▼令和4年 令和3年度決算特別委員会 大坪 真由美 総会質疑 (令和4年9月22日)

◯大坪委員 公明党福岡市議団を代表して、オストメイトのQOL、生活の質の向上について、女性活躍と女性デジタル人材育成について質問を行う。初めにオストメイトのQOL、生活の質の向上について、オストメイトという用語を知っているか。大腸がんと前立腺がんの両方を患ったオストメイトの人から相談を預かっているため、今回の質疑で確認する。9月はがん征圧月間である。がんの早期発見、治療には検診の受診が重要である。国立がんセンターは、全国の医療機関で令和2年に新たにがんの診断、治療を受けた件数が前年と比べ約6万件減少したと発表している。新たながんの診断、治療件数の減少は、集計を始めた平成19年以降初めてであり、がん患者数そのものが減少したことに起因するのではなく、新型コロナウイルス感染症の影響で、がん検診の受診者が減ったことが影響したと見られている。令和元年10月の決算特別委員会で、特定健診とがん検診受診率の向上について質疑したため、進捗状況について尋ねる。まず初めに、本市のがん対策事業のコロナ流行前の令和元年度と3年度の決算額について尋ねる。併せて、新型コロナウイルス感染症流行前の状況と比較した本市における現在のがん検診受診者数の中で、大腸がんと前立腺がんの状況について、所見を尋ねる。

△保健医療局長 がん対策事業の決算額については、令和元年度が9億8,893万円余、3年度が10億8,724万円余、また、受診者数については、大腸がん検診は元年度が3万4,403人、3年度が3万6,589人、前立腺がん検診は元年度が1万5,491人、3年度が1万5,901人である。

◯大坪委員 9月1日付の市政だよりに皆さんの健康のために、ふくおか安心ワンコインとのタイトルで、市民がワンコイン500円で気軽に医療や検診などを受けることができるメニューをまとめて紹介していた。毎月1~7日は、健診受診推進週間となっているが、コロナ禍における検診に際しての配慮や取組について、また、受診控えにどのような対策を取っているのか尋ねる。

△保健医療局長 コロナ禍における検診の実施に当たっては、一度に多くの受診者が集まる集団健診において、受付の時間帯を分け、入り口での検温を行うとともに健診会場の換気を小まめに行うなど感染対策を徹底している。また、受診控えの対策については、コロナ禍でも検診受診は重要であることや、健診会場でコロナ対策を徹底していることを、個別の受診勧奨はがき、再勧奨はがきやチラシなどの各種広報物に掲載するなど、広報啓発の強化に努めているところである。併せて、市民が出かけた際に気軽に健診を受けられるよう、協会けんぽ等と連携して、ホテルや商業施設などで各種健診を行う、よりみち健診の実施など、健診を受けやすい環境づくりに取り組んでいる。

◯大坪委員 これは私に届いたよかドック健診の勧奨はがきである。しっかり取り組んでいることで、本市においてはがん検診受診控えも影響なく事業が推進していることに安心した。しかし一方で、がんは日本人の死因の1位を占めており、生涯で2人に1人ががんと診断される時代になった。国立がん研究センターが平成30年にまとめた統計によると、前立腺がんと診断された男性は約9万2,000人、膀胱がんは男性約1万7,500人、女性約5,600人であり、前立腺という臓器は男性にしか存在しないため当たり前だが、膀胱がんは圧倒的に男性の罹患が多い。オストメイトとは人工肛門や人工膀胱を持つ人のことである。日本では、約20万人いると言われている。しかし、服を着ていると外見では分かりにくい障がいであるため、日常生活で不便を感じることが多々あると聞いた。オストメイトの人は区分としては、膀胱または直腸機能障がいの身体障害者手帳を所持しているようである。現在、本市に何人いるのか尋ねる。

△福祉局長 膀胱または直腸機能障がいの身体障害者手帳を所持している人の数は、令和4年3月末時点で2,044人である。

◯大坪委員 本市では2,000人を超える人が関連の障がいを抱えており、多いと感じる。術後につくるのが人工肛門や人工膀胱である。これらを合わせてストーマと呼ぶ。直腸や肛門、膀胱が障害される病気が主な原因で、子宮がんや卵巣がんなど近くにある臓器のがんも原因になり得る。ストーマを装着して、様々な苦労や不自由を抱えながら、それぞれに工夫して生活している。どんなことに不便を感じているのか、何があれば暮らしやすくなるのかなどのオストメイトの人の声をキャッチしているのか尋ねる。

△福祉局長 市民からの声については、窓口での相談や当事者団体などからの要望を随時聞いているところである。その例として、日常生活用具のうち、ストーマ装具については、新たな附属品を給付対象とできないかとの要望があり、適宜、対象品目として追加してきたところである。

◯大坪委員 オストメイトの人が安心して暮らせる社会を目指してオストメイトによるオストメイトのための障がい者団体がオストミー協会で、オストメイトの社会復帰とQOL、生活の質の向上を図るための幅広い活動を行っている。協会は本市から委託を受け、あいあいセンター7階で毎月第2土曜日午後1~5時に無料で相談会を開催しているとのことである。協会への委託業務の内容と、過去3年間の決算額の推移について尋ねる。

△福祉局長 オストミー協会に対しては、ストーマ装具に関する講習や、食事、入浴方法などに関する相談会を毎月1回実施する業務を委託している。過去3年間の決算額については、令和元年度が45万4,000円、2年度が18万1,000円、3年度は28万7,000円である。

◯大坪委員 昨年度の実績として、相談会の開催回数と参加者数について尋ねる。

△福祉局長 相談会については、通常は原則毎月開催であるが、令和3年度は新型コロナウイルス感染症の影響で開催回数は7回となっており、参加者数は毎回15人程度が参加し、延べ101人となっている。

◯大坪委員 相談会の開催の案内については、市政だよりの情報ボックス相談コーナーに掲載しているが、より多くの人に参加してもらうために周知について工夫検討をお願いしたいが、所見を尋ねる。

△福祉局長 相談会については、毎月市政だよりに開催情報を掲載するほか、毎年発行する福岡市の障がい福祉ガイドや、2か月に1回発行する障がい者向け広報誌を活用して周知を図っているところであるが、より多くの人に参加してもらえるよう、今後、掲載内容等について検討していく。

◯大坪委員 次に、ストーマ装具等の日常生活用具給付事業について尋ねる。日常生活用具給付事業は平成18年10月に施行され、市町村が行う地域生活支援事業のうちの必須事業の一つとして規定されている。日常生活給付事業の中のストーマ装具の過去3年間の決算額の推移について尋ねる。

△福祉局長 ストーマ装具の決算額については、令和元年度は1億9,473万1,000円、2年度は1億6,790万4,000円、3年度は1億8,105万7,000円である。

◯大坪委員 人工肛門、人工膀胱といったストーマ装具の費用と日常生活用具給付事業でのストーマ装具の基準額について尋ねる。

△福祉局長 ストーマ装具の費用については、令和2年度に厚生労働省が実施した調査によれば、全国平均で1か月当たり7,500円程度となっている。また、本市の基準額については、人工肛門のある人が使用する蓄便袋などの消化器系が月額8,900円、人工膀胱のある人が使用する蓄尿袋などの尿路系が月額1万1,700円となっている。

◯大坪委員 ストーマ装具を装着する際には、皮膚保護材の肌のゆるみや補正をするパテ、パテを除去するリムーバーなど、幾つかの附属品があるが、これらは全て日常生活用具としての給付の対象になっているのか尋ねる。

△福祉局長 ストーマ装具の附属品については、全ての附属品の品目のうち、オストミー協会や当事者から要望があった皮膚保護パテ、リムーバーなどの13品目は日常生活用具給付の対象としている。

◯大坪委員 団体から要望されている附属品は全て給付の対象であることは理解した。しかし、毎月、ストーマ用品を給付金で利用して購入しているが、自己負担額がかなり増えてきている、何とかならないかとの要望を受けている。これが実際のストーマ装具である。どのようなものか知ってもらう機会になればと借りることができた。尿路系と消化器系で種類も複数あり、生活スタイルによって使い分けていると聞いている。先ほどの答弁では、消化器系が8,900円、尿路系が1万1,700円とのことだったが、地域生活支援事業として開始となった平成18年と現在の基準額を比較して変わっているのか尋ねる。

△福祉局長 ストーマ装具の現在の基準額については、平成18年当時の基準額とほぼ同額である。

◯大坪委員 基準額は平成18年からほとんど変えていないとのことだが、一方で、事業開始の18年から現在に至るまでには、消費税が5%から8%、そして、10%と増額されている。また、ストーマ等の用具も改良、開発され、品質も向上し、価格も高くなっている。現在の給付額では、ストーマを購入するだけで、補助費を使い果たす計算となり、せっかく日常生活用具に含んでいるパテや皮膚保護材などの費用は自己負担となっている。国は利用者負担金額について、市町村の判断によるとしている。県内で基準額が高い市町村はどこで、金額は幾らなのか尋ねる。

△福祉局長 県内の多くの市町村が、本市と同程度の基準額であるが、最も高い大野城市では消化器系、尿路系ともに月額1万3,000円である。

◯大坪委員 政令指定都市を調べてみたところ、名古屋市は消化器系、尿路系ともに1万3,000円、相模原市は消化器系1万2,000円、尿路系1万5,000円、横浜市では消化器系1万円、尿路系1万3,000円、札幌市では消化器系9,400円、尿路系1万2,400円となっている。実質的な自己負担額が増えているという現状も踏まえ、本市の基準額を増額すべきだと考えるが、所見を尋ねる。

△福祉局長 ストーマ装具の基準額については、過去に国が示していた基準額に基づき設定しており、その増額については、利用者のニーズや他都市の状況などを踏まえ検討するとともに、国に対し、地域生活支援事業に係る補助金の増額など必要な措置を講じるよう、引き続き要望していく。

◯大坪委員 本市で検討してもらえるとの答弁で当事者にも喜んでもらえると思う。一方で、自治体で給付額に格差が生じている実態もあるため、その点については、国への要望も引き続きお願いしておく。オストメイトの人は、ストーマ装具にたまった排せつ物を処理する際、便器の中で中腰の姿勢で行うことが多く、足腰に負担がかかるとのことで、前広便座は通常の便座に比べ奥行きがあり、前方部分が広いため、座ったままで処理しやすいとのことである。以前にオストメイト対応便座が寄贈されていると聞いたが、どこに設置しているのか尋ねる。

△福祉局長 オストメイト対応便座については、令和元年6月に(一社)バリアフリー推進協会から寄贈され、市民福祉プラザに設置している。

◯大坪委員 福岡市福祉のまちづくり条例において、オストメイト用の設備はどのような施設が設置対象とされているのか尋ねる。

△福祉局長 オストメイトのための設備については、福祉のまちづくり条例施行規則において、不特定多数の者、または主として高齢者、障がい者等が利用する建築物で、床面積が2,000平方メートル以上の施設などへの設置を義務づけている。

◯大坪委員 これは地下鉄中洲川端駅のトイレであり、先ほど述べた排せつ物を処理する便器が設置されている。令和3年4月1日に改正バリアフリー法が施行され、これにより高齢者や障がい者が肉体的、精神的に負担なく移動できるよう、まちや建物のバリアフリー化を促進することを目的に一部が改正され、オストメイト対応トイレの利用がしやすくなるよう、社会全体が変わってきている。また、最近では、各自治体において女性トイレの個室に置いてあるサニタリーボックスを、男性トイレの個室にも設置する動きが広がっている。加齢や前立腺がんなどの後遺症で頻尿や尿漏れの症状が起きやすくなり、尿漏れパットや紙パンツを着用することが多い。しかし、公共施設などの男性トイレの個室にはサニタリーボックスの設置が進んでおらず、パットを捨てる場所がないため、外出先から自宅までビニール袋などに入れて持ち帰らざるを得ない人が数多くいる。日本トイレ協会が2月に実施したアンケートによれば、尿漏れパットや紙パンツを使う男性の7割が捨てる場所がなくて困っていたと答えている。サニタリーボックス設置の新聞掲載記事を読んだ人から早速、本市も設置してほしいとの要望の声が届いている。市役所や区役所の男性トイレの個室にサニタリーボックスは設置しているのか尋ねる。

△財政局長 サニタリーボックスについては、本庁舎及び区庁舎ともに男性トイレの個室には設置していないが、高齢の人や障がいを持つ人などが利用するバリアフリートイレには設置している。

◯大坪委員 埼玉県では、県有施設の男性トイレの個室にサニタリーボックスが6月までに100%設置された。神奈川県でも横浜市にあるかながわ県民センターの男性トイレの個室17か所に設置され、トイレの出入口には、病気などで尿漏れパットを利用している人のためにサニタリーボックスが設置されていると表示している。本市においても、まずは市役所本庁舎と区役所の男性トイレの個室にサニタリーボックスを設置してもらいたいと提案するが、見解を尋ねる。

△財政局長 本庁舎及び区役所庁舎におけるサニタリーボックスの設置については、バリアフリートイレの増設も含め、男性トイレの個室への設置を検討していく。

◯大坪委員 ほかの市関連施設も含め、早急に対応されたい。次に、災害時の避難所にオストメイトの人を想定したストーマ装具などの備蓄品や簡易トイレは準備されているのか尋ねる。

△市民局長 オストメイトの人が避難される際のストーマ装具等については、個人ごとに使用される装具が異なるため、各自で持参してもらいたいと考えている。また、避難所となる公民館の一部にはオストメイト対応トイレが設置されているが、今後、オストメイト対応の災害用簡易トイレの備蓄についても検討していきたいと考えている。

◯大坪委員 相談者は自分がオストメイトであることを公表することもためらうし、避難所に行くことで周りに迷惑をかけるのではないかと複雑な心境を語られた。障がい者に配慮された避難所対応をお願いしておく。トイレの表示については、これまでの「多目的」「誰でも」「みんなの」といった表現ではなく、障がい者用であることを明記することが推奨されている。誰でも使用できるような名称ではなく、利用対象者を明確にする名称やピクトグラムなどで表示する工夫を行うなど、オストメイトのQOL、生活の質の向上のさらなる一歩前進である。オストメイトの人をはじめ、障がいがある人がトイレを利用する際には、せっかく設備があっても使用が集中して利用しづらいなど、利用者のマナーも含め、まだまだ不自由に感じることがあるかと思う。誰もが利用しやすいトイレの在り方について、最近の国の取組方針や本市における対応について尋ねる。

△福祉局長 誰もが利用しやすいトイレの在り方については、国においては令和2年6月施行の改正バリアフリー法等に基づき、バリアフリートイレの適正利用の推進、心のバリアフリーの推進等を通じた広報啓発、トイレの適正な名称の表示、オストメイト対応設備などの一般トイレへの分散設置の推奨などに取り組んでいる。本市においても国と同じく、広報誌の活用や出前講座等による心のバリアフリーを推進するとともに、トイレの名称変更やオストメイト対応設備の分散設置の推奨などに取り組んでおり、今後ともソフト、ハード両面から、必要な人が必要な機能を備えたトイレを利用できる環境づくりに努めていく。

◯大坪委員 特定の機能を備えたトイレが適正に利用されるためには、これまで同様に、機能や設備の整備といったことは重要であるが、これからは真に必要な人が必要なときに利用できるよう、適正利用を推進するための広報啓発が大事な観点になってくると思う。本市でもこうした観点に立った取組を積極的に推進するようお願いする。今回は、オストメイトの人のQOLの観点から質問を進めてきたが、超高齢社会への対応や共生社会の実現、ユニバーサルデザインの推進などへの意識が高まる中で、高齢者、障がい者をはじめとしたあらゆる人々が参加、参画できる社会の実現が求められている。この質問の最後に、誰もが共生できる社会の実現に向けての市長の所見と決意を尋ねる。

△市長 全ての市民が年齢や性別、障がいの有無などによって分け隔てられることなく、共生できる社会を実現するため、多様な市民一人一人の生活の質の向上を図り、自立した社会生活を営むための環境整備を進めることは重要であると認識している。本市では、令和3年12月に改正した福岡市バリアフリー基本計画に基づき、ハード、ソフト一体的なバリアフリー化を官民連携して進めるほか、当事者の意見を踏まえながら、日常生活用具の給付対象を拡大するなど、障がいのある人の支援の充実に取り組んできた。今後とも、みんながやさしい、みんなにやさしいユニバーサル都市・福岡の実現に向け、障がいの有無にかかわらず、全ての人にとって暮らしやすいまちとなるよう、しっかりと取り組んでいく。

◯大坪委員 次に、女性活躍と女性デジタル人材育成について、新型コロナウイルス感染症が蔓延したことで、男女共同参画の推進にとっても大きな変革のときであった。企業においては、柔軟な働き方やワーク・ライフ・バランスの取組が急速に進む契機となり、テレワーク、オンラインの活用などが一気に進んだことにより、男性が育児、家事や介護にしっかりと向き合う機会が増えた一方、男女の固定的役割分担意識などの課題も顕在化した。こうした状況を踏まえて、ポストコロナも見据えながら、今後5年間に取り組む施策の方向と内容を定めた第4次福岡市男女共同参画基本計画が令和3年3月に策定されている。平成27年第5回定例会において、「女性が輝く社会を目指して」をテーマに男女共同参画の推進について質問した。今回の質疑では、その後の進捗状況も含めて進めていく。まず初めに、平成27年に質問した際、男女共同参画社会に関する市民の意識として男は仕事、女は家庭を守るべきという考え方の本市における調査結果を尋ねたが、その後、市民の意識はどう変わっているのか、平成26年度と令和3年度の意識調査の結果を尋ねる。

△市民局長 男は仕事、女は家庭を守るべきであるという固定概念を持たない市民の割合については、本市基本計画の成果指標に関する意識調査において、平成26年度調査では、女性66.0%、男性60.9%、令和3年度調査では、女性78.8%、男性71.9%となっている。

◯大坪委員 本市において、男女の固定的な役割分担意識がこの7年で男女とも10ポイント以上改善していることは理解した。平成27年9月の国連サミットで、持続可能な開発目標SDGsが掲げられ、その17の目標の一つとして「ジェンダー平等を達成し、全ての女性及び女児のエンパワーメントを行う」が掲げられ、2030年までに、誰一人取り残さないことを目指して取り組むことが宣言されている。これは、毎年発表されているジェンダーギャップ指数のグラフである。1位がアイスランドで、日本は146か国中116位となっている。主要7か国、G7で最下位である。分野別の順位で見ると、健康、教育の値はトップクラスであるが、政治、経済の分野での遅れが低迷の原因となっている。企業の女性管理者の割合も1割程度にとどまっていることが分かる。女性の労働参加率が低いことが影響していると指摘されており、女性の正規雇用職が少ないことなども要因の一つではないかと思うが、本市の男性と女性の正規雇用者数と非正規雇用者数の直近の人数と割合について尋ねる。

△経済観光文化局長 平成29年の就業構造基本調査によると、男性については、正規雇用者数が27万9,000人で割合は約76%、非正規雇用者数が8万8,300人で割合は約24%となっている。女性については、正規雇用者数が14万7,500人で割合は約42%、非正規雇用者数が20万300人で割合は約58%となっている。

◯大坪委員 コロナ禍は日本社会に様々な影響を及ぼしたが、雇用に関しては、男性よりも女性がより大きな打撃を受けていることが、令和2年11月にNHKと(独法)労働政策研究・研修機構が実施した共同調査によって浮き彫りになった。女性の就業が多いサービス業などの接触型産業が強く影響を受けている。コロナ禍における女性の負担軽減に向けた取組として、国の地域女性活躍推進交付金を活用した女性のためのつながりサポート事業が行われているが、令和3年度の決算額と事業概要、事業実績について尋ねる。

△市民局長 女性のためのつながりサポート事業の令和3年度の決算額については、886万円余である。事業概要は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響などにより、困難や不安を抱える女性が社会との絆やつながりを回復できるよう、NPOの知見やノウハウを活用し、相談機会の提供など、女性に寄り添ったきめ細かな支援を行うものである。また、事業実績については、令和3年10月につながりサポート相談室を開設し、相談件数は延べ250件となっている。さらに支援策の一環として、子ども食堂やマザーズハローワーク、市立の小中学校、高校等で生理用品の配布を行っている。

◯大坪委員 公明党福岡市議団では、令和3年3月に生理の貧困解消への緊急要望書を提出していたため、早急な対応に感謝する。近年、人工知能、AIの研究が飛躍的に進化するなど、デジタル技術が急速に発展、普及し、日常生活や経済活動に対して大きな変化を与えている。スマートフォンの世帯保有率が8割を超え、提供されるサービスもデジタルを前提とした仕組みに変わりつつある。このような社会全体の変化は、本来であれば徐々に進行するものであるが、新型コロナウイルスの感染拡大がその流れを急速化させている。行政や企業など様々な主体にとって、これまでの活動の在り方を見直し、新たなサービスの提供を模索する契機となっている。このような状況の下、国では、デジタル庁が発足して1年が経過し、社会全体のデジタル化に向けての取組がより一層強化されている。デジタル庁設置の目的と概要、さらにDXについて尋ねる。

△総務企画局長 デジタル庁設置の目的及び概要については、国の資料によると、デジタル社会の形成に関する施策を迅速かつ重点的に推進することを目的として設置されており、デジタルにより目指す社会の実現に向け、司令塔としてデジタル化の取組を牽引していくこととされている。また、同じく国の資料によると、DXとはデジタル技術の活用による新たな商品やサービスの提供、新たなビジネスモデルの開発を通して、社会制度や組織文化なども変革していくような取組を指す概念とされている。

◯大坪委員 現在、自治体においてもDXが進められているが、本市においては、国に先駆けて令和2年9月末までにハンコレスを完了し、行政手続の効率化、オンライン化を推進している。本市のDX推進について、令和2年度と3年度の決算額と進捗状況を尋ねる。

△総務企画局長 DXの推進に係る決算額については、令和2年度が2,893万円余、3年度が4,867万円余である。進捗状況については、市民の利便性の向上と業務の効率化を図る観点から、令和4年3月末時点で、年間総処理件数の約86.2%の行政手続について、オンラインによる申請等を可能としてきたところである。

◯大坪委員 行政手続のオンライン化は、市民の利便性向上と業務の効率化を図る観点はもちろんだが、働く女性にとっては、より利便性の高いものとなる。今後とも積極的に進められたい。国におけるデジタル社会の実現に向けた取組の柱の一つとして、マイナンバーカードの普及が挙げられる。そこで本市のマイナンバーカードの申請サポートに関わる令和3年度の決算額を尋ねる。また、本市及び国における直近のマイナンバーカード申請率、交付率を尋ねる。

△総務企画局長 本市のマイナンバーカードの申請サポートに係る令和3年度の決算額については、3億5,341万円余である。次に、マイナンバーカードの人口に対する申請率及び交付率については、令和4年8月末現在で、本市においては、申請率が61.5%、交付率が49.8%。国においては、申請率が57%、交付率が47.4%となっている。

◯大坪委員 本市では、国の平均値を上回っていることが分かった。マイナンバーカードを健康保険証や運転免許証と一体化することが推進されており、今後のさらなる取組と成果が期待される。経済産業省は、デジタル人材が2030年に最大79万人不足すると試算している。情報通信白書によると、7割近くの日本企業がデジタル化を進める上での課題と障壁として人材不足を挙げている。日本企業にデジタル人材が不足する理由として、採用体制の未整備、育成体制の未整備、育成方法が分からないが上位を占めている。そこで、市内中小企業に向けたデジタル人材育成の取組について、事業概要を尋ねる。

△経済観光文化局長 デジタル人材育成については、令和4年度から市内に事業所を持つ中小企業の経営者層及びそこに勤務する社員を対象とした生産性向上のための人材育成事業に取り組んでいる。この事業は、業務にデジタル、IT技術を導入、活用する取組への理解と意欲の向上を拡大するための経営者層向け経営セミナーと、経営者層を含む社員を対象に自社のあらゆる業務にデジタル、IT技術を利活用できる人材を育成するIT導入スキル養成講座を実施している。

◯大坪委員 国は本年4月に女性デジタル人材育成プランを策定し、官民連携の取組を打ち出した。女性のデジタル人材育成プランでは、コロナ禍で厳しい状況に置かれた女性が就労に直結するデジタルスキルを身につけることを目的に掲げている。ここで、女性デジタル人材育成に取り組んでいる先進事例について、受講した研修で聞いた事例を紹介する。長野県塩尻オリジナルの地域就労支援モデルKADOというものである。平成22年に、ひとり親家庭などの在宅就業支援事業としてスタートし、各省庁の補助金や国のプロジェクトを受けながら、対象を子育て中の女性、障がい者、介護者等の時短就労希望者に順次拡大され、就労に時間的な制約のある人が好きなときに好きなだけ安心して働ける仕組みとなっている。KADOは、市の外郭団体である塩尻市振興公社と塩尻市が一体となった公設クラウドソーシング、テレワーク、コワーキングを組み合わせた官民連帯事業である。テレワークの就労形態は時間や場所を選ばないということ、また、IT関係の仕事は利益率が高いものが多く、経済的に自立できるといった点で、非正規雇用の女性やシングルマザーに向いているとのことで大変納得した。紹介した事例は、民間企業が中心となった取組であるが、今後、身近な地域づくりや高齢者のデジタルデバイドの解消、商店街のICT化推進など、あらゆる分野で女性デジタル人材の活躍の場が広がっていくと考えられる。また、人生100年時代を迎え、定年後も変わらず活躍され、生涯現役を貫く人も増えている。世界最高齢プログラマーとして話題になった若宮正子さんは現在87歳だが、定年後にパソコンを始め、アプリを開発、そして世界に羽ばたく夢を果たしている。女性が長い人生を経済的困窮に陥ることなく生活できる力を身につけることは喫緊の課題であり、中高年の女性にとっても新たなスキルを身につける機会は重要であると考える。そこで現在、本市の女性活躍推進について、どのようなことに取り組んでいるのか、その成果も含め、尋ねる。また、今後、女性デジタル人材育成など、さらなる女性活躍の取組を進められたいと考えているが、所見を尋ねる。

△市民局長 女性活躍推進については、働く女性のキャリア形成支援のほか、アミカス内に設置しているシティハローワークみなみと連携し、再就職に役立つ知識を学ぶ講座を開催するなど、女性の就労支援に取り組んでおり、その成果として直近3年間の受講者への1年後調査において、就職が決まった人の割合は約6割となっている。今後とも働く場において女性が活躍できるよう、女性デジタル人材の育成など、他都市の事例も参考にしながら、効果的な取組を検討していく。

◯大坪委員 最後に、新型コロナウイルス感染症の流行を契機にテレワークの導入など、時間や場所を選ばない多様で柔軟な働き方が急速に進む中、本市として誰もが生き生きと活躍できる男女共同参画社会の実現について、市長の所見と決意を聞いて質問を終わる。

△市長 男女共同参画の推進については、第4次福岡市男女共同参画基本計画に基づき、ライフステージに応じた男女共同参画意識の啓発に努めるとともに、女性活躍推進に向けた啓発や支援を行っている。新型コロナウイルス感染症の拡大によって多様で柔軟な働き方が急速に進む中、女性デジタル人材の育成など、新たな時代の変化に対応できる人材の育成や女性の経済的自立に向けた様々な取組は重要であると考えており、関係局が連携しながら取組を進めていく。今後とも職場や家庭、地域などあらゆる場において、誰もが個性と能力を発揮し、一人一人が生き生きと輝く男女共同参画の実現を目指し、しっかりと取り組んでいく。

 

議員紹介

  1. つつみ 健太郎

    西 区

    つつみ 健太郎
  2. たばる 香代子

    中央区

    たばる 香代子
  3. たのかしら 知行

    博多区

    たのかしら 知行
  4. 石本 優子

    早良区

    石本 優子
  5. かつやま 信吾

    東 区

    かつやま 信吾
  6. 古川 きよふみ

    博多区

    古川 きよふみ
  7. 高木 勝利

    早良区

    高木 勝利
  8. しのはら 達也

    城南区

    しのはら 達也
  9. 尾花 康広

    東 区

    尾花 康広
  10. 松野 たかし

    南 区

    松野 たかし
  11. 山口 つよし

    東 区

    山口 つよし
  12. 大石 しゅうじ

    南 区

    大石 しゅうじ
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