○議長(打越基安)高木勝利議員。
○24番(高木勝利)登壇 私は公明党福岡市議団を代表して、私道の下水道未整備などの課題解決について、自動車部門のCO2排出量削減について、企業と行政による奨学金返還支援について、以上3項目質問をさせていただきます。
まずは、私道の下水道未整備などの課題解決についてです。
初めに、下水道整備に関して伺います。福岡市では、現在、下水道事業の基本計画として福岡市下水道ビジョン2026を掲げ、快適な暮らしを守り、都市の魅力を高め、未来につなげる下水道を基本理念として、平成29年度から平成38年度の10年間の施策目標に沿って、着実に事業を推進しています。昭和5年に博多、千代部の整備に着手して以来、水洗化普及や浸水対策などに80年以上にわたり取り組んだ結果、下水道人口普及率は令和4年度末で99.7%に達し、都市の必要不可欠な社会基盤整備が大きく進展してきました。
これまでの下水道普及率の進展に関してどのように評価しているのか、所見をお尋ねいたします。
以上で1問目を終わり、以降の質問は自席で行います。
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 福岡市の下水道事業につきましては、快適な生活環境の提供や公共用水域の水質保全などの観点から、昭和5年に整備に着手して以来、市街化区域のみならず、市街化調整区域においても整備可能な区域について、下水道の整備を積極的に進めてきたところでございます。その結果、令和4年度末時点での下水道処理人口普及率は約99.7%と概成しており、長きにわたり取組を進めてきた成果と考えております。以上でございます。
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) 福岡市は市街地については、生活排水を公共下水道で処理するとともに、農業集落、漁業集落は集落排水施設で処理、どちらも未整備の地域は合併浄化槽で処理をしています。それぞれの汚水処理施設における処理区域内人口の行政人口に対する割合について御説明ください。
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) それぞれの処理区域内人口の行政人口に対する割合につきましては、令和4年度末で公共下水道が約99.7%、農業、漁業集落排水が約0.2%であり、残りの約0.1%が合併処理浄化槽となっておりますが、このうち約0.05%が下水道の未整備によるものとなっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) これまでの先人や職員の皆様の努力の積み重ねにより、ほぼ100%近く生活排水処理ができる環境が整ってきたことに敬意を表したいと思います。
一方では、残り0.05%の方は下水道が未整備ということになります。
そこで、市内全体の世帯数と下水道未整備世帯数、各区ごとにそれぞれ幾つの地区に幾つの下水道未整備世帯数があるのか、お示しください。
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 福岡市内の全世帯数は令和4年度末の推計人口ベースで86万2,548世帯となっております。また、下水道が未整備の世帯数は371世帯となっており、区ごとの地区数と世帯数の内訳は、東区が10地区で115世帯、博多区が3地区で22世帯、中央区には未整備世帯はなく、南区が1地区で2世帯、城南区が3地区で56世帯、早良区が12地区で80世帯、西区が10地区で96世帯となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) 福岡市内で371世帯が未整備とのことです。
それでは、どのような理由で未整備となっているのか、具体例を挙げてお聞かせください。
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 下水道が未整備となっている理由につきましては、主に宅地が民間所有の私道、いわゆる「わたくしみち」や河川用地にのみ接していること、地形的に宅地が道路より低いことなどでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) 私も先日より市民相談をいただいています。現在、土地所有者の方や各機関とも様々協議されているところですので、具体的な地名は避けて、福岡市内A地区とさせていただきます。その相談内容というのは、このA地区は戸建ての住宅が立ち並ぶごく普通の住宅街となっているところですが、住宅街の一角、私道に接する約10世帯の一部は下水道が整備されていませんとのことです。現場を確認し話をお聞きしてみると、その一角が私道に接しているために整備が残ったと考えられます。住宅が建築されたのは約40年から50年前、当時、そのうち整備されますよという分譲事業者の説明があったものの、具体的な話がなく、これまで何度か私道の所有者とも交渉されてきたようですが、進展しなかったとのことです。現在では私道の名義人は既に故人となられたままとなっており、相続される方も要介護状態でいらっしゃるため、関係先をたどり、そのめいごさんと協議をしていると伺いました。
通常、私道は個人の所有土地であることから、固定資産税の対象となりますが、私が確認したところによると、固定資産税の対象地にはなっていないとのことです。
そこで、私道でも固定資産税がかからないケースとはどのようなケースなのか、伺います。
○議長(打越基安) 山嶋財政局長。
○財政局長(山嶋 剛) 固定資産税が課税されないケースにつきましては、所有者が何ら制限を設けず不特定多数の利用に供していることや公道から他の公道へ通じていることなど、一定の要件を満たす場合は公共の用に供する道路として地方税法の規定により非課税としております。以上でございます。
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) 御答弁のように、誰もが通行可能な公共の用に供する道路であることで、A地区の私道に固定資産税がかかっていないこともあり、結果的に相続登記が進まなかったことも一因となって、下水道整備のための交渉が進展しなかったと考えられます。これまで相続登記は義務ではありませんでしたが、所有者不明土地が増加することが社会問題ともなる中で法改正が行われ、2024年4月から相続登記が義務化され、相続登記がなされなかった場合には罰則規定も設けられることになります。
この所有者不明土地対策の一環としての相続登記の義務化についてはどのように市民に啓発するのか、お聞きします。
○議長(打越基安) 山嶋財政局長。
○財政局長(山嶋 剛) 相続登記の義務化につきましては、国において幅広く周知、広報が実施されるものと認識しております。また、福岡市におきましても、適正な相続登記は固定資産税の課税業務において重要であることから、現在、市ホームページや市税に関するパンフレット「みんなの市税」において積極的に周知を行っているところです。今後も法務局などの関係機関と連携して周知、広報に努めてまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) 福岡市下水道ビジョン2026によると、下水道事業の目的として、1、下水道は河川と一体で総合的に雨水排水機能を果たすこと、2、生活によって生じる汚水が速やかに排除されず住宅地周辺に滞留すると蚊やハエ、悪臭の発生源となり、周辺環境を悪化させる、また、個々の住宅でし尿をくみ取便所に貯留しておくことは非衛生的、下水道の整備によりくみ取便所を水洗便所に改造することで市民は衛生的で快適な生活ができるようになること、3、公共用水域の水質保全などとされています。そして、汚水処理の最適化を図るため、下水道未普及、未水洗化地区の解消を進めると示されています。
国交省の資料では、令和4年度末の下水道処理人口普及率は横浜市、大阪市は100%、福岡市は99.7%、政令市平均97.7%です。下水道を整備してほしいというA地区の方からの長年の要望をかなえるためには、私道に起因するものなど地域住民だけでの解決には限界があるのではないでしょうか。いまだに未整備の地区については複合的な課題が重なっていると思います。もう一度申し上げますが、A地区は私道であるがゆえに下水道が整備されていません。
福岡市が私道に下水道を整備する場合、私道に地上権設定を行う方法もあると聞いています。この地上権設定を行い、下水道を整備するにはどのような条件が必要なのか、福岡市が積極的に相談に乗り、的確なアドバイスをすべきと考えますが、所見を伺います。
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 地上権の設定につきましては、個人の財産である私道に福岡市が安全かつ円滑に公共下水道を整備、維持管理できるよう法的に保全することを目的としており、その場合の条件につきましては、私道に住宅が接していること、幅員が1.5メートル以上であること、私道以外の土地と分筆されており、私道の区域が明確であること、地上権設定の契約を私道の関係所有者全員が一致して行うものであることなどとなっております。また、私道の下水道整備につきましては、市民からの相談内容に応じて、地上権設定に必要な条件や手続の流れなどの制度説明を行うなど、引き続き、残る未整備地区の整備推進に取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) どのような進め方が最善なのか、そこで改めて福岡市が一歩深く後押しすることで下水道未整備率0.05%を解消すべきと考えますが、所見を伺います。
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 下水道は快適な生活環境の提供や公共用水域の水質保全などの観点から、市民生活に欠くことのできない重要な社会基盤の一つであり、残る未整備地区の早期解消は整備を望む市民にとっても福岡市にとっても大変重要であると認識しております。これまでも、下水道が整備困難な箇所につきましては、地上権設定による私道への公共下水道の整備や、私道や低地における排水設備の設置に対する助成を行うなど、未整備地区の解消を図ってきております。今後とも、市民と協力しながら、未整備地区の解消に取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) ぜひよろしくお願いします。
次に、私道となっている道路に関して伺います。
A地区の方からのもう1つの相談は、土地が私道に接していると新たな建築物を建てられない、再建築ができないのではないかとの心配です。建築物が私道に接していること自体が直接的な原因にならないとしても、接している道路が建築基準法で認められた道路に該当するかどうかが判断の基準となります。
道路の種別には、道路法や都市計画法による道路、位置指定道路のほか、いろいろな道路がありますが、私道でありながら再建築が認められるのはどの種別の道路なのか、伺います。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 建築基準法上、民間が所有する私道で再建築が認められる道路種別につきましては3つございまして、まず1つ目は、新たに築造する道で一定の基準に適合し、特定行政庁が法第42条第1項第5号に基づき指定した、いわゆる位置指定道路。2つ目は、法施行前から建築物が立ち並んでいる幅員4メートル未満の道で、特定行政庁が法第42条第2項に基づき指定した、いわゆる2項道路。3つ目は、これらに該当しないが、既に建築物が立ち並び、交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないとして特定行政庁が法第43条第2項第2号に基づき道路とみなす、いわゆる許可通路がございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) 私道でありながら建築基準法上の道路として認められる可能性があるのは位置指定道路や建築基準法の道路とみなされた許可通路などであることのほか、私道を利用する場合や電気、水道、下水道、ガスなどライフライン工事を行う際にも私道所有者の承諾が必要となります。
このA地区の方が建築物の再建築を行うことができるようにするためには、さきの答弁にあった道路の中で許可通路が考えられますが、許可通路として認められるための条件について何が必要になるのか、伺います。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 法第43条第2項第2号に基づき、私道の許可通路とする場合は、通路及びそれに接する土地所有者が建て替えの際にはセットバック等により幅員4メートルを確保することや通路を適正に管理することなどを協定として締結し、市に届け出る必要があります。また、再建築に当たっての許可条件は、A地区の場合、既存建築物と同用途の専用住宅であること、延べ床面積は280平方メートル以下、階数は2階建て以下であることなどがございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) また、A地区を含め、私道の所有者が自ら継続して維持管理を行うことは、住民にとって負担になる場合もあるのではないでしょうか。
所有者が私道部分の土地を市に寄附し、以後は市の道路として維持管理をしてもらいたいと希望する場合、市が寄附を受けるためにどのような要件があるのか、伺います。
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 私道を市へ寄附いただき、市の道路として維持管理を行っていくためには、土地の所有者に寄附の意思があること、当該道路の幅員が4メートル以上確保されていること、公道に接していることなどのほか、構造上も安全かつ円滑な交通が確保できる道路であることが必要となるものでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) 所管局長よりこれまで御答弁いただいたことを勘案すると、課題を一つ一つ解決することにより、私道の下水道整備も住宅の再建築も可能となる明るい見通しが見えてきました。
さて、今回、私が相談を受けた私道に関する個別、具体的な内容について質問してまいりました。下水道や道路などの社会基盤は基幹となる幹線ネットワークの強化も大事ですが、私道など市民により身近な部分も非常に重要であり、トータルで社会基盤の充実を図っていく必要があると考えています。
そこで、この質問の最後に、下水道や道路の充実を望んでいる市民に快適で住みやすい生活環境を提供するためにも、関係部局が連携した取組が必要と考えますが、髙島市長の御見解を伺います。
○議長(打越基安) 髙島市長。
○市長(髙島宗一郎) 福岡市におきましては、下水道や道路といった社会基盤の整備とその適正な維持管理などによりまして、市民の安全、安心な生活や、また良好な住環境の形成を図っており、その結果、国内外から住みやすいまちとしての評価をいただいているところでございます。この福岡市をさらに住みやすいまちにしていくためには、高木議員御指摘のとおり、基幹的な社会基盤整備だけではなく、市民により身近な部分での対策も重要と考えております。今後とも、各局区が連携をし、個々の状況に応じたきめ細やかな対応を行うなど、市民の皆様の御理解と御協力をいただきながら、快適で良好な生活環境の充実に努めてまいります。以上です。
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) どうもありがとうございます。
次に、自動車部門のCO2排出量削減についてです。
福岡市はカーボンニュートラルを実装した都市を目指して2040年度温室効果ガス排出量実質ゼロという目標を掲げ、様々なチャレンジを行っています。近年の豪雨や猛暑を経験する中で、地球温暖化による気候変動の影響を強く実感するところであり、総合的な施策強化が求められています。
まずは、福岡市域における家庭部門、業務部門、自動車部門のCO2排出量について、福岡市地球温暖化対策実行計画の基準年度である平成25年度と直近のCO2排出量をお示しください。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 家庭部門、業務部門、自動車部門それぞれの平成25年度と直近の令和3年度における二酸化炭素排出量につきましては、家庭部門は平成25年度が257万トン、令和3年度が135万トン、業務部門は平成25年度が302万トン、令和3年度が172万トン、自動車部門は平成25年度が186万トン、令和3年度が160万トンとなっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) 自動車部門のCO2排出削減のペースは、家庭、業務部門と比べて緩やかになっています。世界の自動車の脱炭素化に向けた動向は、2015年に採択されたパリ協定をきっかけとしてイギリスは2030年、フランスは2040年までにガソリン車とディーゼル車の販売を禁止し、EV・電気自動車などに切り替える方針です。日本でも2035年までに新車販売をEV・電気自動車、PHEV・プラグインハイブリッド車、FCV・燃料電池自動車にHV・ハイブリッド車を加えた電動車のみとする方針を打ち立てています。残り12年です。
そこで、福岡市の乗用車新車販売台数に占めるEV、PHEV、FCV、HVの令和3年度の割合及び2030年度の目標についてお聞きします。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 令和3年度における福岡市の乗用車新車販売台数に占める電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、燃料電池自動車、ハイブリッド自動車の割合につきましては、電気自動車が0.65%、プラグインハイブリッド自動車が0.63%、燃料電池自動車が0.07%、ハイブリッド自動車が32.22%となっております。
自動車部門における令和12年度の目標につきましては、福岡市地球温暖化対策実行計画において、乗用車新車販売台数に占めるガソリン車の割合を令和3年度時点の63%から令和12年度までに35%とする目標を掲げております。以上でございます。
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) ガソリン車の割合を2021年度の63%から2030年度には35%にする目標です。EVなどはガソリン車などに比べ車両価格が高いこともあり、普及を促すため国や自治体では購入する際に補助金を出しています。
EV、PHEV、FCVを購入する際の国の補助金、福岡市の補助金について、合わせて幾らの補助金となるのか、また、福岡市の補助金の直近3年間の交付実績をお示しください。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 令和5年度の国のクリーンエネルギー自動車導入促進補助金の1台当たりの上限額と福岡市の次世代自動車に関する補助額につきましては、電気自動車は国が85万円、福岡市が10万円で合計95万円、プラグインハイブリッド自動車は国が55万円、福岡市が5万円で合計60万円、燃料電池自動車は国が255万円、福岡市が60万円で合計315万円となっております。次に、福岡市の直近3年間の補助金の交付実績といたしましては、電気自動車は令和2年度が64台、3年度が117台、4年度が371台、プラグインハイブリッド自動車は令和2年度が32台、3年度が86台、4年度が133台、燃料電池自動車は令和3年度から補助を開始しておりまして、令和3年度が11台、4年度が3台となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) 例えば、東京都でEVを購入する場合も国の補助、東京都の補助があります。
福岡市と東京都の補助金では幾らの差があるのか、お示しください。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 福岡市は車両の購入に対する補助金10万円に加えまして、再エネ100%電力で充電する場合に5万円を加算し、合計15万円、東京都は車両の購入に対する最大55万円の補助金に加えて、再エネ100%電力で充電する場合に15万円を加算し、合計70万円となりますことから、その差は最大で55万円となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) 福岡市ではEV購入の際に10万円の補助金があり、さらに再エネ100%電力の契約をしており、かつその電力で充電する場合には補助金5万円が加算されるとのことですが、東京23区や市によっては、区や市が独自で上乗せ補助する場合もあり、東京都の補助金との差が気になるところです。災害での大規模停電時に避難所でEV車からの電力供給の協定を結んだ方や家庭での再エネ由来電力使用や充電時の再エネ電力100%利用者にはさらなるインセンティブも必要と考えます。福岡市には市民がEVを購入する際の補助だけでなく、市役所自身の取組も求められています。
福岡市では、福岡市役所地球温暖化対策率先実行計画を策定し、庁用車の脱ガソリン車への切替えを掲げ、電動車の導入方針を定めていますが、その概要と切替えの状況をお聞きします。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 庁用車の脱ガソリン化の概要につきましては、福岡市庁用自動車の環境配慮に関する導入基本方針に基づき、庁用車を新規に導入または更新するときには、庁用車を所管するそれぞれの部署において、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、燃料電池自動車の優先的な導入を検討し、脱ガソリン車への切替えを進めていくこととしております。切替えの状況につきましては、令和4年度末時点で、電気自動車が28台、プラグインハイブリッド自動車が15台、燃料電池自動車が3台、合計46台を導入しており、対前年度比で24台の増加となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) EVの普及のためのもう1つの課題は、充電設備の拡充です。国にはクリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等導入促進補助金として充電設備設置の際の補助金制度があります。また、福岡市でも次世代自動車の普及に向けて充電設備補助金として経費の一部を助成しています。
この国の補助金と福岡市の補助金についてそれぞれ内容をお示しください。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 充電設備の設置に係る国の補助金につきましては、集合住宅や商業施設等への急速及び普通充電設備の設備購入費及び設置工事費を対象としておりまして、補助額の上限額や補助率は設備の能力や設置場所によって異なっております。具体例を挙げてお示しいたしますと、出力が50キロワットの急速充電設備を商業施設へ1基設置する場合の上限額は、設備購入費が300万円、設置工事費が140万円とされております。また、スタンド式の普通充電設備を集合住宅の駐車場へ1基設置する場合の上限額は、設備購入費が11万円、設置工事費が135万円となっております。
福岡市の補助金につきましては、広く一般市民が利用できる公共用の急速充電設備と集合住宅に設置する普通充電設備を対象として補助を行っております。急速充電設備は設備購入費のみを補助対象としており、補助率は購入費の2分の1で、1基当たりの上限額は100万円でございます。普通充電設備は設備購入費と設置工事費を補助対象としており、補助率は国の補助金を除いた額の2分の1とし、1施設当たりの上限額を100万円といたしております。また、これらの国及び福岡市の補助は併給を可能といたしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) 先日、東京都から話を聞いてきましたが、東京都は集合住宅へのEV充電設備の普及促進を加速化させています。2030年までにガソリンだけで走る車をなくし電動車とする100%非ガソリン化を表明、都内集合住宅への充電設備を令和4年度末の実績899基から6万基設置するとの目標を掲げました。2023年5月にマンション充電設備の設置に特化した東京都マンション充電器情報ポータルの開設、そして充電設備事業者22社、自動車販売会社11社、エネルギー供給事業者1社、マンション関連業界団体1団体、自治体から成るマンション等充電設備普及促進に向けた連絡協議会設立、さらには都内の新築マンションは2025年からEV充電器の設置が東京都の条例で義務化されます。
また、川崎市でもマンションなど共同住宅に対して導入期の今だからこそ充実した補助があり、少ない自己負担で設置できることを強調し、マンションなどの資産価値向上、空き駐車場や空きスペースの有効活用につながるとアピールして、マンション等への設置を促しています。
私自身も話を聞くまでは新築マンションと違って既存マンションについては住民の合意形成がなかなか進みにくいのではないか、利用する世帯と利用しない世帯の設置費用や電気料金の負担など公平性が保たれるのかなど課題があると考えていましたが、設置に向けた協議の進め方、現地調査、見積り依頼、補助金申請、設置、維持管理などを一括して行う充電サービス事業者も多数存在し、アプリを使い利用者がスマホで充電設備利用の予約を行い、利用した分の料金をスマホで支払うなど、設置に当たっての環境整備が整ってきています。
政令市では集合住宅の割合が一番高い福岡市においても、マンション等への充電設備普及促進のため、具体的な設置目標数の設定、情報ポータルサイトのような分かりやすい情報発信、業界団体などと連携した連絡協議会設立、新築マンションへの設置義務化など設置を促す環境整備を進める必要があると考えますが、所見を伺います。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 集合住宅に居住する市民の割合が高い福岡市におきましては、マンション等における充電インフラの整備を促進していく必要があると認識いたしております。このため、令和5年度から新たに集合住宅への普通充電設備の設置についても補助対象に加えたところであり、8月末時点で、新築のマンションにおいて34基の充電設備設置に対する補助申請がなされております。また、既存の集合住宅を対象とした取組といたしましては、令和4年度から住宅都市局やNPO法人が主催するセミナーなどにおいて、マンションの管理組合を対象に充電設備の具体的な導入方法やマンションへの導入事例、国や市の補助制度などについて周知を図っているところでございます。今後とも、他都市の事例なども参考にしながら、集合住宅における充電設備の設置促進に向けて検討を行ってまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) どうぞよろしくお願いします。福岡市の充電設備設置助成金においては、集合住宅を除いては一般市民が誰でも利用できる急速充電設備に限定した補助を行っています。千葉市では市内の中小事業者が自社で所有する車でも対応可能とする電気自動車充電設備設置事業補助金の制度をつくっています。
民間事業者のCO2削減の取組への後押しとして市内中小企業を対象にした充電設備設置の助成を検討してはと考えますが、所見を伺います。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) これまでは一般市民の利用に供する急速充電設備や集合住宅に対する普通充電設備の設置に対して補助を行ってまいりましたが、自動車部門全体の二酸化炭素排出削減を進めていくためには、これらの取組に加えまして、排出割合が乗用車と同程度、もしくはそれ以上に高い貨物車を対象とした取組も重要であると認識いたしております。自動車の脱ガソリン化に向けましては、こうした中小企業等に対する取組も含めた効果的な施策についてしっかりと検討してまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) 今後のさらなる推進を期待しています。今年5月には、国土交通省はEV充電スタンドを公道に設置する指針を示しましたが、既に国内で初めて横浜市は交通量の多い一般道の路肩にEV充電器を設置、東京都でも設置されています。国の方針もあり、今後、公道へのEV充電器設置が進むと予測されますので、福岡市でも様々な設置場所の一つとして公道への設置も視野に入れて検討していただければと思います。また、市有施設においても誰もが利用可能な急速充電器の積極的な設置を進めるよう求めておきます。
先月28日、今年10月上旬に策定される国の充電インフラ整備促進に向けた指針でも、2030年までに公共用の急速充電器3万基を含み、充電インフラを従来目標の15万基から30万基に倍増して設置すると表明しており、福岡市もさらに加速化させるべきです。昨今、リチウムイオン電池を超える次世代電池として全固体電池も注目されており、1回の充電での走行距離が長く、EV自動車の性能を飛躍的に向上させる次世代車載バッテリーとして2027年にも販売されると聞いています。また、電池だけでなく、充電設備も高出力化の方向で製品の開発が進んでいるようですし、電気自動車の普及もより進むことになると思います。
また、自動車部門におけるCO2排出削減のためには、車の所有から共有への移行も有効な取組です。福岡市は9月1日から西部地域交流センターさいとぴあにおいて、市有地を活用したEVカーシェアリング事業を開始されました。ぜひこうした取組も拡充していってほしいと思います。
最後に、自動車部門におけるCO2排出量はほぼ横ばいの状態から脱却し、2040年度温室効果ガス排出量実質ゼロを目指し、様々なチャレンジを行っていただきたいと考えますが、髙島市長の御決意を伺って、この質問を終わります。
○議長(打越基安) 髙島市長。
○市長(髙島宗一郎) 福岡市はカーボンニュートラルを実装した都市の実現に向け脱炭素に資する様々な取組を進めてございます。自動車部門では、脱ガソリン化を図るために電気自動車の購入や充電設備に対する補助などを実施しておりまして、令和5年度からは充電設備の補助対象に集合住宅を追加するとともに、市有施設におけます充電設備の設置を拡充するなど、取組を強化しているところでございます。2040年度温室効果ガス排出量実質ゼロに向けましては、御指摘の自動車部門をはじめ、家庭部門や業務部門における市民や事業者と連携した取組を総合的に推進していく必要があると認識をしております。このため、まずは市役所自身が率先して取組を進めますとともに、市民や事業者の皆様の脱炭素型ライフスタイル、またビジネススタイルへの転換やイノベーションの社会実装を目指したチャレンジへの積極的な支援など、脱炭素社会の実現に向けた取組を加速させてまいります。以上です。
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) ありがとうございます。
次に、企業と行政による奨学金返還支援についてです。
本年3月に公表された労働者団体の調査によると、大学進学などのため日本学生支援機構の貸与型奨学金を利用し返還をしている方の約4割が結婚に影響、3割が出産や子育てに影響、4割を超える方が日常的な食事に影響していると答えるなど奨学金返還が人生設計の重荷になっているとの結果が示されました。これらの調査では、受け取った奨学金の平均借入額は310万円、毎月の返済額平均は1万5,000円から2万5,000円、返済期間は平均15年から最長20年で返済の負担が苦しいと答えた方は44.5%にも上ります。
私は2年前の6月議会でも公明党の若者への調査で声が大きかった奨学金返還支援について質問を行い、福岡市内の民間企業型の奨学金返還支援について提案したところです。私自身も奨学金を受けましたが、返済に大変苦労した経験や、最近若者世代と懇談した際に、福岡市でも奨学金返還支援を検討していただけませんかとの当事者の声も再びお聞きしたことで重ねての質問に至りました。
奨学金の返還に苦労している方が4割以上ともなっている現状をどのように認識しているのか、お聞きします。
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 奨学金の返還につきましては、経済状況や雇用情勢の影響などによる収入の減少や、ライフイベントなど個人の事情により返済に苦労されている状況にある若い方もおられるものと認識しております。以上でございます。
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) 福岡市中小企業サポートセンターのホームページでは、人材確保お役立ちサイトとして企業などによる奨学金代理返還について紹介されています。
2021年より企業が日本学生支援機構に直接代理返還することが可能になり、企業にとっても支援される従業員にとっても使い勝手がよくなりましたが、この代理返還のメリットなど制度の概要をお聞きします。
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 日本学生支援機構のいわゆる代理返還制度につきましては、企業が社員の奨学金返還額の一部または全部を社員に支給するのではなく、同機構に直接送金することにより支援するものでございます。この制度では、社員にとっては企業の支援額について所得額が非課税となり、標準報酬月額の算定基礎となる報酬に含まれないなどといったメリットがございます。また、企業にとっては支援額を給与として損金算入できるなどのメリットがございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) 支援を受ける社員と支援する企業の双方メリットがあります。2年前の質問の答弁では、活用事例を含め制度周知を検討するとのことでありました。
それでは、制度を利用し奨学金返還を支援している企業はどのぐらいあるのか、その企業は具体的にどういう支援を行っているのか、伺います。
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 制度を利用して奨学金の返還を支援している企業は、日本学生支援機構によりますと、現在、全国では972社あり、このうち福岡県では40社とされております。また、支援企業の具体的な取組については、例えば、月額1万円を上限に最長5年間の支援という企業もあれば、入社3年後に30万円、5年後に50万円を支援するという企業もあるなど、各企業がそれぞれ独自の支援内容を設定されております。以上でございます。
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) 先日、金沢市中小企業人材確保奨学金返還支援助成金について聞いてまいりました。背景としては、大学や短大数が全国一で、大学のまち金沢と言われている中で、若年層に地元移住や就職への関心が高まっており、優秀な若手人材の確保、定着により市内中小企業の持続的な成長を一層期待するためのものです。
金沢市内で従業員の奨学金返還支援制度を設ける中小企業に対し、企業が従業員に支給した手当等の一部を助成することで市内中小企業の人材確保、若者の地元就職、UJIターンの促進を図り、優秀な人材の確保、定着に向け創意工夫を凝らし、職場環境向上を目指す企業を市として支援します。助成額は企業が従業員に支給した奨学金返還支援額の2分の1を金沢市が助成するもので、限度額は1事業所当たり年間120万円かつ従業員1人当たり年間12万円で、対象期間は企業が返還支援を開始した最初の月から起算して5年間です。具体的には企業が毎月2万円、年間24万円を返還支援する場合、金沢市がその半分の12万円を助成します。企業からの声として、企業のPRになり採用活動の強みになった、社員からの声として、月々の返済額を増やせた、返済期間も短くなり将来への不安が減った、就職活動中に返還支援制度を知り、金沢市内への就職理由の一つになったなど、双方にプラス効果が出ています。
このほかに政令市では札幌市、仙台市、浜松市などでも同様に自治体認定企業や登録企業などの民間企業と行政が連携した奨学金返還支援を実施しています。
福岡市ではUIJターンの促進についてはどのような取組を行っているのか、伺います。
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) UIJターンにつきましては、全国の求職者や転職希望者などと採用意欲の高い市内の中小企業が参加する福岡市オンライン合同会社説明会などを開催し、福岡市での就職を促進しております。以上でございます。
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) 優秀な人材確保や若者支援の方法として、金沢市のほかにもこうした奨学金返還支援制度を活用した全国の自治体の取組事例を挙げますと、石川県や和歌山県などでは理系の出身者を対象に奨学金返還支援制度を設けています。さらに、東京都では建設、IT、ものづくり分野の都内中小企業に対し、技術者の確保と定着を支援するため、企業と協同して奨学金返還費用の一部を助成しています。また、名古屋市では市内の推計で2025年度5,000人、2040年度1万3,000人の介護職員不足の可能性があり、採用が難しい職種、退職が多い職種の1位が介護職員であることから、市内事業所で働く介護職員の奨学金返還支援を始めました。
先日出席した福岡市総合計画審議会では、福岡で学んだ理系、工学部などの優秀な学生はまだ多くが卒業後福岡を後にしている現状もお聞きしました。また、福岡市では保育士への奨学金返還支援を実施していますが、エンジニアフレンドリーシティ構想も進めており、理系出身者に絞った奨学金返還支援など、多様な奨学金返還支援が思い浮かびます。昨今の報道にもあるとおり、宿泊事業者をはじめ、市内の中小企業も人材の確保には相当苦労されております。
福岡市の将来を見据え、昨今の人材確保に苦労している地場中小企業のためにも奨学金返還支援を検討してはと考えますが、所見を伺います。
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 市内経済が新型コロナからの回復期にある中で、市内の中小企業では人材の確保に関する課題感が増してきているものと認識しております。そのような状況の中で、企業の奨学金返還支援は企業の人材確保や持続的な経営のための取組の一つとして認識しており、現在、他都市の実施状況等について調査するとともに、活用事例を含めた制度の周知に努めているところでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) 御答弁によると、奨学金返還支援は中小企業の人材確保や持続的な経営の一つの取組と認識しているとのことであり、今後に期待しております。現在、学生の約2人に1人が奨学金を利用しているとも言われますが、約13人に1人の割合で返還が困難になっているのも事実です。厚労省では昨年度の自殺者のうち奨学金の返還を苦にしたと考えられる方が10人いたとの痛ましい報告がされました。また、未婚化、晩婚化が進む現在、結婚に踏み切れない主な理由の一つに、適当な人に巡り会わないという理由に次いで、経済的な理由が挙げられています。奨学金の返還期間は最大20年にもなり、結婚や出産の時期と重なるなど少子化の要因の一つにもなっていると考えます。
福岡市は身体的、精神的、社会的に良好な状態にあり、人々の満足度や充実、幸せなどを表すウエルビーイングの向上を目指した施策を推進しており、また、頑張る中小企業を応援するとともに、新たな価値を創造する人材を応援しています。
私はここまで奨学金の返還支援について質問してまいりましたが、最後に若者が希望を持って活躍できる福岡市に向けての髙島市長の御所見を伺って、質問を終わります。
○議長(打越基安) 髙島市長。
○市長(髙島宗一郎) 奨学金については、国において、学びの支援の充実や、また企業の人材確保の観点などから、奨学金の返還の支援や返済不要の給付型奨学金の充実などを進められているところと認識をしておりまして、福岡市では奨学金の返済支援に関し、他都市の実施状況等を調査するとともに、地場企業への制度の周知に取り組んでいるところでございます。また一方、福岡市としても優秀な学生が東京や海外に行かないと夢がかなわないということではなく、福岡をより大きな夢がかなうまちにしたいと強く思い、スタートアップ支援や国際金融機能の誘致、また天神ビッグバンなどに取り組んでいるところですが、今後とも、若者が将来に向かって希望を持ち、活躍できる都市を目指してしっかりと取り組んでまいります。以上です。