◯堤委員 公明党福岡市議団を代表して、子どものインフルエンザ予防接種について、福岡市DX戦略とAI活用について、火災予防の推進について、以上3項目について質疑していく。まず初めに、子どものインフルエンザ予防接種についてである。本市における今シーズンのインフルエンザ流行は例年になく極めて深刻な状況にある。子育て世代の人たちから、学級閉鎖が相次ぎ仕事の調整に苦労した、子どもがインフルエンザAもBも両方かかった、家族全員が感染して大変だったといった切実な声を数多く聞いた。そこで尋ねるが、今年度のインフルエンザの流行について、学級閉鎖の発生状況を昨年度と比較して示されたい。また、流行状況についても昨年度と比較し、どのような特徴があるのか尋ねる。
△保健医療局長 今年度の学級閉鎖等については、令和8年2月末時点で延べ785件、前年比で約3.9倍となっている。また、今年度の特徴としては、流行が昨年度より約2か月早い9月初旬に始まったことや、ピークが2度あったことなどが挙げられる。
◯堤委員 答弁のとおり、785件で昨年の約3.9倍、現在、減少傾向にはあるものの、定点報告によれば、先週の時点でも警報レベルを脱してはいない。今シーズンは流行の早期化やピークが2度にわたるなど、流行の長期化は社会全体、特に子どもたちの教育環境に多大な影響を及ぼす事態となっている。では、感染者の年齢層の傾向について分かっている状況を示されたい。
△保健医療局長 流行しやすい年齢層はウイルスの型によって多少異なるが、今年度の傾向としては、14歳以下が全体の約8割を占めている状況である。
◯堤委員 14歳以下の子どもたちが多いとのことだが、その要因についてどう認識しているのか尋ねる。
△保健医療局長 インフルエンザは飛沫や接触により感染が広がることから、学校等で長時間にわたり集団生活を送っていることや、年齢によっては、手洗い、せきエチケットなどの基本的な感染対策の徹底が難しいことなどが要因となっているものと考えている。
◯堤委員 子どもたちが感染拡大の中心になっているとのことである。子どもが集団生活で感染しやすいのは致し方ない面もあるが、インフルエンザに罹患した場合、学校保健安全法により発症した後5日、かつ、解熱した後2日は出席停止となる。子どもが罹患すれば、保護者は最低でも1週間近く仕事を休まざるを得ない。これは個人の収入減だけでなく、人手不足が深刻な地元企業や社会全体にとっても極めて大きな経済的損失ではないだろうか。そのため、インフルエンザに対する予防策が極めて重要になる。手洗いやうがいとともに有効な対策の一つがワクチン接種だが、ここで大きな壁となるのが費用負担である。本市では、高齢者へのインフルエンザ定期接種を行っているが、令和7年度の自己負担額と8年度の予算について示されたい。また、高齢者以外の場合で夫婦と12歳以下の子ども2人をモデルに、インフルエンザワクチンを接種した場合、一般的にどれくらいの費用負担になるのか示されたい。
△保健医療局長 高齢者インフルエンザ定期接種の令和7年度の自己負担額は1,500円で、8年度の予算は接種委託料として9億4,109万円余を計上している。また、質問のケースについては、任意接種となることから費用は医療機関ごとに異なることとなるが、定期接種の場合の接種費用を用いた積算をすると、大人がそれぞれ1回、子どもがそれぞれ2回の計6回の接種となり、約3万3,000円となる。
◯堤委員 高齢者へは、本人が希望する場合、1,500円の費用負担で接種することができるが、高齢者以外の試算では4人家族で約3万3,000円、物価高騰が続く中、この支出を仕方ないとの一言で片づけられる額ではない。従業員に助成をする企業もあるが、家族全員分とまでは及ばない。経済的理由で打ちたくても打てない家庭が一定数いるのが現実ではないだろうか。そこで尋ねるが、実際にワクチン接種の助成を求める市民や医療機関などからの声は届いているのか。届いていれば示されたい。
△保健医療局長 助成に関する声については、市ホームページの市政への提案への意見や福岡市医師会からの要望などがある。
◯堤委員 声はしっかり届いているようである。しかし、この問題は単なる家計負担の軽減にとどまらない。子どもたちの命に直結する問題であると思う。ある小児科の先生が経験したエピソードを聞いた。かつてインフルエンザ脳症で運ばれてきた子どもの治療に当たったが、懸命の治療もむなしく、その小さな命は失われてしまった。保護者が、なぜもっと早く気づけなかったのか、ワクチンを打たせていればと自らを責め、深い悲しみに暮れていたそうである。そこで尋ねるが、子どものインフルエンザが重症化するとどのような症状が出るのか。また、その割合についても尋ねる。
△保健医療局長 子どもが重症化した場合には、肺炎や脳症などの合併症を発症することがある。また、国の資料によると、重症や死亡の割合は、10歳未満の小児で0.1%未満となっている。
◯堤委員 では、子どものインフルエンザワクチン接種によってどのような効果があるのか。
△保健医療局長 国によると、発病や重症化予防に一定の効果があり、6歳未満の子どもでは、おおむね20~60%の発病予防効果があるとされている。
◯堤委員 感染を完全に防げなくとも、発病を抑え、何より最も重要な重症化を予防する効果があるとのことである。子どもを脳症のリスクから守るために、ワクチンの接種は有効である。こうしたワクチンの重要性を踏まえ、現在、全国的に子どもの接種費用を独自に助成する自治体が増えてきている。そこで尋ねるが、他の政令指定都市における子どもへのワクチン助成の実施状況を把握していれば、その内容と併せて示されたい。
△保健医療局長 政令市においては、名古屋市と神戸市の2市が助成を行っている。名古屋市では12歳、15歳及び18歳を対象として接種費用の全額を助成、神戸市は生後6か月から12歳までを対象として、1回目の接種に2,000円を、2回目の接種には18歳未満の子どもが2人以上いる世帯に限り、同額を助成している。
◯堤委員 神戸市では平成21年度から1回目接種のみ1,360円の助成をスタート、その後も拡充し、現在では経鼻ワクチンも対象に加えている。注目すべきは多子世帯への配慮である。2回目の接種費用の補助についても、兄弟が多いほど家計負担が重くなるという悩みに手を差し伸べる制度である。名古屋市では、令和5年度から人生の節目を迎える子どもを応援するという強いメッセージの下、対象を絞り無償化している。受験や就職という大切な時期に、インフルエンザによる機会損失を市を挙げて防ごうという取組である。本市は、これまで多子世帯への支援など、子育て施策を重点的に推進しているが、インフルエンザワクチンについては、任意接種であるなどの理由から助成の対象外としている。子育て家庭において、経済的負担の軽減のみならず、子どもの命を守る観点からも、インフルエンザワクチンについて、例えばワンコイン500円で子どもが誰でも接種できるようにするなど、費用助成をすべきではないか。所見を尋ねる。
△保健医療局長 小児のインフルエンザワクチン接種については、接種により社会全体の流行を阻止することを判断できる研究データが十分に存在しないことなどから、国において定期接種の対象から除外されており、本市でも助成は行っていない。現在、国の審議会で検討が進められている経鼻ワクチンの定期接種化の動向や他の政令市などの状況を注視していく。
◯堤委員 国の動向にとどまらず、他都市の状況を注視するとした答弁に、子育て支援にどの自治体よりも取り組んできた本市だからこそ、さらなる一歩踏み込んだ支援へとつなげることを強く期待する。この質問の最後に、荒瀬副市長に子どものインフルエンザ予防接種の公費助成についての所見を求めて、この質疑を終わる。
△荒瀬副市長 インフルエンザは例年冬に流行が見られ、小児では学校などで度々集団感染を起こし、まれに急性脳症を発症することもあることから、大きな課題の一つであると考えており、発症や重症化予防に一定の効果がある小児のワクチン接種の重要性は認識しているところである。一方で、公費負担により多くの人に接種するに当たっては、科学的根拠に基づいて有効性や安全性、費用対効果等を確認することが必要であり、国の専門的な調査研究や他都市の状況について、情報収集に努めていきたいと考えている。
◯堤委員 次は、福岡市DX戦略とAI活用についてである。本市では市長の下、全国に先駆けてノンストップ行政を目指し、様々な行政サービスのデジタル化を進めてきた。今回は、AIなどの技術が速いスピードで進化していく中で、AIをはじめ、新たなデジタル技術を活用し、市民がその恩恵をさらに実感できるまちづくりについて質疑をしていく。まずは、本市が定める福岡市DX戦略とはどのようなものか。その目的や概要について説明されたい。
△総務企画局長 福岡市DX戦略については、本市の情報化政策に関する計画として、市民の利便性向上や業務の効率化を一層推進し、誰もがデジタル化の恩恵を実感できることを目的に策定している。DX戦略は、くらし、まち、しごと、行政の4つの観点のDXに、これらを支える基盤を加えた5つの推進項目ごとに取組方針を定めており、これらに沿って具体的な取組を推進している。
◯堤委員 DX戦略は行政のみならず、市民、地域、企業をはじめ、多くの主体と関わっている。DXとは端的に言えば、デジタルの力で生活をよりよく変えることだと思う。そこで、市民生活に身近なくらし、まち、行政のDXに絞り質疑を進めていく。まずは、くらしとまちのDXについてである。本市では、これまでDX戦略に基づき、子育てや引っ越しの手続など、様々な市民サービスのデジタル化を推進してきたが、行政手続のオンライン化は、現在どの程度まで進んでいるのか。5年前と比較した進捗状況について尋ねる。
△総務企画局長 行政手続のオンライン化については、令和6年度末時点で、年間総処理件数の94.4%の手続がオンラインによる申請が可能となっており、5年前の73.7%と比較して、約21%増加している。
◯堤委員 5年前に比べオンライン化が大幅に進んでいることが分かった。では、実際に市民がどれくらい利用しているのか、処理件数ベースの実績と全体に占める割合について示されたい。
△総務企画局長 オンライン申請が可能な手続における令和6年度の総処理件数は約927万件となっており、このうちスマートフォンなどオンライン申請されたものは約510万件で、全体の55%を占めている。
◯堤委員 では、同じくコンビニで取得できる証明書交付などの利用実態についても尋ねる。
△総務企画局長 コンビニ交付の対象である証明書の令和6年度の交付件数は約165万件となっており、このうちコンビニで交付された件数は約70万件で、全体の42.3%を占めている。
◯堤委員 コンビニ交付も進んでいるようである。これまでの答弁によると、行政手続の94%がオンラインで申請可能で、約半数がオンラインで利用しているとのことで、オンラインが定着しているともうかがえる。こうした実績を踏まえ、行政手続のオンライン化について、市民はどのように受け止めているのか。市民の認知率、満足度など、本市に寄せられた市民の声があれば示されたい。
△総務企画局長 令和7年度の市政アンケート調査によると、市の行政手続のオンライン申請について知っているという市民の割合は83.1%となっており、2年度の71.8%から約11%増加している。また、オンライン化などの取組に対する市民の満足度は63.4%となっており、2年度の40.5%から約23%増加している。
◯堤委員 アンケートによれば、市民の満足度などは高いようだが、オンライン手続ができると知っている人は80%を超えている一方、実際に使ったことがある人はまだ少ない状況である。その要因についてどのように認識しているのか尋ねる。
△総務企画局長 令和7年度の市政アンケート調査によると、オンライン申請を利用したことがない主な理由としては、利用する必要や機会がなかったや、紙による申請のほうが簡単などとなっている。引き続き、オンライン申請を利用してもらえるよう積極的な周知、広報に努めるとともに、市民が使いやすく分かりやすいユーザーインターフェースの導入など、オンライン手続に不慣れな人にも十分配慮しながら取り組んでいく。
◯堤委員 このギャップを埋めるためには、単にインターネットで手続ができるというだけでは不十分である。実際にどれだけの市民が使ってよかった、本当に便利になったと実感できるかが重要と考える。行政手続のオンライン化、デジタル化が進む中で、市民がその恩恵を直接的に実感できる市民サービスについて、本市のこれまでの取組状況を尋ねる。
△総務企画局長 市民がデジタル化の恩恵を実感できる主な取組としては、離島などの区役所から遠い地域でも相談や手続が可能なリモート窓口や、区役所に行かなくても手続が完結する申請結果通知等のデジタル化などを実施している。また、市民一人一人の属性などに応じて、その人が利用できる制度の情報をプッシュ型で知らせるふくおかサポートを提供している。
◯堤委員 様々取組を答弁してもらい、その中でふくおかサポートについての言及があったが、このふくおかサポートとはどのようなサービスなのか。ほかのサービスとの違いも含めて説明されたい。また、現在の登録者数についても尋ねる。
△総務企画局長 ふくおかサポートはマイナンバーカードによる本人認証を行うことで、子育てや教育、福祉などの制度について一人一人に合った情報をプッシュ型で提供するほか、データ連携基盤を活用して、市営地下鉄の運行情報配信やごみ出し日通知などの様々なサービスを提供するポータルサイトである。また、登録者数は令和8年2月末時点で約2万5,000人である。
◯堤委員 マイナンバーと連携すれば、個人属性に応じた情報をプッシュ型で受け取れる点で、全国の自治体でもあまり例がない。パネルを見てもらいたい。2月に、先ほど答弁があったように議会棟のエレベーターにもポスター掲示されていたが、ふくおかサポートで登録すると、本市地下鉄の遅延などの運行情報がリアルタイムでLINEに届く。ライフスタイルに合わせて設定ができるため、必要な情報のみを受け取ることができる。非常に便利なサービスだと思う。このように、ふくおかサポートは市民生活のプラットフォームとして大きな可能性を秘めている。今後さらに市民の利便性をより高めるためには、本市のデータだけではなく、民間のデータとの連携が不可欠である。そこで提案だが、例えば朝の通勤時の都市高速の渋滞や事故による通行止めといったリアルタイムな交通情報をプッシュ型で届けるなど、市民が必要としているサービスを検討してはどうか。また、ふくおかサポートの利用登録や設定方法が難しくては本末転倒である。デジタルに不慣れな人への周知も含め、今後どのように発展させ、利用を広げていく計画なのか、将来に向けた方向性を尋ねる。
△総務企画局長 ふくおかサポートの今後の方向性については、都市高速の交通情報なども含めた、民間が保有するデータを活用したサービスの拡充により利便性の向上に取り組むとともに、設定方法の簡素化など、誰もが使いやすく分かりやすいポータルサイトとして充実させるほか、個々のサービスの利用場面に沿った効果的な周知、広報を行っていく。
◯堤委員 ぜひよろしくお願いする。様々な調整などハードルはあるかと思うが、市民の利便性向上に向けて粘り強く取組を進めるようお願いする。ここからは、行政のデジタル化について尋ねていく。役所の業務を効率化し、その分市民へのサービスを厚くするためには、AIの活用が欠かせない。これまで本市が実施してきたAIによる本市ホームページ情報検索や保健所での電話転送の実証実験を、DX戦略の中でどう位置づけているのか。また、令和8年度のAI活用推進事業の予算額と事業内容について尋ねる。あわせて、8年度に関連する他局で展開する事業やその主な内容についても説明されたい。
△総務企画局長 AIを活用した取組は、市民の利便性向上と業務の効率化を一層推進するものとして、DX戦略のDXを支える基盤に位置づけており、令和8年度は、AI活用推進事業として5,580万円余を計上している。具体的な取組としては、市の情報サイトへのAIチャットボットの搭載、市民からの問合せ内容に応じた自動応答や、担当窓口への自動転送が可能なAI電話の導入など、市民が知りたい情報をいつでもどこでも得られるよう取り組むとともに、業務マニュアルなどのデータを効率よく参照することが可能な職員向けのAIチャットボットの導入や、AI活用を促進する職員研修などを実施し、業務の効率化を図っていく。また、関連する他局の主な事業としては、福祉局や教育委員会にて、高齢者や高校生を対象としたAI活用講座を実施する予定としている。
◯堤委員 本市では、庁内業務での生成AIの積極的な活用をしてきている。来年度は本格的にAI活用事業を開始するとのことである。今後において、セキュリティ対策はもちろんだが、私は大事なポイントが2つあると思う。1つは、情報の信頼性の向上、2つ目に、市民サービスの高度化である。情報の信頼性の向上についてであるが、生成AIにはもっともらしいうそをつくハルシネーションという特有の課題がある。そもそも行政が提供する情報は、市民の生活や権利に関わるため、高い正確性が求められる。本市では、市民サービスの窓口や庁内業務でAIを活用する際、誤った情報を提供しないための正確性の担保をどのように考え、取り組んでいるのか尋ねる。
△総務企画局長 AIについては、事実に基づかない架空の情報や誤った情報を、あたかも事実であるように生成することがあるため、活用に当たっては、正確性の確保が重要であると認識している。このため、令和7年6月に生成AI利活用ガイドラインを策定し、AIによって生成された回答の正確性について確認するよう、職員への周知や研修を行っている。
◯堤委員 AIによる回答の正確性を確認することは重要だが、その確認に時間がかかってしまっては業務効率化とは言えない。そのためにも、庁内のルールやマニュアルをAIに読み込ませ、その根拠を基に回答させる技術、これをRAGと言うが、このRAGの活用や情報の正確性を担保するために、法令や判例などのデータを提供する出版会社と契約し、確かな情報源のみをAIに学習させるという取組は大変有効である。本市においても条例やマニュアル、確かな情報を根拠とするRAGなどを活用し、正確性を担保した福岡市版AIを構築して、業務効率化と市民対応に活用すべきと考えるが、所見を尋ねる。
△総務企画局長 参照する情報やデータを限定することで、AIが適切な回答を行う仕組み、いわゆるRAGの活用は、情報の正確性を担保する上で有効であると考えている。令和8年度は十分にセキュリティを確保した上で、RAGを活用し、職員が業務マニュアルなどのデータを効率よく参照するための職員向けAIチャットボットを導入することで、市民の利便性向上や業務の効率化を図っていく。
◯堤委員 次に、対面での市民サービスの高度化である。AIにできることはAIに任せ、より複雑な相談や市民に寄り添う必要がある対応については職員が行うという、人とAIの二人三脚が重要である。そこで、現在実証中の保健所でのAI電話転送サービスの状況と現時点での評価を尋ねる。
△総務企画局長 AI電話については、令和8年2月より、あいれふ内の保健所の代表電話において、定型的な問合せを区役所などの担当窓口へ自動転送する実証実験を行っている。現時点において、おおむね適切かつ迅速に転送が図られるなど一定の効果があるものと認識しており、引き続き効果検証を行い、効果が見込める窓口への導入を進めていく。
◯堤委員 先進的な事例として、1月に訪問した葛飾区では、AIが回答する根拠を示すRAGを実装しており、さらに今年度は窓口職員と来庁者の対話の音声をマイクで認識し、生成AIが回答を提示する行政特化型のAIエージェント機能の導入を試験的に進めている。来年度から本格実施するとのことだが、窓口で応対するときに若手職員が先輩職員に助言を求めたり、マニュアルを確認するためにバックヤードに戻る時間の短縮効果や、応対時に職員がAIにキーボード入力する時間の短縮など、さらなる効率化が図られるとのことである。本市においても、福祉や子育てなど市民が抱える課題が複雑で、かつ、心理的な負担も大きい相談窓口において、会話をリアルタイムで要約し、職員の回答を支援する音声認識AIエージェント機能などの導入を提案するが、所見を尋ねる。
△総務企画局長 相談窓口でのAIの活用については、博多区の福祉の総合相談窓口において、AIが相談に必要な情報を職員へ提示する実証実験を行っており、一定の効果が得られたことから、令和8年度は各区への横展開を進めていく。今後ともAI技術の進展を注視しながら、音声認識による回答の生成なども含め、市民の利便性向上に資する機能について積極的に取り入れていく。
◯堤委員 ぜひよろしくお願いする。システムの導入とともに、現場でAIを使いこなす人材の育成はより重要である。金沢市では、内部人材で構成するデジタル行政推進リーダー約100人が、それぞれが所属する課の日常業務から現場主導のDXを進めている。その結果、能登半島地震の発災後、そのデジタル行政推進リーダーを中心に、職員だけで避難者台帳管理や支援物資管理などのシステムを短時間で構築、運用開始した。DXの本質はツールの導入ではなく、それを使いこなせる人材の育成にある。そのためには、平時からの活用が重要であるため、特に管理職のAI活用と理解促進が図られるよう要望する。さて、市民サービスや市職員のITリテラシーがさらに向上していくならば、AIなどを活用して、多様な市民の声を政策に反映させた政策のつくり方そのものもアップデートできるのではないかと思う。そこで尋ねるが、市民参画の新しい形として注目されるブロードリスニングとはどのようなものか説明されたい。
△総務企画局長 ブロードリスニングとは、SNSなどを通じて、市民が発信する意見を収集し、集めた膨大なデータをAIにより分析、可視化する手法であると認識している。
◯堤委員 東京都では、昨年度、新たな長期戦略の策定において、ブロードリスニングを活用し、SNSだけでなく、街頭インタビューや郵送で届いた約2万7,000の意見全てをAIで解析、人の手では数か月かかる分析を僅か数時間で可視化することに成功した。また、AIにどのような指示を出したかという過程まで市民に公開し、公平性を担保している。そこで得られた結果として、例えば、これまで安心、安全は同じくくりとして考えていたものが、意見を分析していくと、実は市民が求める安心と安全は別々の要素として捉えていることが分かるなど、新たな政策立案の視点が得られたという事例がある。横浜市においても、市民目線の政策立案を支えるAI分析として、このブロードリスニングの実装をDX戦略の中に位置づけるなど、活用の動きが広がってきている。本市においても、次期福岡市DX戦略にブロードリスニングの活用を位置づけ、政策立案において、これまでのパブリックコメントなどでは拾い切れなかった若年層や子育て世代を含む多様な市民の声なき声を収集分析し、市民目線の政策立案を強力に推進すべきと考えるが、所見を尋ねる。
△総務企画局長 多くの市民の声を聞きながら政策立案に取り組むことは重要であると認識しており、ブロードリスニングなどのデジタル技術を用いた意見聴取の在り方を今後検討していく。
◯堤委員 デジタル化の目的は単なる効率化ではない。全ての市民がその恩恵を享受できる、誰一人取り残さないデジタル社会を構築することこそが本市の目指すべき姿であると考える。最後に、福岡市DX戦略と今後のAI活用によって、人に優しいデジタル社会の実現に向けた市長の所見を尋ねて、この質疑を終わる。
△市長 人口減少や少子・高齢化が進んでいく中、多様化する市民ニーズに丁寧に対応し、市民に寄り添った質の高いサービスを提供していくため、飛躍的に進化するデジタル技術が果たす役割は非常に大きいと考えている。今後とも福岡市DX戦略に基づき、来庁の必要がないノンストップ行政の実現に向けた行政手続のオンライン化などの取組や、AIなどの最先端技術の活用推進によって、業務の効率化、生産性を高め、これからの時代にふさわしい、ぬくもりのある人に優しいデジタル社会の実現に向けて、しっかりと取り組んでいく。
◯堤委員 ぜひよろしくお願いする。最後のテーマで、火災予防の推進について質疑を行う。近年、全国的に少雨や乾燥による大規模な林野火災が多発している。令和7年の岩手県大船渡市で発生した林野火災は、死者1人のほか、226棟の建物被害、産業被害額だけで100億円超という平成以降最大の被害をもたらした。これを受け、国は、林野火災注意報、警報の制度を創設し、本市でも条例改正を経て、この3月から施行されたところである。林野火災に限らず、日常の不注意や器具の不具合など、私たちの生活は常に火災リスクと隣り合わせにいる。まずは、本市の現状について尋ねる。本市における火災件数について、過去10年の平均件数と、一昨年の令和6年と直近の7年の件数で示されたい。あわせて、この10年で最も火災件数が多かった年についても尋ねる。
△消防局長 火災件数については、令和6年が279件、7年が336件で、過去10年の平均が293件である。また、火災件数が最も多かった年は令和7年である。
◯堤委員 令和7年の火災発生件数は336件、前年から57件も急増し、過去10年間で最多という状況にある。では、火災件数のうち、火災種別の内訳について、6年と7年を比較して答弁されたい。あわせて、増減の詳細についても尋ねる。
△消防局長 火災種別ごとの令和6年の火災件数については、建物火災が187件、車両火災が23件、その他火災が69件、また、7年は建物火災が253件、車両火災が21件、その他火災が62件である。なお、そのほか林野火災、航空機火災及び船舶火災という種別があるが、いずれも発生はしていない。また、6年と7年の比較増減の詳細については、7年の建物火災が66件増加しており、その主な内訳として、住宅からの出火が前年比26件の増、飲食店からの出火が前年比13件の増となっている。
◯堤委員 近年では、以前では見られなかった新たなリスクも顕在化している。令和7年の出火原因の上位3つを尋ねる。あわせて、近年の出火原因の傾向についても尋ねる。
△消防局長 令和7年の出火原因の上位3つについては、たばこ、コンロが58件と同数で最も多く、3位がリチウムイオン電池に起因するものを含む電気機器で38件となっている。また、出火原因の近年の傾向については、平成以降長らく、たばこ、コンロ及び放火が上位を占めていたが、令和6年と7年は従来のたばこ、コンロに加え、新たに電気機器が上位に入っている。
◯堤委員 たばこ、コンロ、急速に普及したリチウムイオン電池など、日常生活に潜む出火リスクから火災を防ぐための的確な注意喚起と現状を踏まえた対策が不可欠である。そこで、本市のこれまで取り組んできた火災予防啓発などの対策や今後の取組について尋ねる。あわせて、令和8年度の予算額についても示されたい。また、リチウムイオン電池については、適切な回収をすることが重要と思うが、環境局として、これまでの取組と今後の取組について尋ねる。
△消防局長 火災予防のこれまでの取組については、春と秋に行う火災予防運動や、災害に強い地域づくり講座に加え、市政だよりなどの広報媒体を活用するなどし、啓発に取り組んでいる。また、事業所などに対しても、立入検査や避難訓練などを通して、防火、防災意識の向上を図っており、今後はリチウムイオン電池による火災や林野火災の予防啓発を強化していく。また、令和8年度の火災予防の推進に係る予算額は約1,643万円、災害に強い地域づくりに係る予算額は約6,933万3,000円である。
△環境局長 リチウムイオン電池製品については、回収拠点を令和7年12月に9か所から66か所に、さらに今月19日には70か所に拡大するとともに、環境フェスティバルなどの大型イベントでの回収にも取り組んできたところである。引き続き、より利便性の高い場所での回収拠点の拡大や適正排出の周知、広報にしっかりと取り組んでいく。
◯堤委員 令和8年度は火災予防にしっかり力を入れていくということである。リチウムイオン電池による発火の増加など、出火原因が変化している中で、市民の火災に対する意識も変化しているのではないかと思うが、市政に関する市民意識調査では、火災に対する市民の関心度合いはどのように推移しているのか。
△市民局長 市政に関する意識調査において、日頃特に不安に思っている災害に火災を挙げている人の割合は、平成29年度は52%、令和5年度は46%となっている。
◯堤委員 パネルを見てもらいたい。ある地域の公園に設置された消火栓ボックスである。中にはホースなどが入っているが、かなり古く、40年以上も維持管理されないまま風化している。調べてみると、これは地域が40年前に設置したとのことだが、行政管理ではないために、地域内での引継ぎが途絶えた実態が分かった。地域は撤去を望んでおり、今後関係局とも連携し適切な撤去処分をお願いしたいと思う。こうした一事を見ても、火災に対する市民意識の希薄化を危惧せざるを得ない。火災予防は行政の力だけでは達成できない。市民一人一人の意識や行動とともに、地域を支える取組や効果的な情報発信も重要と考える。例えば、林野火災注意報や警報などの発令情報をプッシュ型でオンライン通知するなど、各局が連携して火災予防のさらなる強化を図るべきと考えるが、所見を尋ねる。
△消防局長 効果的な情報発信については、例えば、林野火災注意報などの発令情報は消防局ホームページで発表するほか、警報発令時にはプッシュ型通知の本市防災メールにより知らせている。また、各局連携した取組については、高齢者に対する火災予防をはじめ、リチウムイオン電池に起因する火災や林野火災の予防広報などを、関係局と連携を図り実施しているところである。今後もSNSを活用した効果的な情報発信など、関係局と連携し取組の検討を行っていく。
◯堤委員 ぜひよろしくお願いする。ここからは、視点を災害時の火災である地震火災に移して質問する。3月20日で福岡県西方沖地震から21年を迎えた。本市を中心に震度6弱の強い地震が発生し、1人の貴い命が失われ、1,000人を超える人が負傷した。ひとたび大規模地震が発生すれば、通常の消防力では対応は極めて困難になる。一昨年の能登半島地震では、甚大な被害が出た石川県輪島市は、国の著しく危険な密集市街地に指定されていなかった。本市も現在、指定からは外れているが、延焼リスクの高い木造密集地域は数多く存在している。そのため、昨年発表された福岡県の新たな被害想定に基づき、本市の計画を再点検する必要がある。そこで尋ねるが、福岡市地域防災計画の現計画では、火災への対応についてどのように規定されているのか。
△市民局長 地域防災計画においては、火災対応に関する市民の責務として、災害時には地域住民と相互に助け合い、避難や初期消火などを行うとともに、防災活動に協力するよう努めることとしている。
△消防局長 震災時には災害が多発し、出動可能な消防車が不足することが懸念されるため、地域防災計画には、火災対策を最優先とし、臨時の消防隊を編成するなど、全組織力を挙げて消火活動に着手すると規定している。
◯堤委員 では、福岡県が昨年発表した新たな被害想定に基づく警固断層帯での本市の被害状況のうち、建物の全壊焼失、死者数について、前回の調査と比較して示されたい。
△市民局長 警固断層帯での地震による被害想定については、福岡県が公表した平成24年3月の前回調査と令和7年9月の今回調査の順で答弁すると、建物全壊数は4,523棟と約1万170棟、建物焼失数は3棟と約4,200棟、死者数は458人と約900人となっている。
堤委員 新たな被害想定において、従来の想定を大きく超える甚大な被害をもたらすことが示された。建物焼失において、その最大の要因とされるのが通電火災である。停電の復旧時に転倒した電気機器や損傷した配線から発生する火災である。阪神・淡路大震災や東日本大震災では、出火原因の過半数を占め、能登半島地震でも延焼拡大の要因であった可能性が指摘されている。地震直後ではなく、住民が避難して無人となった住宅において、電気の復旧とともに時間差で火の手が上がり、大規模な延焼を招くリスクがある。この通電火災を確実に防ぐ手段として、感震ブレーカーの普及が、今、国を挙げて推進されているが、この感震ブレーカーとは何か。国の試算などによる設置した場合の効果はどれくらいなのか。また、全国の設置率について尋ねる。
△消防局長 感震ブレーカーについては、地震の強い揺れを感知した場合に自動的に電気を遮断することで、電気火災の発生を抑制する効果が期待されている機器である。設置した場合の効果については、国のワーキンググループの試算では、一定の条件下で設置率が20%から100%になることで、焼失棟数が72%減少すると予測されている。全国の設置率については、令和4年度の内閣府の防災に関する世論調査において、5.2%と示されている。
◯堤委員 感震ブレーカーの設置率が高くなることで、地震時の焼失棟数が大幅に減少するとのことである。パネルを見てもらいたい。今回、私も自宅に感震ブレーカーを実際に設置した。ホームセンターなどで3,000円で購入できる簡易タイプと呼ばれるものである。設定した震度5強または震度6弱の揺れを感知すると、内蔵されたばねやおもりの力が働いて、物理的にここに引っかけたレバーを落とし、電気を遮断する仕組みである。通電火災のリスクから自宅や地域を守るための備えとして、感震ブレーカーの設置は大変に有効であることを実感した。そこで、本市における感震ブレーカーの設置率はどうか。また、統計などがない場合、今後、設置率の調査を行うなど、実態把握をするべきと考えるが、所見を尋ねる。
△消防局長 本市における感震ブレーカーの設置率については、これまで調査を行っていないため把握していない。今後、調査の実施や手法について、関係局と連携し検討していく。
◯堤委員 現状では、全国同様、本市も設置率は極めて低調であると推測せざるを得ない。本市において、感震ブレーカーの普及について、現在どのような取組を行っているのか。
△消防局長 感震ブレーカーの普及に関する取組については、市政だよりをはじめ消防局ホームページや各種SNSで周知を図るほか、災害に強い地域づくり講座や自治協議会の定例会などにおいて紹介している。
△市民局長 感震ブレーカーについては、マンション防災・減災マニュアルや避難生活ハンドブックに掲載するとともに、出前講座などでも紹介を行っているところである。
◯堤委員 普及啓発は行っているようだが、周知と設置の間には高い壁がある。私がホームセンターを回った際も、取扱店は少なく、在庫があっても売場に僅かに置かれているだけであった。市民が容易に手に取れる状況ではない。さらに、分電盤の高い位置での作業は、高齢者世帯には大きな負担である。協力事業者との連携や設置支援など、踏み込んだ検討が急務であると要望しておく。今、国においては、令和8年度から大規模地震の被害想定地域において、設置補助を含めた取組を開始する方針である。また、独自の財源で補助する自治体も増えている。杉並区では、高齢者世帯への無償配付と無償設置まで行い、横浜市では、2013年から重点対策地域での全額補助を、令和7年度からはその他市全域の一部補助を開始した。また、申請要件を満たす世帯には取付代行も行っている。その結果、設置率は30%を超え、設置予定を含めると4割以上と大きな成果を上げている。感震ブレーカーは、自らの命を守る自助だけでなく、延焼を防ぐという共助、そして都市全体の被害を食い止める公助の側面を持っている。来年度進められる本市地域防災計画の見直しにおいて、延焼リスクが高い地域への感震ブレーカーの普及を明記すべきことは言うまでもない。しかし、計画に明記するだけでは普及は進まない。本市においても、地震による被害が想定される地域に対して、啓発にとどまらず、感震ブレーカーの費用助成も含めた実効性のある設置促進を図るべきと考えるが、所見を尋ねる。
△消防局長 費用助成については、著しく危険な密集市街地の未解消地区を有する自治体への国による設置補助に加え、一部自治体が補助を行っていることについて認識しており、今後も他都市などの動向を注視していきたいと考えている。また、国の動向や県の被害想定などを参考にして、今後も関係局と連携して、感震ブレーカーの設置効果や必要性について、効果的な周知、広報に努めていく。
◯堤委員 他都市を注視し周知に努めるとのことだが、新たな被害想定により本市においても甚大な被害が生じ得ると示された今、従来の手法だけでは、通電火災などのリスクに十分に備えることはできない。これまで、平時の火災予防と災害時の地震火災対策について質疑してきたが、最後に、市長に本市における火災予防の推進についての所見を尋ねて、質疑を終わる。
△市長 近年、林野火災などの大規模な火災の発生に加えて、リチウムイオン電池に起因する火災が発生するなど、火災予防の重要性が高まっていると認識している。本市では、これまで地域や企業などと連携を図りながら、子どもから高齢者まで幅広い世代を対象にして、防火意識の啓発に取り組むとともに、令和8年3月からは、新たに林野火災注意報等の運用を開始したところである。今後とも市民の命と財産を守るため、火災予防に取り組み、安全、安心なまちづくりにしっかりと取り組んでいく。
















