとしていくべきではないでしょうか。
コロナにより今後新しい日常に向けた新たな障がい者の日常に向けては、これまで以上に障がい者に寄り添い、支援を充実させていく必要があると思いますが、答弁を求めます。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 障がいのある方への支援の充実につきましては、区基幹相談支援センターを中心とする地域の体制づくりやホームヘルプサービスなどの在宅支援サービス、介護者の入院時における短期入所での受入れなど、地域で安心して暮らせる生活支援に取り組んでいるところでございます。
議員御指摘のとおり、コロナ禍における新しい日常の実践におきましては、新たな課題の発生も見込まれますことから、今後とも、障がい者に寄り添いながら、地域や家庭で生き生きと生活できるまちづくりを目指して取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 重度障がい者の生活実態を見て、当事者の声を聞いて、支援の在り方がどうなのか、ぜひ改めて御検討いただきたいと要望しておきます。よろしくお願いいたします。
次に、地域共生社会の構築についてであります。
地域共生社会の実現に向けた包括的支援体制の整備のため、本年6月、改正社会福祉法が可決成立しました。現在、本市では次期保健福祉総合計画の策定に向けた審議中であり、地域共生社会は計画の中核とも言うべきテーマということもあり、質問させていただきます。
改めて、地域共生社会の理念には、「子ども、障がい者、高齢者など全ての人々が地域、暮らし、生きがいを共に創り、高め合うことができる社会の実現のため、支え手側と受け手側に分かれるのではなく、地域のあらゆる住民が役割を持ち、支え合いながら、自分らしく活躍できる地域コミュニティを育成し、福祉などの地域の公的サービスと協働して助け合いながら暮らすことのできる仕組みを構築する」とあります。
私は平成28年より、地域住民が地域住民のための居場所をつくり、乳幼児から高齢者まで世代を問わない空き家などを活用した手づくりの支え合いの事例について勉強してきました。東京都文京区のこまじいのうち、横浜市のジュピのえんがわ、神奈川県平塚市の町内福祉村、新潟市の実家の茶の間・紫竹、東京都立川市の大山団地自治会等を訪問、視察し、地域共生社会における生活支援の一つとして、いずれの取組も驚くような成果を上げているそれら住宅の活用やコミュニティ力向上のための主体的な事業を紹介し、質問をしてまいりました。地域住民同士の知恵を生かした空き家の福祉的活用が全国的に進み、地域コミュニティの互助、共助の力を確実にボトムアップしております。現在、福岡市社会福祉協議会の職員の皆さんの精力的な活動のおかげで、本市においても空き家の活用や居場所づくり、さらに、住宅を含む生活支援まで徐々に広がりつつあります。私も実際に福岡市民の方から実家を地域活動に生かしたいとの御相談を受け、まだ何の助成もありませんが、住宅を自己資金により改修し、活動がスタートして既に1年以上が経過しております。一日も早く地域に認知され、幅広く活用されるよう暗中模索の地道な活動が続いておりますが、最近、移動販売の車両が空き家を拠点とするようになり、地域の皆さんが集まり始め、地域の居場所として活用できるとの認識が急速に広がりつつあります。
このように、全国的に地域の高齢者の支え合いから子ども食堂等の拠点まで幅広く進むことで、基礎体力の維持や買物弱者対策、さらに孤立防止まで、新しい日常における互助、共助による新たな地域福祉の進展という高いポテンシャルを秘めております。今も市内では、町内会や地域社協が地域の個人所有の空き家を借りて、高齢者の居場所や会議をする場として活動を始めたいと希望するグループが実際にあるようですが、ここで問題なのが、空き家を活動拠点として活用する前提として、消防法や建築基準法による家屋の改修が必要となり、その費用などイニシャルコストが捻出できずに一向に活動を開始できずにいるようです。
そこで初めに、本市における地域活動や住民福祉を推進するための固定資産税の減免について、過去5年間の減免の概要と件数をお示しください。また、固定資産税の減免についての根拠もお示しください。
○議長(阿部真之助) 松本財政局長。
○財政局長(松本典久) 集会所等に係る固定資産税の減免につきましては、地方税法及び福岡市市税条例等に基づき、自治会等が所有または無償で借受けしている専ら集会等の用に供する固定資産であって、不特定多数の地域住民が原則無料で利用できることなどの要件を満たしたものを対象としております。また、集会所等に係る過去5年間の減免件数は、平成27年度が559件、28年度が560件、29年度が551件、30年度が490件、令和元年度が505件となっております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 昨年、空き家の有効活用に注力している会津若松市や新潟市を訪問し、話を伺ってきました。会津若松市では、空き家を活用したささえあい拠点認定制度として30万円の改修費助成と固定資産税の減免を行っております。固定資産税の減免については、大阪の豊中市でも早くから実施していて、多くの居場所ができておりますし、空き家だけでなく、空き地も対象として、住宅地の真ん中に豊中あぐりという農園を造り、高齢男性を引っ張り出すことに成功しておられます。豊中市も会津若松市と同様、社協が推薦し、対象物件を市が決定しているということです。
高齢化による地域活動拠点の不足がこれまでも指摘されてきました。しかし、多額の財政負担により新規着工する時代ではもはやありません。
そこで、増え続ける空き家や社会資源の活用により、地域住民の互助、共助の場づくりを行うには家主への固定資産税の減免は時代に見合う有効な手段だと思います。
本市においても、固定資産税の減免を推進すべきと考えますが、地域住民が空き家を活用して地域活動を行う場合に先ほどお聞きした減免の対象となるか、答弁を求めます。
○議長(阿部真之助) 松本財政局長。
○財政局長(松本典久) 空き家を活用し、地域活動を行う場合の固定資産税の減免につきましては、自治会等が無償で借受けし、専ら集会等の用に供する固定資産のうち、先ほど申し上げた一定の要件を満たす場合に減免の対象となるものでございます。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 現状でも固定資産税の減免は可能であると理解しました。今後、具体的に申請の在り方や空き家資源の掘り起こしのための周知活動が進むよう、空き家の積極的福祉活用の制度化についても、御検討いただきたいと要望しておきます。
次に、改修費の助成についても、昨年視察した新潟市の空き家活用リフォーム推進事業は、福祉や文化活動、さらには住み替えまで、空き家の利活用を促進する場合、リフォーム費用の一部を補助します。例えば、地域交流活動、高齢者シェアハウス、子ども食堂などの場合、補助率2分の1、1件当たり上限が100万円となっております。この制度は新潟市建築部住環境政策課が補助金交付申請の窓口となり、新潟市福祉部と協働しながら事業展開しており、まさに地域共生に向けた包括的な取組と言えます。新潟市では国交省の補助により予算化したのは住宅部局ですが、福祉部局が市民からの窓口となり、相談に乗り、適切な候補かどうかを審査し、団体を選定した上で住宅部局につなぎ、住宅部局が今度は技術的な審査を行って決定するという流れになっていて、関係各局が連携して市民ニーズに対応しておりました。
本市には様々、住宅改修や耐震化、バリアフリー化、グループホーム建設、さらに、地域集会施設建設助成など、住宅の建築、改修にまつわる助成制度がありますが、空き家を福祉や文化拠点として利活用することを促進するため、国土交通省の空き家対策支援メニューを活用し、積極的に地域コミュニティの活性化を行う団体や空き家に対し、法に適合する施設とするための新たな住宅改修助成を行うべきではないでしょうか。
これらの空き家の地域での利活用の際の住宅改修助成について、新潟市のように保健福祉局と住宅都市局が協働して実施すべきと思いますが、それぞれの御所見をお聞かせください。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 空き家の福祉的な活用に向けた改修支援につきましては、福岡市社会福祉協議会が専門知識を持つ一般社団法人古家空家調査連絡会と共同して、空き家の所有者と福祉的な活用の希望者とのマッチングを行っておりまして、その際に活用のための法的な助言などの支援を行っております。議員御指摘のとおり、空き家が福祉的に活用されることで地域福祉活動の拠点となることが期待されるため、令和2年度から同事業に対して補助を開始したところでございます。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 空き家の地域での活用に向けた改修助成につきましては、既存住宅の流通促進や活用ニーズの把握などに取り組むとともに、国の支援制度や他都市の事例の調査研究を行うなど、保健福祉局や関係部署との連携による空き家の活用方策について段階的に検討を進めてまいりたいと考えております。
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 今、段階的に検討と一歩前進の御回答を頂きました。ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
次に、本市も例外なく高齢者数が着実に増加し、総住宅数に占める空き家数も増え続ける中、本市では福岡市社会福祉協議会が、新設された地域福祉課や住宅計画課等と協働で、空き家を福祉活用する社会貢献型空き家バンクや高齢者の住み替えを支援する住まいサポートふくおかなど、全国的にも先進的な取組を意欲的に推進しており、今後もそれら事業の需要と重要度は高まり続け、より一層の事業推進を図る必要があります。しかし、同時に課題も多々あり、例えば、空き家の確保だけでも大変な苦労であります。
お尋ねいたしますが、今年度から家賃低廉化の住宅セーフティネットが制度化され、事業者を募集されたと聞いておりますが、事業者の応募状況についてお答えください。
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 住宅セーフティネット機能の強化を図るため、民間賃貸住宅の空き家を活用し、高齢者などの住宅確保要配慮者の入居を拒まないセーフティネット住宅について、登録促進に向けた改修費補助や入居者負担低減及び居住環境改善のための経済的支援制度を創設いたしました。制度開始に当たり、周知も兼ねた意見募集を行った上で、7月より事業者の募集を開始したところであり、問合せは多数頂いておりますが、現状では応募につながっていない状態でございます。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) まだどこからも手は挙がっていないということでありますが、その理由についてどう評価しておられるのか、御所見を求めます。
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 事業者募集につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大防止のために、年度当初に予定しておりました制度の説明会が開催できずに、事業者への周知が十分とは言えない状況でございます。しかしながら、賃貸住宅の大家などから問合せを多数頂いておりますことから、経済的支援制度は大家にとって空室対策に有効な、興味のある事業であると認識いたしております。
今後は制度説明会の開催などにより周知を図るとともに、事務手続の支援など、事業者負担軽減を行いながら活用促進に取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 御答弁いただきましたが、高齢者や障がい者には生活上の不安や終活にまつわる問題も多々あり、それらの課題に対する支援も同時に行って、家主、貸す側にとっての不安材料を軽減しないと住宅の供給もなかなかスムーズにはいかないと思われます。だからこそ高齢者や介護保険、住宅など、包括的な支援体制の構築が重要となります。
次に、国のコロナウイルス感染拡大対策である第2次補正予算では、住宅困窮者に対する居宅生活移行緊急支援事業費が計上されました。これもまた若年層の生活困窮者が住まいは確保できても、その後の就労がうまくいかなければ生活保護申請へと直結します。しかしながら、同事業を活用し、就労支援により生活困窮状態を抜け出すことができれば自立した生活が保障され、本市の財政上も大きなメリットがあります。
本市は国の第2次補正の同事業を採用したのか否か、その理由についてもお答えください。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 居宅生活移行緊急支援事業につきましては、住まいを失ったまたは失うおそれのある生活困窮者に対して、住まい確保のための相談支援や入居後の定着支援などを行う事業でございます。本市におきましては、従来からある国の類似の補助メニューを活用し、福岡市生活自立支援センターでの生活困窮者の相談やホームレスの巡回相談事業による相談支援のほか、ホームレス自立支援施設における就労支援などを既に実施しておりますことから、居宅生活移行緊急支援事業につきましては採用いたしておりません。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 各局とも新型コロナの対応で、それどころではないというのが現状でしょうか。しかし、今お聞きした住宅セーフティネット事業も居宅支援事業も、局を超えて連携して、実績を基に国への要望を重ねれば、もっともっと自治体が使いやすい制度になるかもしれませんので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
地域共生社会の実現は1つの局だけでは決してできません。せっかくの機会ですので、本市の居住支援法人等とも連携し、各局がタッグを組んで取り組むべき事業ではないかと思います。保健福祉局、住宅都市局ともに御所見をお聞かせください。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 生活困窮者の居住支援につきましては、住宅都市局が作成しました居住支援法人のリストに掲載された法人と連携して支援を行っているところであります。今後とも、住宅都市局とともに居住支援に取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 住宅確保要配慮者への支援活動に関する情報共有などを目的といたしまして、市内の居住支援法人で構成する福岡市居住支援法人連絡協議会を令和元年8月に設立してございます。福岡市及び各法人間で連携を図りながら、引き続き保健福祉局とともに住宅確保要配慮者の居住支援に取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) (パネル表示)ここでパネルをちょっと御紹介したいと思いますけれども、このグラフは、小さくて国名が見えないかもしれません、左からオランダ、アイルランド、アメリカ、デンマーク、ドイツ、ギリシャ、イギリス、ベルギー、アイスランド、カナダ、スペイン、フィンランド、韓国、オーストラリア、イタリア、フランス、ポルトガル、チェコ、メキシコ、日本と、日本が一番高いグラフになっております。これは何かといいますと、家族以外の人と交流のない人の割合の国際比較であります。OECD加盟20か国の中で日本が一番、家族以外と交流がないという結果が出ております。このパネルは、ミシガン大学が行っている世界価値観調査の一部で、社会的孤立に関する国際比較を示しております。この調査結果では、総人口、低所得者とも家族以外の者とたまにしか会わない、全く会わないのどちらの回答もOECD加盟の先進20か国の中で日本が一番高くなっており、これは本当に意外でした。家族などを超えた集団や社会とのつながりや交流がなく、社会的孤立の度合いが最も高くなっており、集団を超えて個人と個人がつながるような関係性をいかに育てていくかが日本社会の今後の最大の課題となっていると言われております。
それと、もう一つ御紹介したいのが日本経済新聞社の産業地域研究所が行ったアンケート結果で、首都圏に住む60歳から74歳の男女1,236人に、退職後の居場所について、あなたは自宅以外で定期的に行く場所がありますかという質問を行いました。そうしたら、男女ともに1位は、昨日うちの大坪議員が質問しました図書館が1位なんですね。その後、女性はスポーツクラブ、親族の家、友人宅と多彩に続いていくわけなんです。ところが、男性は図書館に次いで行く場所はどこかといいますと、これは公園だったそうです。何か目に浮かぶようですね。設問が自宅以外ですので、男性は強いて挙げれば公園ということなんですが、実際は見つからない、特にないとの回答が男性は2位だったそうで、寂しい限りであります。このように、男性の孤立が際立つ結果となっており、地域で友達と生きがいをつくるかは定年後の課題と言えます。社会的つながりをより多く持つことが健康と暮らしの向上につながると言われております。
地域共生社会が地域包括ケアの上位概念と位置づけられて以来、冒頭に申し上げたように、介護保険法や社会福祉法の改正が重ねられてきました。高齢化と人口減少の進行に伴い、福祉ニーズも多様化、複雑化し、従来の考え方や枠組みでは対応が難しくなったことに加え、コロナウイルス感染という未曽有の経験も踏まえ、今後の社会経済も行政サービスも新たな局面を迎えております。本市においても税収の見通しが大幅に減少し、あらゆる事業の見直しが求められておりますが、ポストコロナを見据え、行政サービスだけに依存することなく、地域や社会全体で孤立化を防ぎ、支え合う取組のさらなる進展を図るため、既存の取組に対する発想の転換も重要なのではないでしょうか。
改正社会福祉法の包括的支援の3つの支援は、1、属性にかかわらず受け止める相談支援、いわゆる断らない支援、2、地域資源を生かしながら就労、居住等の提供による社会とのつながりを回復する支援、いわゆる参加支援、3、地域社会からの孤立を防ぎ、多世代の交流や多様な活躍の機会と役割を生み出す支援、いわゆる地域づくりに向けた支援、この3つを内容とする新たな事業の創設を行うべきとされております。年齢や性別にかかわらず、意欲や能力に応じて役割を担い、支援が必要な人を社会全体で支え合う福祉に重点を置いた施策を推進する次期福岡市保健福祉総合計画にも合致する事業であります。
今回の社会福祉法改正により、令和3年度から予定されている重層的相談支援体制整備事業に係る国の交付金の詳細はまだ明らかになっておりませんが、これまでの対象者別の縦割りの補助金を統合し、市町村において属性や世代を問わない相談、地域づくりに活用できる交付金として交付されると聞いております。いずれにしても、今回の改正社会福祉法に定められた地域共生社会の実現に向け、複雑化、多様化する超少子・高齢社会の地域ニーズに対応するための包括的支援体制をどうするのか御検討願いたいと思いますが、質問の最後に髙島市長の御所見をお伺いいたします。
○議長(阿部真之助) 髙島市長。
○市長(髙島宗一郎) 福岡市におきましては、若いまちと言われる一方で、少子・高齢化は着実に進んでおり、複雑化、そして、多様化する地域ニーズに適切に対応して、子ども、高齢者、障がい者など全ての人々が地域、暮らし、生きがいを共に創り、高め合うことができる地域共生社会の実現を図ることが重要であるというふうに認識をしています。松野議員御指摘のとおり、今般の社会福祉法の改正によりまして、各自治体は地域共生社会の実現を図るために相談支援や地域づくりに向けた支援などに包括的に取り組むものとされております。
福岡市といたしましても、改正社会福祉法の内容や、今後、公布されます関係政令などを踏まえながら、現実に即した包括的な支援体制の構築に取り組み、地域共生社会の実現を目指してまいります。以上です。