○13番(大坪真由美)登壇 私は公明党福岡市議団を代表いたしまして、不育症の周知や患者支援の推進について、高齢者肺炎球菌ワクチンについて、学校施設や通学路における安全性確保の推進についての3点、質問させていただきます。
初めに、不育症の周知や患者支援の推進についてです。
少子・高齢化が進む中、子どもは未来を担っていく大切な存在です。しかし、赤ちゃんが欲しいと願っているのになかなか授からない、もしかしたら不妊症かもしれないと人知れず悩んでいる人は少なくありません。福岡市においては、昨年11月から不妊専門相談センターが開設となり、子ども施策が一層強化をされております。
この不妊症という疾患を知らない方は、ほぼいないのかと考えますが、皆様、不育症という疾患は御存じでしょうか。
私が御相談を受けた御夫婦は3年前から不妊治療を始められ、これまでに5回の顕微授精に取り組まれましたが、2度続けての流産となり、大変に苦しんでおられます。不妊治療にかかった費用はお二人合わせて450万円近くになっており、貯金も底をつき、経済的にも限界が来て、今後治療を続けていけるのかとの不安と6回目の治療に挑むのか、また、赤ちゃんを諦めるべきか、選択に迷っていらっしゃいます。
また、治療には月に数日間仕事を休む必要があり、職場の理解と協力が得られなければ続けることが難しいのです。ゴールが見えそうで見えない、ゴールに届きそうで届かない、不安と焦りで毎日を過ごしている御夫婦を応援するためにも、ゴールに導く一助を構築し、子どもが欲しいと願う全ての御夫婦が出産を諦めることなく、前向きに妊娠、出産できる環境を福岡市で整備していただきたいと強く願うものです。
まず初めに、不育症とはどういう疾患なのか、また、不育症患者の方はどれくらいいらっしゃるのか、お尋ねいたします。
これで1問目の質問を終わり、2問目以降は自席にて行います。
○議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。
○こども未来局長(小野田勝則) 不育症につきましては、厚生労働省の反復・習慣流産、いわゆる不育症の相談対応マニュアルに、妊娠はするが、2回以上の流産、死産もしくは生後1週間以内に死亡する早期新生児死亡によって子どもが得られない場合と定義されております。
不育症の患者数につきましては、厚生労働省の研究報告書により全国の患者数は140万人で、年間約3万組が発症していると推定されております。以上でございます。
○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。
○13番(大坪真由美) 今、お答えいただきましたように、福岡市においてもこうした不育症に悩む方が少なくないと考えます。厚生労働省の実態調査では、流産は妊娠の10%から20%の頻度で起こると言われており、妊娠した女性の16人に1人が不育症であると言われております。流産の確率は年齢とともに上がるため、晩婚や晩産化が進む近年では深刻な課題の一つでもあります。
次に、不育症の原因についてお尋ねいたします。
○議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。
○こども未来局長(小野田勝則) 不育症の原因につきましては、厚生労働省のマニュアルに、夫婦の染色体異常に加えて、妻側の要因として子宮形態異常、内分泌異常、凝固異常、母体の高年齢などの場合に発症しやすいと示されております。以上でございます。
○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。
○13番(大坪真由美) 今、お答えいただきましたように、不育症の原因については、厚生労働科学研究では子宮形態異常が7.8%、甲状腺異常が6.8%、両親のどちらかの染色体異常が4.6%、抗リン脂質抗体症候群が10.2%などで、原因不明は65.3%にもなります。しかし、検査や治療によって80%以上の方が出産にたどり着けると報告がされております。つまり、不育症を知り、適正な検査や治療をすれば多くの命を守ることができるということです。
まだまだ一般的に認知度が低い不育症について周知していくことが必要だと考えますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。
○こども未来局長(小野田勝則) 不育症につきましては、その大半は胎児の染色体異常を偶然繰り返しただけの症例で、両親には特にリスク因子がないこと、また、2回以上の流産等を繰り返した場合でも不育症のリスク因子の検査や適切な治療により80%以上が出産に至っていることなどから、不育症に関する正しい知識の普及啓発を図り、子どもを望まれる御夫婦の不安解消に努めることは重要であると考えております。以上でございます。
○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。
○13番(大坪真由美) したがって、3回流産したことのある方でも、約半数は偶発的流産です。検査をしてリスク因子が見つからなかった場合は、何もしなくても次回の妊娠で出産できる可能性が高いわけですから、そのことを伝えていかなければなりません。
不育症について周知啓発とともに、気軽に相談できる窓口体制の充実が必要であります。
不育症の相談はどこで対応していただけるのでしょうか、お聞きをいたします。
○議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。
○こども未来局長(小野田勝則) 不育症の相談につきましては、平成29年11月に市役所本庁舎内に開設した福岡市不妊専門相談センターにおいて、不妊カウンセラーの資格を持つ看護師や医師が対応しております。以上でございます。
○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。
○13番(大坪真由美) では、不妊専門相談センターでの相談件数について、相談内容とその中で不育症に関しての相談件数は何件となっていますでしょうか、お尋ねをいたします。
○議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。
○こども未来局長(小野田勝則) 不妊専門相談センターにおける昨年度の相談件数は延べ463件で、主な相談内容は、治療費や助成制度についての相談が116件と最も多く、不妊症の検査、治療についての相談が90件、不妊治療をしている医療機関の情報についての相談が58件、特定不妊治療費助成の申請についての相談が57件、不妊の原因についての相談が46件などで、不育症に関する相談は7件でございます。以上でございます。
○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。
○13番(大坪真由美) 不育症に関する相談は、不妊専門相談センターで対応していただいていることはわかりましたが、相談件数は7件で全体の1.5%しかありません。市民の方にわかりやすいように名称を不妊・不育専門相談センターとすることなども検討が必要かと思います。
では、不育症の検査や治療はどこで受けることができるのか、お尋ねいたします。
○議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。
○こども未来局長(小野田勝則) 不育症の検査や治療につきましては、不妊治療を行っている産婦人科医療機関などで受けることができますが、治療のうち、甲状腺機能異常や糖尿病等の内分泌異常につきましては内科医療機関で、また、子宮形態異常等で手術が必要な場合は手術設備がある総合病院などの医療機関で治療を受けることになります。以上でございます。
○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。
○13番(大坪真由美) では、不育症治療にかかる費用についてお尋ねいたしますけれども、医療保険が適用となるものと医療保険が適用されずに検査や治療が自費診療となるものがありますが、現状についてお伺いいたします。
○議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。
○こども未来局長(小野田勝則) 不育症につきましては、まず、リスク因子を検査し、その結果に応じた治療が行われることになります。
検査につきましては、子宮形態検査や内分泌検査、夫婦染色体検査、抗リン脂質抗体検査、凝固因子検査がありますが、そのうち、抗リン脂質抗体検査の一部が保険適用外となっております。
治療につきましては、子宮形成術などの手術や甲状腺機能低下症などに対して行う内服治療、糖尿病に対する内服治療やインスリン治療などは保険適用されますが、抗PE抗体陽性者等に対するヘパリン療法や低用量アスピリン療法などは保険適用外となっております。
不育症の検査や治療はほとんどが保険適用されておりますが、国において有効性、安全性などが十分に確認されていない研究段階の検査や治療は、保険適用外となっております。以上でございます。
○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。
○13番(大坪真由美) 不育症の方々は、高額で治療を続けることが難しい、子どもを諦めるしかないと大変に落ち込んでおられ、心身ともにつらい思いをされております。そういった中、流産の原因となる血栓症や塞栓症に対する治療及び予防のために行う在宅自己注射に用いるヘパリンカルシウム製剤は平成24年1月から保険適用となり、不育症に悩む女性や家族にとっては朗報となりました。不妊症と比べ、いまだ不育症を知らない人が多く、流産、死産をしたことによって心身ともに大きなダメージを受け、苦しむ女性の4割は強い心のストレスを抱えたままであります。不育症の治療には多額の費用がかかるものもあり、公的助成を行っている自治体もあります。
政令指定都市の中で不育症治療助成事業に取り組んでいるのはどこか、また、全部で何都市あるのか、お尋ねをいたします。
○議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。
○こども未来局長(小野田勝則) 政令指定都市の調査結果では、札幌市、さいたま市、新潟市、静岡市、浜松市、京都市、神戸市の7都市が不育症治療への助成を行っております。以上でございます。
○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。
○13番(大坪真由美) 今、お答えいただきましたように、神戸市では平成28年12月から不育症の助成事業を開始されており、医療保険適用外の医療費の2分の1につき、上限15万円までの助成を行っています。中核市の富山市では、昨年7月から対象者の所得や年齢制限はなく、上限30万円までの助成を受けられます。このようなことから、不育症に悩む方に対して正確な情報を提供し、心理的な相談や医学的な相談を行い、患者支援の取り組みを行っていくことが必要であります。
不育症の方の検査や治療には一部保険適用されていないものもあります。患者支援として経済的負担軽減を図り、治療を受けやすくする不育症の治療費助成制度についての御所見をお伺いいたします。
○議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。
○こども未来局長(小野田勝則) 不育症につきましては、今後も不妊専門相談センターにおいて不育症に悩む方に寄り添ったカウンセリングを行うとともに、不育症に関する正しい知識の普及啓発に努めてまいります。
不育症の治療費助成につきましては、国の検査や治療に対する保険適用範囲の拡大等の動向を注視するとともに、本市における不育症患者数や治療費負担の実態等について調査してまいりたいと考えております。以上でございます。
○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。
○13番(大坪真由美) 冒頭で取り上げましたこの御夫婦のように、妊娠をしても出産に至らない不育症で精神的にも経済的にも苦しんでいらっしゃる方がおられます。不育症は、晩婚化、晩産化が進む今、まさに待ったなしの課題です。子どもを持ちたいと願う親とともに、これから生まれてくる大切な命にかかわる問題です。ぜひ、不育の課題について正面から向き合って、しっかりと福岡市の現状を分析していただきたい、不育症に悩む御夫婦を救うための制度を打ち出していただきたいと思います。
この質問の最後に、福岡市が子どもを生み育てやすい、子どもを育む日本一の都市を目指して、子どもを望む御夫婦へのさらなる支援に向けての御所見を医療の専門家である荒瀬副市長にお伺いをして、この質問を終わります。
○議長(川上晋平) 荒瀬副市長。
○副市長(荒瀬泰子) 福岡市におきましては、合計特殊出生率が伸びており、子育てしやすいという一定の評価もいただいているところでございますが、子どもを望む夫婦に対しても支援し、安心して生み育てられる社会を創造することは大変重要であると考えております。
近年、晩婚化などに伴い不妊に悩んでいる御夫婦は多く、福岡市におきましては、7区の保健福祉センターに寄せられる不妊相談の件数は年間約3,000件、特定不妊治療費の助成件数も年間約2,000件となっております。
こうした状況を踏まえ、昨年11月に市役所本庁舎内に不妊専門相談センターを開設し、専門の不妊カウンセラーや医師が不妊や御質問にありました不育に悩む御夫婦に寄り添ったカウンセリングを行うとともに、不妊症に対する正しい知識の普及啓発に努めているところでございます。
さらに、ことしの7月からは、福岡市独自に一般不妊治療のうち人工授精への助成を開始し、不妊治療を受ける御夫婦の経済的負担の軽減も図っているところでございます。
議員御提案の不育の問題につきましても、市内には不育症の専門機関も多いことから、しっかりと実態を調査し、安心して子どもを生み育てられる都市の実現に向け、子ども施策を推進してまいりたいと思います。
○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。
○13番(大坪真由美) ぜひよろしくお願いいたします。
次に、高齢者肺炎球菌ワクチンについてです。
肺炎は日本人の死因の第3位を占める重大な疾患です。肺炎は高齢になるほど重症化しやすく、人口の高齢化に伴い、年々死亡者数も増加をしています。特に高齢者の死亡率が高い肺炎予防のための定期接種制度が平成26年10月から開始をされました。高齢者を対象とした肺炎球菌ワクチンの定期接種制度は65歳を対象として、平成26年10月から30年度を65歳以上の全人口をカバーする経過措置期間とし、対象者は65歳から100歳までの5歳刻みの年齢になる方で、生涯に1回だけ制度を活用した接種が可能です。今年度はこの経過措置の最終年度であり、来年度以降は対象者が65歳のみになる予定で、66歳以上の方は定期接種の対象から外れることになります。
そこで、お尋ねいたしますが、肺炎球菌感染症とはどのような病気なのか、お伺いいたします。
○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。
○保健福祉局長(永渕英洋) 肺炎球菌感染症とは、肺炎球菌という細菌によって引き起こされる病気です。肺炎球菌は主に気道の分泌物に含まれ、唾液などを通じて飛沫感染し、体力が落ちたときなどに気管支炎、肺炎、敗血症などを起こすことがございます。以上でございます。
○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。
○13番(大坪真由美) 今、お答えいただきましたように、肺炎球菌は飛沫感染をすることから、災害の種類を問わず、多くの人が共同生活をする避難所では衛生状態が悪化しやすく、たびたび感染症の流行が起きています。
東日本大震災では、避難生活で体力が低下をする震災1週間後から感染症、特に高齢者の肺炎がふえてきたとの指摘もあり、中長期的に十分な注意が必要だとされています。
2016年4月の熊本地震においても、ノロウイルス感染症や高齢者の肺炎が発生している状況であり、災害時の衛生環境悪化がもたらす感染症は非常に怖いものがあります。台風、地震と続いておりますけれども、いつどこで自然災害が起こるかわからない中、防災、減災対策を進めるとともに、平時からの感染症対策が非常に重要であり、特に抵抗力が弱い乳幼児や高齢者はワクチン接種により感染症を防ぐことが重要であります。
では、肺炎球菌感染症をワクチンで予防することは可能であるのかをお尋ねいたします。
○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。
○保健福祉局長(永渕英洋) 定期予防接種で使用している高齢者肺炎球菌ワクチンは、厚生労働省によりますと、肺炎球菌感染症の約7割に効果があるとされております。以上でございます。
○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。
○13番(大坪真由美) 東日本大震災において、発災直後から3週間程度の間に肺炎球菌性肺炎が多発をして、定期接種対象者で未接種者は早目に接種することが勧められました。被災地でなれない仮設住宅暮らしを強いられ、ストレスにさらされている方々は身体の抵抗力も低下をしがちで、ウイルス感染が懸念をされています。
国立感染症研究所は熊本地震を受け、避難所での感染症の流行拡大には注意が必要だとして、どのような感染症が広がるおそれがあるのか、そのリスクをレベル1からレベル3の3段階で示す取り組みを始めました。感染症対策としてワクチン接種は有効であり、接種率を向上するためにも高齢者肺炎球菌ワクチン接種率の向上の取り組みが大切だと考えます。
この経過措置期間である平成26年からの接種対象者数、接種者数、接種率について実績をお尋ねいたします。
○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。
○保健福祉局長(永渕英洋) 対象者数、接種者数及び接種率でございますが、平成26年度が6万8,065人中2万8,632人で42.1%、27年度が6万7,169人中2万3,047人で34.3%、28年度が7万2,842人中2万5,890人で35.5%、29年度の速報値では7万5,624人中2万5,651人で33.9%となっております。以上でございます。
○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。
○13番(大坪真由美) 御答弁いただきました実績について、全国と比較をしてどうなっているのか、また、高齢者肺炎球菌ワクチンの効果をどう捉えておられますか、御所見をお伺いいたします。
○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。
○保健福祉局長(永渕英洋) 国におけます高齢者肺炎球菌ワクチンの接種率につきましては、平成26年度が38.3%、27年度が33.5%、28年度が37.8%となっており、福岡市と大きな乖離はございません。また、ワクチンの効果といたしましては、国の厚生科学審議会ワクチン評価に関する小委員会では、肺炎の罹患率を減少させ、肺炎の外来医療費、入院医療費の削減効果があったと報告されております。以上でございます。
○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。
○13番(大坪真由美) 高齢者への肺炎球菌ワクチン接種は医療費削減効果も期待をされ、肺炎球菌ワクチンが定期接種化されました。
公開をされております肺炎球菌ポリサッカライドワクチン作業チーム報告書では、高齢者肺炎球菌ワクチンを毎年65歳の方全員に接種をし、ワクチン接種の効果が5年間持続すると仮定をした場合、1年当たり5,115億円の保険医療費が削減できると推計されております。
今後の超高齢化社会を迎えるに当たり、健康寿命延伸に加えて医療費の増加を抑えるためには、このワクチンの接種率を上げて、肺炎にかかわる医療費を削減することが非常に有効な手段となるのではないかと思います。接種率を上げて肺炎を予防することは、福岡市の高齢者の健康寿命の延伸につながるのみならず、医療費削減に寄与できると考えられます。
では、接種費用の個人負担金は幾らになっていますでしょうか、また、その負担金について、他の政令指定都市との比較をお尋ねいたします。
○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。
○保健福祉局長(永渕英洋) 福岡市の個人負担金は4,200円となっております。生活保護世帯、市県民税非課税世帯等の方に対しましては、個人負担金の減免制度がございます。また、政令指定都市の個人負担金は3,000円から5,000円となっており、個人負担金が福岡市より高い都市は10市、低い都市は9市となってございます。以上でございます。
○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。
○13番(大坪真由美) 本市の個人負担金は4,200円とのお答えでございましたけれども、年金生活者の方にとっては高いと感じられて、接種を受けていないというお声もお聞きしております。実際はというと、定期接種の接種率は、先ほどお答えいただいた平成26年度から平成29年度の接種率を平均すると36.5%にとどまり、定期接種制度を利用していない人が多いようです。原因としては、接種しようと思っていたが忘れてしまった、機会を逃してしまったといったケースや、生涯1回であればいつでも好きなタイミングで助成が受けられる、5年後にまた接種の機会があるなどの勘違いが考えられます。
平成26年度から平成30年度までの経過措置期間は、65歳以上の方の肺炎球菌ワクチンの接種率を上げるチャンスではありますけれども、その周知方法や取り組みによって、この5年間で接種率に差がつくことが予想されます。また、接種率によって肺炎による入院や死亡の件数にも大きな差が出てくる可能性があります。
今年度は経過措置期間の最終年度となっておりますが、どのように取り組まれているのか、お尋ねをいたします。
○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。
○保健福祉局長(永渕英洋) 高齢者肺炎球菌ワクチンにつきましては、予防接種法で接種の努力義務が課されていないため、通常は個別の勧奨は行いませんが、いつ接種の対象となるかわかりづらいという面もあることから、対象の方へ予防接種のお知らせや予診票、実施医療機関一覧等を同封した封書を個別に送付いたしております。
また、市政だよりや戸別配布しております健診ガイド、福岡市ホームページによる案内、保健所や医療機関でのポスター掲示等、広く周知を行っているところでございます。以上でございます。
○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。
○13番(大坪真由美) 今回の高齢者肺炎球菌ワクチンの定期接種制度は、ワクチンの接種による高齢者の方の肺炎予防と肺炎医療費削減効果が期待をされ、導入されたものだと考えます。定期接種の経過措置の期間は5年間に限られており、来年度からは65歳の方だけが対象になる予定です。経過措置というわかりづらい制度により、高齢者肺炎球菌ワクチンの接種対象期間を過ぎてしまい、接種できなかった方、受け忘れた方を一人でも減らすことが住民サービスの観点からも重要であると考えます。
また、災害時に問題となる感染症、特に高齢者では避難所における肺炎対策が重要であり、平時において感染症対策を徹底しておくことも災害対策の一つであると考えます。
市民の方々の大切な命を守るため、行政の責務として、ぜひ積極的な取り組みを御検討いただきたいと考えますが、御所見をお伺いして、この質問を終わります。
○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。
○保健福祉局長(永渕英洋) 高齢者肺炎球菌ワクチンの未接種者への取り組みでございますが、定期予防接種期間外に任意で接種された方については、接種履歴が把握できず、その方々が5年以内に再接種を行った場合、初回接種より強い副反応が出るおそれがあることなどから、国の厚生科学審議会ワクチン評価に関する小委員会において、次年度以降の接種方法が検討されております。福岡市といたしましては、国の動向を注視しながら、引き続き接種の勧奨にしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。
○13番(大坪真由美) 最後に、学校施設や通学路における安全性確保の推進についてお伺いをいたします。
子どもたちが安全に登下校でき、安心して学校生活を送れる環境づくりを強力に進めなければならないとの観点から質問を進めてまいります。
昨年3月、千葉県松戸市の小3女児殺害事件や、ことし5月の新潟小2女児殺害事件など、子どもが狙われる犯罪がその後も後を絶ちません。地域に衝撃を与え、幼い命が奪われる事態を繰り返さないためにはどうすべきか、福岡市での現状と課題を確認していきたいと思います。
まず初めに、登下校の防犯対策についてです。
福岡市では、見守り、青パトなど各学校区で対応していただいておりますが、スクールガードに携わっておられる人数と講習の内容など、また、特徴ある取り組みについてお聞きいたします。
○議長(川上晋平) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 福岡市における子どもたちの見守り活動を行うスクールガードの人数は、平成29年度は1万8,067人となっております。
スクールガードを対象とした講習の内容につきましては、防犯に関する専門家の講話や、成果を上げている校区の取り組みの紹介などでございます。
また、各校区におけるスクールガードの特徴ある取り組みとしましては、自主的なパトロール隊による危険箇所での安全指導や、青色回転灯を装備したパトロールカーで1日3回以上校区巡回をすることや、会報を発行することで情報発信を行うことなどでございます。以上です。
○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。
○13番(大坪真由美) 登下校の安全対策については、地域の主体的な取り組みに委ねられてきた面が大きいと考えます。午後3時から6時の下校時間に被害が集中している点や、登下校を見守る担い手の高齢化や共働き家庭の増加により地域の目が行き届かない、また、見守り空白地帯をどう減らすかなど全国共通の課題は少なくないのです。
子どもたちを見守るために各地の自治体や学校では、ICTを活用し、児童の居場所を知らせるシステムを導入する動きが進んでいるとのことですが、有効な手だての一つになるのか、試験的に導入をされている学校の反応や評価についてお尋ねいたします。
○議長(川上晋平) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) ICTを活用した児童の居場所を知らせるシステムは、これまでに数種類が試験的に導入されており、ことしの3月から導入されたシステムでは、児童に専用の端末を身につけさせることにより、保護者が自分の子どもの登下校の時刻やセンサーが設置されたポイントを通過した時刻が把握できるものでございます。試験的に導入している学校からは、児童の登下校の時刻などが確認できるため便利であるという保護者の声があると聞いております。以上です。
○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。
○13番(大坪真由美) このシステムを導入するかどうかの判断は各学校によるとのことですが、文部科学省は子どもの安全に対する保護者の意識が高まっている、見守りシステムは地域や学校と連携する手段として有効ではないかとされています。
次に、通学路の安全確保についてです。
大阪府北部地震で女子児童がブロック塀の下敷きとなり、亡くなる事故が発生したことを受け、文部科学省が全国の学校の安全状況を調査したところ、約4分の1に当たる1万2,640校で建築基準法に適合しないなど、危険な塀があるとの発表が出されました。福岡県では777校。
また、学校施設が常に健全な状態を維持できるような適切な管理についての通知も発せられていますが、福岡市では文科省から依頼のあった学校施設におけるブロック塀等の安全点検等状況調査において、安全性に問題のあるブロック塀などを有する学校は何校ありましたでしょうか、お尋ねをいたします。
○議長(川上晋平) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 学校数につきましては、1.2メートル以下を含む全てのブロック塀について、学校の目視点検の結果をもとに軽微なひび割れや一部損傷があると報告があったものを含めて回答しており、小学校103校、中学校37校、高等学校1校、特別支援学校5校、幼稚園1園、計147施設でございます。以上です。
○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。
○13番(大坪真由美) 次に、この中には法定点検の対象外の施設はあったのか、これらの安全点検をどうするのか、お聞きをいたします。
○議長(川上晋平) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 学校施設においては、全て法定点検の対象としており、目視や打診による劣化状況の調査を全ての学校で行っております。
なお、前の質問でお答えした147施設に関して、直近の法定点検では緊急に改修を要するとの報告はございませんでした。以上です。
○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。
○13番(大坪真由美) また、安全性に問題のあるブロック塀などの工事着手までの間、安全確保をどうするかについてお伺いをいたします。
○議長(川上晋平) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) ブロック塀の安全確保につきましては、注意喚起や部分的な使用制限を行うなど適切な対応を行うよう学校へ周知を行っております。また、現在、専門家によるブロック塀の調査を行っており、調査結果を踏まえ、順次安全対策に努めてまいります。以上です。
○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。
○13番(大坪真由美) では、学校の危機管理マニュアル作成の手引に基づき、改めて通学路を確認すべきと考えます。あわせて、安全性に問題のある通学路についてはどのように対応しておられるのか、お伺いいたします。
○議長(川上晋平) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 各学校より指定されている通学路の安全点検としては、大阪北部地震の発生直後に小中学校の教職員が通学路に沿ったブロック塀の安全確認を行っております。その後、さらに専門家による通学路沿いのブロック塀の一斉調査を行っております。通学路に危険箇所がある場合は、その箇所を避けて登校することや通学路の変更をするなどして児童生徒の安全確保を行っております。以上です。
○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。
○13番(大坪真由美) 次に、不審者への対応についてですが、富山市では6月26日、男性が交番襲撃後、警官の拳銃を奪い、小学校に発砲した事件や、福岡市では7月2日、校舎4階女子トイレに男性不審者の侵入事件が発生をいたしましたが、教育委員会ではその後どのように対応されたのか、お伺いいたします。
○議長(川上晋平) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 不審者侵入事件を受けての対応は、それぞれの事件後に各学校、園に対して、門扉や昇降口などの戸締まりの徹底、来訪者の管理などを行うとともに、学校、園で作成している危機管理マニュアルをもとにした侵入者対策の再確認を行うことなどを改めて徹底しております。以上です。
○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。
○13番(大坪真由美) 学校に防犯カメラが設置されているということを広く周知することで、不審者への抑止になると考えます。
そこで、防犯カメラの設置状況、設置場所、誰がモニターの確認をされているのか、また、各学校で現在の防犯カメラの設置場所で大丈夫なのでしょうか、改めて点検をしていただきたいと考えますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(川上晋平) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 防犯カメラの設置状況は、各学校に3台の防犯カメラを正門及び裏庭や中庭など人目が届きにくいところに設置しております。モニターは校長室、職員室、事務室などに設置しており、その場にいる教職員がモニターの確認を行っております。また、防犯カメラの作動状況や設置場所等につきましては、毎年、専門家による点検を実施しており、その結果を踏まえ、適切に対処しております。以上です。
○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。
○13番(大坪真由美) では、学校来訪者への対応はどのように行われているのかをお聞きいたします。
○議長(川上晋平) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 学校、園への来訪者の対応としては、来訪者は必ず受付で来訪者名簿に記入の上、教職員の許可を受け、許可証を身につけて学校、園に入っていただくこととしております。校内で許可証を身につけていない来訪者を発見した場合は、速やかに複数の教職員で対応し、必要に応じて児童生徒の安全確保の上、警察に通報することとしております。以上です。
○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。
○13番(大坪真由美) 神奈川県の藤沢市では、学校の入り口から受付まで誘導する矢印のテープを廊下に張ることを提唱され、訪問者がライン上から外れたところにいれば、児童も侵入者と判断ができ、成果を上げているとのことです。
次に、学校での救命教育の普及推進及び危機管理体制の整備についてお伺いいたします。
突然の心肺停止から救い得る命を救うためには、心肺蘇生、AEDの知識と技術を体系的に普及する必要があり、学校での救命教育はその柱となるものであります。
日本では、平成16年に市民によるAEDの使用が認められて以降、急速にその設置が進み、AEDの使用によって救命される事例も数多く報告をされております。しかしながら、いまだなお、毎年7万人に及ぶ方が心臓突然死で亡くなっているのとともに、学校でも毎年100名近くの児童生徒の心肺停止が発生しております。
そこで、福岡市の小中学校におけるAEDの設置状況についてお尋ねをいたします。
○議長(川上晋平) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) AEDの設置状況につきましては、小学校、中学校を初め、幼稚園、高等学校、特別支援学校を含む全ての市立学校に設置しております。以上です。
○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。
○13番(大坪真由美) 日本循環器学会における提言、学校での心臓突然死ゼロを目指しての中に、学校内のAEDの設置推奨場所が示されております。AEDの設置に当たっては、使われる可能性の高い場所からのアクセスを意識する必要があるとされ、小中学校内の心停止発生場所として、グラウンドが53%、プールが19%、体育館が13%と運動に関連した場所で起こっていることから、運動場所を意識したAED設置場所を強く奨励されています。
また、学校内のどこからでも片道1分以内に取りに行ける場所の設置も奨励されていることから、各学校においての現在設置をされている場所で本当によいのか、改めて点検をしていただきたいと考えますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(川上晋平) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 各学校でのAEDの設置場所は、主に玄関、職員室など誰にでもわかりやすい場所を選定しているところでございますが、今後、改めて設置場所の確認を行ってまいります。以上です。
○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。
○13番(大坪真由美) また、AEDの設置場所を教職員の方や児童生徒が全員知っておくのはもちろんのことでございますが、学校は、休日や夜間に体育館やグラウンドにおいて活動を行う部活動や少年サッカー、少年野球、また、地域の方が行うスポーツなどの利用もあります。
そこで、それらの方にもAEDの設置場所がすぐにわかるような掲示の工夫や、さらには利用方法の周知なども必要と考えますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(川上晋平) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) AED設置場所の掲示は、各学校において、AEDの近くに表示をするとともに、外部からもわかりやすいよう玄関先などに設置施設であることの表示をしておりますが、よりわかりやすい掲示の工夫について検討してまいります。また、学校施設の利用者などへの啓発につきましても、利用者説明会などの機会を捉えて取り組んでまいります。以上です。
○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。
○13番(大坪真由美) それでは、AEDが設置されていたにもかかわらず、それが適切に使われずに失われた命も少なくありません。その中には、平成23年9月のさいたま市での小学校6年生の女子児童の事故のように、AEDが活用されず、救命できなかったという事例も複数報告をされています。
教職員の方へのAED講習の実施状況など具体的な取り組みも含め、また、本市の小中学校における児童生徒への救命教育の現状と今後の方向性をお聞かせください。
○議長(川上晋平) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 教職員へのAED講習は、各学校、園の教職員1名と新規採用教職員全員を対象に、心肺蘇生法とAEDの実技を行う研修を消防局と連携し、毎年実施しております。また、児童生徒への救命教育につきましては、現行の学習指導要領において、小学5年生ではけがの手当て、中学校2年生では応急手当てについて学習することになっております。
福岡市ではこれに加え、消防局と連携し、小学5年生ではAEDの機能や働きを、中学2年生ではAEDの実技を伴う心肺蘇生法の学習を行っております。これらのAED講習や救命教育は、今後も継続して行ってまいります。以上です。
○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。
○13番(大坪真由美) 学校における救命教育の重要性についての認識は広がりつつあり、平成29年3月に公示をされた中学校新学習指導要領保健体育科の保健分野では、応急手当てを適切に行うことによって傷害の悪化を防止することができること、また、心肺蘇生法などを行うことと表記されているとともに、同解説では、胸骨圧迫、AED使用などの心肺蘇生法、包帯法や止血法としての直接圧迫法などを取り上げ、実習を通して応急手当てができるようにすると明記をされております。しかしながら、全国における教育現場での状況を見ると、全児童生徒を対象にAEDの使用を含む救命教育を行っている学校は、平成27年度実績で小学校で4.1%、中学校で28.0%、高等学校でも27.1%と非常に低い状況にあります。
そこで、お伺いいたしますが、本市においても、児童生徒、教職員の方に対する心肺蘇生とAEDに関する教育を普及推進するとともに、学校での危機管理体制を拡充し、児童生徒の命を守るための安全な学校環境を構築することは喫緊の課題と考えますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(川上晋平) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 福岡市における心肺蘇生とAEDに関する教育につきましては、全ての小学5年生と中学2年生で実施をしております。今後も児童生徒に対して救命教育を継続して行うとともに、教職員への研修の充実を図り、児童生徒や教職員の危機管理意識を高め、安全で安心な学校づくりを推進してまいります。以上です。
○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。
○13番(大坪真由美) ぜひよろしくお願いいたします。
ことしの夏は猛暑が続き、熱中症の多発や豪雨による自然災害の被害など子どもたちを取り巻く環境が変化をしている昨今、各学校を中心に家庭、地域、関連機関がさらに連携を深め、開かれた学校づくりに努められ、安全教育を充実していただくことを念願いたします。
最後に、学校の安全性確保の推進について髙島市長の御所見をお伺いして、私の質問を終わります。
○議長(川上晋平) 髙島市長。
○市長(髙島宗一郎) 子どもたちが安心して学校に通って、安全な学校生活が過ごせるような教育環境を整えることは大変重要であるというふうに考えています。
福岡市はこれまで、学校施設の耐震化や、また、学校への防犯カメラの設置など、学校における防災力ですとか防犯力を高める取り組みを進めてまいりました。また、全ての普通教室に空調設備を整えまして、夏の暑い時期でも熱中症を心配することなく、子どもたちが快適な環境で学習が行えるようにいたしております。
今後も、大坪議員御指摘のとおり、教育委員会を初め、関係機関と連携を図りながら、引き続き教育環境の整備を進めますとともに、子どもたちへの安全教育の充実を図るなど、より一層、学校の安全性の確保に取り組んでまいります。以上です。