◯大石委員 公明党福岡市議団を代表して、本市のごみ問題をテーマに、ごみ収集に関連しての火災事故防止について、資源ごみ(有価物)の持ち去り行為の防止について、西部工場建て替えにおける不燃ごみの処理問題についての3つに分けて質問する。まず初めに、ごみ収集に関連しての火災事故防止について尋ねる。令和4年度におけるごみ関連の予算の状況を尋ねる。
△環境局長 ごみの収集や処理施設の運営、整備など、環境局のごみ処理関連経費の令和4年度の予算額は204億9,680万円余である。内訳については、家庭から出る可燃ごみ、不燃ごみ、粗大ごみなどの収集運搬に係る経費が83億2,846万円余、工場や埋立場などの処理施設の運営経費が63億7,487万円余、処理施設の整備や修繕等の経費が44億4,902万円余、家庭ごみの指定袋の調達等の経費が7億7,349万円余、その他の経費が5億7,095万円余となっている。
◯大石委員 次に、現行の本市の家庭ごみの収集体制について、全容を分かりやすく説明されたい。また、本市が全国に誇る夜間収集の現在に至るまでの歴史や沿革など、併せて尋ねる。
△環境局長 本市の家庭ごみの収集体制については、可燃ごみ、不燃ごみ、空き瓶・ペットボトル及び粗大ごみの4分別収集体制で、可燃ごみは週2回の収集頻度で夜間戸別収集、不燃ごみ及び空き瓶・ペットボトルは月1回の収集頻度で夜間戸別収集、粗大ごみは昼間に申込み制による戸別収集を行っている。次に、夜間収集の歴史については、本市のごみ収集は明治24年に福岡市掃除定則を制定し、ごみ収集を民間へ委託したことに始まった。かつてのごみ収集は、主に農家が兼業する形で行っており、農作業をする前の早朝に、馬車やオート三輪で収集していた。その後、昭和32年に家庭ごみの週2回の戸別収集を開始し、この頃からモータリゼーションの進展に伴い、年々深刻化する交通渋滞を避けるために夜間収集へ移行した。
◯大石委員 本市のこれまでの取組、市民の協力、事業者の頑張りなど、関係者全般の努力で現在の盤石なごみ行政が構築できていることがよく理解できた。そういったすばらしい環境行政の中で、近年、ごみ収集に関連して火災事故が発生していることが大きな社会問題になっている。本市のごみ収集全般においての火災発生状況はどうなっているか尋ねる。また、可燃ごみ、不燃ごみなどの内訳についても尋ねる。
△環境局長 本市では、ごみ収集時の状況を的確に把握するため、車両から少しでも煙が発生したような際にも収集業者から事故報告書の提出を求めており、家庭ごみ収集全体での報告件数については、平成29年度は28件、30年度は44件、令和元年度は60件、2年度は60件、3年度は2月末時点で39件となっている。そのうち、可燃ごみの収集業者からの報告件数は、平成29年度及び30年度はゼロ件、令和元年度は1件、2年度は1件、3年度は2月末時点でゼロ件となっており、不燃ごみの収集業者からの報告件数は、平成29年度は28件、30年度は44件、令和元年度は59件、2年度は59件、3年度は2月末時点で39件となっている。
◯大石委員 やはり本市においても火災事故が相当数発生しているとのことである。可燃ごみの収集では火災事故はほとんど発生しておらず、火災事故が発生したのは、以前の決算議会でも質問したが、いわゆる不燃性のごみ収集で発生していることがよく分かる。本市においては、過去5年間で229件の火災事故が発生しているということであり、実に8日に1回という異常に高い割合で発生しているということになる。この数はあまりにも多過ぎると感じている。そこで、不燃性のごみを分別して資源化する、市内に2か所ある資源化センターについて尋ねる。そのうちの東部資源化センターについては、3年前に、ごみの貯留ピットや搬入ステージの屋根を焼くなどの大規模な火災事故を起こしており、消火までに相当な時間を要した火災事故だったと記憶している。改めて3年前の東部資源化センターの火災事故はどのような事故だったのか尋ねる。
△環境局長 東部資源化センターで令和元年度に発生した火災事故の概要であるが、火災の発生は令和元年12月22日日曜日の夜間で、ごみの受入れや処理を行わない日であったこともあり、施設内は無人の状態であった。このような状況下で、東部資源化センターのごみを貯留するピット部分から出火した。この火災により、ごみ貯留ピット棟やごみ受入れを行う搬入ステージの屋根、ごみを破砕、選別装置に投入するクレーン設備、施設の運転や監視を行う設備等が焼損するなど、大規模な火災となり、当日19時59分の火災報知器の発報から、翌23日21時30分に鎮火確認するまでに25時間余りの時間を要した。この火災により、けがなど人的な被害はなかったものの、火災の煙や臭気で、風下側であった香椎や和白方面などの広範囲の市民から苦情や問合せが寄せられ、周辺住民をはじめ市民に多大な迷惑や心配をかけ大変申し訳なく思っている。出火の原因としては、消防局と連携して、ごみ貯留ピット内に残っている火災残渣物の調査を行い、発火につながる可能性のあるものとして、中身の残ったスプレー缶やライターなどを確認したが、直接の出火原因と断定できるものは確認できなかった。このようなことから、今回の火災の出火原因は、ごみ貯留ピット内で、不燃物である金属同士の摩擦や電池類のショートなど、何らかの原因により火花が生じ、周囲の可燃物、または中身の残ったカセットボンベやスプレー缶などから漏出した可燃性ガスに引火したことが原因ではないかと推定している。
◯大石委員 消火まで25時間も要した相当大きな火災事故であった。先ほど、詳しく説明があったが、3年前ということで記憶も曖昧であるため、当時の消防局長の議会答弁を紹介したいと思う。当時、消防局長は「この火災は、最終的な消火活動については、石油コンビナートなどの大規模火災対策用として導入された、通常の約4倍の取水、放水能力がある最新の特殊車両を活用した。そして、大量の水を必要とした緊急事態であることから、久原川の水位を上げるため、水道局に久原ダムからの放流を要請して、川から約1キロメートル、ホースを延長して消火活動を実施した」と答弁している。この答弁からも、尋常ではない火災事故であったことが分かると思う。そういった大事故の中でも、唯一人命に関わることがなかったことは不幸中の幸いであった。私は、この火災事故を決して忘れてはいけない大きな教訓にすべきであり、環境局は反省からスタートしなければいけないと考えているが、環境局はどのように考えているか尋ねる。
△環境局長 環境局の施設でこのような大きな火災事故を生じさせ、市民に多大な迷惑や心配をかけたことを重く受け止めており、このような火災事故は二度と起こしてはならないと強く決意している。この火災事故を反省するとともに、教訓として、管理体制の見直しや強化、搬入不適物の監視の強化及び周知、啓発の徹底など、ハード面、ソフト面の両面で再発防止を図るとともに、区役所と連携した市民向け広報体制の見直しなどに取り組んできたところである。今後も、市民から信頼され、安全、安心な施設の運営ができるよう引き続き取り組んでいく。
◯大石委員 私は以前の決算議会で、この火災事故による被害額、修理、修繕の費用、その他でかかった費用、全て合わせてどれだけの費用がかかったのかを聞いたが、当時は全ての費用額が出そろっていないため総額は出せないということであった。火災事故から時間も経過し、東部資源化センターは既に復旧をして稼働しており、かかった費用の総額が出ていると思うので、大別して金額を示されたい。
△環境局長 東部資源化センターにおいては、火災事故後に各種調査を行うとともに、復旧工事を段階的に進め、令和4年度末までに復旧工事を完了させるよう事業を進めているところである。一部、4年度に実施する工事の費用も含まれているが、復旧費用の総額は約11億1,000万円となる見込みとなっている。内訳としては、解体や撤去に要する費用が約1億1,000万円、建物の復旧に要する費用が約4億1,000万円、プラント設備の復旧に要する費用が約5億1,000万円、その他の費用が約8,000万円である。
◯大石委員 正確には、3月に契約する話も聞いているので、もう少し費用がかかると思うが、ただいまの答弁で東部資源化センターの火災事故でかかった費用の全貌が分かった。復旧費用の総計は約11億1,000万円であり、実に多額の費用がかかっている。悪い条件が重なった火災事故だったとはいえ、一旦火災が起こってしまうと甚大な被害が生じるということである。言い換えれば、絶対に火災事故を出してはいけないということになろうかと思う。環境局も強い決意でごみ収集に関連した火災事故防止に向けて臨んでもらってはいるが、具体的にどのような取組をしているのか尋ねる。
△環境局長 火災事故の発生原因として多いリチウムイオン電池やスプレー缶等の排出については、市政だよりと同時に配付する環境特集号や、家庭ごみルールブック、LINEなど、様々な手段を活用して、適正な排出方法と火災の危険性について、市民への周知を図っている。また、公共施設で実施している小型充電式電池の回収については、令和3年度に新たに2か所追加し、回収拠点を拡充しており、さらに、リチウムイオン電池が内蔵されている加熱式たばこについては、民間事業者による回収が市内20か所で実施されていることを市ホームページにおいて周知するなどの取組を実施している。
◯大石委員 環境局も火災事故防止のために鋭意取組を行っているところである。しかし、先ほど確認したように、ごみ収集関連での火災の発生は減少していない。果たして現行の取組の市民への啓発活動、注意の周知徹底、持込み拡充などだけで十分なのか。もう少し実効性があり効果が期待できる対策が必要ではないか、所見を尋ねる。
△環境局長 火災事故防止対策については、ごみの排出者である市民が、適正な排出方法と火災の危険性について理解して、協力してもらうことが必要であることから、これまでの取組の徹底を図ることに加え、収集車両火災の原因となるごみの排出地区が特定された場合において、周辺の住民に啓発チラシを配布し適正排出の啓発を行っていくなど、今後も様々な機会を捉え、より一層の周知、注意喚起を行っていく。
◯大石委員 これまで火災事故に関係して環境局の取組について尋ねてきたが、先日、ごみ収集の最前線の皆さんの話を聞く機会があった。ここからは、ごみ収集事業者について尋ねていく。ごみの収集時に火災が発生するとどうなるのか。事業者は、まず民家への延焼防止のための安全確保、そして自身の安全確保、車両の保全など、まずは安全確保を図る。そして、小規模の火災であれば、大規模にならないように、収集車を停める空きスペースを確保し、直ちに消火活動を始める。どうしても消火ができない火災であれば、消防署へ通報し消防車を呼ぶということであった。火災の規模にもよるが、火災が発生して、消火をし、確認のため収集車の中のごみを一旦外に出して消火を確認し、またごみを戻して運んでいく。「とにかく大変な作業になる。火災は突然起きるので、点検及び消火場所の清掃、応援体制の確保や時間内での作業の終了と、業務上相当の影響が出る」と話されており、相当の緊張が要求されるようであった。このような事業者の取組に対して、業務の委託元である環境局としてはどのような取組をしているのか尋ねる。
△環境局長 ごみ収集時に火災事故が発生した場合の環境局の取組については、収集業者から火災の報告があった際は、出火場所、出火原因、消火方法、火災発生から消火までの時間、消火場所の原状回復状況、車両の被害状況などについて聞き取り等を行い、火災被害の状況を的確に把握するよう努めている。車両火災は、作業員の安全確保の観点や収集業務に及ぼす影響も大きいことから、火災の発生を防止することが大変重要であると認識しており、作業時の安全確保について、万一火災が起きた場合に速やかに対応できるよう、業務委託契約において、収集車両に消火器や水タンクを搭載する経費を含めた契約としており、さらに令和2年度からは、ごみ収集作業従事者を対象として、車両火災に関する研修を実施している。
◯大石委員 ごみ収集事業者の火災事故発生に対しての取組等を聞いたが、火災事故の発生をゼロにすることは現実的になかなか厳しいものがあると思っている。そこで、火災事故が発生したとき、そして事故の後の問題について、具体的な対策を取っているのか。例えば、ごみ収集車への散水設備の設置、さらには各種保険の加入など、安全対策への取組はできているのか。事業者が安心して業務は遂行されているのか、答弁を求める。
△環境局長 不燃ごみ収集時に車両火災が発生した際のさらなる安全対策としては、令和4年度から、ごみを積み込む荷台に延焼を防止するための自動散水装置を搭載する経費を委託費に積算する予定である。また、収集車両は全て車両保険に加入しているため、火災により被害が発生した場合は車両保険により補填されているが、車両以外への被害が発生した場合の対策も必要であると考えている。市民生活に欠かせないごみ収集を安定的に継続するためには、収集作業における安全対策は大変重要と考えているため、今後も収集業者と連携しながら安全対策に取り組んでいく。
◯大石委員 これまで本市のごみ収集の現状について尋ねてきたが、ごみ収集時のリスクは近年増大しており、結果として火災事故が頻発している状況など、本市のごみ行政を取り巻く環境が大きく変化していることが理解できた。この変化については本市だけではなく、全国的にも同じ傾向が見られるようであり、(公財)日本容器包装リサイクル協会や(一社)JBRCなどの調査でも、同様の報告が出されている。先ほどから、本市の施設火災事故やごみ収集車両の火災事故などについて尋ねる中で、火災の原因が、ガスボンベ等の廃エアゾール製品やリチウムイオン電池など、多様であることも分かった。環境省においても処理対策が困難なものについては、全国の自治体に対して、しっかりと対策を取るよう通知や事務連絡を行っていると聞いている。平成30年に「廃エアゾール製品等の排出時の事故防止について」、令和元年には「リチウムイオン電池の適正処理について」と、連続で国から出されているようである。それぞれ、どのような内容で通知を受けて、本市ではどのような取組をしたのか、具体的に尋ねる。
△環境局長 まず、平成30年12月の環境省通知「廃エアゾール製品等の排出時の事故防止について」の内容としては2点あり、1点目は、廃エアゾール製品等を排出する際には、製品を最後まで使い切ること、缶を振って充填物が残っていないか確認すること、ガス抜きキャップがある製品は、屋外でキャップを使用して充填物を出し切ることといった取扱いが必要であり、廃エアゾール製品等の充填物の使い切り及び適切な出し切り方法について、改めて住民へ周知徹底するよう市町村へ求めるもの、2点目は、廃エアゾール製品等の排出時に、住民に穴開けを求めている市町村に対して、火災発生のおそれがあることから、穴を開けずに充填物を出し切り、処理体制を整備するよう求めるものである。次に、令和元年8月の環境省事務連絡「リチウムイオン電池の適正処理について」の内容としては3点あり、1点目は、市町村における処理体制の適正化として、リチウムイオン電池の不適正な残留や混入を防ぐ収集運搬及び処分体制を検討すること、2点目は、リチウムイオン電池排出者への周知として、リチウムイオン電池及びそれを使用した製品の排出方法について、具体的に住民に対して周知を行うこと、3点目は、所属会員企業が製造、販売したリチウム電池等の回収、リサイクル活動を行っている(一社)JBRCの活用について検討することである。これらの国の通知等を踏まえ、本市では、排出方法や回収場所について市民への周知徹底を図るとともに、リチウムイオン電池の回収拠点の拡充や民間事業者による回収の実施など、回収体制の強化に努めている。
◯大石委員 ここまで、東部資源化センターの火災やごみ収集時の火災事故等を示しながら、火災事故防止対策の強化を求めてきた。ごみ収集時の火災事故や施設火災については、本当に厄介な事故だと考えている。今、全国の自治体では、何とか火災事故を防止していこうということで、様々な取組が始まっている。同じ政令指定都市の静岡市では、リチウムイオン電池の分別、戸別回収を始めている。また、浜松市では、市民が分別しやすいように、ごみの収積所でリチウムイオン電池の回収を行っているとのことである。愛知県の瀬戸市では、市が指定する各ごみ捨場に発火性危険物の区分を設置して、リチウムイオン電池のほか、使用済みのスプレー缶や使い捨てライターなどの廃棄物を、ビニール袋に入れて専用コンテナに出すという取組を始めた。それぞれ分別回収を開始した背景には、やはりごみ処理施設での発火事故が相次いで起こったということのようである。また、仙台市は、新年度からリチウム電池の定日収集を開始するとしている。これまでは、市内の回収拠点に持ち込んでもらう方式だったが、やはり家庭ごみに混ざって排出され、電池から出火する事故が後を絶たないということで、回収体制の強化を図るということであった。全国の取組、国からの取組強化への要望、そして何より市民の安全確保、本市の良質なごみ行政の確保のため、環境局には絶対に火災は起こさないという強い決意を持ってもらいたいと思う。発火性の危険物の収集体制の強化や民間団体との連携強化など、やれることは全てやるとの、環境局の決意を尋ねる。
△環境局長 市民生活に欠かせないごみ収集業務を安定的に継続するためには、火災防止対策は重要な課題であると認識している。火災の原因となるリチウムイオン電池の回収については、市民が確実に適正排出できるよう、民間事業者との連携強化による回収拠点の拡充を図るとともに、国の動向や他都市の状況も注視しながら、引き続き検討を進めていく。今後とも、火災防止対策については、リチウムイオン電池などの発火危険物のごみへの混入防止のため、様々な機会を捉えて適正排出及び火災の危険性について市民への周知啓発に取り組んでいく。
◯大石委員 次に、本市における資源ごみ(有価物)の持ち去り行為の防止について尋ねる。昨年から私のところへ資源ごみ(有価物)の持ち去りについての市民相談が数件寄せられているところである。実は私自身も、昨年末、軽トラックで不燃ごみを持ち去っている現場に遭遇したことがある。注意しようかと思ったが、危険だと判断して注意することをやめた。そこでまず、この資源ごみ(有価物)の持ち去り行為に関する市民からの苦情や相談がどれだけ寄せられているのか。過去5年分の市全体での件数の推移と苦情、相談の内容を尋ねる。
△環境局長 持ち去り行為に関する過去5年間の苦情、相談件数については、条例施行前の平成25年度は264件だったが、5年前の29年度が62件、30年度は47件、令和元年度は38件、2年度は39件、3年度は2月末時点で81件となっている。また、その内容としては、燃えないごみの収集日に勝手に燃えないごみを持っていく、知らない人にごみ袋をあさられて防犯上不安がある、市が収集するのでごみ袋を購入してごみを出したのに、市が収集しないのであればごみ袋を購入した意味がないなどの苦情、相談が寄せられている。
◯大石委員 持ち去りの事案を起こしている人たちは一体どのような人たちなのか。これまでの情報の蓄積などで分かっていることがあれば尋ねる。組織立って持ち去り事案を起こしているようなことはないのか、併せて尋ねる。
△環境局長 持ち去り行為については、昼は主に自転車、夜は主に自動車による持ち去り行為が確認されている。なお、自動車による持ち去り行為については、以前は主に軽トラックによるものであったが、最近はバンやワゴンでの持ち去り行為も確認されており、積載物を外部から判断することがより困難になってきている。
◯大石委員 実際に持ち去られた件数というのは分かるのか尋ねる。
△環境局長 本市内で実際に資源物が持ち去られた件数については把握できていないが、昼や夜のパトロール中に持ち去り行為を発見した件数については、条例施行直後の平成26年度は318件だったが、5年前の29年度は75件、30年度は87件、令和元年度は42件、2年度は46件、3年度は2月末時点で53件となっている。
◯大石委員 苦情、相談もそうだが、実際起こっている持ち去り事案についても相当数発生していることは容易に推察ができると思う。そこで、具体的にどのような物を資源ごみ(有価物)というのか尋ねる。
△環境局長 資源物については、福岡市廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例において「一度使用され、又は使用されずに排出された物品のうち、再生利用が可能であるものをいう」と定義している。本市では、家庭ごみで収集したもののうち、鉄、アルミ、瓶、ペットボトルについては資源物としてリサイクルしており、瓶、ペットボトルについては、選別後、リサイクル事業者へ引渡し、鉄とアルミについては、不燃ごみを資源化センターで破砕し選別処理した後、鉄くず、アルミくずとして売却している。
◯大石委員 資源ごみ(有価物)の中でも幾つかの種類があり、鉄とアルミについては売却を行っているということであった。過去5年間の売却量と売却金額を尋ねる。
△環境局長 資源ごみのうち、鉄くずの売却量と売却金額については、平成28年度は6,419トン、8,218万円余、29年度は6,942トン、1億4,989万円余、30年度は6,970トン、1億9,509万円余、令和元年度は6,864トン、1億4,155万円余、2年度は7,419トン、1億5,983万円余となっており、アルミくずの売却量と売却金額については、平成28年度は1,420トン、6,797万円余、29年度は1,540トン、1億195万円余、30年度は1,566トン、9,431万円余、令和元年度は1,702トン、6,901万円余、2年度は2,110トン、5,855万円余となっている。
◯大石委員 アルミくずの売却金額は、年ごとで違いはあるが、6,000万円前後~1億円余りとなっており、しっかりとした本市の歳入ではないかと思う。この持ち去り事案の頻発を放置すると、結果として本市の歳入が悪影響を受けることになる。持ち去り事案による本市の歳入への正確な影響金額は分からないと思うが、私が関係筋に少し取材、聞き取りをしたところでは「売上げが大体20万円以上になる」とか「いい小遣い稼ぎになる」とか、そのような話が聞こえてくる。それなりの売上げ、もうけになっているのではないかと推察できる。そうであれば、それなりの本市の歳入への影響があるとも考えるべきである。この資源ごみ(有価物)の持ち去り事案について、これまでどのような防止対策を講じてきたのか尋ねる。
△環境局長 資源物の持ち去り防止対策については、持ち去り行為の発見件数や苦情件数が急増していたことを踏まえ、平成26年4月に福岡市廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例を改正し、持ち去り及び買取り行為を禁止することとしている。具体的には、持ち去られる資源物が、主に燃えないごみの中のアルミ缶であることから、月1回の燃えないごみの持ち出し日に、昼は本市の会計年度任用職員が、夜は委託している警備会社がパトロールを行っている。また、金属買取り業者を定期的に訪問して、持ち去り品と分かるアルミ缶等の買取りを行わないよう指導しているほか、希望する地域には、持ち去り行為が条例で禁止されていることを警告する看板を配布し、共同住宅のごみ置場に掲示してもらっている。さらに、生活に困窮していると言う持ち去り者に対しては、自立支援相談窓口を紹介するなどの対応を実施している。
◯大石委員 それでは、それぞれの対策について尋ねていく。まず、委託パトロール、指導専門員の巡回指導についてであるが、具体的に何人で対応しているのか、パトロール、巡回の頻度はどうなっているのか、持ち去り発見時に指導専門員たちは何ができるのか、どのような権限があるのか尋ねる。
△環境局長 巡回パトロールの体制については、昼は本市の会計年度任用職員2人の資源物持ち去り防止指導専門員が、夜は委託している警備会社が、車2台の4人体制で、月1回の燃えないごみの持ち出し日の地区を中心にパトロールを行っている。また、資源物持ち去り防止指導専門員については、条例に基づき、廃棄物の処理及び清掃に関する指導や立入検査等の権限がある。
◯大石委員 指導専門員には権限が与えられているとのことであったが、私が一番心配することは、指導員と持ち去る側とのトラブルである。これまでに指導員たちは、トラブルの有無も含め、どのような活動ができているのか尋ねる。
△環境局長 資源物持ち去り防止指導専門員の活動については、不燃ごみの持ち出し地区における巡回パトロールのほか、市民から通報があった地区の重点パトロールなどを行っている。パトロールで持ち去り行為を現認した場合、条例により持ち去り行為が禁止されていることを伝えて、やめるよう指導しており、生活に困窮しているなどの理由で持ち去り行為を繰り返す者にも、粘り強く指導を行っている。また、持ち去り行為者の中には、威圧的な態度を取る者もいるが、その際は警察と連携して対応するようにしている。
◯大石委員 次に、福岡市廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例であるが、この条例のどこで持ち去り防止対策が取られているのか尋ねる。
△環境局長 持ち去り行為者に対しては、福岡市廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例第17条の2において、市及び市から収集または運搬の委託を受けた者以外の者は、家庭系ごみの収集、運搬等を行ってはならないこと、第42条において、違反した者は5万円以下の過料に処すること、第43条において、法人等に対しても過料を科することを規定している。また、金属等の買取り業者に対しては、第17条の3において、何人も違反した収集等に係る家庭系ごみを買い取ってはならないこと、違反した者に対し買取り行為をしてはならない旨の勧告をすることができること、勧告に従わなかったときは、その者の名称または氏名及び違反の内容を公表することができることを規定している。
◯大石委員 条例には、命令に違反した者は5万円以下の過料に処するとされているが、条例制定後に、実際に5万円以下の過料を科したことがあったのか。また、この条例で言う過料とはどのようなものか尋ねる。
△環境局長 過料は、行政上の秩序維持を目的に、違反した者に対して金銭的負担を科すものである。条例に規定する過料については、条例制定後、過料を科すまでに至った事例はない。
◯大石委員 なぜ、これまで過料を徴収したことがなかったのか尋ねる。
△環境局長 過料処分の事例がない理由としては、持ち去り行為を現認した場合、持ち去りを行った者に対して、まずは条例により持ち去りが禁止されていることについて周知し、持ち去りをやめるよう注意を行っている。次に、注意を受けたにもかかわらず持ち去りを行った者に対しては、文書を交付して指導を行い、それでも持ち去りを行った者に対しては警告書を交付している。警告書を交付したにもかかわらず持ち去りを行った者に対しては、弁明の機会を付与した上で禁止命令を行い、この禁止命令に違反した者に対して、弁明の機会を付与した上で過料を科すことになる。これまで禁止命令まで至った件数は1件あるが、その後、禁止命令を行った者が持ち去り行為を行った事実は確認されておらず、過料処分までには至っていない。
◯大石委員 条例に違反しても、結果として過料処分には至っていない。注意、指導、警告、禁止命令と段階を踏んでの対応になっている。即応性がなく、これでは持ち去り事案は減ることはないのではと考えるが、所見を尋ねる。
△環境局長 資源物の持ち去り行為の苦情等の件数については、条例施行前の平成25年度が264件であったのに対し、令和2年度は39件と大幅に減少しているため、条例施行後の持ち去り防止対策に対する一定の効果は現れているものと考えているが、3年度から増加傾向が大きくなっており、さらなる対策を検討していく必要があると考えている。
◯大石委員 委託パトロール、指導員による巡回指導、そして条例による持ち去りの防止対策と、それぞれ取組を行っているが、なかなか実効性が乏しいのではないかと思っている。別の言い方をすれば、対策が緩いのではないかとも考えている。このまま、この資源ごみ(有価物)の持ち去り事案に対してきちんとした対策を取らないと、市民のごみ出しの安全確保ができない。さらには、本市の歳入確保への悪影響、そして犯罪増加などが懸念される。犯罪理論に破れ窓理論というのがあるが、1枚の割られた窓ガラスを放置しておくと、さらに割られる窓が増え、いずれはまち全体が荒廃していくという理論である。他都市においては、条例の改正を含め、厳しい罰則を設けているところもある。熊本市では、違反行為をしたときは行為者を罰するほか、その法人または人に対して同条の罰金刑を科するとされている。また、川崎市においても、来年度の令和4年4月1日から熊本市と同じように、違反行為をしたときは行為者を罰するほか、法人も人も20万円の罰金刑を科するとあり、大きく条例の改正に踏み切ったようである。本市においても、より実効性を高めるためにも、さらには市民の安全、安心を守るためにも、条例の改正を含めて、警察の取締りができるような持ち去り防止対策を取るべきではないかと考えている。市民は、最終的に資源ごみ(有価物)の持ち去りに遭遇したり目撃したりしたときは、具体的にはどのような行動を取ればよいのか、110番なのか、環境局の考えを尋ねる。
△環境局長 条例の目的は持ち去り行為をなくすことであり、罰則を与えることにより抑止力を働かせるため、罰則規定を設けている。罰則については、一般的に罰金等の刑罰が科される際には詳細な立証が求められるが、本市は戸別収集のため持ち去り禁止を定める場所の特定が困難であること、また、持ち去り行為が社会秩序を乱す行為であることから過料が適当であると判断し、実効性が確保できるよう取り組んできた。現在、昼は車1台の2人体制、夜は車2台の4人体制でパトロールを行っており、市民からの通報により持ち去り行為が行われている場所に駆けつけて、重点的にパトロールを行い、持ち去り行為者への注意、指導を行っている。さらに令和4年度からは、市民からの通報により迅速に対応するため、夜のパトロール体制を現行の車2台の4人体制から車4台の8人体制に拡大して、通報があった場所のパトロールや張り込みの体制を強化していく。なお、通報先については市民への周知が十分ではなかったと認識しており、環境局及び夜間対応もできる区役所の連絡窓口について、市政だよりやホームページ等で周知を図っていく。今後も持ち去り行為の発生状況等を踏まえながら、市民が不安なく安全にごみを排出する環境が確保できるよう、他都市の状況も参考にしながら引き続きしっかり取り組んでいく。
◯大石委員 持ち去り行為の発生状況を踏まえて対策を取っていくとのことであった。しかし、これは発生が確認できた事案であり、実際的には当局が確認できていない持ち去り事案は相当数起きていると考えるべきである。本市の持ち去り事案の正確な現状はこれまで調査が行われず、詳細は不明のままであり、有効な対策を取るのであれば正確な実態調査が必要で、それをもって対策を講じるべきではないか。環境局には早期の実態調査を行ってもらうよう強く要望しておきたいと思う。そして、さきの答弁でも分かるように市民への通報先の周知徹底はこれからであり、これまで周知ができていなかったのが現状である。夜中に市民が電話をして市から警備会社へ連絡を取り、最終的に警備会社が現場に駆けつけるとのことであった。しかし、現場に駆けつけた警備会社の注意や指導だけで解決するものなのか、市民の通報から到着時間はどれぐらいかかるのか。このように、答弁を受けても少し疑問が残ったような気がしている。現実的には、警備会社も110番で出動した警察も、条例を改正しない限り現行の条例のままでは実効性のある対応は難しいのではないかと考えている。そういうこともあり、先ほどから条例の改正を提起しているわけである。他都市でも条例改正をして対策の強化を図っているのは、同じような理由からだと思う。警備会社や警察との重層的な対策を講じながら、市民の安心、犯罪抑止、そして歳入の確保と、市民に寄り添った環境局であってほしいと考えている。そのことを切に願って次の質問に入る。西部工場再整備基本構想案について尋ねる。さきの2月議会の生活環境委員会で、西部工場再整備基本構想案の説明が行われた。西部工場は、平成4年度の稼働開始以来29年が経過しており老朽化も進行しているとのことで、本市のごみ行政をトータルで考えていく上でも建て替え事業の検討がなされていたようである。まずは、この西部工場再整備基本構想案について、どのようなものなのか説明を求める。あわせて、今後のスケジュールについても尋ねる。
△環境局長 老朽化が進んでいる西部工場については、今後も安定的かつ効率的なごみ処理体制を確保する上で、全市的な施設配置バランス等を踏まえ、西部地区に一定規模の施設が必要であることから、令和3年度から再整備の検討を進めている。西部工場再整備の基本構想案については、再整備を進めるに当たって、施設の配置や規模などの基本条件や施設整備の考え方を明確にし、今後、新工場の仕様などに反映させることを目的としており、老朽化した現工場の有効活用及び新工場の建設の基本的な考え方を示すものである。新工場の建設については、安定したごみ処理を継続し再整備を進めるためには現工場を稼働させながら建て替えを行う必要があることや、周辺の住宅地への配慮などから、新工場の建設場所は現工場敷地内の西部資源化センターのある場所としている。なお、西部資源化センター停止後の不燃ごみ処理については、当面、東部資源化センター1施設で行うこととしている。今後のスケジュールについては、今年度基本構想を策定した後、4年度以降に基本計画や環境影響評価手続を進めることとしている。工事には7年度頃から着手し、西部資源化センターを解体した後、新工場を建設し、13年度頃に稼働を開始する予定としている。
◯大石委員 西部工場再整備基本構想案について説明を受け、なぜ建て替えが必要なのかも理解できた。再整備基本構想の段階であるので、今後、より具体的な基本計画案を通じて、議会で議論ができるのではないかと考えている。一方で私が気にかかったのは、この西部工場再整備基本構想案の中に、西部工場を建て替える場所になっている現在の西部資源化センターについての記述が出てこないことである。どこを探しても、建て替え候補地の西部資源化センターの今後についてが分からない。これから西部資源化センターはどうなっていくのか尋ねる。
△環境局長 資源化センターで処理している不燃ごみの量については、国の制度改正によるリサイクルの推進や、これまでの減量施策の取組により、長期的に見れば減少傾向となっている。新工場の稼働開始時期や、その後の現工場解体までの期間を考慮すると、新たな西部資源化センターを現工場の跡地に整備できる時期は十数年程度先になることから、今後の不燃ごみ量の状況なども踏まえながら、引き続き最適な整備について検討していく。
◯大石委員 西部資源化センターについては、先々新たな西部工場と一緒に建て替えるかどうか、新たな西部資源化センターが造られるかどうかはまだ決まっていないとのことである。仮に整備をすることになっても、期間でいけば令和7~12年度までの丸6年間は間が生じる。これまで西部資源化センターへ搬入していた不燃性のごみはどこへ持っていくのか。あわせて、これまでどれだけの不燃性のごみが1年間で西部資源化センターへ搬入されていたのか尋ねる。
△環境局長 現在、西部資源化センターへ搬入している不燃性のごみについては、西部工場の建て替えに伴い西部資源化センターを停止した後は、東部資源化センターへ搬入し処理する予定としている。現在、西部資源化センターでは、本市内で発生する不燃性ごみのおよそ半分を処理しており、処理量の実績としては、平成30年度は約1万4,500トン、令和元年度は約1万7,500トン、2年度は約2万5,500トンとなっている。なお、2年度の処理量が、平成30年度、令和元年度に比べ多くなっているが、これは東部資源化センターの火災及び復旧工事のため、本来東部資源化センターで処理していたごみの一部を西部資源化センターで処理したため、一時的に増加しているものである。
◯大石委員 当面の間は本市の不燃性ごみは、東部資源化センターの1か所で処理を行っていくとの考え方でよいか。また、本市の不燃性のごみは1年間でどれだけの量が排出されているのか、併せて尋ねる。
△環境局長 西部資源化センター停止後の不燃性ごみの処理については、当面の間、東部資源化センター1施設のみでの処理を予定している。また、本市で1年間に排出され、東西2つの資源化センターにおいて処理された不燃性ごみの量の合計は、平成30年度は約2万7,500トン、令和元年度は約2万8,500トン、2年度は約3万1,000トンである。
◯大石委員 これまでは本市の不燃性のごみは、東部資源化センターと西部資源化センターの両センターにおいて処理されてきた。しかし、西部工場再整備が始まれば、建て替え地は現在の西部資源化センターになるわけであり、そこに建て替わる。そうなると、本市全体の不燃性のごみは東部資源化センター1か所で処理をすることになる。先ほどの説明のとおり、東部資源化センターは3年前の火災事故で大きく傷んでいる。このような状態の東部資源化センター1か所で、本市全体の不燃性のごみの全ての処理を担わせてよいのか。これまで東部資源化センターの破砕機はトラブルを起こしたことはなかったのか、何らかの理由で処理業務が止まったことはなかったのか尋ねる。
△環境局長 東部資源化センターは2つの独立した処理系列を有しており、通常は片方の処理系列のみを稼働して、ごみ処理を行っている。復旧工事が完了する令和4年度末以降は、2つの処理系列での処理体制が確保できることから、万一、一方の処理系列の設備が故障した場合にも、もう一方の処理系列でごみ処理を継続することが可能である。これまでの破砕機トラブルとしては、過去5年間において、ごみ詰まり等による異物の除去や点検等の作業のため、短時間、処理を停止したことはあるが、破砕機の故障を原因とするごみの受入れ停止等のトラブルは発生していない。また、処理業務の停止については、元年度の火災事故を除くと、火災後の仮復旧による運転中で、1つの処理系列しか稼働できない期間に発生した設備の消耗部品の損傷等によって1週間程度、施設の稼働を停止した事例がある。
◯大石委員 先ほどの答弁で破砕機に関連してのトラブルを聞いたが、肝腎なのは破砕機を含めて何らかのトラブルで業務が止まったことはなかったかということである。これまで業務が止まったことが、期間の長い短いは別にして実際にあったということが分かった。このことは大変重要なことではないかと考えている。先日、東部資源化センターを視察した際のパネルを用意した。これが火災が起こる前の、焼ける前の工場内である。ピットがしっかりあって、そこにごみを落としてクレーンで拾っていくということである。ここにトラック、パッカー車が来て、ごみを落としていくということで、3つあるが、その中がピットとなっている。これが焼けた後の現在の東部資源化センターである。建屋は当然なくピットは埋められている。ということは、このピットはもうないため、当然だがここにごみを置けないという形になっている。今はこのフォークリフトのような重機で、置いたものをすくって破砕機に持っていくという形になっており、職員に聞くと少し効率が落ちているという話だったため、少し心配をしている。写真で見ればよく分かると思うが、建屋を含めて火災で大きく焼失をしており、火災事故まであったごみの滞留ピットは完全に埋められており、現在はピットがないためごみはピットに入れられず、集められた不燃ごみは平地に下ろされ、まとめて置かれ、その後にフォークリフトのような重機で破砕機に入れ込んでいくという作業になっている。私は、火災事故前と事故後では相当作業が変わったのではないかと素朴な疑問を持った次第である。処理能力、作業効率、火災事故対策、作業員の負担など、現状の東部資源化センターについて詳しく説明を求める。
△環境局長 東部資源化センターの処理能力については、1号系が1日当たり75トン、2号系が1日当たり100トンで、施設全体としては1日当たり175トンの処理能力を有しており、ごみの受入れ、投入方式を変更したことによる変化は生じていない。次に、火災事故対策については、発火を感知できる設備や消火設備を強化するとともに、ごみ貯留による延焼の危険性を少なくするため、ごみを一時的に貯留するピットを廃止し、ごみを平地で受け入れて直接破砕設備に投入する、いわゆるヤード方式に変更するなど、復旧工事に合わせて対策を行っているところである。また、ごみ処理における作業効率や作業員の負担については、東部資源化センターの現在の受入れ、投入方式に合わせて最適な作業体制となるよう、作業員の増員や適切な重機の配置を行ってきたところである。今後も施設の運用状況を見ながら、安全に配慮した、より効率的なごみ処理が行えるよう、適宜見直しを図っていきたいと考えている。
◯大石委員 私は、西部工場の再整備については、さきに触れたように本市のごみ行政の中でも大変重要な施策であるため、しっかり議論をして進めていくべきと考えている。ただし、この現実のごみ行政については、いっときの停滞も許されず、事故があってもいけない。それだけ環境局の責任は大きいものがあると思う。火災事故発生のリスク、東部資源化センターの処理能力のリスク、破砕機のリスクなど、様々なリスクと闘っていかなければならないと思う。市民が本当に安心できる対策、不測の事態を想定した体制の整備、不燃性のごみの処理問題について、市民が納得できる説明をお聞かせ願いたい。
△環境局長 不燃ごみの処理施設である資源化センターは、可燃ごみを処理する清掃工場と同様に、市民の生活環境の保全を図る重要なインフラ施設の一つである。東部資源化センターは、1日当たり175トンの処理能力を有しており、定期修理などによる運転停止日数を考慮すると、年間で約4万2,000トンの処理が可能であり、近年の資源化センターで処理を要する不燃性ごみの量と比較しても、全量を処理することが可能である。また、東部資源化センターは独立した2つの処理系列を有しており、万一、一方の処理系列でトラブルが発生しても、もう一方の処理系列でごみ処理を行うことができるため、西部資源化センターの停止後も安定的な不燃ごみの処理を継続できるものと考えている。今後とも引き続き、市民生活に影響を及ぼすことのないよう、計画的な整備、運用に努め、安定的かつ効率的なごみ処理体制の確保を図っていく。
◯大石委員 西部資源化センターについては、整備をするかしないかを含めて、これからの議論とのことであるが、西部工場が完成するまでの6年間は、東部資源化センターのみの処理体制になることは間違いがない。世の中、何が起こるか分からない。最悪のことも想定して施策を打つことも大事である。余計な心配ではあるが、盤石な体制をお願いしたいと思う。ここまで、ごみ問題について尋ねてきた。環境局については、本市の環境行政全般の全責任を担いながら、一生懸命な取組をしており、さらにはSDGsの施策目標の達成においても、旗振り役、先導役として鋭意取り組んでいるところである。今後のさらなる取組に大いに期待をしていきたいと考えている。また、本市においては、多くの市民と一緒になって策定した福岡市総合計画の中で、都市の成長と生活の質の向上の好循環を創り出すとしている。また、世界や日本全体においては、カーボンニュートラルの実現についても対応が求められているところである。そういった中で、今後の本市全般の環境行政への取組について、そして、本市におけるSDGsの実現に向けた取組の決意を市長へ尋ね、質問を終わる。
△市長 本市では多くの市民とともに策定した総合計画において、都市の成長と生活の質の向上の好循環を創り出すことを基本戦略として掲げ、経済的な成長と安全、安心で質の高い暮らしのバランスが取れたコンパクトで持続可能な都市づくりに取り組んでいる。これは、誰一人取り残さない持続可能な社会の実現を目指すというSDGsの理念と方向性を一にするものであり、総合計画の着実な推進によって、SDGsの達成に向けて取り組んでいるところである。市民の安全、安心な生活環境を確保していくためには、ごみの適正処理を確保することをはじめ、循環型社会の構築や脱炭素社会の実現など、環境行政の取組を着実に推進していくことが重要であると考えている。今後とも、SDGsの理念を踏まえ、持続可能なまちづくりを進め、人と環境と都市活力の調和が取れたアジアのリーダー都市の実現を目指して取り組んでいく。