○24番(松野 隆)登壇 私は公明党福岡市議団を代表しまして、困難な状況を抱える若者の支援体制について、野間屋形原線整備など福岡市における道路施策の推進について、以上2点について質問をしてまいります。
初めに、困難な状況を抱える若者の支援体制についてであります。
人口減少社会や消滅可能性都市という言葉に象徴されるように、日本は次代を担う世代が減り続けております。総務省発表によりますと、超少子・高齢社会の進行による2050年の総人口に占める14歳以下の年少人口割合は現在の12%から10.6%へと、また、15歳から64歳までの生産年齢人口は59.1%から51.8%へと、共に大きく減少し、その結果、高齢化率は28.9%から37.7%へと今後増加の一途をたどります。
日本において、高齢者施策に加え、出産から育児、学齢期へと人口減少を何とか食い止め、人口増加に転じるため、出産一時金、児童手当や子ども医療費、授業料の無償化など、様々な支援策が次々と創設、拡充されてまいりました。青少年問題では、ニート、ひきこもりなど社会的自立が困難な若者への対策、キャリアコンサルティング、就職体験、就職支援セミナーなどといった取組が行われてきましたが、しかし、これまでの対策もなかなか奏功せず、総務省統計による若年無業者数は2020年で87万人を超え、2000年から30万人以上増加をしております。若者を取り巻く社会環境が年々大きく変化し続ける中、今やコロナ禍において、学校に行けない、友達に会えない、バイトも就職もかなわないなど、その環境は悪化の一途です。現実社会における若者のストレスを拭い、夢や希望の実現に社会全体で寄り添い、若者の自己実現や社会的自立のために本格的な支援が必要とされております。
そこで、福岡市では、子ども・若者育成支援推進法に基づき、若者に関する総合的な支援、連携体制の強化、構築に取り組んでおります。
まず、若者を取り巻く現状について本市の御所見を伺います。
以上で1回目を終え、2回目以降は発言者席より行います。
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 若者を取り巻く現状につきましては、平成30年度の福岡市青少年の意識と行動調査によりますと、福岡市内のひきこもりの状態にある18歳から39歳までの若者は約3,300人、無業の状態にある若者は約2万人と推計されており、さらに、コロナ下の影響により孤立や孤独の問題が一層顕在化し、若者を取り巻く状況も深刻さを増していることから、困難な状況にある若者への支援に社会全体で取り組む必要があると考えております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 福岡市内のひきこもりの状態にある若者が約3,300人、無業の状態にある若者が約2万人というお答えですね。多くの若者の現状をお示しいただきました。
では、そのような困難な状況にある若者に対し、福岡市はどのような支援を行っているのか、答弁を求めます。
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 福岡市では困難な状況にある若者に対し、ひきこもりや不登校の相談、居場所づくりなどを担う福祉、教育、保健医療等の担当部局が国や県における更生保護、雇用等の機関などと連携しながら、各分野の専門性を生かし、若者が置かれている様々な状況に応じた支援に取り組んでおります。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 福祉や教育や保健医療の担当部局とか、それから、更生保護、雇用等の機関が連携して様々な取組を行っているということでありますが、本市には若者支援に取り組んでいる団体が数多くあるとお聞きしておりますが、NPOなど民間団体などの活動状況についてお答えください。
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) NPOなどの民間団体につきましては、現在、約30の団体が市内で活動されており、不登校やひきこもり、非行など、若者を取り巻く様々な困難を解決するためのきめ細やかな支援に取り組んでおられます。その活動内容は、家庭や学校以外で気軽に立ち寄れる居場所づくり、困難な状況にある若者への学習支援や農業体験などの社会参加支援、同じ悩みを抱える保護者や家族に対する相談支援など、多岐にわたっております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 居場所づくりから、学習支援や社会参加の支援、そして、家族に対する支援と、約30もの団体が若者の困難を解決するための支援に様々取り組んでいただいております。
そのように、福岡市では民間団体による活動が活発に行われており、その民間団体に対してどのような支援を行っているのでしょうか。また、支援を行い、その力を生かして民間のネットワークを生かすということが不可欠だと思いますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 福岡市で活動している民間団体への支援につきましては、地域における若者の居場所の立ち上げや運営等に係る費用の一部を助成するとともに、新規開設に向けた居場所の運営へのアドバイスなども行っております。令和2年度には約20の民間団体が参加した若者支援フォーラムを開催し、民間団体同士の交流によるネットワークの構築を図っております。今後もそのネットワークを広げるとともに、関連する行政機関との連携も進めながら、困難な状況にある若者の支援の充実に取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 立ち上げの費用の一部を助成とか、それから、民間団体同士の交流の場づくりを支援していただいておりますが、若者支援フォーラムというキックオフのイベントも、市長が御参加の下、開催をしていただいたというふうにお聞きをしておりますので、今後もぜひしっかり取り組んでいただきたいと思いますが、次に、若者を支援するに当たり、現状どのような課題があると認識しておられるのか、お答えください。
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 若者を支援するに当たっての課題につきましては、中学卒業や高校中退等を機に、それまでに受けていた様々な支援が途切れ、社会とのつながりがなくなり、ひきこもりや無業などの困難な状況に陥ってしまうことが課題であると考えております。また、自分の抱える困難の原因に気づけていない若者や自力では適切な支援にたどり着けない若者が、必要な支援を受けられていないことも課題であると考えております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) まず、自分がどんなに困難な状況なのかという原因に気づいていないということ、それから、それで適切な支援にたどり着けない、必要な支援を受けられていないということなんですけれども、まずは自分が今どういう状況にあるのかという現状認識がとても大事ではないかと思います。そして、意欲を持ってもらって、そこから始めて必要な支援にたどり着くのではないかというふうに思います。社会的自立に自信が持てず、彼らの年齢が高くなるにつれて、個人の課題解決がより難しくなってまいります。
若者の相談支援体制の強化を図るということですが、どのような取組を行うのか、お示しください。
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 若者の相談支援体制の強化につきましては、令和4年度に若者を支援する関係機関等で構成する協議会を立ち上げ、幅広い分野の機関が連携して、切れ目なく支援を行えるネットワークを構築し、必要な情報や課題を共有しながら、各機関がニーズに応じたより適切な支援を行えるようにしたいと考えております。また、若者の相談機関を設置し、協議会のネットワークを生かしながら、困難な状況にある若者を早期に把握し、適切な支援につなぐ機能を充実させていきたいと考えております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。
就業や自立の前の段階での各団体との連携や、福祉や保健、医療など専門性の高い分野ごとの支援が重要になると思いますが、現段階での事業の進捗状況はどうなのか、答弁を求めます。
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 事業の進捗状況につきましては、令和4年度の協議会の立ち上げに向けて、福岡市と国、県の若者を支援する関係機関等による準備会を令和3年度中に設置したいと考えております。準備会においては、関係機関や民間団体の専門分野や活動内容が多岐にわたっていることから、協議会での役割、相談機関の機能、支援につなぐ際のルールなど、連携して若者を支援していくための仕組みについて検討していきたいと考えております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 課題が長期化、深刻化する前に早期に支援の手を差し伸べ、寄り添いながら伴走型の支援を行うことが大事だと思いますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 若者の支援に当たっては、課題が長期にわたり、また、深刻化する前に早期に状況を把握し、適切な支援につなぐことが重要であると考えております。そのため、特に中学卒業や高校中退等を機に支援が途切れることのないよう、早期の段階で困難な状況にある若者の支援に重点的に取り組み、社会とのつながりを維持し、社会参加や自立に向けて、見守り、寄り添いながら支援できるよう取り組んでいきたいと考えております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) いろいろ御答弁をいただいているように、とても重要な準備に、しかも、大変根気が要る事業にしっかり取り組んでいただいているということであります。
困難な状況にある若者を支援する総合的な機関における業務や相談対応には高い専門性が求められます。令和4年度から相談機関を立ち上げるに当たっては、まずは支援体制の基盤づくり、土台をしっかりと固めつつ、相談機関における人材の確保、育成を行いながら、段階的に機能を拡充すべきではないかと思います。人材確保や運営のための財政負担についても、今後、国からの支援、これが必須ではないかというふうに思っておりまして、国への要望についても、福岡市とともに私どももしっかり頑張っていきたいというふうに思っております。各関係機関や民間団体がそれぞれの専門性を生かしながら、互いにつながり、支援を途切れさせないように、こども未来局だけではなく、関係機関を所管する各局が主体的に協力することが極めて重要であるということは論を待ちません。しっかり連携していただくことを強く求めておきます。
若者の自死が増え続けております。突然の凶行に走る若者もいます。なぜ自ら命を絶たなければならなかったのか、なぜ他人の命と暮らしを奪ってしまったのか。若者が置かれている厳しい状況は本人たちの問題とともに、社会環境の大きな変化と、それにより自分や家族の将来に夢と希望が持てない社会の問題とも言えます。困難を抱え、もがき苦しむ若者の社会的孤立を防ぎ、社会全体で支え励まし、心の闇を振り払わなければなりません。この国と私たちが暮らす地域の未来も若者次第です。大人たちが若者を支えて、その若者が次の、そのまた次の世代や高齢者をやがて守り支えていける社会となるのか、世代間が断絶することなく、支え合いの好循環をつくることもSDGsの精神に合致する社会の在り方ではないでしょうか。
コロナ禍の影響も含め、困難な状況にある若者は今後増えることが予想されます。多岐にわたる関係機関や団体が緊密に連携し、若者の置かれている状況をしっかりと把握し、必要な支援を講じていく、これが重要であると考えます。
この質問の最後に、困難を抱える若者支援への髙島市長の御決意をお聞きいたします。
○議長(阿部真之助) 髙島市長。
○市長(髙島宗一郎) コロナ下において、多くの若者は以前より不安が高まり、孤立や孤独の問題など、若者を取り巻く状況はさらに深刻となっていることから、そうした困難な状況にある若者を社会全体で支援していく必要があると考えております。
現在、福岡市におきましては、福祉、保健、教育など、各分野の担当部局と国、県の機関が連携をしながら、専門性を生かして様々な支援を行っており、また、多くの民間団体による支援も活発に行われております。今後は福岡市の担当部局と行政機関が連携を深めつつ、民間団体のネットワークを強化し、社会全体で困難な状況にある若者の社会参加や自立に向けた支援にしっかりと取り組んでまいります。
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 次に、野間屋形原線整備など福岡市における道路施策の推進についてお尋ねいたします。
福岡市では、都市機能の強化に取り組み、超高齢社会に適応可能で持続可能なまちづくりが進んでおります。その都市機能強化と地域のネットワーク化の骨格をなす道路施策は、社会参加や自然との触れ合いがより身近なコンパクトシティとしての福岡市の魅力形成に大いに貢献しております。この道路施策については、限られた財源の中、国庫補助金などを活用しつつ、地域幹線道路や生活道路の整備に着実に取り組んでおりますが、一方で、様々な道路整備を同時に進めるに当たり、課題となるのがまとまった財源の確保であります。しかし、道路整備の初期に道路用地の先行取得が思うように進んでいない現状が生じ、今後の事業の懸念材料となっており、道路整備予定地域の住民からも早く用地取得を行ってほしいとの御要望が日々数多く寄せられております。また、野間屋形原線以外の道路に関する要望も、私たち議員が市民の皆様から受ける最も多い要望の一つでもあります。
そこで、今回の質問では、福岡市の道路施策の現状と課題について尋ねていきたいと思います。
まず、道路施策の概要について、道路施策の推進に要する当初予算のこれまでの推移として、ピークである平成9年度及び平成19年度、平成29年度、令和3年度について、それぞれの内訳を含めてお尋ねいたします。
○議長(阿部真之助) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 道路施策の推進に要する当初予算の全体額とその内訳でございますが、まず、平成9年度は全体額が約1,029億円、その内訳は道路、街路事業費が約716億円、維持管理費等が約81億円、その他都市高速道路に対する貸付金、出資金及び直轄工事負担金が約232億円となっております。また、平成19年度は全体額が約394億円、内訳は道路、街路事業費が約255億円、維持管理費等が約85億円、その他が約54億円、次に、平成29年度は全体額が約243億円、内訳は道路、街路事業費が約164億円、維持管理費等が約61億円、その他が約18億円、最後に、令和3年度は全体額が約237億円、内訳は道路、街路事業費が約162億円、維持管理費等が約66億円、その他が約9億円となっております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 平成9年度は全体の予算が1,029億円、これに対して令和3年度は237億円ですから、約20%近くに減少しているという現状です。
次に、都市計画道路の整備率の推移について、同じく平成9年度末、平成19年度末、平成29年度末、令和2年度末の数値をお答えください。
○議長(阿部真之助) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 都市計画道路の整備率でございますが、平成9年度末が49.7%、19年度末が71.4%、29年度末が83.7%、令和2年度末が84.7%でございます。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 道路予算とは逆に、都市計画道路の整備率は大きく向上していると。だから、予算が減っているということも言えるんですけれども、ただ近年、当初予算の減少に伴いまして、都市計画道路も整備率が少し鈍化傾向にあるのではないかと気にしております。
では、都市計画道路整備の基本的な考え方について御所見を求めます。
○議長(阿部真之助) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 都市計画道路整備の基本的な考え方でございますが、これまでの整備により幹線道路ネットワークの形成が進んできたものの、市内の一部においては依然として混雑箇所が見受けられることなどから、都市活力の維持向上や良好な市街地形成に向けて計画的に道路整備を進めていくことといたしております。具体的には、福岡市道路整備アクションプランに基づき、拠点間の連携強化、周辺の市や町との広域交流、港湾、空港へのアクセス強化など、経済活動や物流、交流を支える幹線道路を整備することにより放射環状型道路ネットワークの形成を図ることとしております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 年々、福岡市では道路整備率が向上しておりますが、都市計画に伴う幹線道路整備や市内各地に見られる慢性的な交通渋滞の解消など、道路整備に関するニーズはいまだにあります。先ほど答弁の中で道路整備アクションプランの話が出ましたけれども、せんだって策定されたばかりの道路整備アクションプラン2024において、現在未着手となっている都市計画道路の記載もあったと思います。
そこで、道路整備アクションプラン2024において示されている未着手の都市計画道路の数をお答えください。
○議長(阿部真之助) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 道路整備アクションプラン2024でお示ししている令和2年度末における未着手の都市計画道路は35路線、52区間となっております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) その35路線、52区間の中で都市計画決定が最も古いもの、これ、ちょっとびっくりしたんですけど、戦後の復興期である昭和21年に都市計画決定され、70年以上も未着手となっているものも多く存在すると当局からお聞きしました。そのうち代表的なものとして、区間延長の長いものから3つ、路線名、区間、その延長をお答えください。
○議長(阿部真之助) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 昭和21年4月に都市計画決定された路線の未着手区間のうち、延長が長い3路線についてお答えいたします。
まず、区間延長が最も長いものは博多駅春日原線の博多区弓田交差点から諸岡五丁目付近の約1.6キロメートルの区間でございます。次に長いものは原田久原線の東区多田羅橋東交差点から土井三丁目付近の約1.5キロメートルの区間でございます。最後に、吉塚松崎線の東区原田交差点から松島四丁目付近の約1.4キロメートルの区間でございます。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 今、3路線について御答弁をいただきましたけれども、当時必要として都市計画決定された道路でも、長い期間未着手のものが多く存在しております。このような道路の整備に一刻も早く着手するためにも、現在事業中である路線の整備を早期に完了することが重要であると考えます。
私の地元、南区の花畑地域でも、平成24年に都市計画決定された野間屋形原線の整備に向けて道路用地の取得が行われておりますが、同事業の概要と進捗についてお示しください。
○議長(阿部真之助) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 都市計画道路野間屋形原線は、南区南西部地域における交通渋滞の緩和に向け、幹線道路ネットワークの強化を図るために整備する計画幅員25メートルの4車線道路でございます。このうち南区野間一丁目付近から福岡外環状道路、花畑二丁目交差点までの通称若久通りの区間は平成17年度に完了しております。平成29年度より花畑二丁目交差点から都市計画道路老司片江線までの約760メートルの区間に着手しており、事業期間は令和10年度までの予定で、全体事業費は約48億円を見込んでおります。また、事業の進捗につきましては、現在、用地取得を進めているところであり、用地取得率は令和2年度末で約18%となっております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 野間屋形原線の整備について進捗はまだ18%ということで、当時は市内でもこれは優先的に行われますという説明を私もお聞きしておりましたけれども、ですから、対象地域の住民からも用地の早期取得について度々御質問や御要望を受けてまいりました。
そこで、野間屋形原線の用地取得に要する財源について説明を求めます。
○議長(阿部真之助) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 野間屋形原線の用地取得の財源につきましては、基本的には国庫補助金を活用しつつ、市債及び一般財源で対応することとしておりますが、早期の買取り要望に応じるなど、時期を逃さず事業用地を先行取得する必要がある場合には福岡市土地開発基金を活用しております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) それでは、財政局にお尋ねいたします。
今、道路下水道局長のお答えにありました土地開発基金、これが先行用地取得の財源となっておりますが、それでも先ほどの答弁にありましたように、令和2年度末の野間屋形原線の用地取得率は18%しか進んでおりません。
この土地開発基金についての概要並びに仕組みはどうなっているのか、答弁を求めます。
○議長(阿部真之助) 松本財政局長。
○財政局長(松本典久) 土地開発基金につきましては、福岡市土地開発基金条例に基づき、公用もしくは公共用地を取得する必要がある場合に活用できるものでございます。基金の仕組みにつきましては、用地の取得見込みや基金の活用可能残高を踏まえ、毎年度、取得限度額を定め、基金により取得を進めた後、事業所管局は事業実施のタイミングで用地取得費等を予算化し、基金に戻すこととしております。
なお、基金の活用に際しましては、事業所管局は取得の概要を、財政局は取得限度額等について所管の委員会に報告を行っております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) これまで福岡市の外郭団体として存在した土地開発公社が昨年度末に完全に解散し、現在、公社に代わる機能としてこの基金を利活用して用地の取得を行っております。この基金については土地開発基金条例に基づき、先行取得を希望する年度の前の年度に所管の常任委員会で事業概要の説明を行うようになっておりまして、道路下水道局であれば、生活環境委員会において毎年の先行取得の事業計画が報告されているということであります。しかしながら、事業計画には基金を充当する路線名や補償件数が記載されるのみで、基金の運用状況の説明など詳細事項は記載されておらず、基金の全体像がブラックボックス化しているように思います。
しかし、都市開発基金は道路整備に要する用地の先行取得に不可欠な基金でありますので、お尋ねいたしますが、土地開発基金の残高の状況と令和3年度の新たな積み増し額、あわせて、今後の活用見込みについてお示しください。
○議長(阿部真之助) 松本財政局長。
○財政局長(松本典久) 土地開発基金の残高につきましては、令和元年度末で151億円余でございます。また、令和3年度は土地開発公社解散に伴う残余財産19億円余を新たに積み立てることとしております。基金につきましては、これまで道路、公園、学校等の用地取得に活用しており、今後とも、関係局と連携しながら、必要な公共用地の機動的、弾力的な取得に取り組むことで事業の円滑な執行を図ってまいります。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 今、残高が151億円余と、そして、今年度も約19億円を新たに積み増しをするということで、この土地開発基金が道路整備上、有効な基金であるということは理解できます。しかし、同時並行で進められる道路整備は当然優先順位や基金残高にも限りがあります。しかし、整備対象地域住民からの要望も多くありますので、時期を逃さず用地を取得するため、一般財源から基金へのさらなる積み増しを行い、必要に応じ先行取得額を増やせるようにするとともに、土地取得に要した費用を原局から基金に戻す時期についても、大型案件の場合や国庫補助の状況によっては延長する等々、弾力的な基金運用が可能となるよう強く求めておきます。
次に、道路整備の中身についてお尋ねしていきますが、道路整備アクションプラン2024においては、道路分野における中期的な方向性や目標、優先的、重点的に取り組む事業が示されております。また、福岡市を取り巻く状況などを踏まえ、令和3年度から令和8年度までの道路整備の基本的な考え方についても示されていたと思います。
そこで、道路整備アクションプランにおける令和8年度までの道路整備の基本的な考え方として示された3つのビジョンについてお答えください。
○議長(阿部真之助) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 道路整備アクションプラン2024に掲げる3つのビジョンにつきましては、まず、ビジョン1として、生活道路の安全対策などを主要施策とするユニバーサル都市・福岡を実現する道づくり、次に、ビジョン2として、都市計画道路をはじめとする幹線道路整備を主要施策とする都市の魅力に磨きをかける道づくり、最後に、ビジョン3として、防災、減災に資する道路整備や適正な維持管理などを主要施策とする市民のくらしを守る道づくりとなっております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 今、3つのビジョンの基本的な考え方を御答弁いただきました。アクションプラン2024については、このビジョンを実現するための具体的な施策を掲げておりますけれども、では、その中で、今後新たに取り組む施策やこれまでの取組から拡充する施策についてお答えください。
○議長(阿部真之助) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 道路整備アクションプラン2024において新たに取り組む施策やこれまでの取組を拡充する施策につきまして、それぞれのビジョンに沿ってお答えいたします。
まず、ビジョン1、ユニバーサル都市・福岡を実現する道づくりにおきましては、これまでの事故発生箇所に対する対処療法型の対策に加え、交通事故を未然に防ぐため、車両の走行履歴などのビッグデータを活用しながら潜在的な危険箇所を特定し、交通安全対策に取り組んでいくことといたしております。
次に、ビジョン2、都市の魅力に磨きをかける道づくりにおきましては、新たな生活様式に対応したにぎわいや憩いを感じるゆとりある歩行者空間の整備を進めるとともに、自動運転技術の進展や多様化するモビリティーに対応した道路空間の在り方についての検討を進めていくことといたしております。
最後に、ビジョン3、市民のくらしを守る道づくりにおきましては、激甚化する自然災害に備えて無電柱化を推進するため、国や電線管理者等と連携し、低コスト手法の検討に取り組むなど、これまで以上に災害に対する備えを強化していくとともに、効率的な維持管理のため、ドローンなどの新技術を活用した橋梁点検の検討を進めていくことといたしております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) まだまだ課題もニーズもたくさんあるというふうに思います。これまで進めてきた地域に身近な生活道路や、超高齢社会における人に優しいユニバーサルな道路の整備、野間屋形原線を含む幹線道路の整備、防災、減災に資する道路整備などに加えて、近年ではビッグデータを活用した交通安全対策や、多様化するモビリティーに対応した道路空間の検討、無電柱化を推進するために低コストな手法の検討を行うなど、社会情勢の変化を踏まえた新たな視点も盛り込まれており、最も基本的な社会資本である道路に対する市民の多様なニーズを的確に捉え、反映したプランでありますので、しっかり取り組んでいただきたいと要望いたしておきます。
その上で、このアクションプラン2024を着実に進めていくためには、当然、先立つものが必要となります。
そこで、道路整備アクションプラン2020と2024における3つのビジョンごとの投資額及び2020から2024の増減額をお示しください。
○議長(阿部真之助) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 3つのビジョンごとの投資額につきまして、最初に、道路整備アクションプラン2020の執行見込額、次に、道路整備アクションプラン2024の計画額、最後に、これらを比較した増減額の順にお答えいたします。
まず、ビジョン1、ユニバーサル都市・福岡を実現する道づくりにつきましては、約292億円に対し約329億円で、約37億円の増加となっております。次に、ビジョン2、都市の魅力に磨きをかける道づくりにつきましては、約420億円に対し約296億円で、約124億円の減少となっております。最後に、ビジョン3、市民のくらしを守る道づくりにつきましては、約233億円に対し約298億円で、約65億円の増加となっております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 生活道路の安全対策などを主要施策とするユニバーサル都市・福岡を実現する道づくりや、防災、減災に資する道路整備や適正な維持管理などを主要施策とする市民のくらしを守る道づくりの投資額が増加しているということは喜ばしいことでありますが、野間屋形原線を含む幹線道路整備を主要施策とする都市の魅力に磨きをかける道づくりについては約124億円も減少している状況となっているため、しっかり予算を確保し、取り組んでいただきたいと考えます。
先ほど述べた野間屋形原線整備も直近の都市計画決定から約10年が経過し、当該地域の住民の高齢化も進んでまいりました。事業が遅々として進まず、ついの住みかの先行きを思うとき、長引くコロナ禍と相まって、住民の不安は増しております。
今後、天神ビッグバンに伴い天神通線の拡幅など大規模道路整備も予定されており、本市が発展していくために、こういった道路整備はしっかりと進めていただきたいとは思っております。一方で、野間屋形原線など、これまで進めてきた他の道路事業を着実に進めていくことも重要であり、十分な予算措置を講じる必要があります。ここからが言いたいポイントなんですけれども、土地開発基金の充当増を図ること、これは必要なことですが、道路下水道局が用地の先行取得に要した資金は後年に予算化し、同基金へ戻さなければなりません。そうすると、その分、当然、将来の道路整備予算を結果的に圧迫してしまうことになります。これは考え方なんでしょうけれども、年度当初の予算に計上されない用地取得の費用を基金を使って先出ししているから同じではないかと、こういう御意見もあるかとは思いますが、しかし、だとすれば、野間屋形原線の進捗が約10年で18%の取得しか進んでいないという現状からも、道路整備は基金ありきではないと、このことについて申し上げておきたいというふうに思います。
したがいまして、道路整備予算そのものを時々の道路整備事業に応じて拡充すべきであります。道路整備に係る予算が年々減少し、ピーク時の2割となるなど先細る中にあっても、今後、必要な道路を時期に応じて都市計画決定していくことは必要でありますので、こういった新たに都市計画決定した道路も、現在予定されている既存の道路も、予算措置を確実に行い、両方しっかり進めていくことは本市の責務であります。また、将来、計画そのものが困難とならないように十分に配慮することも当該地域の住民に対する本市の責務であります。あわせて、地域に身近な生活道路においても、超高齢社会において地域経済や地域活動、社会参加など、持続可能なまちづくりに寄与する人に優しいユニバーサルな道路の整備や維持管理も大変重要な事業であり、主に一般財源で単独事業として行われる各区役所の道路予算の確保にも影響しないように、これまでるる申し上げた点について重ねて強く要望しておきます。
また、道路整備アクションプランを策定した道路下水道局においては、限られた予算の下、より効率的な整備が求められることはもとより、市民の安全、安心の提供や地域経済の下支えの観点などからも重要である道路事業にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
最後に、今後の道路施策の着実な推進について髙島市長のお考えをお尋ねして、私の質問を終わります。
○議長(阿部真之助) 髙島市長。
○市長(髙島宗一郎) 道路は市民生活や都市活動を支える最も基本的な公共インフラであり、松野議員御指摘のとおり、道路施策の推進に当たっては、必要な財源を確保しながら、時期を逃さず着実に実施をしていくことが重要であります。
今回策定をした道路整備アクションプラン2024では、道路のバリアフリー化や幹線道路整備といった取組に加え、多様なモビリティーに対応した道路空間の整備や新たに低コスト手法なども取り入れた無電柱化の推進、さらにはビッグデータを活用した交通安全対策など、新たな施策にも積極的にチャレンジをすることにしております。今後とも、都市の成長と生活の質の向上の実現に向け、安全、安心で人に優しく都市の魅力に磨きをかける道づくりを着実に進めてまいります。以上です。