◯13番(川上多恵)登壇 公明党の川上多恵でございます。私は公明党福岡市議団を代表して、青少年のネット・メディア依存対策について、災害時の文化財保護について、児童虐待根絶に向けての取り組みについての3点について質問させていただきます。
まず、青少年のネット・メディア依存対策についてです。
2018年8月、厚生労働省研究班は病的なインターネット依存が疑われる中高生が93万人にも上るという調査結果を公表しました。これは中高生の7人に1人に当たり、5年前の調査からほぼ倍増していると言われています。
そこで、お尋ねいたしますが、平成30年度青少年のインターネットを利用している子どもの割合をお示しください。
以上で1問目の質問を終わり、2問目以降は自席にて行います。
◯議長(阿部真之助) 星子教育長。
◯教育長(星子明夫) 平成30年度に内閣府が実施した青少年のインターネット利用環境実態調査によると、全国でインターネットを利用している子どもの割合は小学生85.6%、中学生95.1%、高校生99.0%となっております。以上です。
◯議長(阿部真之助) 川上多恵議員。
◯13番(川上多恵) ただいまの御答弁のように、児童生徒におけるインターネットを利用している割合は小学生においては8割以上、中高生においては9割以上との調査結果となっています。また、総務省が毎年発表している青少年のインターネット利用環境実態調査によると、インターネットを利用していると答えた小学生のうち、スマートフォンを利用している割合は2018年で約46%まで急増しているとの報告が発表されていました。インターネットを利用していると答えた高校生のうち、スマートフォンを利用している割合は限りなく100%に近づきつつあるという状態です。
では、子どもたちはスマートフォンやインターネットでどのようなことをやっているのでしょうか。LINE、ユーチューブ、ニコニコ動画、ツイッター、ゲームアプリ、さまざまな検索、動画の撮影、送信、書籍を読む、お財布機能など、日常生活のあらゆる場面でスマートフォンは極めて便利な道具となっています。興味のある分野に没頭してしまうと、気がつけば長時間にわたってスマートフォンをさわっているという状況です。世界保健機関、WHOは本年5月、ゲーム障がいを新たな依存症として正式に認定いたしました。
そこで、お尋ねいたしますが、ネット依存、ゲーム障がいとはどのような状況のことをいうのか、教えてください。
◯議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
◯保健福祉局長(舟越伸一) インターネット依存、ゲーム障がいとは一般にインターネットやオンラインゲームなどを過剰に使用し、日常生活や健康よりもインターネットの使用を優先して、使用時間などを自分でコントロールできない状態とされております。なお、ゲーム障がいにつきましては、世界保健機関の定義によりますと、日常生活の中でゲームを最優先し、ゲームをする時間や頻度などをコントロールできず、生活に問題が生じてもゲームを続ける状況が12カ月以上続く場合とされております。以上でございます。
◯議長(阿部真之助) 川上多恵議員。
◯13番(川上多恵) 厚生労働省は先月末、若者のゲーム障がいに関する全国実態調査の結果を公表しました。その結果、10代と20代の約12%が休日に6時間以上ゲームをしており、プレー時間が長い人ほど学業、仕事への悪影響や心身の不調を感じながら、ゲームをやめられないなど依存傾向にあることがわかりました。
それでは、小中高生のどのくらいの割合がネット依存の状態にあるのか、過去の調査結果と直近の調査結果を比較して教えてください。
◯議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
◯保健福祉局長(舟越伸一) 中高生のネット依存の状態につきましては、厚生労働省が平成24年度と29年度に調査を実施しており、ネット依存の状態をスクリーニングテストによってはかっております。このテストでは、インターネットを使うことを渇望する、使い始めに意図したよりも長い時間使う、時間を減らしたり、やめようとすると落ち着かなくなるなど、8つの質問項目のうち5項目以上に該当した者を病的使用者とみなしており、その割合は平成24年度は中学生が6.0%、高校生が9.4%で、29年度は中学生が12.4%、高校生が16.0%となっており、5年間で中学生では約2倍、高校生では約1.7倍となっております。なお、本調査において小学生は対象とされておりません。以上でございます。
◯議長(阿部真之助) 川上多恵議員。
◯13番(川上多恵) 福岡市では小中高生のどのくらいの割合がネット依存の状態にあるのか、直近の数を教えてください。
◯議長(阿部真之助) 星子教育長。
◯教育長(星子明夫) 福岡市教育委員会が実施した平成25年度小中学生のメディアに関する意識と生活アンケート調査、及び平成27年度の高校生のメディアに関する意識と生活アンケート調査において、ゲーム、インターネット、携帯について思った以上に時間を使っているや、する時間を減らしたり、やめたりすると落ち着かなくなっていらいらするなど、使用時間や気持ちに関する8項目の設問に対し、全く当てはまらない、少し当てはまる、割と当てはまる、とても当てはまるの回答を点数化し、その合計点数によって4群に分けたうち、最も高い依存レベルである依存危険群とされた割合が、小学4年生から6年生までは7%、中学生では11%、高校生では14%となっております。以上です。
◯議長(阿部真之助) 川上多恵議員。
◯13番(川上多恵) それでは、子どもたちがネット依存の状態になると、どのような問題が発生するのか、御教示ください。
◯議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
◯保健福祉局長(舟越伸一) インターネット依存による子どもへの影響につきましては、精神面では生活リズムの乱れによる睡眠障がい、いらいらや鬱状態、ひきこもり状態などが生じることがあり、また、身体面では視力の低下、運動不足による筋力や運動機能の低下、偏った食生活による栄養障がいなどが生じることがあるとされております。さらに、人間関係では、コミュニケーション能力の低下や暴言などにより家族や友人との関係悪化や孤立が生じるなど、日常生活や学業に大きな影響が出る場合があるとされております。以上でございます。
◯議長(阿部真之助) 川上多恵議員。
◯13番(川上多恵) 先日、小学校6年生十数名にゲームをしているか聞いてみました。すると、全員がゲームをしていると答えました。さらに、放課後の時間をどのように過ごしているか質問してみると、ほとんどの子どもが友達の家に行ってゲームをしていると答えました。そして、おうちの人とゲームなどの利用時間やルールを決めているかどうか尋ねてみると、決めていると答えたのはわずか1人だけでした。現代の小学生の遊び方、ゲームをするに当たってのルールが決められていないことなどがわかり、現実を再確認させられる機会となりました。
このような現状を踏まえ、心身ともに子どもの成長をむしばんでいくネット環境から何としても子どもを守ることは喫緊の課題であると思います。もちろんスマートフォンを持たせるのは保護者であり、その際に使用する目的や使い方のルール、フィルタリングの設定など、各家庭で話し合われていることも多いと思われますが、先ほどお示しいただいた影響を考えると、学校や地域社会で子どもたちにメディア全般についてその危険性も含めてしっかり学ぶ機会を設けていく重要性を感じます。例えば、ゲームやスマートフォンなどの電子メディア漬けの生活を見直すアウトメディアやメディアリテラシー教育に取り組むべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
◯議長(阿部真之助) 星子教育長。
◯教育長(星子明夫) 子どもたちのメディアへの過度な接触を減らすことは、子どもたちと家族とのかかわりや自分自身の生活を見詰め直す機会になるなど、インターネットやメディアへの依存防止につながるものであると考えております。また、メディアリテラシー教育は情報社会で適正な活動を行うためのもとになる考え方や態度を育てることにつながると認識しており、今後も引き続き取り組んでまいります。以上です。
◯議長(阿部真之助) 川上多恵議員。
◯13番(川上多恵) この質問に当たり、静岡県のゲーム障害・ネット依存対策事業についてお話を伺ってまいりました。ゲーム障がい、ネット依存が社会問題となっている現状を踏まえ、教育、医療機関が連携して、対策の強化を図るために取り組んでいる事業でした。ゲーム障がい、ネット依存に対する周知、啓発や中高生を対象にネット依存度スクリーニングテストやスマホルールアドバイザーのボランティア人材の養成、さらにネット環境から離れる機会をつくるため、つながりキャンプを実施しています。また、医療機関と連携し、本人や家族向けのプログラムを実施するなど、すばらしい取り組みだと思います。
他都市の例も参考に、福岡市においてもネット依存が疑われる児童生徒が自分の生活を見詰め直すきっかけとなるような取り組みをしてはいかがでしょうか、また、ネット依存やゲーム障がいによって重症化した場合に専門的に診ていただける専門外来を市立病院に創設するなど、専門医療の普及拡大を検討されてはいかがでしょうか、御所見をお伺いいたします。
◯議長(阿部真之助) 星子教育長。
◯教育長(星子明夫) 児童生徒が自分の生活を見詰め直すきっかけとして、インターネットやゲームへの依存の状態を客観的に知ることはとても大切だと認識しており、今後取り組みについて、他都市の例も参考にしながら検討してまいります。以上です。
◯議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
◯保健福祉局長(舟越伸一) 市立病院への専門外来の創設など、専門医療の普及拡大についてのお尋ねでございますが、インターネット依存やゲーム障がいの診察、そして治療につきましては、専門的な知識やスキルが必要となっておりまして、現在、国が具体的な診断基準などの整備検討を進めているところでございます。
福岡市といたしましては、インターネット依存やゲーム障がいに対する今後の国の方針や研究の進捗状況などにも留意し、情報収集を図りながら、専門医療の普及促進に努めてまいりたいと考えております。以上でございます。
◯議長(阿部真之助) 川上多恵議員。
◯13番(川上多恵) 専門外来の創設などネット依存、ゲーム障がいの対策をスピード感を持って取り組んでいただきたいと要望しておきます。
インターネット上での書き込みがいじめ、不登校につながることから、福岡市としてどのような対策を講じておられるのか、お尋ねいたします。
◯議長(阿部真之助) 星子教育長。
◯教育長(星子明夫) インターネット上の書き込みへの対応としては、不適切な書き込み等を監視する、いわゆるネットパトロールを業者に委託しており、不適切な書き込みを検知した場合は、教育委員会を通じて学校へ通知しております。
また、教育委員会のホームページに児童生徒及び保護者、教職員を対象としてインターネット利用に関する啓発資料を掲載するとともに、同様の内容を学校に通知することで周知に努めております。さらに、小学校5、6年及び中学校各学年の道徳や中学校の技術・家庭科の授業において、他の人に迷惑をかけない情報発信や個人情報の保護等の情報モラルについての指導を全ての学校で行っております。以上です。
◯議長(阿部真之助) 川上多恵議員。
◯13番(川上多恵) ネットパトロールで掌握できた件数を直近3年間で教えてください。また、そのうちネットトラブルが何件なのかもあわせて教えてください。
◯議長(阿部真之助) 星子教育長。
◯教育長(星子明夫) ネットパトロールによって検知された件数は、平成28年度は1,857件、29年度は1,910件、30年度は1,515件となっております。そのうち、内容がいじめや中傷に関するものだったために、学校が児童生徒に確認し指導を行った件数は、平成28年度は114件、29年度は49件、30年度は44件となっております。以上です。
◯議長(阿部真之助) 川上多恵議員。
◯13番(川上多恵) 自己抑制力や判断力が未熟な子どもたちが自分のスマートフォンを手にして、ネット社会に足を踏み入れてしまうと、さまざまな事件や事故に巻き込まれてしまうおそれがあります。2017年、埼玉県座間市で自殺願望をスマートフォンでつぶやいた女子高校生など9人が殺害されるという衝撃的な事件が起こりました。また、つい先月も、大阪の小学校6年生の女子児童が誘拐され、栃木県で保護された事件は、犯人と知り合ったきっかけになったのはツイッターでした。今回と同様の事件はことし3月にも福岡県に住む小学生の女子児童が犯人に誘われ、大阪市で保護されるなど、SNSを通じて犯罪に巻き込まれる子どもがふえています。SNSを通じて児童買春や誘拐などの犯罪被害に遭った18歳未満の子どもは、一昨年に1,813人と過去最高となり、昨年も1,811人に上っています。子どもはSNSでつながった相手と面識はなくても知らない人ではなく知り合いと認識し、警戒心を緩めてしまうのではないでしょうか。まして相手が犯罪者であるかもしれないという想像力は大人よりも乏しく、言葉巧みに誘い出され、犯罪に巻き込まれるおそれが大きいことは、最近の事件を見るまでもありません。
このようにSNSを通じて子どもたちが事件に巻き込まれる危険性は常にあり、心身に及ぼす悪影響とあわせて、この問題への対策は待ったなしです。ネット依存やゲーム障がいへの理解を深めるための普及啓発や身近に相談できる窓口の拡充が必要であると思いますが、御所見をお伺いいたします。
◯議長(阿部真之助) 星子教育長。
◯教育長(星子明夫) 児童生徒にインターネットやメディアとの正しい接し方を理解させることは重要であり、犯罪に対する被害防止やネット依存の防止につながるものと認識しております。ネット依存防止の啓発は、これまで教育委員会のホームページに掲載しているインターネット利用に関する資料に加えて、ネット依存防止の理解を深めるための資料を掲載するとともに、同様の内容を学校に通知することで啓発の充実を図ってまいります。また、相談先としてスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置、SNSによるLINE相談の開設等、相談できる窓口の拡充を図ってきており、今後も子どもたちが気軽に相談できる体制の充実に努めてまいります。以上です。
◯議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
◯保健福祉局長(舟越伸一) ネット依存やゲーム障がいに関しましては、平成30年度に市民講演会を実施し、今年度もゲーム依存の理解と支援と題した市民セミナーを実施するなど啓発に努めております。ことし5月に世界保健機関がゲーム障がいを新たな疾病と認定したところでありまして、今後、具体的な診断基準などが整備され、令和4年1月に施行される予定となっております。
このような動向を注視し、関係機関と連携しながら相談や診療ができる医療機関の拡充やネット依存、ゲーム障がいの啓発に加えて、当事者や家族に対する相談支援の充実に努めてまいります。以上でございます。
◯議長(阿部真之助) 川上多恵議員。
◯13番(川上多恵) この質問の最後に、高島市長の子どもたちをネット・メディア依存やSNSを通じたネット犯罪などに巻き込まれないための対策に向けての御決意、御所見をお伺いいたします。
◯議長(阿部真之助) 高島市長。
◯市長(高島宗一郎) 近年のインターネットなどの急速な普及に伴いまして、社会が大きく変化し、多くの利便性がもたらされているわけでございますが、その反面、川上議員御指摘のとおり、ゲームやメディアへの依存ですとか、また、ネット犯罪などへの深刻な問題が発生をしている状況にございます。子どもたちを守るための対策を講じていく、これは大変重要であるというふうに考えています。そのためにインターネットやメディア依存の予防、啓発、そして、SNSを通じたネット犯罪に子どもたちが巻き込まれないという取り組み、これを引き続き推進しますとともに、国の依存症対策のための新たな知見等を踏まえまして、専門医療の普及啓発に努めますなど、青少年のネット・メディア依存対策にしっかりと取り組んでまいります。
◯議長(阿部真之助) 川上多恵議員。
◯13番(川上多恵) ありがとうございます。
次に、災害時の文化財保護についてお尋ねいたします。
台風19号により川崎市市民ミュージアムが浸水し、9つある地下収蔵庫が全て水没し、美術品や貴重な資料など、約26万点の多くが被害を受けました。この質問に当たり、独立行政法人国立文化財機構文化財防災ネットワーク推進室を訪問し、お話を伺ってまいりました。この推進室は文化財防災ネットワークの維持強化により、地域における文化財防災の推進を図るための事業を行っております。さまざまお話を伺う中で、印象的だったのは、文化財の活用ばかりが注目されていますが、大事なのは文化財をいかに保存し、継承していくかですとおっしゃられていたことです。
福岡市では、高潮発生時の浸水状況と避難行動に役立つ情報を市民の皆さんに提供するために、高潮ハザードマップをウエブマップ上で公表しています。それによりますと、福岡市博物館は1から3メートル、福岡市美術館は3メートル以上、高潮の浸水が想定されています。
そこで、お尋ねいたしますが、福岡市博物館や福岡市美術館において展示品の展示場所や収蔵品の保管場所は何階に位置しているのか、教えてください。
◯議長(阿部真之助) 高島経済観光文化局長。
◯経済観光文化局長(高島 収) 博物館及び美術館の展示室と収蔵庫の場所につきましては、博物館では1階に収蔵庫、2階に展示室があり、美術館では1階に収蔵庫と展示室、2階に展示室がございます。以上でございます。
◯議長(阿部真之助) 川上多恵議員。
◯13番(川上多恵) 1階であれば浸水が起きた場合に文化財を守る対策が必要であると考えます。対応についてどのように考えているのか、お答えください。
◯議長(阿部真之助) 高島経済観光文化局長。
◯経済観光文化局長(高島 収) 浸水の際の文化財を守る対策につきましては、博物館と美術館において浸水が想定される際には、外部からの出入り口に土のうや止水シートを設置するとともに、収蔵庫や展示室に至る建物内部の通路などにも土のうを設置し、浸水を防ぐ対策を迅速に講じることとしております。今後とも、他都市における浸水被害事案も参考にしながら、浸水に対する対策の充実に努めてまいります。以上です。
◯議長(阿部真之助) 川上多恵議員。
◯13番(川上多恵) 各地を襲っている最近の台風や大雨は災害級と言われるほど想定外の被害に見舞われています。土のう等で浸水を防ぎ、大事な文化財を本当に守ることができるのでしょうか。あらゆる自然災害を想定しながら、今後の対策にしっかり取り組んでいただきたいと思います。
10月31日未明に発生した首里城の大規模火災は、正殿が全焼し、少なくとも7棟を全焼する大きな被害となりました。沖縄県民の方々にとって象徴的な建造物である首里城が火災により焼失してしまったことは大変ショックであり、その衝撃は全国的にも大きなものとなりました。
福岡市内にも多くの文化財建造物があり、特に私の地元、博多区にはお寺や神社などの歴史的建造物も数多くあります。博多区では千年煌夜や灯明ウォッチング、博多情緒めぐりなど、寺社を舞台に年間を通してイベントが開催されています。
先日、博多区の東長寺を訪れ、福岡市の指定文化財である六角堂についてお話を伺ってまいりました。六角堂には消火器が建物内部に設置されているとのことでした。市民の皆様に親しまれている寺社を中心とした地域イベントが安心して実施できるよう、ここからは歴史的建造物などの火災時の対応についてお尋ねいたします。
まず、文化財建造物について、指定文化財と登録文化財がありますが、その違いを教えてください。
◯議長(阿部真之助) 高島経済観光文化局長。
◯経済観光文化局長(高島 収) 指定文化財は文化財建造物のうち、特に重要なものを国、県、市が指定し、財政的な支援などを通じて恒久的に保存していくための制度でございます。一方、登録文化財は緩やかな規制のもとで、所有者等が利用しながら保存していくことを目的としており、国及び市が登録文化財を認定する制度でございます。以上でございます。
◯議長(阿部真之助) 川上多恵議員。
◯13番(川上多恵) 万一、災害や火災が発生した場合の初期対応について、行政として指導していることはありますか、また、行政として初動対応はどのようなものがあるのか、御教示ください。
◯議長(阿部真之助) 山下消防局長。
◯消防局長(山下周成) 災害や火災が発生した場合の初期対応につきましては、消防局では文化財防火デーであります1月26日を起点として文化財防火運動を展開し、消防演習や消防職員による立入検査の実施を通じて、防火管理体制の確認のほか、通報、初期消火、重要物件の搬出及び避難誘導訓練の指導を行っております。加えて、文化財関係者に対して防火対策等の徹底について、文書送付による注意喚起を行い、防火意識の向上に努めております。以上でございます。
◯議長(阿部真之助) 高島経済観光文化局長。
◯経済観光文化局長(高島 収) 文化財担当としての初動対応につきましては、台風や地震などの災害発生の後に文化財の被災状況を把握するため、文化財所有者から連絡をいただくだけではなく、職員がみずからパトロールを行うなど、情報収集に努めているところでございます。なお、文化財が被災をしている場合には速やかに被災状況を確認し、復興や修理に対する支援を行うこととしております。以上でございます。
◯議長(阿部真之助) 川上多恵議員。
◯13番(川上多恵) 放火や延焼に備えて、放水銃やスプリンクラーの設置がされているのか、お答えください。また、後づけする場合に費用の助成金制度などがあれば教えてください。
◯議長(阿部真之助) 高島経済観光文化局長。
◯経済観光文化局長(高島 収) 市内の指定文化財建造物35件のうち、放水銃が設置されているものは6件、スプリンクラーが設置されている建造物はございません。また、指定文化財においては、後づけで設置する消防、防火設備につきまして、国が策定した防災ガイドライン等に基づき、関係機関と協議の上で設置する場合には補助金の対象となるものでございます。以上でございます。
◯議長(阿部真之助) 川上多恵議員。
◯13番(川上多恵) 災害等により文化財建造物が破損したり、焼失したりした場合に支援できるサービスがあれば教えてください。
◯議長(阿部真之助) 高島経済観光文化局長。
◯経済観光文化局長(高島 収) 災害等により指定文化財建造物が被災した場合には、復興や修理に多額な費用が必要となることから、その費用の一部を補助金により支援する制度がございます。さらに、指定文化財及び登録文化財の建造物については、福岡市が保有しています図面や写真の提供、修理に関する技術的な助言などの支援も行うこととしております。以上でございます。
◯議長(阿部真之助) 川上多恵議員。
◯13番(川上多恵) 国宝や重要文化財を数多く有する京都市では、文化財市民レスキュー体制が整っています。この制度は、災害時に文化財の保護等に当たるもので、有事の際に対応できるよう消防局での合同訓練や研修等を行っています。消防隊が到着するまで寺社の関係者や門徒、周辺住民が分担して消火、通報、文化財搬出等の初動活動に当たるそうです。また、観光ガイドやタクシー乗務員などを対象に講習を行い、初期消火や応急手当てなどを迅速に行う文化財防災マイスター制度も実施しています。さらに、小中学生に文化財に対する防災への意識を高める文化財サマースクールも行っており、こうした地道な取り組みが将来にわたる文化財防災につながっていくのではないかと思います。
災害に備えて地域で文化財の保護意識を高めるために、行政と地域の関係者やNPO法人などが連携したネットワーク体制が整っているのか、御所見をお伺いいたします。
◯議長(阿部真之助) 高島経済観光文化局長。
◯経済観光文化局長(高島 収) 文化財建造物を災害から守り、長期的に保存していくために、福岡市では平成30年度に登録文化財建造物の所有者や歴史文化遺産の保存に関する専門家であるヘリテージマネジャー、そして学識経験者とともに、登録文化財建造物に係る連絡会を設置したところでございます。このような文化財関係者によるネットワークの充実を図りながら、文化財の保存活用に係るさまざまな課題の解決に取り組んでいるところであります。今後はそれに加えて、災害時の支援体制の構築などについても検討してまいりたいと考えております。以上でございます。
◯議長(阿部真之助) 川上多恵議員。
◯13番(川上多恵) ことし4月に施行された改正文化財保護法では市町村がまちづくりと連携して文化財保護に取り組むため、都道府県が文化財の保存、活用に関する大綱を防災の観点も重視した上で、地域社会全体で文化財を継承していく体制づくりを促しています。いつ起こるかわからない大規模災害に備えて、文化財防災の重要性を認識し、先人から受け継いだ文化財を損なうことなく、後世に継承していけるような体制づくりをぜひ本市に行っていただきたいと思います。
この質問の最後に、高島市長に災害時の文化財保護に対する御所見をお伺いいたします。
◯議長(阿部真之助) 高島市長。
◯市長(高島宗一郎) 福岡市には国宝の金印、また、国史跡福岡城、鴻臚館など二千年を超える歴史を物語る貴重な文化財ですとか歴史的な建造物が数多く残されています。市内の各地域に伝わります文化財は地域の宝でありまして、まちづくりや、また、地域振興などの核をなすものでございます。こうした文化財を保存、そしてまた継承していくために、これまで博多部のライトアップウォークですとか福岡城のおおほりまつりなど、地域の皆さんとも連携をしながら、さまざまな取り組みを行ってまいりました。さらに、ことしはG20福岡財務大臣・中央銀行総裁会議ですとかラグビーワールドカップの期間中に文化財を生かしたおもてなしですとか、伝統文化イベントを実施して世界各国に福岡市の歴史、文化の魅力を発信することができました。
川上議員御指摘のとおり、このように貴重な文化財や歴史的な建造物が災害等によって失われることがないように、市民や地域、企業、行政などが協力をして地域社会全体で文化財の保存と活用の取り組みを進めてまいります。
◯議長(阿部真之助) 川上多恵議員。
◯13番(川上多恵) 次に、児童虐待根絶に向けての取り組みについてお尋ねいたします。
大変悲しいことに児童虐待による死亡事故が相次いでいます。厚生労働省の調査によると、2018年度に全国の児童相談所が対応した児童虐待件数は、前年度と比べて約2割増の約16万件にも上り、調査を始めた年から28年連続でふえ続けているとのことです。毎年11月は厚生労働省が定める児童虐待防止推進月間です。私たち公明党は、児童虐待防止のシンボルマークにちなんだオレンジリボン街頭演説会を全国各地で実施し、小さな命を守るとともに、安心して子育てできる環境づくりの大切さを訴えています。福岡市の子どもたちが虐待を受けることなく、健やかに成長していけるよう虐待の根絶に向けての取り組み、対策について質問してまいります。
まず、虐待にはどのような行為があるのか、わかりやすく教えてください。
◯議長(阿部真之助) 高田こども未来局長。
◯こども未来局長(高田浩輝) 児童虐待の種類につきましては、児童虐待防止法の定義によりますと、児童の身体に外傷が生じ、または生じるおそれのある暴行を加える身体的虐待、児童にわいせつな行為をすること、また児童をしてわいせつな行為をさせる性的虐待、児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食または長時間の放置など、保護者としての監護を著しく怠る放任虐待、児童に対する著しい暴言または著しく拒絶的な対応を行うなど、児童に著しい心理的外傷を与える言動を行う心理的虐待の4つの行為とされております。以上でございます。
◯議長(阿部真之助) 川上多恵議員。
◯13番(川上多恵) 今お示しのありましたそれぞれの虐待の福岡市における相談対応件数を教えてください。
◯議長(阿部真之助) 高田こども未来局長。
◯こども未来局長(高田浩輝) 平成30年度の虐待内容別の児童虐待相談対応件数につきましては、身体的虐待が526件、性的虐待が23件、放任虐待が424件、心理的虐待が1,345件でございます。以上でございます。
◯議長(阿部真之助) 川上多恵議員。
◯13番(川上多恵) 福岡市における虐待相談の対応件数を直近の5年間で教えてください。
◯議長(阿部真之助) 高田こども未来局長。
◯こども未来局長(高田浩輝) 過去5年間の児童虐待の相談対応件数につきましては、平成26年度は798件、27年度は894件、28年度は1,387件、29年度は1,616件、30年度は2,318件でございます。以上でございます。
◯議長(阿部真之助) 川上多恵議員。
◯13番(川上多恵) ただいまお示しのありましたとおり、本市における虐待相談対応件数は5年前の平成26年度と比較すると、平成30年度は約3倍近くにふえていることがわかります。虐待に関する相談件数が余りにもふえていることに驚きとショックで本当に胸が痛みます。
それでは、虐待相談対応件数の増加の要因は何であるとお考えですか、お答えください。
◯議長(阿部真之助) 高田こども未来局長。
◯こども未来局長(高田浩輝) 虐待相談対応件数の増加につきましては、主に警察からの通告、特に子どもの面前における夫婦間等でのDVに関する通告、いわゆる面前DVを心理的虐待とする通告の増加と一般の市民の方の児童虐待に対する関心の高まりによる近隣、知人からの通告が増加していることが主な要因となっております。以上でございます。
◯議長(阿部真之助) 川上多恵議員。
◯13番(川上多恵) 虐待防止に関する対策としてどのようなことをされているのか、お答えください。
◯議長(阿部真之助) 高田こども未来局長。
◯こども未来局長(高田浩輝) 虐待防止に関する対策につきましては、児童虐待の未然防止に向け、妊娠期から子育て期までの支援を切れ目なく提供するため、各区保健福祉センターに子育て世代包括支援センターを設置し、助産師等の専門職による新生児全戸訪問や養育支援が必要な家庭に支援員を派遣する養育支援訪問事業を行っております。また、市内2カ所に子ども家庭支援センターを設置し、子どもに関する家庭からの相談対応や、こども総合相談センターや区の保健福祉センターと連携した支援を実施いたしております。さらに、子どもにかかわる機関、団体、28団体と本市で構成する福岡市子ども虐待防止活動推進委員会において、虐待防止に向けた情報共有を行うとともに、市民フォーラムやオレンジリボンキャンペーンを共働で行い、広報、啓発に取り組むなど、地域全体で子どもと家庭を見守る取り組みを推進いたしております。以上でございます。
◯議長(阿部真之助) 川上多恵議員。
◯13番(川上多恵) 学校、地域、行政、医療機関などの関係機関の連携強化についてはどのように取り組んでおられるのか、お答えください。
◯議長(阿部真之助) 高田こども未来局長。
◯こども未来局長(高田浩輝) 関係機関の連携強化につきましては、各区に要保護児童支援地域協議会を設置し、支援を要する子どもや家庭を対象に、構成機関、団体のメンバーが連携して地域での支援を行っております。また、福岡市と福岡県警察本部との間で児童虐待事案に関する情報共有について協定を締結したほか、こども総合相談センターの事務室と同一フロアに設置されている福岡県警少年サポートセンターと協力して対応するなど、警察との連携を強化いたしております。
そのほか、市内の主な医療機関、関係機関で構成する医療ネットワークを構築し、地域の医療機関等を対象とした児童虐待に関する相談窓口を拠点病院に設置するとともに、定期的に意見交換の場を設け、医療機関がかかわった児童虐待対応についての情報共有等を行っております。以上でございます。
◯議長(阿部真之助) 川上多恵議員。
◯13番(川上多恵) 相次ぐ悲惨な事件で地域の方々など、社会の関心が高まり、警察や学校、近隣住民などからの相談や通告もふえているとのことです。また、虐待の要因に目を向けてみますと、家庭環境や子どもの成長の過程での様子など、さまざまではあると思いますが、その一つに核家族化や地域のつながりの希薄化による親の孤立があると思われます。子育て中の親を対象にしたNPO主催のイベントでは、全てを1人でこなすワンオペ育児で心身ともに疲れ果てた、社会に取り残されているような不安が専業主婦にはあるといった訴えが相次いだそうです。
そこで、お尋ねいたしますが、核家族化などで育児のサポートが受けられない御家庭に対しての支援策はどのようなものがあるのか、教えてください。
◯議長(阿部真之助) 高田こども未来局長。
◯こども未来局長(高田浩輝) 育児のサポートが受けられない家庭に対しての支援策につきましては、生後4カ月未満の乳児と産後、家族からの支援を受けられない母親を対象に産科医療機関などで授乳や沐浴の指導、育児相談、母体の体調管理を行う産後ケア事業を実施いたしております。また、生後6カ月未満の乳児と産後、家族からの支援を受けられない保護者を対象にヘルパーを派遣し、家事や育児の援助を行う産後ヘルパー派遣事業を実施いたしております。以上でございます。
◯議長(阿部真之助) 川上多恵議員。
◯13番(川上多恵) 育児のサポートが受けられない御家庭に対しての支援策を周知徹底していただき、利用者の経済的負担の軽減も含め、一人も見逃さない、置き去りにしないという心で拡充を求めておきます。
未就園の子どもで、健診に来ない御家庭などに対してどのように子どもの安全を確認されているのか、お答えください。
◯議長(阿部真之助) 高田こども未来局長。
◯こども未来局長(高田浩輝) 未就園児のうち医療や保健福祉サービスを利用していない児童につきましては、保健福祉センター職員による家庭訪問、関係機関による目視確認、入国管理局への出国照会などを行い、対象児童全員の安全確認を実施いたしております。以上でございます。
◯議長(阿部真之助) 川上多恵議員。
◯13番(川上多恵) 次に、産後鬱状態の方への支援はどのようなものがあるのか、教えてください。
◯議長(阿部真之助) 高田こども未来局長。
◯こども未来局長(高田浩輝) 産後早期の支援につきましては、助産師等が乳児がいる全家庭を生後二、三カ月ごろに訪問し、保健指導を実施いたしております。訪問時には産後鬱病のリスクや育児不安がある母親を把握するため、母親自身に記入していただくエジンバラ産後うつ病質問票等による状況把握を行い、支援が必要と判断した場合は保健師等の継続訪問、専門医の受診勧奨、子ども家庭支援員の派遣を行うなど、きめ細かな支援を実施いたしております。以上でございます。
◯議長(阿部真之助) 川上多恵議員。
◯13番(川上多恵) 双子や三つ子などの、いわゆる多胎育児は1人の子どもを育てるよりも大変であることは言うまでもありません。日本多胎支援協会が昨年まとめた調査によると、多胎家庭における虐待死亡事案の発生頻度は単体家庭の2.5から4倍と発表しました。過度な育児負担などが原因であると指摘しています。昨年、愛知県豊田市で三つ子を育児中の母親が次男を暴行し死亡させた事件では、市と医療機関の連携不足や市の担当者が母親の悩み事を受けとめて聞く姿勢に欠けていたことが問題視されました。母親が行政のサービスを利用できず、育児で孤立していたことを浮き彫りにする悲惨な事件となりました。厚生労働省は2020年度予算の概算要求で多胎妊産婦への支援を初めて計上するなど、政府も多胎育児家庭への支援に向けて動き出しています。佐賀県では家に引きこもりがちになる多胎家庭への外出をサポートするため、タクシー利用券2万円分を交付したり、医療機関と行政、子育てサークルが連携し、多胎児の妊娠から出産、育児までを切れ目なく支援するさが多胎ネットを発足するなどの取り組みが始まっています。
こうした状況を踏まえ、本市として多胎育児をされている御家庭への支援にしっかりと取り組むべきだと思いますが、御所見をお伺いいたします。
◯議長(阿部真之助) 高田こども未来局長。
◯こども未来局長(高田浩輝) 妊産婦への支援につきましては、各区の子育て世代包括支援センターにおいて母子健康手帳交付の際に助産師等が全ての妊婦と面談を行い、必要な支援につなげるほか、出産後は助産師等による新生児全戸訪問や養育支援が必要な家庭への支援員の派遣など、多胎育児をされている家庭を含め、出産前から出産後、乳幼児期へと切れ目のない支援に取り組んでおります。多胎育児をされている家庭への支援につきましては、国の動向や他都市の状況も踏まえながら、そのあり方について検討してまいります。以上でございます。
◯議長(阿部真之助) 川上多恵議員。
◯13番(川上多恵) 負担の多い多胎育児家庭への支援施策にしっかり取り組んでいただくことを要望しておきます。
さて、2017年に起きた虐待死58件の半数以上の保護者は、行政などによる子育て支援を全く受けていなかったことが厚生労働省の検証結果等で明らかになっています。子どもが亡くなる事件が起こると、世間の批判は児童相談所に向かうことが多い。だが、児相は本来、虐待通告を受けて動き出す、児童虐待のゴールキーパーである。そのため、虐待の発生予防には児相の前に子どもや親に日ごろからかかわる市区町村の担当課や学校の教師、医師などのサポートが重要になると言われています。昨年3月に東京都目黒区で発生した虐待死、そしてことし1月に千葉県野田市で発生した虐待死事件を受けて、社会や国の省庁、政府などが大きく動き、6月には改正児童虐待防止法が成立し、一部を除いて来年4月から施行されます。今回の改正では、保護者らによる体罰禁止が明文化されたことや児童相談所の体制強化を図ることなどが盛り込まれました。
先日、私も福岡市こども総合相談センターえがお館を訪れ、館内の見学や職員の方からさまざまな現状をお伺いいたしました。私が訪れた日も5階の10部屋ある相談室が全て満室で、多くの相談や面談が行われていることを目の当たりにしてまいりました。
そこで、福岡市では児童相談所の職員の体制強化に向けてどのように取り組んでおられるのか、お答えください。
◯議長(阿部真之助) 高田こども未来局長。
◯こども未来局長(高田浩輝) 児童相談所の職員の体制強化につきましては、近年の虐待相談対応件数の増加や児童福祉法改正に伴う家族関係再構築支援など業務の増大に対応し、平成29年度に児童福祉司2名、30年度に児童福祉司3名及び児童心理司1名、31年度に児童福祉司3名及び児童心理司2名の増員を行い、体制の充実を図っております。以上でございます。
◯議長(阿部真之助) 川上多恵議員。
◯13番(川上多恵) 言語道断であり、決してあってはならないことですが、児童虐待の相談施設のかなめであるえがお館で、ことし7月、市の職員であるケースワーカーが担当の女子中学生にわいせつな行為をした事件が発生いたしました。市は再発防止のため、えがお館の相談室に監視カメラを設置すると発表しました。私は市民の方から、市の職員の不祥事防止のために子どものプライバシーが侵害され、相談しにくい状況になっては本末転倒です。カメラの設置は断固やめてくださいという御相談を受けました。相談のニーズがとても高いことから、より一層職員のモラルを高め、子ども本位、子ども目線に立っての相談事業を拡充していただきたいと強く要望しておきます。
少し視点を変えますが、虐待を行う親へのアプローチも必要だと思います。東京都千代田区でも採用されている子どもへの暴力防止のため開発された支援プログラムについて、NPO法人にお話を伺ってまいりました。子どもの行動を理解する、子どもの怒りの感情を理解する、親の理解とコントロール、子どもと暴力、子どもと電子メディア、しつけと養育スタイル、肯定的な行動を導くしつけをテーマに虐待を行う親を対象に体験的に気づきを与える取り組みはとても大事なことだと感じました。また、大阪市西成区でも虐待に至ってしまった保護者が自己の内面を掘り下げ、セルフケアにつなげていくMY TREEペアレンツ・プログラムを実施しています。起きている虐待にどう対応するのかとの対策は当然のことでありますが、虐待に至らせないためには何ができるのかとの観点も今後重要になってくるのではないかと思います。子どもを虐待から守り、断じて子どもの命を救っていくために、これからも地域や行政、教育、医療機関、警察など全てのネットワークが連携して、いま一重施策の充実を図っていただきたいと思います。
ぜひ他都市の先進的な取り組みも参考に、虐待をしてしまう親への支援策なども新年度から積極的に進めていただきたいと思いますが、御所見をお伺いいたします。
◯議長(阿部真之助) 高田こども未来局長。
◯こども未来局長(高田浩輝) 虐待をしてしまう親への支援策につきましては、職員が通常行っている保護者との面接の中で、それまでの児童へのかかわりをともに振り返り再発防止を図ることや、さらに必要に応じて養育スキルを向上させるプログラムの受講を促しております。また、新たに虐待傾向のある保護者の養育支援と虐待の再発防止を目的としたMY TREEペアレンツ・プログラムの保護者向けプログラムについて、今年度はプログラム実施者養成のための研修を職員に受講させており、来年度から実施できるように準備を進めてまいります。以上でございます。
◯議長(阿部真之助) 川上多恵議員。
◯13番(川上多恵) このテーマの質問の最後に、児童虐待根絶に向けての高島市長の御所見をお伺いして、私の質問を終わります。
◯議長(阿部真之助) 高島市長。
◯市長(高島宗一郎) 児童虐待は子どもの人権を著しく侵害し、子どもの心身の成長及び人格の形成に重大な影響を与えるもので、決して許されないものと考えています。
福岡市では各区に子育て世代包括支援センターを設置し、妊娠期から子育て期までの支援を切れ目なく提供しますとともに、児童福祉司ですとか児童心理司を増員し、こども総合相談センターの体制の充実を図るなど、児童虐待の防止に向け取り組みを強化してまいりました。さらに、福岡市子ども虐待防止活動推進委員会において、子どもにかかわる機関、また、団体と行政が連携をして、虐待防止活動に取り組んでおります。
今後とも、引き続き関係機関や団体としっかり連携を図り、支援が必要な家庭にはこども総合相談センターや保健福祉センターを中心に早期に支援を開始し、子どもの虐待防止に向けて全市を挙げて取り組みを進めてまいります。以上です。